太陽光発電システムの
構造安全確保への取り組み
-NEDO研究プロジェクトでの取り組みについて-
2018.06.20&22 太陽光発電協会 幹事会員奥地建産株式会社
耐風プロジェクト GM髙森 浩治
PVJapan 2018 ビジネスセミナー 21.
NEDO研究の概要
2.設計ガイドライン(
2017年版)の要点
3.杭・架台の実証実験
4.設計ガイドライン改訂作業
5.設計ガイドライン(
2017年版)に関するお知らせ
Today’s Menu
→ 構造設計における9つのポイント
→ 実証実験分かってきたことと
→ 追加内容について
3
太陽光発電設備の様々な構造的被害
3強風
積雪
豪雨
4 FIT
が始まった
2012
年からの
6
年間で多数の被害事例
の
報告がある。
そのほとんどが
設計で想定している荷重に達していない
自然事象で発生している。
「
」や「
」などの
SNS
の普及
によって,こ
れらの被害は
インターネット上に公開
されている。
PV
設備の構造安全性について疑問の声が上がっており,
PV
業界に対する信頼性の低下
が懸念される。
PV業界はこのままでいいの?
5
設計ガイドライン作成の背景
再エネ固定価格買取制度(FIT)の 導入に伴い太陽光発電設備が急増 太陽光発電設備の 強風や積雪などによる被害が増加 不適切な設計による構造耐力の 不足が原因 太陽光発電設備の構造設計に関するガイドラインの作成の 社会的必要性(機運)が高まる JIS C 8955が2017年3月に改正 「設計標準」⇒「荷重算出方法」 設計荷重は適正化されたが 設計に関する項目が削除された 太陽光発電設備の構造設計に関す る技術資料がない NEDO 研究委託 JPEA + 奥地建産 6NEDO研究のスケジュール
耐風安全性および水害時感電防止を考慮した合理的設計手法の開発 2018年度 2017年度 2016年度 2017年版 設計ガイドラインの作成 ・杭・架台の実証実験 ・検討委員会の開催 改訂版設計ガイド ラインの策定(予定) NEDO・JPEA・奥地建産のホームページにて公開 設計ガイドライン作成スケジュール7
1.
NEDO研究の概要
2.設計ガイドライン(
2017年版)の要点
3.杭・架台の実証実験
4.設計ガイドライン改訂作業
5.設計ガイドライン(
2017年版)に関するお知らせ
→ 構造設計における9つのポイント
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8目 次
第1章 総 則
第2章 計 画
第3章 調 査
第4章 設計荷重
第5章 基礎の設計
第6章 架台の設計
第7章 腐食防食
〔付録〕地上設置型太陽光発電システムの構造設計例
建築物の構造関連の 規基準・指針等をもと に作成されている。9
構造設計の要点① :事前調査 (第3章)
地形の調査による 地盤の見方 谷底低地 扇状地 段丘(台地) 崖錐 自然堤防 潟湖跡 潟 海 砂州 後背湿地 堤間湿地 三角洲 山地 丘陵地〇
×
〇
〇
×
×
〇
×
×
△
△
△
〇:適 △:注意 ×:対策工法必要 敷地調査は、事前調査(資料調査・現地調査)により適切に把握する。 10構造設計の要点② :地盤調査
(第3章)
原位置試験を実施し、設計に必要な工学的性質に関する情報を収集する。 1. 原位置試験は、スウェーデン式サウンディング試験(以後、SWS試験と呼ぶ)を中心に 行うものとする。ただし、事前調査やSWS試験で充分な情報が得られていないと判断し た場合や圧密沈下が生ずる地盤では適切な原位置試験を選定し実施する。 2. 調査ポイント数については下記を目安に実施する。地盤構成の均質性が確認できる場 合は適宜調査ポイント数を削減してもよい。不均質な場合は適宜調査ポイント数を増加 させる。 調査ポイント数の目安 発電所の規模 調査ポイント数 50kw未満(約500m2) 3 100kw(約1000m2程度) 3~5 1000kw(約10000m2程度) 10以上11
構造設計の要点③ :設計荷重 (第4章)
JIS C 8955:2017 「太陽電池アレイ用支持物の設計用荷重算定方法」に準じる。 (公共工事標準仕様書などで指定があった場合にはそれに従う。) 〇風荷重関連 アレイ面の風力係数の変更 ⇒ 荷重増 地表面粗度区分の適用の変更 ⇒ 荷重増 〇雪荷重関連 勾配係数の変更 ⇒ 荷重増 〇地震荷重関連 設計用水平震度 ⇒ 荷重減 (建物上設置の場合は荷重増) 設計荷重の 適正化であり、 過剰設計ではない! 12構造設計の要点④ :許容応力度設計 (第4章)
〇 JIS C 8955によって算出される設計荷重は,許容応力度(許容耐力) 設計用の荷重であり,部材の最大(極限)荷重と比較するものではない。 変位 × 荷重(応力) 最大 許容(短期) 荷重(応力)変形曲線の例 許容(長期) 弾性範囲 1.5倍程度の 安全率が必要 設計裕度 設計荷重と最大荷重を 比較してはいけない!13
安全率を低くすると
…
安全率を1
.0
とした
場合,発電設備の
供
用期間中(
20年間)
に設備が破損する確
率は
33%もある!
33% 14構造設計の要点⑤ :基礎の設計(直接基礎) (第5章)
地盤反力 架台からの荷重 摩擦力 〇地盤反力・浮上がり・転倒・滑動をチェック 〇地盤反力、自重、転倒モーメント、地盤摩擦力等の抵抗力は、設計荷重か ら求められる値の1.5倍以上とすること。 基礎自重 浮上がり 転 倒 滑 動 基礎自重 架台からの荷重 地盤反力 基礎自重 基礎自重 基礎自重から架台からの浮上 り力を差し引いてから求める 最大となる位置で確認設計荷重×1.5 ≦ 抵抗力
15
構造設計の要点⑥ :基礎の設計(杭基礎) (第5章)
〇杭基礎は設置される位置の地盤の状況により大きく耐力が異なるので、 設置現場での杭の支持力試験(載荷試験)が基本となる。 〇太陽光発電設備の杭基礎には、鉛直力(押込み力・引抜き力)だけでなく 水平力も作用するので、杭の水平支持力についても検討する必要がある。 水平載荷試験 16構造設計の要点⑦ :安定構造 (第6章)
対角線の⾧さと接合部の角度 が変化 不安定 ブレース ブレースで対角線の変化を抑える トラス構造 壁 方づえ 剛 節 . 対角線の⾧さと接合部の角度 の変化を抑える 方づえで接合部の角度変化を抑える ラーメン構造 剛接合 :ピン接合 :剛接合17
構造設計の要点⑦ :安定構造 (節点・支点の概念)
節点(接合部) 支 点 ピン接合 剛接合 ローラー支点 ピン支点 固定端 反力 18構造設計の要点⑦ :安定構造とするためには
不安定 安定 安定 部材を増す 拘束を増す 部材を 増す 拘束を 増す :ピン接合 :剛接合 :ローラー支点 :ピン(ヒンジ)支点 不安定 安定 安定19
構造設計の要点⑦ :安定構造 (PV架台の例)
ラーメン構造 ピン構造 (トラス構造) ピン接合・剛接合 (混合構造) 不安定構造のものが 多く見られる 基礎剛構造 安定 安定 安定 不安定 不安定 安定 〇太陽光発電システムは不安定構造のものが意外と多い! 20構造設計の要点⑧ :接合部 (第6章)
○モジュール枠と架台、架台の部材間、架台と基礎の各接合部は、部材間に 作用する荷重を確実に伝達できるように設計する。 ○構造計算による接合部の耐力評価が困難である場合は、適切な載荷試験 等を行い、各種設計荷重に対して許容応力度(あるいは許容耐力)の範囲 内にあることを確認する。 ○繰返し荷重により緩みが生じないものとする。 モジュール枠と架台の接合部 各部材を貫通するボルトによって確実に固定する。 押え金物や専用金具等を使用する場合 ⇒載荷試験や構造計算等で耐力の確認を行う。 架台の各部材間の接合部 溶接または各部材を貫通するボルトによって確実に固定する。 専用金具等を使用する場合 ⇒載荷試験や構造計算等で耐力の確認を行う。21
構造設計の要点⑨ :腐食対策(防食) (第7章)
〇基礎(杭)・架台に使用する部材は、腐食又は腐朽しにくい材料を使用す るものを除き、有効な防食のための次のような措置をしたものを使用する。 a) めっきによる防食 :溶融亜鉛めっき又はこれと同等以上のめっきによる。 b) 塗装 による防食 :使用環境を考慮して仕様を決定する。 ボルト:ステンレス 座金 :鉄+亜鉛メッキ 地際部での腐食 異種金属接触による腐食 塩害による腐食 22付録 : 鋼製架台の設計例
〇末尾の付録に鋼製架台の構造設計例を示した。 一般仕様 強風仕様 多雪仕様 アレイ傾斜角度: 20° 地表面粗度区分: Ⅲ 基準風速: 34m/s以下 垂直積雪量: 50cm以下 アレイ傾斜角度: 20° 地表面粗度区分: Ⅲ 基準風速: 34m/s以下 垂直積雪量: 50cm以下 アレイ傾斜角度: 30° 地表面粗度区分: Ⅲ 基準風速: 30m/s以下 垂直積雪量: 180cm以下 アレイ傾斜角度: 30° 地表面粗度区分: Ⅲ 基準風速: 30m/s以下 垂直積雪量: 180cm以下 アレイ傾斜角度: 10° 地表面粗度区分: Ⅱ 基準風速: 40m/s以下 垂直積雪量: 30cm以下 アレイ傾斜角度: 10° 地表面粗度区分: Ⅱ 基準風速: 40m/s以下 垂直積雪量: 30cm以下設計例の3仕様の架台が 経済産業省が指定する
標準仕様架台
として電技解釈第
46条第3項に掲載
された。
23
1.
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2017年版)の要点
3.杭・架台の実証実験
4.設計ガイドライン改訂作業
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2017年版)に関するお知らせ
→ 実証実験分かってきたことと
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24〇杭の支持力試験
目 的
:各種杭の支持力の把握
対象地盤
:
地盤の固さ(
N値)が異なる砂質土,粘性土の地盤
杭の種類
:
鋼管杭(先端閉塞,先端開放),スクリュー杭,
型鋼杭
測定項目
:
押込み方向,引抜き方向,水平方向の支持力
実証試験の概要① : 杭の支持力試験
25
杭の支持力試験 : 試験場所
:地盤調査のみ :地盤調査+杭試験 :追加地盤調査 〇試験候補地 地盤調査箇所(H28度~H29年度) 11県,14か所 〇追加試験候補地(H30度:3箇所) 奈良県・神奈川県・宮崎県 〇試験実施場所(5箇所) 三重県、岐阜県、青森県、山形県、福島県 26〇押込み方向,引抜き方向,水平方向への支持力試験を実施
杭の支持力試験 : 試験状況
押込み支持力試験 引抜き支持力試験 水平支持力試験27 〇粘性土における周面摩擦力は設計計算式を下回る。 〇水平支持力は砂質土,粘性土ともに設計計算式を下回る。
杭の支持力試験 : 試験結果から分かってきたこと
設計計算式 設計計算式 周面摩擦力(粘性土) 水平支持力(砂質土) 杭の支持力は発電所建設地での杭試験で確認することが重要!積雪被害で見られる事例
雪 28〇架台の耐風圧試験
試験目的
:耐力確認,構造上の弱点部および設計上の
注意点の把握
対象架台
:
鋼製,アルミ製の市販流通品
構造形式
:
トラス構造,ラーメン構造,方杖構造など
載荷方法
:
大型水平動動風圧試験装置を用いた耐風圧試験
実証試験の概要② : 架台の耐風圧試験
29
架台の耐風圧試験 : 試験方法
〇PVモジュールと架台を再現したアセンブリ試験体
〇加圧ファンによる等分布載荷
加圧ファン 最 大 4 m 負圧載荷の場合 30架台の耐風圧試験 : 試験体
No. 構造形式 構造模式図 (側面) 構造模式図 (背面) 材質 破壊箇所 1 トラス構造 鋼製 モジュール 2 トラス構造 アルミニウム 接合部 3 方づえ構造 (ピン接合) 鋼製 部材 4 方づえ構造 (クランプ接合) 鋼製 (単管パイプ) 接合部 5 方づえ構造 (1本足) アルミニウム+ 鋼製 接合部 6 自立柱構造 アルミニウム+ 鋼製 接合部 7 自立柱構造 鋼製 接合部31
架台の耐風圧試験 : 試験結果から分かってきたこと
単管クランプのすべり による破壊 スロットを用いた接合部 の滑りによる破壊 〇接合部の変形や滑りが起因の破壊が多い 〇クランプ,スロット,長孔などの摩擦を期待した接合部の場合,載荷試験 (部分試験など)での強度確認が重要 元の位置 ズレ スロット接合 ズレ 曲げ破壊 想定していない荷重に よる破壊 32〇鋼材の暴露試験(腐食・防食)
試験目的
:架台や杭の設置環境を考慮した腐食特性
の把握
暴露場所
:
一般地,塩害地,強塩害地
暴露方法
:
大気暴露(直接暴露・遮蔽暴露)
☚鋼製架台
土壌(地際)暴露
☚鋼製杭
実証試験の概要③ : 鋼材の暴露試験
33 〇大気暴露試験では,直接暴露試験だけでなくPVモジュール下部の状況 を想定した遮蔽暴露試験も実施。 〇鋼製杭を想定した土壌中(地際)の暴露試験を実施。 〇暴露場所は,マイルド(伊賀),塩害地(銚子),強塩害地(西原)など
鋼材の暴露試験 : 試験方法
直接暴露試験 遮蔽暴露試験 土壌暴露試験 34鋼材の暴露試験 : 試験結果から分かってきたこと
0 10 20 30 40 50 0 5 10 15 20 25 30 伊賀(マイルド) 銚子(塩害環境) 西原(強塩害環境) 腐 食 減 量 [ g/ m 2] 暴露期間 [年] 高耐食性めっき鋼板 (6 wt% アルミ・亜鉛合金めっき) 直接暴露 遮蔽暴露 〇各環境下での腐食減量の傾向の把握 〇土壌の性質と腐食性の関係および影響要因の把握 土壌の 性質 腐食性 (〇小,×大) 備考 粗粒率 高 × 酸素濃度に寄与 低 〇 pH 高 ○ 深さ方向の変化 に注意 低 × 含水比 高 × 土壌抵抗に寄与 低 ○ 土壌の性質と腐食性の関係 暴露期間と腐食減量の関係35 〇PVモジュールの耐圧性能の確認 →メーカーが表示している耐圧性能は 許容耐力として良いの? 許容応力度設計に適用できるの? 〇接合部の部分試験(載荷試験) →クランプ,スロット,長孔などを対象 とした接合部の載荷試験の実施。 摩擦接合部の耐力を確認。
実証試験での今後の検討課題
PVモジュールの耐風圧試験 接合部の部分試験 361.
NEDO研究の概要
2.設計ガイドライン(
2017年版)の要点
3.杭・架台の実証実験
4.設計ガイドライン改訂作業
5.設計ガイドライン(
2017年版)に関するお知らせ
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→ 追加内容について
37 〇実証試験の内容を反映し、設計ガイドライン改訂版の作成検討および検討 委員会での審議。 〇「基礎構造」、「架台構造」、「腐食防食」、「風荷重」のWGを設置し、設計ガイ ドライン 改訂の充実を図る。 ➣被害事例の追加(土砂災害や水害、基礎の沈下または崩壊、架台の損傷等) ➣排水計画の追加 ➣設計荷重の拡充(傾斜地での風速増加や地方自治体が定めた垂直積雪深等) ➣使用材料の明記 ➣杭の許容支持力(試験結果と計算式の比較)や各種杭の特徴 ➣架台の設計(基本構造形式の安定原理や部材設計、接合部の設計等) ➣腐食事例と腐食対策方法の追加
主な改訂内容(予定)
38 〇設計者の理解を促すための技術資料の提供を目的として,設計ガイド ラインの「付録」を充実させる。 ➤[付録]アルミニウム構造架台の設計例の追加 ➤[付録]アセンブリ試験・部分試験の事例紹介 ➤[付録]構造設計に関するその他の技術資料技術資料の充実
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40 〇「地上設置型太陽光発電システムの設計ガイドライン(2017年版)」 の設計例(3種類の架台)を参考に電気設備技術基準の解釈(電技 解釈)第46条第3項が追加された(2017.08.14)。 〇電技解釈第46条第2項の改正案について意見募集中(7/10まで) ⇒ 改正案では設計荷重としてJIS C 8955:2017が引用されている。 ⇒ 同解釈の解説において「地上設置型太陽光発電システムの設 計ガイドライン(2017年版)」が参考資料として引用さる予定※。 ※「第12回新エネルギー発電設備事故対応・構造強度WG」の資料による設計ガイドラインと電技解釈との関係
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