B01
自治体の地震防災に貢献する地震情報とその提供手法に関する研究(第3報)
Seismic informations useful to the local government hazard mitigation program(3)
○ 渡辺邦彦・橋本 学・野口竜也・平野憲雄
○ Kunihiko Watanabe, Manabu Hashimoto, Tatsuya Noguchi, Norio Hirano
Through 20 months operating of “Seismic information displaying system at Tottori pref.”, some problems have been recognized. For a local government, informations should be official ones. Comments by investigators make them unofficial. Frequent changes of format and distribution method do not agree with the administration. Regulations for information utilization are important. The staffs with skill and knowledge are essential. But there are not enough both in university and local government.
1.研究計画の経過 地震予知研究センターは、自治体に詳細な地震 情報を提供してその地震防災に資することを計 画し、平成16 年 3 月 18 日より鳥取県庁防災危機 管理課に端末を設置して、準リアルタイムの詳細 地震情報を表示で「地震情報表示システム」の稼 動を開始した。 本研究の発端は2000 年 10 月の鳥取県西部地震 (M7.3)以来、鳥取県や近傍で大・中地震が連続 したことによる。しかし、システムの設置以降05 年12 月までの 20 ヶ月間で、鳥取県内の有感地震 数は、震度4:1 回、3:5 回、2:18 回、1:46 回と少なかった。唯一の震度4の04 年 09 月 05 日東海道沖地震M7.4 で災害警戒本部が設置され ただけで、本システムの有効活用の機会も少なか ったと思われる。 その間、計器の運行状況、アンケート調査によ る県の防災担当者の意見聴取などを通じて、次項 に述べるいくつかの課題も出来するに至った。 2.課題 2年弱のシステム運用を通じて現れてきた代 表的な問題点を順不同で述べる。 ・情報の内容 自治体が防災計画に正式に利活用するために は、その情報が公的な規格を満たしている必要が ある。大学側研究者によるある程度の加工や説明 の付加は、情報の説明と理解のために必要である が、一方では情報の規格を逸脱することにもなっ ている。行政として規格外の情報を公的に活用し たり流布したりすることには問題がある。 ・情報の規格や流通径路 大学が入手する情報は研究上の情報であるの で、内容、規格や流通径路等が、ソフト、ハード の両面で変更される場合が時折発生する。規格や 径路、方法の頻繁な変動は行政に馴染まないこと が多い。 ・情報の利用方法 本システムで利用している地震情報は、大学の 地震観測ネットワークのほかに気象庁、防災科学 技術研究所その他の機関がその生産(観測、解析、 流通)に関わっている。個々の機関や情報の種類 によって、情報の利活用規定が異なる場合がある。 研究上ではなく実行政に利用する場合は、これら 規定を、相互に矛盾することなく厳密に満足する ことが特に必要である。 ・システムの維持保守 本システムの構築・維持には専門的知識と技術 が大学側と自治体の双方に必要であるが、現実に はこれらの知識や技能を同時に有する人材は双 方ともに少ない。特に行政側はその機構上、専門 職員の配置が困難な場合が多く、システムの充分 な維持保守は大きな問題となる。民間委託も視野 に入れる必要がある。 3.今後の方向 現在の「地震情報表示システム」の内容には、 準リアルタイム地動記象のように、情報利用者が 判断し得る部分がある。これには非常に多くの情 報が潜在的に含まれるが、反面、情報の受容者に よって異なる情報となる懸念がある。 情報の不確かさを最小限にして客観的な情報 を提供すべきである。さらに、情報の項目を増や し説明を加えることで、実際の防災行政に有用な “参考資料”を提示し、将来、防災情報と成るべ くシステムの改良をはかりたいと考えている。