香 川 大 学 経 済 論 叢 第71巻 第3号 1998年 12月 257-305
日本の国債先物オプション市場における
オプション・モデルの妥当性
吉
東
金
1 は じ め に 国債先物オプション取引は, 1990年5
月東京証券取引所に上場された先物オ プション取引である。国債先物オプション取引は,長期国債先物取引の当限を 含めて,期近なほうから2限月を原資産とする。国債先物オプションのコール の買い手が満期まで権利行使を行うと,権利行使価格を約定価格として国債先 物の買いポジションが生じる。同様にプットの買い手の場合,国債先物取引の 売りポジションが生じる。国債先物オプションの原資産である長期国債先物取 引は,長期国債標準物(クーポン6%
,残存10年)を原資産とする上場先物取 引である。市場開設当初,原資産の長期国債先物の取引高に対する国債先物オ プションの取引高比率(表1)は約14%であったが, 1992年と 1993年には約 9 %まで減少し,近年開設当初の水準以上に回復した。米国市場のT-Bond先 物取引に対する先物オプション取引の比率は約30%であることから,今後より 発展が予想、される市場である。 これまでのところ,株価指数オプション市場における研究は散見されるが, 国債先物オプション市場に関する研究は少ない。 (1) 本稿は神戸大学に提出した博士論文の第2章の内容を補完したものである。 ( 2) 国債先物オプション市場に関する文献として,岡安(1992),喜井(1994),日本銀行営業 局(1994),日本銀行調査統計局(1995),日本銀行金融市場研究会編(1995)がある。間安 (1992)は,国債先物オプション市場の制度に関して詳しく紹介する。喜井(1994)は, 1990 年 5月 11日から1991年 2月 28日までの債券先物オプションの終値データにおいて, Blackモデルを用いて得た特性を米国の実証分析のそれと比較する。日本銀行金融市場 研究会編(1995)は,日本銀行営業局(1994),日本銀行調査統計局(1995)をまとめて国債先 物オプション取引に関する概観を示している。258 香川大学経済論叢 844 本稿の目的は,国債先物オプション市場におけるオプション・モデノレの妥当 性を検証することにある。 オプション理論の基礎を築き上げた
B
l
a
c
ka
n
d
S
c
h
o
l
e
s
(
1
9
7
3
)
は,原資産価 格,満期までの残存期間,無危険利子率,行使価格,そして,満期までの原資 産価格の変動性(ボラティリティ)の5
つの要素からなるオプション価格評価 モデル(
B
l
a
c
ka
n
d
S
c
h
o
l
e
s
モデル)を導いた。彼らのモデルは,上記の要素 を代入さえすれば電卓でも容易に計算できるほどシンプノレなことなどから広く 使われ,新しいオプション・モデルの評価の際ペンチマーク(先物オプション の場合はB
l
a
c
k
モデノレ)となっている。 ところで,上記の5
つの要素のうち(事前の)変動性だけは市場で直接観察 することはできないので,オプションの理論価格を求める際何らかの代理指標 を用いなければならない。変動性の代理指標としてよく用いられるのは,ヒス トリカyレ・ボラティリティ (以降, HV)とインプライド・ボラティリティ (以 降, IV)である。 HVとは,過去の原資産収益率の標準偏差のことである。 IV は,原資産の変動性をのぞく他のすべての要素をオプション・モデノレに代入し て市場価格に織り込まれている変動性を逆算したものである。従って,オプショ ン・モデルの妥当性のテストは,オプション・モデルの妥当性と理論価格を計 算するのに用いられるボラティリティの適切性との同時検定(榊原(19
9
2
,p..1
4
)
)
である。 債券先物オプション市場において検証すべきオプション・モデノレとしては, まず,現実的に市場でもっとも使われているB
l
a
c
k
モデルがある。次に,満期 までいつでも権利行使が可能という市場制度からアメリカ型オプション・モデ ルがある。そして,先物の対象が株式(指数)でなく債券であることから利子 率期間構造に基づくオプション・モデルが考えられる。本稿では後で述べる理 (3) IVに関する先行研究を体系的にまとめた文献研究として, Mayhew (1995)がある。 (4 ) 市場には残存期間の異なる多数の国僚が存在するが,その国債の残存期間別の利子率 はそれぞれ独立に決定されているのではなく密接に関連しあっている。このような「空間 的」な利子率の変動,すなわちクロスセクションで見た残存期間別の利子率体系を利子率 の期間構造という。25 9-日本の国債先物オプション市場におけるオプション・モデルの妥当性 845 Blackモデノレとアメリカ型オプション・モデルとしては唯一解析的に 解を求められてIVの推定が容易なChaudhuryモデルの妥当性を検証する。 主な検証内容は,国債先物オプション市場においてどのオプション・モデル 由から, がより市場価格に近い予測をするか,原資産の価格変動性の推定値として, IV とHVのどちらのボラティリティを使用した方がよりオプション市場価格に 近い予測ができるかである。 まず,第
2
章でオプション・モデ、ノレの妥当性に関する内外の先行 以下では, 研究を考察する。つぎに,第3章で本稿で検証を行うオプション・モデルを限 定した後, Blackモデルと Chaudhuryモデルを紹介し,用いるデータと検証手 順を述べる。第4章で,検証結果を全分析データとクロス・セクショナル・デー タに分けて示す。最後に,第5章で本稿の結論を述べる。 f i l i f t -t y p -t i ; ! h } i l e } b i : J t E l﹄ 先 行 研 究 2. オプション・モデ オプション・モデルの妥当性のテストは, 前述のように, ノレの妥当性と用いられるボラティリティの適切性との同時検定である。以下で まず,ボラティリティの推定に関する研究を紹介する。次に,債券先物オ は, プション市場における実証研究を簡単にまとめる。 ボラティリティの推定に関する先行研究 オプション・モデノレの妥当性に関する多くの実証研究は,原資産の価格変動 性(ボラティリティ, σ)の推定値として主に以下の5
つの論文で発表された方 法のうちどれかを採用している。 2..1.. オプションに関する最初の本格的な実証研究であるBlackand Scholes オプションが発行された日まで遡って計算した株価変化率の対数値 モデJレの妥当性と市場の効 (1972)は, の標準偏差をボラティリティの推定値(HV)とし, 率性をテストした。 ところで, Black and Scholes (1972)は,論文のなかで事後的な値(HV)では 他に, Arch, Garchといった統計的方法を用いたボラティリティの推定方法もある。 (5 )-260- 香川大学経済論議. 846 なく予測を含んだ事前的なボラティリティであれば望ましいと示唆した。そこ で,
L
a
t
a
n
e
a
n
d
R
e
n
d
l
e
m
a
n
(
1
9
7
6
)
は,B
l
a
c
k
a
n
d
S
c
h
o
l
e
s
モデルにオプショ ンの市場価格を代入して逆算する方法でボラティリティ(
I
V
)
を推計した。IV
は,原株の将来価格に関する市場の思惑が含まれているであろうから,過去の 株価情報から推定したHV
に比べてBla
c
ka
n
d
S
c
h
o
l
e
s
モデルにおけるボラ ティリティ (σ)の意味に近い。彼らは,同一原株について発行されているすべて の行使価格別オプション(オプション・シリーズ)のIV
が一定でない為,ボラ ティリティに対するオプション・プレミアムの感応度をウエイトにする以下の 方法(
w
e
i
g
h
t
e
di
m
p
l
i
e
d
s
t
a
n
d
a
r
d
d
e
v
i
a
t
i
o
n
:
WISD)
を用いて σの推定値を求 めた。 v i l l i t -l l l i l一
L
:
Wjtσ
jtWISD
t =---2一一一一一L
:
Wjt(
1
)
W ただし c コール,0
:
IV
j オプション契約t
取引日C
h
i
r
a
s
a
n
d
M
a
n
a
s
t
e
r
(
1
9
7
8
)
は,配当を考慮した修正B
l
a
c
ka
n
d
S
c
h
o
l
e
s
モ デルに基づき,IV
が原株の将来価格変動の予測に使えるかについてテストし た。サンプルとして,CBOE (
C
h
i
c
a
g
o
B
o
a
r
d
O
p
t
i
o
n
s
E
x
c
h
a
n
g
e
)
における1
9
7
3
年6
月1
日から1
9
7
5
年4
月3
0
日までの株式オプション・データを用いている。 その際,彼らは,L
a
t
a
n
e
a
n
d
R
e
n
d
l
e
m
a
n
(
1
9
7
6
)
のWISD
がオプション・プレ ミアム水準を無視していることを指摘し,弾力性をウエイトにする以下の方法 を用いてσ
の推定値を求めた。 ~W;向WISD
t =-!,一一一一-L
:
W
;
t(
2
)
め ナ ト 吋 C一
σ
ペ NU 一 ペ N V 眠 そして,以下の回帰分析を用いて,I
V
はHV
に比べて原株の将来価格の変動に-261 日本の国債先物オプション市場におけるオプション・モデルの妥当性 847 関するより優れた予測測度であるという仮説をテストした。 (3)
σf=α
+b.HSD
tσf=α
+b. WISD
tσf=α
+bl
・HSD
t+
b
z•WISD
tσ
f
t
時点から(
t
+
2
0
)
時点までの原株収益率の標準偏差,HSD
t ::(
t-20)
時点から t時点までの原株収益率の標準偏差 上記の回帰式の決定係数は,原株の将来(ただし,オプション取引の満期ま でとは限らない)における変動性が, H VあるいはWISDによってどの程度シ ステマティックに説明できるかを示している。従って, HVあるいはWISDの ただし,i
l
i
t
i
-i
l
-↓ 予測能力を表していると見なすことができる。検証の結果,彼らは,予測能力 においてWISDは明らかにH Vより優れていると結論づけた。 Macbeth and Merville (1979)は, 1975年12月31日から 1976年12月31日 のCBTにおける 6社の株式オプション・データを用いてBlackand Scholes モデルをテストした。彼らは, Black and Scholesモデルは満期まで少なくと も90日間あるアット・ザ・マネー(ATM)のオプションについては正しく評価 できるものと仮定し,以下の方法を用いてATMオプションのボラティリティ (仇)を計算している。 M _!
2
t-Xje付 川 it Xie
一 昨S
t
:
格価 Whaley (1982)は, 1975年1月 17日から 1978年2月 3日までのCBOE上場 (4)σ
ti=8
0+
81Mit+
ε
it ただし, の株式オプションの週データを用いてRollモデルを修正したモデルなどをテ ボラティリティの推定には従来とは異なる以下の方法を用いた。 ストしたが,(
5
)
C;t
(
a
)
:モデル価格 上記の式は,実際の市場価格C
iと理論価格 C;(ぷ)の靖離を最小にするようなIV
を求める方法である。 Min ~ [Cit一Cit(6
)
]
2
{σ Cit::オプションの市場価格, ただし,-262- 香川大学経済論叢 848 国債先物オプション・データを用いて本格的にボラティリティを推定して分 析を行った研究として,日本銀行調査統計局(1995)がある。日本銀行調査統計 局 (1995)は,日経平均,債券先物,金利先物,通貨を原資産とするオプショ ン市場で, IV, H Vが将来の原資産価格の変動に関する有用な情報を含んでい るか否かを検証した。 IVは,先物中心限月のオプション・データ(1990年5月 22日から 1994年2月17日まで)において, Blackモデノレを用いて得たNTM 銘柄のIVを単純平均したものである。また, H Vは,過去
2
0
営業日の先物収 益率の標準偏差である。検証方法として,以下の回帰式を用いる。σf=α +b.ISD
t十ε
t
ISD
t =α+b.HISD
t十ε
t
σf=α+
b1 •ISD
t+
b
z•HISD
t+ε
t
(6) ただし ,a
;
:
:
t
時点から取引最終時点、までのサンプ/レから計算された標 準偏差(リアライズド・ボラティリティ),HISD
t:(
t
-
2
0
)
時点、から(
t
-
1
)
時点までのサンプルから計算された標準偏差 上記の回帰式(6)は, Chiras and Manaster (1978)が用いた回帰式(3)と類似す るが,以下の 2点が異なる。まず,ここでは,事後的な将来の変動率(リアラ イズド・ボラティリティ,以下, RV)として取引最終日までの債券先物収益率 の標準偏差が使われている。次に,オプシヨン・シリータの二蔀みらみを用い てIVの加重平均値が求められている。上記(6)式の1番目の回帰式は,事後的に 観察された将来の原資産価格の変動(RV)に対してIVが予測力を有するか否 かを検証する。 2番目の回帰式は, IVの形成がH Vにどの程度影響を受けてい るかについて検証する。もし,IVがHVのみの情報から予測できているとすれ ば,特にIVを用いることなく, HVがそのまま予測指標として役割を果たすこ (6 ) 喜井(1994)は, 1990年5月11日から 1991年2月28日までの4限月の債券先物オプ ションの終値データを用いてIV(Whaley方法)を推定し分析を行ったが,サンプルの データが少数である為本稿では言及しない。 (7) 原資産の終値を挟む権利行使価格を持つコール,プットの計4銘柄。 (8 ) オプションのクラスはコールとプットを,シリーズは行使価格及び残存期間別オプ ションを意味する。849 日本の国債先物オプション市場におけるオプション・モデルの妥当性 -263-とになる。 3番目の回帰式は, RVについての予測指標として IV,H Vのいず れがよいか, もしくは双方とも用いる必要があるのか検証する。 回帰分析の結果を見ると,月次もしくは3ヶ月ごとのデータの場合,RVに対 する予測能力という点でH Vに比べ IVが特に優れているとの結果は得られな い。また,日次データの場合, IVの説明力は RVに対して有意でない。従って, 全体的に, IVの情報量は限られている。 ただし, 日本銀行調査統計局 (1995)は, IVの指標性に関する分析には,限 月交代,残存期間の短縮に伴うデータのノイズが計測結果に影響を与えること, 及び日次データを使用した回帰分析における誤差項の系列相関等の問題がある と述べている。 2..2. 債券先物オプション市場における実証研究 多くのオプション市場で先物オプション・モデルの妥当性に関する実証研究 が行われてきた。そこで,債券先物オプション市場データを用いた近年の先行 研究をまとめたのが表2である。以下では先行研究におけるオプション・モデ 1レの妥当性のテストに関する部分のみを紹介しよう。
C
a
k
i
c
i
,
C
h
a
t
t
e
r
j
e
e
and W o
l
f
(1993)は,CBT
に お け るT-Note
及 びT
-Bond
の先物オプション(1987年 1月 2日-1987年 12月 31日)において,B
l
a
c
k
モデノレとその拡張であるアメリカ型のBarone-A
d
e
s
i
and Whaley
モデ ルをテストした。彼らがBlack
モデlレとアメリカ型のBarone-A
d
e
s
i
and
Whaley
モデノレを用いたのには2
つの理由がある。 lつは,長期利子率の不確実 性は債券価格及び債券先物ボラティリティに重要な要因であるが,その不確実 性は短期利子率の動きに関する仮定(短期利子率一定)とある程度分離可能で あるというWhaley
(1986)の指摘を受けてである。もう 1つは,確率利子率モデ lレは解析的解がない為,数値解法(
n
u
m
e
r
i
c
a
lm
e
t
h
o
d
s
)
を使わざるを得ないか ( 9) Whaley (1986, p..129)は,短期利子率一定という仮定は厳密にはあらゆるオプション 価格モデルにおいて支持できないと述べている。しかし,オプション・モデルの妥当性は, 用いる仮定を基準に評価される必要はなく,オプション・モデルが持つ予測能力から判断 できるとしている。264 香川大学経済論叢 850
らである。
彼らは,モデIレによるシステマティック・ミスプライシングを見る為,残存
期間別及びマネネス別ドノレ・ミスプライシング(市場価格一理論価格) の平均 値を計算しこつのモデルを比較した。その結果, ヨーロッパ型のBlackモデル とアメリカ型のBarone-Adesi and Whaleyモデルのミスプライシングの程度 は等しいことがわかり, それにより, T-Note及びT-Bondの先物オプション を評価するにおいて, Blackモデ/レはよい近似であると結論づけている。
Harrison, Pham and Sim (1993)は, ボラティリティの推定にH Vと前述の
三つのIV推定方法 (Whaleyの方法を除く)を用いて, Blackモデルをテスト した。サンプノレは, オーストラリアにおける T-Bond先物オプション・データ (1985年11月5日から 1990年6月15日まで) で あ る 。 そ し て モ デ ル の パ フォーマンスの判断基準として以下の二つの基準を用いる。 ①予測誤差,ただし, (市場価格一理論価格)/理論価格とする, の絶対値 ②市場価格と理論価格との回帰式(帰無仮説は,定数項0,傾き1) 検証の結果, まず,予測誤差の絶対値の水準から, IVは, HVより有効な予 測能力を持っていることがわかった。また,市場価格と理論価格との回帰式は, どのボラティリヂイを用いても高い決定係数の水準である。 しカ3し, どのボラ ティリティを用いても定数項及び傾きは,有意に
O
と1
とは異なるものであっ ~? ,、ー。 以下は,利子率の期間構造に基づくオプション司デノレの実証研究である。 Ho and Lee (1990)は,1985年4月1日から5月までのIMM(International Mone-tary Market)のユーロドノレ・タイム・デポジット (eurodollartime deposit)先 物オプションの終値データを用いてBlackモデノレと Hoand Leeモデノレを検(10) マネネス(moneyness)とは,原資産と行使価格との比率関係を言う。コールの場合,行 使価格より原資産価格が高いとイン・ザ・マネー(inthe money: ITM),行使価格と原 資産価格が等しいとアット・ザ・マネー(atthe money: A TM),行使価格より原資産価 格が低いとアウト・オブ・ザ・マネー(outof the money: OTM),そして, ATMに近 いマネネスはニア・ザ・マネー(nearthe money: NTM)である。本稿の検証では,マ ネネスを FjX(ただし, F:先物価格, X:行使価格)と定義する。
-265ー 日本の国債先物オプション市場におけるオプション・モデルの妥当性 851 ユーロドル・タイ
Ho and Lee
モデ 証した。彼らが検証データとしてその取引を選んだ理由は, また, ム・デポジットがゼロクーポン割引債券であること, ルの仮定と同じくその先物取引(
9
0
日満期) とオプション取引の満期が同じこ とである。検証の結果,残差平方和の比較で,HoandLee
モデルは,概ねB
l
a
c
k
モデルより少ない推定エラーを示した。 シドニー先物取引所(SFE:Sydney F
u
t
u
r
e
s
E
x
c
h
a
n
g
e
)
の9
0
日パンク・アクセプテッド・ビノレ(BankA
c
c
e
p
t
e
d
B
i11)先物オプションの終 個データ(19
9
1
年4
月3
日から1
9
9
1
年5
月3
0
日まで)を用いてB
l
a
c
k
モデル とHoand Lee
モデノレの比較を行った。ノTンク・アセップト・ビルは割引債券 でありその先物取引とオプション取引の満期日の聞には2
日の差があるが,Ho
and Lee
モデルの仮定を満たすため同じ満期日と仮定する。残差平方和の比較Ho and Lee
モデルはB
l
a
c
k
モデルより有意な説明力を持つ。また, Black
モデルと違って,Bhar
(
1
9
9
3
)
は, 1 i ! ? i t -l i l l i t -f I I z -7 1 t の結果, マネネスと残存期間にHo and Lee
モデルの残差は, 対するバイアスがない。 先物オプション・モデル 3“ 検証すべきモデルの限定 3ゆL 国債先物オプション・データを用いて先物オプション・モデルを検証する場 合,オプション・モデノレとしてB
l
a
c
k
モ デ ル ( 及 び そ の 拡 張 モ デ ル で あ るChaudhury
モデル)と利子率期間構造に基づくオプション・モデノレ(HoandLee
モデル等)を考えられる。B
l
a
c
k
モデルは,現実的に市場で最も一般的に用いられることから基本的に 検証すべきモデルである。国債先物オプション取引は満期までいつでも権利行 アメリカ型先物オプション・モ デルのChaudhury
モデルも検証対象になる。Black
モ デ ル にhaudhury
モデル も同様)では,先物は株式と同じく幾何ブラウン運動に従い,先物価格のばら つき度合いは時間の経過につれて(時間の平方根に比例して)大きくなる。 使が可能なアメリカ型オプションであるため,Bl
a
c
k
and S
c
h
o
l
e
s
モデルを債券オプションに適用した場合,以 ところで,266 香川大学経済論叢 852 下のような問題点が指摘されている(駒形他(1
9
9
2
,p..3
4
)
。) ①債券価格は,償還日には必ず額面価格になる。従って,債券価格の単位時 間当たりの確率変動は償還近くで徐々に小さくなり,償還日においてはつ いにOになる(図1を参照)。つまり, ボラティリティが減衰するわけであ り,この分布は対数正規分布とは明らかに異なる。したがって,B
l
a
c
k
and
S
c
h
o
l
e
s
モデルでは債券価格のダイナミクスを実際より過大に変動するよ うに評価することになる。 @債券は,時聞が経つに従って償還日までの時間が短くなる。つまり, ある 意味では債券とは時間の経過と共にそれ自身が変化してしまう商品であ り,ボラティリティもそれに従って変化する。ところが,B
l
ack and S
c
h
o
l
e
s
モデルにおいては, オプション期間中の対象資産はあくまでも満期まで同 ーであることが前提である。 ③B
l
a
c
k
and S
c
h
o
l
e
s
モデルにおいては短期金利は常に一定であると仮定さ れている。従って,債券オプションに適用すると,債券価格の変動に伴っ て債券金利も変動するにも関わらず短期金利が一定と仮定することにな り,矛盾を引き起こす場合もある。 ④債券は金利が変化しなくても日数が経過するに従って価格が変化する。 ? 、 ー のことは債券価格が額面と離れていればいるほど顕著である。 とζろカま,B
l
a
c
k
and S
c
h
o
l
e
s
モデルでは債券のこのような性質が全く反映されてい ない。 上記の指摘からすると,株式先物オプションの場合とは違って債券先物オプ ションにB
l
a
c
k
モデノレを用いることは誤った結論を導く可能性がある。 しかし,以下のことを考慮すると,上記の問題点はさほど重要ではないかも しれない。第lに,国債先物オプションの場合,国債の存続期間(先物取引によ る受渡時点で国債の残存期間7年以上 11年未満)に比べて先物及びオプション (1l) 例えば 5年債を原資産とするコーJレ・オプションを考えよう。 6ヶ月経過後,その債 券は4..5年の債券になり, 45年債は5年債に比べてボラタイルではない。従って,債券 価格のボラティリティも変化することになる。853 日本の国債先物オプション市場におけるオプション・モデルの妥当性 267 -の取引期間はかなり短い。その上,先物及びオプションの取引期聞は,国債の 存続期間の内,初期部分に当たる。従って,債券の償還日に債券価格のボラティ リティがゼロという性質は,オプションの価値評価にさほど影響を及ぽさない であろう。 第
2
に,債券先物は,将来の特定の日にあらかじめ取り決めた価格で特定の 債券を取引する契約であり,時間の経過に関わらずその契約の性質は変わらな い (Tompkin(1994, p. 431))。従って,国債先物オプション期間中の対象資産で ある債券先物は,オプションの満期まで同ーである。 第3に,債券先物価格は変化する一方で短期金利は常に一定という仮定によ る矛盾は,オプションの満期までの金利を適用することによって現実的に改善 できょう (Hull(1989,三菱銀行商品開発室訳 (1992,p“328))。 債券先物オプション市場への適用を考えられるもう一つのモデルである利子 率期間構造に基づくオプション・モデル(Hoand
Leeモデル等)は,基礎とな るスポット・レートの推定が正しいという前提(利子率の期間構造は所与)でオ プションの理論価格を計算している。 利子率の期間構造から日本の国債市場または債券先物市場を分析する研究と して,刈屋(1990),Singleton ・菊川 (1992),安達(1994),今村他(1996),友塚 (1996) 等がある。利子率の期間構造による分析は,ゼ、ロ・クーポン割引債の 利子率であるスポット・レートの推計から始まる。ところで,日本には,肝心 のスポット・レートの推計に必要な様々な残存期間の割引債が存在しないため, 利付き国債(利付債は割引債の集合体と考えられるため)の残存期間別の個別 データからスポット・レートを推計しなければならない。 国債市場におけるスポットレートの推計に関して,刈屋 (1990)は,実際に取 引所で売買されている債券の大部分は,指標銘柄と言われる1
銘柄に集中して (12) 先物の取引期聞は最長l年3ヶ月,オプションの場合は最長6ヶ月である。 (13) Hull (1993, p..380)は,オプションの取引期間が債券(原資産)の寿命(life)に比べて短 い場合(取引所の債券オプションのほとんどがそれに当たる),オプションの取引期間中 債券ボラティリティは一定と仮定できると述べている。 (14) その推計方法としては, McCulloch方式, Vasicek and Fong方式等がある。-268 香川大学経済論叢 854 その他の銘柄の価格付けの大半は気配値であることから,使用するデータが市 場実勢を表しているのか,という疑問を提示している。特に,指標銘柄は,他 銘柄と比較して著しく流動性が異なることにより,プレミアムが付き,割高に なっているため,厳密な計測には流動性プレミアムに対する配慮も必要である と述べている。 また,計測方法において,回帰関数の選択や回帰データの加重 の不均一性の問題があると指摘している。 Singleton・菊川(1992)は,国債市場 では,先物の受渡オプション(受渡決済の場合に売り手が持つ銘柄選択権)に関 係して 7"""11年の受渡適格ゾーンでイールド・カーブに歪みが生じる現象を報 告する。今村他(1996)は,利子率の期間構造モデルを用いて債券へッジの理論 構築を行い, さらにその理論に基づき先物のみで国債をへッジした場合にどの 程度のへッジ精度が得られるかを検証した。彼らは,スポット・レートの推計 に際し,割引関数に指数スプライン関数をあてはめる Vasicekand Fong方法 を用いたが,論文の最後に, スポット・レートの推定精度が検証結果に大きく 影響を与えると述べている。 以上の日本の利子率期間構造に関する先行研究を見ると, オプション・モデ ルの基礎になる利子率の期間構造(スポット・レート)の推定が正しいという前 提は今のところ十分でないようである。本稿では,利子率の期間構造に基づく オプション・モデノレの検証は今後の課題に残し, さしあたって, Blackモデル とその拡張であるアメリカ型Chaudhuryモデルの妥当性を検証する。 3..2. 81ackモデルと Chaudhuryモデル 3..2..L 81ackモデル
Black (1976)は, Black and Scholesモデルと同様の以下の主たる仮定 1資本市場は完全である。 2..無危険利子率(r)は,時間に関わらず一定である。 (15) 釜江(1993,p..7)は,国債の売上高が指標銘柄に集中することを国債流通市場の特徴と し,以下のように述べる。r(前略),このような現象は1987年頃以降顕著となり,国債(現 物)の売上高の90%以上を占めるまでになっている。指標銘柄には,発行額と市中引受額 が多くて残存期聞が長い銘柄が選ばれ,これらとクーポン・レートと残存期聞が似ている 銘柄を比べると,前者の利回りの方が低い。」
-269ー 3..原資産(先物)価格は,幾何ブラウン運動と呼ばれる確率過程, dF=μFdt+
σ
Fdz, (F:先物, μ:先物の期待収益率,σ
:
収益率の 標準偏差, dz:ウィナー過程) 4..先物収益率の標準偏差(ボラティリティ)は一定である。 の下で,無危険資産,先物, に従う。 オプションの3資産からなるへッジ・ポートフォ オプション・プレミアムに関する以下の均衡 リオを組んでト無裁定理論に従い, 条件式を求めた。(
7
)
そして,満期におけるコール価格 {c=
Max[F-X
, O]},プット価格{ρ=
Max[X-F,O]}の境界条件の下で上記の均衡条件式を解くと, 日本の国債先物オプション市場におげるオプション・モデlレの妥当性 855o
f
I1
o
サ
一一+一一ーがot '2
oF FZ-rf=0
コーノレ: c = exp( -rr){FN(dl)-XN(ゐ)}い
片
方
X
一σ
F
一 , ぬ (8)ρ=
exp( -rr ){XN( -dz) -FN( -dl)}F:
先物,X:
行使価格 r 無危険利子率,r
:
残存期間,N
(
・):標準正規分布の累積密度関数である。 プット: ただし,0
:
ボラティリティ, Chaudhuryモデル 3..2“2. 一般にオプション取引は,契約を結んだ時点でオプション・プレミアムの授 それに比べて,先物取引は, はせず,値洗い (markto market)を行う。 受 れ 授 わ の 扱 ム でア
ω
所 、 、 、 コ ワ レ 取 プ の な 部﹀ つ
一
よ の ン ヨ シ プ オ 受を行う。 ところで, (16) 当日の約定値段を当日の清算値段に引き直すこと及び前日の清算値段を当日の清算億 段に引き直すこと。 (17) LIFFE (London Intemational Financial Futures Exchange), SFE (Sydney Futures Exchange)。
856 香川大学経済論叢 -27 0-オプション・ 以下ピュア・オプション)は, るオプション取引
(
P
u
r
eO
p
t
i
o
n
s
, プレミアムの授受の代わりに先物取引と同じく値洗いを行う。 以下のようなピュア・オプションのL
i
e
u
(
1
9
9
0
)
は,無裁定条件に基づいて,APPENDIX
を参照されたい。) Cp=
FN(dl)-XN(じた)=
e
x
p
(
r
r
)c Pp = XN( -d2) -FN( -dl)=e
x
p
(
r
r
)
ρ
そして,L
i
e
u
(
1
9
9
0
)
は,アメリカ型ピュア・オプションとヨーロッパ型ピュア・ ピュア・オChaudhury and Wei (
1
9
9
4
)
は, オプションの価値は等しいことを, プション価格がアメリカ型先物オプション価格の上位境界であることを示し た。(
9
)
価格式を導いた。(ご項モデルによる導出は, f t r i i -e t i i [ l i ; l i l i -i ↓t l i -アメリカ型先 ピュア・オプションとアメリカ型先物オプションの関係から, 物オプション(
C
)
は, (1)
0
式のように表現できる。c
r
c =e
x
p
(
r
r
)
ι
PI
下 =e
x
p
(
r
r
)
ρ
ただし,e
x
p
(
r
r
)
>
rc>
1
,e
x
p
(
r
r
)
>
rp>
1
(10) 。。式のF
は,期待利子節約要素(
e
x
p
e
c
t
e
di
n
t
e
r
e
s
t
s
a
v
i
n
g
s
f
a
c
t
o
r
)
と解釈されChaudhury
モデルの出発点になる。 (10)式から,c
= [(ljrc)e
x
p
(
r
r
)
]
c
P =[
(
1
/
ι
)
exp(η) ]
ρ
Chaudhury
モデルは,期待利子節約要素F
をどう測定するかによって以下のM A
,M B
,M E
に分けられる。期待利子節約要素Fは以下のように近似できる。 前 U z l ( ( 12)r
之 exp{E(x)}[l+
0
.
.
5
Var(x)] ただし.
x
γ,
[
1U(t) u(t)=
0または1 (18) MA, MB, MCモデルは,導出の便宜のため,現在オプションの行使されていない確 率 n(O)を1とする。 Chaudhury(1995)は,実際の市場データから最小二乗法を通じて n(O)を求めMA,MB, MCモデルに利用するMRモデルも紹介しているが,推定の複雑 さを避けるため本稿は採用しない。r
無危険利子率,857 日本の園債先物オプション市場におけるオプション・モデルの妥当性 ← 271
MA
とMB
は, (1)
2
式の第一項と関連している。MC
は,第一項及び分散を含む 第二項と関連している。MA:
コール: C = Mαx[F-X,
c exp{05N(d2)rr
}
]
プット: P = Mαx[X-F,ρexp{ 05N( -d2) rr}] ) 内 4 υ ' a A (M
B
:
:
コール:C
= Max[F-X,
c exp(rr{
l
+
N(d2)/lnN(一
ゐ
)
}
)
]
(14) プット: P = Max[X-F,ρexp( rr
{
l+
N(ーじた)/lnN(ゐ
)
}
)
]
M
C
:
:
コール: C=Maχ[F-X,
c exp(rr
{
l+
N(d2)/lnN(一
ゐ
)
}
)
]
/
{1-r2r
[
N(ゐ)
)
2
/21n[N(ー
め
)
)
2
}]
(15) プット: P = Max[X-F,ρexp(rr
{
l+
N( -d2)/lnN(ゐ
)
}
)
]
/
{1-y2r[N(一ゐ)
J
2
!
21n[N(ゐ
)
)
2
}
]
3.,3., 利用データ及び検証手順B
l
ackモデJレ及びChaudhuryモデルに代入すべき値として次のデータを用 いる。まず,東京証券取引所から提供された国債先物オプションの終値データ(
1
9
9
0
年5
月1
1
日(取引開始)から1
9
9
5
年9
月3
0
日まですべてのクラス及び シリーズ)とその原資産である長期国債先物の終値データである。次に,無危険 利子率として,日経テレコムからオプションの満期に最も近いCD
レートの買 いと売りのデータを収集し,その平均値を用いる。無危険利子率をオプション の満期まで一定とせず,オプションの満期に相応し日々変化するとするのは, 債券先物価格を確率的なものと仮定する一方,利子率を一定と仮定する理論的858 香川大学経済論叢 -272-そして,残存期間の計算においては,暦 矛盾を現実的に改善するためである。 日(年率)を用いる。 Bl
ack
モデル及びChaudhury
モデルにおけるボラティリティ(
0
)
の推定値 コーノレ・オプションを想定)を用いる。 として,前述の5種類の方法(以下では, ある日の原資産 ただし,現物オプションと異なって,先物オプションの場合, (先物)は一つではなく複数(先物取引の限月別)存在することから原資産の種類 を表す添え字zを加える。 ヒストリカル・ボラティリティ(
H
V
)
として,過去1
0
日,2
0
日,3
0
日 ず 合 A 山 営業日聞における先物価格前日比の対数値の標準偏差(HV1
0
,HV
2
0
,HV
3
0
)
を用いる。位
。
HVu
=J
3
6
5
.
/
,"2I
i
t
2
-n
(
"2,U
u
/
n
)
2
)
it一句vVvV
(n-
l
)
ん =l
n
(
F
i
t
/F
i(ト 1)),n
=1
0
,2
0
,3
0
ただし, Fi
t:
t
日の先物1限月L
a
t
a
n
e
a
n
d
Rendleman (
1
9
7
6
)
の方法をWISD
と表記する。 " 2 , WUtσ
叩t 防'
I
vS
Di
t
=---1.一一一一一一 ..L/tt ~W
:zjt 次に, ( 17) 口 OC 川iit - OIJσ
:
インプライド・ボラティリティ ただし, 取引日 オプション契約,i
:先物限月,C
h
i
r
a
s
and Manaster
(19
7
8
)
の方法をWISD2
と表記する。~ WiitOiit
WISD2i
t
=
す 砺 ア
また, ( 18) r;rr _ OCσut VV iit OO' C ijtM
e
r
v
i
l
l
e
(19
7
9
)
の方法をRISD(
R
e
g
r
e
s
s
i
o
n
I
m
p
l
i
e
d
S
t
a
n
d
a
r
d
D
e
v
i
a
t
i
o
n
)
と表記する。and
Macbeth
そして,273ー 日本の国債先物オプション市場におけるオプション・モデJレの妥当性 859 (19)
σ
i;t= ()Oi+
(
)
l
i
M
O
t
+
ε
耐F,
吋-X;X
i G一
X
一 作 ご 62
z
e一
F F
M 川(
)
O
:
:
t
日のRISD
最後に, Whaley (1982)の方法をLSSR(the Least Sum of Squared Residuals) u由 と表記する。 (20) ただし
CO
t
オプションの市場価格,C
i
i
t
(
a
)
:
モデル価格 一般的にモデルの妥当性をテストするときには市場の効率性が仮定され,市 場の効率性をテストする時にはモデルの妥当性が仮定される。本稿では,市場 は効率的であるという仮定の下で,国債先物オプション・データを用いて先物 オプション・モデルの妥当性を検証する。検証の主な中心内容は以下である。 ただし,l
際
p
l
手
[COt-
C
O
μ)
)
2
どのオプション・モデルがより市場価 ①国債先物オプション市場において, 格に近い予測をするか。 ②原資産の価格変動性の推定値として, IVとHVのどちらのボラティリ ティを使用した方がよりオプション市場価格に近い予測ができるか。 本稿では,①,②の判断基準として,円・エラー(YenErrors,以下YE)とパー センテージ・エラーの絶対値(AbsolutePercentage Errors,以下APE)を用い る。 • YE =市場価格一理論価格 • APE=
I (市場価格一理論価格)/理論価格│ 以下の通りである。 ①すべての分析対象データ(市場で値が付いたすべてのオプション・クラス及 びシリーズ)の中で,本質価値を下回るデータは異常値として除く。 検証手順は, ②国債先物価格から過去10日, 20日, 30日営業日間における先物収益率の (19) Whaley (1982)は, 1期前のボラティリティを推定し今期の理論価格の推定に用いてい る。本稿では示さないが, 1期前のボラティリティを用いても本稿の検証結果とほとんど 違いがなかった。274 香川大学経済論叢 860
標準偏差を求めたものを HV(各々, H V 10, H V 20, H V 30)とする。 IVの
目 。
推定は,二分割法(bisectionmethod)を用いて求めたが,市場価格と理論 価格の誤差は0..0001以下にした。その IVを基に WISD,WISD2, RISD
を計算した。 LSSRは Whaley(1982, pp.. 39-40)が提示する最小二乗法に 従って求めたが,その際許容誤差は0..0001以下とした。この段階で,ボラ ティリティの推定方法によって利用されるデータの範囲が異なることにな る。例えば, 回帰式を用いる Macbethand Merville (1979)の RISDは, オプション・シリーズにおける行使価格の数が3つ未満のサンプルは分析 データから除かれることになる。
③Bl
ackモデルと Chaudhuryモデルに上記のボラティリティを代入し, 各々の理論価格を求める(表3
参照)。④APE(及び YE)を計算し, APEが 100%以上のデータは異常値として除 く。 この作業により異常値として除かれるデータは, ボ、ラティリティの推 定方法によって異なる。 ⑤ 2つのオプション・モデノレと 5つのボラティリティの組み合わせによって 求めた理論価格と市場価格との回帰式を求める。 4.. 検 証 結 果 内外の先行研究によると, IVは行使価格(マネネス)と残存期間によって変 化す
Z
。すなわち, IVは,マネネスと残存期間との関数である。従って, IVに 基づいてオプション市場価格を予測する場合,予測誤差はマネネスとオプショ ンの残存期間によって変化があるかも知れない。以下では,全分析データ(検証 手続の④番を経たデータ)と, マネネス及び残存期間別のクロス・セクショナ ノレ・データに分けて分析を行う。 (20) IVの推定方法は,二分割法とニュートン・ラプソン法 (Newton-Raphsonmethod)が ある。推定に関する詳しい説明は, Benninga (1989,大村 (1991,pp.. 141-144))を参照 されたい。 (21) 日本の国債先物オプション市場におげるIVの性質に関しては,日本銀行金融市場研究 会編(1995),金(東)(1998)を参照されたい。861 日本の国債先物オプション市場におけるオプション・モデルの妥当性 275 4.1. 全分析データ 4 L 1リ 市場価格と理論価格の回帰結果 表
4
(コール),表5
(プット)は,全分析データにおける市場価格と理論価格 の回帰結果を表す。コール及び、プット共に, IVに基づいて理論価格を計算する と二つのモデルは非常に高い決定係数の水準(約099)であり, HVに基づいて 理論価格を計算するとそれより低い決定係数の水準(0..78~0.. 93)である。とこ ろで,もし,オプション・モデルがオプション市場価格を正確に説明するとす れば,帰無仮説は回帰式においてb
= 1,a
= 0のはずである。回帰式の定数項(
α
)
と傾き (b)をみると,二つのモデルでどのボラティリティを使うかに関わ らず,帰無仮説は棄却される。 全分析データにおいて,オプション・モデノレが,オプション価値を過大評価 または過小評価するか,表4(コール)と表5(プット)の回帰式の定数項(
α
)
と 傾き(めから明確である場合とそうでない場合がある。例えば,コールにおい て,H Vを用いたBlackモデルの場合,傾き (b)は1より小さく定数項(α)が負 である為,理論価格はオプション価値を過大評価する。しかし, IVを用いた Blackモデルの場合,傾きは1より大きいが定数項が負である為,過大評価と 過小=到面の部分が混在する。この場合,オプション・モデルが,オプション価 値をどう評価するか明確でトない。その際,判断補助として,表6(コーlレ),表 7 (プット)における YEの符号を見ょう。 表6(コーJレ),表7(プット)におげる YE(=市場価格一理論価格)の符号は, オプション・モデルはオプション価値をどう評価(過大または過小)するかを示 す。すなわち, YEの符号が正(負)の場合,オプション・モデルの理論価格はオ プション価値を過小(過大)評価する。コーノレにおいて, H Vを用いたBlackモ デノレの場合,YEの符号が負であることは,上記の回帰式における過大評価の結 果と一致する。 IVを用いたBlackモデルの場合, YEの符号は, RISD及 び LSSRでは正,WISD及びWISD2では負であることから,前者はオプション価 値を過小評価,後者は過大評価する。 全分析データのコール及びプットにおいて,HVはBlackモデル,Chaudhury276 香川大学経済論叢 862
モデノレ共にオプション価値を過大評価する。同じく,
RISD
及 びLSSR
は,B
l
a
c
k
モデル,Chaudhury
モデノレ共にオプション価値を過小評価,WISD
及びWISD2
は,Black
モデノレ,Chaudhury
モデル共にオプション価値を過大評価す る。 4..1自2
“ HV対IV,8
1
a
c
k
モデル対Chaudhury
モデルB
l
a
c
k
モデルとChaudhury
モデルのどのモデルを,またどのボラティリ ティを用いれば,市場価格により近い予測ができるかを見るため,APE
の水準 を見ょう(表8(コール),表9(プット),図2(コール),図3(プット))。ただ し,B
l
a
c
k
モデル及びChaudhury
モデルにおいて,IV
に基づいたボラティリ ティ推定方法の中で理論的に予測誤差が最も小さいはずのLSSR
が,プットのChaudhury
モデルを除いてそうでないのは,検証手続の②番と④番の作業に起 因する。②番の作業による利用データの違いと④番の作業により異常値として 除かれるデータが異なるためである。 まず,HV
とIV
のどのボラティリティを用いたオプション・モデルが市場価 格により近い価格予測をするかを見ると,コーノレ及び、プットにおいてどのモデ ノレを使うかに関わらず,HV
はIV
より2
倍以上高いAPE
水準である。これは, 全分析データにおいて,IV
を用いたオプション・モデノレはHV
を用いたオプ ション・モデルに比べてオプション市場価格により近い価格予測ができること を意味する。 次に,B
l
a
c
k
モデルとChaudhury
モデノレのどのモデルが市場価格により近 い価格予測をするかを見ると,概ねオプション・モデノレによるAPE
水準の差は 見られない。ただし,プットのWISD
とWISD2
の場合,B
lack
モ デ ル がChaudhury
モデルより低いAPE
の水準を示す。 4..2. クロス・セクショナル・データ ここでは,全分析データをマネネスの程度と残存期間のクロス・セクション 別に分けて予測誤差の変化を考察してみよう。以下では,IV
に基づいたボラ ティリティ推定方法の中で理論的に予測誤差が最も小さい方法であるLSSR
(以下ではIV
と表記する)とHV
1
0
(
同様に,HV)
を比較する。ただし,HV
1
0
,863 日本の国債先物オプション市場におけるオプション・モデルの妥当性 -277-ー H V 20, HV 30のどれを用いても本稿の結果に違いがないため,以下ではH V
1
0
のみを示す。また,C
h
a
u
d
h
u
r
y
モデルも同様の理由でMA
モデルのみを示 す。 4..2..1. 予測誤差:HV対IV HVを用いたB
l
a
c
k
モデノレの理論価格のAPE
は,図4
(コール)と図5
(プッ ト)から,ω
L
全残存期間において,APE
の水準はITM
,NTM
,OTM
の順に高くなる。2
.
.
0
T
M
のAPE
の水準は,残存期間が少なくなればなるほど緩やかに高くな る。また,ITM
及びNTM
のAPE
の水準は全残存期間を通じて概ね安定 している。 上記の2
点は,C
h
a
u
d
h
u
r
y
モデルにおいても同じことが言える(図6
(コーノレ) と図7
(プット))。 IVを用いたB
l
a
c
k
モデルの理論価格のAPE
は,図8(コール)と図9(プッ ト)から,L
全残存期間において,ITM
及びNTM
に比べてOTM
のAPE
が高い水準 である。2
ぃOTM
は,残存期聞が少なくなればなるほどAPE
の水準は高くなる。ITM
及びNTM
は,期間lを除いてAPE
の水準は安定している。 上記の2
点は,C
h
a
u
d
h
u
r
y
モデルにおいても同じことが言える(図1
0
(コール) と図 11(プット))。 HVとIVを 用 い たB
l
a
c
k
モ デ ル の 理 論 価 格 のAPE
を一つのグラフ(図 12(コール)と図13(プット))で比較して見ると,全分析期間においてマネネス の程度に関わらず, H VはIVより高いAPE
水準である。H VとIVのAPE
差 (22) オプション価値は本質価値と時間価値からなるが, ITM, NTM, OTMの順に本質価 値が少なくなって, OTMは時間価値のみを持つ。オプション・モデルはそのわずかな時 間価値を推定することから,予測誤差が生じる。このことからITMとOTMを比較可能 にするため,本質価値を除いた時間価値のみを用いて実証分析を行う研究(俊野(1991), 李(1995))もある。本稿は,オプション・モデル聞の比較が主な目的であるためこのこと は考慮しない。864 香川大学経済論議 278 を図14(コール)及び図15(プット)から見ると,概ね, ITM, NTM, OTMの また残存期間が長くなるにつれて 順にH VとIVのAPE差は大きくなり, HVとIVのAPE差は大きくなる。上記のことは, Chaudhuryモデルにおいて も同じことが言える(図16(コール),図17(プット),図18(コール),図19(プツ ト)。) マネネス及び残存期間に関わらず, IVを用いたオプション・モデル 従って, の方がHVを用いたオプション・モデルよりオプション市場価格に近い予測が できる。 予測誤差:Blackモデル対Chaudhuryモデル 4内2.2 図20(コール)及び図21(プット)は,IVを用いたBlackモデルと Chaudhury コールの場合,概ねITMにおいては
Blackモデル, OTMにおいてはChaudhuryモデルが高いAPE水準である。
モデルの理論価格のAPE差を表す。
l
i
l
i
-i
;
i
l
i
-l
!
i
i
一
ii
NTMにおいてはどちらとも言えない。プットの場合,期間2より長い残存期間 ではマネネスに関わらずChaudhuryモデノレがBlackモデルより高いAPE水 準である。期間2より長い残存期間のプット・オプションではBlackモデルを 用いた方が有利である。YE
の水準 4..2..3“ IVを用いたオプション・モデルがオプション価値をどう評価するかを見るた め, YEの水準を見ょう。 IVを用いたBlackモデルの理論価格は,コールの場 L全残存期間において, OTM及びNTMは,オプション価値をわずかに過 大評価する。 ITMは,程度の差はあるがオプション価値を過小評価する。 2れ OTM及びNTMの過大評価の程度は,全残存期聞にわたって安定する。 合(図22),
一方ITMは,期間1,期間2,期間4で過小評価の程度が大きくなる。 上記の2点は, Chaudhuryモデノレにおいて同じことが言える(図24(コール))。 プットの場合(図23(プット)), そして, 1“全残存期間において, OTMはオプション価値をわずかながら過小評価し, NTMはオプション価値をわずかに過大評価する。 ITMは,期間l及び期865 日本の国債先物オプション市場におけるオプション・モデルの妥当性 -279ー 間
2
を除いてオプション価値をわずかに過大評価する。 2“OTMとNTMの過小及び過大評価の程度は,全残存期間にわたって安定 する。 ITMは,期間1で過小評価の程度が大幅に大きくなる。 上記の2点は, Chaudhuryモデルにおいて同じことが言える(図25(プット))。 5 む す び 本稿では,国債先物オプション市場において, Blackモデル及びChaudhury モデノレの妥当性の検証を行った。 その検証結果を要約すると以下である。 まず, Blackモデノレ及びChaudhuryモデルにおいて, HVを用いるより IV を用いて理論価格を推定する方がより市場価格に近い。すなわち, 原資産価格 の変動性として IVがHVよ り オ プ シ ョ ン の 市 場 価 格 に 近 い 価 格 予 測 が で 自 由 きる。 次に, ヨーロッパ型のBlackモデルを用いて, アメリカ型の国債先物オプ ション価値を推定しても高い説明力を持っている。 アメリカ型のChaudhury モデlレを用いることによる説明力の改善はあまり見られない。むしろ, プット において説明力が落ちる場合さえある。 これは, アメリカ型オプションが持つ 満期以前の権利行使は評価されていないことを意味するかもしれない。異なる 市場であるため直接の比較はできないが,参考に,国債先物オプションの権利 行使に関する統計資料を日本の代表的なオプション取引である日経225オプシ a~ ョンのそれと比較(表10)してみよう。ヨーロッパ型とアメリカ型の違いがある にもかかわらず,全取引高に占める権利行使の比率に有意な差はない。 本稿の検証結果には, オプションの実証研究で常に問題になる原資産データ とオプション・データの非同時性の可能性という限界がある。 この限界を認識 した上,国債先物オプション取引における Blackモデルは,ボラティリティー (23) 本稿の結果は日本銀行調査統計局(1995)のそれとは異なるが,その理由として検証方 法の違いの他に利用データ, IVの推定方法の違い等を考えられる。 (24) 日経225オプションは,1989年6月から 1992年5月までアメリカ型とヨーロッパ型の 折衷型, 1992年 5月から完全なヨーロッパ型に変更した。280-ー 香川大学経済論叢 866 定等の非現実的な仮定にも関わらず,オプション・プライシングにおけるべン 邸) チマ}クとして十分意味を持つと言えよう。 本稿は,利子率期間構造(の推定)が正しいという前提が今のところ十分でな いことを理由に利子率期間構造に基づくオプション・モデル(Hoand Leeモデ ル等)の検証を見送った。今後の研究課題である。 【
APPENDIX
】 -ピュア・オプション均衡価格式の導出L
i
eu (1990)は, Black (1976)と同様の摩擦のない完全市場の仮定下で,偏微 分方程式を境界条件のもとで解く方法でピュア・オプションの均衡価格式を導 いた。以下では,直観的に分かりやすいこ項過程 (binomialprocess)を用いて 均衡価格式を導く。(金(東)(1996)) ①1
期間モデル 現在(
t
= 0)と1期間後(
t
= 1)の先物価格(F)とそれを原資産とするオプ ション価格(
C
)
が,以下の 2項過程に従うと仮定する。 確 率,1 uF-
-
-
-
-
-
-F
-
確 率-
-
-
-
1--
-
,1-
dF 確率,1 _ Cu = Max{O, uF-X} Cく
こ
確率1-,1 -Cd = Max{O, dF-X} また,無危険利子率r(小数点表示)は期間中不変で, Rは(1十r)を表すもの とする。その時,u>R>d
の関係が成り立つ。もし,この関係が成立しない 場合は裁定取引が起こることになる。 このようなモデルのもとで,コール・プレミアムを評価するために,まず,(25) Dumas, Fleming and Whaley (1996)は, S&P 500インデックス・オプションの取
引サンプル (1988 年 6 月 ~1993 年 12 月)において,ボラティリティが原資産価格と残存
期間によって決まるdeterministicvolatility option modelの有効性をテストした。その モデルが, Black and Scholesモデルより優れた予測カを示さないことから,“Simpleis Better"と結論づけている。
867 日本の国債先物オプション市場におけるオプション・モデルの妥当性 281-先物ム単位のロング・ポジションとオプションI単位のショート・ポジション からなるへッジ・ポートフォリオを組む。現在へッジ・ポートフォリオを組む のに掛かる費用と 1時点後のポートフォリオの価値は以下のようである。 ム(uF-F)一(Cu-C) ムF-Cぐ ¥ ¥ ム(dF-F)-(Cd-C) ヘッジ・ポートフォリオを組む際,先物ム単位のロング・ポジションを取る のに資金が掛からないのは周知の通りである。また,ピュア・オプションも取 引当初プレミアムを支払わないことから,現時点でのポートフォリオの費用は ゼロである。 l期後,先物及びコールは値洗いを行う。 1期後,上昇した場合 のポートフォリオ価値と下落した場合のポートフォリオ価値を等しくする適正 ヘッジ比率ムを求めると,ム=(Cu-Cd)/F(u-d)である。均衡においてへツ ジ・ポートフォリオの収益率は無危険利子率に等しいことから,以下のように
1
期間モデルのコールの価値を求められる。oxR
=ム(uF-F)一(Cu-C)= ム(dF-F)一(Cd-C) 0= Cu(
l
-d)/(u-d)+Cd(u-1)/(u-d)C=pCu
十(l
-p)Cd ただし, p=(l-d)/(u-d) A-1②
2
期間モデル1期間モデルを2期間モデルに拡張すると,
パ
F=duF》く¥
パ
C
-
h
u
i
v
}
282- 香川大学経済論議‘ 868 況は変わらないから,
Cu = pCuu+(l-p)Cud
,Cd = pCud+(l-p)Cdd
であ る。 1期間モデノレのコーlレ・プレミアムA-1式に代入すると,C = p2
CUU +
2p(1-p)Cud +
(1-p)2Cdd
ただし,p
=
(
1-d)/(u -d)
③多期間モデル A-2 満期までn期間あるものとする。 A-2式を導いたときと同様に逐次代入を繰 り返して現在まで遡ると,C =
呂
[
n
!/
(
n
-a
)
!
a
!
]
が(
l
-
p
)
n
-a
C
t
A-3 ただし,Cuad
n
-
a
= Max{O
,u
a
d
トaF-X}
コーノレ・プレミアムの期待価値を算出するには,先物価格が行使価格を上回 る場合についてのみ考えばよい。 mをコーJレが満期においてイン・ザ・マネー となるために最小限必要な先物価格の上昇回数とすれば,
C =
~[
n
!
/
(
n
-
a
)
!
a
!
]
p
a
(
l
-
p
)
n
-
a
(
ua
dn
-
a
F-X)
そこで,p
'
= up
,1-p' = d(l-p)
とおくと,C = F
L
:
[
n
!
/
(
n
-
a
)
!
a
!
]
(
p
,
)
a
(
l
ーが)
n
-
a
-X
L
:
[
n
!
/
(
n
-
a
)
!
a
!
]
p
a
(
l
-
p
)
n
-
a
C
=
FB(m;
n,
p')-XB(m;
n,
p) ただし,B(m; n
,
p
'
)
=
~[
n
!
/
(
n
-
a
)
!
a
!
]
(
p
,
)
a
(
1_
p
'
)
トa
B(m; n
,
p
)
=
~[
n
!
/
(
n
-
a
)
!
a
!
]
p
a
(
1_
p
)
n
-
a
p
'
= up
,
p
= (l-d)/(u-d)
A-6式は, n→∞の時,L
ie
u
(
1
9
9
0
)
が導いた以下の価格式に収束する。C
=[
F
N
(
d
l
)
-
X
N
(
ゐ)]=e
x
p
(
η
)CB ただし, d1 ={
l
n
(
F
/
X
)
+
(
1
/
2
)
o
2
r
}
/
o
r1
/
2
d2 = d1 -or1
/
2
A-4 A-5 A-6 A-7-283-日本の国債先物オプション市場におげるオプション・モデルの妥当性 869 X"行使価格 r
=
T-t
N
(
・
)
:標準正規分布の累積密度関数C
B
:
ヨーロッパ型先物オプション・プレミアム Black (1976)の先物オプション価格式(
C
B
)
とピュア・オプション価格式(C) との唯一の差は,ピュア・オプションでは割引要素exp(-rr)がなくなって利子 率(
r
)
が完全に消えてしまったことである。それは,ピュア・オプションの場合, オプション・プレミアムを借り入れまたは投資するのを考慮する必要がないか らである。また,割引要素は1より小さい為[exp(-rr)<
1], Blackモデルにi
l
i
-i
i
i
l
i
t
-i
i
i
l
i
i
l
i
j
オプションの発行者は プレミアムからの利子収入を期待できなくなるからである。 献 (アルファベット順)Barone-Adesi, G and Whaley, R (1987),“Efficient Analytic Approximation of Amer-ican Option Values,"]ournal oj万四ance,42, 301-320 Benninga, S. (1989), Numerical Techniques in Finance, MIT Press.( 大 村 敬 一 監 訳 証 券アナリストのための数値計算法J,東洋経済新報社, 1991年。) Bhar,
R
(1993),“Interest Rate Futures Options: An Empirical Test of the Ho and Lee Model in the Australian Context,"Review of Futures Market, 12(3), 661-686 Black, F. (1976),“The Pricing of Commodity Contracts,"Journal oj Financial Eco -nomics, 3, 167-179Black, F. and Scholes, M.. (1972),“The Valuation of Option Contracts and a Test of Market Efficiency,"]ournal of Finance, 27, 399-417
Black, F. and Scholes, M. (1973),“The Pricing of Options and CorporateLiabilities," ]ournal of Political Eωnomy, 81, 637-659
Bookstaber, R (1990), Option Pricing and 1:仰 の 抑 制 Strategies, Third Edition, Chicago, Probus Publishing.(住友銀行キャピタルマーケット会社,英国エス・ビー・ シー・エム会社共訳オプション価格と投資戦略J,金融財政事情研究会, 1990年。) Cakici, N , Chatterjee, S. and W olf, A. (1993),“Empirical Tests of Valuation Models for Options on T -note and T吋bondFutures,"Journal of Futures Markets, 13(1), 1 比べてオプションのプレミアムは高くなる。なぜなら, 文 考 参