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2020 年度国立環境研究所公開シンポジウム 都市の物質循環の最終出口!? 焼却灰 のリサイクル 国立研究開発法人国立環境研究所資源循環 廃棄物研究センター 肴倉宏史

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Academic year: 2021

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(1)

都市の物質循環の最終出口!?

焼却灰」のリサイクル

国立研究開発法人国立環境研究所

資源循環・廃棄物研究センター

肴倉 宏史

2020年度

国立環境研究所 公開シンポジウム

(2)

2

(3)

焼却灰

より低エネルギー・低コストで

安全な建設資材リサイクル?

溶融スラグ (焼却灰などを熱で溶かして固めたもの) 焼却処理 セメントの 原料に入れる 最終処分場 浜松市平和最終処分場 3

(4)

今日のお話の流れ

• ごみはどんな中味で、どう処理され、どんなとこ

ろに処分されているのでしょう?

• 「焼却灰」のリサイクル方法

– 溶融スラグ化

– セメント原料化

– 焼却主灰の建設資材化

– 金属粒子の物理選別回収

• 環境に優しい焼却灰リサイクルを目指して

金属元素の

由来や行方

4

(5)

ごみ(一般廃棄物)

平成29年度データ.環境省 令和元年度 廃棄物の広域移動対策検討調査及び廃棄物等循環利用量実態調査報告書 を元に作図

一般廃棄物の排出量:

日本全体で、

年間4300万トン

(2017年度)

⇒ 1日 12万トン

⇒ 1人1日930グラム

生ごみ

32%

31%

プラス

チック

12%

木・ ゴム・革 10% 繊維 4% 金属 5% ガラス 5% 陶磁器・土石等 1% 一般廃棄物を構成する素材の重量割合 (可燃ごみ、不燃ごみ、粗大ごみ、資源ごみ等 の全てを合わせたとき) 可燃分 水分 5

(6)

一般廃棄物の主な処理の流れ

上図の他に「燃料化」1.5%,「堆肥化」0.5%, 「飼料化」0.03%, 「メタン化」0.2%により、 合計1.3%が再生利用され、一部焼却、一部埋立される。 他に、「その他施設」での処理0.1%,「自家処理」0.03%がある。

可燃ごみ等

不燃ごみ 資源ごみ

焼却

や溶融 破砕選別

焼却灰

やスラグ 可燃残渣 不燃残渣

最終処分

(集団回収)

再生利用

76% 5% 5% 1% 粗大ごみ 3% 7% 1% 7%

再生利用

平成29年度データ.環境省 令和元年度 廃棄物の広域移動対策検討調査及び廃棄物等循環利用量実態調査報告書 を元に作図 10% 6% 5% 数字は総排出量4300万トンに対する割合 合計17% 合計9% 合計79% 混合ごみ・ 不燃ごみの一部 3% 6

(7)

写真: 東京都清掃事業百年史

最終処分場の昔と今

1965年頃

(8)

最終処分場の昔と今

8

現 在

(9)

内津山北最終処分場 エコパークかごしま 大阪沖埋立処分場 岡崎市北部一般廃棄物処分場 浜松市平和最終処分場 写真:各最終処分場のホームページから 9

(10)

内津山北最終処分場 写真:各最終処分場ホームページから 岡崎市北部一般廃棄物処分場

全国1741市区町村のうち、

最終処分場を持たない

自治体の数: 295

環境省:一般廃棄物処理事業 実態調査の結果(平成30年度) 75%以上 50-75% 25-50% 1-25% 0% 最終処分場を 持たない市区町村の割合

最終処分場の新たな建設は、今もとても大変です。

できること・・・私たちが捨てるごみの量を少しでも減らす。

焼却灰などの廃棄物の確実なリサイクル

「今の処分場を少しでも長持ちさせたい」

10

(11)

ごみを燃やすことの役目と注意点

• 役目

– 感染症対策を含む公衆衛生。

腐敗しやすい生ごみを、すばやく灰に変える。

– ごみの量を約90%減らし、廃棄物処理の持続に貢献する。

– ごみ発電などで熱エネルギーを回収・利用

• 注意しなければならない点

– 温室効果ガスの発生を抑える

– ダイオキシン類を発生させない ⇒ 燃焼状態を管理

– 有害ガスを除去する

– 焼却灰

・・・

有害な重金属元素が濃縮。環境への安全性に注意

• 廃棄物の焼却処理は、これからも必要

– 焼却灰のリサイクルが廃棄物処理を続けていくための重要なカギ

11

(12)

焼却処理の流れ

ストーカー式 焼却炉 ① ごみを投入 ② ストーカーの下から空気を吹き込み、ごみを燃やす (乾燥⇒燃焼⇒熾火燃焼) ⇒ガスと灰になる ③ 炉の横から空気を吹き込み、ガスを完全燃焼 ④ 炉の下側出口から「焼却主灰」を排出 ⑤ ボイラーなどで、熱を回収(⇒発電) ⑥ ガスを冷やし、酸性成分を中和する ⑦ バグフィルターで「焼却飛灰」を濾しとる ⑧ 大気汚染物質をさらに除去し、ガスを煙突から放出する 3 6 7 8

焼却飛灰

ガス冷却、 酸性ガス中和 バグフィ ルターで 集じん 850-900℃ 200℃以下 中和剤、吸着剤 ストーカー(火格子) ごみ 1 発電、熱利用 5 ボイラー で熱回収 2 空気 4

焼却主灰

空気 12

(13)

焼却灰

焼却炉から舞い上がり、捕集された灰 ■ 微細なガラス質鉱物、揮発凝縮した塩、 中和剤の混合物 ■ 鉛など有害な重金属が溶け出しやす い。 ⇒ 溶け出さないように処理してから 最終処分する規則 焼却炉の下から排出された灰 ■ 大きな塊から微細なものまで幅広い ■ ガラス、陶磁器、金属の粒も含んでい る。 ■ 鉛など有害な重金属は比較的少ない。

焼却主灰

(

燃えがら

,

Bottom ash)

焼却飛灰

(

ばいじん

, 集じん灰,

Fly ash)

ストーカー式の場合、およそ70-80% 対、 およそ20-30% 13

(14)

0 5 10 15 20 25 30 35 0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0 7.0 H 10 H 11 H 12 H 13 H 14 H 15 H 16 H 17 H 18 H 19 H 20 H 21 H 22 H 23 H 24 H 25 H 26 H 27 H 28 H 29 リサイ ク ル率 (% ) 焼却灰の発生量 (1 0 0 万 t)

焼却灰の発生量とリサイクル率の推移

環境省 一般廃棄物処理実態調査 より作成 リサイクル率 最終処分 ■ 溶融スラグ利用 ■ セメント原料化 ■ その他 リサイクル 14

(15)

溶融スラグ化

• 様々な溶融処理方法

• 焼却灰

を溶融するタイプ

• ごみを直接

溶融するタイプ

• 熱源: 電気、化石燃料、ごみの熱

• 熱を加えてマグマ状に溶かしてから冷

やすと・・・

• 溶融スラグ (黒い石・砂のよう)

⇒ 建設資材へ利用

54万トン

(2017年度、環境省統計)

• 溶融メタル (金属の固まり)

• 溶融飛灰 (黄色い粉)

灰溶融炉の例 (プラズマ式)

溶融メタル

溶融飛灰

溶融スラグ

電極 焼却灰 溶融状態のスラグ 1250℃以上 15

(16)

ガス 焼却炉 バグフィルター

溶融炉

焼却灰やスラグを整理すると・・・

溶融炉 バグフィルター 煙突 焼却飛灰 焼却主灰 可燃ごみ

焼却炉

溶融飛灰 溶融メタル 溶融スラグ 16

(17)

焼却炉 バグフィルター

溶融炉

76 kg

焼却灰、スラグなどの発生量(例)

7 kg 溶融炉 バグフィルター

煙突

2 kg 22 kg

焼却炉

溶融 不適物 消石灰等 消石灰等 可燃ごみ1000 kg 61 kg

71 kg

ガス (主に 二酸化炭素、水) 可燃ごみの約9割 ガス 2 kg 10 kg 7 kg 17

(18)

カルシウム ケイ素 アルミニウム 鉄 塩素 ナトリウム カリウム マグネシウム チタン その他 カルシウム ケイ素 アルミニ ウム 鉄 塩素 ナトリウム カリウム 硫黄 その他 カルシウム ケイ素 アルミニウム その他 カルシウム 塩素 ナト リウム カリ ウム 硫黄 亜鉛 鉛 その他 ケイ素 鉄 リン 銅 クロム ニッケル その他 焼却主灰 焼却飛灰 溶融 スラグ 溶融飛灰 溶融 メタル

焼却灰やスラグはどんな元素からできている?

「その他」は主に酸素 肴倉 (2010) 18

(19)

※定量下限値以下のデータは定量下限値と仮定して全体の分配率を計算し、図には非表示とした。 97 93 92 88 88 88 87 87 86 86 86 86 86 86 85 85 85 84 83 83 83 82 81 80 80 80 78 78 75 74 73 71 67 66 59 54 50 50 47 45 43 33 17 15 81 3 7 8 12 12 12 13 13 14 14 14 14 14 14 15 15 15 16 17 17 17 18 19 20 20 22 22 25 26 27 29 33 34 41 46 50 50 53 55 57 67 83 85 19 0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 60.0 70.0 80.0 90.0 100.0 Ni Cu Fe W Nb Co La Sn Sc Mn Ce Si Eu V Zr Nd Al Ba Pd B Y Ge Cr Ca Au Ti Sr Mg Ga Li Ta Mo Pb Na Zn K Rb Cs Ag As Se Sb Bi Cd 発生 割合

元素はどこへ行く?

焼却主灰へ

分配率 (% ) 90 88 79 79 78 72 71 69 60 58 57 40 36 28 17 4 3 3 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 1 47 18 2 18 12 22 12 30 37 42 60 63 72 83 95 94 97 99 100100100100100100 99 99 99 98 98 98 88 74 70 37 23 8 7 1 1 28 92 3 9 1 16 11 0 3 1 0 1 0 0 1 2 1 0 0 0 0 0 0 0 1 1 2 2 2 11 24 30 63 77 92 92 92 99 100 51 54 6 0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 60.0 70.0 80.0 90.0 100.0 Pd Pt Mo Cu Co As In Ni Ge Au Fe Nb W Cr V B Mn Zr Ti Al Sc Ce Si Nd La Mg Eu Ba Y Ca Sr Li Se Na K Rb Cs Bi Zn Pb Cd Sb Ga 発生割合

溶融スラグへ

溶融メタルへ

溶融飛灰へ

鉛、亜鉛 カドミウム カルシウム ケイ素 アルミニウム 金、銅 プラチナ 鉛、亜鉛、カドミウム などが移行しやすい

焼却飛灰へ

発生割合 主灰:飛灰 ≒ 8:2 分配率 (% ) 発生 割合

• 溶融スラグ ⇒ 建設資材

• 溶融メタル・

溶融飛灰

⇒ 金属資源

肴倉 (2010) 19

(20)

因みに・・・元素はどのごみから来る?

可燃ごみの元素組成を調査

有害金属では、例えば・・・

鉛 はプラスチックから来る割合が高い!?

カドミウム は木・竹・わら、ゴム・革から来る割合が高い!?

金などの貴金属は、どこから来る??(課題)

乾燥重量割合 生ごみ 紙・布 木・竹 ・わら プラス チック ゴム・革 5 mm以下の粒 鉛の由来 となる可燃ごみ プラスチック カドミウムの由来となる 可燃ごみ 木・竹 ・わら

ゴム・革

肴倉 (2017) 20

(21)

セメント原料化

• 焼却灰の元素組成はセメントと共通のものが

多く、セメント原料に利用できる

• 前処理が必要

• 異物除去(大塊物や金属)

• 脱塩(塩素の洗浄除去)

• 38万トンを受け入れ

(2017年度、環境省統計)

• セメント原料全体の1%未満

焼却主灰 焼却飛灰 酸化カルシウム CaO 63-65% セメントの化学組成 (セメント協会データから作図) SiO2 21-23% Al2O3 5-6% Fe2O3SO3MgO 塩素 (鉄筋腐食の原因) 焼却主灰: 1-3% 焼却飛灰:15-25% セメント : 0.005-0.01% 脱 塩 異物除去 セメント製造 1450℃以上で焼成 21

(22)

焼却主灰の建設資材化

• アジア:台湾、 • 欧州:オランダ、デンマーク、ドイツ(北部) などで普及 異物の除去 破砕など (工程によっては) セメント等と混合 二次製品 土砂代替 成型・養生 養生・破砕 ◎ 処理が比較的簡単 ◎ 低コスト・低エネルギー ⇒自治体が自身で実施できる?? △ 重金属類は残る 焼却主灰 環境に悪影響を及ぼさないように、 ☑ 製品の安全性向上 ☑ 資材の管理(利用中・利用後) などが必要。 22

(23)

• ヨーロッパの多くの国々で普及 • 近隣の焼却炉から専用の施設へ集約 • 様々な回収装置 • 1~数ミリ程度の粒子から金・銀・銅

焼却主灰からの金属粒子の物理選別回収

10% 33% 23% 2% 1% 3% 28% 灰1トンから約40ユーロの金属 コンテナで灰を受け入れ 回収装置で灰を選別 金 銀 亜鉛 鉛 アルミ 鉄 アルミ 銅 重さの割合 価格の割合

Data: International Solid Waste Association Report (2015)

(24)

金属粒子の物理選別回収の可能性

• 低いコストやエネルギーで、

貴重な金属資源を回収できる !?

• 収益により、

廃棄物処理コストを下げられる !?

• 有害な重金属も回収できれば、

建設資材化の場合の安全性を向上できる !?

灰の粒子の大きさや重さによって、

含まれる元素の種類や濃度は異なる?

エアテーブル選別装置 (重さごとに分ける) Side Slope さらに重さで 分ける 重い粒子に有価金属や重金属が多い傾向! 物理選別で回収できる可能性がある。 灰を投入 灰が重さで 分かれる 振動を 与える 空気を 下から 吹込む 勾配 勾配 重 軽 大きさで分ける 様々な灰粒子 24

(25)

環境に優しい焼却灰リサイクルを目指して

• 物理選別・・・金属粒子を効率的に回収

◎ 有価金属回収により、廃棄物処理コストの縮減 ○ 有害金属の含有量下げられる可能性

• 促進エージング(灰を水や二酸化炭素に反応させる)

○ 鉛が溶け出しにくくなる △ 六価クロムが溶け出しやすくなる場合がある

「物理選別」+「促進エージング」+「リサイクル後も管理」

⇒ 「焼却主灰の建設資材化」

焼却灰のリサイクルは、

「廃棄物処理の安定的な持続」

にとても重要。

低コスト・低エネルギーで、環境に優しい、

日本流・焼却主灰の建設資

材化

は実現できないだろうか?

含有量を 下げる 溶出濃度を 下げる 25

(26)

ご清聴ありがとうございました

さいごに

皆さんの ごみ を処理してくれている清掃工

場、リサイクル施設、そして、最終処分場など

をインターネットで調べたり、(新型コロナに気

をつけつつ)訪問して、実際のごみ処理の大切

さと大変さを知ってもらえたら嬉しいです。

本発表の内容には、環境研究総合推進費 (3-1804) による成果を含みます。

参照

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