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Academic year: 2021

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全文

(1)

学 位 研 究 紹 介 63

【方   法】

インフォームドコンセントの得られた中等度から高度 歯周炎患者12名と歯肉炎患者11名を被験者とした。病変 部よりポケット上皮を含む歯周組織を採取し,また同患 者の末梢血から比重遠心法により単核細胞を分離した。 それぞれの全RNAをAGPC法により抽出し,Dnase処理 後random primerとM-MLV逆転写酵素にてcDNAを合 成した。22種類のVβ特異的プライマーとCβプライ マーを用いてTCRβ鎖V-C領域をPCR増幅した。PCR産 物を熱変性し,4%ポリアクリルアミドゲル電気泳動に より展開させた。その後ゲルをナイロンメンブレンに転 写し,ビオチン化Cβプローブによりハイブリダイズさ せPhototope Star Detection KitにてX線フィルムに感 光させた。NIH image softwareで解析し,バックと最 高値との間の50%以上のdensityを持つバンドを数えた。 これによって得られたバンド数のデータはStatView 5 software上でMann-Whitney検定を行い,有意差の有無 を確認した。

【結   果】

SSCP解析 1.歯肉炎患者,歯周炎患者とも末梢血の写真は全体的 にスメアな様相を示した。(Fig. 1) 2.歯肉炎患者,歯周炎患者とも歯肉組織で多くのバン ドが検出された。(Fig. 2) 3.歯肉炎群と歯周炎群との比較では組織においても末 梢血においてもほとんどの症例でT細胞クローナリティ の集積に有意差は認められなかった。(Fig. 3) 4.歯肉炎群,歯周炎群ともに検出されたT細胞クロー ンのバンド数の平均は末梢血のそれに比べて有意に高 かった。(Fig. 3) IL-10,IFN-γ mRNAの検索 5.歯肉炎患者,歯周炎患者共に末梢血ではIFN-γ mRNAの発現が認められたが,歯肉では認められな かった。(Fig. 4) 6.IL-10 mRNAは歯肉組織,末梢血の両方で発現が認 められたが,その発現状況は個人差が大きく一定の傾 向は認められなかった。(Fig. 4)

歯肉炎と歯周炎における組織浸潤T細胞

のクローナリティ解析

Analysis of T cell clonality in

Periodontitis and Gingivitis Lesions

新潟大学大学院医歯学総合研究科 摂食環境制御学講座 歯周診断・再建学分野

伊藤 晴江

Division of Periodontology, Department of Oral Biological Science, Niigata University Graduate School of Medical and Dental Sciences

Harue Itou キーワード:T cell, RT-PCR-SSCP, Periodontitis

【目   的】

慢性炎症性歯周疾患の二つの病態のうち歯肉炎は優勢 なT細胞浸潤で特徴づけられ,一方歯周炎はB細胞・形 質細胞が優性であるが多数のT細胞も浸潤している。T 細胞は他の細胞との接着分子による細胞間相互作用や 様々なサイトカインを産生する事により,免疫応答全体 の制御を行っている重要な細胞である。これらのことか ら,二つの病変におけるT細胞の質的な違いを明らかに することは異なる臨床的病態の成因を知るうえで極めて 重要なことだと考える。これまで我々はいずれの病変に おいてもほとんどがCD45ROを発現するメモリーT細胞 であること,サイトカインプロフィールは歯周炎でタイ プ2が優勢であることを報告してきた。また,T細胞の 機能を規定する上で最も重要な抗原受容体については歯 周炎組織においてT細胞レセプター(TCR)のβ鎖V領域 遺伝子の発現が末梢血と比較して偏りがあること,SSCP 法を用いたTCRβ鎖CDR3の解析から,歯周炎患者群の 病変組織中に浸潤しているT細胞のクローナリティは, 末梢血に比べてオリゴクローナルであることを示した。 これらのことは歯周炎羅患組織中ではいくつかの共通し た抗原エピトープを認識しているT細胞が集積している ことを示唆するものであった。しかしながらこれらが歯 周炎を特徴づける所見であるかどうか明らかになってい ない。そこで本研究は臨床的に歯肉炎と診断される病変 を有する成人の末梢血と歯周組織中のT細胞クローナリ ティの集積についても検索し,歯周炎患者と比較,検討 した。 −63−

(2)

−64− 新潟歯学会誌 34(1):2004 64

【考察とまとめ】

IFN-γ,IL-10mRNAの発現に関しても歯周炎群と歯 肉炎群で違いは認められなかった。また歯肉炎組織中に おいても歯周炎組織と同じようにT細胞クローナリティ の集積が見られた。これらのことから歯肉炎組織中にお いても抗原特異的なT細胞クローンが存在することが明 らかにされた。 Fig. 1 歯周炎患者と歯肉炎患者における末梢血中T細胞の クローナリティの検索。歯周炎患者,歯肉炎患者共に ほとんどスメアな様相を呈した。それぞれのレーンは それぞれのVβファミリーを示しており,左から右に 向かってVβ1から20まで順番に並んでいる。 Fig. 2 歯周炎患者と歯肉炎患者における歯肉組織中のT 細 胞クローナリティの検索。歯周炎患者,歯肉炎患者と も検索した全てのVβファミリーで多くのバンドが検 出された。それぞれのレーンはそれぞれのVβファミ リーを示しており,左から右に向かってVβ1から20ま で順番に並んでいる。 Fig. 3 歯周炎患者群と歯肉炎患者群で検出されたバンド数 の比較。歯周炎患者群,歯肉炎患者群共に末梢血に比 べ歯肉組織で多くのバンドが検出された。

Fig. 4 末梢血,歯肉組織におけるIFN-γ,IL-10 mRNA発 現の検索。有意差の有無はMann-Whitney U-testにて 検索を行ったが,歯周炎患者群と歯肉炎患者群で有意 差は認められなかった。

Fig. 4 末梢血,歯肉組織におけるIFN-γ,IL-10  mRNA発

参照

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