Title
D-phenylalanine を持つ神経ペプチド achatin-I の情報伝達機
構( はしがき )
Author(s)
竹内, 宏
Report No.
平成6年度-平成7年度年度科学研究費補助金 (一般研究(C)
課題番号06680758) 研究成果報告書
Issue Date
1995
Type
研究報告書
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/220
※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。はしがき 法医学の鑑定の実務として、分泌物からの血液型検査は日常的に行われてお り、分泌物からの血液型判定における重要な課題の一つとして、特に混合斑痕 からの血液型判定があげられる。混合斑痕からの血液型判定に関する研究は広 く行われているが、法医学の実際領域の応用にはいくつかの問題点もある。そ の一つとして、血液型物質がどのようにして細胞内で産生されているのかにつ いて詳しい研究がほとんど行われていないことが指摘される。 最近、われわれは血液型物質の組織内分布について、AB型個体でのAおよびB 型の血液型物質の分布について検討し、同一組織内での両血液型物資の分布に 細胞レベルで差のあること、つまり、A型、B型の両血液型物質を産生する細胞 やA型血液物質を産生する細胞、8型血液型物質を産生する細胞、いずれの血液 型物質も産生しない細胞が混在することを明らかにし、AB型の分泌物中にはAB 型物質やA型物質、も型物質が混合して分泌されている可能性を示唆する所見を 得ている。 このような血液型物質の分布の違いが細胞レベル、つまり、同一の細胞内の 小器官においても認められるかどうかについて詳しく研究することは、細胞学 的な面からも興味が持たれるのみならず、体液中への血液型物質の分泌、すな わち、われわれが日常的に取り扱っている体液斑痕の基本的な性状をよく理解 するためにも重要なことと考えられる。 したがって、本研究では細胞レベルでの血液型物質の分布を明らかにするた めに、手術摘出標本を用いて、ABH血液型物質の超微形態学的分布を観察し、 ついで、分泌液中への血液型物質の分泌について考察した。 - 1
-研究の概要
Achatin-I(Gly-d-Phe-Ala-Asp)は,私どもが「(財)サントリー生物有機科 学研究所」およびフィリピン,マニラ市の「サントトマス大学」との共同研究に
より,アフリカマイマイ(AchatiDa fu]ica Ferussac)の神経節より分離・同定
した神経作用性ペプチドであり,この動物の興奮性神経伝達物質であると考えら れている.
本研究では2年間にわたり,虚血とノβa′〟J/c∂神経節中に同定される2種の巨 大神経細胞,PON(periodically oscillating neurone)と
v-RCDN(ventral-right cerebraldistinct neurone)を用いて,aChatin-Iにより引き起こされる
内向き電流(Ji。)の細胞内シグナル伝達機構を研究した.すなわちこれら2種の
神経細胞におけるIinに対する,H-89(N-[2-(p-bromocinnamylamino)ethyl]-5-isoquinolinesulfonamide)(protein kinase A(PKA)inhibitor),KT5823((8R・ 9S,11S)-9-methoxy-9-methoxycarbony卜2N,8-dimethyl-2,3,9,10-tetrahydro.8,
11-epOXy-1H,8H,11H-2,7b,1la-triazadibenzo[a,g]cycloocta[c,d,e]trinden.1-one)(protein kinase G(PKG)inhibitor),Calphostin C(UCN-1028C;2-[12-[2-(benzyloxy)propyl]-3,10-dihydro-4,9-dihydroxy-2,6,7,11-tetramethoxy,
3,10-dioxo-l.peryleny]-l-methylethylcarbonic acid4-hydroxyphenyl
ester)(protein kinase Cinhibitor),IBMX(3-isobutyl-1-methylxanthine) (cyclic nucleotides
phosphodiesteraseinhibitor)・W-7(N-(6-aminohexyl)- 5-Chloro-l-naPhthalene-Sulfonamide)(calmodulininhibitor)・ML-9(1-(5-
chloro-naphthalene-1-Sulfonyl)-1H-hexahydro-1,4-diazepine)(myosinlight-chain
kinaseinhibitor),genistein(5,7-dihydroxy-3-(4-hydroxy-phenyl)-4u-1-benzopyran-4-One)(tyrosine protein kinaseinhibitor)・fluphenazine
nitrogen-muStard(2-Chloroethyl)-4[3-(2-trifluoromethy卜10-phenothiazinyl)propyl]piperazine)(calmodulin-dependent phosphodiesterase
inhibitor),indomethacin(1-(4-Chlorobenzoyl)-5-methoxy-2-methyl-1H-indole-3-aCetic acid)(prostaglandin cyclooxygenaseinhibitor)・Okadaic
acid(9,10-deepithio-9,10-didehydroacanthifolicin)(typel・2A and2B
protein phosphataseinhibitor)およびcalyculin A(typelprotein
phosphataseinhibitor)の作用を検定した・′ poNでachatin-Iにより引き起こされたIinは,H-89ならびにW-7により顕著 に抑制され,IBHXにより軽度に増強された・これに反してⅤ-RCDNにおける古n は,これらの薬物によりまったく影響されなかった・一方Ⅴ-RCDNのJinは, KT5823により著しく抑制されたが,PONのIinはまったく影響されなかった・こ れらの結果より,神経作用性ペプチドachatin-Ⅰは,2種の巨大神経細胞PONと v-RCDNに同様なNa+依存性のIinを引き起こすが・そのシグナル変換機構はおそ
らく異っており,PONではPKAとCa2十/calmodulin-dependent protein kinase により,V-RCDNではPKGによると考えられる・