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80 MRI 臨床技術 Code No 田尻裕紀 1 新井洋平 1 小幡史郎 1 池田富重 松尾繁年平 3 磯本一郎 5 真紀 5 杉本美紀 4 林徳真吉 緒言 magnetic resonance imaging MRI

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Academic year: 2021

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(1)

臨床技術

論文受付 2012年 6 月 1 日 論文受理 2012年 10 月 10 日 Code No. 261

田尻裕紀

 小幡史郎

 松尾繁年

 磯本一郎

 林徳真吉

新井洋平

1

 池田富重

1

 平 真紀

5

 杉本美紀

5 1長崎県島原病院放射線科 2長崎県島原病院外科 3長崎大学病院放射線科(現 聖フランシスコ病院放射線科) 4長崎大学病院病理部 5長崎県島原病院看護部

Initial Experience of Magnetic Resonance Imaging-guided

Vacuum-assisted Breast Biopsy

Hironori Tajiri,1* Shirou Obata,1 Shigetoshi Matsuo,2 Ichirou Isomoto,3 Tomayoshi Hayashi,4

Youhei Arai,1 Tomishige Ikeda,1 Maki Hira,5 and Miki Sugimoto5

1Department of Radiology, Nagasaki Prefecture Shimabara Hospital 2Department of Surgery, Nagasaki Prefecture Shimabara Hospital

3Department of Radiology, Nagasaki University Hospital (Current address: Department of Radiology, St.Francis Hospital) 4Department of Pathology, Nagasaki University Hospital

5Department of Nursing, Nagasaki Prefecture Shimabara Hospital

Received June 1, 2012; Revision accepted October 10, 2012 Code No. 261

Summary

Almost all mammary lesions are detected by a mammography and an ultrasound. However, a small part of lesions cannot be shown by only a magnetic resonance imaging (MRI). MRI-guided vacuum-assisted breast biopsy is a very useful means for the pathological diagnosis of these lesions. We performed MRI-guided vacuum-assisted breast biopsy to 4 patients with the lesions seen only by MRI. Biopsies were safely and easily performed using biopsy software (syngo BreVis). These biopsied specimens resulted cancer in 1, adenoma in 1 and benign lesions in 2. With an increase of the opportunity of MRI for the mammary lesions, we expect these lesions become increasingly large. We believe that MRI-guided vacuum-assisted breast biopsy will be an important diagnostic modality.

Key words: magnetic resonance imaging (MRI)-guided vacuum-assisted breast biopsy, MRI-detected lesion, mammary lesions

*Proceeding author

緒 言

 これまで本邦における magnetic resonance imaging (MRI)の乳癌診断に果たす役割は,マンモグラフィおよ び超音波で疑わしい病変の良悪性鑑別および広がり診 断にほぼ集約されている.また,欧米ではハイリスク患 者に対するスクリーニングとしても利用され良好な成績 を収めている.一方,その高い検出能に伴って,欧米 におけるガイドラインでは MRI でしか見えない病変 (MRI-detected lesion)の存在が示されており,このよ うな 病 変 に 対し て MRI ガ イド 下 生 検(MRI-guided intervention)を行うことの必要性が記載されている1, 2) が,日本ではその保険適応が認められていない.しか し,乳腺 MRI の普及に伴って,日本においても MRI ガイド下生検の必要性が認識されはじめている.MRI ガイド下生検としては,これまで穿刺吸引細胞診,針 生 検(core needle biopsy: CNB)および 吸 引 式 生 検 (vacuum-assisted biopsy: VAB)の三つの方法が提唱され てきたが,現在は採取される組織量が最も多い MRI ガ イド下吸引式生検(MRI-guided VAB)が主流となってい る3, 4).当院では平成 23 年 5 月の MRI 装置導入に伴っ て MRI ガイド下生検を施行しており,その生検内容お よび臨床結果を以下に示す.なお,臨床データや MRI 画像を使用するにあたり,患者情報の完全匿名化を 行ったうえで院長の承諾を受けている.

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1.方 法 1-1 対 象  MRI でのみ抽出が可能な病変が対象となり,4 名 (case 1∼4)に対して施行した.ただし,case 1 の被験者 はマンモグラフィで左 C 領域に微細石灰化が抽出され ていた.超音波では点状高エコーを含んだ低エコー域は 同定できなかったため,質的診断,広がり診断の目的で MRIを行ったところ,左乳房 C 領域に slow-persistent を示す濃染領域を認めた.本来マンモトームによる生検 の適応と考えられるが,当院にはマンモトーム生検を行 う設備が整っていないこと,また,マンモトーム生検を 行える施設が遠方にしかないことから,当院の MRI ガ イド下生検を被検者が希望されたため施行の運びと なった.なお,全被検者に対して十分に検査目的およ び手順を説明,同意を得ている. 1-2 使用機器

 MR 装 置 は SIEMENS 社 製 MAGNETOM Avanto 1.5 Tを 使 用 す る.使 用 機 器 は 受 信 コイル 4 ch BI Breast,syngo BreVis ソ フ ト ウ エ ア,NORAS 社 製 Breast Biopsy Kitグリッド式固定具,グリッドブロッ ク,C.R.Bard 社製バコラ生検針 10 G(ドライバー,バイ オプシープローブ,コアキシャルカニューラ,チタンス タイレット,プラスチックスタイレットによって構成)を 用いる(Fig. 1,2).Fig. 3 にバイオプシープローブ先端 部の構造を示した.組織を採取する際,バイオプシー プローブは外筒が 20 mm 回転しながら開口部を開け, 内筒が ±3 mm 穿刺方向に連続的に振動しながら組織を 採取する.採取後は外筒がふたたび回転し,開口部を 閉じる.開口部が皮膚面に接していると皮膚欠損を起 こす.また,開口部遠位から生検針先端までの長さは 7 mmあり,針の貫通にも注意しなければいけない. そのため,病変を十分採取するには病変中心から近位 13 mm,遠位 20 mm のマージンをとる必要があるが, 厚みのない乳房や病変が体表近くにある場合,別売り のディスタンスリング(10 mm)をコアキシャルカニュー ラに装着することで皮膚欠損を防ぐことが可能となる. 1-3 ポジショニング  ポジショニングは両腕を下垂させた腹臥位とし,グ リッド式固定具で検側乳房を圧迫固定する.圧迫時の 乳房厚は生検時の皮膚欠損を考慮し,当院では 40 mm 以上とする. 1-4 撮像シーケンス   撮 像 シ ー ケ ン ス は three-dimensional volumetric interpolated breath-hold examination(3D-VIBE)を用い る.これは spoiled gradient echo 法による T1強調画像

であり,two-dimensional(2D)撮像法に比べスライス方 向の分解能に優れ,signal noise ratio(SNR)の低下を補 うことができる.使用したパラメータは repetation time

Fig. 1 4 ch BI Breast coil, product Breast Biopsy Kit grid type fixed implement and grid block.

Fig. 2 Driver, biopsy probe, coaxal cannula, plastic stylet and titanium stylet.

(3)

(TR):3.99 ms,echo time(TE):1.31 ms,スライス厚: 1.20 mm,加算回数:1,フリップ角:15˚,バンド幅: 400 Hz/pixel,FOV:180 mm,base resolution:192, phase resolution:100%,slice resolution:60%である. 1-5 syngo BreVis ソフトウエア  syngo BreVis は生検を支援するためのソフトウエア であり,特別なワークステーションを必要とせずコン ソール上で使用可能という利点がある.次に示す操作 手順を踏むことでインターベンションプランニングを立 てることができる. ステップ①:グリッド式またはピラー式のインターベン ション方式を選択する.当院ではこれまですべてグリッ ド式を使用した. ステップ②:患者の左右どちらの乳房に生検を行うか, また,生検方向(外側,内側,頭側)はどうするか設定す る.事前検査から得た情報を基に検討した内容をここ で入力する. ステップ③:使用する生検針の種類を選択する.当院 では Bard Vacora 10 G を使用している. ステップ④:インターベンションのプランニングを行 う.グリッド式固定具の格子座標を胸壁乳房方向が A∼E,頭尾方向が 1∼7 と位置づけ,目的病変と推奨さ れる穿刺位置の関係が自動計測される(Fig. 4).Fig. 4 は case 2 のプランニング画面であり,これによると格子 座標 D-5 の位置にグリッドブロックを装着し,グリッド ブロックの上から 2 段目,左から 2 番目の穴にコアキ シャルカニューラを 4.5 cm 挿入することで病変に一番 近くアプローチできることがわかる.  BreVis によるインターベンションプランニングの所要 時間は 5∼10 分である.これによって生検方向と距離 が比較的容易に確認でき,安全に生検が可能となる. 1-6 手技手順  まず位置決め用の画像を撮影,次に 3D-VIBE を撮像 し,事前検査時の画像と比較を行いながら病変位置の 確認を行う.さらに造影剤 10 ml を用いた脂肪抑制 3D-VIBEを 1 分,2 分後に撮像し,BreVis に読み込ま せる.BreVis によって位置を確定後,消毒,局所麻酔 を行う.麻酔後の状態変化を確認するため 3D-VIBE を 撮像し,再度位置確認を行う.BreVis によって示され た格子座標にグリッドブロックを固定し,計測された深 さまでチタンスタイレットを装着したコアキシャルカ ニューラを挿入する(Fig. 5).挿入後チタンスタイレット をプラスチックスタイレットに交換し,3D-VIBE を撮 像,状態変化の確認後,最終位置を決定する.プラス チックスタイレットを抜き,病変のある方向にサンプル チェンバを向けた生検針をコアキシャルカニューラ内に 挿入し組織を採取する.生検後,再び造影剤 10 ml を 用いた脂肪抑制 3D-VIBE を撮像することで,組織が十 分採取できているか,また,血腫の状況を確認して終 了とする.Case 2 の画像を Fig. 6 に示す.

Fig. 4 Software syngo BreVis.

Fig. 5 The state which inserted coaxal cannula in the part specified by BreVis.

Fig. 6 Axial fat sat 3D-VIBE. (a) Before a biopsy (b) After a biopsy

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2.結 果

 4 名の生検はすべて成功し,生検に伴う重篤な合併症 もみられなかった.生検の主な結果を Table に示す.被 検者の検査室入室から退室までかかった手技時間は平均 107分であった.病理診断は case 1 が ductal carcinoma in situ(DCIS),case 2 が乳管内乳頭腫であり,case 3,case 4 では悪性の所見は見当たらないという結果であった. 3.考 察  Case 1 の被検者は乳房温存手術終了後,引き続き放 射線治療を行い,現在経過観察を行っている.Case 2∼ 4の被検者は超音波検査,MRI 検査で経過観察を行う こととなった.この生検結果によって,悪性腫瘍が判明 した患者はよりよい治療計画が可能となり,良性所見の 場合は不必要な外科的手技が避けられることがわか る.生検位置は造影剤投与によって確認を行うため, 生検目的部位のイメージが非常に重要となる.そのた め,事前に医師,診療放射線技師での病変および穿刺 方向の確認が必要である.そのイメージを元に,乳房 の圧迫程度やグリッドの固定位置を決定する.これまで 使用したグリッド式固定具では,グリッドの格子状構造 の背側が dead space になる,水平方向のアプローチで あり角度がつけられない,胸壁に近い病変はアプローチ が困難といった欠点があり,このような場合,ポジショ ニングを再度調整することや,グリッド式固定具より格 子状構造が少なく可動範囲の広いピラー式固定具を 使用した手技が必要と考えられる(Fig. 7).厚みのな い乳房や病変が体表近くにあり,病変中心から近位 13 mm,遠位 20 mm のマージンをとることができない 症例に対してはディスタンスリングを使用するとよい. または,麻酔液を多めに注入し,乳房の厚みを増加さ せるといった方法も有効である.当院では case 1 でその 方法を行っており,病変中心から近位 11 mm にあった 病変が 17 mm まで距離を伸ばせたことで皮膚欠損を防 ぐことができた.手技時間は 4 例の平均で 107 分を要 しているが,ポジショニングに費やした時間が約 1/3 を 占めるため,慣れとともに時間短縮が期待でき,患者負 担も考慮して 60 分以内を目標としたい.乳腺 MRI の 乳癌の感度は高いが,特異度は報告によってさまざま である.しかし,マンモグラフィや超音波と比較すると 検出率が優れていることは既知の事実となりつつある. また,2005 年版乳癌診療ガイドラインにおいて乳腺 MRIは推奨グレード C と記載されていたが,2008 年度 版では推奨グレード B に格上げされたこともあり5, 6) 日本でもさらに乳腺 MRI の関心が高まってきている. このため今後 MRI-detected lesion を多く経験すること が予測され,MRI ガイド下生検が必要となってくるで あろう.

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針の開発に伴って,日本でも MRI ガイド下生検を施行 する施設が増えつつある.当院でもグリッド式固定具と BreVisを用いることで容易かつ安全に生検計画を行う ことが可能となった.乳腺 MRI が普及してきたことに よって,MRI-detected lesion に対する MRI ガイド下生 検は,早期発見,早期治療の観点からも今後の医療に 必要不可欠なものであると考える. ご協力をいただきました亀田メディカルセンター 戸崎 光宏先生,加藤義明先生,シーメンスジャパン株式会 社,株式会社メディコンの皆様,また,共同研究者の 皆様に深く感謝申し上げます. 参考文献

1) Saslow D, Boetes C, Burke W, et al. American Cancer Soci-ety guidelines for breast screening with MRI as an adjunct to mammography. CA Cancer J Clin 2007; 57(2): 75-89. 2) Mann RM, Kuhl CK, Kinkel K, et al. Breast MRI: guidelines

from the European Society of Breast Imaging. Eur Radiol 2008; 18(7): 1307-1318. 3)戸崎光宏,福間英祐.乳腺MRI実践ガイド−撮影法,読影 基準,治療.文光堂,東京,2007: 241-258. 4)戸崎光宏,丸山克也.乳腺領域−MRIガイド下インターベ ンションの実際−.Innervision 2011; 26(9): 32-34. 5)日本乳癌学会.科学的根拠に基づく乳癌診療ガイドライン 4 検診・診断.金原出版,東京,2005: 33-34. 6)日本乳癌学会.科学的根拠に基づく乳癌診療ガイドライン 4 検診・診断.金原出版,東京,2008: 26-27. ■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 図表の説明■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■ Fig. 1 受信コイル 4 ch BI Breast,Breast Biopsy Kitグリッド式固定具,グリッドブロック

Fig. 2 ドライバー,バイオプシープローブ,コアキシャルカニューラ,プラスチックスタイレット,チタンスタイレット Fig. 3 バイオプシープローブ先端部

Fig. 4 ソフトウエアsyngo BreVis

Fig. 5 BreVisによって指定された部位にコアキシャルカニューラを挿入した状態 Fig. 6 造影脂肪抑制 3D-VIBE 横断像

(a)生検前 (b)生検後

Fig. 7 Breast Biopsy Kitピラー式固定具

Table 生検結果

問合先

〒 855-0861 島原市下川尻町 7895 番地 長崎県島原病院放射線科 田尻裕紀

Fig. 2  Driver, biopsy probe, coaxal cannula, plastic stylet  and titanium stylet.
Fig. 5  The state which inserted coaxal cannula in the  part specified by BreVis.
Fig. 7  Product Breast Biopsy Kit pillar type fixed implement.

参照

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