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「不健康な期間」の短縮がカギ

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株式会社大和総研 丸の内オフィス 〒100-6756 東京都千代田区丸の内一丁目 9 番 1 号 グラントウキョウノースタワー このレポートは投資勧誘を意図して提供するものではありません。このレポートの掲載情報は信頼できると考えられる情報源から作成しておりますが、その正確性、完全性を保証する ものではありません。また、記載された意見や予測等は作成時点のものであり今後予告なく変更されることがあります。㈱大和総研の親会社である㈱大和総研ホールディングスと大和 証券㈱は、㈱大和証券グループ本社を親会社とする大和証券グループの会社です。内容に関する一切の権利は㈱大和総研にあります。無断での複製・転載・転送等はご遠慮ください。

2015 年 6 月 1 日 全 9 頁

長寿社会と健康増進 第2回

「不健康な期間」の短縮がカギ

経済環境調査部 研究員

亀井 亜希子

[要約]

日本人の平均寿命及び健康寿命は世界最高水準である。しかし、平均寿命から健康寿命

を差し引いた期間である「不健康な期間(=介護が必要な期間)

」は、WHO 全加盟国の

中で平均的な長さである。

同加盟国の中で平均寿命が長い上位 10 か国における同期間の比較では、女性はシンガ

ポール、韓国に次いで 3 位、男性はシンガポールに次いで 2 位である。健康寿命の延伸

は各国において共通の課題となっていると見られる。

日本では「不健康な期間」とは、WHO の定義とは異なり、厚生労働省が医療給付費や介

護給付費を必要とする「健康上の問題で日常生活に制限のある期間」として独自に推計

している。同期間は直近 10 年間では、ほぼ横ばいで推移している。

平均寿命が延伸していく中で、不健康な期間を短縮すれば健康寿命の延伸につながる。

特に、他国でも傾向が見られたように健康な段階から生活習慣を改善し、生活習慣病の

発症や重症化を予防することが健康寿命の延伸には重要ではないか。

1.日本人の平均寿命と健康寿命は世界最高水準

日本人の平均寿命(同年に生まれた 0 歳児の平均余命)は、2013 年(平成 25 年)に生まれた

女性が 86.6 歳、男性が 80.2 歳と、男女ともに 80 歳を超えるようになった

1

。日本人の平均寿

命は、1960 年から 2010 年の過去 50 年間に、男性は 14 年、女性は 16 年延びた。この要因とし

ては、医療技術の進歩・高度化による救命率の上昇によって、周産期死亡率

2

(胎児や新生児の

死亡率)と乳児死亡率

3

が 1960 年(昭和 35 年)以降に大幅に低下した

4

ことが大きい。

1 厚生労働省「平成 25 年簡易生命表」 2 周産期死亡率とは、妊娠満 22 週から生後1週未満までの死亡率である(出所:厚生労働省ウェブサイト「人 口動態調査」)。 3 乳児死亡率は、生後 1 年未満の死亡率である(出所:厚生労働省「人口動態調査」

(2)

日本人の平均寿命は、将来的に更に延びることが予想されている。2012 年(平成 24 年)の国

立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、2030 年(平成 42 年)に生まれる日本女性の平均

寿命は 88.7 歳、男性は 82.0 歳、2060 年(平成 72 年)に生まれる女性は 90.9 歳、男性は 84.2

歳になると見込まれている (図表1)

図表1 平均寿命の推移(1955~2013 年)と将来推計(2015~2060 年)

(注)2015 年以降は、推計値(死亡中位)である。 (出所)厚生労働省「平成 25 年簡易生命表の概況」、国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口 (平成 24 年 1 月推計)」より大和総研作成

2012 年(平成 24 年)に生まれた人の平均寿命(life expectancy)は、WHO(世界保健機関)

の推計によると、WHO 加盟国 194 ヵ国の中で日本女性は1番長く(87.0 歳)

、日本男性は8番目

に長い(80.0 歳)

5

(後掲図表2)

。さらに、生涯のうち「健康上の問題で日常生活が制限され

ることなく生活できる期間

6

」を表す「健康寿命

7

(Healthy life expectancy :HALE)

」につい

ても、日本女性は1番長く(77.0 歳)

、日本男性も2番目に長い(72.0 歳)

2.日本人の不健康な期間は男女共に世界の平均水準

しかし、平均寿命から健康寿命を差し引いた期間、すなわち「日常生活に制限のある不健康

な期間」

(以下「不健康な期間」

)を算出すると、2012 年(平成 24 年)に生まれた日本女性の「不

4 日本は、現代医学において救命が可能とされる妊娠満 22 週以降において、周産期死亡率と乳児死亡率が、世 界に比べ低い。 5 ただし、人口 25 万人以下の国は、平均寿命の推定が不確実なため含めていない(出所:WHO「World Health Statistics 2014」)。 6 厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会 次期国民健康づくり運動プラン策定専門委員会「健康日本21 (第2次)の推進に関する参考資料」(平成 24 年 7 月)。

7 WHO では、健康寿命を、健康余命(Disability Free Life Expectancy :DFLE)と障害調整生存年(Disability

Adjusted Life Year:DALY)を用いた「障害調整平均余命(Disability Adjusted Life Expectancy :DALE)」と して算定している(出所:WHO「World Health Statistics 2014」)。

67.8 70.2 72.9 74.7 76.9 78.8 80.5 81.9 82.9 84.6 85.5 86.3 86.6 87.1 87.7 88.2 88.7 90.9 65.3 67.7 69.3 71.7 73.4 74.8 75.9 76.4 77.7 78.6 79.6 80.2 80.3 80.9 81.5 82.0 84.2 65 70 75 80 85 90 1955 60 65 70 75 80 85 90 95 2000 05 10 13 15 20 25 30 35 40 45 50 55 60 女性 男性 (年) (歳)

(3)

健康な期間」は約 10 年、男性は約 8 年となり、WHO 加盟国 194 ヵ国の平均的な長さ(女性は 10

~11 年、男性は 8~9 年)でしかない(図表2)

。WHO 加盟国のうち、国民の「不健康な期間」

が日本より短い国は、男性は 37 ヵ国、女性は 56 ヵ国ある。

図表2 不健康な期間の長さ別の WHO 加盟国数(性別・2012 年)

(注1)不健康な期間は、平均寿命と健康寿命の差である。 (注2)小数第一位を四捨五入した値での公表となっている。 (出所)WHO「World Health Statistics 2014」より大和総研作成

WHO は加盟国の中で平均寿命が長い上位 10 か国を挙げている(図表3)

。日本よりも国民の「不

健康な期間」が短い国としては、男性ではシンガポール(6.2 年)

、女性ではシンガポール(8.1

年)

、韓国(9.6 年)がある。これは、男性、女性問わず、両国が平均寿命に対して健康寿命が

日本よりも延びていることが主因である。特に、シンガポール男性は、健康寿命が日本男性よ

り長い。シンガポール男性の平均寿命は日本男性より 0.2 歳長いのに対し、健康寿命は約 2.0

歳も長くなっている。

図表3 平均寿命上位 10 ヵ国の不健康な期間と NCDs 年齢調整死亡率(注)

(性別・2012 年)

(注)WHO 加盟各国の各年齢層 10 万人中の非感染性疾患(NCDs)による死亡率(人)である(脚注10参照)。 (出所)WHO「World Health Statistics 2014」より大和総研作成

健康寿命の延伸による不健康な期間の短縮は、各国政府の共通の政策課題の一つとなってい

ると考えられる。その対応の一つとして、WHO は、2013 年 5 月の総会において「非感染性疾患

(Non-Communicable Diseases;NCDs)の予防とコントロールのための行動計画 2013-2020」 を

採択した。非感染性疾患とは、ウイルス感染によりある日突然発症するのではなく、不適切な

生活習慣(不健康な食事、運動不足、喫煙、過度の飲酒等)を積み重ねた結果、徐々に発症す

4 33 58 60 26 12 1 3 22 31 61 53 20 2 2 0 10 20 30 40 50 60 6 7 8 9 10 11 12 6 7 8 9 10 11 12 13 14 (ヵ国) 日本 男性 女性 (年) 日本 順位 男性 平均寿命 健康寿命 不健康な期間 NCDs年齢 調整死亡率 順位 女性 平均寿命 健康寿命 不健康な期間 NCDs年齢 調整死亡率 1 シンガポール 80.2 74.0 6.2 326.2 1 シンガポール 85.1 77.0 8.1 214.5 2 日本 80.0 72.0 8.0 333.3 2 韓国 84.6 75.0 9.6 221.4 3 アイスランド 81.2 72.0 9.2 337.2 3 日本 87.0 77.0 10.0 173.5 4 イスラエル 80.2 71.0 9.2 367.2 4 スペイン 85.1 75.0 10.1 239.6 5 ニュージーランド 80.2 71.0 9.2 355.9 5 オーストラリア 84.6 74.0 10.6 253 6 イタリア 80.2 71.0 9.2 382.1 6 フランス 84.9 74.0 10.9 234.8 7 オーストラリア 80.5 71.0 9.5 359.9 7 イタリア 85.0 74.0 11.0 242.5 8 スイス 80.7 71.0 9.7 360 8 ポルトガル 84.0 73.0 11.0 255.4 9 ルクセンブルク 79.7 70.0 9.7 388.6 9 スイス 85.1 74.0 11.1 237.7 10 スウェーデン 80.0 70.0 10.0 390.3 10 ルクセンブルク 84.1 73.0 11.1 262.2

(4)

る疾病群であり

8

、日本では一般的に「慢性疾患」

「生活習慣病

9

」と呼ばれる。

上記上位 10 か国の 2012 年時点での健康寿命と「非感染性疾患(NCDs)による年齢調整死亡

10

」の関係をみると、男性より女性の健康寿命が長く同死亡率も低い傾向があり、男女共に

同死亡率が低いほど健康寿命が長いという相関がみられる(図表4)

。シンガポール男性は上位

10 か国の中で同比率が最も低く、日本女性の同比率は最低となった。

図表4 平均寿命上位10ヵ国の健康寿命と NCDs 年齢調整死亡率との関係(性別・2012 年)

(注)WHO 加盟各国の各年齢層 10 万人中の非感染性疾患(NCDs)による死亡率(人)である(脚注10参照)。

(出所)WHO「World Health Statistics 2014」、「Global Health Observatory Data Repository」より 大和総研作成

3.日本人の健康寿命の推移と現状

日本では、

「不健康な期間」を短くするための評価指標となる健康寿命について、WHO とは異

なる方法で、厚生労働省が独自に推計している。

厚生労働省の推計によると、2013 年に生まれた日本人の「不健康な期間」は、男性は 9.0 年、

女性では 12.4 年になると見込まれる(図表5)

。厚生労働省による推計は、病気による不健康

感も加味して推計されるため、

WHO による推計値よりも、

期間が1~2.4 年ほど長くなっている。

2001 年以降の時系列で見ると、男性の「不健康な期間」は約 9.0 年でほぼ横ばいしており、

女性の同期間は、2004 年の同 12.9 年をピークに緩やかに短縮してきた。同期間において、女性

が男性よりも長いのは世界的な傾向であるが(前掲図表3)

、日本でも、女性は男性より3年長

い。

8 具体的には、悪性腫瘍(悪性のがん)、糖尿病、心疾患(心筋梗塞や狭心症、心不全等)、脳血管疾患(脳梗 塞、脳内出血等)、高血圧性疾患、喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)等の慢性呼吸器疾患を、狭義の疾患群とし て定義されている(出所「NCD Alliance Japan ウェブサイト「用語集」」)。 9 生活習慣病とは、厚生省(現・厚生労働省)が、平成 8 年に、成人病に代わる病気の概念として、発症過程に 着目し、新しく提唱した概念である。

10 WHO の指標の一つ(Age-standardized mortality rate by NCDs (per 100 000 population))である。WHO 加 盟各国の各年齢層 10 万人中の非感染性疾患による死亡率の加重平均であり、WHO の標準人口に対応する年齢層 比率により加重平均され算出される。 y = -0.0495x + 86.152 R² = 0.7889 y = -0.045x + 87.498 R² = 0.7808 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 150 200 250 300 350 400 女性 男性 トレンド(女性) トレンド(男性) 非感染性疾患(NCDs)による人口10万人当たり年齢調整死亡率(人) 健康寿命( 年) 日本 シンガポール 韓国 スペイン シンガポール 日本 アイスランド

(5)

図表5 平均寿命と健康寿命および「不健康な期間」の推移(2001~2013 年)

(注)健康寿命は「日常生活に制限のない期間の平均」、不健康な期間は「日常生活に制限のある期間の平均」。 (出所)厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会資料1「健康日本 21(第二次)各目標項目の進捗状況につ いて」(平成 26 年 10 月 1 日)より大和総研作成

厚生労働省による「健康寿命」は、

「日常生活に制限のない期間の平均」と「自分が健康であ

ると自覚している期間の平均」

「日常生活動作が自立している期間の平均」の3指標が使われ

ており、性・年齢階級別に、

「日常生活に制限のある者

11

の割合」と「自分が健康であると自覚

していない者

12

の割合」

「日常生活動作が自立していない者

13

の割合」による不健康な割合と、

死亡率によって推計している

14

。2014 年(平成 26 年)の厚生労働省の調査では、約 63.8%の

人が「病気がないこと」を重視して健康感を判断すると答えている

15

2013 年の国民の健康状況についてみてみると、男性は 45 歳以降、女性は 50 歳以降で、医療

機関へ通院する者の割合(≒通院あり)が「自分が健康であると自覚していない者の割合(≒

自覚症状あり)

」を上回り、60~64 歳では男女共に通院率は 50%を超える(図表6)

「日常生

活動作が自立していない者の割合(≒介護保険の受給率)

」は 75 歳以降で急増する。

2012 年度(平成 24 年度)に患者が医療機関で診療を受けた件数(入院+入院外)について、

男女別に上位 10 疾病をみると、男女いずれも、生活習慣病が多数を占めている(図表7)

。ま

た、厚生労働省が 2013 年から生活習慣病に関連する疾病

16

として位置づけている、関節症(股

関節、膝関節、手関節等)

、脊椎障害(背骨、首、胸、腰等の障害)も多い。

11 国民生活基礎調査(居住者による主観的な回答)に基づく。日常生活動作(起床、衣服着脱、食事、入浴な ど)、外出(時間や作業量が制限される)、仕事、家事、学業(時間や作業量が制限される)、運動(スポーツ含 む)、その他、についてである(出所:平成 24 年度厚生労働科学研究費補助金「健康寿命の算定方針の指針」(平 成 24 年 9 月))。 12 現在の健康状態について、よい、まあよい、ふつう、あまりよくない、よくない、のうち、「あまりよくない」 「よくない」の回答を不健康な状態とする(出所:平成 24 年度厚生労働科学研究費補助金「健康寿命の算定方 針の指針」(平成 24 年 9 月))。 13 介護保険情報(客観的な情報)に基づく。介護保険の要介護度の要介護 2~5 を不健康(要介護)な状態とし、 それ以外を健康(自立)な状態とする(出所:平成 24 年度厚生労働科学研究費補助金「健康寿命の算定方針の 指針」(平成 24 年 9 月))。 14 平成 24 年度厚生労働科学研究費補助金「健康寿命の算定方針の指針」(平成 24 年 9 月) 15 厚生労働省政策統括官付政策評価官室委託「健康意識に関する調査」(平成 26 年) 16 これらの疾病を含むロコモティブシンドローム(筋肉、骨、関節、軟骨、椎間板といった運動器の障害)は、 認知症と共に、身体活動の増加により疾病リスクを低減できる疾患として、2013 年に、厚生労働省が明確化を した(出所:厚生労働省「健康づくりのための身体活動基準 2013(概要)」)。 8.7 9.2 8.9 9.1 9.0 12.3 12.9 12.6 12.7 12.4 78.1 78.6 79.2 79.6 80.2 84.9 85.6 86.0 86.3 86.6 69.4 69.5 70.3 70.4 71.2 72.7 72.7 73.4 73.6 74.2 5 7 9 11 13 15 17 65 70 75 80 85 90 2001 04 07 10 13 2001 04 07 10 13 不健康な期間 平均寿命(男性) 平均寿命(女性) 健康寿命(男性) 健康寿命(女性) 男性 女性 (年) (年) (年)

(6)

図表6 健康寿命算定の基礎となる年齢階級別の不健康な割合と死亡率(2013 年)

(注)通院ありは、入院を除く。 (出所)厚生労働省「平成 25 年 国民生活基礎調査」「平成 25 年度 介護給付費実態調査結果の概況」、 総務省「日本の統計 2015」より大和総研作成

図表7 医療機関での診療件数が多い上位 10 疾病(平成 24 年度)

(注1)医療機関が保険者(公的医療保険制度の各運営主体)に対して請求する診療報酬明細書及び調剤報酬 明細書(レセプト)の集計による診療件数(入院外+入院)である。月ごとに、各医療機関は、1 人の 患者に対して 1 枚の明細書を作成する。外来患者が当月中に入院した場合は、入院外で1件、入院で 1件と計上している。 (注2)疾病名は WHO が規定する ICD-10 分類に準拠している。なお、心疾患(高血圧性を除く)と悪性腫瘍は 大分類、その他は中分類による集計である。 (注3)眼の屈折・調節障害は、遠視、近視、乱視、老視等である。 (出所)厚生労働省「平成 24 年度 医療給付実態調査」より大和総研作成

これらの生活習慣病関連の疾病に関する外来と入院の診療件数合計(≒患者数)を男女の年

齢階級別の割合でみると、喘息とアレルギー性鼻炎は未成年層で多く発生し、成人後は減少し

ていくのに対し、喘息とアレルギー性鼻炎を除く疾病群は、主に 35 歳以降で急増していき、高

齢期まで増加し続ける傾向があり、

60~84 歳の患者に対する件数は全体の約 7~8 割を占める

(図

表8)

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 6-9 10 -14 15 -19 20 -24 25 -29 30 -34 35 -39 40 -44 45 -49 50 -54 55 -59 60 -64 65 -69 70 -74 75 -79 80 -84 85- 6-9 10 -14 15 -19 20 -24 25 -29 30 -34 35 -39 40 -44 45 -49 50 -54 55 -59 60 -64 65 -69 70 -74 75 -79 80 -84 85 -通院あり 自覚症状あり 日常生活に影響あり 介護保険の受給率 死亡率 男性 女性 (歳)

順位

疾病分類名 

件数(万件)

疾病分類名 

件数(万件)

1

高血圧性疾患

5,483 高血圧性疾患

6,947

2

糖尿病

2,177 眼の屈折・調節障害

2,104

3

皮膚炎・湿疹

1,385 皮膚炎・湿疹

1,664

4

心疾患(高血圧性を除く)

1,329 糖尿病

1,629

5

悪性腫瘍

1,284 関節症

1,320

6

眼の屈折・調節障害

1,154 アレルギ-性鼻炎

1,204

7

喘息

1,114 喘息

1,149

8

アレルギ-性鼻炎

963 心疾患(高血圧性を除く)

1,141

9

脳血管疾患

906 脊椎障害(脊椎症を含む)

1,139

10 脊椎障害(脊椎症を含む)

816 悪性腫瘍

1,124

男性

女性

(7)

図表8 主な生活習慣病の総診療件数における年齢階級別件数の割合(2012 年)

(注1)医療機関が保険者(公的医療保険制度の各運営主体)に対して請求する診療報酬明細書及び調剤報酬 明細書(レセプト)の集計による診療件数(入院外+入院)である。月ごとに、各医療機関は、1 人の 患者に対して 1 枚の明細書を作成する。外来患者が当月中に入院した場合は、入院外で1件、入院で 1件と計上している。 (注2)疾病分類名は ICD-10 であり、心疾患(高血圧性を除く)と悪性腫瘍は大分類、その他は中分類である。 (出所)厚生労働省「平成 24 年度 医療給付実態調査」、総務省「人口推計(平成 24 年 10 月 1 日現在)」より 大和総研作成

年齢階級別に、要支援・要介護状態の認定を受ける人の割合は、後期高齢者(75 歳以上)に

なると大きく上昇する。特に、女性は、75 歳以降に、男性よりも認定率が高くなる傾向がある。

図表9 高齢者における要支援・要介護の認定率の推移(2001~2013 年度)

(注1)要支援・要介護認定率は、受給者台帳に登録された要支援・要介護者の人数÷当年推計人口、である。 (注2)受給者台帳に登録された要支援・要介護者の人数は、平成 13 年は平成 13 年 6 月サービス提供分、 平成 14~25 年は各年 5 月サービス提供分である。 (出所)国民健康保険中央会「認定者・受給者の状況」(平成 13~25 年度)、総務省「人口推計」(平成 13~25 年 10 月 1 日現在)より大和総研作成 0% 5% 10% 15% 20% 0-4 5-9 10 -14 15 -19 20 -24 25 -29 30 -34 35 -39 40 -44 45 -49 50 -54 55 -59 60 -64 65 -69 70 -74 75 -79 80 -84 85 -89 90 -94 95 -99 100- 0-4 5-9 10 -14 15 -19 20 -24 25 -29 30 -34 35 -39 40 -44 45 -49 50 -54 55 -59 60 -64 65 -69 70 -74 75 -79 80 -84 85 -89 90 -94 95 -99 10 0-高血圧性疾患 糖尿病 心疾患(高血圧性を除く) 悪性腫瘍 脳血管疾患(男性のみ) アレルギ-性鼻炎 喘息 関節症(女性のみ) 脊椎障害(脊椎症を含む) 年齢階級人口 男性 (歳) 女性 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 2001 03 05 07 09 11 13 2001 03 05 07 09 11 13 90歳以上 85-89歳 80-84歳 75-79歳 70-74歳 65-69歳 (年度)

女性

男性

(8)

高齢期に要支援・要介護状態となる主な原因は、男女で大きく異なっており、男性は脳血管

疾患

17

、女性は、認知症

18

、骨折・転倒、関節疾患

19

、脳血管疾患が圧倒的に多い(図表10)

糖尿病や心疾患、悪性腫瘍、呼吸器疾患等の生活習慣病も、相対的には少数であるものの、介

護の原因となっている。

脳血管疾患により介護が必要となる年齢は、男女共に 75~89 歳が多く、認知症では、男性は

80~89 歳、女性は 80 歳以上が多い。関節疾患と骨折・転倒を原因とする介護状態は、女性の

70 歳以上で急増する(図表11)

図表10 65 歳以上で介護が必要となった主な原因(2013 年)

(注)介護とは、要支援状態(要支援 1・2)、要介護状態(要介護1~5)をさす。 (出所)厚生労働省「平成 25 年 国民生活基礎調査」より大和総研作成

図表11 介護が必要となった主な原因の年齢階級別の件数(2013 年)

(注1)介護とは、要支援状態(要支援 1・2)、要介護状態(要介護1~5)をさす。 (注2)生活習慣病は、脳血管疾患、心疾患、糖尿病、悪性腫瘍、呼吸器疾患、の合計である。 (注3)その他疾患群は、パーキンソン病、骨髄損傷、視覚・聴覚障害、その他、の合計である。 (出所)厚生労働省「平成 25 年 国民生活基礎調査」より大和総研作成 17 脳血管疾患は、医療技術の高度化や早期治療により一命を取り留める確率が増加している反面、身体の麻痺 や言語障害等の後遺症が残る確率が高い疾患であるため、症状を軽減するためにはリハビリが必要である(出 所:厚生労働省「平成 25 年 国民生活基礎調査の概況」)。 18 加齢による脳の老化に関連して発症するアルツハイマー型が最も多く、現代の医学においては治療薬によっ て進行を遅らせ症状を軽減することは可能であっても、完治させることは不可能とされている。 19 女性は男性より筋肉量が少ないことに加え、50 歳前後の閉経に伴って女性ホルモン(エストロゲン)が急激 に枯渇することから、閉経後 10 年ほどの間に骨量が著しく減少していくという女性特有の身体的な変化により、 ロコモティブシンドロームになりやすいとされる(出所:日本骨粗鬆症学会・日本骨代謝学会・骨粗鬆症財団 「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン 2011 年版」)。 0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 脳血管疾患 認知症 骨折・転倒 心疾患 パーキンソン病 関節疾患 糖尿病 悪性腫瘍 呼吸器疾患 脊髄損傷 視覚・聴覚障害 (人) 男性 0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 12,000 認知症 骨折・転倒 関節疾患 脳血管疾患 心疾患 パーキンソン病 糖尿病 脊髄損傷 呼吸器疾患 悪性腫瘍 視覚・聴覚障害 (人) 女性 1,289 1,280 1,977 2,387 1,057 376 235 854 676 707 1,817 1,671 1,883 1,311 1,102 1,482 1,632 363 404 380 957 1,715 1,923 835 551 452 402 762 1,125 2,163 3,071 2,479 417 439 877 1,702 2,910 2,038 1,103 442 807 1,386 1,240 578 409 1,082 2,333 4,225 3,020 506 1,003 1,075 1,826 869 208 581 1,024 1,926 2,050 1,491 1,043 229 596 1,207 1,140 381 1,782 2,708 4,730 0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 12,000 14,000 16,000 18,000 65-69 70-74 75-79 80-84 85-89 90- 65-69 70-74 75-79 80-84 85-89 90-不明・不詳 高齢による衰弱 その他疾患群 認知症 関節疾患 骨折・転倒 生活習慣病 (脳血管疾患を除く) 脳血管疾患 女性 (10万対/人) 男性 (歳)

(9)

おわりに

日本人は、今後、高齢者の更なる長寿化が見込まれており、特に 2025 年以降には団塊世代が

75 歳以上になることもあり、後期高齢者が増加する傾向にある。生活習慣病を中心とした疾病

に対する医療と介護の需要は、人口高齢化が進むにつれ急増し、患者数や受診回数、介護保険

サービスの利用の増加を通じて、医療給付費と介護給付費も急増していくことが見込まれる。

但し、生活習慣病は、遺伝(遺伝子異常、加齢等)と外部環境等(病原体・有害物質・事故・

ストレス等)の影響下では、発症の潜在リスクを抱えている状態にすぎず、発病し進行するか

どうかは、生活習慣(食事や運動、喫煙、飲酒等)に依存するとされる(厚生省「平成 9 年度

厚生白書」)。つまり、生活習慣病は、個人による健康増進や生活習慣の改善によって、複数の

生活習慣病の発症や進行を食い止めることができる疾病群である。

生活習慣病の発症を早期に発見し、早期の治療を促すための社会的な制度としては、2008 年

から、医療保険者(公的医療保険制度の各実施主体)が、多くの生活習慣病の発症リスクが高

まる 40 歳以上の加入者を対象として特定健診・特定保健指導の実施を行っている。

このような生活習慣病を早期発見する仕組みを活用すると共に、人々も健康意識を高く持ち、

健康な段階から生活習慣を改善し、疾病が発症するのを防ぐ努力も必要である。

予防により発症を回避できる疾病は予防を行い、健康寿命を延ばすとともに、可能な限り医

療給付費の発生を抑制していくことで、公的医療保険制度の仕組みの中で、限られた財源の使

い道を効率化していくことが重要であろう。

次回の「長寿社会と健康増進 第 3 回」のレポートは、医療給付費抑制の視点から、生活習

慣病予防のあり方について考察を加えていく。

以上

参照

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