• 検索結果がありません。

The Japanese Journal of Experimental Social Psychology. 2016, Vol. 56, No. 1, 1 13 DOI: /jjesp.1502 原著 受稿日 :2015 年 1 月 8 日受理日 :2016 年 5 月 2 日 大

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "The Japanese Journal of Experimental Social Psychology. 2016, Vol. 56, No. 1, 1 13 DOI: /jjesp.1502 原著 受稿日 :2015 年 1 月 8 日受理日 :2016 年 5 月 2 日 大"

Copied!
13
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

DOI: 10.2130/jjesp.1502

〔原   著〕

大学新入生における

LINE ネットワークと

友人満足感および精神的健康との関連

1)

黒 川 雅 幸       吉 田 俊 和

愛知教育大学教育学部 岐阜聖徳学園大学教育学部 要   約 本研究の主な目的は,大学新入生を対象に,アプリケーションソフト「LINE」によるネットワークと, 友人満足感および精神的健康との関連を明らかにすることであった。調査対象者は,同じ専攻の大学1 年生 62 名(男性 23 名,女性 39 名)であり,5 月中旬と 7 月中旬の 2 回にわたって質問紙調査を実施した。5 月 と7 月のいずれの時期においても FTF ネットワークと LINE ネットワークには正の相関がみられた。また, 5 月と 7 月の LINE ネットワークの類似性は,5 月と 7 月の FTF ネットワークの類似性と比べても小さかった。 5 月から 7 月にかけての FTF コミュニケーションの人数は有意な変化がなかったのに対し,クラスメンバー を含むLINE グループの数は増加し,最も頻繁にアクセスするクラスメンバーを含む LINE グループの人数 は減少した。クラスメンバーを含むLINE グループの数は精神的健康の各下位尺度と無相関であったが, LINE ネットワークの中心性は 5 月において友人満足感と有意傾向の正の相関がみられ,うつ傾向とは 7 月 において負の相関がみられた。また,LINE へのアクセス回数は,5 月において友人満足感と正の相関が示 された。 キーワード: 大学新入生,CMC,LINE,友人満足感,精神的健康 問題と目的 携帯電話やパーソナル・コンピュータは2000 年頃か ら急速に普及し始め,大学生においても友人との相互作 用形態は対面(Face-To-Face;以降,FTF と略す)での コミュニケーションに加え,コンピュータを介したコ ミュニケーション(Computer-Mediated Communication; 以降,CMC と略す)がみられるようになった(五十嵐・ 吉田,2003)。携帯電話による通話やメールが大学内の 友人関係における主要なコミュニケーション手段とな り,2011 年の調査でも,ほとんどの大学生がこれらを 使用している結果が得られている(松田,2011)。 しかし,ここ数年における日本では,スマートフォン の普及が急速であり(総務省,2014),スマートフォン を用い,コンピュータ・ネットワークを介して,グルー プで即時的なメッセージのやりとりができるアプリケー ションソフト「LINE」が,大学生においても急速に拡 大していると報告されている(植田,2013)。このよう な実態を踏まえ,本研究では,LINE が大学生の友人関 係において,どのように使用されているか,また,友人 関係の適応とどのように関連しているかを明らかに する。入学後に新たに知り合った人と友人関係を築い ていくことは,適応的な大学生活を送るうえで重要であ ると指摘されていることから(Swenson, Nordstrom, & Hiester, 2008),入学後比較的初期の段階(5 月中旬)と, 前期の授業期間を経て関係が安定すると考えられる段階 (7 月中旬)と(以降,それぞれ中旬を省略する),縦断 的にLINE を使用した友人関係の変化についてみていく こととする。 1)調査の実施にあたり,玉井颯一氏(名古屋大学大学院教育発達科学研究科・日本学術振興会特別研究員)の 協力を得ました。ここに記して謝意を表します。

(2)

LINE の機能面における特徴 LINE はこれまでの携帯電話による通話機能や,携帯 メールがもつようなテキストベールによるコミュニケー ション機能,ソーシャルネット・ワーキング・サービス (以降,SNS と略す)機能を有したアプリケーションで ある。通話機能に関しては,パケット通信を利用したイ ンターネット電話が可能であり,電話代として通話料金 がかからないことから,無料通話とも呼ばれている。ま た,携帯メールがもつようなテキストベースによるコ ミュニケーション機能としては,スタンプや絵文字も使 用可能な「トーク」と呼ばれるチャット機能がある。1 対1 でリアルタイムにコミュニケーションをすることが 可能な他,画像や動画を添付し,共有することもできる。 さらに,1 対 1 のトークを 3 人以上に拡張できる「複数 人トーク」や,遊び仲間,専攻,サークルといったよう に,予めグループを作成して,メンバーを登録しておく ことで,そのグループでチャットを行うことができる 「グループトーク」もある。グループトークは,予めグ ループを作成しておき,一斉にメッセージを発信できる という点で,メーリングリストと同じ機能をもっている が,メーリングリストは絵文字のない全くのテキスト ベースであり,携帯電話のような小さな端末においては 文字入力に手間がかかることから,携帯電話やスマート フォンで使用されることは多くはなかった。大学生にお いてもメーリングリストは普及していなかった(e.g., 遠山,2012)。LINE の SNS 機能としては,電子掲示板 やウェブログ(ブログ)のような個人の情報発信を目的 とした「タイムライン」や「ホーム」がある。 LINE は,ここ数年において急速に普及したアプリケー ションソフトであるため,関連する研究知見は多くはな い。しかし,LINE は携帯メールに近い機能や SNS 機能 を有したアプリケーションであるので,携帯メールや SNS の研究知見を援用することは可能であると考えら れる。そこで,以降では,携帯メールやSNS の研究知 見も踏まえながら論じていくこととする。 LINE による関係形成の特徴および FTF ネットワークとの 比較 携帯メールの相手は,選択性が高いがゆえに,同質性 が高い他者が選ばれるという(小林・池田,2007)。こ のことはLINE においても,電話番号や LINE の ID な どの交換があって,1 対 1 の関係性は形成されることか ら,同様である。Safko(2012)によるソーシャルメディ アの分類2)を基にした鈴木・遠藤・神野・松下・安岡・ 新島(2015)では,携帯メールと LINE は同じインター パーソナルというカテゴリーに分類されている。イン ターパーソナルは,発信する情報の届く範囲が,携帯電 話やスマートフォンの電話帳や友だちリストに登録され ているユーザーだけに限定されているという点において クローズドなソーシャルメディアであると指摘されてい る(鈴木ら,2015)。つまり,LINE は,ネット上で対 面での接触のない見ず知らずの人と関係を築くソーシャ ルメディアではなく,FTF の関係もある場合において, 対人関係の維持や親密性を高めるために使用されている と考えられる。ゆえに,頻繁にアクセスするLINE グルー プのネットワークはFTF ネットワークと類似している と予測される(仮説1)。 メーリングリストでは,運用・管理者がいて,グルー プへの加入手続きを行っていたが,LINE のグループ作 成では,メンバーの1 人が招待することで,グループ以 外の人がグループへ加入することが可能である。つまり, グループへの加入が,個々のメンバーとの関係性に基づ きやすくなったといえる。このことで,1 対 1 の関係性 があまりないにも関わらず,同じグループに所属すると いうケースが生じやすくなっていると考えられる。 五十嵐・吉田(2003)では,友人関係形成の比較的初 期(4 月)と前期の授業期間を経た後(7 月)において は大学新入生の入学後の友人数に差があるとは言えない ものの,入学後に日ごろから携帯メールで交流している 友人数は変化することが示されている。携帯メールでの ネットワークとLINE によって 1 対 1 で形成される友人 関係はともに,利用者自身が登録の意思をもって形成さ れたものである点に関しては違いがない。したがって, LINE においても,5 月と 7 月におけるネットワークの 類似性はFTF ネットワークの類似性と比べて小さいこ とが予測される(仮説2)。LINE では,1 対 1 の関係が ない人も同じグループメンバーになることもあるので, 携帯メールと比べて,FTF ネットワークとの類似性は より小さいと考えられる。 2)(1)ソーシャルネットワーク,(2)写真共有,(3)音楽,音声,(4)動画,(5)マイクロブログ,ブログ,(6) 放送,(7)仮想現実,(8)ゲーム,(9)RSS と情報収集,(10)検索,(11)モバイル,(12)インターパー ソナルである。

(3)

LINE グループの構造的側面と友人満足感や精神的健康の 関連

これまで,友人関係の適応感については,友人の数 (Hartup, 1996; Newcomb & Bagwell, 1995),ネットワーク の中心性(Cairns, Cairns, Neckerman, Gest, & Garariépy, 1988; Farmer & Rodkin, 1996)などの側面から検討され てきた。CMC に関しても,大学におけるフェイスブッ クを通じた友人の数が大学適応と正の関連があることや (Gray, Vitak, Easton, & Ellison, 2013),携帯電話に登録さ れている友人数が自尊心と正の相関を示す結果が報告さ れており(宮本,2009),FTF と同様に友人満足感や精 神的健康と関連がみられると予測できる。1 対 1 の関係 が基本となる携帯メールとは異なるLINE グループは友 人関係における適応にどのように関連しているだろう か。ここでは,LINE グループ数,頻繁にアクセスする LINE グループのネットワークの中心性から検討する。 登録されたグループには名前がつけられ,程度の差こ そあるだろうが,グループへの所属意識が生まれ,社会 的アイデンティティが形成されると考えられる。LINE グループでは,遊び仲間とサークルといったように,同 じ友人が目的に応じて複数のグループに登録されること が少なくない。つまり,LINE グループでは,異なる目 的に応じて,それぞれ異なる人々と関係を取り結ぶ「単 一送信的」(宮崎・田端・池上,2010)な関係が形成さ れる。単一送信的な関係の形成によって,社会的アイデ ンティティが多様化すると考えられる。 自己複雑性理論では(Linville, 1987),多様な自己を もつことは,ネガティブイベントが生起した時に,自己 全体への影響を緩衝することができるため,精神的健康 は高いとされている。LINE グループ数が多いことは, 社会的アイデンティティが多様であり,自己を構成する 要素が複雑になっている状態であると考えられるので, 友人関係におけるネガティブイベントが起きた場合で あっても,精神的健康への影響を緩衝できると考えられ る。したがって,LINE グループが多いほど,精神的健 康は高いと予測される(仮説3)。 ネットワークの中心性とは,クラス集団のメンバーか ら友人グループのメンバーとして名前が挙がった回数と 定義されている(Cairns et al., 1988; Farmer & Rodkin, 1996)。ネットワーク中心性が高いことは,集団のメン バーとのネットワークが緊密に形成されていることを意 味している。また,個人の持つ社会的ネットワークの大 きさや緊密性そのもの(社会的包絡:social embedded-ness)は,ソーシャル・サポートを捉える 1 つの次元と 指摘されているので(Barrera, 1986),LINE グループの 中心性が高いことは,ソーシャル・サポートを多く受け られる状態にあるということができる。友人からのサ ポートは,孤独感や抑うつの低減といった友人関係の適 応感や精神的健康に寄与することが示されていることか ら(和田,1992),頻繁にアクセスする LINE グループ の中心性が高いことと友人満足感や精神的健康は正の相 関があると予測される(仮説4)。 さらに,頻繁にアクセスするLINE グループに関して は,メンバーの変化についても検討する。関係初期に形 成されたLINE グループのメンバーがどのように変化し ていくかについても,これまでの研究では明らかにされ ていない。したがって,頻繁にアクセスするLINE グルー プメンバーの変化については探索的に検討する。頻繁に アクセスするLINE グループメンバーの変化と友人満足 感や精神的健康との関連については,仮説を立てられる 十分な根拠がないので,併せて探索的な検討とする。 LINE による対人行動的側面と友人満足感や精神的健康の 関連 ネットワークという構造的な面だけではなく,LINE でコミュニケーションをするという行動的な面も友人満 足感や精神的健康に影響を及ぼすだろう。携帯メールの 使用頻度は,相手への満足度の高さが関係していると指 摘されている(赤坂・高木,2005)。また,LINE のタ イムラインとほぼ同様な機能をもつウォール投稿やコメ ントの交換といったような社会的コミュニケーションタ イプのSNS の使用が,直接的に精神的健康へ正の影響 があることや,オンライン上の自己開示を高め,交友関 係の質に正の影響があることが示されている(Wang, Jackson, Gaskin, & Wang, 2014)。したがって,LINE も 同様に,アクセス回数が多いほど,友人満足感や精神的 健康は高いと予測される(仮説5)。 方   法 調査対象者 大学新入生は共通の授業を受講している 者同士で友人関係を形成することが多いことから(高木, 2004),同じ専攻内における友人を対象とした。大学 1 年生の同じ専攻のクラス集団62 名(男性 23 名,女性 39 名)であった。平均年齢は 18. 32 歳(SD=0. 57,5 月測定時)であった。本研究で調査対象者とした学生は, クラス単位での授業や学校行事などの活動が多く,必然 的に関わり合うことが多い。5 月にはグループごとに寸 劇発表会も行われ,クラス全体の互いの顔と名前をほぼ 見知った状態であり,クラス全員について回答させるの に,適切な時期であると考えられる。また,7 月は前期

(4)

の授業期間での相互作用によって,友人関係が安定した 時期になっていると考えられる。 手続き 2014 年の 5 月と 7 月に,質問紙法によって 調査を実施した。調査対象者とは異なる大学に在籍する 大学院生に協力を求め,大学院生が自身の研究であるか のように,大学の講義時に封筒に入れた質問紙を配布 し,持ち帰って回答してもらい,後日封筒ごと回収する という方法をとった。回収時に,調査協力の謝礼として 学食券を渡すことを予め告げておいた。回収率は100% であった。 質問紙の構成 調査時には,質問紙とともにクラス全 員の名前を符号化したリストを同封して渡した。 フェイスシートでは,研究の目的,データの取扱い, 回答の自由の保障について明記した。基本情報として, 性別,年齢,LINE のアカウント登録の有無,について 質問した。 (1)クラスメンバーを含む LINE グループの数:クラ ス集団62 名のうち 1 名でも回答者自身と一緒に加入し ているLINE グループの数を回答してもらった。(2)最 も頻繁にアクセスするクラスメンバーを含むLINE グ ループのメンバー3):(1)で回答してもらった LINE グ ループのうち,最も頻繁にアクセスするクラスメンバー を含むグループのメンバーについて,クラス集団62 名 のリストから選択してもらった。調査対象者の負担が大 きくなると予測したため,最も頻繁にアクセスするグ ループのみ尋ねた。また,そのグループ名について尋ね た。テニスサークルのように,共通する課題や目標をもっ たメンバーから構成される公式的組織に基づいたフォー マルグループと,親密さに基づく公式的組織に基づかな いインフォーマルグループが作成されることが想定され るので,グループ名については,回答されたグループが フォーマルグループかインフォーマルグループかを尋ね る調査を実施した4)。フォーマル(1 点)~インフォーマ ル(4 点)の 4 段階で評定してもらった。(3)FTF コミュ ニケーションの有無:「ほぼ毎日のように会って会話を している相手(ただし,あいさつのみは除く)」について, クラス集団62 名のリストから,該当する相手を選択し てもらった。(4)1 日あたりの LINE への平均アクセス 回数:LINE に 1 日あたり何回アクセスしているかを回 答してもらった。なお,LINE はスマートフォンを始め, パーソナル・コンピュータ,タブレットなどでもアクセ ス可能であるが,アクセスする機器については限定しな かった。(5)友人満足感尺度(加藤,2001):クラス集 団内の友人を想定して回答してもらった。6 項目に対し て,「あてはまらない(1 点)」~「よくあてはまる(4 点)」 の4 段階評定で測定した。(6)GHQ28(中川・大坊, 1996):「まったくなかった」~「たびたびあった」など, 4 段階評定であった。(1)~(3)の指標を図式化すると Figure 1 のように示すことができる。 結   果 基礎統計 欠測値がある場合は,その都度分析から除外した。 アカウント登録の割合 LINE にアカウントを登録し ている人の割合は5 月,7 月のいずれでも 100%であっ た。 クラスメンバーを含むLINE グループの数 5 月では, 1 人あたり平均 7. 66 グループ(SD=3. 57)であった。7 月では,1 人あたり平均 10. 11 グループ(SD=5. 06)で あった。 最も頻繁にアクセスするクラスメンバーを含むLINE グループの人数 5 月における最も頻繁にアクセスする クラスメンバーを含むLINE グループの人数は平均 12. 27 人(SD=19. 10)であった。この中には,自分を除くク ラス全員を回答していた者が8 名みられた。7 月におけ る最も頻繁にアクセスするクラスメンバーを含むLINE グループの人数は平均6. 97 人(SD=10. 40)であった。 この中には,自分を除くクラス全員を回答していた者が 2 名みられた。最も頻繁にアクセスするクラスメンバー を含むLINE グループの名前では,いつめん(いつもの メンバー),サークルの仲良しメンバー,授業でのグルー プ名,専攻教科名などの回答がみられた。グループの フォーマル―インフォーマルの程度は,5 月で平均 2. 81 (SD=1. 28),7 月で平均 2. 83(SD=1. 30)といずれの 時期もインフォーマルの程度が高いグループへ最も頻繁 にアクセスしていた。5 月と 7 月におけるフォーマル- 3)本調査では,最も頻繁にアクセスするクラスメンバーを含む LINE グループのメンバーを 1 人と回答してい た人が,5 月において 6 名,7 月において 5 名みられた。1 対 1 の関係の場合は,グループを作成すること はほとんどないと考えられるが,同じ専攻以外のメンバーが含まれている3 人以上のグループである場合や, グループ作成時からメンバーが抜けてしまい,結果的に2 人だけのグループとなった場合では,1 人と回答 される可能性がある。 4)追加調査として後日実施した。

(5)

インフォーマルの程度の差をみるため,対応のあるt 検 定を行ったところ,有意な差はみられなかった(t(61)= 0. 24, n.s.)。5 月から 7 月にかけてのクラスメンバーの変 化をみてみると,1)5 月のメンバー全員を維持してい る人(15 名),2)5 月のメンバー全員に新しいメンバー が加わっている人(12 名),3)5 月のメンバーの一部で サブグループをつくっている人(16 名),4)新しいメ ンバーと5 月のメンバーの一部でグループをつくってい る人(19 名)の 4 つの類型に分けることができた。類 型ごとのグループメンバーの平均人数はTable 1 の通り であった。 FTF コミュニケーションの人数 5 月における FTF コミュニケーションの人数は1 人あたり平均 7. 21 人 (SD=3. 64)であった。7 月における FTF コミュニケー ションの人数は1 人あたり平均 7. 68 人(SD=4. 13)で あった。 クラスメンバーを含むLINE グループの数,最も頻繁に アクセスするクラスメンバーを含むLINE グループの人数, FTF コミュニケーション人数の変化 5 月と 7 月における クラスメンバーを含むLINE グループの数の変化を検討 するために,対応のあるt 検定を行ったところ,有意な 差がみられ,7 月の方(M=10. 11)が 5 月(M=7. 66) よりも多かった(t(61)=5. 78, p<.01)。次に,5 月と 7 月における最も頻繁にアクセスするクラスメンバーを含 むLINE グループの人数の変化を検討するために,対応 のあるt 検定を行ったところ,有意な差がみられ,5 月 の方(M=12. 27)が 7 月(M=6. 97)よりも多かったt(61)=2. 07, p<.05)。最後に,5 月と 7 月における FTF コミュニケーションの人数の変化を検討するために,対 応のあるt 検定を行ったところ,有意な差はみられな かった(t(61)=1. 28, n.s.)。 1 日あたりの LINE への平均アクセス回数 5 月におけ Table 1 最も頻繁にアクセスするクラスメンバーを含む LINE グループメンバーの変化類型ごとの平均人数 5 月のメンバー全員を 維持(n=15) 5 月のメンバー全員と 新しいメンバー(n=12) 5 月のメンバーの サブグループ(n=16) 新しいメンバーと5 月の 一部のメンバー(n=19) 5 月 4. 73 3. 50 34. 44 5. 11 7 月 4. 73 10. 25 7. 69 6. 05 単位:人 Figure 1 本研究で使用したネットワーク指標の図式化

(6)

る1 日あたりの LINE へのアクセス回数は平均 28. 52 回 (SD=27. 11),最小値は 1 回,最大値は 100 回であった (Figure 2)。7 月においては平均 35. 85 回(SD=46. 84), 最小値は2 回,最大値は 300 回であった(Figure 3)。 友人満足感尺度 因子分析(主因子法)の結果,4. 17, 0. 59,…,と固有値の減衰状況から 1 因子であると判断 した。1 因子での説明率は 63. 75%であった。内的整合 性はa=.91 であり,十分高かった。したがって,6 項目の 平均得点を友人満足感の得点とした。6 項目での平均値 は2. 81(SD=0. 74)であった。また,7 月についても同 様の分析を行い,1 因子性を確認した(説明率 59. 58%, a=.89,M=2. 80,SD=0. 61)。 GHQ28 整理表にしたがって各要素スケールの得点 を算出した。原版の通り,1 点あるいは 0 点で得点化し た(Table 2)。 5 月と 7 月における最も頻繁にアクセスするクラスメ ンバーを含むLINE グループのネットワークおよび FTF ネットワーク 5 月と 7 月における最も頻繁にアクセス するクラスメンバーを含むLINE グループのネットワー クおよびFTF ネットワークを描いた(Figure 4, 5)。5 月においては8 名,7 月においては 2 名が LINE ネット ワークにおいて,クラス全員を選択していたため,それ らの人を中心とするネットワークが描かれた。一方で, FTF ネットワークは視覚的に 4 ~ 6 つの相互選択を密 にするグループが構成されているようであった。各ネッ トワークの構造指標としてネットワークの辺の数,密度, 推移性,相互性を算出した(Table 3)5)。5 月の LINE ネッ トワークの特徴は,ネットワークの辺の数,密度,推移 性が高く,ネットワークが多く張られているが,相互性 は高いとはいえず,多くのネットワークが一方方向的な Figure 2 5 月における 1 日あたりの LINE への平均ア クセス回数(ヒストグラム) Figure 3 7 月における 1 日あたりの LINE への平均ア クセス回数(ヒストグラム) Table 2 5 月および 7 月における GHQ28 の得点区分表 5 月 7 月 症状なし 軽度の症状 中等度の症状 症状なし 軽度の症状 中等度の症状 身体的症状 26 17 19 30 16 15 不安と不眠 30 18 12 32 16 14 社会的活動障害 36 22 4 38 13 11 うつ傾向 48 7 6 49 11 2 単位:人 注)症状なし:身体的症状と不安と不眠(0 点~ 1 点),社会的活動障害とうつ傾向(0 点) 軽度の症状:身体的症状と不安と不眠(2 ~ 3 点),社会的活動障害とうつ傾向(1 ~ 2 点) 中等度以上の症状:身体的症状と不安と不眠(4 点以上),社会的活動障害とうつ傾向(3 点以上) 5)ネットワークの辺の数とは,ノード間における繋がりの数を意味する。本研究では,有向辺を測定している ため,ノードi からノード j への辺とノード j からノード i への辺を区別してカウントしている。密度とは, ネットワークにおいて張ることのできる全ての辺に対する実際の辺の数の比率である。推移性とは,ノード i からノード j への有向辺があり,かつノード j からノード k への有向辺がある場合において,ノード i から ノードk への有向辺がある比率を意味する。相互性とは,2 者間において少なくとも一方の有向辺が存在す る場合における,相互に有向辺がある比率をさす。

(7)

関係であった。7 月の LINE ネットワークの特徴は,ネッ トワークの辺や密度はFTF ネットワークと近い値に なっているが,一方方向的な関係が比較的多かったこと は5 月同様であった。一方で,FTF ネットワークの特 徴は,5 月と 7 月のいずれにおいても双方向的な関係が 形成されていた。 また,各対象者に対して中心性(centrality)を算出し Figure 4 5 月における最も頻繁にアクセスするクラスメンバーを含む LINE グループのネットワーク(左)と FTF ネッ トワーク(右) 注)番号は対象者に名義的に振ったものである。 Figure 5 7 月における最も頻繁にアクセスするクラスメンバーを含む LINE グループのネットワーク(左)と FTF ネッ トワーク(右) 注)番号は対象者に名義的に振ったものである。 Table 3 各ネットワークの統計量 5 月 LINE LINE7 月 FTF5 月 FTF7 月 ネットワークの辺の数(edge) 750 425 449 476 密度(density) .20 .11 .12 .13 推移性(transitivity) .84 .69 .50 .52 相互性(reciprocity) .20 .28 .58 .57

(8)

た6)。中心性の平均は5 月の LINE で 12. 10(SD=3. 00), 7 月 の LINE で 6. 85(SD=2. 53),5 月 の FTF で 7. 24SD=2. 35),7 月の FTF で 7. 68(SD=3. 05)であった。 仮説の検証および探索的検討 5 月および 7 月における最も頻繁にアクセスするクラス メンバーを含むLINE グループのネットワークと FTF ネッ トワーク類似性 5 月および 7 月における最も頻繁にア クセスするクラスメンバーを含むLINE グループのネッ トワークとFTF ネットワーク類似性を検討するため, CUG(Conditional Uniform Graph)検定を行った。この 検定は,同じメンバーからなる2 つのグラフにおける相 関関係の有意性を判定する検定である7)。モンテカルロ・ シミュレーションによって,メンバーの配置をランダム に入れ替えて相関係数を算出するという作業を繰り返 し,相関係数の分布を近似的に求める方法をとって検定 を実施した。CUG 検定の結果,5 月における最も頻繁 にアクセスするクラスメンバーを含むLINE グループの ネ ッ ト ワ ー ク とFTF ネットワークの類似性はr=.35p<.01)であった。7 月における最も頻繁にアクセスす るクラスメンバーを含むLINE グループのネットワーク とFTF ネットワークの類似性はr=.47(p<.01)であっ た8)。したがって,仮説1 は支持された。 最も頻繁にアクセスするクラスメンバーを含むLINE グループのネットワークとFTF ネットワークの類似性  最も頻繁にアクセスするクラスメンバーを含むLINE グ ループのネットワークとFTF ネットワークの 5 月と 7 月における類似性を明らかにするため,CUG 検定を行っ た。5 月と 7 月における最も頻繁にアクセスするクラス メンバーを含むLINE グループのネットワークの類似性 はr=.40(p<.01)であった。また,5 月と 7 月におけ るFTF ネットワークの類似性はr=.75(p<.01)であっ た9)。相関係数の差の検定を行ったところ,5 月と 7 月 に お け るLINE ネ ッ ト ワ ー ク の 類 似 性(r=.40) は, FTF ネットワークの類似性(r=.75)よりも有意に低かっ た(z=2. 99, p<.01)。したがって,仮説 2 は支持された。 クラスメンバーを含むLINE グループの数と精神的健 康およびLINE 中心性と友人満足感や精神的健康の関連  FTF コミュニケーション人数と FTF 中心性の影響を制 御し,偏相関係数を算出した(Table 4, 5)10)。クラスメ ンバーを含むLINE グループの数と精神的健康は 5 月, 7 月ともに無相関であったので,仮説 3 は支持されなかっ た。5 月における友人満足感と,LINE 中心性は有意傾 向ではあったが,正の相関がみられた(r=.24, p<.10)。 5 月の LINE 中心性と精神的健康の各下位尺度との関連 はみられなかった。7 月においては,LINE 中心性と友 人満足感は無相関であったのに対し,LINE 中心性と精 神的健康の下位尺度との関連については,うつ傾向との 間に有意な負の相関がみられた(r=–.30, p<.05)。以上 より,仮説4 は一部のみ支持された。 最も頻繁にアクセスするクラスメンバーを含むLINE グループメンバーの変化類型と友人満足感や精神的健康 の関連 最も頻繁にアクセスするクラスメンバーを含む LINE グループメンバーの変化類型を独立変数,5 月と 7 月における友人満足感や精神的健康の下位尺度をそれ ぞれ従属変数とした参加者間1 要因分散分析を行った。 その結果,5 月においては,類型による有意な主効果は みられなかったのに対し,7 月においては,身体的症状, 不安と不眠において有意な主効果,社会的活動障害にお いて有意傾向の主効果がみられた(Table 6)。Tukey の 6)ここでの中心性とは,有向グラフにおいて,選択を受けた数(入次数:indegree)の合計によって算出され た値である。 7)グラフの各指標は,サイズや密度などの影響を受けるので,サイズや密度の異なるグラフ同士を比較するの は困難である。CUG 検定はこれらの制約のもとでも,実際に得られた値がどのくらいの確率で得られるか を推定できる検定である。 8)5 月における最も頻繁にアクセスするクラスメンバーを含む LINE グループのネットワークと FTF ネットワー クの相関係数は,密度を固定してそのとりうる理論的最大値を算出するとr=.74 であった。同様に,7 月に おける最も頻繁にアクセスするクラスメンバーを含むLINE グループのネットワークと FTF ネットワーク ではr=.94 であった。 9)5 月と 7 月における最も頻繁にアクセスするクラスメンバーを含む LINE グループのネットワークの相関係 数は,密度を固定してそのとりうる理論的最大値を算出すると,r=.72 であった。同様に,5 月と 7 月にお けるFTF ネットワークではr=.97 であった。 10)LINE 中心性と FTF 中心性の相関は,5 月においてr=.62(p<.01),7 月において r=.51(p<.01)であった。 また,LINE 中心性と FTF コミュニケーション人数の相関は,5 月においてr=.40(p<.01),7 月において r=.41(p<.01)であった。

(9)

Table 4 5 月における LINE ネットワークと友人満足感や精神的健康の偏相関係数 1 2 3 4 5 6 7 1.LINE 中心性 2.クラスメンバーを含む LINE グループの数 .17 3.友人満足感 .24† .11 4.身体的症状 –.10 .19 –.45** 5.不安と不眠 –.19 .07 –.35** .48** 6.社会的活動障害 –.09 .03 –.32* .31* .54** 7.うつ傾向 –.17 –.09 –.12 .20 .41** .09 **p<.01,*p<.05,p<.10 注)制御変数:FTF コミュニケーションの人数,FTF 中心性 Table 5 7 月における LINE ネットワークと友人満足感や精神的健康の偏相関係数 1 2 3 4 5 6 7 1.LINE 中心性 2.クラスメンバーを含む LINE グループの数 .28* 3.友人満足感 .06 .10 4.身体的症状 –.12 .14 –.04 5.不安と不眠 –.18 .10 –.16 .50** 6.社会的活動障害 –.14 .00 –.11 .43** .68** 7.うつ傾向 –.30* .00 –.27* .27† .57** .67** **p<.01,*p<.05,p<.10 注)制御変数:FTF コミュニケーションの人数,FTF 中心性 Table 6 最も頻繁にアクセスするクラスメンバーを含む LINE グループメンバーの変化類型ごとの友人満足感と精神 的健康の平均値(標準偏差) 5 月のメンバー 全員を維持 n=14 5 月のメンバー 全員と新しいメンバー n=12 5 月のメンバーの サブグループ n=16 新しいメンバーと 5 月の一部のメンバー n=19 F 値 多重比較 5 月 友人満足感 2. 71(0. 71) 2. 74(0. 77) 2. 80(0. 83) 2. 88(0. 72) 0. 15 身体的症状 2. 67(2. 02) 3. 00(2. 00) 2. 07(2. 31) 2. 37(1. 86) 0. 50 不安と不眠 2. 20(1. 66) 2. 55(2. 11) 1. 47(1. 41) 1. 53(1. 31) 1. 49 社会的活動障害 1. 00(0. 93) 0. 72(1. 01) 0. 27(0. 59) 0. 74(1. 15) 1. 54 うつ傾向 0. 40(0. 83) 0. 73(1. 42) 0. 67(1. 59) 0. 32(0. 95) 0. 41 n=15 n=11 n=15 n=19 F 値 多重比較 7 月 友人満足感 2. 71(0. 66) 2. 72(0. 53) 2. 88(0. 60) 2. 83(0. 67) 0. 27 身体的症状 2. 57(2. 65) 3. 42(1. 68) 1. 31(1. 74) 1. 68(1. 34) 3. 52* b>c*,b>d† 不安と不眠 2. 71(2. 33) 3. 17(2. 12) 1. 25(1. 48) 1. 16(1. 68) 4. 25* b>c*,b>d* 社会的活動障害 1. 93(2. 62) 1. 25(1. 48) 0. 50(1. 03) 0. 53(1. 02) 2. 71† a>c,a>d† うつ傾向 0. 71(1. 64) 0. 58(0. 79) 0. 19(0. 54) 0. 16(0. 37) 1. 40 *p<.05,p<.10 注)a:5 月のメンバー全員を維持,b:5 月のメンバー全員と新しいメンバー,c:5 月のメンバーのサブグループ, d:新しいメンバーと 5 月の一部のメンバー

(10)

HSD 検定で多重比較を行ったところ,「5 月のメンバー 全員と新しいメンバー」群が「5 月のメンバーのサブグ ループ」群よりも有意に身体的症状や不安と不眠が高 かった。また,「5 月のメンバー全員と新しいメンバー」 群が「新しいメンバーと5 月の一部のメンバー」群より も有意に不安と不眠が高く,有意傾向で身体的症状が高 かった。さらに,有意傾向ではあったが,「5 月のメンバー 全員を維持」群が「5 月のメンバーのサブグループ」群 や「新しいメンバーと5 月の一部のメンバー」群よりも 社会的活動障害が高かった。 1 日あたりの LINE への平均アクセス回数と友人満足 感や精神的健康の関連 5 月と 7 月における 1 日あたり のLINE への平均アクセス回数と友人満足感や精神的健 康の下位尺度のそれぞれとの散布図を作成した(e.g., Figure 6, 7)。5 月と 7 月における 1 日あたりの LINE へ の平均アクセス回数と友人満足感や精神的健康の下位尺 度のそれぞれとについて相関分析を行った(Table 7)。 その結果,5 月における 1 日あたりの LINE への平均ア クセス回数と友人満足度のみ有意傾向の正の相関がみら れた。したがって,仮説5 は一部支持された。 考   察 本研究の目的は,大学新入生を対象に,ここ数年で普 及したアプリケーションソフト「LINE」の使用によって, LINE ネットワークがどのように形成されているか,ま た,LINE ネットワークや LINE へのアクセスが友人満 足感や精神的健康とどのように関連しているかを明らか にすることであった。本研究の対象となった大学生でも LINE のアカウントの保有率は 100%であり,大学生へ の普及(植田,2013)が改めて示された。 まず,5 月と 7 月のいずれにおいても,最も頻繁にア クセスするグループメンバーを含むLINE グループの ネットワークはFTF ネットワークを反映していること が明らかとなった(仮説1 支持)。CMC にも様々な形態 があり(boyd & Ellison, 2007),ネット上で知り合って 友人になり,対面ではほぼ接触しないようなツールもあ る。しかし,本研究で調査対象となったLINE は,携帯 メールと同様なソーシャルメディアに位置づけられてい るように(鈴木ら,2015),対面での接触をもつ者同士が, 物理的制約によって,対面でのコミュニケーションをす ることができない場合でも,コミュニケーションを可能 にするために補完的な役割として使用されていたと考え られる。 5 月と 7 月の FTF ネットワークは類似していること が示され,FTF コミュニケーションの人数は 5 月と 7 月で有意な変化はみられなかった。FTF の人数に有意 な変化がみられなかったのは,五十嵐・吉田(2003)と 同様な結果であった。FTF ネットワークが類似してい Table 7 1 日あたりの LINE への平均アクセス回数と友人満足感や精神的健康の相関係数 友人満足感 身体的症状 不安と不眠 社会的活動障害 うつ傾向 5 月 .24† –.09 .01 –.15 –.01 7 月 .16 –.00 –.07 .02 –.08 †p<.10 Figure 6 5 月における 1 日あたりの LINE への平均ア クセス回数と友人満足感の散布図 Figure 7 7 月における 1 日あたりの LINE への平均ア クセス回数と不安・不眠の散布図

(11)

ることからも,FTF コミュニケーション相手は関係が 維持される傾向があることが示された。 一方で,5 月と 7 月の最も頻繁にアクセスするクラス メンバーを含むLINE グループのネットワークも類似し ていることが示されたものの,その類似性はFTF より も小さかった(仮説2 支持)。また,最も頻繁にアクセ スするクラスメンバーを含むLINE グループの人数に関 しては,減少することが示された。5 月においても 7 月 においても,最も頻繁にアクセスするクラスメンバーを 含むLINE グループはインフォーマルなグループが多 く,親密な関係にある者同士の関係の変化と捉えられる。 7 月において人数が減少していたことは,5 月のメンバー の一部でサブグループができたことによるものであった (Table 1)。5 月には比較的大人数のグループでネット ワークを形成していたが,相互作用を繰り返していく過 程で,グループ内の同質性を維持するために,より親密 なメンバー同士のグループがつくられたと考えられる。 クラスメンバーを含むLINE グループの数は,関係の初 期段階から増加する傾向にあった。最も頻繁にアクセス するクラスメンバーを含むLINE グループのメンバーの 変化から推察するに,サブグループがつくられたことや, 既存のグループメンバーに新たなメンバーが加わったこ とにより,新たにグループがつくられたと考えられる。 また,交友関係が広がり,グループが増えたとも考えら れる。大学新入生のLINE による友人関係形成の特徴は, グループを介した繋がりをもち,親密性という基準での 同質性が維持できなくなった場合,新たにグループを形 成していくところにあることが示唆された。 クラスメンバーを含むLINE グループの数は精神的健 康 と 関 連 が み ら れ な か っ た( 仮 説3 不支持)。Brook, Garcia, and Fleming(2008)は,多様なアイデンティティ が精神的健康へ影響するのは,アイデンティティの数, アイデンティティの重要さ,アイデンティティ間の関係 が関連しており,アイデンティティが重要でないならば, アイデンティティの数は精神的健康に影響しないと指摘 している。本調査では,最も頻繁にアクセスするクラス メンバーを含むLINE グループの中にも,サークル,部 活などのフォーマルなグループが報告されていた。事務 的な連絡にしか利用されないようなグループはアイデン ティティに重要になるとは考えにくく,それらのグルー プを含んでいたことが,精神的健康と関連がみられな かった原因であると考えられる。また,インフォーマル なグループであっても,LINE のようなメンバーの出入 が比較的容易な仕組みの場合,アイデンティティを形成 しにくいのかもしれない。 大学新入生の適応にはFTF による相互作用が重要で あることはこれまでの研究でも明らかにされてきたが (Hays & Oxley, 1986),FTF の影響を除いても,LINE 中 心性が高いほど,5 月の友人満足感は高く,7 月のうつ 傾向は低いことが示された(仮説4 一部支持)。LINE 中心性が高いことは,サポートを受けられる機会が多 かったと考えられる。友人からサポートを得られること は,孤独感を低め(和田,1992),抑うつを低めること が指摘されているので(永井,2010),これらと整合す る結果であった。ただし,7 月においては LINE 中心性 と 友 人 満 足 感 と の 関 連 は み ら れ ず,5 月においては LINE 中心性とうつ傾向の関連はみられなかった。うつ 傾向を測定する項目では,「自分は役に立たない人間だ と考えたこと」,「人生にまったく望みを失ったと感じた こと」などの友人関係に限らないことについて尋ねてい る。関係初期の段階では,ネットワークの中心性は,友 人関係に満足しているかどうかのみに関連がみられる が,関係が安定した頃では,学業や大学の様々な活動に おける友人のサポートにも影響し,結果的に大学生活全 般に関して協力を得られず,うつ傾向として表れてしま うのではないかと考えられる。 最も頻繁にアクセスするクラスメンバーを含むLINE グループのメンバーの変化を4 つの類型に分けたとこ ろ,関係初期のメンバーが全員維持されている,もしく は,維持されているうえで新しいメンバーが加わった場 合の方が,サブグループをつくったり,既存の一部のメ ンバーと新しいメンバーでグループをつくったりした場 合よりも精神的健康が低いことが示された。友人関係に おいて関係の安定性は重要であるが(Ladd, 1990),本 研究の結果は,むしろ関係初期のメンバーから変化がな いことが,精神的健康に悪い影響をもたらしているよう であった。5 月のメンバー全員に新しいメンバーが加 わった場合は,これまで維持してきた同質性が失われる 可能性があるので,グループ内の関係が変わることへの 懸念が生じていた可能性が考えられる。新しいメンバー が加わっても,既存の関係を維持しようと働きかけてい ることも考えられ,それが気分の悪化やストレスの原因 となっている可能性も考えられる。また,5 月のメンバー 全員が維持されている場合は,決まったメンバーとの間 での相互作用が中心となるので,新鮮さのある活動が少 なくなりがちであり,いつもよりも日常生活が活動的で あるという評価ができなかった可能性が考えられる。 5 月において,1 日あたりの平均アクセス回数と友人 満足度との間に正の関連がみられたことは(仮説5 一部 支持),メッセージのやりとりをしているほど,友人か

(12)

ら受容されていると感じたことによるものと推察され る。しかし,7 月においては,この関連がみられなかった。 5 月は友人関係の形成時期であるので,アクセス数とい う量的な変数が重要になるのかもしれないが,関係が安 定した後は,関係の質的な側面が満足感には影響するの ではないかと考えられる。 本研究の限界 本研究で測定されたLINE ネットワークは,クラスメ ンバーを含むグループの中で最も頻繁にアクセスする LINE グループのメンバーに限ったものである(Figure 1)。 測定されたLINE ネットワークは,クラス内の CMC ネッ トワークの主要な部分を捉えていると考えられるもの の,今回の調査では測定できなかったLINE ネットワー ク も 存 在 す る。 本 来 な ら ば, ク ラ ス メ ン バ ー を 含 む LINE グループそれぞれのメンバーについて明らかにす べきところであるが,7 月においては平均 10. 11 グルー プのネットワークを保有していることが報告されている ことからも,全グループのメンバーの報告を求めること は調査対象者の負担が大きくなってしまう。実施上の困 難さから全ネットワークを把握できなかったことは課題 である。 引用文献 赤坂瑠以・高木秀明(2005).携帯電話のメールによる コミュニケーションと高校生の友人関係における発 達の特徴との関連 パーソナリティ研究,13, 269– 271.

Barrera, Jr. M. (1986). Distinctions between social support concepts, measures, and models. American Journal of Community Psychology, 14, 413–445. boyd, d. m., & Ellison, N. B. (2007). Social network sites:

Definition, history, and scholarship. Journal of Computer-mediated Communication, 13, 210–230. Brook, A. T., Garcia, J., & Fleming, M. (2008). The effects

of multiple identities on psychological well-being. Personality and Social Psychology Bulletin, 34, 1588– 1600.

Cairns, R. B., Cairns, B. D., Neckerman, H. J., Gest, S. D., & Garariépy, J. (1988). Social networks and aggressive behavior: Peer support or peer rejection? Develop-mental Psychology, 24, 815–823.

Farmer, T. W., & Rodkin, P. C. (1996). Antisocial and prosocial correlates of classroom social positions: The social network centrality perspective. Social

Development, 5, 174–188.

Gray, R. A., Vitak, J. B., Easton, E. W. C., & Ellison, N. B. (2013). Examining social adjustment to college in the age of social media: Factors influencing successful transitions and persistence. Computers and Education,

67, 193–207.

Hartup, W. W. (1996). The company they keep: Friend-ships and their developmental significance. Child Development, 67, 1–13.

Hays, R. B., & Oxley, D. (1986). Social network develop-ment and functioning during a life transition. Journal of Personality and Social Psychology, 50, 305–313. 五十嵐祐・吉田俊和(2003).大学新入生の携帯メール 利用が入学後の孤独感に与える影響 心理学研究, 74, 379–385. 加藤 司(2001).対人ストレス過程の検証 教育心理 学研究,49, 295–304. 小林哲郎・池田謙一(2007).若年層の社会化過程にお ける携帯メール利用の効果―パーソナル・ネット ワークの同質性・異質性と寛容性に注目して― 社 会心理学研究,23, 82–94.

Ladd, G. W. (1990). Having friends, keeping friends, mak-ing friends, and bemak-ing liked by peers in the classroom: Predictors of children’s early school adjustment? Child Development, 61, 1081–1100.

Linville, P. W. (1987). Self-complexity as cognitive buffer against stress-related illness and depression. Journal of Personality and Social Psychology, 52, 663–676. 松田美佐(2011).大学生のスマートフォン利用 中央 大学社会科学研究所年報,16, 99–112. 宮本聡介(2009).友人ネットワークサイズと自尊心の 関連について 明治学院大学心理学紀要,20, 19–26. 宮崎弦太・田端拓哉・池上知子(2010).友人関係の単 一-多重送信性と都市的環境への適応―都市部大学 生を対象として― 都市文化研究,12, 77–84. 永井 智(2010).大学生における援助要請意図―主要 な要因間の関連から見た援助要請意図の規定因―  教育心理学研究,58, 46–56. 中川泰彬・大坊郁夫(1996).日本版 GHQ 精神健康調 査票手引2 版 日本文化科学社

Newcomb, A. F., & Bagwell, C. L. (1995). Children’s friendship relations: A meta-analytic review. Psycho-logical Bulletin, 117, 306–347.

Safko, L. (2012). The Social Media Bible: Tactics, Tools and Strategies for Business Success. 3th ed. Hoboken, New

(13)

Jersey: Wiley. 総務省(2014).平成 26 年度版情報通信白書 総務省 2014 年 7 月 15 日 <http://www.soumu.go.jp/johotsus-intokei/whitepaper/ja/h26/pdf/n5300000.pdf>(2014 年8 月 28 日) 鈴木英男・遠藤真紀・神野 建・松下孝太郎・安岡広志・ 新島典子(2015).ソーシャルメディアにおけるプ ライバシーリスクの盲点―リスク逓減に向けた論点 整理― 東京情報大学研究論集,18, 1–15.

Swenson, L. M., Nordstrom, A., & Hiester, M. (2008). The role of peer relationships in adjustment to college. Journal of College Student Development, 49, 551–567. 高木麻美(2004).大学生の友人ネットワークの実態調 査 関西大学大学院人間科学(社会学・心理学研究), 61, 129–141. 遠山茂樹(2012).大学生の友人関係とコミュニケーショ ン・メディア選択との関連性に関する調査研究 国 際社会文化研究,13, 61–92. 植田康孝(2013).コミュニケーションを求める大学生 気質―無料通話アプリ「ライン(LINE)」の急拡大―  Informatio:江戸川大学の情報教育と環境,10, 13– 27. 和田 実(1992).大学新入生の心理的要因に及ぼすソー シャルサポートの影響 教育心理学研究,40, 386– 393.

Wang, J., Jackson, L. A., Gaskin, J., & Wang, H. (2014). The effects of social networking site (SNS) use on college student’s friendship and well-being. Computers in Human Behavior, 37, 229–236.

LINE network, relational satisfaction, and general health in college freshmen

Masayuki Kurokawa (Faculty of Education, Aichi University of Education)

Toshikazu Yoshida (Faculty of Education, Gifu Shotoku Gakuen University)

This study explored how engagement in computer-mediated communication through the network application “LINE” affects relational satisfaction with friends, and general health in college freshmen. Sixty-two participants completed a self-report questionnaire in May, and again in July. Health was measured by the General Health Questionnaire-28. A conditional uniform graph test showed a significant positive correlation between face-to-face (FTF) and LINE networks. LINE networks showed less correlation between May and July in comparison to FTF networks. There was no difference in students’ reported FTF friends. However, there was an increase in the number of LINE groups, and the number of those nominated as most important group members decreased. There was no significant correlation between the number of LINE groups and general health. The centrality of the LINE network showed a marginally significant positive correlation with satisfaction with friends in May, and significant negative correlation with depression in July. The number of LINE access had positive significant correlation with friendship satisfaction in May.

Table 4 5 月における LINE ネットワークと友人満足感や精神的健康の偏相関係数 1 2 3 4 5 6 7 1.LINE 中心性 2.クラスメンバーを含む LINE グループの数 .17 3.友人満足感 .24 † .11 4.身体的症状 –.10 .19 –.45** 5.不安と不眠 –.19 .07 –.35** .48** 6.社会的活動障害 –.09 .03 –.32* .31* .54** 7.うつ傾向 –.17 –.09 –.12 .20 .41** .09 **p&lt;.01,*

参照

関連したドキュメント

(回答受付期間) 2020年 11月 25日(水)~2021年 1月

(※)Microsoft Edge については、2020 年 1 月 15 日以降に Microsoft 社が提供しているメジャーバージョンが 79 以降の Microsoft Edge を対象としています。2020 年 1

継続企業の前提に関する注記に記載されているとおり、会社は、×年4月1日から×年3月 31

ここでは 2016 年(平成 28 年)3

春学期入学式 4月1日、2日 履修指導 4月3日、4日 春学期授業開始 4月6日 春学期定期試験・中間試験 7月17日~30日 春学期追試験 8月4日、5日

大正13年 3月20日 大正 4年 3月20日 大正 4年 5月18日 大正10年10月10日 大正10年12月 7日 大正13年 1月 8日 大正13年 6月27日 大正13年 1月 8日 大正14年 7月17日 大正15年

次に、ニホンジカの捕獲に係る特例については、狩猟期間を、通常の11月15日~2月15日

「2008 年 4 月から 1