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空気の屈折率変調を光学的に検出する超指向性マイクロホン

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(1)

修士論文

空気の屈折率変調を

光学的に検出する

超指向性マイクロホン

2003 年 2 月

指導教官

中村 健太郎 助教授

提出者

東京工業大学大学院

総合理工学研究科

電子機能システム専攻

01M36268

平山 学

(2)

目次

第1章 序論

1−1 研究の背景

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1

1−2 光を用いた音場測定・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

2

1−2−1 光の回折現象を利用した音場測定

・・・・・・・・・・・・・

2

1−2−2 光の屈折現象を利用した音場測定

・・・・・・・・・・・・・

4

1−3 研究の目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

5

1−4 本論文の構成・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

6

第2章 空気の屈折率変調を光学的に検出する音場測定の原理

2−1 光学干渉計による屈折率変化の検出の原理・・・・・・・・・・・

7

2−2 音響光学効果を用いた空中の音場測定例・・・・・・・・・・・・

8

2−3 2次元開口面の構成方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・

12

2−4 実験系の最適条件・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

13

2−4−1 マイクロホンの開口面の寸法

・・・・・・・・・・・・・・

13

2−4−2 音源−マイクロホン間の距離

・・・・・・・・・・・・・・

15

2−5 レーザ光をジグザグに配置した場合の音圧検出値・・・・・・・

16

2−6 まとめ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

19

第3章 指向性実現の実験的検討

3−1 レーザ光路を1次元状に分布させた場合の指向特性・・・・・・

20

3−1−1 測定系の説明

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

20

3−1−2 レーザ光路間隔を変化させた場合の指向特性

・・・・・・・・

21

3−1−3 レーザ光路長を変化させた場合の指向特性

・・・・・・・・

21

3−2 円弧状にレーザ光路を配置したマイクロホン・・・・・・・・・

23

3−2−1 測定系の概念

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

23

3−2−2 レーザ光路を3辺近似した場合の指向特性

・・・・・・・・

24

3−2−3 レーザ光路を2辺近似した場合の指向特性

・・・・・・・・

27

3−3 まとめ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

29

(3)

第4章 ペンシルビームの実現

4−1 超音波領域における平面型マイクロホンの指向特性・・・・・・

30

4−1−1 測定系の説明

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

30

4−1−2 指向特性の測定結果

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

32

4−2 可聴領域における平面型マイクロホンの指向特性・・・・・・・

34

4−2−1 測定系の説明

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

34

4−2−2 遠距離場の指向特性

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

38

4−2−3 近距離場の指向特性

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

38

4−3 まとめ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

42

第5章 雑音の抑圧と測定例

5−1 ノイズフロアの改善・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

43

5−1−1 試作したマイクロホンのノイズフロア

・・・・・・・・・・

43

5−1−2 使用したLDV自体のノイズレベル

・・・・・・・・・・・

45

5−1−3 ノイズフロアの原因究明と改善

・・・・・・・・・・・・・

47

5−2 超指向性を証明するための測定・・・・・・・・・・・・・・・

54

5−2−1 室内における測定

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

54

5−2−2 屋外における測定

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

57

5−3 まとめ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

58

第6章 結論

6−1 本研究の成果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

59

6−2 今後の課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

60

謝辞・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

61

参考文献・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・62

関連発表・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・63

(4)

第1章 序論

第1章 序論

本章では、本研究の背景、目的、及び本論文の構成について述べる。

1−1 研究の背景

今日、指向性の高いマイクロホンに対する必要性は高まっている。図1-1 は走行する新幹 線(0 系)の音源を、マイクロホンアレイを用いて解析した結果を示している( 。この結果 より、車両の前部および屋根上のパンタグラフが大きな騒音源であることがわかる。また、 会議等で複数の人が会話する際、一人の話す声だけを収録するために、高指向性マイクロ ホンは不可欠である。このように、音源探査や機械診断、集音などに指向性マイクロホン が使われている( 。 ) 1 ) 2 また円形の受音面の指向特性は、音源の半径をaとすると、 図1-1 新幹線車両の音源解析結果

( )

(

)

θ

θ

θ

sin

sin

2

1

ka

ka

J

D

=

(1-1) で表される( 。これよりマイクロホンの指向性の鋭さは、受音開口面の面積に依存するこ とが分かる。 ) 3 指向性マイクロホンには、パラボラ反射鏡のような反射器を用いたものやラインマイク 図1-2 パラボラ反射鏡

(5)

第1章 序論 ロホン、あるいはマイクロホンアレイ等がある。パラボラ反射鏡は図1-2 に示すようなもの で、放物状の開口面を有する反射器である。その焦点に圧力マイクロホンを置く。開口面 の直径と波長の比によって指向性が決まり、直径が大きいほど、また周波数が高いほど指 向性が鋭くなる仕組みになっている( 。パラボラ反射鏡において指向特性

10

以下を目指す ためには、1 kHz の音場において直径 270 cm 以上の面積が必要になることが式(1-1)より計 算される。図1-3 は、ラインマイクロホンの中でも有孔音響管を用いたものである。この方 式は一つの音響管に等間隔に穴をあけたものである。音波が斜め方向から穴に入ると、穴 の間隔で位相差が生じて相殺するが、音波の穴に入る方向が軸方向に近いほど位相差は少 なくなり、軸方向に鋭い単一指向性となる( 。ラインマイクロホンは市販されているもの で半値全幅 程度の指向特性が得られている。このような従来型指向性マイクロホンにお いて、半値全幅

10

以下という、より鋭い指向性を実現するためには、受音開口面をさらに 大きくする必要がある。しかし、開口面の面積には実用上の限界があるので、長波長の音 波では実現できる指向性の鋭さは限られる。よって開口面を自由に広げられる方式が望ま れる。 ) 3

°

60

°

) 3

°

Acoustic tube

Acoustic tube

Amplifier

Back face hole

Diaphragm

Equiphase wave

surface

Amplifier

Back face hole

Diaphragm

Equiphase wave

surface

図1-3 有孔音響管を用いたラインマイクロホン 本研究では光学的な手法によって、空気中の音圧を定量的に測定する。音波は空気の疎 密であり、これは屈折率の変調をもたらす。つまり屈折率変化を光で検出することで音圧 を求める。開口面に光を用いることによって、開口面は自由に広げることが可能であると 考えた。 ここで、光を用いた音場測定に関する研究を紹介する。

1−2 光を用いた音場測定

1−2−1 光の回折現象を利用した音場測定

Toepler のシュリーレン法は光学的不均一(シュリーレ)の映像法として広く使われ、 Schardin によりよく研究されている(4)。シュリーレン法は、音響光学効果が比較的大きな

(6)

第1章 序論 1

F

L

C

S

K

T

O

F

W

1

O

P

1

F

L

C

S

K

T

O

F

W

1

O

P

図1-4 シュリーレン法による超音波映像装置 水中において超音波を発生させ、この超音波層を回折格子として用いることで音場を可視 化する方法である。 一般的に、図1-4 のような装置が使われる。光源 Lから発せられた光は、コンデンサレ ンズCでスリットS上に集められる。その際、フィルタ によって単色光になる。光はコ リメータKで平行となり、超音波槽Tを通ってから、対物レンズOによりその後側焦点面 F上にスリット像が生じ、さらに映像レンズ

O

によって、超音波層の像が乾板P上に出る ようにする。超音波槽 T は平面ガラス板を窓に持った水槽で、その片側に音源を置いてい る。音源の周波数は1∼10 Mc が適当で、この場合水中の音速は

1

cm/s であり、水 中の波長は1.5∼0.15 mm となる。 1

F

1 5

10

5

.

×

水槽中の超音波の伝播によって生じる媒質の密度変化は、光学的に屈折率の変化をもたら し、音波の伝播方向に垂直な入射光に対し回折格子として作用する。よって光は超音波槽 において回折作用を受けて、レンズOの後側焦点F上に回折像を作る。そこでこの中の0 次の像だけをWにおいて遮断すると、槽中で超音波のない部分を通った光は全部遮られる が、超音波のある部分を通った光の一部分は回折するので、遮られることなく乾板 P 上に 達し、P上に超音波の映像が生じる。しかも超音波の強さが強ければ映像も濃く出てくるの である。図1-5 に、進行超音波の音場振幅映像の2例を示す。 (b) (a) 図1-5 シュリーレン法による進行超音波の音場振幅映像例

(7)

第1章 序論

1−2−2 光の屈折現象を利用した音場測定

光の回折現象を用いた測定では、音圧振幅の測定は可能であるが、音圧時間波形の測定 はできない。そこで、白髭、渡辺はレーザ光の屈折現象を用いて、音圧時間波形の観測を 行った(5)。 実験系を図1-6 に示す。水槽中の超音波音場を横切ったあとの光を絞りにより取り出し、 フォトダイオードで受光する。それぞれの微細ビームは屈曲の原理により、音波を通過後、 絞りに到達するまでに集められる部分と離される部分が作り出される。つまり、受光平面 内に光の疎密が発生する。この光の疎密の一部分だけが絞りを通過し、フォトダイオード に到達する。ある時刻にどのような光の疎密が絞りを通過するかはその瞬間の音場によっ て決定される。従って、フォトダイオードの出力は音波によって生じた屈折率の変化を現 すことになる。つまり、屈曲の原理より屈折率の時間変化は音圧の時間変化となるため音 圧の時間波形を観測することになる。 この原理を利用して焦点近傍の音圧の測定結果(時間波形と周波数スペクトル)を図1-7 に示す。PVDF ハイドロホンによる測定結果を併せて示す。両者は周波数成分において、 よい一致を示している。この結果より、音場は光学的に計測が可能であると言える。

He-Ne Laser

Mirror

Transducer

Water Tank

Iris

Photodiode

He-Ne Laser

Mirror

Transducer

Water Tank

Iris

Photodiode

図1-6 集束超音波の光学的測定

(8)

第1章 序論 (a) (b) (d) (c) 図1-7 焦点近傍の音圧測定結果 (a), (b)は光学的測定の音圧時間波形と周波数スペクトル、 (c), (d)はハイドロホンによる音圧波形と周波数スペクトルをそれぞれ示す

1−3 研究の目的

以上より、音場は光学的な測定によって検出できることがわかる。先述した2つの測定 は、音響光学効果が比較的大きな水中音場について検討を行っているが、中村は空気中に おいて音場測定を行っている(6)。(これについては次章で詳しく説明する。) 本研究は、空気の屈折率変調を光学干渉計で検出することによって音場を検出する原理 を利用し、指向性の鋭いマイクロホンを構成することを目的とする。具体的に、開口面の 水平、垂直両方向において半値全幅 10°以下のマイクロホンの実現を目指す。前述したよ うに、マイクロホンの指向性の鋭さは受音開口面の面積で決まるので、本研究では広大な 開口面を構成するために、レーザ光路を大面積にジグザグ往復させる方法を提案する。最 終的な目標は、可聴領域においてペンシルビームを実現することである。

(9)

第1章 序論

1−4 本論文の構成

まず第1章においては、本研究の背景や位置付け、および目的について述べる。 第2章においては、空気の屈折率変調を光学的に検出する音場測定の原理、作製するマ イクロホンの受音開口面の構成方法、半値全幅10°以下を目指すためのマイクロホンの寸 法設定、および試作した光マイクロホンの指向特性の理論値計算方法について述べる。 第3章では、レーザ光の配置を変えることによって、指向特性の実現の実験的な検討を 行う。 第4章において、レーザ光を2次元的に配置して受音開口面を構成し、超音波領域、可 聴領域において指向特性を実測する。 第5章では、光マイクロホンによって検出される波形に存在する雑音成分の抑圧を行う。 また様々なサンプル音を用いて、光マイクロホンによって実際に採取できるか確かめる。 第 6 章では、本研究で得られた成果についてまとめるとともに、今後の課題について述 べ、本論文の結びとする。

(10)

第2章 空気の屈折率変調を光学的に検出する音場測定の原理

第2章 空気の屈折率変調を

光学的に検出する音場測定の原理

本章では、光学的に空気の屈折率変調を検出する仕組み、光マイクロホンの開口面の実 現方法、および目的の半値全幅を有するペンシルビームを実現するための開口面の寸法に ついて検討する。

2−1 光学干渉計による屈折率変化の検出の原理

本研究は、空気の屈折率変調を光学干渉計によって検出することで音場を検出できる指向 性の鋭いマイクロホンを作成することを目的としている。その屈折率を検出する光学干渉 計として、最近多数の市販品が出回っているレーザドップラ振動計(Laser Doppler Vibrometer: LDV)を用いることにする。 音場を検出するにあたり、図2-1 に示すような測定系を用いた。音場は空気の疎密であり、 これは屈折率の変化をもたらす。よって光の屈折率変化

n

l

を光学干渉計で検出すること で、音場を検出することが可能となる。 図2-1 では、音場中に LDV の測定光を被測定音場に通過させ、剛壁に焦点を合わせ、剛 壁からの反射光を測定している。すなわち、被測定音場越しに剛壁の振動を観測する測定 系とする。なお、剛壁は振動していない。 音圧pの音場と光が相互作用する長さをl、媒質の光の屈折率をnとする。音圧による屈 折率変化∆ が、あたかも剛壁が だけ変位したとしてLDV で観測されると考えられる。 すなわち、媒質の屈折率変化による光路長変化と剛壁の仮想変位による光路長変化は等し いと考える。 n

l

l

n

l

n

=

(2-1)

LDV

Rigid

Wall

l

l

Sound Field

LDV

Rigid

Wall

l

l

Sound Field

図2-1 LDV による屈折率変調計測の原理

(11)

第2章 空気の屈折率変調を光学的に検出する音場測定の原理 LDV の読み取り値を [m/s]、音場の周波数をfとすれば、媒質の屈折率変化

は次 式で表される( LDV

v

n

) 6 LDV

fl

n

n

ν

π

2

=

(2-2) ここで、音圧と屈折率変化の関係が分かれば、音圧の絶対値測定は可能となる。水中では Eykman の式( がよく使われるが、空気中においてここでは次のように考える。まず、体 積変化率

と屈折率変化

の間には式(2-3)のような関係が成り立つと仮定する。 ) 7

V

/

V

n

1

=

n

n

V

V

(2-3) つまりこの式では、真空の屈折率1 と媒質の屈折率 の差に対する屈折率変化が体積変化 率に等しいとしている。空気の屈折率は光波長 633nm、15℃、1 気圧の環境下において 1.0002764 であるので 、式(2-3)では

10

以下のオーダーの屈折率変化を見ていることに なる。 ,

n

) 8 ( −4 0

P

γ

,

ρ

, をそれぞれ大気圧、空気の比熱比、密度、音速とすると、

c

V

V

P

p

=

γ

0 ,

γ

2

ρ

(2-4) 0

c

P

=

の関係があるので( 、音圧 ) 3

p

は、 LDV

fl

c

n

n

p

ν

π

ρ

2

1

2

=

(2-5) で与えられる。この式によって、LDV の読みから音圧値が分かる。前述した空気の屈折率 1.0002764 を使うと、

]

mm

[

]

kHz

[

]

s

/

mm

[

10

19

.

8

]

Pa

[

4

l

f

p

LDV

×

×

×

=

ν

(2-6) となり、現在市販されているLDV でも、

l

が長いと十分な感度が期待できる。

2−2 音響光学効果を用いた空中の音場測定例

前項で説明した原理を利用して、中村は空気中の音場を市販されているLDV で測定した 。 ) 6 ( まず図2-2 に示す呼吸振動する円環内の定在波音場を測定した。この円環はアルミニウム 製で、1 点からコニカルホーン付きランジュバン振動子(共振周波数 27.2 kHz)で駆動さ れる。図2-3 のように、測定系は円環内を LDV のレーザ光が貫通する配置とする。この状 態でLDV のレーザ光が貫通する位置を中心から径方向に走査した場合の LDV の読みを図 2-4 に示す。図中で実線は音圧の直径方向分布の形状の理論値(ベッセル関数、( )) であるが、節や腹の位置をはじめよく一致している。

(

kr

J

0

)

(12)

第2章 空気の屈折率変調を光学的に検出する音場測定の原理 次にレーザ光の貫通位置を円環中央に固定し、円環の振動速度とLDV の出力の関係を測 定する。図2-5 のように広い範囲で線形関係にあり、LDV の出力は音圧の強さに比例して 大きくなっていることが分かる。 Langevin Transducer 40 mm in dia. 27.2 kHz

Conical Horn for Amplification

Vibrating Ring (Aluminum) 61.3 mm in outer dia. 53.4 mm in inner dia. 30.0 mm in depth Langevin Transducer 40 mm in dia. 27.2 kHz

Conical Horn for Amplification

Vibrating Ring (Aluminum) 61.3 mm in outer dia. 53.4 mm in inner dia. 30.0 mm in depth 図2-2 定在波音場測定のための振動装置

LDV

PI Polytech

CLV-1232

250mm

250mm

Vibrating Ring

Rigid Body

LDV

PI Polytech

CLV-1232

250mm

250mm

Vibrating Ring

Rigid Body

図2-3 円環内の音場分布計測 図2-4 円環径方向の LDV 出力 -15 -10 -5 0 5 10 15 20 25 30 0 5 10 15 20 25

P osition from the C ente r (m m )

O u tp u t o f L D V (a rb .)

J

0

(kr )

(13)

第2章 空気の屈折率変調を光学的に検出する音場測定の原理 走査型レーザドップラ振動計(PI Polytech(株)、PSV300)を用いて円環内の音場分布 を可視化した例を図2-6 に示す。この LDV はヘテロダイン方式のドップラ振動計に 2 つの ガルバノミラーによる2 次元機械走査装置を組み合わせたものであり、CCD カメラを同軸 配置してあるので、図2-6 のように、被測定物の実写像に測定結果を重ねて表示することが できる。この図より腹と節の位置が明確に表示されているのが分かる。 0 .0 1 0 .1 1 1 0 1 0 0 0 .1 1 1 0 1 0 0 1 0 0 0

V ibration V eloc ity of the Ring (m m /s )pp

O u tp ut of L D V ( m m /s )pp

Resolution of LDV

図2-5 円環の振動速度に対する LDV 出力 図2-6 走査型レーザドップラ振動計による円環内音場分布の可視化 (左が振幅、右は位相を示す。)

(14)

第2章 空気の屈折率変調を光学的に検出する音場測定の原理 次に、図2-7 のようにピストン振動音源から空中に放射される音場の測定を行う。ここで 音源には共振周波数28.2 kHz のボルト締めランジュバン振動子の端面を用いる。測定系は 図2-3 と同様で、円環のかわりに振動面を配置する。LDV のレーザ光を振動面上方で振動 面と平行に通過させる。空気中の28.2 kHz の超音波の波長は約 12 mm である。 走査型LDV によって可視化した音場分布を図 2-8 に示す。約 70mm

×

70mm の領域にお いて約 700 点の測定を行う。これを動画として可視化すると、放射音場であることがよく わかる。 これらの結果より、光学的に空気中の音場分布を測定することは可能であると言える。

End Surface of a

Langevin Transducer

Field Measured

by the Present

Method

Laser Beam

End Surface of a

Langevin Transducer

Field Measured

by the Present

Method

Laser Beam

図2-7 ランジュバン振動子から放射される超音波音場の計測 図2-8 走査型レーザドップラ振動計による振動子放射方向の音場分布の可視化 (左が振幅、右は位相を示す。)

(15)

第2章 空気の屈折率変調を光学的に検出する音場測定の原理

2−3 2次元開口面の構成方法

図2-1 の測定系は、レーザ光路全体で音圧値を積分して、その積分値を LDV の出力値と している。つまり光路上に多数のマイクロホンを配置し、そのマイクロホンの出力の和を 求めることと同じ働きをする。このようにレーザ光路1本で測定系を構成すると、レーザ 光路に垂直な方向において鋭い指向性を示す。しかし、レーザ光路に垂直な面上において は、全角度でLDV 出力が一様となり、指向性を持たない。そこで、図 2-9 に示すように2 次元的にレーザ光路を配置させることで、1 点にのみ指向性を有するマイクロホンを設計す る。 LDV の出射レーザ光は、2本の支柱に取り付けられた多数のミラーで左右に往復しなが ら上方に進み、上端のミラーで反射される。反射光は同じ経路を通ってLDV ヘッドに入射 する。このようにして、受音部であるレーザ光路を面上に分布させている。これによって、 水平方向では連続的に、垂直方向ではとびとびに受音部が存在していることが分かる。こ こで、LDV からのレーザ光路の出射方向を“水平方向”、それと直角を成す方向を“垂直方 向”と定義する。

Steering

mirror

LDV

Return Mirror

Laser beam

Horizontal Direction

V

er

tic

al

D

ire

ct

io

n

図2-9 超指向性光マイクロホンの概念図

(16)

第2章 空気の屈折率変調を光学的に検出する音場測定の原理

2−4 実験系の最適条件

ここでは、本研究で目的としている半値全幅10°以下の指向特性を有するためのマイク ロホンの開口面の寸法や、平面波を開口面において得るために必要な音源−マイクロホン 間の距離について検討する。

2−4−1 マイクロホンの開口面の寸法

マイクロホンの指向性は、開口面の面積が大きいほど鋭くなる。図2-9 で示したマイクロ ホンの開口面は、複数本のレーザ光が水平に配置されることによって形成される。このマ イクロホンにおいて指向性の鋭さは、垂直方向ではレーザ光の本数で、水平方向ではレー ザ光の長さによって決まる。そこで、垂直、水平両方向において、指向性を半値全幅10° 以下にするための条件を理論的に求める。 初めに、垂直方向の寸法について検討する。図2-9 の開口面を LDV からの出射レーザ光 の方向に垂直な面で切断した断面図を図2-10 に示す。ここでレーザ光路間隔をd、レーザ 光路の本数を n とし、レーザ光路配列面の法線と音波の入射方向が成す角度を

ϕ

とする平 面波音波を考えると、指向特性は、

( )

            =

ϕ

λ

π

ϕ

λ

π

ϕ

sin sin sin sin d n d n D (2-7) で表される( 。これは素子数 n の線状アレイマイクロホンの指向特性である。レーザ光間 隔一定(d = 1/2λ)で、レーザ光路の本数nを変えた場合の指向特性を図2-11 に示す。この 結果より、レーザ光路の本数を増やすほど指向性が鋭くなるが、半値全幅は、n =10 のとき 14°、n =14 のとき 10°となる。式(2-7)より、レーザ光の本数を 14 本以上にすれば垂直 方向の半値全幅は10°以下になる。 ) 5

d

n

ϕ

V

er

tic

al

D

ire

ct

io

n

Sound wave

Laser beam

図2-10 垂直方向の指向性計算方法

(17)

第2章 空気の屈折率変調を光学的に検出する音場測定の原理

-20

-10

0

10

20

0

0.5

1

φ[deg.]

N

o

rm

alized

S

en

sitiv

ity

ϕ

10

=

n

n

=

14

図2-11 垂直方向の理論指向特性 次に、水平方向の寸法について検討する。図2-12 のようなレーザ光1本の場合で考えれ ばよい。レーザ光の長さを 、レーザ光の垂直二等分線と音波が成す角度を

l

θ

とすると、平 面波音波に対して、指向特性は次の式で表される(5)。

θ

λ

π

θ

λ

π

θ

sin

sin

sin

)

(

l

l

D

=

(2-8)

Sound wave

l

θ

Laser beam

Horizontal Direction

図2-12 水平方向の指向性計算方法

(18)

第2章 空気の屈折率変調を光学的に検出する音場測定の原理 波長に対するレーザ光長の比を変えて指向特性を計算したものを図2-13 に示す。これよ り、レーザ光長が長いほど指向性が鋭くなることが分かる。式(2-8)より、水平方向の半値 全幅を10°以下にするためには、レーザ光長 を 7

l

λ

以上にすればよいことが分かる。

-10

0

10

0

0.5

1

θ[deg.]

N

o

rm

alized

S

en

sitiv

ity

10

l

/λ=5

20

図2-13 水平方向の理論指向特性

2−4−2 音源−マイクロホン間の距離

マイクロホンの指向特性は、式(2-7)、式(2-8)によって理論的に求まる。しかし、マイク ロホンの開口面と音源との間に十分な距離を設けないと、開口面において平面波を得るこ とができず、式(2-7)、式(2-8)で計算される理論値は実際に得られなくなってしまう。そこ で、平面波を開口面で得るための音源−マイクロホン間の最適な距離について検討する。 図2-14 のように、平面剛壁に剛体の振動版のピストン振動をした時、これから放射され る音場を考える。ここでピストンの半径をa、ピストンからの距離をxとおく。ピストンの 中心軸上で距離が近くなると、ピストンの面の位相相違が生じるので、干渉作用が生じて しまう。この干渉を避けるためには、距離xは以下の条件を満足しなければならない(9)。

( )

λ

2

2a

x

(2-9) 今回用いた開口面の形状は円ではなく長方形である。よって長方形の面積を として、 式(2-9)を次式のように近似する。

S

λ

S

x

(2-10)

(19)

第2章 空気の屈折率変調を光学的に検出する音場測定の原理

a

Piston

x

図2-14 ピストン振動

2−5 レーザ光をジグザグに配置した場合の音圧検出値

これまで、図2-9 の形状のマイクロホンについて、理論的な指向特性を検討した。しかし 本論文中の実験では、マイクロホンの構成を容易にするため、図2-9 と異なり、図 2-15 の ようにレーザ光をジグザグに往復反射することで広い面を実現する。この場合、マイクロ ホンの開口面において検出される音圧の理論値を求める。 レーザ光路をジグザグに配置した受音面の中心を原点とし、z軸、y軸を図2-16 のよう に決める。また、レーザの往復数を 、受音面-音源間の距離を 、並行する2レーザ光路 間隔を 、レーザ光路長を とし、レーザ光路1辺を の微小区間に分割し、その微小区間

t

L

d

l

n

Laser beam

Mirror

V

er

tic

al

D

ire

ct

io

n

Horizontal Direction

LDV

図2-15 レーザ光をジグザグに配置したマイクロホンの概念図

(20)

第2章 空気の屈折率変調を光学的に検出する音場測定の原理 の中点における音圧値の合計を求める。 レーザ光路左下がり方向において、y方向の正側から数えてp番目の列の、z方向の正 側から数えてk番目の小区間の中点を点A とすると、点Aの座標は次のように求められる。

( )

(

)

=

d

n

k

p

t

n

l

n

k

n

y

z

4

2

1

2

2

,

2

2

1

,

(2-11) 同様にレーザ光路右下がり方向において、y方向の正側から数えてp番目の列の、z方 向の正側から数えてk番目の小区間の中点を点B とすると、点 B の座標は次のように求め られる。

( )

(

)

+

+

=

d

n

k

p

t

n

l

n

k

n

y

z

4

2

1

2

2

2

,

2

2

1

,

(2-12) 点A-音源間の距離Ra、点B-音源間の距離 は次のように求められる。 Rb

(

)

2 2 2

4

2

1

2

2

2

2

1

+

+

=

d

n

k

p

t

n

y

l

n

k

n

z

L

R

a (2-13)

(

)

2 2 2

4

2

1

2

2

2

2

2

1

+

+

+

+

=

d

n

k

p

t

n

y

l

n

k

n

z

L

R

b (2-14) よって、求める音圧pは、次のように計算される。

∑∑

− = − =

+

+

+

=

1 0 1 0

2

sin

1

2

sin

1

2

cos

1

2

cos

1

n k t p b b a a b b a a

R

R

R

R

j

R

R

R

R

p

λ

π

λ

π

λ

π

λ

π

(2-15) 本論文において、2次元状の開口面を有する光マイクロホンで検出される音圧の理論値 は、全て式(2-15)を用いて求めるものとする。 ここで、t = 12、L = 12 m、d = 0.1 m、l = 1.53 m、n = 20、音源周波数 2 kHz とした場 合の、式(2-15)を利用して求めた水平方向の理論指向特性を図 2-17 に示す。先程示した図 2-13 の理論指向特性と比較すると、ジグザグ方式の理論曲線は感度のヌルがはっきりしな いのが特徴である。

(21)

第2章 空気の屈折率変調を光学的に検出する音場測定の原理

)

2

,

2

(

)

,

(

z

y

=

l

t

d

)

2

4

2

,

2

2

(

)

,

(

n

kd

n

d

d

t

n

l

k

n

l

l

y

z

=

d

t

l

0.2

0.4

0.6

0.8

1

Normalized Sensitivity

LDV

×

(

z, y

) = (0, 0)

y

z

d

Mirror

LDV

n sections

図2-16 ジグザグ方式の光マイクロホンの音圧値計算方法

-20

-10

0

10

20

θ[deg]

0

図2-17 ジグザグ方式における水平方向の理論指向特性

(22)

第2章 空気の屈折率変調を光学的に検出する音場測定の原理

2−6 まとめ

本章では、光学干渉計によって観測される空気中の屈折率変化から音圧値を求めるため の原理について説明した。また半値全幅10°以下の指向性を得るためには、7

λ

以上の長さ のレーザ光を1/2λ間隔で 14 本以上平行に配置すればよいことが分かった。 次章以降では、本章で説明した原理を用いて、LDV で音場分布を測定する。

(23)

第3章 指向性実現の実験的検討

第3章 指向性実現の実験的検討

本研究では、最終的に図2-15 のような2次元的な開口面を有するマイクロホンを作成す るが、本章ではその前段階として、図2-1 のようにレーザ光を簡素に配置して、実際に指向 性が実現できるか確かめる。 また、レーザ光を円弧状に配置することによって、奥行き分解能を有するマイクロホン を作成する。

3−1 レーザ光路を1次元状に分布させた場合の指向特性

開口面のレーザ光路が2本平行に配置されるようにLDV を設置し、その光路間隔や光路 長を変化させることで、指向特性がどのように変化するか調べる。

3−1−1 測定系の説明

図3-1 のように、LDV ヘッドの出射光をプリズムで反射させ、平行な2本のレーザ光を 作る。測定は定盤上で行い、LDV ヘッド、プリズム、ミラーは固定している。定盤上での 音波の反射の影響を無くすため、定盤上に吸音材を敷いた。 ここでLDV は、PI-Polytec(株)の NLV-1232(センサヘッド: CLV-700)を用いた。この LDV の出射レーザ光は He-Ne である。また速度レンジは 5 mm/s/V に設定する。この速度 レンジにおいて、フルスケールは100 mm/s、分解能は 0.5 µm/s である。計測可能な周波 数の最大値は200 kHz である。 図3-1 レーザ光路を1次元分布させた場合の指向特性測定

(24)

第3章 指向性実現の実験的検討 音源には、ボルト締めランジュバン振動子(直径 19mm、共振周波数 28.2kHz)の端面を用 いる。つまり、音源周波数は28.2 kHz で、波長は 12 mm である。振動子は発振器で、連 続正弦波で励振させている。この振動子をレーザ光出射方向に垂直な方向(

ϕ

方向)と平行な 方向(

θ

方向)に動かし、各方向の指向特性を求める。 レーザ光の間隔をdとする。レーザ光はLDV ヘッドわきの反射鏡に焦点を結んでいる。 すなわち、LDV によってこの反射鏡の振動を測定するような構成になっている。反射鏡は 振動しないとすると、LDV ヘッドとプリズムの間の屈折率変調が測定される。 LDV ヘッドとプリズムとの距離を とし、図のように座標系L

x

,

y

,

z

を定める。すなわち、 軸を水平方向にとり、レーザ光の中点を原点とし、2本のレーザ光が存在する面と垂直に

z

x

軸をとる。

3−1−2 レーザ光路間隔を変化させた場合の指向特性

レーザ光の長さをL=340mm にして、ランジュバン振動子を

x

y

面内(垂直方向)におい て

0

ϕ

180

[deg] の 範 囲 を

10

間 隔 で 動 か す 。 レ ー ザ 光 − 振 動 子 間 の 距 離 を 300mm(25

°

λ

)と十分の長さを設ける。レーザ光間隔 を変化させてd

x

y

面内の指向特性を 測定した結果をそれぞれ図3-2 に示す。(a)は d =1/2

λ

の場合、(b)は d =1

λ

の場合の指向特 性を示す。それぞれの場合における実測値を最高実測値で規格化した値をプロット値とし た。レーザ光間隔が1/2

λ

の場合、レーザ光路の配列方向、つまり

ϕ

= 90

°

の方向では、2 本のレーザ光が検出する音波の位相が半波長ずれているために、互いの出力が打ち消しあ う。よって

ϕ

=

0

°

180

の方向、つまり2本のレーザ光配列に垂直な方向においてのみ鋭 い指向性を示す。レーザ光間隔が1

°

λ

のときは、斜め方向において同様の現象が起こる。図 3-2 中の破線は式(2-7)による理論値を示すが、ほぼ理論どおりの指向特性が得られており、 この打消しの現象が確認できる。つまり垂直方向において、開口面の正面方向にのみ指向 性を有するためには、レーザ光間隔を1/2λ以下にすればよい。

3−1−3 レーザ光路長を変化させた場合の指向特性

次に、d =1/2

λ

として、

z

x

面内(水平方向)において

16

.

7

θ

16

.

7

[deg]の範囲を 間隔でランジュバン振動子を移動する。レーザ光と振動子との距離は十分遠距離場と なるように1 m(83 λ)に設定する。

°

6

.

0

λ 5 = L , 10 のときの指向特性を図 3-3 に示す。ここでλ 2つの結果はそれぞれの最大値で規格化している。式(2-8)よりメインローブは、

L

=

10

λ

の 場合半値全幅7°、

L

=

5

λ

の場合14°程度であるが、測定結果もそれに近い値が得られて いる。つまり開口を大きくすることで、鋭い指向性が実現できることが確認される。さら にレーザ光長を長くすることで、より鋭い指向性の実現が期待できる。

(25)

第3章 指向性実現の実験的検討

ϕ

ϕ

0

30

60

90

120

150

180

0

0.2

[deg.]

No

rm

a

li

0

30

60

90

120 150 180

0

0.2

0.4

0.6

0.8

1

[deg.]

Nor

m

a

li

z

e

d

L

DV Out

put

λ

λ

図3-2 垂直方向の指向特性 ((a)d = 1/2 の場合、(b) d = 1 の場合

z

e

d

L

DV Ou

tp

u

t

0.4

0.6

0.8

1

(b) (a)

(26)

第3章 指向性実現の実験的検討

-20

0

-10

0

10

20

0.2

0.4

0.6

0.8

1

θ[deg.]

Nor

m

al

ized LD

V O

u

tput

= 5λ

= 10λ

L

L

図3-3 水平方向の指向特性

3−2 円弧状にレーザ光路を配置したマイクロホン

指向性マイクロホンの形状の一つとして、レーザ光路を円弧状に配置することを提案す る。このようにレーザ光を配置することで、円弧の中心に焦点が生じ、奥行き方向の分解 能を有すると考える。

3−2−1 測定系の概念

測定系の概念図を図3-4 に示す。LDV からの出射光を円弧状に配置し、右端のミラーで 反射させ、再び LDV のヘッドに戻している。LDV からの出射レーザ光が描く円弧の弦の 方向を“水平方向”、それと直角を成す方向を“奥行き方向”と定義する。このように円弧 状にレーザ光を配置すると、円弧の中心に点音源が存在するときにレーザ光全体で音場を 感知するので、LDV の出力が最も高くなると考えられる。つまり、円弧の中心に音響焦点 が生じるので、図3-4 の形式のマイクロホンは、水平方向、奥行き方向の両方向において分 解能を有することが期待できる。

(27)

第3章 指向性実現の実験的検討

LDV

Mirror

Focus Point

Dept

h

Dir

ec

tion

Pararell Direction

図3-4 集束型光マイクロホンの概略図

3−2−2 レーザ光路を3辺近似した場合の指向特性

レーザ光路を円弧状に配置することは不可能なので、複数のミラーを用いて屈折角

θ

ずつ レーザ光路を曲げ、多角形近似する。実際に設計した測定系を図3-5 に示す。レーザ光路を このように配置することで、レーザ光路3辺の中線の交点上に1つの音響焦点が生じると 考えられる。 受音面を形成するレーザ光3辺の長さはすべて200 mm(16 λ)で等しい。図 3-5 の x-z 平 面の原点は、前述した

θ

=

20

の時の音響焦点の位置とする。原点と各レーザ光路辺の中点 との距離は、計算より541.67 mm(43 λ)と求まる。x 軸は右方向を、z 軸はレーザ光に近づ く方向を、それぞれ正とする。

°

LDV は、前実験で使用した NLV-1232 を用いる。音源には円環(外径 61 mm、内径 53 mm、 深さ30 mm)付きランジュバン振動子(共振周波数 27.2 kHz)を用いる。円環の外側に放射さ れる音波をLDV で検出する。円環の内側に発生する音波の影響を無くすため、円環内に吸 音材を詰めた。前実験と同様、定盤上にも吸音材を敷いた。また図3-5 において、レーザ光 路の分布は定盤に垂直な方向には広げず、1本だけである。 図3-5 より、屈折角

θ

の大きさを変えることによって、音響焦点の位置は変わってくるこ とが分かる。そこで、

θ

の値を変え、音源であるランジュバン振動子をx-z 平面上で動かし、 LDV 出力から音響焦点を検出することを試みた。

θ

= 、 、 と変化させ、 [mm]、

°

0

2

0

°

4

0

°

100

100

x

220

z

500

[mm]の範囲で 20mm 毎にランジュバン振動子を

(28)

第3章 指向性実現の実験的検討 移動させた場合の出力の等高線図を図3-6 に示す。出力が高いほど、色が濃い設定になって いる。

θ

=

4

0

°

の時の計算上の音響焦点の位置は、

(

x

,

z

)

=

(

0

,

265

)

[mm]付近と求められ る。また、

θ

= ではレーザ光路が一直線になるので、音響焦点は生じないはずである。 実際の測定値は全体的にばらつきが生じてしまったので、図3-6 においては、測定点とその 周囲の8点の測定点(合計9点)において出力値の平均を取り、この平均値を測定点にお ける出力値とした。

°

0

θ

°

20

θ

= 40

°

θ

= 0

°

また、z 軸上において

500

z

500

[mm]の範囲で 10 mm 毎にランジュバン振動子を 移動させた時の =

0

°

2

0

°

4

0

°

の特性を重ね合わせたものを図3-7 に示す。図 3-7 は、

θ

=

20

の時の出力最大値で

θ

= 、 、 の出力をそれぞれ規格化したものであ る。

°

0

2

0

°

4

0

°

°

=

θ

°

の特性の比較から、音響焦点の推移を見つけ出すのは困難であるが、

= 20

θ

と との比較より、原点付近で音響焦点の有無を確認することができる。つ まり、奥行き方向の分解能を有することが分かる。

20

0mm

541.67mm

Focus point

z

x

Mirror

θ

=

20

°

LDV

Langevin

Transducer

図3-5 レーザ光路を3辺近似する場合の測定系

(29)

第3章 指向性実現の実験的検討 480 240 0 480 240 0 480 240 0 z [ m m] z [ m m] z [ m m] -80 0 80 -80 0 80 -80 0 80 x [mm] x [mm] x [mm] (a) (b) (c) 図3-6 レーザ光路3辺方式の光マイクロホンの出力 (a)

θ

=

0

°

、(b)

θ

=

20

°

、(c)

θ

=

40

°

(30)

第3章 指向性実現の実験的検討

-400

-200

0

200

400

0

0.2

0.4

0.6

0.8

1

θ=0°

θ=20°

θ=40°

No

rm

al

iz

ed

LDV Ou

tp

u

t

z[mm]

図3-7 z 軸上の LDV 出力

3−2−3 レーザ光路を2辺近似した場合の指向特性

レーザ光路を3辺にしたときに出力が焦点付近において明確に大きくならない原因とし て、3辺のレーザ光路による音響焦点が1つに定まりにくいことが挙げられる。そこで、 音響焦点を確実に1つに定めるために、レーザ光路の辺の数を2本にした。測定系を図3-8 に示す。レーザ光路1辺の長さを300 mm(24 λ)にして、先程と同様、θ = 20°のときの焦 点を原点とする。原点と各光路の中点との距離は439 mm(35 λ)と求まる。 先 程 と 同 様 に

θ

= 、 、 と 変 化 さ せ 、 ラ ン ジ ュ バ ン 振 動 子 を [mm]、

°

0

100

°

0

2

4

0

°

100

100

x

300

=

z

°

40

[mm]の範囲で 20mm 毎に移動させた場合の出力 の等高線図を図3-9 に示す。

θ

の時の焦点位置は(x.z)=(0,205) [mm]付近と計算から 求められる。レーザ光が 3 辺の場合の結果に比べて、音響焦点を探し出すことは困難であ る。 レーザ光路の辺数を多く配置した方が、音響焦点の出力のみを高めることができ、マイ クロホンの指向性はより鋭くなると考えられる。

(31)

第3章 指向性実現の実験的検討

Langevin Transducer

LDV

Mirror

θ = 20°

300mm

439mm

Focus point

x

z

280 140 280 140 280 140 z[mm ] z[ mm] z[mm] 図3-8 レーザ光路を2辺近似する場合の測定系 -80 -40 0 40 80 0 -80 -40 0 40 80 0 -80 -40 0 40 80 0 x[mm] x[mm] x[mm] (a) (b) (c) 図3-9 レーザ光路2辺方式の光マイクロホンの出力 (a)

θ

=

0

°

、(b)

θ

=

20

°

、(c)

θ

=

40

°

(32)

第3章 指向性実現の実験的検討

3−3 まとめ

レーザ光路の間隔、長さを変化させて光マイクロホンの指向性を測定することにより、 レーザ光路に垂直な面内ではレーザ光路間隔により指向性が変化すること、レーザ光路に 垂直な方向に鋭い指向性を有することを確認した。また、円弧状にレーザ光路を配置する ことで奥行き方向の分解能を得ることが確認できた。

(33)

第4章 ペンシルビームの実現

第4章 ペンシルビームの実現

前章で、図3-1 のように2本のレーザ光路を配置し、その間隔、長さを変えることによっ て、水平方向、垂直方向の指向性が変わることを確かめた。本章ではレーザ光路配置を2 次元的に広げることで開口面を形成し、水平、垂直両方向において半値全幅

10

以下の鋭い 指向性、つまりペンシルビームを実現することを目指す。初めに予備として超音波領域に おいて指向性測定を行い、続いて可聴領域で同様の測定を行う。

°

4−1 超音波領域における平面型マイクロホンの指向特性

本研究は、可聴領域でペンシルビームを実現することを最終的な目標としている。一方、 式(2-7)と式(2-8)より、周波数を高くした倍率分だけ開口面の面積を小さくしても、もとの 音源周波数を用いた場合と同様の指向特性が得られるはずである。そこで実験系を簡素化 するために、まず超音波領域において平面型マイクロホンの指向特性の予備的な測定を行 う。

4−1−1 測定系の説明

図4-1 に示すように LDV の出射光を両端に配置した細長いミラーで反射させ、前述のジ グザグ方式でレーザ光による受音開口面を形成する。この測定系において、2つのミラー とLDVヘッドは、定盤上で固定してある。音源は前実験と同じ、共振周波数28.2 kHz の ボルト締めランジュバン振動子の端面を用い、発振器において連続正弦波で励振させてい る。よって放射音の波長は12 mm である。 開口面の大きさは150mm×122mm (12.5

λ ×

10

λ

)である。レーザ光はミラーで 12 往復 反射し、レーザ光間隔は1λに設定する。ここで、片側のミラーに間隔 d で 1.5 往復ジグザ グ反射することを、図4-2 に示すように3本のレーザ光を間隔 d/2 で平行に配置することと 近似すると、図4-1 は 24 本の 122 mm(10

λ

)のレーザ光が間隔 1/2

λ

で平行に配置されて いると見なすことができる。これは第2章で述べた、開口面の最適な寸法条件に当てはま る。 また式(2-10)と開口面の寸法より、平面波音波を開口面で得るための最適な音源−開口面 間の距離はおよそ1.5 m 以上と求まるが、実験するスペースの関係上、この距離は 1 m(83 λ) に設定する。 LDV は前実験と同じく、NLV-1232 を用いる。 開口面の中心を原点として、θ軸は水平右方向、ϕ軸は垂直上方向をそれぞれ正とする。水 平方向角度θ、垂直方向角度

ϕ

から音波を放射する。

(34)

第4章 ペンシルビームの実現

LDV

Langevin Transducer

(28.2kHz、φ19mm)

Mirror

θ

ϕ

10 λ

(122 mm)

1 λ

12.5 λ

(150 mm)

LDV

Langevin Transducer

(28.2kHz、φ19mm)

Mirror

θ

ϕ

10 λ

(122 mm)

1 λ

12.5 λ

(150 mm)

d

d

図4-1 超音波領域における2次元開口面の指向特性測定

d/2

Approximation

d/2

Approximation

図4-2 ジグザグ配置した場合のレーザ光本数の近似

(35)

第4章 ペンシルビームの実現

λ

16

.

7

θ

16

.

7

8

.

6

8

.

6

ϕ

0 = ϕ =0 ° 7 ° ° ° s m / µ

4−1−2 指向特性の測定結果

レ ー ザ 光 平 面 か ら 約 80 離 れ た 場 所 に お い て 、 [deg] 、 [deg]の範囲で、1.1°毎に振動子をレーザ光平面に平行に動かした時の指向 特性を図4-3 に示す。この結果より、開口面の中心においてのみ出力が大きく出ていること が分かる。 また図4-3 を 、θ 平面で切断した断面図、すなわち水平方向と垂直方向の指向特 性をそれぞれ図4-4、図 4-5 に示す。ここで、各軸の最大の測定値で全測定値を規格化して いる。図中で破線は前章で説明した式(2-15)による理論値である。図 4-1 の寸法における指 向特性の半値全幅の理論値は、水平方向で 、垂直方向で 6 である。水平方向の半値全幅 の実験値は図 4-4 より7 と求められ、理論値とよく一致している。一方、垂直方向の実験 値は図 4-5 より8 と求められ、これも理論値とほぼ一致していることが分かる。なお、図 4-1 の構成で、レーザ光路の全長l =2880mm であり、使用した LDV(PI Polytech(株)、 NLV-1232)の最小検出振動速度が 0.5 であることを考えると、式(2-6)より最小検出 音圧は28dB と見積もられる。

LDV Out

put

[arb.

]

ϕ

[deg.]

0

θ [deg.]

0

5

-5

-10

10

0

50

100

150

200

250

図4-3 超音波領域における光マイクロホンの指向特性

(36)

第4章 ペンシルビームの実現

-20

0

-10

0

10

20

0.2

0.4

0.6

0.8

1

N

o

rm

al

iz

ed

L

D

V

O

u

tp

u

t

θ[deg.]

0

0.2

0.4

0.6

0.8

1

N

o

rm

al

ized

L

D

V

O

u

tp

u

t

図4-4 水平方向の指向特性

-20

-10

0

10

20

[deg.]

ϕ

図4-5 垂直方向の指向特性

(37)

第4章 ペンシルビームの実現

4−2 可聴領域における平面型マイクロホンの指向特性

超音波領域において、開口面を2次元的に広げればペンシルビームが実現できることが 確認できたので、本来の目標である可聴領域において、指向特性の測定を行う。

4−2−1 測定系の説明

前実験は、28.2 kHz の高周波領域で指向特性の測定を行った。ここでは、可聴音場にお ける測定として、周波数2 kHz(波長 170 mm)の音源を用いる。これは、図 4-1 の実験系で 用いた音源周波数の約10 分の1である。よって式(2-7)と式(2-8)より、図 4-1 の光マイクロ

1530mm

(9λ)

LDV

Laser beam

Mirror

1230mm

(7.2λ)

100 mm

(0.6λ)

Reflector

1530mm

(9λ)

LDV

Laser beam

Mirror

1230mm

(7.2λ)

100 mm

(0.6λ)

Reflector

1530mm

(9λ)

LDV

Laser beam

Mirror

1230mm

(7.2λ)

100 mm

(0.6λ)

Reflector

図4-6 可聴音域をターゲットにした光マイクロホン

(38)

第4章 ペンシルビームの実現

Microphone

L

3200mm

(18.8λ)

14560mm

(85.6λ)

Head

Microphone

L

3200mm

(18.8λ)

14560mm

(85.6λ)

Head

°

= 0

θ

Speaker

θ

3300mm

(19.4λ)

LDV

°

= 0

θ

Speaker

3300mm

(19.4λ)

θ

LDV 図4-7 可聴音場における光マイクロホンの指向特性測定 ホンと同様の指向特性を得るためには、受音開口面をおよそ10 倍にする必要がある。 作成した光マイクロホンを図 4-6 に示す。レーザ光の分布している領域が水平方向 1.53m(9 λ)、垂直方向 1.23m(7.2 λ)のスケールになるように設計する。独立した多数の誘電 体多層膜ミラーを両側に配置し、ユニット上部のLDVヘッドからジグザグ状にレーザ光 を100 mm(0.6 λ)の間隔で12往復反射させる。ユニットのフレームはスチール製のアング ルで構成されており、開口面の4隅はフレームで補強してある。また足場には4つのキャ スターを設けることで、移動しやすい構造になっている。4つのキャスターは4本のアン グルで結び付けられている。レーザ光は、最下部に設置したリフレクタまで到達したら、 再び同じ経路を辿り、最上部のLDVヘッドに戻ってくる。ここでリフレクタを用いるこ とによって、リフレクタに入射するレーザ光の角度が正確でなくても、多少の誤差範囲で あれば、反射したレーザ光は同じ経路を辿ることが可能となる。 図4-2 で説明した近似方法より、図 4-6 は、長さ 1530 mm(9 λ)のレーザ光 24 本を 0.3 λ 間隔で平行に配置したものと等価と見なすことができる。式(2−7)、式(2−8)より、この開口 面の寸法は、半値全幅10°以下の指向性を有するための条件に当てはまる。 LDV は、PI-Polytec(株)の CLV-1000(出力モジュール: CLV-M002、デコーダモジュ ール: CLV-M060、センサヘッド: CLV-700)を用いた。センサヘッドは前実験の NLV-1232 と同じものを用いている。計測レンジは2 mm/s/V に設定する。このレンジにおいて、フル スケールは20 mm/s であり、速度分解能は 0.2 µm/s である。計測可能な周波数の最大値は 250 kHz である。図 4-6 の構成において、レーザ光路の全長l =36720 mm であり、使用し たLDV の最小検出振動速度が 0.2µm /sであることを考えると、式(2-6)より最小検出音圧 は約21dB と見積もられる。

(39)

第4章 ペンシルビームの実現 上部から見た実験系を図4-7 に示す。発振器によって壁面に固定された音源のスピーカか ら音波を発し、光マイクロホンの開口面で受音し、その出力信号に500 Hz のハイパスフィ ルタと5 kHz のローパスフィルタを通し、FFT アナライザ((株)小野測器、CF-5220)で 観測された値を出力値とする。水平方向の指向特性は光マイクロホンを回転させることで、 垂直方向はスピーカを上下に移動させることで測定を行った。回転角は

θ

とする。開口面正 面が音源に向いているときが

θ

= 0

°

で、実験室上部から見て反時計回り方向を正とする。

0

0.5

1

1.5

-20

-10

0

10

20

θ[deg]

N

o

rm

al

iz

ed s

ound pr

es

su

re

L = 0 m L = 1 m L = 2 m L = 4 m L = 6 m L = 8 m L = 10 m L = 12 m L = 14 m (a)

0

0.5

1

1.5

-20

-10

0

10

20

θ[deg]

N

o

rm

al

iz

ed

s

o

und

p

res

su

re

L = 0 m L = 1 m L = 2 m L = 4 m L = 6 m L = 8 m L = 10 m L = 12 m L = 14 m (b)

0

0.5

1

1.5

-20

-10

0

10

20

θ[deg]

N

o

rm

al

iz

ed s

ound pr

es

su

re

L = 0 m L = 1 m L = 2 m L = 4 m L = 6 m L = 8 m L = 10 m L = 12 m L = 14 m (a)

0

0.5

1

1.5

-20

-10

0

10

20

θ[deg]

N

o

rm

al

iz

ed s

ound pr

es

su

re

L = 0 m L = 1 m L = 2 m L = 4 m L = 6 m L = 8 m L = 10 m L = 12 m L = 14 m (a)

0

0.5

1

1.5

-20

-10

0

10

20

θ[deg]

N

o

rm

al

iz

ed

s

o

und

p

res

su

re

L = 0 m L = 1 m L = 2 m L = 4 m L = 6 m L = 8 m L = 10 m L = 12 m L = 14 m (b)

0

0.5

1

1.5

-20

-10

0

10

20

θ[deg]

N

o

rm

al

iz

ed

s

o

und

p

res

su

re

L = 0 m L = 1 m L = 2 m L = 4 m L = 6 m L = 8 m L = 10 m L = 12 m L = 14 m (b) 図4-8 スピーカ−光マイクロホン間の距離を変えたときの マイクロホンの理論指向特性 ((a)は水平方向、(b)は垂直方向の指向特性をそれぞれ示す。)

(40)

第4章 ペンシルビームの実現 式(2-10)と開口面の寸法より、平面波音波を開口面で得るための最適な音源−開口面間の 距離はおよそ11 m 以上と求まる。 また、式(2-15)を用いて、Lを変化させた時の光マイクロホンの水平方向、垂直方向の理 論指向特性を図 4-8 に示す。

L

4

[m]の範囲において、

θ

=

0

軸においてグラフが線対称 になっていないことが分かる。この範囲では平面波音波を得るのに十分な距離でないと言 える。 測定は閉じた室内で行った。壁面からの反射波が光マイクロホンの出力に影響すると考 え、その影響を少なくするために、音源として10 波の正弦バースト波を断続的に一定間隔 で発することによって、入射波と反射波を時間軸上で分離する。2kHz の正弦バースト波 10 波は、時間にして 5 ms に相当する。スピーカと光マイクロホンの距離をL [mm]、音速 を340 mm/ms とすると、スピーカから音を発してから、10 波のバースト波のうち 10 個目 の正弦波が光マイクロホンの開口面を完全に抜け出るまでの時間 は次式のように表され る。 1

t

5

340

1

=

+

L

t

[ms] (4-1) 開口面を抜けたバースト波10 波は、その後、後方の壁に反射する。スピーカから音を発 してから、反射した1 個目の正弦波が再び開口面に到達するまでの時間 は、

t

2

(

)

340

14560

14560

2

L

t

=

+

[ms] (4-2) となる。入射波と反射波が重ならないための条件は (4-3) 2 1

t

t

である。式(4-1)∼式(4-3)より、 [mm]=13.71[m] (4-4)

13710

L

の範囲で、入射波と反射波が重ならないことが分かる。 式(4-4)の条件と、先述した平面波を得るための条件である [m]より、L = 12[m]が この室内における最適の条件であると言える。また、平面波が得られていない位置におい ても、図4-9 で示した波形と同様の指向性が得られるか確かめる必要がある。そこで、本実 験では、最適条件であるL = 12[m]と、平面波が得られない位置であるL = 4[m]の2つの位 置において指向特性を測定する。

11

L

次に、バースト波10 波を発する周期Tを求める。スピーカで音を発してから、光マイク ロホンの後方の壁で反射した10 個目のバースト波が完全に開口面を通り抜けるまでの時間 [ms]を、次のバースト波の1個目が開口面に到達する時間

5

2

+

t

T

+ t

1

5

[ms]よりも短く 設定すれば、反射波と次に発せられる入射波とは重ならない。つまり、次式のような関係 が成り立つ。

5

5

1 2

+

T

+

t

t

[ms] (4-5) 式(4-1)、式(4-2)、式(4-5)より、L = 12[m]のとき、

参照

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