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産業調整と実質為替レート動学-香川大学学術情報リポジトリ

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(1)

産業調整と実質為替レート動学*

井 上

I は じ め に 三主L 貝 日召

1

9

7

0

年 代 の 初 期 に 先 進 諸 国 が 変 動 相 場 制 を 採 用 し て 以 来 , 為 替 レ ー ト の 決 定 に つ い て 実 に 多 く の 理 論 的 ・ 実 証 的 研 究 が 積 み 重 ね ら れ て き た 。 と く に , 名 目 為 替 レ ー ト が 人 々 の 予 想 に 反 し 大 幅 な 変 動 を 示 し た こ と は , 為 替 レ ー ト の 決 定 と そ の 変 動 に つ い て の 研 究 を よ り い っ そ う 刺 激 し た 。 為 替 レ ー ト の こ の よ う な 変 動 は , 為 替 レ ー ト と 購 買 力 平 価(PurchasingPower Parity)との関係につい て も 関 心 を 向 け さ せ た 。 購 買 力 平 価 説 に よ れ ば

2

国 聞 の 為 替 レ ー ト は , 両 国 の一般物価水準の比に等しくなる(絶対的購買力平価説),あるいは,為替シー トは,両国における一般物価水準指数の比に基準時の為替レートをかけたもの に 等 し く ( 相 対 的 購 買 力 平 価 説 ) な る 。 一 般 的 に は , 購 買 力 平 価 説 は 短 期 に お い て は 成 立 し な い が 長 期 で は 成 立 す る と 考 え ら れ て い た 。 最 近 の い く つ か の 実 証 研 究 に よ れ ば , 為 替 レ ー ト の 購 買 力 平 価 か ら の 議 離 は 決 し て 小 さ な も の で は *小論は,筆者が昭和62年度内地研究員として神戸大学経済経営研究所に滞在中に作成され たものである。藤田正覚教授,新野孝次郎教授,三木谷良一教授のセミナー,神戸大学

MME

研究会0987年 11月14日)の出席者より有益なコメントを受けたことに感謝いたします。 とくに,香川大学経済学部助教授阿部文雄氏は,小論の作成過程において貴重なコメントを いただき御礼申し上げます。香川大学経済学部助手上枝朱美さんには原稿をワープロで清 脅していただき感謝申し上げます。 (1) 為替レートの決定理論の最近の動向については, Dombusch, R. ( 8 )参照。 (2) 購買力平価説については, Casse!, G.(3,]Dombusch, R. (7),天野明弘(28),(29)等 をみよ。Casse!,Gは,相対的購買力平価説を説明している。Casse!,G op.citp.. 140, p 154

(3) たとえ自主, Casse!, G (3) p..140, Bruce, N.. and D.. D. Purvis (2) p. 839, Jones,

R

W. and D D Purvis(16) p 34,井上寅照(31]p.1390

(2)

-126- 第60巻 第3号 588 なく,しかも持続的であることが示されている。このことは,長期においてさ え購買力平価説が成立しないかもしれないということである。長期均衡におけ る為替レートの購買力平価からの霜離については,すでにいくつかの理論的研 究が発表されている。しかしながら,為替レートの購買力平価からの霜離が持 続的であるとしづ現象を理解するためには長期均衡における為替レートと購買 力平価との関係を分析するだけでは適切ではなく,短期における為替レートの 購買力平価からの議離が長期均衡への調整過程においてどのように変動してい くのかを検討することが必要である。購買力平価説は,このような調整メカニ ズムについて十分な理論的基礎をもっているとは言い難い。 小論の目的は,短期において生じる為替レートの購買力平価からの議離が長 期均衡への調整過程においてどのように変化し,そしてその需離が長期均衡に おいて消誠するのかどうかを検討することである。つまり,為替レートの購買 力平価からの議離の持続性について理論的に考察することが目的である。 われわれは,変動相場制における小国開放経済を考える。その経済において は非貿易財と貿易財とが生産され,消費される。それぞれの財は,資本と労働 によって生産される。各産業で用いられる資本は,短期においてはその産業に とって特珠な生産要素で一定であり産業聞を移動しなじと労働は

2

つの産業間 (4) Dornbusch, R. (7) pp 16-21, Frenkel,

J

A (9), Mussa, M (20) p.127, p..132. 等。 Mussa,M [20, p.. 127)は,“relativepurchasing power parity does not hold absolutely all of the time.."と言う。 (5) たとえば, Barrett, R. N.. (9), Bruce, N. and D 0..Purvis [2J pp. 838-843 Clague, C K [ 6 ,)J ones, R.W. and D“0.Purvis, [16J, Niehans,

J

(23)。 ( 6) Dornbusch, R [7 J p.. 5, p. 14, Cassel, G [3 J p.. 158,井上質照[31Jp.. 149等。 ( 7) Frenkel, J A ( 9) p 146, p.. 162。ただし, Bruce, N.. and 0..D.Purvis C 2) (pp 840 -842)は,短期均衡から長期均衡への調整過程における為替レートの購買力平価からの栽 離を簡単に説明している。 (8) 特殊要素モデノレについては, Caves, C E. and R.W. Jones (5) Chapter 6, Supple -ment to Chapter 6, (邦訳第6章,第6章への補論), Ikemoto, K [10), Jones, R [12), Takayama, A. (27)等を参照。

(3)

589 産業調整と実質為替レート動学 -127-を移動可能であるが,貨幣賃金率は短期では一定であると仮定し労働の完全雇 用を仮定しない。議論を単純化するために,国際資本移動は考慮されない。 短期に財と貨幣市場の均衡によって決定された非貿易財価格,為替レートと 短期では一定であると仮定されている貨幣賃金率とが各産業の資本レンタル を決定する。この

2

つの資本レンタルに差があれば,資本がより高い資本レン タルを求めて産業聞を利動する。その結果,各産業の生産量が変化する。また, 短期において労働市場が不均衡であれば,貨幣賃金率が調整される:財および 貨幣市場の均衡と

2

つの産業の資本レンタルが等しくなり労働市場が完全雇用 である状態を長期均衡と定義する。このような経済を設定することにより為替 レートの購買力平価からの需離の持続性について分析していく。 第II節においては,短期モデ、ルが与えられ,短期における為替レートの決定 および為替レートの購買力平価からの議離が分析される。第

I

I

I

節では,長期モ デルが示され長期均衡への動学的調整過程について説明される。第

I

V

節におい ては,外生的撹乱によって生じる短期での為替レートの購買力平価からの議離 が長期均衡への調整過程においてどのように変動していくのか, またその議離 は長期均衡においてなくなるのかどうかについて分析される。そして,第

V

節 は,むすびである。 II 短期モデルの構造と実質為替レート 本節においては,短期における為替レートの決定と為替レートの購買力平価 からの議離を分析する。以下において,非貿易財は

N

,貿易財は

T

によって表 (9) このような資本の産業開移動については, Caves, R E and

R

W Jones,

C

6 J pp.135 -138(邦訳pp153-156), Ikemoto, K 01J.Jones, R W 03J pp..11-14, J.ones, R W and W. M.. Corden 04J pp.159-160, J.ones, R W. and l P N early 05J, Mayer, W

(17], Mussa, M. 08J, 09J, Nearly, l P (21], (22J,浜田宏一(30Jpp 36-41,等を参 照。ただし, Ikemoto, K 01J.Nearly, J P (22J,浜田宏一(30J以外の文献は,労働の 完全雇用を仮定している。

(4)

128ー 第60巻 第3号 590 わされる。 経済の生産構造は,(1)一

(

5

)

式によって与えられている。 (1) aKNXN = KN (2) aKTX1 = KT (3) aLNXN+aLTXr =

L

(4) aKNYN+

α

LNW =

P

N (5) aKrYr

+

aL1防r=

Py

ただし ,Xi(j

=

N, T) 財 jの生産量,

a

i

i

:

Xiの生産

1

単位当たり必要とさ れる生産要素iの量 ,

K

i

(f

=

N, T) 産業 jにとって短期において特殊な生 産要素,

L

総労働雇用量,Yi(i

= N

T

)

生産要素Ki1単位の使用に対す るレンタル ,W 貨幣賃金率,Pi(fニ N,T) 財 jの価格。 投入産出系数

au

は一定であると仮定する。(1)および(2)式は,各産業の特殊的 生産要素の完全利用を示している。

(

3

)

式は,総労働雇用量が各産業の労働需要 量の合計であることを表わしている。

(

4

)

および

(

5

)

式は,各産業の単位費用がそ の産業の価格に等しいという競争的利潤条件を示している。 社会的選好が,

h

o

m

o

t

h

e

t

i

c

であると仮定すると

(

6

)

式を得る。

D

N

,/

P

N

¥

(6) ~N

=

f(ーと),

/'<0

Dr ¥

P

1 / ただし ,D; (f = N, T) 財 jに対する需要量。

(

6

)

式は,非貿易財に対する需要量の貿易財のそれに対する比が,非貿易財の 相対価格に依存し,その価格の減少関数であることを示している。

(

7

)

-

(

9

)

式は,それぞれ非貿易財,貿易財および貨幣の市場均衡条件を表わし ている。 (7) XN

=

DN+ GN (8) X1

=

Dr+G1 (9) M

=

kY ただし, G; (j

=

N, T) 財 jの政府の需要量,M 貨幣供給量, Y 貨幣所 得

k マーシャルの

h

(5)

591 産業調整と実質為替レート動学 -129ー とくに, (8)式は,貿易財の市場均衡であるとともに経常収支の均衡をも意味 している。

(

9

)

式は,貨幣需要が貨幣所得の一定割合併)であり,貨幣ストックに 等しいことを示している。 貨幣と証券との代替はないと仮定する。 貨幣所得は, (10)式によって与えられる。 (10) Y

=

PNXN

+

PrX r 関税や輸送費がない場合には,貿易財h価格については一物一価の法則が成立 するので, (11)式を得る。 白1) Pr

=

RPi ただし ,

R.

邦貨建て為替レート Pi 貿易財の外国価格。 (11)式は,両国の貿易財の価格は為替レートで換算すれば同じになることを示 している。小国の仮定より ptは一定である。 (12)式は,一般物価水準を定義している。 (12) P

=

P(PN

Pr) ただし ,

P

一般物価水準。 購買力平価説の関係式は, (13)式のように示される。

ω

Q=

ただし ,Q 購買力平価 P* 外国の一般物価水準。 (13)式は,購買力平価は 2国の一般物価水準の比率に等しいことを示して いる。 実質為替レートが, (1心式のように定義されている。 (11) Cassel, Gによれば,購買力平価の計算に用いられるのは輸出財価格ではなく一般物 価水準である。彼は,ドノレで、表わした円の為替レートが購買力平価に対して過大評価され れば外国為替市場で円を売ってドノレに代えればそのドノレは支払った円が持つ以上の購買 力を持つので、ドノレの需要が増大し為替レートは減価し購買力平価に近づいていくと考え る。そして,為替レートの購買力平価からの議離は大きいかもしれないが,その議離は一 時的なものであり為替レートは常に購買力平価に近づく傾向があると言う。 Cassel,G ( 3 J p.140, p..149, p.155,天野明弘(28Jp.1920

(6)

-130- 第60巻 第3号 592 凶 μ = 5 ただし, μ 実質為替レート。 実質為替レートは,為替レートの購買力平価に対する比であり,自国の財・ サービスの商品パスケットの単位数の外国のその単位数に対する比を表わす。 μ = 1あるいはμが一定のとき,購買力平価説が成立する。もしμ >(ぐ)1の とき,あるいはμが上昇(下落)するとき,為替レートは購買力平価に対して 過小(過大〉評価されている。したがって, μ = 1あるいはμが一定である場 合を除いて,為替レートは購買力平価から議離している。 (1)一(1心式からなる体系は, 14個の独立な方程式を含むo aij, GN, Gr, M, k, p;, P'および短期において一定である Ki(f = N, T)とWが与えられる と14個の未知数(XN,XT,

L

, PN, PT, rN, rT, DN, Dr, Y, R, P,

Q

,μ) が決定される。 次に,変数聞の関係について説明しよう。 KN,KTは短期では所与であるの で, (1)および(2)式より非貿易財および貿易財の生産量が決定され一定である。 (3)式より,総労働雇用量が決定される。雇用量は,貨幣賃金率とは独立に決定 される。Ki(f= N,T)が変化しないかぎり Xi(fニ N,T)およびLは変化 しなし、。 (6),(7)および(8)式より, ( PN¥ XN-GN (15) f(ーと)=一一一¥ JN ¥Pr / Xr-GT となる。短期では

X

i

(f= N,T)はすでに決定されており

G

i(f

=

N, T) は外生変数であるので, (15)式より非貿易財の相対価格が決まる。図II-1は, 非貿易財の相対価格が点Aで決定されることを示している。図II-lの垂直な 線は(15)式の右辺を表し,右下がりの曲線が(16)式の左辺を表している。 (15), (10)および(11)式を(9)式に代入すれば, (r_,(XN-GN¥v , v

i

(16) M

=

kRP;'

I

r

l (

'

.

:

r

"

'

;

.

"

jXN+ X T

I

L ¥

Xr-GrJ"'" "'j となる。ただし ,

f

.

一1は,関数/の逆関数である。この貨幣市場の需給均衡式 である(16)式において為替レートが決定され, (15)式より非貿易財価格が決定され

(7)

5~3 R

P

N Pr 産業調整と実質為替レー}動学

互 に 主

Xr-Gr A

DN

Dr

XN-GN

DN

Xy-Gr . Dr 図II-l 非貿易財の相対価格の決定

M

kR

(

+

X

r

J

M, kY 図II-2 為替レートの決定 -131-る。このように短期での為替レートの決定は,

M

o

n

e

t

a

r

y

A

p

p

r

o

a

c

h

による決定 となる。図IIー 2は,為替レートが点Bで決定されることを示している。図II

-2

の垂直な線は(同)式の左辺を示し,右上がりの曲線は

(

1

6

)

式の右辺を表してい る。このように非貿易財価格と為替レートが決定されると(4)および(5)式から各 産業の資本レンタルη (j=

N

T

)

が決定される。一般物価水準が(12)式より決

(8)

-132ー 第60巻 第3号 594 まり,購買力平価は(13)式によって決定され,同式から実質為替レートが決定さ れる。 (1)および

(

2

)

式より, (17)

X

;

=

K

;

(J = N

T)

となる。ただい変数上の~ト(~)は,その変数の変化率を示す。 (e..g

X

j

=

)

(3)および閉式から, (18)式を得る。 (18) L

=

ALNKN+AL7Kr ただし ,ALi (f

=

N, T)は,総労働雇用量に占める産業 jで用いられる労働雇 用量。 (4)および(5)式は, ( 19)

8

幻y;+8l;W=

P

;

(f= N, T) となる。ただし,

θ

υ

産業 jにおける生産要素

t

の分配率。 側式は,財 yの価格の変化率は,各産業の生産要素分配率をウェイトとした 貨幣賃金率と資本レンタルの変化率の加重平均てぜあることを表している。

(

6

)

式は,

βNー β1

σ

D(A-P1) ー(DN/Dl )d(DN/ D1) は正である。 σDは,需要側の2 となる。ただし,

σ

D

=

(P~/

P1 )d(PN/ P1 ) つの財の聞の代替弾力性である。 (7), (8), (1りおよび側式から,初期均衡点において

G

;

= 0 (f= N, T)と仮定 すると, dGN dGl, r? r?

ω

oD(PN-PT )=--4

:

-

:

1

+

Kl -KN

X

N

X

1 となる。

(

9

)

, (1

)

0

1

(

司式より,倒式を得る。 凶 αNj号IV+α1PT=

M

-aNKN-αlK1

(9)

595 産業調整と実質為替レート動学

-133-P;X

た だ し , 酌 = す ム ( f

=

N, T).国民所得に占める産業jの生産額の割合。 ( 12)式より,一般物価水準の変化を倒式のように定義する。 (23)

P

=

α

N

P

N

α

y

P

T

一般物価水準の変化率は,国民所得に占める各産業の生産額の割合をウェイ トとした非貿易財価格と貿易財価格のそれぞれの変化率の加重平均である。外 国の一般物価水準の変化率も側式と同様に定義する。 制),

ω

式は, (11)式を用いて,似)式のように書き換えられる。

fσDσ

D'1(PN'1 (24) 1 11~ 1 LαN (ly)'-.R )

(dGN dGr

, r>*' i;; TT │一一一一一

:

-

:

r

+

σ

D

P

+Ky-KN

1 ー X N

X

r I VlJJ.. 1 l.Ll..l .L)..jV I

l

M

-

α

y

P

;

'

α

(

NKN+

α

y

K

r

)

外国の非貿易財価格が一定であると仮定すると(14)式は,

ρ=α

N(R-

P

N

)

+

(

α

j.-(ly

)

P

;

'

となる。外国の貿易財価格が一定のとき,貿易財の相対価格の上昇は実質為替 レートを上昇させる。外国の貿易財価格の上昇は,自国の貿易財の相対価格が 一定のとき,もし ai->(<)的であれば実質為替レートを上昇(下落〉させる。 実質為替レートの上昇(下落〉は,為替レートの購買力平価に対する過小(過 大〉評価を意味する。 (24)と制式から,財政・金融政策とそれ以外の外生変数の変化が為替レートと 実質為替レートに与える効果を分析することができる。以下において得られる 結論は図

11-1

と図

11-2

を用いることによっても確かめられる。

C

1

J

非貿易財の政府購入量の変化の効果 非貿易財の政府購入量の変化が,非貿易財価格および為替レートに与える効 果は,側, (27)式によって示されている。 側

P

N

=

ー宅

-dGN

UD./I.N

7)

R

=

一一宅ァ

σ

DAN

dGN

(10)

-134- 第60巻 第3号 596 非貿易財の政府購入量の増加は,非貿易財の相対価格を上昇させる。この非 貿易財価格の上昇は,貿易財で表わした実質貨幣需要を増加させる。名目貨幣 供給量が与えられているので貨幣市場が均衡するためには為替レートは増価し なければならない。 次に,非貿易財の政府購入量の増加が実質為替レートに与える効果は,側, 側および制式を用いると, 側 β =

一一空与

-dGN

σ

D A N となる。貿易財の相対価格が低下するので実質為替レートは増価する。

ω

,側および(27)式より,非貿易財の政府購入量の変化によって一般物価水準 は変化しないことが側式に示されている。

側 ~=o

dG

N このことは 2つの財の生産量,貨幣供給量とマーシヤノレのhが与えられてい るので, (17),倒および側式からも得られる。 (27)式の右辺と側式の右辺とは等し いので, (13), (14),間,側および側式より,

0)

-

-

-

-

.

R

=0

dGN dGN となる。非貿易財の政府購入量の増加は,購買力平価を変化させないが,為替 レートを増価させる。その結果,非貿易財の政府購入量の増加によって,短期 では,為替レートは購買力平価に対して過大に評価される。

C

2

J

貿易財の政府購入量の変化の効果 貿易財の政府購入量の変化が,非貿易財価格,為替レートおよび実質為替レー トに与える効果は, (31)-(33)式によって与えられる。

1

)

ん = 一 一 宅,--

dGT

。 D~屯 7 (32)

長=で宅一

dGr UDAl 7 4

G

d u 助 一 仏 一 一 A H Y 叫 の

(11)

597 産業調整と実質為替レート動学 -135ー 貿易財の政府購入量の増加は,非貿易財価格を減少させ為替レートと実質為 替レートを減価させる。 この場合も一般物価水準は変化しないので,

R

~

Q

(

3

4

)

_ H _ >ー←一一

O

dGT dG1 となる。貿易財の政府購入量の増加は,短期において為替レートを購買力平価 に対して過小評価させる。

C3J

金融政策の効果 ここでは,金融政策を外生変数である貨幣ストックの変化としてとらえる。 仰:),側および(紛式より, 側 PN

=

R

=

Q

=

M となる。非貿易財の相対価格は(15)式が示すように貨幣供給量とは独立に決定さ れるので, (16)式より為替レートは貨幣市場を均衡させるように貨幣供給量の変 化率に等しく変化する。非貿易財の相対価格は変化しないので非貿易財価格も 為替レートと同じ率で変化する。したがって,購買力平価も貨幣供給量と同率 で変化する。 開式より,側式を得る。 側 ど ァ

=0

M 金融政策によって実質為替レートは変化しない。つまり,短期において為替 レートの購買力平価からの耳障離は生じない。

C4J

外国の貿易財価格の変化の効果 外国の貿易財価格が変化すると (24)式より,

(

3

7

)

=0

p;

側 会 =

-1

rr

側 主

=0

P;' となる。外国の貿易財価格の上昇によって,自国の非貿易財価格と貿易財価格

(12)

598 は変化しないが為替レートは増価する。外国の貿易財価格が上昇すれば, (16)式 より名目貨幣需要が増加する。しかし,貿易財で表わした実質貨幣需要と名臣 貨幣供給量が一定であるので貨幣市場が均衡するために,為替レートは外国の 貿易財価格の上昇を相殺するように変化する。その結果,自国の貿易財価格は 変化しない。自国の貿易財の相対価格は変化しないので非貿易財価格も変化し 第3号 第60巻 -136-ない。 実質為替レートの変化は, β= 一 α~Pi: となる。外国の貿易財価格の上昇は実質為替レートを増価させる。 一般物価水準は変化しないので, (41)式を得る。

f

i

.

/

R .

/

Q

_f"I ーくー士一<----'"ー

=u

P

:

i

P

:

i

P

:

i

外国の貿易財価格の上昇によって,為替レートは増価するが実質為替レート ほど増価しない。 以上の結果は,表 II-lにまとめられている。表中の+,ーおよび Oは,それ ぞれ,変数聞の変化の方向が同じであること,逆であること,そして,外生変 数から独立であることを示している。

住1) 短期における為替レート,購買力平価と実質為替レート

GN

Gr M Pr* R

+

+

Q

+

μ

+

表II-l 産業調整の動学過程と実質為替レート 短期において決定された非貿易財価格と為替レートおよび短期では一定であ ると仮定されている貨幣賃金率が, (4),

(

5

)

式において各産業の資本レンタノレを この資本レンタルに差があれば,資本レンタノレの低い産業よりも高

I I

I

決定する。

(13)

599 産業調整と実質為替レート動学 7, 3 7 A い産業に資本が投資される。短期では貨幣賃金率が一定であるので,労働は必 ずしも完全雇用ではない。労働市場に超過供給(需要〉が生じれば,貨幣賃金 率は下落(上昇〉する。このような動学的調整メカニズムは,同一制式によっ て与えられる。

ω

)

咋=司会

-

1

)

,ω(0)

=

0, が >0,

ω

k

T

=

k

(

?

?

-

1

)

, 的 ) ニ

0

k

'

>

0

, 似) KN+KT

=

K ただし,変数上のドット(・〉は,時間に関する徴分を示す。

L

S '労働供給量, K 総資本ストック。 LSお よ びKは,所与であると仮定する。倒式は,労働市場に超過需要(供給〉 があれば貨幣賃金率が上昇(下落〉することを表している。仰)と制式は,貿易 財産業の資本レンタルが非貿易財産業のそれより高い(低い〉場合には,資本 が非貿易財(貿易財〉産業より貿易財(非貿易財〉産業に移動することを示し ている。似)式は,資本ストッグの完全利用条件式である。 短期均衡において決定される変数は,同式を考慮すると,側一側式によって 与えられる。 制 L

=

L(KN

KT)

=

L(K-KT

KT)

=

L(KT) 側 PNニPN(KT;GN, Gl,

M

, P"T) 仰) R

=

R(Kr ; GN, Gl, M, Pt) 閥 均

=

rN(W, PN, Pl)

=

rN(W, Kl; GN, GT, M, P;) (12) このような動学体系は, Nearly, J P (22Jや浜田宏一 (30Jで用いられている。浜田は, 。りが一定で, Nearlyはaijが可変であると仮定している。しかし,彼らは,財の相対価 格が外生変数であってその変化が産業調整や経済厚生にどのような影響を与えるのかを 分析の目的としているが,われわれのモデルで、は 2つの財の価格は内生化されている。労 働市場に超過供給がある場合には貨幣賃金率が下方硬直的であり,労働市場に超過需要 があれば労働者の overworkによって貨幣賃金率が上昇するという意味での非対称があ ると考えられる。しかしながら,小論ではこのような点については考慮しないことにす る。

(14)

-138ー 第60巻 第3号 600 N T * T G G P

[l~[

-L

一 一

-K ↓ M W 図1Jlーl 産業調整の動学過程と実質為替レート動学 側 rr= Yr(W, PN, Pr) = Yr(W, Kr; GN, Gr, M, Pt) と表される。 側一側式からなる動学体系は 8個の独立な方程式から成り立っている。 (GN, Gr,

M

, ?t,

L

SK)が 与 え ら れ る と 8個 の 未 知 数(PN,

R

YN, Yr W , L, KN, Kr)が決定される。 W = oとKr

=

0の状態,すなわち,労働市 場の完全雇用と両産業の資本レンタルが等しい状態が長期均衡である。この長 期均衡点で上記の8個の未知数の長期均衡値が決定される。この動学体系の変 数聞の関係は,図III-lのように表わされる。 さて,この動学体系の長期均衡の安定性について吟味しよう。 制式は, 制)1 AKTKr+A即 KN

=

0 となる。ただし ,Al(j(j

=

N, T)川産業 jで用いられる資本の総資本に占める 比率。 この(50)式を(18)式に代入して整理すると, (13) 長期均衡の生産構造は,ai,jが一定の場合のへ Pシャー・オリーンモテソレの生産構造と 同じになる。 Caves,R E.and R.W J ones C 4 J Chapter 8。

(15)

-139-産業調整と実質為替レート動学 601

f-iAID

ート

A即 日 i

ただし,

I

A

I

=

ALNAKT -AL TA町

=

ALN-AKNo

もし非貿易財産業が,貿易財産業より労働(資本〉集約的な産業であれば,

I

A

I

は正(負)となる。小論においては,非貿易財産業が貿易財産業よりも労働 ( 5)1 となる。 集約的であると仮定する。すなわち, ﹀ 牛 中

I

A

1

>

0 と仮定する。 (52) (51)式によれば,資本が非貿易財産業より貿易財産業ヘ移動すれば,総労働雇 用量が減少することを示している。資本の非貿易財産業から貿易財産業への移 動によって貿易財の生産量が増大し非貿易財の生産量は減少するので,貿易財 産業における雇用が増大し非貿易財産業における雇用が減少する。貿易財産業 は非貿易財産業に比べて資本集約的であるから貿易財産業における雇用の増大 は非貿易財産業における雇用の減少より少ないので,労働雇用量は全体として 減少する。 (19)式より(53)式を得る。

I

8

I

TTr

1

n

1

n

T -rN

一一一一

-w-

一一

-PN+

一一

-P

T K7 8

問。

K7 (53) ただし,

1

8

1

=

8LN8KT-8KN8LT

=

8LN-8L7o 長期均衡の近傍では,もし非貿易財産業が貿易財産業よりも労働集約的であ れば,

I

θ

1

>

0

となる。貨幣賃金率が上昇すれば,

2

つの財の価格の決定は貨幣 賃金率から独立であることに注意すると, (4), (5)式から各産業の資本レンタル は減少するが,

1

8

1

>

0

の場合には,非貿易財産業の資本レンタルの減少の方 が貿易財産業のそれより大きくなるため, (53)式が示すように貿易財産業の資本 レンタルの非貿易財産業のそれに対する比は上昇する。貨幣賃金率が一定なら ば,非貿易財(貿易財〉の価格の上昇は,貿易財産業の非貿易財産業に対する (14) 非貿易財産業が貿易財産業よりも資本集約的な場合(1A

1

<

0)においても,小論におい て得られた結論は容易に修正可能である。

(16)

602 第3号 第60巻 -140-させることを示している。 資本レンタル比を減少(上昇〉 同式のように書き換え (53)式の右辺は, (24), (50)式より長期均衡点の近傍では, られる。 " ' , _ ",'

ー」立上前

_

r

ι

担到二ム

αK _

i

v

fT fN-8

KTrr

l

8KN28K72 Iσ川 町8KN8K7jHl (54) 国民所得に占め る総資本分配率。

(

ω

式によれば,貨幣賃金率が一定のとき非貿易財産業より貿易財産業への資 本の移動は非貿易財の相対価格を上昇させ,貿易財産業の非貿易財産業に対す 国民所得に占める貿易財産業の資本分配率,

αK

ただし,

αf

る資本レンタル比を減少させる。 以上のことを考慮して,同, (43)式の右辺を長期均衡点の近傍で線型近似する ω'(0)1 A 1 AKTKT と次のようなヤコービ行列。を得る。 一五並lr~担到乙ム α~

K_i

KT

l8

2

θ

K

T

2

1

σ

DAκN8KN8KTj Q

=

I

│互並辻立

L

~

8

8

KT

W

O (55) それぞれ, ヤコービ行列Q のtraceおよびdeterminantは,

k

'

(

O

)

r

a~1812αK

i

一一一一│一一一「一汁

1<0

KT

l8

町 28KT2

σ

DA瓦N8即

8

K7) (56) ω'(O)k'(O)1 A 1181 AKN8.即8KTWKT ところで,

1

A

1

1

θ

は長期均衡点の近傍では, (57)式のようになる。 となる。

1

A

1

1

8

1

=

:S-S~~

X

NXTW ,.;-

W

:

(aLNaKT -aLTa町

)

2

>

O

(

ω

- LSK

PNPT (57)

T

)

r

=

r

;

(f

=

N

し だ た このことは, (24)と側式により容易に確認できる。 この条件は,生産要素市場にdistortionが存在しないときのaijが可変の場合の生産の 一般均衡の安定条件についても得られている。 Jones,R [13) p..13, Nearly, J P (22) p 47, Okuguchi, K (25) p..157.,a;;が固定の場合には,生産の一般均衡の動学体系の均 衡はcenterになることが, Nearly, l P (22)と浜田宏一(30)によって示されている。 (15) (16)

(17)

(56)と納式から 2つの産業の要素集約度が異なっているかぎり長期均衡点は 局所的に安定である。 (52)式の仮定と (57)式より, 1

B

1> 0となることが確かめられる。 長期均衡への収束の模様を調べるために,判別式を求めると, 同 (tr.Q )2 -

4

de t .Q

-

r互盟l(~担立L -l-

aK

¥

V

-l

K7¥B

K

N

2

B

K

7

2 '

σ

Dl

1

O

θ

K7J) 4ω'(0 )グ(0)1;111θ│

A

問。即

θ

K7

WK7

となる。労働市場の調整速度を表わすω'(0)が十分小さい(大きい〉

ι

き判別式 は正(負〉となり長期均衡点はstablenode (focus)となる。長期均衡の近傍に おける位相図は,図III-2と図III-3のようになる。図1II- 2は,労働市場の 調整速度が比較的遅い場合の位相図であり,図III-3は労働市場の調整速度が 比較的速い場合の位相図である。

W=o

曲線が垂直になるのは,制式が示すように,労働雇用量は資本財産業 の資本に依存するが貨幣賃金率に依存しないからである。制式より │θ1>0の

(18)

-142- 第60巻 第 3号 604 場合には,

KT

=

0

の曲線が右上がりになる。ある与えられた貨幣賃金率のもと で貿易財産業の資本が増加すると貿易財産業の資本レンタルが非貿易財産業の それに対して減少する。

2

つの産業の資本レンタルが等しくなるためには貨幣 賃金率が上昇し貿易財産業の資本レンタルが非貿易財産業のそれに対して上昇 しなければならなし、。

w=o

曲線の右(左〕側では,労働市場が超過供給〔需 要)になっている。

Kr

=

0

曲線の右(左〉側では貿易財産業の資本レンタルは 非貿易財産業のそれより低(高〉くなっている。園田一

2

および図

I

I

I

-

3

で示 されているように

w=o

曲線と

KT

=

0曲線によって領域

(

w

KT)

主主 Oが,

1

I

I

I

I

I

I

V

4

つに区分されている。いま,経済が図

I

I

I

-

2

において領域

I

I

a

にあるとしよう。貿易財産業の資本レンタルが非貿易財産業のそれより 大きいので資本が非貿易財産業より貿易財産業に移動する。また労働市場は超 過需要であり貨幣賃金率が上昇する。そして,労働市場の完全雇用が達成され るが,貿易財産業の資本レンタルは依然、として非貿易財産業のそれより大きい ので資本は非貿易財産業より貿易財産業へ移動する。経済は領域

I

に入る。そ こでは,労働市場は超過供給になり貨幣賃金率は減少しはじめる。領域

I

内で は貨幣賃金率の減少と資本の非貿易財産業から貿易財産業への移動とが,貿易 財産業の資本レンタノレを非貿易財産業のそれに対して減少させ2つの産業の資 本レンタルが

KT

=

0

曲線上で同じになる。しかしながら,労働市場は超過供給 であるから貨幣賃金率は減少し経済は領域

I

V

に入る。貨幣賃金率の減少は貿易 財産業の資本レンタノレを非貿易財産業のそれより低くさせるので,資本は貿易 財産業より非貿易財産業へ移動する。労働市場の調整速度が比較的遅く資本の 産業間移動は比較的速いので経済は長期均衡点に収束する。貨幣賃金率の変動 はあまり大きくなく資本の産業間移動が大規模で各産業の生産量は大幅に変動 する。もし経済が領域II内の点bにあれば,領域II内のみを通って長期均衡が 達成される。 次に,経済が図

I

I

I

-

3

の点Cにあれば,労働市場の調整速度が比較的速いの で貨幣賃金率は比較的大きく変動し,資本は比較的ゆっくりと産業間を移動し て経済は,領域

1

1

から1,

I

V

に入ってし、く。領域

I

V

では,貿易財産業の資本レ

(19)

605 産業調整と実質為替レート動学 -143-ンタノレが非貿易財産業のそれより低いので資本は貿易財産業より非貿易財産業 へ移動する。労働の完全雇用が達成されるが,貿易財産業の資本レンタルは依 然として非貿易財産業のそれより低いので資本は貿易財産業より非貿易財産業 に移動する。そして経済は領域凹に入る。領域凹では,労働市場には超過需要 が生じるので貨幣賃金率は上昇し,資本は依然として貿易財産業より非貿易財 産業に移動するので経済は領域

I

V

に入る。このような循環を経て経済は長期均 衡点に収束していく。この場合には,資本の産業間移動はあまり大幅ではなく 貨幣賃金率は大きく変動する。 そこで為替レート,購買力平価および実質為替レートは長期均衡への動学的 調整過程においてどのように変動していくのであろうか。制式と側式より長期 均衡点の近傍で評価すると, (59) (60) ( 61) となる。

丘一「立担立L_~ìKT

R l8

8

K

T σ

'

D

A

町 )

KT

Q -

α

8

1

KT

Q

8KN8K1

KT

E - ~KT μ σ

D

A

KT

経済が領域

1

1

から領域

I

へと移行してL、く場合を考えよう。似)式が示すよう に非貿易財産業より貿易財産業へ資本が移動すれば,非貿易財の相対価格が上 昇し実質為替レートは増価する。仰)式に示されているように,

1

8

1

>

0

ならば, 自国の一般物価水準が上昇するので購買力平価は減価する。

1

8

1

>

0

の場合に は,資本の完全利用を満たすように資本が非貿易財産業から貿易財産業に移動 すると,労働市場は超過供給になる。与えられた生産要素を完全に利用してい ないので与えられた価格のもとでは,国民所得が減少する。貨幣供給量が一定 であるので,一般物価水準が上昇することが間,倒および(50)式より示される。 側式より,

1

8

1

>

0

のとき財に対する需要の代替弾力性のが十分大きい(小さ L 、〉ときには,すなわちの>(<)αN8則。'KT/Æ即α~I

8

1

K

j

αTのときには, 資本が非貿易財産業より貿易財産業に移動すると非貿易財産業の相対価格の上

(20)

-144- 第60巻 第3号 606 表III-l 動学的調整過程における為替レート,購買力平価と実質為替レート 領 域 II I IV III Kr

+

+

dD

>

A

+

+

R

DくA

+

+

Q

+

+

μ

+

+

ただし,A =

ポ併す下

zd

│θI> 00 昇は比較的小さい(大きい〉ので貿易財で表わした実質貨幣需要が減少(増大〉 し,為替レートは減価(増価〉する。長期均衡への動学的調整過程においての が十分大きい(小さい〉場合には為替レートと購買力平価とは同じ方向(逆方 向)に変化する。経済が領域IVから領域IIIに移行する場合も同様に考えればよ い。以上の結果は,表III-lにまとめられている。表の中の+ (一〉は,その 関連する変数が上昇(減少〉していることを表わしている。 IV 財政・金融政策およびその他の外生的撹乱と実質為替レート動学 本節では,財政・金融政策およびその他の外生的撹乱が生じたとき,為替レ一 人購買力平価および実質為替レートが,産業構造と労働市場の不均衡の調整 過程においてどのように変動するのか,またそれらの長期均衡値がどのように 変化するのかを検討する。 長期均衡は,

W =

0, Kr

=

0の場合であるので,同一側,側および側式より, ,L(KT)

=

U

側~ rN(W, KT: GN,

Gr

, M , Pj) 、

=

rr(W, KT: GN, GT, M , Pj) と表現される。

(21)

607 産業調整と実質為替レート動学 -145-制式より ,

GN

GT

, M, P,7"Lおよび

K

が与えられると ,(W,

K

T

)

が決ま る。附帥)式から (L,PN, R, rN

=

YT),

ω

)

一(14)式から (P,

Q

,μ)の長期均衡 値が決定される。われわれの経済は,初期時点において長期均衡であると仮定 する。 紛)式を長期均衡の近傍で微分すると, 制) H Z = V となる。ただし, O H =

l

l

i

AKN

」到一

θ

N

8

KT

立包到とム

αK

O

即 28KT2 ' ODA即 。 即8KT

z

=

(

:

)

O

V =

一 κ

r

dGN dGl

, ,:;*

i

は川 へ nlk ¥ 1 n 一一一一一寸一一一一一-L+ODP?│十一己斗ー

D8KN8

(M-

α

T

P

干)一一一円 KT

l

X

N

X

T ' V U L 1 j ,

8

町()Kr¥ H..I. '-""1.1.. 1 I ()KN 側式より,

│λ81

制)

I

H

I

= - f 企 叫 竺L

A

問 。 正N8KT となる。

C

1

J

非貿易財の政府購入量の増加の効果 非貿易財の政府購入量の増加が貸幣賃金率と貿易財産業の資本に与える効果 は,刷,紛)式によって与えられる。 (65)

W =

8

1

σ

α K

DX

NdGN

KT

O

dGN

非貿易財の政府購入量の増加によって,非貿易財の相対価格は上昇する。非 貿易財産業は貿易財産業に比べて労働集約的であると仮定されているので,貨

(22)

-146- 第60巻 第3号 608 W 防T

=

0 〆

Kr

=

0 /

w=o

/

'

Kr

0 W , , , , , 〆 , , , ,

Kr

=

0 ノ .

Kr

=

0 , / , , 〆 〆 〆 / E

, ,

K

1 A ロ 場 K L 速 品 υ 度 速 整 調 の 場 市 働 労 内 f V ' 図 図IV-1 労働市場の調整速度が遅い場合 幣賃金率は上昇する。貿易財産業の資本は労働市場の需給均衡条件によって決 定されるので,労働供給量と総資本ストックが変化しなし、かぎり変化しなし、。 したがって,非貿易財の政府購入量の変化によって貿易財の資本は変化しない。 非貿易財の政府購入量の増加によって

w=o

曲線は変化しないが,

Kr

=

0

曲 線は左方にシフトする。図IV-lと図IV-2に示されているように,長期均衡 点は

Eo

から

E

l

に移動する。図IV-lは,労働市場の調整速度が比較的遅い場 合の位相図であり,図IV-2は,その調整速度が比較的速い場合の位相図であ る。 労働市場の調整速度が十比較的遅い場合について考えよう。側一側式に示され ているように,非貿易財の政府購入量の増加によって短期において購買力平価 は変化しないが,為替レートと実質為替レートは増価する。為替レートは短期 において購買力平価に対して過大評価されている。長期均衡への動学的調整過

(17) Caves, R E. and R W Jones (4) p..153, pp..160-161, p. 183, Caves, R E.. and R.

W. J ones ( 5 ) pp.. 115-117 pp. 509-511(邦訳pp129-131, pp 361-361), Stolper, W. F and P A.Samuelson (26)

(23)

609 産業調整と実質為替レート動学 -147-程においては為替レートは ODが十分大きい(小さい〉場合には,増価(減価〉 の後減価(増価)しながら,購買力平価は増価してから減価しながら,そして 実質為替レートは減価してから増価しながらそれぞれの長期均衡値に近づいて いく。短期において購買力平価に対して過大評価された為替レートは,その後 長期均衡への調整過程において購買力平価に対して過小評価されてのち過大評 価されて長期均衡値に収束する。のが比較的小さい(大きし、)場合には,為替 レートは購買力平価とは逆(同)方向に変動する。長期均衡では貿易財産業の 資本は初期の長期均衡の水準に戻っている。このことは,非貿易財の政府購入 量の増加によって生じた短期における為替レートの購買力平価からの霜離が, 長期均衡への動学的調整過程において修正される期間はあるけれども,最終的 には為替レートの購買力平価からの話離は短期のそれに収束することを意味し ている。したがって,短期における為替レートの購買力平価からの議離は持続 的であり長期において消滅することはない。 次に,労働市場の調整速度が比較的速い場合には,非貿易財の政府購入量の 増加によって為替レートはのが十分大きい(小さい〉場合には増価〈減価), 増価(減価)をくり返し,購買力平価と実質為替レートは増価,減価をくり返 して,それらの振幅が小さくなりながら長期均衡に収束する。長期均衡では貿 易財産業の資本は初期均衡値の水準であるので,労働市場の調整速度が比較的 速い場合においても,為替レートの購買力平価からの需離は消滅せず持続的で (18) (18)(12)(13)(14)附および仰)式より, μ = μ(K1; GN, G1, M, N) となる。長期均衡において GNの変化がμに与える効果は, ~-JSJ:生互I--L-.l弘 dGNー μoK1dGN 'μoGN によって与えられる。上式の右辺の第1項は,GNの変化に伴なう

K

1変化がμに与える 効果であり,第2項は GNのμに与える短期効果である。附式を考慮すると, ~-ι dGNー μoGN となる。すなわち,長期均衡における GNのμに与える効果は,短期均衡におけるそれに 等しい。

(24)

-148一 第60巻 第3号 610

一/ー

l

w=o

/ K r

=

0

W

I

ノ'Kr

=

0

/

KT

=

0 / 〆 / 〆 /

〆 ノIEl / / ノ ノ , 〆 ノ ノ / ノ ノ ノ ノ / / / Kr Kr 図IV-3 労働市場の調整速度が遅い場合 図IV-4 労働市場の調整速度が速い場合 ある。 C 2

J

貿易財の政府購入量の増加の効果 貿易財の政府購入量の変化が貨幣賃金率と貿易財産業の資本に与える効果 は,初'),制式で示される。 _.K (67)

w

=

ー で 寸 号 下 守-;-dGr σiD

I

e

I

Xr

側 E L = O dGr 紡)式は,貿易財の政府購入量の増加が貨幣賃金率を下落させることを示して いる。貿易財の政府購入量の増大は貿易財の相対価格を上昇させ,貿易財産業 は非貿易産業より資本集約的であるので貨幣賃金率を減少させる。この場合の 位相図は図

IV-3

と図

IV-4

のように表わされている。図

IV-3

が労働市場の 調整速度が比較的遅い場合の位相図であり,図

IV-4

は労働市場の調整速度が 比較的速い場合である。貿易財の政府購入量の増加は,W = O曲線をシフトさ せないが

K =0

曲線を右にシフトさせる。経済は,旧長期均衡点

Eo

より新長

(25)

611 産業調整と実質為替レート動学 -149ー 期均衡点

E

l

に移行する。 短期では貿易財の政府購入量の増加によって購買力平価は変化しないが為替 レートと実質為替レートは増価した。労働市場の調整速度が比較的遅い場合に は,長期均衡への動学的調整過程において為替レートはのが十分大きい(小さ い〉場合には減価〈増価)の後増価(減価〉しながら,購買力平価は減価して から増価しつつ,そして実質為替レートは増価してから減価しながら,それぞ れの長期均衡値に収束する。つまり為替レートは購買力平価に対して過大評価 されてふのち過小評価されながらその長期均衡値に近づくのである。新しい長期 均衡における貿易財産業の資本は初期の長期均衡水準と同じである。したがっ て,貿易財の政府購入量の増加によって生じた短期での為替レートの購買力平 価に対する過小評価は長期均衡においても消滅しない。労働市場の調整速度が 比較的速い場合には,長期均衡への動学的調整過程において為替レートは,も しのが十分大きい(小さLうときには,減価(増価),増価(減価〉をくり返 しながら,そして購買力平価は,減価,増価をくりかえし実質為替レートは増 価,減価をくり返しながら変動しそれぞれの長期均衡値に収束する。この場合 も貿易財産業の資本は変化していない。貿易財の政府購入量の増加によって生 じた短期の為替レートの購買力平価に対する過小評価は,長期均衡への動学的 調整過程において修正されるけれども,長期均衡においては為替レートの購買 力平価に対する過小評価は,短期におけるそれに等しくなる。したがって,短 期における為替レートの購買力平価からの霜離は持続的である。

C3J

金融政策の効果 金融政策の貨幣賃金率と貿易財産業の資本に与える効果は,側,側式によっ て与えられる。 側

W = M

刊号

=0

側式から金融政策によって,貿易財産業の資本は変化しない。貨幣供給量の 増加は,側式において示されているように,非貿易財価格と貿易財価格をその

(26)

-150- 第60巻 第3号 612 変化率と同じ率で変化させる。それゆえ,貨幣賃金率は貨幣供給量と同じ率で 変化する。 (19),側,仰と側式より側式を得る。 金融政策の場合の位相図は, C1]の非貿易財の政府購入量の増加の場合と定 性的に同じである。 したがって長期均衡への動学的調整過程における為替レー ト,購買力平価および実質為替レートの変動もCl

J

の非貿易財の政府購入量増 加の場合と同様である。 金融政策の場合には,短期において為替レートの購買力平価からの議離は生 じなかった。貿易財産業の資本は金融政策によって変化しないので長期におい てもその議離は生じないことになる。 しカ込しなヵ:ら, 旧長期均衡点から新長期 均衡点への調整過程において為替レートは購買力平価から話離している。

C

4J

貿易財の外国価格の変化の効果 貿易財の外国価格の変化が貨幣賃金率と貿易財産業の資本に与える効果は, (71),間式によって与えられる。

1

)

(72) W で ァ

=0

P7'

1

:

.

.

.

=0

P7' (72)式が示すように

P

7'の変化によって貿易財産業の資本は変化しない。

P

7' の変化は, (37),側式が示すように,非貿易財価格と圏内の貿易財価格を変化さ せないので貨幣賃金率は変化しない。 このことは, (19), (46),包り, および問式よ り確認できる。 このような場合には,貿易財の外国価格の変化によって引き起 こされた短期における為替レート,購買力平価および実質為替レートの変化は, 長期均衡自体が変化しないのでもはやそれ以上に変化しない。貿易財の外国価 格の上昇による為替レートの増価,購買力平価が一定であることそして実質為 替レートの増価が,それぞれ,持続的であるということである。したがって, 短期における為替レートの購買力平価に対する過大評価は持続的である。 (9) 制式の右辺の Pキの係数はゼロであることが確かめられる。つまり,αK_IBIαT-BKN =0

(27)

613 産業調整と実質為替レート動学

-151-V

I

む す び われわれは,単純な小国開放経済モデルを設定することによって為替レート の決定とその購買力平価からの霜離について検討してきた。貨幣賃金率が一定 で資本の産業間移動がない期間における均衡を短期均衡と定義し,労働市場の 完全雇用が達成され資本の産業間移動によって 2つの産業の資本レンタノレが等 しくなる状態を長期均衡と定義した。短期において決定された為替レート,購 買力平価そして実質為替レートが,何らかの撹乱が生じたときに,長期均衡へ の動学的調整過程においてどのように変動していくのか,また長期均衡におい てそれら

3

つの変数がどのように変化するのかを分析した。小論において明ら かにされたことは次の通りである。 (1) 非貿易財の政府購入量,貿易財の政府購入量が変化すれば,短期において 生じる為替レートの購買力平価からの議離は,長期均衡への調整過程におい て縮小や拡大を伴うことがあるが長期均衡において消滅することはなく持続 的である。 (2) 貨幣供給量が変化した場合には,短期においても長期においても為替レー トの購買力平価からの議離は生じない。しかしながら,長期均衡への調整過 程において為替レートは購買力平価から霜離している。 (3) 貿易財の外国価格が変化すれば短期における為替レートの購買力平価から の議離は,縮小や拡大を伴うことがなく無くなることはない。 このような結論は,きわめて限定された枠組で得られたものであることに注 意しなければならない。国際資本移設人々の予想形成そして外国からの反作 用等を考慮したそテールを設定することによってわれわれの得た結論がどのよう に修正されるのかを検討することがこれからの課題となるであろう。 (20) Niehans, J (23)は,国際資本移動を導入したモデノレを用いて為替レートの購買力平価 からの議離を分析している。

(28)

-152- 第60巻 第3号 614

引 用 文 献

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-GATT

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参照

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