J. Jpn. Acad. Mid., Vol. 15, No. 1, p. 1, 2001. 8
●巻頭言
研 究 助 成 の始 ま り
The
research
aid
begins
竹
内
美 恵 子(Mieko
TAKEUCHI)*
日本助産学会理事
助 産婦 は専 門職者 と して,絶 えず増 加 す る知識 体 系
を作 り出 し,継 続 的 に発 展で きる ようにす る責任 が あ
ります。 しか し,助 産 は,他 の科学 の分 野の ように発
展的 な前進 の道 を歩 いて きたわ けで はあ りませ ん。科
学的 な努力 は,直 感的 な好奇 心,実 際的 な関心 に よっ
て引 き起 こ され,妊 娠,分 娩 現象 を観察 す る ことによ
って始 め られ ま した。
今,助 産学 分野 で は,科 学 と技術 は密接 な もの とな
り,科 学の知識 が新 しい助産 技術 を作 り出 し,そ の技
術が さらに新 しい助産知 識 を生 み出 してい くとい う現
象が生 み 出 され てお ります。 こ こに来 て,助 産 の技術
は,科 学 に基づ く技術 として,助 産 学 で用 い られ るた
めの教 育研究 へ の努力 が続 け られ てお ります。助 産研
究 は まさに助 産活 動の基 盤 として大 きな意 義 を もって
います。
助産 学が 専門用 語 として用い られ始 めたの は,昭 和
56年,全 国助 産婦 教育協 議会 ・教育 制度 委員会 での教
育到達 目標 に関 す る検 討 に始 まってい ます。 当時 の制
度委員 長で あ った本 学会 の近 藤潤子 理事長 が カ リキ ュ
ラム の改革 に向 けた委 員会 を組 織 し,助 産 学の概 念 を
提 言 し,平 成2年,助
産 婦教育 カ リキ ュラムの改訂 時
には,助 産学概 論 が科 目設定 され ました 。当時 の昭和
50年代 は,欧 米 の看護 一助産 学 を積極 的 に受 け入 れ,
すべ ての模 範 を欧米 に仰 い でいた時 で あ りま した。
今 世紀,私 た ちは 自 ら研 究 し,欧 米 へ の追随 や模 倣
では な く,多 くの助 産婦 が地道 に築 き上 げた助産技 術
を,現 在 のわ れわ れが十分 に学 び,研 究 していか な け
れ ばな らな い時 を迎 えてい ます。
ここに来 て,助 産 専門職 者 として,自 ら独 創 を発 揮
す る こ とが求 め られて い ます。 また,そ のため の研 究
環境 を必要 と して い ます。
日本 助産 学会 で は,平 成12年 度 よ り助 産学 の発展 を
図 る ことを 目的 として,助 産 領域 の研究 者 を対 象 に学
術 奨励研 究 お よび委託 研究助 成 を始 め ました。 皆様 に
そ の 経 緯 を ご紹 介 しつ つ,今 後 の 教 育 研 究 活 動 へ と ご 活 用 い た だ き た い と念 じ て お りま す 。 さ て,本 研 究 助 成 に 至 っ た 経 緯 は,平 成11年8月, 助 産 婦 で あ る 匿 名 の 方 か ら本 学 会 へ の1,500万 円 の 寄 付 の 申 し出 に よ る もの で あ り ます 。 こ の 方 の ご 芳 志 に 沿 っ て,急 ぎ,公 募 に 関 す る 実 施 要項 を検 討 し,委 託 課 題 や 助 成 金 額,課 題 採 択 方 針 や 評 価 基 準 を平 成12年 5月 理 事 会 で 決 定 を い た し ま した 。 第1回 の研 究 助 成 の 公 募 は,平 成12年6月,本 学 会 の 全 会 員 に 実 施 要 項 を送 付 し実 施 い た し ま した 。 委 託 研 究 課 題 は,第10回 日本 助 産 学 会 総 会 で 公 表 さ れ た 「10年間 の 行 動 目標 」 を 達 成 す る 研 究 テ ー マ を公 募 い た し ま した 。 助 成 規 模 は,委 託 研 究 助 成 は50万 円,学 術 奨 励 研 究 は30万 円 を各2件,年 間4件 と決 定 さ れ ま し た 。 本 年 度 第2回 も 同様 な要 領 で 公 募 し,去 る7月 30日 の 理 事 会 で 委 託 研 究2件,学 術 奨 励 研 究2件 を決 定 い た し ま した 。 な お,応 募 状 況 は,第1回 で は25件(委 託 研 究:5 件,学 術 奨 励 研 究20件),本 年 度 の 第2回 は,13件 (委託5件,課 題8件)ご 応 募 い た だ き ま し た 。 本 年 度 は,こ れ まで の経 過 中 の 問 題 を 踏 ま えて,日 本 助 産 学 会 研 究 助 成 金 の制 度,公 募 要 領,評 価 指 針 な らび に 事 務 処 理 の 手 引 きに 至 る まで 総 合 的 に ま とめ,会 員 の 方 々 に広 く活 用 して い た だ け る手 引 き 書 の 作 成 を 急 い で お り ま す 。 ま た,こ れ らの 研 究 成 果 は,日 本 助 産 学 会 誌 へ の 掲 載 や,ホ ー ムペ ー ジ で の 紹 介 も企 画 し て い ます 。 特 に,平 成14年 度 の研 究 助 成 公 募 は,本 年 の10 月 末 に 行 う予 定 で あ り ま す こ とを 申 し添 え ます 。 21世 紀 の助 産 婦 の 活 動 は,平 成12年 の「 健 や か 親 子 21」 報 告 書 の 提 言 を 受 け て,必 然 的 に 大 き な 活 動 の 波 を呼 び起 こす 力 が 求 め ら れ て い ます 。 助 産 学 の 発 展 に心 を寄 せ て い た だ い た 一 人 の 助 産 婦 貴 職 の ご芳 志 に 感 謝 の 誠 を 捧 げ つ つ,本 研 究 助 成 の 始 ま りに期 待 を託 し た い と思 い ま す 。*徳 島 大 学 医 療 技 術 短 期 大 学 部(Advanced Course for Midwifery School of Medical Sciences , The University of
Tokushima)