Title 新規伝達物質スフィンゴシン1−リン酸の産生機構と受容体を介するシグナル伝達機構( はしがき ) Author(s) 坂野, 喜子 Report No. 平成12年度-平成13年度年度科学研究費補助金 (基盤研究(C)(2) 課題番号12680633) 研究成果報告書 Issue Date 2001 Type 研究報告書 Version URL http://hdl.handle.net/20.500.12099/575 ※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。
リゾリン脂質が新たな脂質メデイエーターとして様々な細胞機能を引
き起こすことが明らかにされてきた。なかでも、スフィンゴシン1-リン酸(S・1・P)は、細胞内外において作用しイノシトール三リン酸(IP3)
に代わるCa2†遊離作用を示すことや増殖、分化、アポトーシスの制御に 重要な役割を果たすことが示唆され、新規脂質メデイエーターとして注目されている。S-1-Pの産生酵素スフィンゴシγキナーゼ(SPHE)は血
小板に非常に高く、S・1-P分解酵素が存在しないために多量にS-1-Pが蓄
積され、血小板活性化により細胞外に分泌されることが示されたが、そ の調節機構は十分明らかにされていない。一方、S-1-Pの受容体が相次いで単離され、三量体G蛋白質結合型EDGファミリーが同定され、細胞の種
類によって特異的に発現していることが明らかにされたが、S・1-Pを介す るシグナル伝達経路は十分解明されていない。本申請課題では、血小板型SPHEの同定を行い、また、SⅢEの活性化にホスホリパーゼD(PLD)に
より産生されるPAが関与することが示唆されており、脂質シグナリング 間のクロストークに着目して活性調節機構を明らかにする。さらに、S・1・P受容体を介する細胞内シグナル伝達機構をPLDを中心に分子遺伝学的
方法を用いて明らかにし、新規脂質伝達物質S-1-Pの細胞機能解明を行なうことを試みた
S-1-Pの産生酵素スフィンゴシンキナーゼ(SPHE)は性状が異なる2
種類のSP‡El,2がクローニングされている■。SPHEの活性調節機構を明ら かにすることを目的としてマウスおよびヒトに対するSPHEの抗体を作製 し、その局在およびアイソフォームの同定を行なった。活性の強いヒト 血小板から本酵素を部分精製し、抗体を用いて同定したところ、2種類 の他にも活性ピークが検出され、他のアイソフォームの存在が確認され た。さらに、生理的意義を知るために、マウスSPHElに対する抗体を用い てヒトの各組織での組織分布を検索した。血液細胞の中で巨核球や血小 板が強く染色され、血小板がS-1・P産生に重要であることが確認された。また、脳全体や腎尿細管が強く染色されたが肝臓や肺では弱いことがわ
かった。 ー 2-S・1・Pの受容体を介する細胞内シグナル伝達機構を明らかにするため
に、特異的受容体であるEDG3を過剰発現したCHO細胞を用いて、S・1-Pシ
グナリングを検討した。EDG3を介するS-1-P刺激では、各厚情報伝達酵
素が活性化されるが、ホスホリパーゼD(PLD),PI3・キナーゼ,Aktが活性
化されることが新たに見いだされた。さらに、S-1・P刺激によるPI3-キ ナーゼ・Aktの活性化にPLDが関与することを見いだした。また、TNFαに よる肝細胞死では、SPHEの阻害剤DMSによりアポトーシスが増強すること が認められた。SPHE活性化によるS-1・P産生がPI3・キナ「ゼ・Aktを活性化して生存シグナル系を調節しており、DMSによるSPH封舌性抑制が生存シ
グナルを抑制しアポトーシスを促進することが示唆された。以上の結果から、S-1・Pは特異的受容体を介してPLDや生存シグナルの活性化を引き
起こし、アポトーシス抑制作用に関与していることが示された。研究発表
(1)学会誌等発襲
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