原 著 〔東女医大誌 第60巻 第12号頁1017∼1025平成2年12月〕
ラット海馬スライス標本における低頻度刺激により誘発される
シナフ.ス伝達抑制に関する研究
一特に内因性アデノシンの関与について一
東京女子医科大学 第二生理学教室(主任 小山生子教授) セキ ノ ユウ コ 関 野 祐 子 (受付平成2年8月8日)Post・tetanic Depression Induced hy a L,ow Frequency Stimulation in
Rat Hippocampal Slices:APossible Linkage of Endogenous
Adenosine to the Induction of the Synaptic Depression
Yuko SEKINO
Department of Physiology(Director:Prof, Ikuko KOYAMA) Tokyo Women’s Medical College
The synaptic depression of pyramidal neurons in cornu ammonis fields(CA1)induced by a brief
repetitive(tetanic)stimulation of Schaffer collateral fibers was examined in rat hippocampal slices
with electrophysiological techniques and several pharmacological agents. A conditioning tetanic stimulation influenced the responses of population spikes(PSs)in the stratum pyramidale and population excitatory postsynaptic potentials(EPSPs)in the stratum rad量atum of CAI region with
dependency on frequency of tetanic stimulation. Low frequency tetanic stimulat童on(5,10 and 20 Hz)
induced post−tetanic depression(PTD)whereas high frequency tetanic stimulation(50 and 100 Hz)
induced post・tetanic potentiation(PTP). Five Hz stimulation for 20 s was the most adequate stimulus
condition for the induction of PTD independent from PTP. This stimulation caused about 80%
depression of the PSs amplitude which was restored nearly to the control l6vel within 5∼7 min. The reduction of EPSPs was always. accompanied with PTD of PSs.
Bicuculline(50μM)and picrotoxin(100μM)did not affect the induction of PTD, On the other hand, adenosine deaminase(5 units/ml)a吐tenuated the PTD to about 31%depression of the PSs. Furthermore,8・cyclopentyltheophylline(2μM)dramatically reduced PTD. These data suggest that
the induction of PTD result.from the effects of endogenous adenos童ne but not from the effects of
GABAergic inhibitory systems.
The potassium chan耳el blockers, tetraethylammonium(1 mM)and 4・aminopyridine(40μM)
converted PTD to potentiation 2∼3 min after tetanic stimulation. These data suggest that the increase of potassium conductance is also involved in PTD.It is concluded that PTD in Schaffer−CAI pathway
may be elicited by endogenous adenosine that acts on Al receptors and increase potassium conductance. 緒 言 中枢神経系の中で特に海馬は,短期記憶を長期 記憶へ定着させる機能を担う器官であることが Milnerら1)の臨床的な観察により指摘されてい る.このことから海馬は学習・記憶の神経機構を 解明する手がかりを与える部位として近年特に注 一1017一
目されている2).Bliss&Lφmo3)は,麻酔下の家 兎で海馬への興奮性入力の貫通線維に短い頻回刺 激(テタヌス刺激)を加えた際,歯状回より記録 される集合活動電位(population spikes:PSs) が長期間増強することを見出し,この長期増強 (longterm potentiation:LTP)は海馬でのシナ プス応答の可塑性を示す反応であることを提示し た.このLTPは,特に学習・記憶の神経機構のモ デル現象の一つとして考えられている4). 学習・記憶に関与すると考えられるシナプス応 答の可塑的変化には,興奮性の増強とこれに相反 する抑制的変化が知られており,特に小脳では長 期抑圧に関する詳細な研究がIto5)によってなさ れている.海馬においては,LTPの誘発に低頻度 (10∼20Hz)のテタヌス刺激を加えた場合, LTP の誘発に先行して短時間の抑制的変化が観察され ること3)6)7),また,LTP下にあるシナプス応答は 1∼5Hzの低頻度刺激で抑制されること8>などが 報告されている.しかし,これらのテタヌス刺激 によって誘発される抑制的変化の発現機構に関し ては未だ明確にされていない. 一方,山本9)は摘出した脳切片で生体内と同様 の電気活動が誘発されることを証明した.この脳 切片法では,外液に既知濃度の薬物を直接作用さ せることが可能であり,従って,神経活動ないし 神経伝達のイオン機構および物質の作用機序の検 索に有用なモデルとされ,本法を用いた幾多の報 告がなされている9). 著者は最:近,脳切片法を海馬に応用し,外液の Mg2+濃度を1.3mMから2,0mMに増加した際, テタヌス刺激後に数分間持続するシナプス伝達効 率の低下(抑制,post−tetanic depression:PTD) の増強と,その持続時間の延長が生ずることを見 出した1D).今回著者は,海馬CA1錐体細胞にみら れるPTDに注目し,その発現に関する刺激周波 数依存性の有無を明らかにすると共に,脳内抑制 性伝達物質γ一aminobutyric acid(GABA)並びに 神経興奮の抑制作用が知られているadenosine のPTD発現機構への関与を検索した.さらに,こ の抑制機構とK+透過性との関連性についての検 討を行った. 方 法 1.海馬スライス標本の作製と灌掛詞組成 実験動物はWistar系・雄ラット(体重200∼350 g)を25匹使用した.動物を断頭後,直ちに脳を摘 出,正中(脳梁部)で半切し,一側半球の脳幹部 と半球との間をピンセットにより剥離した後,海 馬の下面を確認,septumと負mbriaの間を切断し て海馬体を剖出した.海馬は長軸に対して垂直に, 約5mm幅の組織片として切り出した.血液の貯 留を防止するため,これら一連の操作は脳組織を 後述の標準灌流液で洗い流しながら行った.その 後,組織片をマイクロスライサー(Dosaka EM: DTK3000)によって厚さ400μmで矢状断し海馬 スライス標本を作製した.続いて標本を,先端口 を大きく加工した特殊なピペットで吸引して,
95%0、,5%CO2で飽和させた灌流呼出
(32∼33℃)に移し,約1時間浸漬した.実験の際 は,記録用チェンバーに移した切片をナイロン メッシュで軽く押さえ灌髄液中でのスライスの浮 上を防止した.長流液の流速は4.5ml/minに保持 し,チェンバー内の液温はサーモレギュレーター を使用して32∼33℃に調節した.標準灌流液として,NaCl 124, KCI 5, CaC122,
MgSO42, NaHCO326, NaH2PO41.25, glucose
10(mM)を含むKrebs−Ringer緩衝液を用いた. 使用する薬液は,灌流液によって調整した. 2.刺激および記録 刺激電極として直径100μmのコーティング・ワ イアの先端を電解研磨し先端距離が約100μmに 張り合わせた双極タングステン電極を用い,海馬 スライスのCA1領域への興奮性入力線維である Schaffer側枝に刺入した.記録電極は三流液を充 填した抵抗4∼6MΩのガラス電極を用い, CA1の
錐体細胞層(stratum pyralnidale:str. pyr.)と 放線層(stratum radiatum;str. rad.)に設置し,
Schaffer側枝刺激により誘発される集合活動電
位ならびに集合興奮性シナプス後電位(popula−
tion excitatory postsynaptic potentials:
EPSPs)を記録した(図1).この際の刺激電極と 記録電極間の距離は400∼700μmに設置した. 刺激は持続時間0.1ms,刺激強度を最大刺激強
stimulation CA2 GA3 responses PSs
CA1/一
EPSPs一
戸鞠・・
slope 図1 海馬スライス標本を用いた実験の模式図 タングステン双極刺激電極(先端距離100μm)で CA2領域のSchaffer側枝を電気刺激(stimulation) した.CA1領域の錐体細胞層と放線層に灌流液を充 填したガラス電極(抵抗4∼5MΩ)を設置して,単発 テスト刺激により誘発される細胞体の集合活動電位 (population spikes;PSs)と樹状突起の集合興奮性シナプス後電位(population excitatory post− synaptic potentials;EPSPs)を記録した,テスト 刺激は15秒毎に行った.PSsの2つの上向ぎ波の中 点と下向き波の頂点を結んだ距離を振幅(ampli− tude, mV)とし, EPSPsの下向きの傾斜の2点間 を結んで傾き(slope, mV/ms)として,交互にオソ ラインシステムで計測した. 度の1/2∼2/3(0.1∼0.25mA)の条件で行った. 始めに単発のテスト刺激を15秒毎に行い,刺激に
より惹起されたPSsとEPSPsの波形を,電位測
定用ソフト(EPSPOO1;山形大学生理学教室開 発)を用い,PSsの振幅(amplitude:mV)並び にEPSPsのslope(mV/ms)を交互にオンライン システムで測定,解析した(図1).実験にはテス ト刺激に対して安定した応答(変動が±10%未満) が15分以上持続した標本のみを用い,10回のテス ト刺激に対する応答の平均値を対照値とした.短 時間の繰り返し刺激(テタヌス刺激)を行い,得 られた反応を約30分間観察した.テタヌス刺激がPSsに及ぼす影響を比較するためテスト刺激
に対する振幅を対照値の百分差に換算し,平均し た. 実験は以下の項目について行った。 3.実験項目 1)PTD発現の刺激周波数依存性について 100pulsesのテタヌス刺激を種々の周波数(5, 10,20,50,100Hz)で行った.検索はテタヌス刺 激後5分間の反応を観察し,PSsの振幅が対照値 の90%以下を示した場合を抑制(PTD)とし, 110%以上の場合を増強(post−tetanic potentia− tion:PTP)として, PTD発現に最も有効な周波 数を検討した. 2)PTDの発現機序に関与する脳内抑制性物質 とイオン機i構について (1)GABA系の関与 標準灌流液中に25μMと50μM bicuclline(BIC, GABAA receptor antagonist)および0。!
mM picrotoxin(PTX, GABAA receptorを介し たCr channel blocker)を添加し, PTDに及ぼ
す影響を検索した.
(2)Adenosine系との関連
標準灌流液に,1unit/m1,4units/mlと5units/
mlのadenosine dealninase(ADA, adenosine分
解酵素)および1μMと2μMの8・
cyclopentyltheophylline(8−CPT, adenosine Al receptor antagonist)を各々添加し, PTDに及ぼ す影響を検索した. (3)K+イオン透過性との関係 2種類のK+チャンネル阻害剤,1mM tetra−ethylammonium(TEA)と20μMと40μM 4−
aminopyridine(4−AP)を各・々標準灌流液に投与 し,その影響を観察した. なお,上述の実験における対照値は,薬物外流 後の反応が安定した後,5分間のテスト刺激によ る記録を行い求めた. 結 果 1.PTD発現の周波数依存性 海馬スライス標本におけるテタヌス後反応は以 下,①PTDのみ見られたもの,②PTDとそれに 続くPTPが見られたもの,③PTPのみ見られた もの,の3つのパターンに分類された.種々の周 波数で得られた3種のパターンの発生頻度を表1 に示した.PTDのみのパターンの発現は,5Hzの テタヌス刺激で4例中3例(75%)にみられ,10 Hzでは7例中4例(57%),20Hzの場合8例中3 例(38%),50Hzでは11例中1例(9%)であり, 100Hzでは全く観察されず,周波数の増加によっ てその発現率は低下した.またPTDに続きPTP の見られたものは,5Hzで1例(25%),10Hzで 3例(43%),20Hzで4例(50%),50Hzでは2 一1019一表1 テタヌス刺激後反応のパターン分類と発生頻度 テタヌス刺激 @の条件 例数 PTDのみ PTD十PTP PTPのみ 5Hz 20s 4 3 1 0 (75%) (25%) 10Hz 10s 7 4 3 0 (57%) (43%) 20Hz 5s 8 3 4 1 (38%) (50%) (12%) 50Hz 2s 11 1 2 8 (9%) (18%) (73%) 100Hz ls 5 0 0 5 (100%) 200 寂 逗 子 萱1・・ 藷 お n一 o tetanus stim, ↓ 一口 、 一一 。トー@ 5E巴 208 一一ゥ ■O区罵 ■05 一一HF鴫 20HZ 58 一一一一@ 50日霧 2s →一鳴 100HZ ls 単発テスト刺激に応答するPSsの振幅に対する,種々の周 波数(5,10,20,50,100Hz)の100パルスの頻回(テタヌ ス)刺激が及ぼす影響を分類した.テタヌス刺激前の10回 のテスト反応を平均し対照値として,PSsの振幅を百分率 に換算した.テタヌス刺激後5分間で,PSsが対照値の 90%以下になった場合をpost−tetanic depression(PTD), 110%以上になった場合をpost・tetanic potentiation (PTP)として, PTDのみのもの, PTDにPTPが続くも の,PTPのみのものに分類した. ら Time(min} 図2 種々の周波数のテタヌス刺激によるPSsの反 応 テタヌス刺激前の5分間と,テタヌス刺激後10分間 の反応を比較した.各標本で,テタヌス刺激前5分 間のテスト刺激に対する応答を平均しこれを対照値 とし,対照値に対する百分率で示した.グラフは, 表1の標本について,刺激条件別に平均した値をプ ロットすることにより作成した.横軸の0点がテタ ヌス刺激の開始を示している. 例(18%)みられ,100Hzのテタヌス刺激では観 察されず,10Hzと20Hzの条件下で多数の発現が
認められた,5Hzで見られたPTDに続くPTP
は112%の軽度の増強であり,50Hzで発現した2 例は,いずれも小さく短いPTDにPTPが続いて おり,この場合も周波数の増加により,観察され るPTDが小さくなった.さらに, PTPのみのパ ターンは5Hzと10Hzでは全く観察されず,20Hz で1例(12%),50Hzで8例(73%),100Hzでは 全例に認められ,周波数の増加で発現率に明らか な上昇が認められた. 表1に示した標本の反応について,テタヌス刺 激前の対照値に対する百分率を求め,その平均値 を図2に示した.その結果,5Hz刺激で誘発され た抑制は,テタヌス刺激から1分後で対照値の 20.2±15.2%(Mean±SD, N=4)まで減少し, PTDの持続時間は他の周波数のものと比べ最も 長く(5∼7分),テタヌス刺激によるPTP反応 は伴わなかった.これに対して,10Hz刺激では, 83.4±2.4%(Mean±SD, N=7)の抑制を呈した が,テタヌスから3分半で軽い増強119±!7.7% (Mean±SD, N=7)が見られ,抑制の持続時間は 短かった(2.5分).さらに,20Hzで誘発される PTDは51、3±38.3%(Mean±SD, N=5)まで減 少し,4分後に軽い増強111.5±26.4%,(Mean± SD)が見られた.50Hz刺激ではテタヌス刺激直 後に115.8±28.3%(Mean±SD, N=11)までの PTPが生じ,反応は最大125.2±18.4%(Mean± SD, N=11)に増強した.また,100Hzではテタ ヌス刺激直後に171.1±9.8%(Mean±SD, N=5) まで反応は増強した. テタヌス刺激後のPTDのみの反応は5Hz 20s の条件で単離され,他の刺激条件下では得られな かった. 2.5Hz 20sで誘発されるPTD Schaffer側枝に対する5Hz 20s刺激はCA1錐 体細胞層のPSsの振幅のみでなく,CA1錐体細胞の樹状突起層である放線層から記録される
EPSPsも同様に抑制した(図3A).このテタヌス 刺激によってシナプス前線維の活動電位(pre− synaptic volley;図3A,*印)の振幅は変化しな かった.テタヌス刺激後のPSsの抑制は,1分後 に最大になり,5分後には対照値の約90%に回復 し,12分後ではもとのレベルに回復した(図3B). また,EPSPsの抑制は約6分後にほぼ刺激前のレ ベルに回復した(図3C).3.PTD発現に対するGABA系の関与
25μMあるいは50μMのBIC前処置後,テストA
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3 著 喜・ 塁 9 霧1 望 o 5Hz 20s ▽γコ1、
10ms じ 奮。.、 妻 むコヨ § 奮02 島。.1 臣 o,o 0 5 Time(min) 5Hz 20s † 10 15 0 5 Time(min) 10 t5 図3 5Hz 20sのテタヌス刺激により誘発されるPTD A:*印はpresynaptic volleyを示している.それぞれの波形は,交互にオンライン システムで計測した.B;Aに示した例について, PSsのamplitudeを,テタヌス刺 激前10分間とその後15分間にわたり計測し,プロットした.C:同様に, EPSPsの slopeについて計測し,プロットした.刺激に対するPSsとEPSPsはともに徐々に振幅
およびslopeを増しbursting dischargeを示した (脱抑制).この変化は約5分後に安定し,PSsの 大ぎさと波の形は定状となった.この状態でコン トロールを5分間記録後テタヌス刺激(5Hz 20s)をした場合,PSsおよびEPSPsにPTDを惹起し
た.この際のPSs振幅の変化は標準配流液中でテ タヌス刺激を行ったものとほぼ一致しており, BICはPTDをほとんど減弱しなかった(図4A). さらに,テタヌス刺激直後(30s∼1min)に現れる 抑制はBIC存在下ではむしろ増強する傾向が見 られた. GABAA receptorを介したCrチャンネル阻害剤のPTX(100μM)はBICと同様に,単発のテ
スト刺激に対するPSsおよびEPSPsを脱抑制の
ために増強し,bursting dischargeを誘発した.こ れに対し,5Hz 20sのテタヌス刺激によるPSsの 振幅のPTDには影響を与えなかった(図4B).4.PTD発現に対するadenosineの関与
ADA(5units/ml)の処理により単発刺激に対す るPSsの振幅に軽度の増加が観察された.しかし ながら,波形には明らかな変化は見られなかった. テタヌス刺激によるPSsの振幅の減少は対照群 では65.5±18.5%(Mean±SD, N=12)であった が,ADA(5units/ml)の作用により, PTDは 31.1±12.4%(Mean±SD, N=4)までに減弱さ れ,持続時間も3分に短縮された(図5A).この 効果は低濃度(1unit/ml以下)のADAでは見ら れず,4units/ml以上で観察された. 一方,8・CPT(1μMおよび2μM)もADAと同 様にPSsの振幅を大きくしたが波形に変化を与 えなかった.薬物灌流後5分間で反応が安定した 後,5分間テスト刺激による記録を行いテタヌス 刺激をした場合,両濃渡ともPTDを減弱したが, 2μMでは著しい効果が観察された.2μM8・CPT (N=5)でテタヌス刺激直後の抑制(30s)はほぼ 完全に阻害され,5例中2例ではむしろ増強が見 られた(図5B).対照群で最も強く抑制の見られ 一1021一A
ぎ1。o 薯 星 9,。 塑 。 ら エ む 壷 一一怦黶@50μMBIG } controIA
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而 50 お 匹 。 ら Time(mln) 10 らトセ ヨ う ↓B
竃1。。 書 星 9,。 塑 5Hz20s o ら 丁ime(min) 図4 PTD発現に対するGABAの影響 A;50μMのBIC存在下での5Hz 20sによるPTD (・),N=4. B;100μMのPTX存在下での5Hz 20s によるPTD(・), N=4. A, Bともに,標準二流液中 での5Hz 20sによるPTD(N=12)と比較した. 一一怐w一一 5units ADA 一一揶鼈?control 寺 磯 、一
100μM一
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欝1・・ 宙 建 宣 濫,。 お 氏 0細
ら Time(min> らト エ む 十1
10 る1分後の値は83.9±8.2%(Mean±SD, N=5) であり,PTDの発現は強く阻害された.EPSPsに みられるPTDも8・CPTによりほぼ完全に阻止さ れた. 5.PT:DにおけるK+透過性の上昇の関与 TEA(11nM)はテタヌス刺激直後(30s∼1min) の強い抑制に影響を及ぼさなかったが,PTD後半 (2,5分以降)の抑制は明らかに阻止し,その効果 はむしろ増強(112.8±24.!%,Mean±SD, N= 4)に転じ,以後長期増強を形成した(図6A). 40μMの4−APはPTDに対し効果的に作用し, 明らかな阻止を示したが,20μMではその効:果は 軽度であった(図6B).4−APはTEAの効果がみ られなかったテタヌス直後のPTDを30.5±: 10.8%(Mean±SD, N=3)に減弱し,後半のPTD を増強に転じさせ,LTPを形成した.これらK+ チャンネル阻害剤はいずれもPSsに生じるPTD の後半を増強に転じさせ,さらにEPSPsについ 一→一一@2μM8CPT } controI う Time(min) 図5 PTD発現に対するadenosineの影響 A;5units/m1のADA存在下でのPTD反応. B;2 μM8−CPT存在下でのPTD反応.A
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星100 含 お 50 〔L 0 150 藝 省 塁1。。9
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controI ●0 ら Time(min) らトセ 十 10 一一 怐w一@ 40F↓M 4−AP control ら ね Time(min) 図6 PTD発現に対するK+チャンネル阻害剤の影 響 A:1mM TEA存在下でのPTD反応. B:40μM 4・AP存在下でのPTD反応,ても抑制の持続時間を短縮し,増強を誘発した. 考 察 本研究において,シナプス応答の変化に増強を 伴わず抑制のみを引ぎ起こすのに最も有効な周波 数の刺激条件は5Hz 20sであった.テタヌス刺激 の周波数の上昇によって,PTDが短縮され,逆に PTPが優位性を占めるようになり,特に100Hz l sでは増強のみの反応が得られ,周波数依存性の シナプス応答の変化が観察された.これらの事実 は刺激周波数の上昇が,増強を誘発するシナプス の相対数を増加させるためであると思われる. Bliss&Lφmo3)およびAlger&Teyler6)は,家 兎あるいはラットの海馬標本を用いて低頻度の刺 激条件でLTPを誘発したが,この場合の増強効 果は小さいことを報告している.これに対して, Dunwiddie& Lynch7)は高頻度刺激を用いて LTPの顕著な増強を観察している.従って,10Hz から50Hzのテタヌス刺激では抑制の起こるシナ プスと増強の起こるシナプスとが共存し,その割
合によってテタヌス刺激後のPTDとPTP反応
の大きさや持続時間が変化するものと推定され る. Malinow&Miller11)は高頻度のテタヌス刺激 によってシナプス後進に大きな脱分極を引き起こ し,これが長期増強を誘発すると述べている.従っ て,この理論に基づけば,本実験に用いた低頻度 テタヌス刺激(5Hz 20s)ではシナプス後膜に LTPを誘発する大きな脱分極は引き起こされな かったと考えられる. 低頻度テタヌス刺激では,数分間持続するPTD 反応を引き起こした.このシナプス応答のメカニズムとしてGABA作働性抑制性介在ニューロン
の関与が考えられるが,BICおよびPTXにより シナプス活性を脱抑制してもPTDが発現するこ とから,この可能性は否定される.海馬における PTDは,小脳における長期抑圧12)と同様,本実験 から抑制性入力の増強によるものではないと結論 づけられる. Adenosine関連物質は,中枢神経系において強い興奮抑制作用を示すことが知られてい
る13>∼15).さらに,adenosine類およびATPは刺 激依存性に細胞外に放出されることが報告され ている16)17).また,電気的刺激により誘発される神経興奮はadenosine拮抗薬である8−
phenyltheophyllineにより増強されることが報告 されている18).著者の結果においても,テスト刺激 に対する応答は,adenosine分解酵素あるいは上 述のadenosine拮抗薬に比して特異性の高いAl receptor拮抗薬の8−CPTにより増強したことか ら,内因性のadenosine類は常に神経興奮を修飾 しているものと推察される.さらに,これらの薬 物はテタヌス刺激後のPTDの発現を抑制してお り,PTDの発現は内因性adenosine類の放出に より惹起される可能性の高いことが推察される.Adenosine Al receptoNまadenylate cyclase活 性の低下,神経伝達物質の遊離抑制あるいは海馬 錐体細胞を過分極させる等13)15)’9),その作用は多 様性を呈している.加えてSchaffer側枝の伝達物 質はglutarnateであるとされている20)ことから,
テタヌス刺激による神経興奮で放出された
adenosineはglutamateを介した応答の低下また は放出量の低下を起こすことが考えられる.最近, Gribkoffら21>とFlower22)は,低酸素で誘発され る海馬の神経活動の抑制がadenosine拮抗薬で 減少もしくは遅延することを報告している. 今回の検索結果からK+channel blockerである4−APあるいはTEAはPTDを著明に阻害す
ることが観察された.従って,PTDの発現にはカ リウムコンダクタンスの上昇も関与することが確 認された.この成績は,adenosineの神経興奮抑制 作用が非電位依存性および非カルシウム依存性の カリウムの透過性の上昇によるとしたGerber ら23)の報告を支持している.一方,PTDの後半で は,これらのblockerによりシナプス応答が抑制 から増強に逆転した.このことは,カリウムの膜 透過性が阻害されると低頻度テタヌス刺激によっ てLTPが形成されるほどの大きな脱分極が発生 したことになるが,adenosineの作用を拮抗した だけではこのような増強が誘発されることはな い.従って,adenosineによるカリウムの膜透過性 の上昇の阻害のみで大きな脱分極は起こらないこ とになり,PTDに関与するカリウムコンダクタソ 一1023一スの上昇にはadenosine以外の原因が関与して いる可能性が強く示唆される.今回の検索で用い たK+channel blockerのTEAと4−APでテタヌ ス刺激直後のPTDに対し相異した作用が認めら れたことについては,今後明確にしなければなら ない事項と考える. 結 論 種々の頻度のテタヌス刺激後のシナプス応答の 可塑的変化は,周波数依存性であり,高頻度テタ ヌス刺激によりシナプス伝達の増強が引き起こさ れ,低頻度テタヌス刺激ではシナプス伝達の抑制 を誘発することが確認された.増強の伴わないシ ナプス抑制(テタヌス後抑制:PTD)は5Hz 20s のテタヌス刺激のみで観察された.このPTDの 発現はGABA拮抗薬で阻害されず, adenosine分 解酵素とadenosine拮抗薬によって阻害された.
このことから,PTDの発現にはGABA作働性抑
制性介在ニューロンの機能的役割はないことが明 らかにされ,テタヌス刺激による神経興奮で細胞 外に放出されたadenosine類の関与が示唆され た.さらにこのシナプス抑制には持続的なカリウ ム透過性の上昇が伴うことが判明したことから, adenosine AI receptorを介したカリウムコンダ クタンスの上昇がこのPTD発現機構に重要な役 割を果たしていることが推察された. 本稿を終えるに当たり,本研究を援助し指導してく ださり,本稿の御校閲を賜りました東京女子医科大学 第二生理学教室主任小山生子教授に深謝致します.御 助言を賜りました同教室の宮崎俊一教授,波形計測ソ フトを御提供くださった山形大学生理学教室加藤宏 司教授,伊藤憲一先生他教室の皆様に感謝致します. さらに,東京女子医科大学第二生理学教室の石塚祐 一,小沼裕一,両氏の御協力に対し感謝申し上げます。 文 献1)Mi童ner B, Corkin S, Teuber HL Further analysis of the hippocampal amnesic syn− drome:14−year follow−up study of H.M. Neuro・ psychologia 6:215−234, 1968
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