3次元可視化解析機能と
市民サイエンスデータの利活用
安川雅紀
東京大学 地球観測データ統融合連携研究機構
東京大学 生産技術研究所
3次元可視化解析アプリケーション
• 衛星プロダクツや再解析データの3次元データを処理し
て仮想空間に表示するWebベースの可視化システム
• 衛星プロダクツのための任意鉛直断面可視化
– 3次元のプロファイルをもつ衛星データを対象
– 任意の鉛直断面を切り出して仮想空間内に標高データと重
ね合わせて表示
– 断面に沿ったフローの解析
– AIRSセンサ(Aqua衛星に搭載)のプロダクトに対応
• 再解析データのための可視化
– 再解析データを対象
– 仮想空間内に標高データと重ね合わせて表示
– 大気の加熱や循環の解析
– NCEP/NCAR再解析データに対応
デモンストレーション
利用者のメリット
(3次元可視化解析機能)
• データハンドリングの手間が不要
– データはサーバ上にアーカイブ
– オンラインのWebベースシステム
• クライアント側の負荷が少ない
– サーバサイドの可視化処理
• 他にはない可視化機能
– 任意の鉛直断面を表示
• 地形と断面に沿った3次元な解析が可能
– 多要素の重ね合わせ表示
• 相互の要素の関連を見ながら地形と合わせた3次元的な解
析が可能
利用者の成果
(3次元可視化解析機能)
<衛星プロダクツのための任意鉛直断面可視化>
• Taniguchi, K., and T. Koike, “Increasing Atmospheric Temperature in the Upper Troposphere and Cumulus Convection over the Eastern Part of the Tibetan Plateau in the Pre-Monsoon Season of 2004”, Journal of the
Meteorological Society of Japan, 85A. 271-294, 2007
• 野本 卓也 3次元衛星データを用いたチベット高原上の大気における水蒸 気フローに関する研究 , 東京大学修士論文, 2004
<再解析データのための可視化>
• Toru Tamura, Toshio Koike, Akio Yamamoto, Masaki Yasukawa and Masaru Kitsuregawa, “Contrasting Impacts of the Indian Ocean Dipole and ENSO on the Tropospheric Biennial Oscillation”, SOLA, 7, 13-16, 2011.01
• Tamura, T, K. Taniguchi and T. Koike, “Mechanism of upper tropospheric warming around the Tibetan Plateau at the onset phase of the Asian summer monsoon”, Jl.Geophys. Res., 115, D02106,
市民サイエンスデータの蓄積・利活用
アプリケーション
• 市民参加型モニタリングによるデータ蓄積、データ品
質管理、データ公開、データ解析をサポート
• 生物多様性の分野におけるクラウドソーシングのWeb
ベースシステム
• 蝶類モニタリングデータのためのアプリケーション
– 東京の蝶モニタリングスキームをサポート
– 市民の生物多様性への関心を促進
– 新たな知見の発見に貢献
• 様々な生物相のモニタリングデータのためのアプリ
ケーション
– 前節のアプリケーションを拡張・強化(横展開)
– 北海道黒松内町の生物モニタリングスキームのサポート
– 生物多様性の現状評価
デモンストレーション
(市民サイエンスデータの
利用者のメリット
(市民サイエンスデータの蓄積・利活用アプリケーション)
• 大量データの蓄積
– 市民の協力
– 紙媒体を使わず、Web経由のデータアップロード
– モチベーションの維持
• 専門家によってデータをクレンジングし、市民にフィードバック• 利用者
(例えば、保全生態学の研究者)の作業負荷を軽減
– 大量データの取り扱いをサポートするツール群
• データアップロード、データ品質管理、データ公開、データ解析を統合– 各ツールにおいてデータハンドリング作業が不要
• サーバ上にデータを蓄積 • 全ての作業をWebブラウザで行える • 研究を行う時間が増加• 高信頼のデータセットの提供と利活用の促進
– データに対して品質管理を実施
– 研究・保全計画立案等への利用
• 似ているモニタリングスキームであれば横展開が可能
分野連携による地球環境情報統融合ワークベンチを活用した流域レジリエンスの向上
浅川:気候ー水循環ー河川形態ー物質循環ー都市ー生物多様性
ステークホルダー会議 •八王子市(環境部・水循環部)6回 •東京都河川部 •国土交通省京浜工事事務所 •住民(H25年秋予定) ワークベンチ構築戦略 •環境ー防災一体型 (いきモニ+川モニ+谷戸モニ) •気候-河川-下水道連接モデル (不明水-低水、浸透-内水、 土地利用、水量・水質) 気候変動予測モデルの 力学的ダウンスケーリング 河道動態 特性の把握 物質循環特性 の計測と推定 全窒素濃度 チョウ類モニタリング ●恊働主体: ・市民 ・研究者 ・企業 気候-河川・氾濫-下水道連接モデル 河川・氾濫 堤内地氾濫水位利用者の成果
(市民サイエンスデータの蓄積・利活用アプリケーション)
<蝶モニタリングデータのためのアプリケーション> • 前角達彦, 須田真一, 角谷拓, 鷲谷いづみ, “東京区部西縁3区におけるチョウ相の 変化とその生態的要因”, 保全生態学研究, 15, 2, 241-254, 2010 • 前角達彦, 須田真一, 角谷拓, 鷲谷いづみ, “都市域のランドスケープ構造がチョウ類 の分布に与える影響”, 日本生態学会 第58回大会, 2011• Maezumi, T., Suda, S., Kadoya, T., Yasukawa, M., Kitsuregawa, M., Izumi, W., Effects of land use elements of urban landscape on distribution of butterflies using data
collected by citizen scientists,日本生態学会第59回大会 (ESJ59),第5回東アジア生態 学会連合大会 (EAFES5), P2-299A, 2012 • 西多摩昆虫同好会編, “東京都の蝶(改訂版)”, けやき出版, 2012 • 鷲谷いづみ, 吉岡明良, 須田真一, 安川雅紀, 喜連川優, “市民参加による東京チョウ 類モニタリングでみたヤマトシジミ”, 岩波書店 科学, 83, 9, 961-996, 2013 <様々な生物相のモニタリングデータのためのアプリケーション> • 宮崎佑介, 吉岡明良,鷲谷いづみ, “博物館標本と聞き取り調査によって朱太川水系 の過去の魚類相を再構築する試み”,保全生態学研究, 17, 2, 235-244, 2012 • 黒松内町/広域の町村連合の生物多様性戦略および流域管理計画策定・実践へ の参与