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広告と企業の内実

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Academic year: 2021

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広告と企業の内実

今回史料館で展示する引札や看板といった明治期の商人達が客寄せの手段として多様した広告宣 伝手段は企業のマーケティング活動の発展過程を知る上でも意義深いものがあるが、破綻企業を研 究している者として企業広告そのものが企業体質の投影物である事実も指摘しておきたい。 大正末期に大々的に宣伝し続け、全国の新聞に広告の出ないことはなかった三大売名企業は、1. 「幽霊のやうな博士の名を広告に記載」した有田ドラッグ商会、2.創業者を天才と称える個人崇拝広告 をうって、全国に信奉者を増やした星製薬、3.「売薬化粧品の向ふを張るような馬鹿派手な宣伝」を連 発した八千代生命で、星の広告費は毎月15~20万円、八千代の1ヵ月の新聞広告は10回、4973 行にも達したという。こうした企業は宣伝手段があまりに異彩を放ち、誇大な広告との批判を受け、有 田は文書偽造、詐欺罪などの不正事件ありと睨まれ警視庁衛生部の手入れを受け、星と八千代は劣 悪な経営の内情が暴露されて相次いで破綻した。八千代小原社長の「誇大の宣伝好き」は彼の持病と 見られるなど、広告そのものが企業や経営者の隠された内実を世間に示す貴重なメッセージであっ た。 最近、破綻したマイカルの中小店舗を覗くと、もはや新聞広告も打つ余力がなくなったのか、店頭で 来客者に「精一杯の感謝セール」と銘打った粗末な単色刷りのチラシを配っていた。我々の情報感度さ え高めれば、たった1枚の広告からでも実に多くの有益な情報を引き出すことができることを、今回の 企画展から感じ取っていただければ幸いである。 (史料館長 小川 功)

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