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輸送中に生ずるリンゴの損傷に関する研究

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Academic year: 2021

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(1)

輸送中に生ずるリンゴの損傷に関する研究

小 嶋 和 雄 ・ 木 本 行 雄

    (農学部 農業機械学研究室)

 Studies on the In-transit Injury of Apples

      Kazuo KoTiMA. Yukio KiMOTO

Laboratory of Agricultural iχMachinery-, Faculりof Agriculture

 Abstract : The authors investigated the in-transitinjury of apples that are caμsedby vibration

and impact.

 The results were as follows :

 田 The hardness of apples decreased with increase of the acceleration of vibration. The hardness

of apples(F kg/c 「) was related to the acceleration of vibration(G)by the following equation.

    F = 27. 1 - 5. 14 G

 (2) The hardness of apples decreased with increase of the amplitude and the frequency, this

tendency was clear on the cheek.

 (3) The acceleration of vibration of apples in carton box increased rapidly when the frequency

exceeded 5. 8 Hz, and incleased the injury of apples.

 (4) The carbonic acid gas that are caused by breath of apples increased temporarily, when apples

were vibrated or received the impact.

       緒     言

 青果類や果菜類を輸送する場合問題となるものの一つは,車両から受ける振動,衝撃による損傷

である。

 輸送中に生ずる損傷としては中馬らが梨1),温州みかん2)さらに鶏卵3)などについて報告してい

る。またリンゴ4’について衝撃加速度と損傷の関係などを調査している。

 当実験では輸送中に生ずると思われる振動,衝撃をリンゴに加え損傷程度,力学的特性の変化に

ついて調べさらにダンボール箱内のリンゴの挙動をしらべた。

 実験に当りご指導頂いた高知大学農学部果樹園芸学研究室吉村不二男教授に深謝の意を表する。

       ,I.振 動 試 験

 (1)実験目的

 輸送中に生ずる振動現象はリンゴに直接的損傷を与えるほか,リンゴ自体が二次運動を発生して

複雑な動きを行なって損傷が拡大されると考えられる。そこで振動と損傷の関係を種々の而から調

査することにした。

 (2)実験方法

  (i)加振装置

 各種の輸送車両の振勁衝撃値5J-8)を参考にし,振動数,加速度を任意に発生できるFig.

1のよ

うな加振装置を製作した。 振幅は偏心カムを収り替えることにより4種類(1,3,5,7

mm)に,

偏心カムの回転数も電気動力計により180∼850

rpm

に任意に変えることができる。したがって振

幅(A).と振動数(/)の組み合せにより次の関係によって任意の振動加速度を得ることができる。

(2)

146 高知大学学術研究報告  第21巻  a  学  第17号

Fig. 1 Vibrator Fig. 2 Apples in carton box.

 角速度:a・=2が;変位:X=A sin 昿速度:dX .

COS 昧 加速度:今=y1ω2 sin

(のz十r)/最大力輝度:〔盤〉αz=ノ1a'2=ノ1(27が丿/g \  加振機の加速度は加振台の哀に加速度計を取り付け,リンゴの加速度は果腹部中央をくり抜きこ れに加速度計を押し込み固定した。このリンゴをダンボール箱中の測定を行なう層の中央部に置い た。(Fig. 2参照)測定を行なう層は箱の底から数えて1, 2, 4 Jelで,加速度と硬度変化および損 傷の関係は各層から4個ずつ取り出して測定し平均値を求めた(1箱中の,リンゴの数は92個でこれ を23個ずつ4眉に重ね,上下にダンボール紙が詰めてある)。加振は加速度が0.045∼1.59Gの範囲 内で30分間行なった。中馬ら9'はO'Brienによるとpeach'を0.25 Gで10分間強制振動(振幅 0.05インチ,10 cps)させると,損傷は100マイル(約↓60 kr!1),の輸送損傷に相当すると紹介して いる。これを参考にすると上記の加振は大体500 km の輸送に相当するとみてよいであろう。  (ii)リンゴの硬度および損傷の測定  一定の振動条件で加振し終ったリンゴは20°Cに調節された定温機内に貯蔵し,5日毎に取り出 して硬度と損傷程度を測定した。当実験では褐色変化による判定か困難であったので,機械的障害 を受けると呼吸作用か促進されるということを利用,して,リンゴから排出されるC02ガスの発生 ⑩ ①Conipressoi・   @Ti・an   ③KOH solulion   ④Soda lime   ⑤Wal・m uatei・ tank   (ix Henlci-(7; The I・m。ISt‘at ⑧Ail・ tank 皿)Sample vessit' yo Annlvtical de、・ice (Iflnclicatoi・・ ‘。りlhヽccii'df'、I./

Fig. 3 Measuring device of quantity of C02.

 量を測定して損傷程度を判定す  ることにした。   (iii) CO2ガス発生mの測定   Fig. 3はC02ガス発生量測  定装置である。   操作順序はまず新鮮な外気を  空気圧縮機で装置内に送り込  む。空気中に含まれているC02  を除去するためは10%KOH溶  液とソーダライム中を通過させ  る。 C02を除去した空気は一度  空気棺に送り込みここから試料  を入れたウイットろ過器(試料  容器)に導く。リンゴの呼吸に  よって吐き出されたC02を含 。むガスは分析装置に取り付けら  れたポンプによって吸い出さ

(3)

輸送中に生ずるリンゴの損傷に関する研究(小嶋・木本) 147

れ,一定流量(300

ml/min)だけ赤外線分析計に送り込まれる。指示計が作勁しC02濃度が記

録される。

 呼吸量は温度の影響を非常に受ける

ので測定中は温度を一定と保つ必要が

ある。そこで本実験ではソーダライム

から空気檜までのビニールパイプを長

くし,温水中に浸して空気が定温を保

つようにした。空気槽中には空気温度

が定温(20°C)を保つようにサーモ

スタットを装着した。空気槽および試

料容器は外気温の影響を少なくするた

めに内部に発泡スチロールをはった箱

中に入れた。・実験中は試料容器内の温

度を記録したか,常に20±17Cを保っ

た。

 (3)実験結果および考察

 Fig. 4はダンボール箱に詰めたリ’ン

ゴを0.045∼1.59Gの範囲で30分間振

動を与えた後,20°Cに調節した定温機

内に5日間貯蔵した後の果腹部の硬度

である。硬度はC

W.

Nelsonisら10)

      ● =   i l - 、 - ● ・ が ゜ r ● ・ I I ● I . -   - ● に よ る 次 式 で 算 咄 し か 6     … … I ・ 戸 ● 、

 硬度=Ple×Via-

(kg/c

「)’

 これによると振動加速度の増加とと

もに硬度は直線的に減少していること

がわかる。最小自乗法により関係式を

求めると次のようになる。

 F=27.1−5.14G

 ここでF:果腹部の硬度(kg/c

「)

    G:振勁加速度値(G)

 この相関係数はr=-0.64で,Z検

定を行なった結果,母相関係数ρ=0

と1%水準で有意差か存在した。

 Fig. 5は3. 3∼8.3召zの振動を加え

20°Cで5日間貯蔵した後の果腹部に

おける硬度変化をあらわしたものであ

る。振幅か1 , 3 mmの場合には振勁数

による硬度の低下はみられないが,5

mm以上になると振勁数の増加ととも

に低下している。特に6.7召z以上で

その傾向が強くあらわれている。これ

は振動数が6.1・Hz以上になると詰め

へ l .χ W | i 3 0 25 2 0 15 g1支j︶ l 七 k i 0.2 :0.4 0.6 0.8 1.0‘ ].2 1.4 1.6       Acceleration (G)

Fig. 4 Acceleration vs. hardness.

Amplitude (mm)

   △  1

   ▲  3

  ●0  5

   ●  7

T………△ゾ牛`

40   30   20   10  ︵jUid/Sjj︶ssaupjBu    0  3.3  :>.(!  6.7  8.3     Frequency (凡)

Fig. 5 Frequency vs. hardness.

       Amplitude 5 mm        Frequency (H.)       0 3.3   0   J     3 一 . -^ C O ●   △   ▲     0   5  10  15  20       Preserving days

(4)

148 高知大学学術研究報告  第21巻  農  学・ 第17号

こみ現象を生じ,このためダンボール箱の上部に空間ができ,リンゴが複却な運動を起し損傷を受

けた結果ではないかと考えられる。

 Fig. 6は振幅5mmで加振した場合の貯蔵日数と果腹部における硬度変化についてあらわしたも

のである(貯蔵温度は920°C)。硬度は貯蔵日数とともに低下しているが,その低下の割合は振動゛

数の高いものほど大きい。このことは高い振動数で加振されたものほど損傷が多く,鮮度も落ちやj’

  s  1  ●I●      ’

すいこ・とを意味ずる。果低部,果頂部の硬度は果腹部におけるように明らかな低下はみられなかっ

た。果腹部は強度的に最も弱く振動の影響を最も受けやすい,といえる。

2 . 2 1 . 8 ︵Q︶ 1 . 4       0         8 u o i j B j a p o o y 0 . 4 0 ○ ● △ ▲    2.5  3.0 3.5‘ 4.0 4.5  5.0 5.5 ・6.0  6.5 7.0        。、Frequとncy (/-/。)

Fig. 7 Frequencj' vs. acceleration of apples- at earch layer in carton boχ。

 Fig. 7は振幅5mmで振動数を2.9∼6.1 H。まで変化させた時の加振台およびダンボール箱内 の各段におけるリンゴの加速度をあらわしたものであ`る。図にみられるように加振台の加速度値 は, G=/l(2:r/)Vgの式の通り振動数の増加とともに2次曲線的に増加しているが,4段目,2浚 目,1段目はそれぞれ5.8, 6.3, 6.4月。付近から急激に増加している。また5.8月。以下におい ても4段目の加速度は下の2段より大きい。これは4段目は最上段であり下段のリンゴにくらべ上 部空間が広く,しかも束縛力が少ないため可動しやすいといえる。事実,最上段に損傷を受けたリ ンゴが最も多かった。 したがって上部空間に緩衝材を詰めリンゴの勁きを押えることか必要であ る・Fig. 5において振動数が6.1 Hr以上になると硬度が低下しているが,これも上記の結果から 了解できる。リンゴの損傷程度を知るためC02ガスの発生量を測定した。なおC02ガス発生量 は20°Cにおける値であり, 6.7. 8.3召。の振勁を与え。た場合の結果は計器に不良の筒所があった ので削除した。  Fig. 8 , 9, 10, 11において同一の振幅においては振勁数か多いほどC02の発生は多い。 CO2 は加振直後から次第に増加し,加振後約6∼7時間でピークに達しその後は次第に減少し一定濃度 に近づく。このことはリンゴの細胞が振動によって一時的に刺激され呼吸が活発化したためと思わ れる。この呼吸の活発化は,それだけ品質の低下を早めることを意味するので避けなければならな い。なおC02ガスの発生量はリンゴの単位重量当りめppmであらわした。

(5)

S (^Vl'Vdd︶   ’00 9 0 0       0 0 0 t ^ -6 0 4 0 輸送中に生ずるリンゴの損傷に関する研究,(小嶋・木本)       1   10 0  ● 1   2   3

Before .vibration―I トAfter vibration

4 5 6 Amp】itude l inm Frequency (Hz) 0  0 ●  3.3 . △  5.0        Times (h. )    ’¨’

Fig. 8 C02 made on breath when apples were ゛ib°ted・、

│ 0 0 , 9 0  80   70   闇 ︵^vndd︶ ^OD       1 Before \'i I)1・atidii   O 丿 3 4 5 8 Amplitude 3・川 Frequencv (Hz) 0  0 ●  3.3 △ . L 6        Times (h.)

Fig. 9 C02made on breath when apples were vibrated.

5 .0   1   7 9 149

(6)

Amniiれicle ・7 ・川111 Frequency (Hz) ○ O ●  ふ3 △  5.0 150 ︵j`2QQ︶   N O Q 1 0 0 O ’   0       0 ︻ -C O L r t .40 高知大学学術研究報告  第21巻.農  学7  第17号 −        -Amplitude・ 5 ■mm. Frequency (Hz) 0  0 ●  3.3 △  5.0       1   0 0   1   2   31   4   5   6   7

Before vibrationH k After vibration      ,

       Times (h. )

       Fig. 10 C02 made on breath when apples were vibrated.

川O り O  80 ︲ 70   60 ︵3VWdd︶   ^00 佃 9 1 0        1   。0 0   1   2

Before vibration-^l │, After・ ViI)1・ation

3 6 7

      Times (h. )

Fig. 11 C02made on breath when ・apples were vibrated.

(7)

輸送中に生ずるリソゴの損傷に関する研究(小嶋・ 本) 151

      H.衝 撃 試 験

バ1)。実験目的      ●

 荷扱いの際の投げ,落下などによる衝撃はリンゴに直接的な損傷を与える。そこで衝撃によって

生じた損傷とC02の発生量の関係をしらべた。

 (2)実験方法

 直径16 mm

I

長さ190 rnm.

重量 297 g の軟鋼棒を2,

4 , 6, 8 cmの高さより落下させ,リンゴ

1個当り3箇所に衝撃損傷を加えた。

 C02の発生量の測定方法は前項の振動試,験の場合と同じである。

 (3)実験結果および考察

 落下高6 , 8 cmの場合は計器に不良箇所があったので成績から削除した。

 Fig. 12に示すように落下高が高くなると,つまり損傷体積が増加するほどC02の量は多くなっ

詣燃ぎg111 0  0 ●  2 △  ,l Volume of injury (mm')  O 512 737 120 川)   I   I  ㈲  ツ ︵^Vl^dd︶ 6 Q 8 0 7 0 聞      1   0 0   1   2   :3   1   5

 Before impact-≫j 卜After impact

       Times (h. )

Fig. 12 C02 made on breath when apples received the'impact.

ている。C02の量は衝撃直後から増加し約3時間後ピークに達し,その後急激に低下している。な

お損傷休積は褐色に変化した部分を割球とみなして算出した。

 以上のように細胞が破壊されると呼吸が促進され,酸化酵素か活性化し果肉の褐色変化が進み腐

敗を招くことになる。輸送,貯蔵中は緩衝材などを用いて機械的損傷を防がねばならない。

(8)

152 高知大学学術研究報告  第21巻  農  学  第17号

       摘     要

 輸送中に生ずる振勁,衝撃がリンゴにいかなる損傷を与えるかを調査した。その結果は次のよう

である。       1.

 (1)振動加速度(G)の増加とともにリンゴの硬度F

(kg/c

「)は低下した。その関係は次式

のようになる。

  i^=27.1-5.14

G

 (2)振幅,振動数の増加とともに硬度は低下するが,果腹部においてその傾向が強かった。

 (3)ダンボール箱内のリンゴは振動数が5.8

H.程度以上になると急激に振勁加速度が増加し,

損傷がひどくなる。

 (4)振動,衝撃を加えたことにより一時的にリンゴの呼吸によるCO2の発生量か増加する。

      参考卜文=献 1)中馬 豊,村田 敏,安部武美,早川 功:生鮮農産物の輸送損傷に関する研究,農機誌,第29巻,第2  号, p. 82∼87. (1967) 2)中馬 豊,泉 裕己,松岡孝尚:温州みかんの輸送損傷に関する研究,a機誌,第29巻,第2号, p. 104  ∼108. (1967)       卜 3)中馬 豊,岩元睦夫:鶏卵の輸送損傷に関する研究,a機誌,第29巻,第2号, p. 98∼103. (1969) 4)中馬 豊,村田 敏,紀伊富夫:りんごの衝撃加速度の測定と解析,農機誌,第32巻,第1号, p. 47∼  52. (1970) 5)星野茂雄,豊田 実:緩衝包装設計ハンドブック,日本生産性本部,p-  IM∼719. (1969) 6)長谷川良雄,倉持八重:りんごの輸送一輸送中の振動および衝撃の影響一鉄道業務研究資料,第13巻,第  9号, p. 252∼258. (1956) 7)長谷川良雄,小川 正:貨物輸送中の衝撃(第6報)一果実輸送中の衝撃‐鉄道技術研究所速報, No.  63∼333, p.1∼9. (1963) 8)中馬 豊:流通技術改善に資する果実,野菜の理工学的諸特性,コールドチェーン技術, Vol. 1, p. 73  ∼75. (1971)およびVol. 3, p. 52. (1971)   l・ 9)中馬 豊,泉 裕己,松岡孝尚:温州みかんの輸送損傷一外力による表皮損傷と呼吸変化―農機誌,第29  巻,第2号, p. 104∼108. (1967)

10) C. W. Nelson, N. N. Mohsenin : Maximum A】lowable Static and Dynamie Loads and Effecl

 of Temperature for Mechanical Injury in Apples, J. Agric. Engng. Res, Vol. 13, No. 4, p.

 305∼317 (1968)

Fig. 1 Vibrator Fig. 2 Apples in carton box.
Fig. 4 Acceleration vs. hardness.
Fig. 7 Frequencj' vs. acceleration of apples‑ at earch layer in carton boχ。
Fig. 8 C02 made on breath when apples were ゛ib°ted・、
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参照

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