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花崗岩に関する諸問題 (5) 日本花崗岩類のRa含有量および岩漿進化におけるU, Thの行動

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(1)

16

(

5

)

日本花 尚岩類 の

Ra

含有量 お よび岩衆進化

にお け る

U,

Th

の行動

九 州 大 学 理 学 部 地 質 学 教 室

冨 田 達 ・桃 井

日本花掃岩類の

Ra

含有量は貫入時代別に 特徴的な変移を 示 す (桃井 ・古賀,1956). 本論文では

,

花尚岩類の

Ra

含有量の根源お よび時代差変移の原因に関す る我我の考察 を 述べて諸賢の御批判 を仰 ぐことに したい.

日本花 尚岩類の

Ra

含有量変移

A

l花 尚岩体内の変移 岩相が塩基性か ら 酸性になるにつれて

Ra

含有量が増加す るこ と1)については,既 に一部の学者 (HIRSCH,

1927; RGSSNER, 1933; LARSEN and KEEVIL,1942)が指摘 してい る. 日本 の場 合には新 白亜紀 ・第三紀 (中新世)花 尚岩体 にその例がある (第

1

,2

図). し か し鎖 家 期花尚岩類では,SiO 2約65% 以上になると

Ra

が減少す るとい う特異性 が 認 め られ る (第3図). B 連続貫入の花 嵐岩類 北九州の新 自重 紀花園岩類の内,鞍手 ・平尾 ・兵崎 ・勝 山岩 播では, ここに記 した貫入頓に

Ra

濃縮の程 サ ワラ 度が大 きくなるが,最 後の2貫入岩体 (早良 ・ 佐賀)では小 さい (第2,4図). これに対 し て段戸地区 (愛知県)の領家期花 樹 岩 類 で は,貫入期が新 しい ものほ ど

Ra

濃縮の程度 が小 さくなる傾向がある (第3,4図). C 最終貫入の両雲母花 嵐岩 敏 家 期 ・新 白亜紀 ともに,その連続活動の最終貫入体 は 両雲母花尚岩 によって構成 され る. この花尚

斉 ・唐木 田芳文

岩は, ジルコンが少 な く,モナズ石が比較的 多い とい う特徴 を有す る (冨 田 ・唐 木 乱 1954). この ことと,その花尚岩の

Ra

含有量 が上述 したよ うに,早期貫入の花 園岩類 に比 べて何れ も低い とい うこととをあわせて考 え ると興味が深い. D 日本花 尚岩類の時代別平均

Ra

量 先 カンプ紀 ・領家期 ・新 白亜紀 ・第三紀 中新世 の花尚岩類だけについて,その年均

Ra

含有 量 を通観す るのに,時代が若い ものほ ど多量 である(第1表).同様の事実 を,SMEETHand WATSON (1918)は南印 度 のArchet2n 花 第1図 第三紀花 樹岩数の

Ra

と Si02との関係 t 一

8

/ 0 3 110 I X tl tL 60

T

O

SiO8 % 1)多 くの地球化学者が言っている,地殻構成 要 素 としての酸性岩 と塩基性岩におけるRa濃縮差 とは違 う

(2)

日本花 尚岩類のRa含有量 および岩菜進化におけ るU,Thの行動 17 尚岩類 につい て, ま た W ESTERVELD

(

1

9

してい る. 54)もイン ドネシャの深成岩類 について報告 これ らの事実 は RANXAMA

(

1

9

4

6

)

の 指 第2図 白亜紀花 尚岩類の Ra とSi02との関係

○-B

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6 3 L

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① 00 50 60 70 80 SiO2

第3図 領 家期花 尚岩顎の Ra とSi02との関係 ○ -B / 6 3tb l X

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50 00 TO OO S102

%

(3)

18 冨 田 遵 ・桃井 斉 ・唐木 田芳文 抱 に一致 す る;但 し彼 の デー タは,た とえば きに過 ぎるし, また中には検討 を 要 す る も 第三紀花 尚岩類 に関す る もの はその数 が少 な の2'も含 まれ てい るので あ るが ,その よ うな 第 1 表 西 南 日本花 園岩 数 の Ra含有量 全 平 均 I152 1 1.04 (1)n測定数,m平均値,0.標準偏差 (2)中井敏夫 (1942) (3)浅 山酉二 (1954)

2)た とえば やRapakivigranite'yのすべ てを岩渠源花 樹岩 として取扱 ってい るが, この花 崩岩 類の成 因に

ついては議論 が多 く,BACKLUND (1938)の花 尚岩化成 因説 に対 して,CHAYES(1948)はその あ る も のは交代 性花 尚砦 である らしいが,あ るものは岩菜性花尚岩で あると論 じてい る.

(4)

日本花 尚岩 類 のRa含 有 量 お よび岩 梁進 化 'L'_お け るU.Thの行 動 19 不備があるにはあるが,我我の研究結果やそ の他の実例が RANKAMAの指摘 と一致す る ことは,彼の説が大局的見地においては極 め て注 目すべ きものであると考 えてよいであろ う. しか して,この ことは花 尚岩衆成因論の 第4図 連続貫入の花 尚岩類における 平均Ra含有量の変化 ○ l

a

/ B 3

-・O

IX

D∝

討議 に も関係の深い問題であって,なお後段 において検討 してみたい. ⅠⅠ 花 尚岩 中の放射能分布に関する従来の 研究 花 尚岩中のRa含有量の変移は,Ra がいかなる鉱物 または部分に存在す る TO Si02

%

○ 北 九 州新 白亜結花 尚岩 類 K:鞍手,H:平尾,M :兵噂,Kh:勝山, Sw:早良,Sg:佐 賀 ● 段 戸地 底 領 家花 尚岩 類 k:清崎,m :三都橋,S:澄JH,b:武 節 含 モナズ石 両雲 母花 尚岩 :Sw,Sg,b 矢 印 は貫 入 の順序 を示 す 80 か とい うことに左右 され る もの と思わ れ る. この点 についての従来の研究結 果 を簡単に紹介す る.

A

一つの花 尚岩体 内の放射能分布 放射能が一つの花 尚岩体の周辺部に 濃縮す ることはLARSENandKEEVIL

(1947), INGHAM and KEEVIL (19 51),初田 (1956),声 ・初田 (1956), 西村 ・初田 (1956)等 によって報告 さ れた;時には中心部の6倍 に達す るこ とがある.その一例を第2表 に示す. B 造岩鉱物の結晶構造 内に固定す る放射性元素 (酸に容易に溶 け ない もの) 花 尚岩に含 まれ る放射性元素 または 放射能の,その構成鉱物への配分 に関 しては,まずPIGGOT andMERWIN 第 2 表 Canadaの花 尚岩体中の放射能分布 (INGHAM-KEEVIL,1951)

(5)

20 冨 田 達 ・桃井 斉 ・唐木田芳文 (1932)が Raについて,白色鉱物中 よ りも 有色鉱物中に多 く含 まれ ることを明 らかに し た.最近の慎重精密 な分析結果によると,放 射性元素 は一般 に主 として副成分鉱物 (ジル コン ・チ タナイ ト ・燐灰石等) に含 まれてお ら,Uだ けについて も合計 して50%以上に達 す ることが分 った (第 3表). C 造岩鉱物の表面 ・割 目に存在す る 放 射 能 (酸 に容易 に溶 ける もの)

HuRLEY(1950,1954),PICCIOTTO(19 50),TILTONetal.(1955)等 は鉱物粒の被 膜 となっていた り割 目等 に存在す る放射性物 質 による放射能が花 尚岩の全放射能 の約300/0 を占めることを明 らかに した. これ らの放射 能 はいずれ も酸 に易潜の放射性物質 による; TILTON etal.(1955)によれば,Th物 質 はU物質 よ りも溶 け易い とい う (第 4表). ⅠⅠⅠ 花 尚岩 類のRa豊変移 に関す る考察 A Ra量が時代 と共 に増す ことについて (1) 古い時代 の花 尚岩 にRaが少い こと この ことは,一般 には,古 い時代 の花 尚岩 体 は著 しく侵蝕 されて,Ra 含有量の低 い 中 心部が露 出 してい ると説明 され てい る. この 説 明が支持 され るためには,侵蝕 の速度 ・様 式が各時代 を通 じて一定で なけれ ば な ら な い. しか し侵蝕結果 を実地 に見 ると,その速 度 や様式 には地域差が あ り,且 つ不規則であ った と判断せ ざる得 ない;た とえば先 カンプ 紀花 尚岩 体で も,その項部だ けの小露 出 もあ るし, また周縁部が周囲岩数に密接 したまま で残 ってい る場合 も多い.要す るに,侵蝕結 果の複雑 さに もか ゝわ らず,花 尚岩 の放射能 と地質時代 との間にはあ る規則 性がみ とめ ら れ るとい う事実 は,各時代 の花 尚岩祭 自身の 第 3 表 Uお よび放射能 の造岩鉱物への配分

著 者 TILTON e(1955)t.al PICCI(19OTTO50) LARSEN,KEEVIHARRISON(195L2)

岩 石 ・ 産 地

放 射

Pre-C.granite

Haliburton,Ont. HercynlLacBangrlancanite CrSoutet.quarhCaltzdiifororniitae

石 英 正 長 石 パ ー サ イ ト 斜 長 石 黒 雲 母 角 閃 石 黒 色 鉱 物 ジ ノレ コ ン 燐 灰 石 チ タ ナ イ ト その他の副成分鉱物 割 目 ・ 間 隙 等 5 6 5 2 2 5 0 9 2 2 34.0 一 . 5 . 5 3 8 10 ‡ 32

7

) ll 18 一 . 3 . 0

.6

. 07 . 8 . 4 . 6 6 8

1

0 8 2 1 1

1

1 1 * 原著では分析 していない。他鉱 物の値 の残余 を これ に当てた 榊 Allanite,monaziteを痕跡 として含 む

(6)

日本花 樹岩類のRa含有量 および岩衆進化 におけるU,Thの行 動 21

第 4 表 願処理 による放射能の移動

岩 石

Palisadediabase LoganSilldiabase Creightongranite Sudburygranite

Granite,Adam.sTunnel,Colo. Hercynlangranite,LacBlanc Pre-C.gr.,Haliburton,Ont.

放射能* 酸処理/未処

%

** 1

9

5 4 8 8 1 5

2

3 1 1 4 著 者 * α測定に よる全放射能 比 半券 U,Th は夫 々34,420/0 本質に因 るのではないか と考 え られ るのであ って,この間塩については更に次項 において 検討す る. (2) 新 しい時代の花 尚岩 ほ ど Raが多い と い うこと この ことをRANEAMA (1946)は次 の よ うに説明 してい る;すなわち,既存花 尚岩類 の partialremelting によって生 じ た 新 花 尚岩 質 溶 液 の ≠continuousself-repeating granitization〟によって,「親花 園岩元素類」 (≠granitophileelements'y) は花 掃岩 活 動 があるたびに次第に地殻上部に向 って運ばれ る;その結果,時代の新 しい花 尚岩 ほ どそれ ら諸元素 (Raを含む) に富 んで い る と. さて既に述べ たよ うに,花 尚岩中の鉱物粒 の間や割 目な どには酸 に易潜の放射性物質が 存在す るのであるが,その物質 は低温生成物 で あることはその産状か ら見て疑問の余地が ない.従 って,RANEAMAの論ず るが如 き既 存花 尚岩類のpartialremeltingが行 われ る ことを許容す るな らば,それ ら低温生成の放 射性物質は,その さいに当然容易に溶 け去 る はずであ り, しか して新生花 尚岩質溶液の中 に濃縮す るであろ う. B 連続活動の場合 にRaが後期貫入花 尚 岩 に濃縮 されることについて この場 合 は 早 期 貫 入 花 尚 岩 の partial remelting が行 われ ると考 え うる地質学的根 拠 は薄弱である. しか し,既団結 の 早 期 貫 入花 嵐岩 体中の易潜放射性物質が 後 期 貫 入 岩梁の中に溶 け込 む可能性 は考 え ら れ る; す なわ ち,北 九州新白亜紀花 尚岩類の例が示 す ところでは,早期貫入花 尚岩が捕獲岩 とし て後期貫入花 尚岩中に しば しば存在す る. C 最終貫入花 尚岩類 にRaが減量 して い ることについて この ことは恐 らく放射性副成分 鉱 物 の 性 質 ・量比の変移に因 るので あろ う. (1) モナズ石 を比較的多量 に含 む花 尚岩菊 北九州の新白亜紀 ,段戸地区の領家期 に見 られ る連続花 尚岩活動においては,その晩期 にはジルコンは正常型に近い種類であるとと もに,その量が著 しく減少す るのに対 してモ ナズ石が著 しく増量す る (冨 田,1956b;冒 田 ・唐木田 ・桃井,1957).一般 にモナ ズ 石 は ジルコンよ りもはるかに多量のThを含 む (第5表);従 って,既述のRa含有量が減少 してい ることは,放射性副成分鉱物の性質及

(7)

22 冨 田 達 ・桃 井 斉 ・唐木 田芳文

第 5 表 ジルコンおよびモナズ 石の U,Th含有量

鉱 物

1・参考文献 :K DoELTER(1918,pp.546-555),HoLMES(1931),

DANA(1951,pp.693-694),HURLEY-FAIRBAIRN(1953),LARSEN-PHAIR(1954), TILTONetal.(1955) 2.分析試料 は副成分 ・ペグマ タイ ト・鉱床 な ど各国の産状 の標 本 3.ジル コ ン中 ,変 種 ジル コ ン と称 せ られ て い る もの は除 外 び量比が早期 と晩期 とで変移 した ことの反映 であると解せ らるれ る. (2)岩菜輪廻末期 におけるU,Thの行動 花 尚岩期 ・ペグマ タイ ト期 ・熱水溶液期 な どの時期 ごとにU,Thの行動が異 なることに ついてはRANKAMAandSAHAMA (1950,

pp.5711572,633-636)が入門的に解説 した し,LARSENandPHAIR(1954,pp.88-89)

は更 にや ゝ詳 しく論 じてい る. この現像 に関 す る研究は花 尚岩梁の本質を知 る上に極 めて 重要であ り,また甚だ興味が深い ものである か ら,現在 までに我我の知 り得たことをこ ゝ に取 まとめてお く. (a) 正規花 尚岩渠相 この祭相 の続 く間 では特殊 なU鉱物・Th鉱物が晶出す るほ ど には岩衆が U,Thに飽 和 してい ない;す な わち,岩衆中のUい,Th4+の大部分 は 通 常 の構成鉱物の中に固定 され る.特 に ジ ル コ ン ・燐灰石 ・チタナイ ト等に入 り込 む量が多 い;ジル コンではZr4十を置換 し,燐灰石 ・チ タナイ トではCa2+を置換 して結晶構造の形 成に参与 してい る. これ らの放射性副成分鉱 物の中で, ジルコンについて判明 した ところ では,岩渠中にU,Thが濃縮す るにつれて, ジルコン構造内に固定 され るU,Thの量 は 増加す る (しか し,その量に も限度があると 推定 してい る).要す るに, この正規花 尚 岩 衆相におけるU,Thの行動は互に同調 的, あるいは平行的であるといえる. (b) ペグマ タイ ト・アプ ライ ト岩衆相 正規花 尚岩渠相に比べ ると多水の相である. この相での U,Th行動には次記の2主要特 徴が認 め られ る:(b-1)一部分の U,Thは Ti,Cb,Taな どと好んで行動 をともにす る (columbatesやtantalatesは放射性);(b-2)

一部分のU,Thは個個 のU鉱物(uraninite),

Th鉱物 (thorianite,thorite)として点点 と 晶出す る. この特徴 は ジル コンに も現われて お り,含水 ジルコンにおいては稀土類元素が 入 り込 むのに伴 なって少量の U,Thが行 動 を共 に している (いわゆる変種 ジルコンの晶 班:冨田,1956a,pp.38-39).しか し多 く の ジルコンは U,ThのZr置換の減少 した正 常型 またはこれに近い種類である. この岩粟相に関 して注意すべ きことは,そ の産状 についてである.ペグマ タイ ト・アプ ライ トといえば普通には花 尚岩体 を貫 く岩脈 を念頭 にお く人が多いのであるが,花 園岩 を よ く調べ ると,顕微鏡的規模の微細脈 として のペグマ タイ ト相やアプライ ト相が発達 して

(8)

日本花 尚岩 野のRa含有量 お よび岩兼進 化 にお け るU,Thの行 動 23 い る例が決 して少 な くない; とくに底盤の周 縁部や岩株のよ うな小岩休にその例が多い. このよ うな産状 を示すペグマ タイ ト・アプラ イ ト岩果相は成因上は正規花 尚岩祭相 とは区 別 され るべ きであって,放射性鉱物に関す る 諸研究を行 う場合に もその成因的考察 を必要 とす る所以である. (C) 両雲母花 尚岩果相 既述 の 通 り, ジ ルコンは正常型に近い種類で少量であ り,比 較的多量のモナズ石 を有す る3'. この特徴 は 明 らかに正規花 尚岩渠相 とは異 な りU とTh とが別行動を とる岩渠相である. この岩異相に関 して問題 なのは,前項 に述 べたペグマタイ ト・アプライ ト岩菜相 との関 係である. この関係 についてはまだ確実 なこ とを述べ得 ないのであるが,次 に述べ る事実 は多少示唆的であろ う:

(

C-1

)

両雲母 花 関 岩祭相は,領家期や北九州釈白亜紀 の連続貫 入の場合には最終貫入であ る;(C-2)ペ グ マタイ ト・アプライ ト岩脈は各貫入岩 体に伴 ってい るが, とくにU,Th鉱物によって 特 徴付 けられているペグマ タイ ト・アプライ ト 岩果相は両雲母花 尚岩祭相 よ りも先貫入であ る;(C-3)中国地方新白亜紀花 尚岩 体 に は 両雲母花 尚岩奨相が伴 なわないが,熱水潜液 相にUが濃縮 している傾向が認め られ る. これ らの事実か ら,暫定的に次の提案 を記 してお きたい:(i)両雲母花 歯岩菜相 はペ グ マタイ ト岩菜相 よ りも多水系であって,熱水 搭液相に近付いた 岩柴相である.(ii)Thの 大部分 は岩衆相の間に晶出 して しま うが,U は熱水溶液 と-諸に他の場所に移動 して しま う.従 って残溜岩渠 (いまの場合には両雲母 花 嵩岩衆) にはUが乏 しくなる. この考 えに よると,両雲母花 園岩 に Raが少量 とな って い ることが理解 され るであろ う4). (3)熱水溶液源 ウラン鉱 床の ウランの根源 につい て 前項 に述べ たところが不変唯一の法則 な ら ば,それか ら推論 され るところでは,鳥取県 小鴨鉱 山に示 されてい るよ うなウ ラ ン産 例 は,岩梁輪廻終末期 を代表す る熱水潜液相に お けるウ ラン濃縮 を示す もの と解す るのが妥 当であろ う. しか し,その可能性の列に更に 他の可能性のあることを提唱 して,今後の研 究に資 したい と思 う.それは次記の可能性で あ る:現 に見 る含 ウ ラン鉱脈の本源は含 ウ ラ ン性ではな くて,通常の無 ウ ラン熱水溶液で ある;その無ウ ラン熱水浴液が,酸 による易 潜 ウ ラン (構成鉱物の被膜や割 目な どの放射 性物質に含 まれ る) を比較的多量 に含む花 尚 岩体 を貫 き通 る過程 において,易潜 ウ ランを 潜か して二次的に含 ウ ラン熱水溶 液 に 変 じ た;このよ うな熱水溶液に溶 ける ウ ラ ン は

U

4+でな く

U

6十に酸化 してい るであろ う;従 って この現象は一般 に酸化条件下 (例へば地 殻の浅処)であって,その二次的含 ウ ラン熱 水浴液か ら含 ウ ラン鉱物が晶出す る た め に は,潜液系が再び還元条件 (sulphideを主 と す る金属鉱脈 に見 られ る条件) に恵 まれ るこ 3)両雲 母托 尚岩か ら分離 した ジル コンを検 鏡 す ると, その ジル コン結 晶内 に モナズ石 粒 (丸味 を帯 びた小 粒 )が若 干 個づつ包 有 され てい るの を見 る ;モナズ石 が ジル コンよ りも先 晶 出で あ るこ とを知 る・ 4)ここで指 摘 してお きたい こ とは,両雲 母花 樹岩渠相 や熱水溶 液相3)よ うな多水 系 を代表す るSiO20/Oを正 規花 尚若菜相 の それ と相関 す る もの とは考 えない こ と,換 言すれ ばSiO2%を常 に不変的 に岩祭進 化 の 基 準 としない こ とで あ る.

(9)

24 冨 田 遷 ・桃井 斉 ・唐木 田方文

とが必要であると考 え られ る.

上述の可能性が含蓄す る重要性は,ウ ラン 源が uraniniteまたは pitchblendeの よ う な高品位鉱床ではな くて,単 なる花 尚岩 中の 易溶性含 ウ ラン物質であるとい う点 に存 し, この ことはウ ラン探鉱上かな り複雑な問題 を 提供す るもの と思考 され る. IV 花 尚岩境の成因研究について 地質時代の若い花 尚岩 ほ ど,そのRa含 有 量が多い とい う事実 を説明す る た め に, さ きにRANKAMA (1946)の既存花尚岩 原 の partialremelting説 を許容 した場合 の 論 述 を行 った. しか し,言 うまで もな く,その説 は花 尚岩衆成因問題 として十分に検討 されね ばな らない. 花 尚岩菜の成因 としては,次の

2

つの可誰 性が考 え られ る:(A)玄武岩質岩祭 の 分 別 結晶作用の結果 として生 じた最終残液である (BOWEN'stheory);(B)既存花 嵐岩 類 の partialremelting によって最初 に生ず る溶 液である. この

2

っの可能性のいづれを選択 す るかについては地質学者の間に意見の相異 がある;BOWEN (1954)は (B)の可 能性を み とめなが らも, (A)の考 えを保持 している のに対 して,多 くの学者 は (A)の 場合 (岩 引 用 衆分化岩体や或 る火山の場合 な ど)を み と めなが らも,造 山帯 における底盤花 園岩 体を 形成す る場合の花 尚岩 衆 は (B)で あ ろ う として い る (HATCH eta1.,1952,p.378; TYRRELL,1953,p.43;GILLULYeta1.,

1955,p.463). さて,花 尚岩梁の成因が上記2可能性のい ずれであろ うと,その化学成分 は,主成分に 関す る限 りにおいては,ほ とん ど全 く一致 し てい るのであって,従 ってまた岩柴原花 梅岩 に関す る限 りにおいては,主成分鉱物の検査 だけでは認め得可 き差異 はほ とん ど無い と推 知 され る. このよ うな事情にある場合,花 尚 岩 の中に成因論に資すべ き証拠 を求 めん と欲 す るな らば,化学成分上や鉱物成分上の主成 分のみを対 象 としないで,他の成分 (微量成 分や副成分鉱物) を も調べ るとい う研究方法 を とることが望 ましい.我我 はこの見地に立 って,我我の研究を進 めて行 きたい と思 って い る. ちなみに, ここに述べた研究方針 は火 山岩類について もあてはまると考 えてを り, routineexplanationや arm-Chairinter p-retation に低回せずに更 に多 くの事 実 や 証 拠 を蓄積す る方向の研究が将来のために必要 であると信 じてい る.

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285-286.〕 質 疑 応 答 斉藤 (東大)silicacontentは一つの岩体 をとって どうなるか・逆にRacontentか らbasicとか時代 を出す ことがで きないか.Th,Uと陰陽 イオンの差か ら考 えて もこの結果 は面白い.(Uは anionicになる) 早激 (京大)時代 とRacontentとの関係について は 時 期 尚 早 で な い だ ろ うか・hydrothermalと finegrainedmineralと両方の影響を考 えねばな らない・ 岩生 (東大)50% silicaの ものは何か・ 桃井 Tertiaryの ものはgabbro,領家ではgranodiorite,diorite又は inclusionであ る・ それ ぞれ1つの岩体である.verycontactの ものはsamplingしていない.

参照

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