U.D.C.る21.313.333.025.l.012
非対称軸コンデンサ電動機のトルク特性
Torque
Characteristics
ofCapacitor
MotorswitbWindings
Notin
Quadrature
小
池
俊
男*
Tosllio Eoike要
旨
非対称軸コンデンサ電動機の特性について,空間高調波を考慮した一般式を求めて,永久分相形を中心にそ の加速特性を調べた。 コソデソサ定格を条件に入れて巻線角,巻数比の関係など実用的見地から結果をまとめた。非対称軸にする と,起動トルクを大きくすること,低次高調波トルクを低減することなどに効果的である。なお適用について の注意事項などを示した。1.緒
□ 最近,所要起動トルクの小さい用途として,ルームクーラ用圧縮機,換気扇,ポンプなどに永久分相コソデソサ電動機の需要が多く
なってきた。この種の電動機は発生起動トルクが小さいので,加速 性能については十分な考慮が必要である。特に空間高調波によるト ルクについてはその影響に注意することが必要である。 非対称軸コンデンサ電動機は,起動特性を向上させる場合によく採用されるが,今までは空間高調波の影響について検討されたこと
がはとんどない。 ここでは,加速性能一般について巻線角度との関係を中心に検討 し,コソデソサ定格を条件に入れて,実用的観点に立ち応用が容易 になるようにした。 永久分相形の検討が主であるが,コソデソサ起動コソデソサ運転 形などほかのタイプの場合でも容易に適用できる。なお,巻線角を90度より小さくしたときは,基本波特性ですでに
明らかにされているように利点がないので,ここでは考えない。2.空間高調波を含めた一般式
非対称軸かご形コソデソサ電動棟の空間高調波を考えに入れたと きの一般式は,基本波でとられている解析方式を延長することによ って求められる。解析するについては,飽和およぴスロットの影響 については無視し,回転子スロット絶縁は完全なものとする。図1 のように構成された場合の結果を電圧式として示すと次のようにな る(付録参照)。Ⅴ=た(乏桝・宅ニ+且㌢)
十た(雷α乃£一柳吾十冨α”gブ刀β告)……(1)
Ⅴ=た(乏8一之c+雷α乃2告+召α”2告)
+え〃(雲αプl∈ブ〃β告+雷α〃∈-ブ乃♂告)……(2)
ここで,Ⅴ=電源電圧,f”りた=主巻線および補助巻線電流,え”,,
乏。=主巻線および補助巻線の固定子インピーダンス,乏。=コンデン
サのイソピーダソス,之,′,Z,∂=回転子の正相および逆相インピー ダンス(主巻線換算),♂=主巻線と補助巻線との巻線角度,〃=主巻 線に対する補助巻線の実効巻数比,〝=空間高調波次数。 固定子の相互漏れリアクタンスは,電動楼の等価回路を図2のよ うにとると,Z椚,Z。の中に含まれる。 * 日立製作所習志野工場 J ん 補助巻線 J仇嘉
図1 コソデソサ電動枚の接続囲 ん r巾 九(1+〔OSβ) Z何 .J呵 Jす .エ2 J-すJ晋
ノ晋
萱宣 2警
生 2Sノ号
J。α亡 ̄∫β互生 2 r2 2(2-5)淳
ん∝づ♂三重2竿
竿
a: r2,1 211一花(1-5)1J号
ム¢几亡一花ノ♂ヱ生2 r2和 2tl十叫1-5‖ノ号
山九。∫几β⊥星垣 2 図2 主巻線等価回路 第乃次空間高調波磁束による正相トルクは,乃”=凡〔(戸山告巾ムーブ〝♂告)た*
やたgノ〟β告+α和2た告)叶符……(3)
ここで,たl*,た*は㍍丁,乙の共役複素数で,凡は実数部を表わす。
正相磁界インピーダソス乏,′〝の実数部を凡ノ乃で表わすと,(3)式は乃〝=昔〔〃+α#2〃+弛んムcos(甲一刀の〕凡′ガ…(4)
ここで,甲=たとたの位相差
非
対
称
軸
コ ン デ ン サ電
動
機
のト ルク特
性
513 β=900 2.5 2 1.5プ茫こ20。
1.5 2 α○ 2.5 図3 コソデソサ電圧一定のときの巻数比の関係 同様にして,逆相トルクは,孔”=号〔〃+α”2〃十払んムcos(叶乃♂)〕凡♭”…(5)
合成したいレクは,n=昔〔(ん舛α乃2ム2)(凡′〃一札ム”)
+2α〝んム(凡′”一見ム〃)cos甲COSクエ♂ +2α乃んム(凡′稚+凡ふ〃)sin?Sinタ才♂〕.‥…….‥(6) トルク以外の特性については,(1),(2)式の電圧式よりすべて求 めることができる。 3.加速
特
性
3.1基本波回路での条件設定 巻線角を非対称にすると諸特性がどうなるかについて,コソデソ サ定格を条件に入れて検討する。運転中もコソデソサのはいってい るタイプのコソデソサ電動撥では,コンデンサの端子電圧は無負荷 運転のときに最高になる。多くの場合,このときの電圧に近くコン デンサ定格電圧が定められる。 ここでは,無負荷時のコソデソサ電圧を一定とする条件のもとで, 巻線角を変えたときの特性傾向を調べる。まず基本波回路で無負荷 時のコソデソサ電圧を求める。基本波の電圧式は(1),(2)式より (乃=1,添字省略)Ⅴ=た(之m・吾・告)+号f必〃十乏r古亡∫β)‥…(7)
Ⅴ=咋-れ告+告)+号紬′言畑
+乏′∂e ̄ノ♂). …‥‥‥……….(8) ここで,えげ=凡′十ノガイ,Zrみ=凡∂十メガr占とすると, 凡′= ズィ= γ22十52(伽+∬2)'{ ̄′〝r22+(2-5)2(∬〃十∬2)2 r22∬〟+52∬〟∬2(∬〟+∬2) r22+52(∬〟+∬2)2 ' 5γ2∬〟2 (2-S)γ2∬〟2 --=・一一--.凡ム=T 〉(9)ズrふ=翳慧㌍
j
ここに,γ2=回転子の抵抗,∬2=回転子の漏れリアクタンス,∬〟 =励磁リアクタンス,いずれも主巻線換算値である。ざ=すべり。 無負荷時では5≒0であるからこれを適当に近似すると,コソデ ソサ電圧lち0は, ‖‥(10) βとαを入れて数値例でみると, β=900,α=1,9のとき,l仁0=2.15V 1.3 1.2謹Jき1.1
1.0 0.9 β=1200 ノβ=1050 1 1.5 2 2.5 3 dβ 図4 起動トルクと巻数比 ♂=1050,α=1.66のとき,γbo=2.15V したがって,90度を105度にすると,コソデソサ電圧一定なれば, αは1・9から1・66になる。β=9げのときのαを句,β≠900のときの αを伽で表わして,lち0一定とするときのα0と伽との関係をみ ると,伽=COSβ+ノ耐
……..….…‥.‥…‥……(11) この関係を図示すると図3のようになる。これによってコンデンサ 電圧を一定とする条件で巻線角を任意にしたときの巻数比の選定が できる。 3.2 起 動 特 性 まず,基本彼の起動特性について調べる。(7),(8)式で乏r′= 乏,∂とし(5=1),それらより電流を求めると,た=与(之〃-れ紹r′-α乏r′COS♂)‥‥・‥
…(12)た=昔(乙+gィーα乏rノCOSβ)・…
…‥(13) ここで,』=(g〝け乏イ)(g〃一身`巾2え,′トα2え,′2cosヱ♂ 永久分相コンデンサ電動機では,Z。はほかのインピーダンスに比 べ大きく,また一般には,乏椚≒乏r′とできるので,㍍=_JL
2之桝た
1一旦c。S♂ 2 Z♂-Z。+α2Zr′ ‖(12)′ Ⅴ …. .…….…‖….(13)′ このタイプの電動機では,ムがんに比べ非常に小さいので,起動電流㍍汁たはほとんどたlで決まるとみてよいから,♂によっては
とんど変わらないとして差つかえない。 基本波起動トルクは(6)式より 了も=2αんムγ2Sin甲Sinβ ..(14) コンデンサ電圧一定としたとき,βによりこのトルクがどのよう な変化をするかをβ=908のときを基準にとると, 7も♂.α♂ 71900 ■ α吉sinβ=
Jこ吾㌫
(1一号cos♂)sinβ
‥(15) この関係を図示すると図4のようになる。コンデンサ電圧一定とす るとき,起動トルクを大きくするには巻数比を大きくするのが有効 なことがわかる。言い換えるとコンデンサ電圧を高くとるとき,巻線角を90度より大きくすると効果的である。実用上からみると,電
源電圧100Vのときαβ=2.5前後すなわちコソデソサ電圧300∼350 Vにすると,巻線角が90度より大きいほうが有利になる。伽=1.7-23-514 昭和43年6月 日 立 評
論
第50巻 第6号 1.0針5
0 -0.5 几=2.3 ■■■■---■--一 九=3 乃=5 れ=7 1 1.5 2 2.5 3 dβ (β=1050) 図5 起動時高調波トルクと巻数比 前後すなわちコンデンサ電圧200∼250Vのときは優劣の分岐点と なる。なお伽の上限はコソデソサ電圧の高さと補助巻線の製作上 の点から,おのずから制約される。 乃次の高調波起動トルクは(6)式より, 7も稚=2α和んム凡′〝Sin?Sin”β‖‖… …….(16) コソデソサ電圧一定の条件を入れて,このトルク比をとると, 71β”_αβ”Sinク甘β 六90P乃 α”sin乃旦 2 同じ巻線分布のときは, 71伽 - Sinタブ♂ 黙90。乃 sin乃旦 2(ト号cosβ)砦竺
(1一号cos♂)
完;≡乃・・l…(17)
…‥.…‥…(18) β=1050のとき(18)式の関係を図示すると図5のようになる。低 次高調波トルクは低減されることがわかる。これは加速特性の改善 を約束しないが興味のある結果となる。 3.3 加 速 特 性 加速途中においては回転子のスロット絶縁がよく,回転子表面で の鉄心の短絡がなければ,巻線分布とスロットパーミアンスの変化 に原因する非同期トルクの大きさが問題になる。スロット高調波次 数のトルクについてはスロットをスキューすることによってかなり 低減できるが,低次の高調波トルクは残る。 加速途中の高調波トルクの山や谷は回転子のスロット絶縁がよけ れば,正相高調波トルクによって生じ,この正相高調波トルクは(4) 式で示される。この式からわかるように,高調波の同期速度付近で 次の条件に近いと,その調波のトルクは非常に小さくなり,トルク の山や谷のない形になる。 ん=α。ム ?-〝β=α汀(α=奇数) トルク比をとると, 了1伽 _ .…‥‖‖…(19) んβ2+αβ,壬2ム2+2んβムβ伽,COS(やβ-乃♂)凡′♂九 乃900托〃+α乃2糾2んムα〟COS(ダー乃言)凡′gO口和
…‥…(20)同じ巻線分布で電流,位相差も同じとし,コソデソサ電圧一定の条
件を入れ,永久分相コソデソサ形でム/んが小さいとすると, 71βル 719。○ル 1+2(Zガ(告)
COS(?一犯β) 1+2α〃(告)
1-_望むcos♂ 2cos(p-〝言)
…(21)
碓
1.4 1.2 1.0 0.8 0.6 -β=1050 ーーーー♂=1200 \ ′ ん=7 ′ \ ′ \ ′ ヽ ′ ヽ ′ \ ヽ ′ ヽ ′ ヽ ′ ヽ ヽ ′ 几=3 ヽ ′ ′ ヽ ′ ヽ ′ ーーーーーーーーーーーーー、_、、 ′ ′ ′ 7 ′′ 5 ′′ ′ 、宇 ̄ ̄---、---一三\、、 ′ ′ 、 ′ ′ / ′ ′ 3、、-、 / ′ / ′ / ′ ′ -6 -4 -2 0 2 4 α几 (〟β=2.5,ん/ん=1/25,甲=1300のとき) 図6 高調波正相最大トルク比と巻数比 蓑1 コソデソサ電圧一定のときの巻線角, 巻数比,起動トルクの関係例 ♂ (○) 90 25 2.61 310 34.0 105 25 2.37 310 120 C(〝F) 〃β 25 2.17 托0(Ⅴ) r8(%) 310 38.4 37.7 これがどの程度かを一例として図るに示す。 この図から巻線分布をうまく選定すれば,低次高調波分が多くて もそのトルク特性への影響が少なくなる可能性のあることがわか る。巻線角を変えたときには,この特長を利用してスロット空間の 利用率の低下を補う方向にもっていける。 3.4 停動トルク特性 基本波停動トルク点付近では高調波トルクはすべて負になってい るので停動トルクを下げるように働く。 停動トルク付近では,凡′〃≒見方”であるから(6)式より T椚ね=乃凡′”(ん2十α氾2ム2+2α乃んムcos∼クCOSプ畑)…(22) ♂=90bのときとの比をとると,_ヱ竺吐二些立竺竺艶三撃墜…(23)
n】90。和 ん2+α”2ム2 この比が1より小さくなるのは伽乃COS?βCOS,甘βの符号しだいで ある。一般にp♂は90∼130度となりcospβは負になり,過負荷点 から定格運転点に近づくほど甲βは90度に近くなるのでこの付近で は巻線角の影響はほとんどないことになる。これは(23)式の分子第 3項はだいたいにおいて小さいからともいえる。 過負荷点から定格運転点にかけてはこのようにCOS9)βがゼロに近 くなるので,巻線角の影響はほとんどなく,したがって高調波銅損 についても同じことがあてはまる。4.結果およびその検討
(1)巻線角と起動トルク 図4に示す関係の例として,0.55kW2極24スロット永久分相 コンデンサ形のときの結果を表1に示す。これをプロットすると, 図3,4の◎印で示す位置にありよく合っていることがわかる。 起動トルクだけからいうと,巻線角を決めるにほ巻数比との関 係で考える必要がある。単に90虔以上にするとよいというもの ではないことに注意を要する。 (2)加速トルクの凹み 図7に一例を示す。これはコソデソサ容量を変えて第3調波ト非
対
称 軸
コ ン デ ン サ電 動
機
のト ルク特
性 515 ーβ=90C -一一--β=1050 ′ /一 3.5 盲-切望ヘ壬+ C=160/ノダ 100〃∫ 40.りダ 0.8 0.6 0.4 0.2 すべり (0.4kⅥr2極60c/s) 図7 コンデンサ容量とトルク特性 ー♂=90ロ ーーーーーβ=105b 1.4 1.3とl三1■2
1.1 1.0告=2
1,75 1.5 2 __一一一一一一一---1・75 ′′ 1.5 1.25 ノーーーーーーーーーーーーーー1・25 ユ.5 2 仁】 2.5 囲8 コンデンサのⅤ・A一定のときの起動いレク比 ルクへの影響をみたものである。 この電動機の巻線係数は主巻線ふ1=0.864,ふ3=0.179,補助巻 線ん=0.893,ん=0.330と第3調波分が比較的大きい。巻数比は α1=1.365,α3=2.60である。β=9■OP。第3調波同期速度付近での 正相トルクをみると, C=160Jげのとき: ん=25A,ム=6.6A,甲=900,(4)式〔〕=61 C=40′`Fのとき: ん=25A,ム=1.3A,?=1300,(4)式〔〕=507 となり第3調彼の正相トルクは大幅に変わることがわかる。(19) 式の条件に近いときほ高調波正相トルクの凹みが非常に小さくな ることがわかる。 (3)コソデソサ定格の選定 コソデソサの定格ほだいたい,電圧×電流(Ⅴ・A)=(電圧)2× 容量(Ⅴ巳。C)に比例する。このmを一定にしたとき,電圧と容 量の選定をどうすればよいかを検討する。起動トルクとコソデソ サ電圧,容量の関係を考える。 永久分相コンデンサ形では,一般に平衡運転点は過負荷側に寄 ったところにある。運転特性からみたコソデソサ電圧,容量は一 応定まっているものとして起動特性を考える。 いま,コンデンサの電圧,容量の組合せを添字ⅠとⅠⅠで区別し て示すと,V2・Cが一定の条件は VcI2CI=VcII2CIl……. いまの場合(13)′式は次のようにおける。 ‥.(24) ′ ′一 岩 2.5 】.5 Q ClI ′ ′ 一 ′ ′ノ ′ /ノ 1.75 ・1.5 1.25 =2 / /一 1.5 2 【り 2.5 図9 コンデンサⅤ・Aの一定のときの巻数比の関係た≒2イC(1一言cosβ)Ⅴ
起動トルクの比は,n!+〟l(ト音cosβ)c王
れlI伽(ト音cosβ)c‖
CI_____1十α‖2-2仇ICOS♂ CIl l+吼2-2αICOSβ ‖.….(25) .…(26) ...…‖.(27) 実用上検討の対象になるCI/CIIの範囲は1∼2程度である。 (26),(27)式の関係をおのおの図8,9に示す。 起動トルクを大きくするには,電圧ほ低く容量の大きい選定を するほうが有利であることがわかる。またβ=90ロのときのほう が105度のときよりこの傾向が大きい。 一般には,電圧は製作上から200V以上に経済点があるから, 電圧の最小は200Vになる。一方このように容量の大きい選定を すると,平衡運転点が過負荷側に移動するので,この点からも電 圧最小値は制限される。補助巻線の製作作業性を考えないで,ま た倍電圧仕様のときのコンデンサ定格の共通化を考えなければ, コソデソサ電圧は100V定格の電動機では200∼250Vの範囲に とるのがよい。200V定格の電動機(主巻線と補助巻線はおのお の一相巻線で形成される。)では,300∼400Vの範囲のものに なる。100Ⅴ,200Vでコンデンサ共用を考えれば,100V仕様電 動機のコンデンサ電圧を200V仕様に合わせて高くとる必要があ る。このときには(1)の結果から明らかなように,巻線角を90 度より大きくして起動トルクの増大をはかる必要がある。 (4)巻線角とスロット空間利用率 非対称軸にすると,一般の同心巻線ではスロットごとの空間利 用率の低下が目だってくる。この程度を2極24スロットの実例 でみると♂=908のときの利用率を100としたとき,β=1058,1200のときは,おのおの87,80となっている。巻線角のとる程度はこ
の低下率の点でも規制されることに注意が必要である。巻線角,スロット空間利用率,巻線分布などを照合して考える必要がある。
-25-516 昭和43年6月 止