318 氏名(生年月日)
本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
リュウ劉
博士(医学) 乙第1345号平成5年1月平日
(98) ホイ輝(
学位規則第4条第2項該当(博士の学位論文提出者)
小腸移植後長期生存ラットにおける吸収,代謝に関する実験的研究 一門脈および下大静脈ドレナージ法の比較検討一 (主査)教授 太田 和夫 (副査)教授 浜野 恭一,丸山 勝一論 文 内 容 の 要 旨
目的 本研究ではラットを用いて,より生理的である門脈 一門脈吻合による小腸移植を行い,長期生存例の体重 変化,代謝および吸収能について検討し,さらに大循 環系ドレナージを行った場合と経時的に比較した. 対象および方法 8-10週齢の近交系Lewis/seaラット81匹を第1群 (無処置対照群,n;10),第II群(門脈一下大静脈吻合 による同所性全小腸移植群,n=35),第III群(門脈一門 脈吻合による同所性全小腸移植群,n二36)の3群に分 けた.すべてのラットの体重は毎週測定した.採血は 尾静脈より行い,経時的に血清総蛋白,トリグリセリ ド,ビタミンB、2,GOT, GPTを測定した.さらに腸 管の吸収能を評価するため,各群とも3ヵ月後に経口 マルトース吸収試験を実施した. 結果 1)体重変化:移植後1週目に術前と比較して第II 群,8±2%,第III群,5±2%の体重減少を示した. また第II群,第III群とも移植後下痢が認められたが, 術後2週までに回復した.移植後8週目では第II群と 第III群間では体重の変化に有意差は認められなかっ た. 2)血清総蛋白:移植後2週目の血清総蛋白につい ては第n群,5±2.1%,第III群,3±1。5%とともに 無処置対照群に比較して有意(p<0.05)に低値であっ た.また第II群と第IH群を比較すると第II群で有意 (p<0.05)に低値を示した.しかし,移植後8週目に おいては各群の間に有意差は認められなかった. 3)血清トリグリセリドおよびビタミンB、2:移植 後6ヵ月で血清トリグリセリドおよびビタミンB12の 濃度を測定したが,各日間に有意差は認められなかっ た.4)マルトース吸収試験:移植後3ヵ月目にマル
トース吸収試験を施行した.経口投与30分後でグル コースは第1群,128±5mg/d1,第II群,120±5mg/d1, 第III群,126±6mg/dlと最高濃:度を示し,良好な吸収 機能が認められた.また各野間に有意差は認められな かった. 5)GOT, GPTの変化:第II群および第III群においては両群とも一過性にGOTおよびGPTの上昇がみ
られ,移植後2週目においては無処置対照群との間に 有意差を認めたが(pく0。05),移植後8週目において は各群の間に有意差は認められなかった. 考察および結語 今回の実験では,上記パラメーターに関しては移植 後2週目において,血清総蛋白が第II群と第III群を比 較すると第II群で有意に低値を示したが,しかし,移 植後8週目においては第1群,第II群,第III群の間に 有意差は認められなかった.また移植後第II群,第III群とも一過性にGOTおよびGPTの上昇がみられた
が,移植後8週目においては各群の間に有意差が認め られなかった。本実験において,検討した各種指標に ついて門脈ドレナージをうけた移植群と下大静脈ドレ ナごジをうけた移植群の間に移植2週以後は有意差が 一952一・319 認められなかったことより長期的な実験研究であれば 両者のいずれも小腸移植における移植腸管の吸収およ び代謝を研究するための実験モデルとして使用しうる ものと考えられた.