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β-ジェリーロール構造を共通の基本骨格にもつアルギン酸リアーゼの反応多様性に関するX線結晶学的研究

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Academic year: 2021

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(1)Title. Author(s). Citation. Issue Date. URL. X-ray Crystallographic Studies on Reaction Diversity of Alginate Lyases with β-Jelly Roll as a Common Basic Scaffold( Abstract_要旨 ) Ogura, Kohei. Kyoto University (京都大学). 2010-03-23. http://hdl.handle.net/2433/120475. Right. Type. Textversion. Thesis or Dissertation. none. Kyoto University.

(2) ( 続紙 1 ) 京都大学. 博士(. 農. 学. ). 氏名. 小 倉. 康 平. X-ray Crystallographic Studies on Reaction Diversity of Alginate Lyases with β-Jelly Roll as a Common Basic Scaffold 論文題目 ( β- ジ ェ リ ー ロ ー ル 構 造 を 共 通 の 基 本 骨 格 に も つ ア ル ギ ン 酸 リ ア ーゼの反応多様性に関する X 線結晶学的研究) (論文内容の要旨) 多 糖 リ ア ー ゼ ( PL) は 、 多 糖 分 子 内 の ウ ロ ン 酸 残 基 を 認 識 し 、 そ の グ リ コ シ ド 結 合 を β-脱 離 反 応 に よ り 切 断 す る 。 中 性 多 糖 に 作 用 す る ヒ ド ロ ラ ー ゼ に 比べ、酸性多糖を分解するリアーゼ反応の分子機構には不明な点が多い。ア ル ギ ン 酸 は 、互 い に C5 位 エ ピ マ ー の 関 係 に あ る β- D -マ ン ヌ ロ ン 酸( M)と α- L グ ル ロ ン 酸( G)の 2 種 類 の ウ ロ ン 酸 を 構 成 糖 と す る ヘ テ ロ 多 糖 で あ り 、分 子 内 で 3 種 類 の ブ ロ ッ ク ( ポ リ M、 ポ リ G、 MG 混 在 領 域 ) 構 造 を 形 成 す る 。 ア ル ギ ン 酸 リ ア ー ゼ は 、 ア ル ギ ン 酸 の 1,4-グ リ コ シ ド 結 合 を 切 断 す る が 、 本 酵素のブロック認識機構や作用様式の構造要因は明らかにされていない。 PL は 、 一 次 構 造 上 21 の フ ァ ミ リ ー に 分 類 さ れ る 。 ア ル ギ ン 酸 リ ア ー ゼ の 多 く は ブ ロ ッ ク 特 異 性 を 示 す が 、フ ァ ミ リ ー PL-7 に 属 す る Sphingomonas 属 細 菌 A1 株 由 来 ア ル ギ ン 酸 リ ア ー ゼ A1-II’は ア ル ギ ン 酸 分 子 内 の 全 て の ブ ロ ッ ク に 作 用 す る 。ま た 、フ ァ ミ リ ー PL-14 に は 、異 な る 作 用 様 式( エ ン ド や エ キ ソ 型 ) を 示 す ア ル ギ ン 酸 リ ア ー ゼ が 存 在 す る 。 本 論 文 は 、 フ ァ ミ リ ー PL-7 の A1-II’と フ ァ ミ リ ー PL-14 ク ロ レ ラ ウ イ ル ス CVK2 由 来 vAL-1(S)を 分 子 生 物 学 と構造生物学の観点から解析し、酸性多糖の分解に関わるリアーゼの酵素化 学的特性(ブロック認識機構、触媒反応機構、および作用様式)を明らかに したものである。本論文の内容は以下のように要約される。 第 一 章 で は 、 X 線 解 析 に よ り フ ァ ミ リ ー PL-7 A1-II’の 結 晶 構 造 を 超 高 分 解 能( 0.78 Å)で 決 定 し た 。こ れ は 、ア ル ギ ン 酸 分 子 内 の 全 ブ ロ ッ ク に 作 用 す る ア ル ギ ン 酸 リ ア ー ゼ の 最 初 の 構 造 決 定 で あ る 。 A1-II’は 、 2 枚 の 逆 平 行 β-シ ー ト ( シ ー ト A, β-鎖 A1-A7; シ ー ト B, B1-B6) か ら 成 る グ ロ ー ブ 様 β-ジ ェ リ ー ロ ー ル 構 造 を 示 し 、 分 子 中 央 の β-鎖 A2-A5 と そ の 周 辺 の ル ー プ か ら 成 る ク レ フ ト を 形 成 す る 。 ま た 、 構 造 中 に は 主 鎖 に お け る 多 く の N-H 基 に 水 素 に 相 当 す る 電 子 密 度 マ ッ プ が 認 め ら れ 、 グ ロ ー ブ 様 逆 平 行 β-シ ー ト の 形 成 に 関 わ る 主 鎖 の N-H 基 と C=O 基 間 の 結 合 が 水 素 を 介 し て い る こ と を 実 証 し た 。 第 二 章 で は 、 A1-II’ の 広 い ブ ロ ッ ク 認 識 機 構 と 触 媒 反 応 機 構 を 明 ら か に し た 。 A1-II’の ク レ フ ト を 構 成 す る Tyr284 の 部 位 特 異 的 変 異 体 Y284F と 組 成 の 異 な る ア ル ギ ン 酸 三 糖 ( MMG あ る い は GGG) と の 各 複 合 体 の 結 晶 構 造 を 決 定 し た 。複 合 体 中 で 、MMG お よ び GGG は 還 元 末 端 側( サ ブ サ イ ト +1, +2, +3) に 結 合 し て い た 。M お よ び G の カ ル ボ キ シ ル 基 は 、サ ブ サ イ ト +1 で は Arg146 と Gln189 に 、 +2 で は Thr139 と Asn141 に よ っ て 厳 密 に 認 識 さ れ る 。 一 方 、 そ の 他 の 水 酸 基 と の 結 合 に 関 わ る ア ミ ノ 酸 残 基 は 、M と G と で 異 な っ て い た 。 こ の こ と か ら 、 M と G の 両 方 と の 結 合 を 許 容 す る サ ブ サ イ ト 構 造 が A1-II’と アルギン酸分子内の各ブロックとの反応を可能にすることが示された。 A1-II’変 異 体( H191N/Y284F)と 基 質( ア ル ギ ン 酸 四 糖 : GGMG)と の 複 合 体 の 結 晶 構 造 を 決 定 し た 。 GGMG は 、 非 還 元 末 端 側 サ ブ サ イ ト -1 か ら サ ブ サ イ ト +3 に か け て 結 合 し て い た 。 得 ら れ た 複 合 体 の 構 造 に 基 づ い て 野 性 型 酵 素 -基 質 結 合 モ デ ル を in silico で 構 築 し 、部 位 特 異 的 変 異 体 の 結 果 と 併 せ て A1-II’ の 触 媒 反 応 機 構 を 提 唱 し た 。Gln189 が カ ル ボ キ シ ル 基 の 安 定 化 を 、His191 が C5 プ ロ ト ン の 引 き 抜 き を 、 お よ び Tyr284 が O4 へ の プ ロ ト ン 付 加 を 行 う 。 第 三 章 で は 、 X 線 解 析 に よ り フ ァ ミ リ ー PL-14 vAL-1(S)の 結 晶 構 造 を 決 定 し 、そ の 特 異 な pH 依 存 的 作 用 様 式 の 構 造 要 因 を 明 ら か に し た 。ク ロ レ ラ 細 胞 壁 分 解 酵 素 vAL-1 は 、N 末 端 側 11 kDa ( 細 胞 壁 吸 着 モ チ ー フ )お よ び フ ァ ミ.

(3) リ ー PL-14 ア ル ギ ン 酸 リ ア ー ゼ と 相 同 性 を 示 す C 末 端 側 27 kDa ( 触 媒 モ ジ ュ ー ル )の 2 つ の ド メ イ ン か ら 成 る 。全 長 vAL-1 と 触 媒 モ ジ ュ ー ル 断 片 vAL-1(S) は 、と も に ア ル ギ ン 酸 リ ア ー ゼ 活 性 を 示 し た 。フ ァ ミ リ ー PL-14 で 初 め て 結 晶 構 造 を 決 定 し た vAL-1(S)は 、 グ ロ ー ブ 様 β-ジ ェ リ ー ロ ー ル 構 造 を 基 本 骨 格 に も ち 、 2 枚 の 逆 平 行 β-シ ー ト ( シ ー ト A, β-鎖 A1-A7; シ ー ト B, B1-B6) と βタ ー ン を 介 し た 2 枚 の 小 さ い シ ー ト ( シ ー ト C, C1-C2; シ ー ト D, D1-D2) か ら構成される。 vAL-1(S)は pH 7 で は ア ル ギ ン 酸 か ら 種 々 の オ リ ゴ 糖 を 遊 離 し 、 pH 10 で は ア ル ギ ン 酸 二 糖 を 優 先 的 に 遊 離 し た こ と か ら 、本 酵 素 が pH 依 存 的 な 作 用 様 式 を 示 す こ と が 明 ら か に な っ た ( pH 7, エ ン ド 型 ; pH 10, エ キ ソ 型 )。 pH 7 あ る い は 10 で の vAL-1(S)と D -グ ル ク ロ ン 酸 と の 各 複 合 体 の 結 晶 構 造 で は 、 グ ル ク ロ ン 酸 は pH 7 で は ク レ フ ト の 外 側( A6-A7 周 辺 )に 結 合 す る の に 対 し 、pH 10 で は ク レ フ ト の 内 側 ( A4-A6) に 結 合 し て い た 。 vAL-1(S)は 、 糖 と の 結 合 部 位 を pH 依 存 的 に 変 化 さ せ る こ と に よ り 、エ ン ド あ る い は エ キ ソ 型 の 作 用 様 式が発現することを明らかにした。 上 記 の 結 果 に 基 づ い て 、 β-ジ ェ リ ー ロ ー ル 構 造 を 共 通 の 基 本 骨 格 と す る ア ルギン酸リアーゼについて、その反応多様性に関わる分子機構と構造要因を 明らかにした。. 注 )論 文 内 容 の 要 旨 と 論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨 は 1 頁 を 3 5 字 ×3 6 行 で 作 成 し 、 合わせ て 、 3 ,0 0 0 字 を 標 準 と す る こ と 。 論 文 内 容 の 要 旨 を 英 語 で 記 入 す る 場 合 は 、 2 , 0 0 0 ~ 5 , 0 0 0 characters で作成し 審 査 結 果 の 要 旨 は 日 本 語 5 0 0 ~ 2 ,0 0 0 字 程 度 で 作 成 す る こ と 。 -1-.

(4) (続紙 2 ) (論文審査の結果の要旨) アルギン酸は、マンヌロン酸 M とグルロン酸 G の 2 種類のウロン酸から な る ヘ テ ロ 酸 性 多 糖 で あ り 、 分 子 内 に 3 種 類 の ブ ロ ッ ク ( ポ リ M、 ポ リ G、 MG 混 在 領 域 )構 造 を も つ 。ア ル ギ ン 酸 リ ア ー ゼ は 、ア ル ギ ン 酸 の グ リ コ シ ド 結 合 を β-脱 離 反 応 に よ り 切 断 す る 。し か し 、本 酵 素 の ブ ロ ッ ク 認 識 機 構 や 作用様式(エンドやエキソ型)に関わる構造要因は不明である。本論文は、 ア ル ギ ン 酸 リ ア ー ゼ 活 性 を 示 す Sphingomonas 属 細 菌 A1 株 由 来 A1-II’お よ び ク ロ レ ラ ウ イ ル ス CVK2 由 来 vAL-1(S)を 対 象 に 、 酵 素 学 的 ・ 構 造 生 物 学 的 解 析 を 行 な い 、共 通 の 基 本 骨 格 を も つ ア ル ギ ン 酸 リ ア ー ゼ の 反 応 多 様 性 を 明 ら か に し た 一 連 の 研 究 を ま と め た も の で あ る 。評 価 す べ き 主 要 な 点 は 以 下 の ように要約される。 1. フ ァ ミ リ ー PL-7 お よ び PL-14 に 各 々 属 す る A1-II’と vAL-1(S)の 結 晶 構 造 を 決 定 し た 。両 酵 素 は 、と も に β-ジ ェ リ ー ロ ー ル 構 造 を 基 本 骨 格 と し 、そ れぞれのファミリーで保存されたアミノ酸残基が活性中心を構築すること を明らかにした。 2. A1-II’は 、 M と G の 両 方 と 結 合 す る サ ブ サ イ ト 構 造 を 有 す る こ と に よ り、アルギン酸分子内の全てのブロックを分解できることを明らかにした。 A1-II’の 触 媒 反 応 は 、Gln189、His191、お よ び Tyr284 の 作 用 に よ り 進 行 す る ことを提唱した。 3. vAL-1(S)は 、ア ル ギ ン 酸 と の 反 応 に お い て pH 依 存 的 な 作 用 様 式 を 示 し た( pH 7, エ ン ド 型 ; pH 10, エ キ ソ 型 )。各 サ ブ サ イ ト の 親 和 性 が pH 依 存 的 に 異 な る こ と に よ り 、ア ル ギ ン 酸 の 結 合 部 位 が 変 化 し 、エ ン ド あ る い は エ キ ソ型の作用様式が生じることを明らかにした。 以 上 の よ う に 、本 論 文 は 、2 種 類 の 新 規 な ア ル ギ ン 酸 リ ア ー ゼ の 結 晶 構 造 を 決 定 し 、本 酵 素 に お け る ブ ロ ッ ク 認 識 機 構 や 作 用 様 式 に 関 わ る 構 造 要 因 を 明 ら か に し た も の で あ り 、酵 素 化 学 、構 造 生 物 学 、糖 質 科 学 、お よ び 生 物 機 能変換学の発展に寄与するところが大きい。 よって、本論文は博士(農学)の学位論文として価値あるものと認める。 な お 、平 成 2 2 年 2 月 1 2 日 、論 文 並 び に そ れ に 関 連 し た 分 野 に わ た り 試 問 し た 結 果 、博 士( 農 学 )の 学 位 を 授 与 さ れ る 学 力 が 十 分 あ る も の と 認 め た 。. 注 )論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨 の 結 句 に は 、学 位 論 文 の 審 査 に つ い て の 認 定 を 明 記 す ること。 更 に 、試 問 の 結 果 の 要 旨( 例 え ば「 平 成 年 月 日 論 文 内 容 と そ れ に 関 連 し た 口 頭 試 問 を 行 っ た 結 果 合 格 と 認 め た 。」) を 付 け 加 え る こ と 。 Web で の 即 日 公 開 を 希 望 し な い 場 合 は 、 以 下 に 公 開 可 能 と す る 日 付 を 記 入 すること。 要旨公開可能日: 年 月 日以降 -2-.

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