• 検索結果がありません。

奈良と地域-グローカル研究会の特集号に寄せて-

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "奈良と地域-グローカル研究会の特集号に寄せて-"

Copied!
3
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)巻頭言. 奈良県黒滝村における学生による学習環境調査. 特集 奈良と地域 ― グローカル研究会の特集号に寄せて ―. 奈良県立大学の前身である奈良県立商科大学が開学したのは 1990(平成 2 年)4 月である。夜間部の大学として開学し、多くの社会人学生が仕事に従事 しながら勉学や研究に勤しんでいた。そのような中で、当時、社会人学生た ちの勉学意欲に後押しされて上野紘(前学長)ゼミで勉強会(遊学研究会)が 開催された。勉強会は継続的に開催され、上野ゼミ以外の学生たちも加わり、 専門書の輪読や研究発表などが頻繁に行われた。これらの学生たちの何人か は卒業後大学院に進み、より専門性を究めた。遊学研究会は、上野先生を慕 う社会人学生たちに支持され、彼らは卒業後も遊学研究会に集うことになる。 上野先生は、その後役職を歴任され、学長になられても、ご多忙の中、遊学 研究会には必ずご出席された。遊学研究会は、大学内での研究発表だけでな く、東大阪市の中小企業、大阪市の港湾事業や廃棄物処理場などの現地にも 積極的に出かけて行き、現場担当者から直接お話などをお聴きする機会もあっ た。空理空論の論議に終わるのではなく、現場主義から現実を鳥瞰していく ことが研究会のモットーでもあった。遊学研究会は、グローカル研究会と名 を改め、現在も継続的に研究会を開催している。 さて、本特集号は、 「奈良と地域」をテーマとして、グローカル研究会で一 度報告したものを論文形式に取り纏めたものである。各論文は、執筆者のこ れまでの研究の積み重ねであり、 「奈良」を一つの接点としている。以下では、 各論文についてその内容を概観していく。 まず、眞島論文は、国内の漢方薬業界の現状を把握すると共に、奈良県の 「漢方のメッカ推進プロジェクト」の取組について考察を行っている。周知の 地域創造学研究. 1.

(2) 特集 奈良と地域. ように奈良の医薬は古くからの歴史があり、伝統産業といえるものである。 しかし近年では新医薬品産業の進出により、その市場を失いつつある。眞島 論文では、奈良県の提唱する「漢方のメッカ推進プロジェクト」を検討してい く中で、奈良の漢方薬業界の進むべき方向性を指摘している。その中で、特 にタイトルにも示されているように、漢方薬業界の六次産業化の方向性を論 じている。大学や個別の医薬業者の活発な連携による新製品の開発やインター ネットなどを通じてのPRや販売促進など重要性を指摘する。また、 「薬草と 配置薬のミュージアム」の設置、漢方薬産地の見学会や観光イベント開催な どを活用して、市場販路の拡大と販売促進を行うべきだと論じている。 次ぎに、髙島論文は、奈良県の廃棄物問題を統計資料に基づき考察を行っ ている。廃棄物を「産業廃棄物」と「一般廃棄物」とに分け、その現状を把握 している。奈良県の「産業廃棄物」については、全国的に比べて排出量は減 少しているが、再生利用が低く、結果的に最終処分量が増加していると論じ ている。また、奈良県の「一般廃棄物」については、家庭からの廃棄物は順調 に減少し、分別による再生利用も進んでいるが、事業系廃棄物に問題があり、 混合物の混入により再生が困難で、プラスチック製容器包装等の資源ゴミの 分別が徹底されておらず、一般廃棄物搬入手数料の引き上げにより、零細企 業へ負担増が強いられている。高島論文では、廃棄物政策として「奈良モデ ル」を考察し、廃棄物処理行政については、行政担当の区分を超えた互いの 連携による円滑な施策を実施するべきであると指摘している。 最後に、麻生論文は、奈良県の観光客入込数の実態について、 「奈良県観光 客動態調査」を主要な資料として考察したものである。これは麻生(2007)の 続編として書かれたもので、2013 年までの奈良県内の観光動向を把握してい る。奈良県内の観光地で 2000 年以降、観光客入込数を伸ばしているのは、奈 良市、信貴、橿原の一部の観光地で、県内観光地の多くは減少傾向にある。 特に減少傾向は吉野などの南部圏域で著しい。奈良市は、一時期観光客の低 迷期にあったが、2000 年以降、総じて増加傾向にある。これは、外国人観光 客の増加がその一因である。1999 年から開催されている「なら燈花会」は継 続的に観光客入込数を伸ばしており、奈良の新たな観光イメージとして定着 2.

(3) グローカル研究会の特集号に寄せて. している。麻生論文では、最後に観光地の特性についてクラスター分析によ り導出した。ここでもやはり奈良県南部圏域の観光客入込数の不安定要因が 明示された。 本特集号は「奈良と地域」の共通テーマの下で、研究論文3編から構成され ている。眞島論文と髙島論文については、グローカル研究会において研究報 告が行われた。 本特集号は、上野ゼミ(遊学研究会)から始まる研究発表会の中で、参加者 によって、いろいろと議論し積み重ねられてきた研究成果のごく一部である。 今回、本特集号を取り纏めるにあたって、島村幸光氏を始めとして、小汐明 子氏、藤井俊英氏、三代隆義氏、村西一男氏の主要メンバーの方々との研究 会での議論は非常に有益なものであった。記して厚く御礼申し上げます。な お今回、執筆を予定されていたにもかかわらず、体調不良により執筆を取り やめられた方がいたことも記しておきたい。 最後に、本特集号がグローカル研究会の今後のさらなる飛躍発展の一助に なれば幸甚である。 2015 年 11 月 麻 生. 憲 一. 地域創造学研究. 3.

(4)

参照

関連したドキュメント

式目おいて「清十即ついぜん」は伝統的な流れの中にあり、その ㈲

共通点が多い 2 。そのようなことを考えあわせ ると、リードの因果論は結局、・ヒュームの因果

以上の基準を仮に想定し得るが︑おそらくこの基準によっても︑小売市場事件は合憲と考えることができよう︒

兵庫県 篠山市 NPO 法人 いぬいふくし村 障害福祉サービス事業者であるものの、障害のある方と市民とが共生するまちづくりの推進及び社会教

奈良県吉野林業地を代表する元清光林業株式会社部 長。吉野林業の伝統である長伐期択伐施業を守り、間 伐(多間伐を繰り返し、1 階の間伐は

当事者の一方である企業者の手になる場合においては,古くから一般に承と

法制史研究の立場から古代法と近代法とを比較する場合には,幾多の特徴

本県の工作機械の歴史は、繊維機械 産業の発展とともにある。第二次大戦