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西ドイツ連邦憲法裁判所の地位および組織 利用統計を見る

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(1)

西ドイツ連邦憲法裁判所の地位および組織

著者

名雪 健二

著者別名

K. Nayuki

雑誌名

東洋法学

32

1

ページ

143-161

発行年

1988-12

URL

http://id.nii.ac.jp/1060/00003558/

Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja

(2)

西ドイツ連邦憲法裁判所の地位および組織

名 雪 健 二

  目 次 一 はじめに 二 地 位 三 組織  e部会原理  ⇔ 裁判官の資格および選挙 四 おわりに はじめに  ボン基本法は、その第九三条と第九四条において、連邦憲法裁判所の権限および組織について定めている。もちろ ん、詳細については、連邦憲法裁判所法の規定するところである。ボン基本法第九二条によると、連邦憲法裁判所

    東洋法学      

一四三

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    西ドイツ連邦憲法裁判所の地位および組織       一四四       ︵1︶ は、裁判所の一つであり、その構成員である裁判官には裁判権が委託されているとする。連邦憲法裁判所法第一条は、       ︵2︶ 連邦憲法裁判所を連邦議会、連邦参議院および連邦政府などと同じように、憲法機関として位置づけている。もっと も、連邦憲法裁判所法第一条は、こうしたことを﹁その他のすべての憲法機関﹂という言い回しの中にしまい込んで しまっている。しかしながら、連邦憲法裁判所の憲法機関という地位は、制定法、すなわち、連邦憲法裁判所法第一       ︵3︶ 条によって位置づけられるだけではなく、憲法に直接由来する地位といえる。こうした連邦憲法裁判所の地位につい て、覚書︵O曾訂。ぼ簿︶の中で、憲法の最高の番人としての連邦憲法裁判所は、ボン基本法および連邦憲法裁判所法 の文言によれば、同時に最高の権威を与えられている憲法機関であるとしている︵一九五二年六月七日の覚書︶。連        ︵4︶ 邦憲法裁判所は、裁判所として、他のすべての裁判所とはまったく異なった地位にあるといえる。  連邦憲法裁判所は、ヴァイマ⋮ル憲法第一〇八条の規定によって、ライヒ裁判所に組み入れられていた国事裁判所 に相当する。しかし、国事裁判所が極めて限定的な権限しかもちえなかったのに対して、連邦憲法裁判所は、独立し       ︵5︶ た裁判所として、カールスルーエにあって活動している。  このようなことから、本稿においては、連邦憲法裁判所の地位を明らかにすると同時に、その組織についても概観 することにする。 ︵王︶ ︵2︶ ︵3︶ じご くo篤○団駆ρG oOOい 詳L︶くは、麟一黛のω§PO霧望舞韓。。導山痩国琶留鶏9菩一涛Uの暮ω。鉱餌&︸臣’ 溶萄奮ωoビ鉱oダU器じ ご瓜鼠霧<o篤器霊茜ω鴨ユo簿vおG o即ω・一〇 〇. 尉おo oρψG o戴鯨

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︵4︶ ︵5︶ じO <鼠○自ρ島 。O鮮 なお、連邦憲法裁判所規則第一九条では、﹁最高の合議制憲法機関としての裁判所の地位− している。 ︾国笹津ぼ嘗β磯貯鼠の○讐鼠αq①。 D①葺お謡︶ψ置9 乙と規定 二 地 位  連邦憲法裁判所法第一条によると、連邦憲法裁判所は、司法上の憲法機関として、他の連邦裁判所と比較すると、 多くの点で特別に形成された組織的地位を有するとしている。このようなことは、次のような点にはっきりと現われ       ︵1︶ ている。すなわち、まず第一に、連邦憲法裁判所は、連邦議会や連邦参議院が議院規則を定めるのと同じように、み ずからその規則を制定する権限を有している︵連邦憲法裁判所法第一条第三項︶。しかしながら、連邦憲法裁判所の場 合、他の憲法機関と異なり、これまでボン基本法や他の法律による明示的な授権が欠けていた。連邦憲法裁判所規則       ︵2︶ は、一九七五年にようやく制定され、連邦憲法裁判所長官によって、連邦官報に公布された。こうした公布の仕方 は、他の憲法機関、たとえば、連邦議会や連邦参議院などがその議院規則を公布するのと同じように行われたのであ る。これに対して、他の連邦裁判所の規則については、裁判所の長官によってではなく、そのつど権限のある連邦大 臣によって、しかも連邦官報ではなく、連邦公報に公布される。ただ、教義的にみた場合、明示的な法律上の授権が ない規則制定権は、現在の連邦憲法裁判所規則が一部補完的な手続規則の性格を有し、しかも外部的効果をも含んで ︵3︶ いるだけに、問題とされていた。いずれにせよ、立法者が、憲法機関としての裁判所の名称によって、連邦憲法裁判     東洋法学      一四五

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    西ドイツ連邦憲法裁判所の地位および組織      一四六       ︵4︶ 所に対し、他の憲法機関が有しているのと同じように、規則制定権を認めたことは想定できよう。  第二に、連邦憲法裁判所は、他の最高の連邦機関に匹敵する憲法機関として、いかなる省の管轄にも属さず、ま た、いかなる職務上の監督も受けることなく、さらには、省という中間的媒介なしに、直接に他の憲法機関と交渉す ることができる。すなわち、連邦憲法裁判所は、連邦の憲法機関であり、その特性において、独立かつ不従属に他の        ︵5︶ 憲法機関と並んで存在している。連邦憲法裁判所は、その予算をみずから作成することができる。したがって、予算 については、連邦憲法裁判所は独自の個別案をもっており、連邦法務省ではなく、連邦大蔵省によって連邦議会に提 出される。こうした独立性は、他の裁判所に対しても与えられている。すなわち、連邦憲法裁判所が政治的に極めて 重要な意義を有している裁判所ということからみて、その独立性が、とくに強調される。したがって、連邦憲法裁判 所は、ボン基本法によって区別されている五つの裁判部門︵通常裁判権・行政裁判権・財政裁判権・労働裁判権・社        ︵6︶ 会裁判権︶の組織外に位した連邦の最高の裁判所といえる。そして、連邦憲法裁判所長官は、当該憲法裁判所公務員 の最高の職務官庁であり、連邦大統領、連邦議会議長、連邦参議院議長および連邦首相についで第五番目に位置づけ     ︵7︶ られている。  第三に、連邦憲法裁判所裁判官は、それ自体憲法機関ではなく、また、連邦裁判所裁判官でもなく、連邦憲法裁判        ︵8︶ 所の裁判官である。連邦憲法裁判所の法的地位については、今日議論の余地はない。その地位は、積極的に評価され なければならない。その理由は、この地位が連邦憲法裁判所の権威を強めたからである。組織的に特別な地位にある        ︵9︶ 連邦憲法裁判所は、結果的には憲法機関の地位に一致するといえる。しかし、この特別な地位は、個別具体化の中で、

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       ︵節︶ いわば﹁憲法機関﹂としての裁判所という名称から、法概念的に導きだされるものではない。連邦憲法裁判所の特別 な地位は、これまで規則制定権を除いては法律上の規則に基づいており、部分的にはまったく当該憲法裁判所によっ て、はじめから意識的に要求してきた実例の結果である。しかしながら、連邦憲法裁判所は、みずからが獲得してき た独立の地位が他の裁判所にも帰属すべきであろうことを重視したのであって、他の裁判所との違いを決して狙った       ︵U︶ ものではなかったのである。  それでは、連邦憲法裁判所の﹁憲法機関﹂という名称は、司法上の活動の限界を超越するための権限称号といえる のであろうか。こうした﹁憲法機関﹂という名誉ある称号は、いずれにせよ、連邦憲法裁判所の広範な裁判を他の憲 法機関に対して、正当化する傾向をもつことになる。連邦憲法裁判所は、提訴に基づいて、裁判所としてその裁判を 通じて、同時に﹁最高の国家権力﹂に参加する権能がある。したがって、連邦憲法裁判所は、憲法の政治的実体が問 題となる領域において、他の憲法機関と同じ地位を有することになる。ボン基本法の下では、国家統合の過程は、憲       ︵1 2︶ 法裁判所の助けをかりてはじめて行われることとなる。このようなことから、ヘッセによれば、連邦憲法裁判所は、       ︵路︶ ﹁最高の国家指導に限定的にではあるが参加している﹂とする。そして、連邦憲法裁判所は、﹁憲法機関および裁判 所としてのその地位により、憲法上の問題について、立法領域への権限のない干渉の非難にさらされることが、他の裁       ︵M︶ 判所よりも少ない﹂と考えた。また、クリーレは、連邦憲法裁判所を﹁拘束力のある憲法解釈のために任用された憲  ︵15︶ 法機関﹂と指称する。これら一連の考えから窺うことができるのは、連邦憲法裁判所法第一条に基づく憲法機関とし ての裁判所の地位がもはや問題になっていないことである。むしろ、連邦憲法裁判所の右に述べた権能は、憲法から

    東洋法学      一四七

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    西ドイツ連邦憲法裁判所の地位および組織       一四八 直接に考えられるものといえる。このようなことは、結局のところ、 ﹁憲法機関﹂という称号が憲法上の権限や機能        ︵猫︶ を総括的に言い表わしていることを示すものといえる。しかしながら、こうしたことから、法的効果をも導きだすこ とは許されるものではない。﹁憲法機関﹂という概念は、他の憲法機関におけるのと同じように、権限を拡大するため       ︵η︶ の手段ではない。連邦憲法裁判所の地位および機能は、他の裁判所や政治権力との関係において、憲法上根拠づけら れた具体的権限に基づいて論ずべきものといえる。したがって、 ﹁憲法機関﹂という大概念の下で、論ぜられるべき 性質のものではない。シュライヒによれば、連邦憲法裁判所は、最高の憲法機関であり、これによって、 ﹁手続の統 ︵娼︶ 括者﹂であるという言い方はできないとし、こうしたことは﹁憲法機関﹂としての特性から決して生ずるものではない     ︵欝︶ としている。したがって、たとえば、法律の有効性について、拘束力のある決定が連邦憲法裁判所に独占されている       ︵20︶ のは、具体的な規則に基づくものであって、﹁憲法機関﹂としての地位から生ずるものということはできない。また、 連邦憲法裁判所は、憲法諸機関の間に起った争訟を決定し、あるいはこれらの機関の活動を審査することによって、 みずから憲法機関となるわけではない。連邦憲法裁判所は、他の憲法機関と並列的に位置するのでもなく、上位に位 置するのでもない。たとえば、行政裁判所は、行政機関ではない。連邦憲法裁判所は、憲法に基づいて法を宣告する      ︵綴︶ 裁判所である。それぞれの憲法機関の上にあるのは、憲法であって、決して連邦憲法裁判所ではない。そして、連邦 憲法裁判所は、その機能からみて、実質的に裁判所であり、決してなにか別のものではない。したがって、たとえ ば、連邦憲法裁判所は、立法を行うわけでもなく、また、第四権として存在するわけでもない。さらに、連邦憲法裁 判所は、他の憲法機関とともに、前衛的集団として存在すべきものでもない。このように連邦憲法裁判所をとらえよ

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うとするのは、結局のところ、当該憲法裁判所の権威を正しく言い表わし、それを維持しかつ促進することにある。 シュライヒによれば、連邦憲法裁判所は、明白でもっとも高い程度において、権威といったものを有しているとす る。しかし、連邦憲法裁判所が、裁判所の役割の中で、憲法の権威やその確保に基づいて、国家指導への部分的で、 なおかつ散在的でおぼつかない仕方での参加においては、権威といったものをもつものではないとする。連邦憲法裁 判所は、憲法諸機関の政治的論争においては勝利しないであろうし、当該憲法裁判所の名誉欲が他の裁判所との関係 の中で、憲法裁判を裁判から取りだすことではなくて、すべての裁判の一部としての連邦憲法裁判所の権威に参加す        ︵22V ることに価値があるとしている。 ︵王︶ ︵2︶ ︵3︶ ︵4︶ ︵5︶ ︵6︶ ︵7︶ ︵8︶ ︵9︶ ︵m︶  たとえば、ボン基本法第四〇条第一項第二段は、﹁連邦議会は、議院規則を定める﹂と規定している。  田○ω一 卸誤嶺・  たとえば、連邦憲法裁判所規則第五条第一項は、﹁長官は、裁判所を外に向って代表する﹂と規定している。  困Ω震。 。ωo露鉱oFU霧ご ごq⇒儀窃くo欺器器コαQ轟①鉱畠紳”¢お。  ↓浮o儀○目鎧窪欝\勾①一尋o匡曽署①ご霧︶U①葺ω魯oωω欝象。 。冨o窪︾器ご瓢窪誇蝉村訂一審器︾¢中︸おoo勢ω。G o一〇 〇,  エルンスト・フリ⋮ゼンハーン﹁西ドイツ憲法裁判論﹂、廣田健次訳、一四頁⋮一五頁。清水望﹁西ドイツの政治機構﹂、 四三九頁。  渓。ωo露鉱oダ帥。鉾○ごψ鳴9  連邦憲法裁判所法第九八条以下参照。  溶●ω○乞鉱oダ鋤●釣○こω。鱒9  箆裟。 。ω$轟”ご霧ω件欝婁09紳α魯ω鳳⇒α霧8讐げ一涛U。g。。。竃きρω●鷲9

  東洋法学      一四九

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︵n︶ ︵1 2︶ ︵B︶ ︵14︶ ︵蔦︶ ︵鳩︶ ︵17︶ ︵18︶ ︵19︶ ︵20︶ ︵21︶ ︵22︶   西ドイツ連邦憲法裁判所の地位および組織      一五〇  閃。ωo窪鉱oダ餌●勲○‘ψ8.  図●ωo露鉱oダ勲欝○こω・曽・  区o韓覆毘oωωo︾○讐監8凝o号ω<のほ器霊轟ω器o霧の山震田¢&o。 。おも質三欝Uo無のo匡き斜刈﹂①お餌欝審︾麟ゆζお凝︸ω.謡O●  ω<①焦O国8負o o。  鷺舘鉱欝渓慧oす伽曽c oωあω蕎畠8奪d暮亀α$国償且o零禽富鴇q茜のαQ①は魯置N菊勺お誤︸ψ謡,  図。ωo乞鉱島︸鋤●伽●○ず9曽い  白oにαqきαQ竃曙2︸旨.OG。︸ぎ二轟o︿8ζ響。ダ○讐民αq霧ogー溶o導導のg鐘︸霞●ρお臼c 。“ψ齢麟  ω<o誌○国一Q ovO合ωρo o鶏いOρ曽o o。  図.留鶴繊oぴ勲鉾○‘ω●O卜o‘  たとえば、ボン基本法第一〇〇条第一項。  浮冨属箆巴p<。鍬霧ω弩α駐ω鷺o鴇守霧ぎ︾α肉呂G 。︵一〇G Qo 。yψ合鐸冒旨ぞ零ぎ欝魯鼠o蒔魯富婦くR寡。 り舅αqの惹母お落禅 <82象導蝿欝α匹濤無欝計おc oρω亀謡①●  渓。留乞鉱oF勲勲○“ψ漣●

三 組織

 O部会原理

 ボン基本法は、その第九四条において、連邦憲法裁判所の組織の大綱について定めている。しかしながら、ここで 定めているものは、まったくの基本にすぎず、立法者による補完を必要としている。そのために、重要な事項につい ては、ボン基本法第九四条第二項第一段によって、連邦法律に委ねられている。もっとも、連邦憲法裁判所について

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の考えは、ボン基本法制定会議においても、一九四九年のボン基本法においても具体化されることはなかった。結 局、その本質的決定は、連邦憲法裁判所法において、ようやくなされることになったのである。この連邦憲法裁判所 法は、一九五一年に公布されたのであり、したがって、それ以前に連邦憲法裁判所を設置することはできなかったの である。そして、連邦憲法裁判所は、その組織および行政に限定するのではなくて、一部かなりの外部的効果をも伴       ︵王︶ った手続を補完する規定も含む規則を定めたのである。        ︵2︶  そこで、まず連邦憲法裁判所の構成であるが、連邦憲法裁判所は八名の裁判官で占められている二つの部会よりな        ︵3︶       ︵4︶ る︵連邦憲法裁判所法第二条︶。両部会は、並列的に置かれており、各部会は﹁連邦憲法裁判所﹂である。各部会の権限 は、法律で定められている。部会の職務が負担過重になった場合、連邦憲法裁判所の連合部会は、異なった規則を定       ︵5︶ めることができる︵連邦憲法裁判所法第一四条第四項︶。こうしたことは、実際に行われている。両部会のうち、第一部 会の権限の重点は、基本権の適用に対する決定である。これに対して、第二部会は、機関争訟および連邦争訟につい て決定する権限を有する。部会の権限に関して疑義がある場合には、裁判官委員会が決定することになる︵連邦憲法         ︵6︶ 裁判所法第一四条第五項︶。       ︵7︶  一方の部会は、他方の部会の決定を審査することは許されない。一方の部会が他方の部会の法見解と異なる場合に は、連合部会が、この問題について決定する︵連邦憲法裁判所法第一六条第一項︶。連合部会は、これまでに、連邦憲法       ︵8︶ 裁判所法第一六条第一項に基づく手続によって、決定したことがある。連合部会は、連邦憲法裁判所裁判官の罷免な いしは退職に関しても権限を有している︵連邦憲法裁判所法第一〇五条︶。

    東洋法学       一五一

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    西ドイツ連邦憲法裁判所の地位および組織       一五二  次に、各部会における決定の仕方であるが、法律で定められている三分の二の多数を必要とする例外の場合、たと えば、連邦憲法裁判所法第一五条第三項第一段、第九三b条、第九三c条、第一〇五条第五項第三段を除いて,決定 に加わる部会の裁判官の単純多数で決定する。各部会は、八名の裁判官のうち、少なくとも、六名の裁判官が出席し       ︵9︶ ている場合に、決定することができる。評決をなすにあたっては、可否同数となる場合もありうる。このような場 合、決定のための投票は、行われない。したがって、可否同数のときは、ボン基本法、あるいはその他の連邦法違反 を確認することができない︵連邦憲法裁判所法第一五条第三項第三段︶。違憲を確認するためには、常に投票の半数以上 が必要である。この意味においては、連邦憲法裁判所法の規定は、十分とはいえないであろう。もちろん、裁判長 が、反対することは認められていない。部会は、評決における投票の割合を示すことができる︵連邦憲法裁判所法第三       ︵10︶ ○条第二項第二段︶。そして、評決が一致した場合には、それが、しばしばはっきりと記されることがある。  ところで、連邦憲法裁判所法は一九七〇年に改正されたのであるが、その際に、各裁判官は合議における決定、あ るいはその理由について主張した異なる意見を少数意見として、記すことができることになった︵連邦憲法裁判所法第        ︵n︶ 三〇条第二項第一段︶。この少数意見は、決定と同じように、連邦憲法裁判所判例集に載せられる。少数意見は、しば        ︵鴛︶ しば多数意見の理由よりもかなり長いことがある。少数意見の詳細については、連邦憲法裁判所規則第五五条の規定 するところである。こうした少数意見を導入したことは、憲法問題において、否定することができずに存在している        ︵捻︶ 憲法解釈の方法と帰結の多元性に対する表現といえる。この少数意見は、・ヘスタ翼ッツァのいう﹁各人が、いずれに       ︵U︶ せよ、なにを知り、あるいはなにを推定するか﹂を明らかにすることになる。少数意見は、評決の割合を示し、裁判

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官の異なった見解を描きだすのと同じように、憲法が連邦憲法裁判所の内部でも論議され、裁判の申で、将来的な変 遷が可能であると考えられることを判決理由で示すことになる。もっとも、論争の余地ある問題は多数意見によって まず決定されるが、少数意見は連邦憲法裁判所における合議について、なにかを明らかにする。ただ、この少数意 見が、応々にして、連邦憲法裁判所の権威やその決定の弱体化といったものを惹き起こすのではないかという懸念が ある。しかしながら、少数意見は、決して連邦憲法裁判所の権威を弱体化するものではないし、これまでに、そう       ︵巧︶ したことは観察されてはいない。たしかに、連邦憲法裁判所の決定は、未決事件にとって、最終決定を示すことにな るが、異なった意見や理由を述べることは逆に憲法の背後にある解釈について、決してそうではないことを明らかに する。さらに、少数意見を認めることは、多数意見のより明確な表現を可能にし、連邦憲法裁判所の判決理由の中か        ︵蔦︶ ら、妥協的性格といったものを取り除くことになるであろう。こうした少数意見は、多数意見に対する原則的な意見       ︵π︶ の違いを表現することができるが、少数意見は結果的には多数意見に同意し、ただ、理由の中で意見を異にしうるこ   ︵娼︶ とになる。結局のところ、少数意見は、個別的決定の論点、あるいは帰結において、部分的同意ないしは相違をはっ        ︵19︶ きりと表現することができる。そうであっても、少数意見の異なった機能は、必ずしも明確に切り離されているわけ   ︵20︶ ではない。これまで、少数意見には、その動機、形態および意図に、ある統一性が欠けている。少数意見は、一方で は、倫理的、あるいは学問的な理由で決定をともに担うことができず、このようなことを宣言しようとする見解の異 なる裁判官の人格を維持するのに役立つであろう。こうした少数意見は、多数意見の重要さとともに、あるいは逆に その危険性といったものを明らかにすることができよう。他方では、少数意見は、連邦憲法裁判所内の討論、あるい

    東洋法学      

一五三

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     西ドイツ達邦憲法裁判所の地位および組織      一五四 はまた、学問的な討論に役立っているといえる。そして、少数意見は、連邦憲法裁判所を将来別の方向に向けさせ、        ︵21︶ こうした可能性について、世論の注意を向けさせる意図をも有しているといえる。

((

21

))

︵3︶ ︵4︶ ︵5︶ ︵6︶

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87

))

 たとえば、一九八二年一〇月六日の決定。ωの曽鮮幹羅G  劇くo識O図ど遷︸紳09 口陽一﹁比較憲法﹂、改訂版、二八六頁。 った。このようなことから、それぞれ﹁赤い裁判所﹂、﹁黒い裁判所﹂という異名をとったことがある。これについては、樋  なお、連邦憲法裁判所が発足した当初、第一部会は、反政府的な判決を、第二部会は、政府に有利な判決を下す傾向にあ 一五頁。溝水望﹁西ドイツの政治機構﹂、四三九頁。  このようなことから、連邦憲法裁判所の二つの部会は、﹁双生裁判所﹂︵N且篤薦。。αq段ぎ獣︶といわれる。廣田訳、前掲書、 五!一六頁。 一九六三年の同法の改正により八名に改められた。エルンスト・フジーゼyハーン﹁西ドイツ憲法裁判論﹂、廣田健次訳、一  各部会における裁判官の員数は最初二一名であったが、 一九五六年の連邦憲法裁判所法の改正により一〇名に、さらに、  連邦憲法裁判所規則第二〇条以下参照。 。㎝参照。  各部会の権限について詳しくは、︾泣器器留艶9U冨N弧ω鋒&蒔ぎ留山角留欝雷熔盆象①酸9Φ把謎餌R蛋嘗簿浮露簿 儀Rカ①9錺嘆の。言護﹂糞ωき瓢窃奉砿餌ω。 。琶αQωαqo鉱o窪信&O讐&αQ①ω①貫ω阜ど一零ρ¢一〇心塗  なお、第一部会および第二部会の権限のうち、第一部会の過度の職務過重になったことから、多くの権限が第一部会から 第二部会に移管されることになった。その中で、もっとも重要なものは、ボン基本法第二一条における政党に関する事項で ある。これについては、清水、前掲書、四四二頁。  ω<oほ○図8一〇 〇●  たとえば、ω<Oは○朗企曽脚総︸曽8

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︵9︶ ︵m︶ ︵11︶ ︵E︶ ︵B︶ ︵M︶ ︵驚︶ ︵1 6︶ ︵鷲︶ ︵B︶ ︵19︶ ︵2 0︶ ︵21︶  最初、各部会は、少なくとも、九名の裁判官が出席した場合に決定することができるとしたが、 一九五六年の連邦憲法裁 判所法の改正により、九名から六名とされた。  たとえば、廓<Φは○国OO︶鵠S  これについては、 図震708お曽角ζP図肘富ぼ償お窪跨犀留欝ω8留黛○露導竃帥きω仁出山Φω︿o紘器霊詣茜R8窪︾OOく 一〇c oどω.G oω●  たとえば、田く①焦○鍔鵠︸O oO︵蕊占Oβ⇒山①OあOy  箆鐘ωGo。窯鉱oぴU節ω膨彦伽①のく①嬬器ω彰αQ。 。αo。ユ。拝︸ω●o 。ゼ  O浮坤呂き頷ω邑o震迎<o鳳霧。 ワ毒αqω冥o器醸①9計鱒。︾昆‘おo 。ρω●o 。9  溶ω。窪鉱。賞鉾鉾○ごψω舛  〆◎ωo法鉱oげ 貸鉾○,幹Q o邸.       い      ︸  たとえば、ωくR︷○国G oP器脚器vらO o●  ωくΦは○国合”お融  たとえば、ゆくO蔑の国器︾8じ  たとえば、ゆ<Rお国ωP器群参照。また、ω<霞お鈎8口参照。  溶ω。法鉱。7貸ゆ.○●︸ψo 。舘’  ◎ 裁判官の資格および選挙  まずはじめに、連邦憲法裁判所裁判官の資格であるが、これについては連邦憲法裁判所法第三条の規定するところ である。それによると、連邦憲法裁判所裁判官は、四〇歳に達した者で、連邦議会の被選挙権があり、連邦憲法裁判

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    西ドイツ連邦憲法裁判所の地位および組織       “五六 所裁判官になることをあらかじめ文書で表明した者で、ドイツ裁判官法に基づく裁判官の資格を有していなければな らないとしている。連邦憲法裁判所の各部会における三名の裁判官は、ボン基本法第九四条第一項および連邦憲法裁 判所法第二条第三項で定めているように、他の連邦裁判所の裁判官より選挙される。こうすることによって、裁判官       ︵工︶ としての経験が、連邦憲法裁判所の法発見をもたらすことになるといえる。連邦憲法裁判所裁判官は、連邦議会、連 邦参議院、連邦政府、あるいはこれに相当する州の機関のいかなるものにも所属してはならない︵ボソ基本法第九四条 第一項、連邦憲法裁判所法第三条第三項︶。また、連邦憲法裁判所のすべての裁判官は、その職務に専念しなければなら ない。ただし、ドイツの大学の法律教師としての活動のみが、連邦憲法裁判所裁判官の活動と一致する︵連邦憲法裁        ︵2︶ 判所法第三条第四項、第一〇一条第三項︶。  ところで、ボン基本法および連邦憲法裁判所法に関する審議において、連邦憲法裁判所の裁判官団の中に、非専門 家を配置するための努力がみられた。このような非専門家を配置することの目的は、ボン基本法の新しい政治的秩序 の精神に、特別の意味を裁判所の裁判にもたらすであろうことにあった。実際に、州の国事裁判所ないしは憲法裁判       ︵3︶ 所は、一部裁判官の資格を有していない右に述べたような非専門家を配置している。しかし、ボン基本法は、憲法裁 判の性質にとって、このような本質的な問題を未解決のままにしておいたのである。そうして、連邦憲法裁判所裁判 官が、実際に職務に専念すべきであったかどうかもまた、未解決のままであったのである。そこで、まず連邦憲法裁        ︵4︶ 判所は、もっぱら職業裁判官で占められる﹁純粋に法律家の裁判所﹂を採ることに決めたのである。  次に、連邦憲法裁判所裁判官の選挙であるが、これについてはボン基本法第九四条第一項第二段および連邦憲法裁

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判所法第五条第一項の規定するところである。これらの規定によると、連邦憲法裁判所の各部会の裁判官は、各半数 ずつ連邦議会および連邦参議院によって選挙される。連邦議会による裁判官の選挙の仕方は、ボン基本法第九四条第 一項第二段の文言に反して、選挙人委員会を通して行われる。したがって、連邦議会による場合は、間接選挙であ る。選挙人委員会は、二一名の連邦議会議員からなり、比例代表制の原則に基づいて、連邦議会の総会によって選挙 される︵連邦憲法裁判所法第六条第一項.第二項︶。そして、少なくとも、八票以上の投票をえた者が、裁判官に選ばれる ︵連邦憲法裁判所法第六条第五項︶。これに対して、連邦参議院にょる裁判官の選挙の仕方は、その総会において直接選        ︵5︶ 挙で行われ、その三分の二の多数で裁判官が選ばれる︵連邦憲法裁判所法第七条︶。このように、連邦の最高の憲法機関 としての連邦議会および連邦参議院による裁判官の選挙の仕方は、憲法裁判について、特別の評価を示すことにな る。そして、連邦憲法裁判所は、立法者の行為を審査し、連邦上の争訟を決定する任務をも有している。このような ことは、民主的に選挙された憲法機関や連邦レベルで州を代表する憲法機関によって、連邦憲法裁判所裁判官を選挙       ︵6︶ させることをまさに正当化することになる。  そこで、連邦憲法裁判所裁判官の推薦資格を有する者であるが、それは連邦議会の議員団、連邦政府および州政府 である。したがって、連邦憲法裁判所それ自体は、選挙におよぼす影響はなにもない。ただ、ニカ月以内に後任者の 選挙が実現しなかった場合にのみ、連邦憲法裁判所の連合部会にその推薦が求められなければならない︵連邦憲法裁 判所法第七a条第一項︶。右に述べたような議会の議員団による連邦憲法裁判所裁判官の選挙は、これによって、連邦 憲法裁判所に、国家における政治的適格性が与えられることにより是認される。包括的権限を有する憲法裁判所が     東洋法学      一五七

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    西ドイツ連邦憲法裁判所の地位および組織      唄五八 権威をうることができるのは、裁判官の選挙が議会や政府を占めている多数党のみによって行われるのではなく、野       ︵7︶ 党も関与する場合に可能といえる。そして、裁判官の選挙における三分の二の多数︵連邦憲法裁判所法第六条第五項、 第七条︶は、少数の保護に奉仕するものであって、それは投票、あるいは選挙における少数保護のための古典的手段 といえる。議会において、三分の一を占めていない議員団は、裁判官の選挙にあたって、多数党がその議員団に議席        ︵8︶ を委ねる場合にのみ、カを発揮することができる。この三分の二の多数の要求は、議会の多数党および野党をして意 見の一致を強制することになる。すなわち、一方の側は、他方の側の同意をうることができない場合には、侯補者を 選べないのである。どちらの側も、少なくとも、三分の一をいつでも行使することができる限り、連立と野党との間        ︵9︶ には、同等関係が成立する。したがって、裁判官の席は、多かれ少なかれ、二大政党で配分されることになる。今 日、連邦憲法裁判所裁判官を配置させるための提議をなすのは、議員団ないしはその受託者である。彼らによってな された提議は、 普通は反対派によって受け入れられ、連邦議会の選挙人委員会および連邦参議院の総会で、たいてい 一致をもって認められることになる。この際、世論は、少なくとも、公式には関与することはない。公開の討論は、       ︵10︶ 関係者の守秘義務︵連邦憲法裁判斬法第六条第四項︶にょり行われることはない。ただ、右に述べた三分の二の多数決 原理は、ボン体制における二大政治的権力情況を保護する道具になりさがってしまう危険性があるのではないかと思   ︵U︶ われる。  なお、連邦憲法裁判所裁判官は、 一二年の任期で選挙される。停年は六八歳である。裁判官の独立を確保するた め、再選はない︵連邦憲法裁判所法第四条︶。裁判官は、連邦大統領によって任命され、その就任に際して、連邦大統領

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に対し、とくに定められた宣誓を行う︵連邦憲法裁判所法第一〇条、第二条︶。 は、連邦議会および連邦参議院によって、交互に裁判官の中から選ばれる。        ︵犯︶ 判所長官の所属していない部会から選ばれる︵連邦憲法裁判所法第九条︶。 連邦憲法裁判所長官と長官代理︵副長官︶ 連邦憲法裁判所長官代理は、連邦憲法裁 ︵1︶ ︵2︶ ︵3︶ ︵4︶ ︵5︶ ︵6︶ ︵7︶ ︵8︶ ︵9︶  ω<Φ猷O国①ρ一零.  図一霊。。ωo乞鉱oダU器ωq⇒伽霧く震欝ω讐轟ωαQR一魯漕ω。き09  ≦濠は&躍&一①さ9①国φ馨oビお山Rいき留のくR密ω霊お諮oは9件ω謹葵o詳霧魯伍Φ簿N類魯窪壌①三鼠①αq”貯”Oぼ鱒腕き ω富蓉犀\箆窪のω富導︵顛誘αq騨yピ§留。 。︿①ほ器。 。償轟ωαq。誉ぼのげ艶︽Φ芦↓亀訂&督ごo oG 。︾ψ一8界  Hα鎧ω禦R⇒︶U器ω欝霧ω器。窪仙鶏ωq&①鴇oや償露箭U①纂ωo露§9ψωωO鎗。濠一雲ωω号一鉱079Φ<R︷霧雲謁ω鴨鋤畠錺冨穫− }8響一臼O鳳轟①儀震ω酔壁錺欝φパ鉱o霧P<<Uω静G oO︵おGo一︶︸ψ一〇界参窯鶴島壽  連邦憲法裁判所裁判官の選挙について詳しくは、囲く一窪ω深3αq①♪蒙。導R毒鶴耳鐵”ゆ皿&①ω毒は霧ω毒αQωαqoユ。算β& ○旨欝詠霧o欝vω傷●督お蕊︾ω。蕊塗  客ωoこ鉱oダU器ω鐸&①。 。<R費ω霊鄭α奇のαq窪箆詳ω。曽含  エルンスト・フリーゼンハーン﹁西ドイツ憲法裁判論﹂、廣田健次訳、一七頁。  蓼ω9霞。ダ鉾節●○ごψ鱒Go●  たとえば、どちらかといえば、保守的立場にある裁判官と、どちらかといえば、進歩的立場にある裁判官との間のある種 の均衡関係は、連立と野党間の同等関係によって達成されて恥る。この場合、裁判官の推薦基準は、部分的には単にドイツ キリスト教民主同盟・キリスト教社会主義同盟、あるいはドイツ社会民主党の構成員か、またはそれに近いものであり、そ して、その時その時の連立のパ董トナーである自由民主党に、裁判官の席が配分されることになる。部会内のこうした均衡 関係は、政治的にみれば、連邦憲法裁判所の裁判における中間的ないしは控え目な方針にとって、大いに価値があるといえ   東洋法学       一五九

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︵10︶ ︵U︶ ︵1 2︶ 西ドイツ連邦憲法裁判所の地位および組織 る。  渓。ωo鉱鉱oダ鉾勲○ごψωo o。  なお、連邦憲法裁判所裁判官の選挙手続については議論のあるところであり、 ω。8い  廣田訳、前掲書、一七頁ー一八頁。 これについては、 溶● 一六〇 ω島一鉱oF斜聾●○ご 四 おわりに  嵐上、ボン基本法の下における連邦憲法裁判所の地位および組織についてみてきた。いうまでもなく、連邦憲法裁 判所は司法権を行使する裁判所ではあるが、他の裁判所とは異なった特別の組織的地位を有している。そして、連邦 憲法裁判所は、連邦議会、連邦参議院および連邦政府などの憲法機関と同じように、憲法機関としての地位が認めら れており、それに伴って、広範な権限が与えられている。もちろん、基本的にはボン基本法がこうしたことを定めて いるが、詳細については連邦憲法裁判所法の規定するところである。右に述べたように、連邦憲法裁判所は憲法機関 としての地位が認められているが、これによって、当該憲法裁判所がまったく違った性質をもったものということを 意味するのではない。また、ここにいう憲法機関は、決して他の憲法機関の上位にあるものとしての権限称号ではな い。連邦憲法裁判所のこうした地位をより明確に把握するためには、ボン基本法および連邦憲法裁判所法に規定され ている権限を個別具体的に検討する必要があろう。しかし、本稿では、このような問題を取り上げなかったが、これ については別に稿を改めて論じてみたいと考えたからである。さらに、連邦憲法裁判所を構成する裁判官の選挙にお

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いては、二大政党による裁判官の席の権力的配分がみられ、結局のところ、それを保護する手段になってしまう危険 性を多分に含んでいると思われる。しかしながら、実際には、裁判官のこうした選挙の仕方が、連邦憲法裁判所の裁 判において、均衡のとれた控え目な判断を下すことになるという点に、政治的意義があるといえよう。  今田、現代諸国家は、行政権の肥大化現象に伴って、一様に行政国家といわれており、西ドイツ国家もまた、こう した国家の範疇に属していることはいうまでもないであろう。しかしながら、ボン基本法の下では、連邦憲法裁判所 を頂点とした裁判所部門が極めて重要な存在になっている。したがって、このようなことから考えてみると、西ドイ ツ国家は、行政国家というよりはむしろ、それ以上に裁判国家的傾向が強く進行し、憲法忠誠制度の実効性を実現す        ︵1︶ るものとしての役割を果しているといえよう。 ︵王︶ 樋口陽一﹁比較憲法﹂、二九〇頁。

東洋法学

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