奈良と地域-グローカル研究会の特集号に寄せて-
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(2) 特集 奈良と地域. ように奈良の医薬は古くからの歴史があり、伝統産業といえるものである。 しかし近年では新医薬品産業の進出により、その市場を失いつつある。眞島 論文では、奈良県の提唱する「漢方のメッカ推進プロジェクト」を検討してい く中で、奈良の漢方薬業界の進むべき方向性を指摘している。その中で、特 にタイトルにも示されているように、漢方薬業界の六次産業化の方向性を論 じている。大学や個別の医薬業者の活発な連携による新製品の開発やインター ネットなどを通じてのPRや販売促進など重要性を指摘する。また、 「薬草と 配置薬のミュージアム」の設置、漢方薬産地の見学会や観光イベント開催な どを活用して、市場販路の拡大と販売促進を行うべきだと論じている。 次ぎに、髙島論文は、奈良県の廃棄物問題を統計資料に基づき考察を行っ ている。廃棄物を「産業廃棄物」と「一般廃棄物」とに分け、その現状を把握 している。奈良県の「産業廃棄物」については、全国的に比べて排出量は減 少しているが、再生利用が低く、結果的に最終処分量が増加していると論じ ている。また、奈良県の「一般廃棄物」については、家庭からの廃棄物は順調 に減少し、分別による再生利用も進んでいるが、事業系廃棄物に問題があり、 混合物の混入により再生が困難で、プラスチック製容器包装等の資源ゴミの 分別が徹底されておらず、一般廃棄物搬入手数料の引き上げにより、零細企 業へ負担増が強いられている。高島論文では、廃棄物政策として「奈良モデ ル」を考察し、廃棄物処理行政については、行政担当の区分を超えた互いの 連携による円滑な施策を実施するべきであると指摘している。 最後に、麻生論文は、奈良県の観光客入込数の実態について、 「奈良県観光 客動態調査」を主要な資料として考察したものである。これは麻生(2007)の 続編として書かれたもので、2013 年までの奈良県内の観光動向を把握してい る。奈良県内の観光地で 2000 年以降、観光客入込数を伸ばしているのは、奈 良市、信貴、橿原の一部の観光地で、県内観光地の多くは減少傾向にある。 特に減少傾向は吉野などの南部圏域で著しい。奈良市は、一時期観光客の低 迷期にあったが、2000 年以降、総じて増加傾向にある。これは、外国人観光 客の増加がその一因である。1999 年から開催されている「なら燈花会」は継 続的に観光客入込数を伸ばしており、奈良の新たな観光イメージとして定着 2.
(3) グローカル研究会の特集号に寄せて. している。麻生論文では、最後に観光地の特性についてクラスター分析によ り導出した。ここでもやはり奈良県南部圏域の観光客入込数の不安定要因が 明示された。 本特集号は「奈良と地域」の共通テーマの下で、研究論文3編から構成され ている。眞島論文と髙島論文については、グローカル研究会において研究報 告が行われた。 本特集号は、上野ゼミ(遊学研究会)から始まる研究発表会の中で、参加者 によって、いろいろと議論し積み重ねられてきた研究成果のごく一部である。 今回、本特集号を取り纏めるにあたって、島村幸光氏を始めとして、小汐明 子氏、藤井俊英氏、三代隆義氏、村西一男氏の主要メンバーの方々との研究 会での議論は非常に有益なものであった。記して厚く御礼申し上げます。な お今回、執筆を予定されていたにもかかわらず、体調不良により執筆を取り やめられた方がいたことも記しておきたい。 最後に、本特集号がグローカル研究会の今後のさらなる飛躍発展の一助に なれば幸甚である。 2015 年 11 月 麻 生. 憲 一. 地域創造学研究. 3.
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