(東京女医大忌第27巻第4号頁186一 203昭和32年4月)
本邦癌死亡牽の疫学的研究(第7報)
一一{県別死亡率の年代的推移について一
食 当芋女子騰L大学衛生学教室(主任吉岡博人教授)中 村
ナカ ムラ ミ ヨ子
pt .(受付 昭和32年2月13日) 1 緒 言さきに著者は当研究の第1報∼第4報におい
て,明治1),大正2),昭和の戦前5),昭和の戦後4), と4年代における本邦癌死亡率につき観察を行っ たが,さらにその総括的考察として全年代を通じ ての推移をみるべく,前回はまず全国総数5)なら びに全国男女別死亡率6)について報告した。ひき つづき第7報として府県別死亡率の年代的推移に つき観察を試みることとする。 なお今回は,とくに訂正死亡率ならびに性別年 令別死亡率を中心として述べてみたいと思う。 H 資料及び研究方法野離集藩幽人・動軸計
難獅3鰯年}人・識計
大正9年,14年 昭和5年,10年国勢調査報告 昭和22年,25年 研究方法:各都道府県別に明治32年より昭和28年に いたる各年度の総数における粗死亡率を,これに加え て国勢調査の行われた明治32年,36年,41年,大正2 年,9年,14年,昭和5年,10年,22年,25年につい ては総数及び男女別訂正死亡率ならびに年令別死亡率 を弊出し,それら各死亡率の主として年代的推移を比 較観察した(ただし明治32年は明治31年末の入口を用 いた)。 なお訂正死亡率は昭和5年度全国入Pを標準人口と して計算した。IH 研究結果
1.府県別訂正死亡率 1)総数の観察 a)粗死亡率との比較 各府県における訂正死亡率および粗死亡率を全 年代を通じて比較すると,両者の関係をおよそ次 の3型に分類することができる。即ち, /l)全年度を通じて訂正死亡率がつねに粗死亡 率より高率を示す府県。これを「高率型」とよ ぴ,都市的府県である東京,大阪をはじめとして 青森,北海道の4都道府県がこれに属する(第1 図,第2図参照)。 ② 全年度を通じて訂正死亡率がつねに粗死亡 率より低率を示す府県。これを「低率型」とよ び,新潟,奈良等をはじめとして一般に農村的府 県に多く,過半数の27府県がこれに属する(第1 図,第3図参照)。 〔3)以上二つの中間に位するもの。即ち年度に よって両者の高低がちがう府県。これを「中間型」 とよび,岩手県を含む15府県がこれに属する(第 1図,第4図参照)。 以上3型の中,低率型が最も多いということ は,さきの第5報5)において述べた如く,全国総 数における訂正死亡率がつねに粗死亡率より下位 の傾向にあるという現象の裏付けとなるものであ る。 この3型の現象は,いうまでもなく癌の好発年 令である老人人ロの年令構成の如何によるものMiyoko NAKAMVRA (Dept. of Hygiene, Tol〈yo Women’s Med. Coll.) : Epidemiological studies on the death−rates of cancer in Japan (Report7) Secular chang es of the death−rates in each prefecture.
(1899一一1953)
21 皿皿 中向秘(μ・11」筆ノ 第1図 癌その他の悪性腫瘍による訂正死亡率および粗死亡率の比較分布図(明治32年∼昭和25年)
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22鱈 第2図癌その他の悪性腫瘍死亡率の年次的推移 大阪府(高率型) で,各代表として第1表に示された大阪府(高率 型),新潟県(低率型),岩手県(中間型)におけ る60才以上の年令構成千分比をみても理解するこ とができる。即ち大阪府はつねに老人人口の割合 r臨 穿 愚 £・ 讐、 +婁 鞭 黛森三
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即一囎セ丁,1:尺し奪 一 騨』髄漏曜 }▽_ 燭藷 efl TN 撚 治 凪 .緬 3x B641¢ 『1外すf・ ユ諦← ノ警 吹 第3図癌その他の悪性腫瘍死亡率の年次的推移 新潟県(低率型) が少いために粗死亡率では過少に現され,訂正す ることにより高い死亡率を得るが,新潟県ではつ ねに老人人ロの割合が多いために結果はその逆と なる。また岩手県にあっては年代の前半は老人の 割合が多いため低率型を示すが,後半は割合が減 一 187 一一寝 遠 穿 置 (塵 三三.
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3a s 6 千1 ;し 9、 r午 4一 ’o R参;t5’ ノ辱 塗 下その他の悪性腫瘍死亡率の・年次的推移 岩手県(中聞型) 第2表 第1表 年令構成千分比の比較(総数)60才以上 年・ 次大阪府
新潟県
岩手県
明治32年 〃36年 〃41年 大正2年〃9年
〃14年 昭和5年 〃10年 〃22年 〃25年 68 70 75 57 56 51 50 49 57 62 80 82 80 90 87 79 78 se 79 82 89 89 91 96 92 79 75 72 68 71 癌その他の悪性腫瘍による訂正死亡率 明治32 明治35 明治・・rT・・”E・1大正・ 全 国 39.7 49. 4 58. 0 1 63. 9 68. 1 註:なお昭和5年度回国入口60才以上標準入口千分 比は74である。 (総数) (死亡率は入口10万対) 大正・4!・・和r[・召・…{・…22匝・25‘ 68.5 70. 5 70.9 6Z 2 76. 1北海道
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新 潟 冨 石 福 lli 長 山 川 井 梨 野 岐 静 愛 滋 寒 国 知 重 賀 35. 9 26. 7 24. 4 33. 0 32. 4 45. 2 33.3 28.8 52. 3 37. 8 43.9 40.9 31.6 43.9 45.7 55. 7 45.9 38. 5 59. 4 53.3 60. 2 40.8 29. 7 60. 0 39. 4 64. 9 50. 1 47.4 54.9 56. 3 47.5 48.2 61.4 49.6 41.8 59.3 5L 6 77. 4 52. 0 51.8粥
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都 阪 忠 良 山 65.4 57. 5 35. 4 74. 9 44. 2 37. 3 41.5 44. 9 53. 5 48.4 73. 7 77. 4 46. 7 80.0 60.1 67. 4 54. 9 81. 0 57. 1 59.25LO
53. 1 46. 4 57.8 59.7 43.9 41.5 46.4 55. 6 60.0 72. 6 84. 9 57.8 99. 4 68. 6 54.7 4.P..5 41.5 74. 7 50.2 70. 4 65.0 57. 4 70.5 61. 3 69. 6 63. 6 85.0 64. 9 79. 2 69.8 64. 2 54. 6 58.8 67. 1 60. 9 50.3 43. 1− 81.0 61.9 63.6 1 5:,.2. i 46.1 76. 7 56. 9 ,6. s 1 59. 8 43.7 75. 9 61L 57z61
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..一J. .IJ.J..1 それ故粗死亡率による上ヒ較観察は,老入人士の 年令構威により影響をうけるから,その点を考慮 にいれた訂正死亡率により以後観察を試みること とする。 b) 訂正死亡率の年代的推移 第2i表は明治32年,36年,41年,大jE 2年,9 年,エ4年ならびに昭和5年,玉0年,22年,25年の 10ケ年における総数の府県鯛訂正死亡率を示した ものである。 また第5図は第2表の府県別訂正死亡率を半対 数図表にあらわし,一定数をかけ平行移動してあ る。第5図をみると,全府県を通じてその年次的 推移に共通現象が観察されるσ即ち,明治年代に あってはいずれの府県も上昇傾向が著しいが,大 正から昭和にかけては一般に恒定して著変なく, 昭和22年にはかえって下降の傾向を示す府県が多 い。しかし戦後の昭和25年度は宮崎県を除く他府 県は全部そろって急激な上昇を示している。この 経過はまた全国において述べた現象5)を裏付ける ものである。この中戦後の昭和22年における下降 傾向は,本邦において最:も高率を示す消化器癌が 当時減少していたことによるものと考えられる が7・8),中でも非常に高い消化器癌死亡率を示す奈 良県9)において下降傾向がとくに著しいことは, その裏付けとも思われる現象である。第6図,第7図,第8図,第9図はそれぞれ明
治32年,大正9年,昭和10年,昭和25年における ’訂正死亡率の分布図である。これによっても死亡 一 189 一嵩 む 一 } } + . ’」 んbl。万婚 E=] 20 pv 30
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藪6・ ’vo。 躍り・∼・8。 脳8・’v’ 第7図 癌その他の悪性腫瘍による府県別訂正死亡率(男女総数)大正9年(1920年) 贈3。tV +。 [M] ]] 40 “一 So 齪聾3’ec−s・ 寒6・∼70 麗三三、ワ。∼e。 鰯;s。∼ 第6図 癌その他の悪性腫瘍による府県別訂正死亡率(男女総数)’明治32年1(1899年)f 這 ね i ・・ 認3e∼千ウ ・+ 一千。∼s“D 醗s・∼90 蔭6・∼ワ。 翻9・∼e・ 翻麟9・∼ 第9図 癌その他の悪性腫瘍による府県別訂正死亡率(男女総数)昭和25年(1950年) E三三コ3・∼千。 ff[一]] 40 .v So 臣翻ケ・∼6。 屡≡塁60 一v・70 三三鑑n・∼Bo 三三8・∼ 第8図 癌その他の悪性腫瘍による府県別訂正死亡率(男女総数)昭禾010年(1935年) 謡
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正死亡率の年次酌推移(死亡率は人口10万対) r 女 明 32 (1899) 明 36 (1903) 38. 9 48. 3 明 41 (1908) 大 2(1913) 57. 5 38. 2 1 44. 0 28. 2 1 34. 0 27. 8 1 32. 4 36. 7 1 51. 1 31. 2 1 38. 2 45. 1 1 58. 5 4L 5 1 50. 1 33. 4 1 35. 8 40.6 1 49. 7 43.0 1 5L8
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45. 8 1 45. 8 43. 6 1 49. 4. 34. 0 1 48.9 37. 6 1 45. 7 3×4 1 33.3 46. 1 1 56. 1 41..8 L 48.8 31. 1 i 37. 7 3S. 4・ 1 44. e 35. 7 [ 49. 2 36. 5, 1 5L 6 33. 4 L 44. 2 6ユ.0 65.2 50. 0 [ 68. 8 36.O j 44一.8 63. 3 1 70. 3 38. 0 1 51. 1 34. 5 1 44. 8 3p”.一.).8一 i 36.2 31.),.51 4S.3 3i. 5, 1 43. 1 41.5 i 57.8 2s. or 1 3vc.0 26. 9 1 3 0.一・. 4 37.51 44.9 27. 7 1 36. 7 51.7 1 64.8 4.9.9 i 63.7 33. 1 1 48. 9 32. 2. 1 , 45. 8 第:; 能:§1 22.01 30.4 1 58.0 41.6 34. 4 58. 9 .42. 9 66. 4 53. 0 46.5 51.5 55.7 64. 6 56. 0 78. 6 57. 5 55. 3 55. 1 52. 4 46.1 52. 5 55. 1 45e 7 41. 9 47. 9 5e. 3’ 52. 9 61. 2 80. 1 52. 4 89.8 57. 3 43.2 52. 2 51. 4 46.8 60. 4 36. 9 57.7 54. 9・ i9・?1 ggig i 468O122 47. 4 11:引 .一. 一一.1 6L 9’ 54.5 44. 5 47. 9 74. 7 49. 3. 66.3 67. 0 53.8 63.0 62. 0 63. 9 59. 6 80. 3 5Z 9 74.. 6 690 9 65. 2 s1. e 56. 3 66. 5 53. 5 55. 9 53. 2 64. 8 55. 4 75. 5 84. 8 59一 2 88. 9 67. 6 59.5 67. 2 64. 1 53.5 62. 2 43.6 60. 5 63.6 49.3 75. 1 82. 4’ 54. 0 60. 8 57.0 52.3 41一.4 i杏92ポ杏92器
64. 3 昭 5 (1930) 65. 3 sg. s 1 驚:1翻
ll:1国 ll:別 ll:引 gz.ls, g,g・.g 62. 9 54. 5 47.9 72. 4 61..8 75.6 67. 6 69. / 71. 4 66.7 67. 1 67. 5 74・. 4 no!. 1 74. 7 66. 1 61. 4 51. 5 59. 2 67. 2 6.p.. e 59. 3 61,.3 66. 3 68. 2 79. 1 81.9 66. 2 90.7 72. 1 63.7 56. 8 57.2 60. 0 65.6 58.6 63..q 64. 7 54. 1 75.7 ’77. 1 Jr3.9・ 59. 5 66. 5 ?g・ei g7・91 54.5 i 67. 5 [ 61.1 [1 57. 4 i 52. 2 56, 9 68. 0 68. 1 81. 3 84. 6 64. 7 95. 6 69. 1 60.4 58. 0 62. 7 62. 3 盤:.lI gg[g’ ij:lg g:ig g,21g 鶉:1 1 59. 4 1 61. 8 48. tl. L. gili 釜:1 ?g一.g 男:l go,1g 19:劉 ll:笥 ,4..71 70. 2 64. 7 55. 0 61. 7 68. 1 60. 3 57. 0 62e 9 62e 2 70.oJ 71.6P
81.0 65.1 t 96. 3 76. 8 5?..9 60.51 i 66. 6 60. 0 62. 8 57. 1 60. 2 60. 6 51. 6 72.9 77. 36L7
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19:劉 .一 .. .一一1率は全府県において次第に増加していることがわ かる。明治32年においては人ロ10万対80以上の死 亡率を示す府県は全くみなかったが,大正9年に は一躍7府県においてみられ,昭和10年はまだ同 じ7府県にとどまっているが,昭和25年には11府 県において80以上の高率を示すにいたった。しか も昭和25年には全府県の%以上である22府県が70 以上の死亡率を示している。 全年代を通じて死亡率の高い地域は,一般に東 北南部,北陸,関東,近畿,北九州地方であり, 東北北部,中部地方の南部および南九州地方は反 対に死亡率は低い。また奈良県はいずれの年代に 盗1・・ 託「‘o 勉Ioo 婁・7ρ 握8。 腫7。 霧、。 [t s’“ 等4。 父3。 ;一〇 ?2e “rT ,. V Q おいても最高を示し,岩手県は明治32年のみを除 いてつねに最低にある(明治32年は鹿児島県が最 低死亡率を示す)。 2)男女別による観察 第3表に明治32年より昭和25年にいたる男女別 訂正死亡率を示した。 また第10図および第11図は,男子および女子に おける訂正死亡率の明治32年から昭和25年への増 加状態を示し・たものである。横軸の府県の順位は 明治32年における死亡率の高率順に並べてある。 この図によると男女とも昭和25年は明治32年に比 較して全府県においてかなりの増加がみられ,最: 一日召繊露(1伽鴇)
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あ 集 第10図 癌その他の悪性腫瘍による訂正死亡率の年次的推移(男子)碧
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倉 県 警11図 癌その他の悪性腫瘍による訂正死亡率の年次的推移(女子) 高死亡率を示すのは男女とも明治32年目同じくや はり奈良県である。しかし他の府県における昭和 25年目死亡率値は,高率順に並べた明治32年の配 列に従うと,図のように府県によりかなり不規則 な上下がみられ(とくに男子において著しい),必 ずしも明治32年に高率を示した府県は昭和25年に おいても高く,また低率であった府県は同じく低 いという傾向は示されていない。即ち各府県の増 率状態にはそれぞれ差違が認められる。 次の第12図,第13図は男子わよび女子にわい て,明治32年度藩主死亡率を100としたどきの昭 和25年度の値(増加指数とよぶ)を示したもので ある。横軸における府県の配列順は第10図,11図 と同様明治32年度における死亡率の高率順に並べ t tlのである。この増加指数を観察すると府県・に よってはかなり不規則な上下を示すものもあるが 一 194 一29. g40 3ヨ。 砲3a・ ガ0 310 . 指 3。・.
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・⊥ 『直 バて へ 第12図 癌その他の悪性三三による訂正死亡率増加指数(男子)璃煽敏一畿葺・…
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箱 畠 第13図 癌その他の悪性腫瘍による訂正死亡率増加指数!女子) (とくに男子においては),およそ次σ)ような傾向 がみられると思う。節ち一般に増加指数は明治32 年に高率を示した府県は小さ.く,低率を示した府 県は反対に大きいという傾向である。これは死亡 率の絶対値における関係を意味するのではなく, 各府県における増率傾向の強弱という見地からの 観察であって,これによると死亡率の高い府県よ りもむしろ低い府県の方が増率傾向は顕著である ことが認められる。 そこで次の4都県.を代表として観察してみる。 即ち第14図に示すように,奈良県は男女とも本邦 においてつねに.最高率の県,岩手県は反対につね 一 1.q5 一’Roe
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次 差が次第に増してゆくことを述べたが10),府県別 訂正死亡率においてもその傾向がみられる。第5 表は年度別に男女訂正死亡率を比較し,男子が女 子より高率であった府県数を示したものである が,これによると明治年代にあっては男子高率の 府県数はまだ比較的少く,事事県界(46)の半数 をやや上廻るか或は明治41年のように逆に半数よ りやや少い場合もみられる。しかし大正に入って 男明治32年
大正9年
昭和10年
18t?9 19.?.O ].935 鎚和Zt”EiE一.1・95・. 33. 0% 28. 4% 2e.3% !5.0% 24.50/5 15. 5% 12.40% 9. 2% 第5表 年度別男女訂正死亡率の比較 (男子が女子より高率を示した府県数) 年 度 肩 県 数 明 治 tl Il 大 正 rx 11 昭 和 11 il f1 32 36 41 2 9 14 5 10 22 25 26 26 21 29 35 ,34 36 37 39 44 前回の報告6)で,全国における男子の訂正死亡 率が女子に比し上昇傾向が大きく,男女の死亡率 から増加をはじめ,次第にその数を増して昭和25 年にはついに44という大多数の府県が男子高率を 示すにいたる。このことは全国における現象の裏 づけとなるものであり,とくに大正後半期より男 子の全国訂正死亡率がさらに高率となる原因を意 味づけるものである。次に以上の男子高率府県数 一 i,C,’6 一慧 へと 1 こ==] 雰茎鳥等済票
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第!6図癌その他の悪性腫瘍による男女別訂正死亡:率の比較大正14年(1925年) 〔コ男禍瀬県 晒ヤ}嵩摩祷集 第15図 癌その他、の悪性腫蕩による男女別訂正死亡率の比較明治32年(1899年) 鷲迷 わ 1
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第17図 癌その他の悪II生腫瘍による男女別訂正死亡率の比較昭和25年(1950年)’33 が次第に増してゆく過程を分布図に締してみた。 第15図,第16図,第17図はそれぞれ明治32年,大 正14年,昭和25年における状態である。最:初の明 治32年には墨東,近畿,北九州等の都市的府県は 男子高率を示しているが(ただし東京のみは例外 である),他の地域においては女子の高率府県もか なり多い。次の大正14年には,男子高率府県の数 ははるかに多くなり,女子高率府県数は逆に減少 する。そして昭和25年には,男子死亡率の上昇は さらに女子のそれを大きく凌駕し,女子高率を示 ↓
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第20図癌その他の悪性腫瘍による年令別 死亡率の年次的推移(奈良県) す府県はわずかに岩手と熊本の2県を残すのみと なっている。 なおこの女子高率を示す府県は,一般に男子の 消化器癌が比較的低率なのに反し,女子生殖器癌 が高率を示すことによるものと考えられる。11) 2.性別年令別死亡率 各府県における性別年令別死亡率の年次的推移 ならびに各年度における死亡率曲線の経過は, 全国の揚合とほぼ類似した変化を示しているが, 府県により多少異った特長がみられる。第18図, 第ユ9図,第20図,第21図はそれぞれ東京都,新潟 県;奈良県,岩手県の4都県における明治36年お よび昭和25年の性別年令別死亡率を比較したもの である(資料の関係上,明治32年は詳細な年令的 区分が得られなかったので明治36年を選んだ)。 まず東京都においてはほぼ男子は60才,女子は70 才以上において昭和25年の死亡率はかなり増加し ているが,それ以下の年令層では男女ともかえっ て減少していることが注目される。次の農村的府 県である新潟県にあっては,男子はやはり60才以 上の増加が著しいが60才以下の年令層においても 上昇はみられ,女子は45才台を除く年令層はすべ て増加している。またつねに最高死亡率を示して いる奈良県は経過も非常に活巖で,男子における 増加は60才以上の老年層に著しく,とくに70才台 の激増は顕著で他府県における水準をはるかに抜 いている。しかし女子はそれに反して増率は低調 肋。癒勲
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外21図癌その他の悪性腫瘍による年令別 死亡率の年次的推移(岩手県) 一一一 /99 一n”エ 篭 茎 う ∼足 竺 思 継 鹿 ム 傷 晃 走 婁・ † 人 口 聖 か 鱒 ) Soe 700 boe soe 4eo 300 20e tgoCo 籠 k8 40 30 冒し。 ‘甲
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憂ヨ噴 衆 気 塗 ’4 (東京者B) (新潟県) 第22図 癌その他の悪性腫瘍による年令別死亡率の年次的推移 で,70才台ではむしろ減少し80才以上において増 率を示しているため,死亡率曲線は全国型4・6)に 反した異型を示している。第21図の岩手県におい ても60才以下の若年層にわける増率よりも,やは り男女とも70才台を中心とした高年令層における 激増がめだっている。なおこの県で注目されるこ とは,.明治36年における女子の死亡率が高年令層 にあっても男子を凌駕して特長のあったものが, 一 200 一
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.署 つ欠 (奈良県) . . (岩手稟). 第23図 癌その他め恵性腫瘍による年令別死亡率の年次的推移. 一 20f 一 35昭和25年越は同年三層における男子の激増に及ば ず,全国型のように50才台を境として,それ以下 では女子が高率を示し,それ以上では男子がはる かに女子を凌ぐにいたったことである。 このように代表の4都県においても示されるよ うに,府県別にみた性別年令別死亡率の年次的推 移は,その絶対的増加という点からみると一般に 60才以上の高年令層において圧倒的に大きくしか も男子に顕著である。そして60才以下の増率はき わめて小さく或は反対に減少の傾向にある府県さ えもあるということがいえよう。 しかし以上の性別年令別死亡率の年次的推移を 関係的変化の見地から半対数図表により検討して みると,さらに詳しい経過を観察することができ る。この続合,こまかい年令階級区分は府県別観 察においてはかえって煩雑になるため,大きく3 階級に分けて検討した。即ち30才以下の若年層, 30才∼60才の中年層,60才以上の老年層の3階級 である。第22図および第23図にその代表としてや はり東京都,新潟県,奈良県,岩手県の4都県を 示した。3階級の中,まず60才以上の老年層から 観察すると,4都県において男女とも明治から大 正へかけてならびに戦後の昭和25年における上昇 がめだっている(奈良県の戦後のみは例外であ る)。そしてこの傾向は都市的府県の東京都より むしろ農村的府県の新潟県に,また高率を示す奈 良県よりも低率である岩手県の方に顕著である。 しかし中年層である30才∼60才階級は4都県とも 全年代を通じて経過は低調で,新潟県の女子およ び奈良県,岩手県の男女にあっては戦後下降の傾 向さえみせている。ところがここに注目されるの は,全国においても同様であったが6),30才以下 の若年層における変化である。それは図のように この年令層は4都県ともまた男女ともかなり激し い上昇状態を示していることで,その上昇傾向の 顕著な点では老年層におけるそれを凌ぐ感があ る。勿論この年令層における死亡率は老年層に比 してきわめて小さい値であるから,計算途上にお ける四捨五入等のごくわずかの動きによっても大 きく影響を受けるものである。それ故図表上に現 われた変化をどの程度まで論ずるかは問題がある としても,明治32年から昭和25年までの経過を全 体にみて,ともかくその上昇傾向は3階級の中最 も活譲であるということはいえよう。この傾向は 男女ともまたいずれの府県においても観察される 現象であって,これが如何なる理由によるもので あるかは不明であるが,一つは若いが故に癌とは 考えず他の疾病と誤診され易かったものが,医学 の進歩によりその三見率が増したことによるもの か,或はまた実際に若年者癌(たとえば肺臓癌ユ2)) が増しつつあることによるのかその点種々考えら れるが,真相解明には今後の検討が必要とされ る。そして絶対値としては老年層に比較してきわ めてわずかの増率とはいえ,この傾向は一つの興 味ある現象として注目されるものである。 IV 総 括 以上は府県別死亡率の年代的推移として,主に 訂正死亡率および性別年令別死亡率につき述べ た。総括すると大体次のようである。 1.府県別訂正死亡率 1)総数の観察 a)各府県の訂正死亡率を粗死亡率と北較すると 次の3型に分類される。 (1)高率型。これは全年度を通じて訂正死亡率 が粗死亡率より高率を示すもので,老人人口の年 令構成がつねに少いことによる。東京,大阪をは じめとして4都府県がこれに属する。 ② 低率型。これは全年度を通じて訂正死亡率 が粗死亡率より低率を示すもので,老人人口の年 令構成がつねに多いことによる。新潟,奈良をは じめとして一般に農村的府県に多く,27府県がこ れに属する。 ㈲ 中間型。これは年度により両者の高低がち がうもので,老人人魂の年令構成が一定でなく年 度により上下することによる。岩手県をはじめと して15府県がこれに属する。 b)訂正死亡率の年次的推移は全府県を通じて共 通現象がみられる。即ち,明治年代から大正にか けては急激な上昇を示すが,大正年代から昭和に かけては恒定して急変がない。また昭和22年には 一般に下降の傾向にあり,とくに奈良県は著明で ある。しかし昭和25年には宮崎県を除く他府県は 全部激増を示す。 訂正死亡率の年次的推移を分布図に示すと,年 次のすすむに従って全府県の死亡率が高くなるこ とがわかる。明治32年には全府県が人口10万対80 以下であるが,昭和25年には11府県が80以上を示 すにいたった。 一一一@202 一’一
37 訂正死亡率の高率地域は東北南部,北陸,蘭 東,近畿,北九州地方で,全府県中つねに最:高を 示すのは奈良県,最低を示すのは明治32年のみ鹿 児島県であるが,以後は常に岩手県である。 2)男女別による観察 (1)昭和25年の訂正死亡率は男女とも全府県に おいて明治32年より増適している。しかし各府県 における死亡率の高低関係をみると,必ずしも明 治32年に高率を示した府県は昭和25年においても 高く,また低率であった府県は同じく低率である とはかぎらず,各府県の増率傾向には差違が認め られる。 (2)明治32年度における死亡率の値を100とし たときの昭和25年度の値(増加指数)は,かなり 府県により不規則な上下もあるが(とくに男子に 著しい),一般に明治32年において高率を示した 府県より低率を示した府県の方に増加指数が大き い傾向にある。 〔3)代表として奈良県,岩手県,東京都,新潟 県を観察すると,男女とも年次の進むにつれて次 第に4都県の死亡率差は減少し,とくに女子にお いて顕著である。 (4)各府県の訂正死亡率を一・つの度数分布とみ なした変異係数も年次ごとに次第に数値が低下し ており,各府県の訂正死亡率差は減少している。 (5)訂正死亡率の年次的増加はいずれの府県に おいても男子の方が活濃で,そのため男子が女子 より高率を示す府県は次第に増加している。明治 32年には男子高率府県は全府県の半数をやや上廻 る程度で女子高率府県もかなり多く認められた が,年次の進むに従い男子高率府県数は増加し, 昭和25年には大多数の府県が男子高率を示すにい たり,女子高率はわずかに岩手と熊本の2県のみ となった。 2.性別年令別死亡率 (1)代表として東京都,新潟県,奈良県,岩手 県を論じたが,各府県を総括すると次のようにい える。即ち死亡率増加の絶対的に大きいのは60才 以上の老年層において圧倒的で,しかも男子に顕 著である。そして60才以下の年令層においては, 増率は老年層に比しきわめて小さいか,またはか えって減少の傾向にある府県さえもみられる。 ② 以上の4都県における性別年令別死亡率の 年次的推移を,さらに30才以下,30才∼60才およ び60才以上の3階級の年令層に分けて,半対数図 表によりその関係的変化を検討した。それによる と,3階級中歯も上昇傾向のはげしいのは老年層 よりむしろ30才以下の若年層において活澄であ り,それに反して最も上昇が低調であるか或は下 降の傾向さえみせているのは30才∼60才の中年層 である。この若年層における急激な上昇傾向は, 他の全府県においてもみられ,その絶対値として は老年層のそれとは比較にならないほどの小値で はあるが,いかなる理由によるものか今後検討さ るべき現象として注目される。 稿を終るに臨み,終始御懇切なる御指導,御校閲を 賜った吉岡肝入教授ならびに語岡妙子助教授に深謝す る。 丈 献 1)中村ミヨ子:本邦癌死亡率の疫学的研究(第一 報),東京女医大誌,24,69∼74(昭29) 2)申村ミヨ子他1名:本邦癌死亡率の疫学的研究 (第二報),東京女医大誌,25p 396∼402(昭30) 3)早旦ミヨ子他1名:本邦癌死亡率の疫学的研究 (第三報),東京女医大勢,26,12∼20(昭31) 4)中村ミヨ子:本邦癌死亡率の疫学的研究(第4 報)一昭和(戦後)における死亡率について,:東京 女医大筆,26,363∼371(昭31) 5)中村ミヨ子:呼野癌死亡率の疫学的研究(第5 報)一全国総数における死亡率の年代的推移につ いて,東京女医大誌,26,454∼458(昭31) 6)中村ミヨ子:本邦癌死亡率の疫学的研究(第6 報)一全国男女別死亡率の年代的推移について, 東京女医大雪,26,563∼569(昭31) 7)瀬木三雄他4名;日本における癌死亡の統計的 観察,公衆衛生,13(6),32∼64(昭28) 8)国民衛生の動向;厚生の指標,5(9),(昭31) 9)藤井明:奈良県の癌死亡に関する統計的観察, 公衆衛生,12,19・V22(昭27) 10)諸岡妙子:生物統計学的にみた男女の差異につ いて,東京女医大誌,24,81∼88(昭29) 11)石田保広:最近の悪性新生物死亡について,衛 生統計,5,29・V32(昭27) 12)平山雄:癌の疫学,日;本公衆衛生i雑誌,1,223 r“一239 (BH29) 一 203 一