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オーストリアドイツ語とアイデンティティ

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Academic year: 2021

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(1)オ ー ス ト リ ア ドイ ツ 語 と ア イ デ ン テ ィ テ ィ. 坂. 野. 0.は. 久. じめ に. 「専 門 家 達 は 、 我 々 オ ー ス ト リ ア 人 は 『意 志 の 国 民 』 で あ る と 言 っ て い る 。 即 ち 、 共 通 の 言 語 、 文 化 、 家 系 が 我 々 の オ ー ス ト リ ア と い う存 在 を 定 め る の で は な く、 こ の 共 通 性 へ の 意 志 の み で あ る。 そ し て 私 は そ れ を 素 晴 ら し く非 常 に 重 要 な こ と で あ る と思 う。 な ぜ な ら 自 己 を 他 の 誰 か ら も 切 り離 せ な い し、 ま た 誰 も切 り離 し て 考 え ら れ な い 。 オ ー ス ト リ ア を 表 明 す る こ と は 、 誰 か に 対 す る否 定(Nein)で. は な くて 、 オ ー ス ト リ ア に 対 す る 強 い 肯 定(Ja)で. こ れ は1996年5月19日. 新 宮 殿 で のOstarrichi-Feier(オ. ス ト リ ア 連 邦 大 統 領ThomasKlestilの. あ る。」1. ス タ ル リキ 祝 典)で. 行 った 当 時 の オ ー. 祝 辞 で あ る 。 彼 が 言 う よ う に 、 オ ー ス ト リア の 存 在 を. 定 め るの は、 共 通 性 へ の意 志 の み な の で あ ろ うか。 そ の共 通 性 へ の意 志 とは何 を意 味 して い るの で あ ろ う か 。 言 語 、 即 ち ドイ ツ 語 、 特 に オ ー ス ト リ ア ドイ ツ 語 は 、 オ ー ス ト リ ア の ア イ デ ン テ ィ テ ィ形 成 に と っ て 重 要 な 役 割 を 果 た し て い る の で あ ろ う か 。 本 稿 で は こ の よ う な 問 題 を 、 以 下 の 項 目に沿 って順 次 考 察 す る こ とに した い。 1.ネ. イ シ ョン、言 語 、 ア イ デ ンテ ィテ ィ. 2.ド. イ ツ と オ ー ス ト リ ア の ナ シ ョナ ル ア イ デ ン テ ィ テ ィ. 3.オ. ー ス ト リア ドイ ツ 語 と ア イ デ ン テ ィ テ ィ. 3.1.複. 中 心 言 語 と して の ドイ ツ 語. 3.2.複. 中 心 言 語 と して の オ ー ス ト リア ドイ ツ 語. 3.3.複. 中 心 言 語 ドイ ツ 語 と ア イ デ ン テ ィ テ ィ. 3.4.談. 話 分 析 に 見 ら れ る オ ー ス ト リア ア イ デ ン テ ィ テ ィ. 1.ネ オ ー ス ト リ ア で2004年. イ シ ョ ン、 言 語 、 ア イ デ ン テ ィ テ ィ. に 行 わ れ た あ る ア ン ケ ー ト調 査 で は 、 「eineNation(ネ. 一53一. イ シ ョ ン)は. 、.

(2) 近 畿 大 学 語 学 教 育 部 紀 要8巻2号(2008・12) 人 が 生 活 し て い る 国 家 に 対 す る人 々 の 同 意 に 基 づ い て い る、 た と え ス イ ス の よ う に 人 々 が 異 な る 言 語 を 話 し て い て も」 と い う 意 見 に 同 意 し た 国 民 の 割 合 は83%に (ネ イ シ ョ ン)は. 達 し た 。 他 方 、 「eineNation. 共 通 の言 語 に基 づ いて い る、 この言 語 を 話 す 人 々 が一 つ の 国 あ る い は幾 多 の 国. で 生 活 し て い る か に 関 わ り な く」 と い う意 見 に 賛 同 し た 人 々 は15%に こ の 言 語 ネ イ シ ョ ン(Sprachnation)と /Staatsnation)の. 過 ぎ な か っ た2。. コ ン セ ン サ ス ・国 家 ネ イ シ ョ ン(Konsensual-. い ず れ に 賛 同 す る か と い う 、 オ ー ス ト リ ア に お け る 社 会 学 的 な ア ン ケ ー ト調. 査 に お い て 、 言 語 か ら独 立 し た 共 通 の 国 家 を 中 核 と す る ナ シ ョ ナ ル コ ン セ プ トに 、 か な り多 数 の 賛 成 意 見 が 見 ら れ る。 即 ち 、 オ ー ス ト リ ア で は 言 語 ネ イ シ ョ ン よ り も 国 家 ネ イ シ ョ ン に 賛 同 す る 者 が 多 い と言 え よ う。 し か し オ ー ス ト リ ア で は 公 式 に 言 語 ネ イ シ ョ ン に 賛 同 す る と い う意 見 表 明 が 出 来 な い 背 景 も あ る。 こ れ は 言 語 ナ シ ョ ナ リ ズ ム に 繋 が り、 大 ドイ ツ 言 語 ネ イ シ ョ ン に 及 ぶ 問 題 提 起 と な り、 オ ー ス ト リ ア 第 二 共 和 国 に お い て は 、 憲 法 上 公 式 に は 望 め な い 所 見 と な っ て い る 。 し か し ま た 現 実 の 言 語 政 策 と政 治 家 及 び 一 般 市 民 の 個 人 的 な 談 話 な ど に は 、 言 語 ネ イ シ ョ ン に 対 す る本 音 が し ば し ば 現 れ る場 合 も あ る。 オ ー ス ト リ ア に お け る ネ イ シ ョ ン を 考 え る場 合 、 二 つ の ナ シ ョ ナ ル コ ン セ プ トが そ の 特 徴 と な る で あ ろ う。 そ の 一 つ は 、 主 観 的 ・主 意 主 義 的 ナ シ ョ ナ ル コ ン セ プ トで 、 主 観 的 な 意 志 の 共 同 体 と し て の コ ン セ ン シ ャ ル(当. 事 者 間 の 合 意)ネ. イ シ ョ ン で あ る。 ま た 他 の 一 つ が 、 客 観 的 ・文 化. 的 ナ シ ョ ナ ル コ ン セ プ トで 、 ネ イ シ ョ ン は 歴 史 的 に 成 立 し、 言 語 、 領 土 、 経 済 生 活 、 文 化 共 同 体 の 中 で 明 ら か に な る心 理 的 な 存 在(共. 同 体)に. 基 づ く も の で あ る。. こ の 二 つ の ナ シ ョ ナ ル コ ン セ プ トの 違 い が 、 「国 家 ネ イ シ ョ ン 」 と 「文 化 ネ イ シ ョ ン」 と し て 具 現 化 さ れ て い る。 前 者 は 共 通 の 国 家 的 ・政 治 的 発 展 に よ っ て 形 づ く ら れ た 共 同 体 で あ る。 例 え ば 、 古 代 ギ リ シ ャ のdさmos(デ. ィ モ ス)や. フ ラ ン ス 共 和 制 な ど が そ の 典 型 的 な 例 と な ろ う。 後. 者 は 国 家 の 地 理 的 な 境 界 に よ っ て 左 右 さ れ な い 、 共 通 に 拡 大 し た 文 化 と言 語 に よ っ て 定 義 さ れ 、 ethnos(Volk)概. 念 に よ っ て 連 想 さ れ る 共 同 体 で あ る 。 例 え ば ドイ ツ 文 化 ネ イ シ ョ ンが そ の 例. と な ろ う。 こ の ドイ ツ 言 語 ・文 化 ネ イ シ ョ ン は 、 オ ー ス ト リ ア に お け る ネ イ シ ョ ン を 考 え る 場 合 、 伝 統 的 ・ 保 守 的 な 文 化 ・言 語 ネ イ シ ョ ン と見 な さ れ 、 極 端 な 場 合 に は 人 種 差 別 主 義 的 な 「血 統 共 同 体 」 と 受 け と め ら れ る場 合 も あ る。 し か し1945年 以 降 オ ー ス ト リ ア 住 民 の 意 識 存 在 の 中 に は 、 こ の 保 守 的 な 言 語 ネ イ シ ョ ン で は な く、 政 治 的 な 意 志 共 同 体 で あ る オ ー ス ト リ ア 「国 家 ネ イ シ ョ ン」 が 浸 透 し て い る。. 一54一.

(3) オ ー ス トリア ドイ ツ語 とア イ デ ンテ ィテ ィ こ の よ う な オ ー ス ト リア に お け る言 語 ・文 化 ネ イ シ ョ ン と国 家 ネ イ シ ョ ン の 複 雑 な 関 係 が 、 オ ー ス ト リ ア の ナ シ ョナ ル ア イ デ ン テ ィ テ ィ 形 成 に 大 き く影 響 して い る。 ナ シ ョ ナ ル ア イ デ ン テ ィ テ ィ と は 、 「想 像 さ れ た 共 同 体 」 即 ち 、 「共 通 で 類 似 の 観 念 複 合 体 」 で あ り、 「共 通 で 類 似 の 感 情 的 な 見 解 ・態 度 ・行 動 を 自 由 に 裁 量 す る認 知 図 式 」 で あ る と 定 義 づ け ら れ る が3、 本 質 的 に は 、 一 つ の ナ シ ョ ナ ル ア イ デ ン テ ィ テ ィ は 存 在 し な く て 、 む し ろ 大 衆 と、 背 景 と な る コ ン テ キ ス トに よ っ て 、 異 な る ア イ デ ン テ ィ テ ィ が 構 成 さ れ る。 そ の 際 、 政 治 的 な エ リ ー ト と メ デ ィ ア か ら提 供 さ れ る ア イ デ ン テ ィ テ ィ草 案 と、 日常 的 な 談 話 の 間 に 、 相 対 す る違 い が 存 在 す る こ と は 希 で は な い 。 ナ シ ョ ナ ル ア イ デ ン テ ィ テ ィ に 関 す る議 論 に は 、 内 容 的 に は 国 家 的 な 共 通 性 の み な ら ず 、 共 通 文 化 を も 引 き 合 い に 出 さ れ る場 合 が 多 い の で 、 国 家 ネ イ シ ョ ン と文 化 ネ イ シ ョ ン と い う伝 統 的 な 厳 格 な 二 分 論 で は な く、 文 化 的 ・国 家 的 両 ナ シ ョ ナ ル 要 素 を 常 に 顧 慮 し て お く必 要 が あ る。 特 に 言 語 は 文 化 的 ナ シ ョ ナ ル ア イ デ ン テ ィ テ ィ と の 関 連 が 深 い 。F.Coulmasは. 、 「言 語 は 外 へ の グ. ル ー プ 所 属 性 を 示 し、 内 へ の グ ル ー プ 所 属 性 を 作 り 出 す 最 も 明 確 な 、 最 も力 強 い シ ン ボ ル シ ス テ ム で あ る 」4と 述 べ て い る 。 故 に 言 語 政 策 は し ば し ば ナ シ ョ ナ ル ア イ デ ン テ ィ テ ィ 構 成 の 主 要 手 段 と な る 。F.Coulmasは. さ ら に こ の 言 語 政 策 の 意 義 を 次 の よ う に 語 っ て い る 。 「言 語 が ネ イ シ ョ. ンの た め の一 つ の ま とま りを創 るの で は な くて、 逆 に ネ イ シ ョ ンが そ の ア イ デ ンテ ィテ ィの表 現 と し て 、 一 つ の 統 一 した 言 語 を 創 造 す る の で あ る 」5。 た と え ス イ ス や ベ ル ギ ー の よ う な 例 が 、 統 一 的 な ナ シ ョ ナ ル 言 語 は 一 つ の ネ イ シ ョ ン が 存 在 す る た め に 必 要 で な い こ と を 示 し て い て も、 ヨ ー ロ ッパ で は ネ イ シ ョ ン形 成 の プ ロ セ ス は ナ シ ョ ナ ル 言 語 の 創 造 と強 く結 び つ い て い た こ と は 確 か で あ る。 影 響 力 の あ る方 言 が ナ シ ョ ナ ル 言 語 と な っ た の で あ る。 特 に 大 植 民 地 権 力 を も っ た ス ペ イ ン、 ポ ル トガ ル 、 英 国 、 フ ラ ン ス 、 オ ラ ン ダ の よ う な ネ イ シ ョ ン が そ う で あ り、 イ タ リ ア と ドイ ツ は 権 力 集 中 化 が 遅 れ 、19世 紀 以 降 に ネ イ シ ョ ン と な っ た 。 ま た この よ うな ナ シ ョナ ル言 語 へ の プ ロセ ス に お い て、 少 数 派 弾 圧 が行 わ れ た こ とは 明 か で あ る。 権 力 中 枢 に 対 す る住 民 の 忠 誠 心 が 国 家 語 に よ っ て 結 び つ け ら れ 、 ネ イ シ ョ ン と い う抽 象 的 な 理 念 に 収 束 さ せ ら れ る こ と に よ っ て 、 他 の 全 て の 言 語 と言 語 ヴ ァ リ エ ー シ ョ ン が 標 準 化 さ れ 、 標 準 化 の 枠 か ら外 れ た 極 端 な も の が 禁 止 さ れ た 。 フ ラ ン ス の 国 家 ネ イ シ ョ ン が そ の 典 型 的 な 例 と い え よ う。 そ こ で は 統 一 さ れ た 国 家 語. 「標 準 フ ラ ン ス 語 」 の 普 及 と そ れ に よ る ナ シ ョ ナ ル 教 育 の 徹. 底 が 行 わ れ て い る。 歴 史 的 に 見 て も、 す で に1539年 央 集 権 化 プ ロ セ ス が 始 ま り、1881∼1884年. に 「役 所 言 語 使 用 の 規 則 」 に よ っ て 言 語 の 中. の学 校 法 成 立 に よ って、 最 終 的 に フ ラ ンス語 が 唯一 の. 授 業 語 と し て 設 定 さ れ 、 他 の 全 て の 言 語 を 意 味 す るpatoisは. 一55一. そ れ に よ って組 織 的 に差 別 され る.

(4) 近 畿 大 学 語 学 教 育 部 紀 要8巻2号(2008・12) こ と に な っ た 。 フ ラ ン ス 語 は フ ラ ン ス と い う ネ イ シ ョ ン の 多 数 派 の 「母 語 」 に さ れ て し ま っ た の で あ る 。 しか し そ れ で も 、1973年. の 国 民 議 会 の 調 査 に よ る と、 人 口2600万. 人 中 約300万. 人 しか標. 準 フ ラ ン ス 語 を 流 暢 に 話 せ な か っ た と 言 わ れ て い る6。 「民 衆 の 言 語 」 が い わ ゆ る 「上 」 か ら指 示 さ れ た 結 果 で あ ろ う。 他 方 、 ハ プ ス ブ ル ク(オ. ー ス ト リ ア ・ハ ン ガ リ ー)帝. 国 に お け る独 自 の オ ー ス ト リ ア ネ イ シ ョ. ン形 成 挫 折 の 原 因 は 、 統 一 的 な 言 語 政 策 の 失 敗 で あ っ た か も し れ な い 。 当 初 は 帝 国 全 体 に 、 後 に は オ ー ス ト リ ア 側 に 、 ドイ ツ 語 を 国 家 語 と し て 浸 透 さ せ よ う と し た ヨ ー ゼ フニ 世 以 来 何 度 も繰 り 返 さ れ た 企 て は 失 敗 し た 。 ハ ン ガ リ ー 側 で は1867年 1869年 の 帝 国 国 民 学 校 法 とutraquistischeSchule7の. ま で ラ テ ン語 が 国 家 語 と し て 残 っ て い た 。 導 入 に よ っ て 、 非 ドイ ツ 語 少 数 派 に 対 す. る よ り強 い ゲ ル マ ン化 が 遂 行 さ れ た 。 し か し そ こ に は フ ラ ン ス の 場 合 と本 質 的 な 違 い が 見 ら れ る 。 utraquistischeSchuleで. は、 少 な く と もナ シ ョナル 的 な教 育 プ ロセ ス の 初 め に は、 それ ぞ れ の. 少 数 言 語 に 一 定 の 働 き が 与 え ら れ て い た か ら で あ る。 こ の 伝 統 は 今 日 の オ ー ス ト リ ア 第 二 共 和 国 で も受 け 継 が れ て い る。 い ず れ に し て も19世 紀 以 降 の ヨ ー ロ ッパ で は 、 す で に 存 在 し て い る ナ シ ョ ナ ル 的 な 統 一 体 か ら 出 発 し て 、 言 語 帝 国 主 義 が 内 面 へ 推 し進 め ら れ 、 ネ イ シ ョ ン の 言 語 統 一 体 が 求 め ら れ た 。 そ し て 言 語 は ナ シ ョナ ル 的 な統 一 運 動 の理 念 的 な手 段 と して、 ナ シ ョナ ル 国家 設 立 の 中心 的、 シ ンボ ル 的 役 割 を 果 た して い た 。 即 ち 、 言 語 は ネ イ シ ョ ン創 造 の 中 核 的 な 要 素 と な り、 「国 家 語 」 は ナ シ ョ ナ ル 的 な 教 育 機 関 に よ っ て 認 め ら れ 、 「母 語 」 と して 理 念 的 に 美 化 さ れ た の で あ る 。 こ の 種 の コ ン セ プ トが 依 然 と し て 有 効 で あ る こ と が 、 グ ロ ー バ ル 化 プ ロ セ ス や ポ ス トナ シ ョ ナ ル 的 な 要 望 に も か か わ ら ず 、 最 近 の オ ー ス ト リ ア 周 辺 の 国 々 の 出 来 事 か ら も理 解 で き よ う。 か っ て の ユ ー ゴ ス ラ ビ ア と ソ ヴ ィ エ ト連 邦 の 後 継 諸 国 に お い て も、 言 語 は ナ シ ョナ ル ア イ デ ン テ ィ テ ィ 形 成 過 程 の手 段 と して用 い られ、 ま た言 語 政 策 は ナ シ ョナ ル 的 な統 一 手 段 と して機 能 させ られ て い る。 故 に 、 言 語 は ナ シ ョ ナ ル 的 な 自 己 認 識 過 程 に お い て 本 質 的 な 役 割 を 果 た し て い る。 こ れ が ナ シ ョ ナ ル ア イ デ ン テ ィ テ ィ を 議 論 す る 際 の 始 点 と な る べ き で あ ろ う。. 2.ド. イ ツ と オ ー ス ト リア の ナ シ ョナ ル ア イ デ ン テ ィテ ィ. 1989年 の部 分 的 に成 功 した ドイ ツ統 一 プ ロセ ス に お い て、 言 語 の 中心 的 な役 割 が文 献 等 で よ く 指 摘 され て い る。 部 分 的 に成 功 した と は、 そ の結 果 が オ ー ス ト リア等 ドイ ツ語 地 域 全 体 を含 む 「大 ドイ ツ 的」 な もの で は な く、 旧 東 西 両 ドイ ツ地 域 に 限 定 され た意 味 で 「小 ドイ ツ的 」 とい う. 一56一.

(5) オ ー ス トリア ドイ ツ語 とア イ デ ンテ ィテ ィ 意 味 で あ る。 例 え ば 、BritishAssociationforAppliedLinguistics1991の. 会 議 録 に は 、 ドイ. ツ の ナ シ ョ ナ ル 意 識 存 在 の 成 立 に は 「言 語 ・文 化 ネ イ シ ョ ン」 の 政 治 化 が 決 定 的 な も の で あ っ た 、 と述 べ ら れ て い る8。 そ し て 言 語 が ネ イ シ ョ ン に と っ て 最 も重 要 な 特 徴 で あ る と い う コ ン セ プ ト は 、 特 に 「ドイ ツ 的 な 思 考 」 と 関 わ り が あ り、 さ ら に ドイ ツ 統 一 の コ ン テ キ ス トで 不 安 を 抱 か せ る事 実 と して 、 「血 統 ・家 系 原 理 」 が ドイ ツ の ナ シ ョ ナ リテ ィ 定 義 に 依 然 と し て ま だ 有 効 で あ る こ と も 指 摘 さ れ て い る9。 「血 統 ・家 系 原 理 」 は 東 欧 諸 国 か らの 帰 郷 移 民 に 対 す る ドイ ツ 政 府 の 政 策 に 現 実 に 現 れ て い る 。 ま たF.Coulmasは. 、Herder,Fichte,Humboldtの. よ う な ドイ ツ の. 思 想 家 達 が 、 言 語 を 「ネ イ シ ョ ン形 成 の 機 関 」 と し て 、 ま た 「ネ イ シ ョ ン の 魂 」 と し て テ ー マ 化 し て い る と指 摘 し て い る10。 ヨ ー ロ ッパ で 「遅 れ て き た ネ イ シ ョ ン」 と さ れ る ドイ ツ で は 、 言 語 の イ デ オ ロ ギ ー 化 と機 能 化 が ナ シ ョ ナ ル 的 な プ ロ セ ス で 確 立 さ れ た 。 こ の 観 点 か ら見 れ ば 、 オ ー ス ト リ ア ・ハ ン ガ リ ー 帝 国 内部 で オ ー ス トリア 的 ナ シ ョナ ル意 識 存 在 が生 み 出 され な か った理 由 は、 帝 国 内部 の多 言 語 性 が 大 き な 要 因 と考 え ら れ る。. ドイ ツ 語 を 帝 国 内 の 国 家 語 と し て 実 現 さ せ よ う と い う企 画 が 幾 度 も. 挫 折 す る こ と に よ っ て 、 各 言 語 の ナ シ ョ ナ ル 的 な 要 素 が こ の 「国 家 像 」 形 成 過 程 で さ ら に 強 化 さ れ 、 そ れ が 一 言 語(ド. イ ツ 語 の み)に. よ るナ シ ョナ ル 的 な動 き を飛 び越 え て、 言 語 相 対 的 に 同質. で あ る 「帝 国 後 継 国 家 」 を 形 成 す る こ と に な っ た 、 と考 え ら れ る。 こ の よ う な 展 開 は 、 オ ー ス ト リ ア ・ハ ン ガ リ ー 帝 国 内 の ドイ ツ 語 を 話 す 住 民 達 の 意 見 に 反 映 さ れ て い る。 そ の 一 つ は 、 彼 ら が よ り大 き な ドイ ツ 文 化 ・言 語 ネ イ シ ョ ン の メ ン バ ー と意 識 し て い た こ と で あ る 。 そ れ は 最 終 的 に1918年 共 和 国)と. の 「ドイ ツ 語 国 家 」(ド イ ツ ・オ ー ス ト リア 共 和 国 、 第 一. い う 形 で 実 現 し 、 そ の 後 ドイ ツ 併 合 と い う 結 果 と な っ た 。 も う 一 つ の 意 見 は 、 「古 い. オ ー ス ト リ ア 的 な 」 複 言 語 ア イ デ ン テ ィ テ ィ を 望 む 意 見 で あ っ た 。 し か し そ れ は い わ ゆ る 「忠 誠 心 」 か ら ま ず 第 一 に 「君 主 ・皇 帝 」 と結 び つ き 、 「国 民 」 と 結 び つ く も の で は な か っ た 。 そ し て 前 者 の 意 見 を 選 択 し た の が 、 と り わ け 政 治 エ リ ー ト、 イ ン テ リ、 科 学 者 達 で あ り、 後 者 の 意 見 を 選 ん だ の は 、 む し ろ 下 層 住 民 と ス ロ ヴ ェ ニ ア 人 の よ う な 少 数 派 に 属 す る人 達 、 あ る い は 移 住 し て き た ユ ダ ヤ 人 達 で あ っ た と 言 わ れ て い る11。 前 者 の オ ー ス ト リ ア エ リー トの 意 見 の 産 物 が 、 い わ ゆ る 「ドイ ツ 語 国 家 」 の 連 邦 憲 法 第8条. 「ドイ ツ 語 は 共 和 国 の 国 家 語 で あ る 」 と な っ た の で あ る 。. 1945年 第 二 共 和 国 誕 生 と共 に 、 オ ー ス ト リ ア は ドイ ツ 文 化 ネ イ シ ョ ン の 理 念 か ら離 れ 、 す で に 言 及 し た よ う に 、 オ ー ス ト リ ア の 歴 史 家 の 大 多 数 は 「国 家 ネ イ シ ョ ン 」 「意 志 ・コ ン セ ン シ ャ ル ネ イ シ ョ ン」 を 問 題 に す る よ う に な っ た 。 オ ー ス ト リ ア ネ イ シ ョ ン が 存 在 す る た め に 重 要 な の は 、. 一57一.

(6) 近 畿 大 学 語 学 教 育 部 紀 要8巻2号(2008・12) オ ー ス ト リア 意 識 存 在 が 存 続 す る こ とで あ る。 こ の オ ー ス ト リア 自 己 意 識 存 在 は 、60年 代 以 降 オ ー ス ト リ ア ナ シ ョ ナ ル ア イ デ ン テ ィ テ ィ へ と濃 縮 さ れ た 。 オ ー ス ト リ ア を 一 つ の ネ イ シ ョ ン と見 な す 割 合 が 、1964年 上 昇 し、2000年. に は47%、1970年 ∼2004年. 代 に は64%、80年. に は76%で. 代 に は74%で. あ っ た が 、90年 代 に は78%に. 上 昇 傾 向 が 止 ま っ て い る12。. 公 式 の 政 治 談 話 ・講 演 会 等 で は 、 言 語 、 特 に ドイ ツ 語 は 、 オ ー ス ト リ ア ア イ デ ン テ ィ テ ィ構 成 に 重 要 な 役 割 を 果 た し て い な い と い わ れ て い る。 オ ー ス ト リ ア ネ イ シ ョ ン は1945年. 以 降 に成 立 し. た が 、 そ れ は 本 質 的 に 言 語 ・文 化 ネ イ シ ョ ン に 対 す る対 抗 概 念 と し て で あ っ た 。 独 自 の オ ー ス ト リ ア ネ イ シ ョ ンを 定 義 づ け る た め に は 、 出 来 る 限 り ドイ ツ と の 違 い を 強 調 す る こ と が 必 要 で あ り、 故 に オ ー ス ト リ ア 人 の 大 多 数 に と っ て ドイ ツ 文 化 ネ イ シ ョ ン か ら距 離 を 置 く こ と は 自然 な こ と で あ っ た 。 し か し そ れ で も特 に 学 問 分 野 で は 、 オ ー ス ト リ ア は 大 ドイ ツ 文 化 ・言 語 ネ イ シ ョ ン の 一 部 で あ る と い う見 解 が あ る 。 こ の テ ー ゼ を 支 持 す るL.H6beltは. 、 ネ イ シ ョ ン区 分 の 基 準 は. 「母 語 」 で あ り、 ドイ ツ 語 を 話 す ス イ ス 人 、 南 チ ロ ル 人 と 同 様 に オ ー ス ト リア 人 の 大 多 数 は ま さ に 「ドイ ツ語 人 」 で 、Deutschと6sterreichischと. い う 分 類 は お 互 い を 排 除 し合 う も の で は な. く、 我 々 の ア イ デ ン テ ィ テ ィ の 異 な る要 素 で あ り、 さ ら に 「オ ー ス ト リ ア は 今 日 そ の 歴 史 に お け る よ り も よ り ドイ ツ 的 で あ る」 と述 べ て い る13。 こ の よ う な ネ イ シ ョ ン 区 分 の 基 準 を 「母 語 」 と す る考 え 方 が 、 依 然 と し て 支 持 さ れ て い る事 実 を 次 の ア ン ケ ー ト調 査 結 果 が 示 し て い る。 「母 語 は 人 間 が 維 持 す べ き 最 も価 値 の 高 い も の の 一 つ で あ る 」 と 言 う意 見 に 、50%が. 賛 同 し、. 「独 自 の 母 語 が 後 退 を 余 儀 な く さ せ ら れ る 場 合 で も 、 英 語 の 拡 大 を 歓 迎 しま す か 、」 と い う 問 い に 、 25%は. 肯 定 の 、63%は. 否 定 の 回 答 を し て い る14。. し か しす で に 言 及 し た よ う に 、 オ ー ス ト リ ア の 歴 史 家 の 大 多 数 は こ の 立 場 を 拒 否 し て お り、 ま た 住 民 に 対 す る ア ン ケ ー ト調 査(1987∼2004年)で ン で あ る と 認 め(69∼83%)、 (15∼28%)15。. も、 約 四 分 の 三 が オ ー ス ト リ ア は 国 家 ネ イ シ ョ. 言 語 ネ イ シ ョンに賛 同す るの は 国民 の約 四分 の一 にす ぎな い. さ ら にA.F.Reitererの. 調 査(1988年)で. は 、 ナ シ ョナ ル 意 識 存 在 の た め の 言. 語 の 役 割 に 関 し て 、 「言 語 が そ の た め に 決 定 的 に 重 要 で あ る 」 と の 意 見 は 約16%に 的 政 治 的 に 共 同 生 活 す る と い う意 志 が 重 要 で あ る 」 と の 意 見 は 約30%に FP6(FreiheitlichePartei6sterreichs=オ を 置 く 割 合 が 、 約41%に し てFP6支. ー ス ト リ ア 自 由 党)支. 過 ぎ ず 、 「経 済. 達 して い る 。 た だ し. 持 者 の 間 で は 、 言 語 に優 位. 達 し て い る16。 非 教 養 層 、 農 民 、 年 金 生 活 者 、 旧 ブ ル ケ ン ラ ン ド人 、 そ. 持 者 達 は 言 語 を ネ イ シ ョ ン概 念 の 中 心 要 素 と 見 な す 傾 向 が あ る 。 他 方 、 教 養 層 、. 一58一.

(7) オ ー ス トリア ドイ ツ語 とア イ デ ンテ ィテ ィ サ ラ リ ー マ ン、 若 者 、 ウ ィ ー ン の よ う な 大 都 会 の 住 民 達 に と っ て は 、 言 語 は ネ イ シ ョ ン概 念 の 基 準 と は な っ て い な い 。 故 に 、 ネ イ シ ョ ン概 念 は 社 会 階 級 層 に よ っ て も基 準 が 異 な る と言 え よ う。 こ の よ う な オ ー ス ト リ ア ネ イ シ ョ ン に 関 す る様 々 な 見 解 と ア ン ケ ー ト調 査 結 果 は 、 大 き く次 の 二 つ の 意 見 に 凝 縮 さ れ よ う。 1)オ. ー ス ト リ ア は ドイ ツ 的 な ネ イ シ ョ ン の 一 部 で あ る。. 2)オ. ー ス ト リ ア は 独 自 の ネ イ シ ョ ン で あ る。. 前 者 を 支 持 す る 層 は 、 言 語 ・文 化 ネ イ シ ョ ン を 重 視 す る 一 部 の エ リ ー ト層 とFP6支. 持者 が 目. 立 つ が 、 オ ー ス ト リ ア の 一 般 市 民 は 後 者 を 支 持 し て い る。 後 者 の 場 合 も言 語 要 素 を 伴 わ な い 国 家 ネ イ シ ョ ン 中 心 の イ デ オ ロ ギ ー が 実 際 に 支 配 的 で あ る と は 断 定 で き な い 。 言 語 が 自然 な オ ー ス ト リ ア ア イ デ ン テ ィ テ ィ構 成 に 際 し て 一 つ の 重 要 な 役 割 を 果 た し て い る事 実 を 無 視 で き な い か ら で あ る。 言 語 、 特 に ドイ ツ 語 は 、 オ ー ス ト リ ア ア イ デ ン テ ィ テ ィ構 成 の た め に 如 何 な る意 味 が あ る の か 。 こ の 問 題 を さ ら に 詳 細 に 観 察 す る に は 、 主 に 次 の 三 点 を 顧 慮 し な け れ ば な ら な い で あ ろ う。 1)オ. ー ス ト リ ア ドイ ツ 語 の 問 題 、 即 ち オ ー ス ト リア ドイ ツ語 は オ ー ス ト リ ア ア イ デ ン テ ィ テ ィ. 構 成 に と って どの程 度 役 割 を果 た して い るか とい う問題 。 2)少. 数 言 語 の 問 題 、 即 ち少 数 言 語 話 者 ・複 言 語 話 者 に と っ て の オ ー ス ト リ ア ア イ デ ン テ ィ テ ィ. の意 義 とそ の可 能 性 と限界 に つ い て。 3)国. 家 語 と して の ドイ ツ 語 の 問 題 、 即 ち 学 校 で の 授 業 語 と し て の 、 役 所 で の 役 所 語 と し て の 、. ナ シ ョ ナ ル 的 な コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン手 段 と し て の ドイ ツ 語 の 問 題 。 本 稿 で は 紙 面 の 都 合 で 、 特 に1)「. オ ー ス ト リ ア ドイ ツ 語 と オ ー ス ト リ ア ア イ デ ン テ ィ テ ィ」 に. 焦 点 を絞 って、 以 下 考 察 す る こ とに した い。. 3.オ 3.1.複. ー ス ト リ ア ドイ ツ 語 と ア イ デ ン テ ィ テ ィ. 中 心 言 語 と して の ドイ ツ 語. ドイ ツ 語 を 話 す 住 民 の 地 域 が 少 な く と も 四 つ の 大 き な 国 家 へ 区 分 さ れ る と い う1945年 以 降 の 歴 史 的 な 展 開 に よ っ て 、 同 一 言 語 の 様 々 な ヴ ァ リエ ー シ ョ ンが 問 題 と な っ て き た 。 言 語 的 ヴ ァ リエ ー シ ョ ン と は 、 「一一 言 語 の 組 織 全 体 に 機 能 的 に 互 い に 区 分 さ れ る 構 造 的 サ ブ シ ス テ ム 」17と 定 義 づ け ら れ る。 地 理 的 な 領 域 で の ヴ ァ リ エ ー シ ョ ン は 、 中 心 お よ び 周 辺 領 域 を も つ 連 続 体 と し て 考 え る ことが で き、 そ の 中心 領 域 はあ る程 度 の安 定 性 と同質 性 に よ って特 徴 づ け られ、 そ れ は標 準 ヴ ァ リ エ ー シ ョ ン(Hochsprache,Schriftsprache,Gemeinsprache)と. 一59一. して 、 日常 語(Umgangsspra一.

(8) 近 畿 大 学 語 学 教 育 部 紀 要8巻2号(2008・12) che)と. し て 、 あ る い は ま た 方 言(Dialekte)と. し て 表 示 さ れ る。 「ドイ ツ 語 は お そ ら く ヨ ー ロ ッ. パ で 最 も 変 化 に 富 む 言 語 で あ る 」18と 言 わ れ る よ う に 、 ドイ ツ 語 は ヴ ァ リエ ー シ ョ ン が 豊 富 な 言 語 で あ る こ と は 確 か で あ る。 ドイ ツ 語 標 準 語(diedeutscheStandardsprache)に. つ い て は 、 前 世 紀 の80年 代 に 、 複 中 心. 的 言 語 が 重 要 で あ る と い う見 解 が 生 ま れ 、 ゲ ル マ ニ ス テ ィ ッ ク に お い て も1986年 ン)で. のIDT(lnternationaleDeutschlehrertagung)とZGL論. の ス イ ス(ベ. ル. 放 で のP.vonPolenzの. 次 の 発 言 が 頻 繁 に 引 用 さ れ て い る 。 「 ドイ ツ 語 の 歴 史 の な か で も完 全 に 固 定 妄 想 に と ら わ れ た 標 準 化 と い う 時 代 は 今 日 で は お そ ら く終 わ り を 迎 え た で あ ろ う 」19。そ れ 以 来 、 ドイ ツ 語 は 複 中 心 的 ・複 ナ シ ョ ナ ル 的 言 語 と見 な さ れ て い る。 即 ち 、 ドイ ツ 語 は そ の 言 語 の 拡 大 地 域 が 複 数 国 に 及 び 、 言 語 発 展 の 幾 多 の 中 心 を も っ て お り、 そ れ ぞ れ に い わ ゆ る ナ シ ョ ナ ル ヴ ァ リ エ ー シ ョ ン、 あ る い は 独 自 の 規 範 と慣 用 を も つ ヴ ァ リ エ ー シ ョ ン が 存 在 す る。 そ の よ う な 複 中 心 的 あ る い は 複 ナ シ ョ ナ ル 的 言 語 の 例 と し て は 、 ドイ ツ 語 以 外 に 英 語 、 フ ラ ン ス 語 、 ス ペ イ ン語 、 中 国 語 、 ア ラ ブ 語 な ど も あ げ ら れ る。 ,,plyzentrische"あ. るいは. 。plurizentrische"Sprache(複. カ と ドイ ツ の 社 会 言 語 学 者W.A.StewartとH.Klossに の ゲ ル マ ニ ス トM.Clyneに. 中 心 言 語)と. い う用 語 は 、 ア メ リ. よ っ て 導 入 さ れ 、 オ ー ス トラ リ ア. よ って、 現 在 使 用 さ れ て い る意 味 に転 用 さ れ た と言 わ れ て い る。. し か し ま た 類 似 の コ ン セ プ トが ナ シ ョ ナ ル ヴ ァ リ エ ー シ ョ ン と い う概 念 と結 び つ い て 、 ロ シ ア 言 語 学 で50年 来 発 達 して お り、 オ ー ス ト リ ア か ら亡 命 し た ユ ダ ヤ 人E.Rieselが. この 種 の 概 念 を. ドイ ツ 語 に 翻 訳 し た と も言 わ れ て い る 。 こ の 概 念 史 に 関 し て は 、U.Ammon(1995)に. 詳 しく. 論 じ ら れ て い る が20、 そ れ に よ る と 幾 多 の 言 語 中 心 を も つ 言 語 は い わ ゆ るplurizentrische Sprachenで. あ る が 、 そ の 際 特 に ネ イ シ ョ ン が 問 題 と な る 場 合 に は 、plurinationaleSprachen. と言 わ れ て い る。 故 に オ ー ス ト リ ア ドイ ツ 語 は 、 複 中 心 言 語 ドイ ツ 語 の 「ナ シ ョ ナ ル ヴ ァ リ エ ー シ ョ ン」 で あ り 、 ドイ ツ 語 の 各 ヴ ァ リ エ ー シ ョ ンTeutonismen(ド Austriazismen(オ な る。Ammon(1995)に. ー ス ト リ ア ドイ ツ 語)、Helvetismen(ス. イ ツ 連 邦 ドイ ツ 語)、. イ ス ドイ ツ 語)が. 存 在 す る こ とに. よ れ ば21、 異 な っ た 中 心 内 の 少 な く と も 二 つ の 標 準 ヴ ァ リエ ー シ ョ ン. を 自 由 に 使 え る言 語 は 、 「複 中 心 言 語 」 と 名 付 け られ る 。 「複 ネ イ シ ョ ン言 語 」 と は 、 そ の 中 心 に 少 な く と も二 つ の ネ イ シ ョ ン が 数 え ら れ る複 中 心 言 語 で あ る。 そ の 際 、 完 全 な 中 心 と い う の は 、 標 準 言 語 が 独 自 の 辞 書 類 で 確 立 さ れ て い る 場 合 で あ り(例. え ば 、 ドイ ツ 、 オ ー ス ト リア 、 ス イ ス)、. 他 方 、 標 準 化 の 中 心 が 明 確 で な い 場 合 は 、nationaleHalbzentrenと. 一60一. 言 わ れ て い る。 例 え ば、.

(9) オ ー ス トリア ドイ ツ語 とア イ デ ンテ ィテ ィ ドイ ツ 語 の 場 合 、 リ ヒ テ ン シ ュ タ イ ン、 ル ク セ ン ブ ル ク、 東 ベ ル ギ ー 、 南 チ ロ ル が そ れ に 該 当 す る。 異 な る ヴ ァ リ エ ー シ ョ ン 間 に は 頻 繁 に 非 対 称 的 で 不 均 衡 な 関 係 が 存 在 す る 、 そ れ をM.Clyne はD(dominante)-Nationen(主 ン)と. た る ネ イ シ ョ ン)とA(andere)-Nationen(他. のネイ ショ. 表 示 して い る22。 彼 の 表 現 に 従 う と 、 ドイ ツ 語 領 域 で は 、 ドイ ツ 連 邦 の ドイ ツ 語 がDネ. シ ョ ン の ヴ ァ リ エ ー シ ョ ン を 表 し て お り、 オ ー ス ト リ ア ドイ ツ 語 はAネ い る。 そ し てDネ. イ シ ョ ンの そ れ を表 して. イ シ ョ ン を そ の ヴ ァ リ エ ー シ ョ ン の 標 準 と見 な し、Aネ. エ ー シ ョ ン の 派 生 、 非 標 準 的 な も の と見 な し て い る。 そ し てAネ. イ. イ シ ョ ンを そ の ヴ ァ リ. イ シ ョ ン の エ リ ー ト達 はDネ. イ. シ ョ ン の 規 範 に 従 っ て い る。 ま た ドイ ツ 語 ヴ ァ リ エ ー シ ョ ン 間 の 非 対 称 性 も存 在 す る。 例 え ば 、 ドイ ツ の 標 準 ドイ ツ 語 は 、 ス イ ス や オ ー ス ト リ ア と比 較 す る と、 そ の 言 語 基 準 が よ り高 い 地 位 に あ り、 ドイ ツ か ら他 の 地 域 へ 、 そ の 反 対 の 動 き よ り も よ り強 く ヴ ァ リ エ ー シ ョ ン の 移 動 が 行 わ れ て い る、 と理 解 さ れ て い る。. 3.2.複. 中 心 言 語 と して の オ ー ス ト リア ドイ ツ 語. オ ー ス ト リ ア ドイ ツ 語 の 独 自 の ヴ ァ リ エ ー シ ョ ン の 存 在 は 、 と り わ け1945年. 以 降 の オ ー ス トリ. ア の 特 殊 な 歴 史 的 展 開 に よ っ て 理 解 さ れ る。 ドイ ツ と の 違 い を 強 調 す る こ と が 、 オ ー ス ト リ ア の 自 己 理 解 の 本 質 的 な 要 素 と な り、 そ こ か ら言 語 政 策 上 W6rterbuch)23が. 「オ ー ス ト リア 語 辞 典 」(6sterreichisches. 出 版 さ れ る こ と に な っ た 。 こ れ は 学 校 と 役 所 の た め の 辞 書 で 、50年. 代初 めか. ら あ る意 味 で 独 立 し た オ ー ス ト リ ア 言 語 政 策 の た め に 存 在 し て い た と言 っ て も過 言 で は な い で あ ろ う。 ま た 複 中 心 コ ン セ プ トを 先 取 り し て い た と も言 え よ う。 オ ー ス ト リ ア ヴ ァ リ エ ー シ ョ ン に 関 す る そ の 後 の 学 術 的 研 究 は 、1.Reiffenstein,W.U.Dressler/R.Wodak,S.Moosmuller,P. Wiesinger,R.Muhr,H.Moser24等. の 研 究 者 達 に よ って 進 め られ て い る。. 個 々 の ヴ ァ リ エ ー シ ョ ン の 記 述 は 、 現 在 の と こ ろEbner(1980),Sedlaczek(2004),Ammon (2004)等. の辞 書 に よ って 、 積 極 的 に 行 わ れ て い る が、 そ の ヴ ァ リエ ー シ ョン領 域 は決 して些 細. な 辞 書 領 域 の み で は な く、 全 て の 言 語 領 域 に 及 ん で い る 。 そ の 若 干 の 例 を 以 下 に あ げ て お き た い 。 (Aは. オ ー ス ト リ ア 、CHは. ス イ ス 、Dは. ドイ ツ で 一 般 的 な 表 現 を 示 す 。). 辞 書 領 域 で の 差 異 は よ く 取 り 上 げ ら れ て い る が 、 オ ー ス ト リ ア で の 日 常 生 活 で 、 。mal", ,,lecker",,,sch6nerWein"の. よ う な 表 現 は 異 質 に 感 じ ら れ る 。 行 政 用 語 で は 、Anrainer(A). (隣 接 居 住 者)とAnlieger(D)とAnwohner(D,CH)が. 存 在 し、 ま たKonsumentenschutz. 一61一.

(10) 近 畿 大 学 語 学 教 育 部 紀 要8巻2号(2008・12) (D,CH)(消 (A)(年. 費 者 保 護)とVerbraucherschutz(D)、. あ る い は ま たPensionsversicherung. 金 補 償)とRentenversicherung(D)が. Anlage(D)に. 共 存 す る 。Beilage(A,CH)(添. 、 ま たAufnahmestopp(A)(採. 付)は. 用 中 止)はEinstellungsstopp(D,CH)に. 対 応 す る。 音 声 領 域 で は 、 お そ ら く ドイ ツ 語 領 域 の 大 部 分 が そ う で あ ろ う が 、 理 想 化 さ れ た ドイ ツ 語 の 「標 準 発 音 」 か ら か な り離 脱 し て い る 。 標 準 ドイ ツ 語 の 明 る い[a]が だ[a]に. 、 逆 に 標 準 ドイ ツ 語 の ウ ム ラ ウ トa[ε]は. 、 オ ー ス ト リア で は 明 る い[a]と. さ れ る 。 複 母 音 に よ る 鼻 母 音 化(dann[daun],Zahn[zaun])、 [le:bεn]、rと1の. オ ー ス ト リ ア で は くす ん. 語 末 の 曖 昧 母 音 消 去(leben. 母 音 化(sparen[∫p㌶n],alt[old],also[oeso])な. 準 ドイ ツ 語 に 一 般 的 なb/p,d/t,g/k,s/schの. 発音. ど も特 徴 的 で あ る。 標. 有 声 ・無 声 閉 鎖 音 を 区 分 せ ず 、 そ の 中 間 音 で 発. 音 し て い る 。 元 来 、 子 音 は 無 声 音 の み で 、 多 く の オ ー ス ト リア 人 は 有 声 音 を 学 校 で 学 習 し て い る 。 語 中 のst,spも. 無 声 音 で/scht/,/schp/と. な る(Kasperl[kafpal],Wurst[v照st])。. 形 態 面 で は 、 名 詞 の 性 の 違 い(derPolster(A),dasPolster(D,CH))、. 単 数 形 ・複 数 形. の 違 い(Friede(A),Frieden(D);Erlasse(A),Erlasse(D,CH)、 (Schweinsbauch(A),Schweinebauch(D))、 Wissenschaftler(D))等. 接 辞. 一s等 の 有 無. 接 尾 辞 の 違 い(Wissenschafter(A),. が 特 徴 とな る。. シ ン タ ッ ク ス 面 で も、 標 準 ドイ ツ 語 で は 冠 詞 を 避 け る場 合 に 、 オ ー ス ト リ ア で は(南. バイエル. ン で も)冠 詞 を 多 用 す る(Meier/derMeier,Vati/derVati;ichhabeHunger/einenHunger)。 Tempusで. は 口 語 的 な 表 現 と し てPerfektが. 、 文 語 的 表 現 と してPrateritumと. が ドイ ツ で は 一一 般 的 で あ る が 、 オ ー ス ト リア で は 文 語 的 表 現 で もPerfektが. い うパ タ ー ン 多 用 され て い る、. 文 語 と 口語 の 隔 た り が 大 き く な い と言 え よ う。 ま た 接 続 法 の 用 法 は 、 オ ー ス ト リ ア で は 非 現 実 話 法 に 限定 され、 い わ ゆ る間接 話 法 で使 わ れ るケ ー ス は少 な い。 プ ラ グ マ テ ィ ッ ク 上 の 特 殊 性 も 見 ら れ る 、 例 え ば 、 。Servus,HerrDirektor!",。Sehr geehrterHerrProfessor,lieberHans!"の. よ うに、 オ ー ス トリア で は 呼 び か けの 際 に、 称 号. が 多 用 さ れ て い る25。 と こ ろ で こ の よ う な オ ー ス ト リ ア ドイ ツ 語 の 特 徴 が 、 多 く の オ ー ス ト リ ア 人 に と っ て オ ー ス ト リ ア 標 準 語 と し て 受 け と め ら れ て い る の で あ ろ う か 。 複 中 心 言 語 の コ ン セ プ トに 、 オ ー ス ト リ ア 人 の 言 語 意 識 が ど の よ う に 対 応 して い る か を 、S.Moosmullerが. 研 究 して い る。 そ こで は イ ン. タ ビ ュー され た大 多 数 の人 々 は、 オ ー ス トリア独 自の標 準 語 を受 け入 れ、 そ して頻 繁 に オ ー ス ト. 一62一.

(11) オ ー ス トリア ドイ ツ語 とア イ デ ンテ ィテ ィ リ ア の ナ シ ョ ナ ル ア イ デ ン テ ィ テ ィ と結 び つ け て 使 用 し て い る と、 報 告 さ れ て い る。 例 え ば 、 あ る女 性 教 師 は 次 の よ う に 述 べ て い る 。 「独 自 の 標 準 語 は あ る と 思 っ て い る 。 そ して そ れ を 肯 定 的 な も の と思 っ て い る。 な ぜ な らそ れ は 我 々 の ナ シ ョ ナ ル 的 な 自 己 認 識 の 一 部 と 言 え る も の だ か ら。 故 に オ ー ス ト リ ア の ネ イ シ ョ ン は 言 語 と 関 わ り が あ る も の だ と思 う。 そ し て ドイ ツ 連 邦 あ る い は 他 の ドイ ツ 語 を 話 す 国 々 で 使 用 さ れ て い る ドイ ツ 語 と の 混 交 が 強 く促 進 さ れ な い こ と を 願 っ て い る。」26 し か し こ の オ ー ス ト リ ア 標 準 語 が 社 会 的 に ま た 地 域 的 に 如 何 な る層 に 根 を 下 ろ し て い る か に つ い て は 明 確 で は な い 。S.MoosmUllerに. よれ ば、 ウ ィー ンや ザ ル ツ ブ ル クの 上 流 社 会 層 の ヴ ァ. リ エ ー シ ョ ン が 超 地 域 的 で 標 準 化 に 適 し た も の と 考 え ら れ て い る27。 しか しオ ー ス ト リ ア 全 域 に お い て、 オ ー ス トリア ヴ ァ リエ ー シ ョ ンが どの程 度 標 準 語 と して評 価 され て い るか に つ い て は、 ま だ包 括 的 な研 究 は行 わ れ て い な い。. 3.3.複. 中 心 言 語 ドイ ツ 語 と ア イ デ ン テ ィ テ ィ. ナ シ ョ ナ ル 的 な オ ー ス ト リ ア ア イ デ ン テ ィ テ ィ構 成 に 関 す る オ ー ス ト リ ア ドイ ツ 語 の 意 義 に つ い て は 、 二 つ の 極 論 が 存 在 す る。 そ の 一 つ は 、 あ る意 味 で オ ー ス ト リ ア は ドイ ツ の 言 語 ・文 化 ネ イ シ ョ ン の 一 部 で あ り、 オ ー ス ト リ ア ドイ ツ 語 の 存 在 そ の も の を 否 定 す る意 見 で あ る。 ま た 他 の 立 場 と は、 ドイ ツ 語 の オ ー ス ト リ ア ヴ ァ リエ ー シ ョ ン に オ ー ス ト リ ア ア イ デ ン テ ィ テ ィ構 成 に と っ て 重 要 な 役 割 が あ り、 一 種 の オ ー ス ト リ ア 文 化 ネ イ シ ョ ン と考 え る見 解 で あ る。 前 者 の 意 見 を 主 張 す る の は、 既 に 言 及 した よ う に、 ネ イ シ ョ ン区 分 の基 準 を L.H6beltが. 「母 語 」 と す る. あ げ ら れ る が 、 こ の 基 準 に 従 う と ドイ ツ 語 を 話 す オ ー ス ト リ ア 人 、 ドイ ツ 語 を 話. す ス イ ス 人 、 南 チ ロ ル 人 の 大 多 数 は 「ドイ ツ 語 人 」 と見 な さ れ こ と に な る。 さ ら に オ ー ス ト リア 人 は Scheuringerで. 「 ドイ ツ 文 化 の 市 民 」 で あ る と い う 事 実 を 強 調 す る の が 、H.. あ る 。 彼 は オ ー ス ト リ ア ドイ ツ 語 の 言 語 的 特 徴 か ら 出 発 し、 「た い て い の オ ー ス. ト リ ア 人 は 言 語 的 に 、 そ し て 根 元 的 に 言 語 空 間 中 心 の そ の 文 化 表 現 形 式 に お い て 、 ドイ ツ 文 化 の 市 民 で あ り、 そ の 意 味 で ドイ ツ 人 で あ る と い う 言 語 史 的 に 覆 す こ と が で き な い 事 実 が 存 在 す る 」28 と主 張 し、 さ ら に 「plurizentrisch(複. 中 心 的)と. い う用 語 は 、 ドイ ツ 語 地 域 の 地 域 分 布 に 適 し. て い な い 」29と 述 べ 、 国 家 的 な 空 間 と ドイ ツ 語 の 地 域 的 な 空 間 の 不 一 致 を 指 摘 して い る 。 複 中 心 的 な コ ン セ プ ト と い う意 味 で の ナ シ ョ ナ ル 的 言 語 的 共 通 性 よ り も、 国 境 を 越 え る共 通 性 と 国 家 内 の 差 異 が よ り重 要 で あ る と い う 見 解 で あ り、 も ち ろ ん 彼 に と っ て は 、 ドイ ツ 語 の オ ー ス ト リ ア ヴ ァ. 一63一.

(12) 近 畿 大 学 語 学 教 育 部 紀 要8巻2号(2008・12) リ エ ー シ ョ ン に オ ー ス ト リ ア ア イ デ ン テ ィ テ ィ形 成 の 役 割 が あ る と い う考 え は な い 。 他 方 、 オ ー ス ト リ ア ドイ ツ 語 に オ ー ス ト リ ア ア イ デ ン テ ィ テ ィ構 成 の 重 要 な 役 割 が あ る と主 張 す る後 者 の 意 見 は 、 す で に60年 代 か ら見 ら れ る。 ナ シ ョ ナ ル 的 な 自 己 認 識 過 程 と ドイ ツ 連 邦 に 対 す る言 語 区 分 に 、 オ ー ス ト リ ア ドイ ツ 語 の 意 義 を エ ッセ イ 風 に 語 っ た の が 、K.Kahlで 著書. あ る。. 「オ ー ス ト リ ア 人 の 醜 い ドイ ツ 語 」30で 、 オ ー ス ト リ ア ドイ ツ 語 の 北 方 化 を 嘆 い て い る 。 例. え ば 、Mistkubelが. 消 滅 しAbfallkubel(ご. 設 ・土 木 作 業 員)に Zollwachebeamter(税. み バ ケ ツ)に. 、SchusterがSchuhmacher(靴 関 検 査 官)に. な り、MaurerがBauarbeiter(建. 屋 、 靴 製 造 ・修 繕 職 人)に. な っ た 。 オ ー ス ト リ ア で は1945年. 、Z611nerが. 以 降 、 ナ シ ョナル 意 識 が. 強 く な り、 政 治 の 分 野 で は 誰 も ドイ ツ と の 併 合 を 望 ん で い な い に も か か わ らず 、 な ぜ 言 語 領 域 で こ の よ う な 併 合 が 進 む こ と に な っ た の か と 嘆 い て い る。 R.Muhrも. 後 者 の 立 場 を 主 張 す る 代 表 的 な ゲ ル マ ニ ス トで あ る。 「 ドイ ツ 語 を 話 す こ と 」 と. 「独 自 の 国 家 性 」 と の 間 の 乖 離 が ま だ 明 確 に 解 明 さ れ て い な い こ と を 問 題 に し て い る 。 即 ち 、 オ ー ス ト リ ア 第 一 共 和 国 の 「ドイ ツ 語 ナ シ ョ ナ リ ズ ム 」 と、 そ の 後 の 第 二 共 和 国 で 頻 繁 に 開 催 さ れ て い る政 治 家 達 に よ る記 念 講 演 ス ピ ー チ な ど に 見 ら れ る 「オ ー ス ト リ ア 言 語 ナ シ ョ ナ リ ズ ム 」 を 批 判 し、 オ ー ス ト リ ア 人 に と っ て 言 語 意 識 が 不 十 分 で あ る の は 、 言 語 学 と教 育 学 に そ の 責 任 が あ る こ と を 指 摘 し て い る。 特 に 学 校 で の 言 語 授 業 で 、 ドイ ツ 語 が 複 中 心 言 語 で あ る こ と に 言 及 せ ず 、 共 通 ドイ ツ 語 と い う一 面 的 な 授 業 に 終 始 し て い る点 を 問 題 視 し て い る。 ナ シ ョ ナ ル 言 語 を 形 成 す る こ と が 問 題 で は な く、 オ ー ス ト リ ア と い う 国 家 領 域 に 現 存 す る言 語 を 言 語 学 的 な 記 述 の 出 発 点 と し て 観 察 し、 オ ー ス ト リ ア に 一 般 的 な 言 語 使 用 を 確 立 す る こ と を 彼 は 目 的 と し て い る。 即 ち 、 オ ー ス ト リ ア ドイ ツ 語 を 体 系 的 に ま と め 、 そ の 明 確 な 特 徴 を 示 し、 そ れ を 住 民 の 意 識 に 認 識 さ せ る こ と が 重 要 で あ る と主 張 し て い る31。 W.Pollakも. オ ー ス ト リ ア ドイ ツ 語 が オ ー ス ト リ ア ア イ デ ン テ ィ テ ィ 構 成 に 重 要 な 役 割 を 果. た し て い る と強 調 す る。 「私 の 責 務 は 、 多 く の オ ー ス ト リ ア 人 の 幾 重 に も疲 れ 果 て た 自 己 意 識 を 、 オ ー ス トリア 的 な特 徴 を示 す ヴ ァ リエ ー シ ョ ンを 認 識 す る こ とに よ っ て、 よ り強 め る こ と で あ る」32と 述 べ て い る 。 彼 は さ ら に オ ー ス ト リ ア ア イ デ ン テ ィ テ ィ の 「精 神 神 経 症 的 」 な 特 徴 を 次 の よ う に 指 摘 し て い る。 オ ー ス ト リ ア 人 は 、 ドイ ツ 語 の オ ー ス ト リ ア 的 な 特 徴 を 認 識 し よ う と い う要 求 を も つ 反 面 、 オ ー ス ト リ ア 人 は 言 語 的 に 外 部 か ら規 定 さ れ る 「異 質 中 心 主 義 」 で あ る。 即 ち 、 オ ー ス ト リ ア 人 は ドイ ツ のDudenを ト ロ ー ル さ れ たSoll-Norm(Duden)と. 手 本 に さ せ ら れ て い る。 オ ー ス ト リ ア に は 外 部 で コ ン 、 自 己 内 部 で 統 一 さ れ た 使 用 基 準(Gebrauchsnorm). 一64一.

(13) オ ー ス トリア ドイ ツ語 とア イ デ ンテ ィテ ィ の 間 に大 き な間 隙 が存 在 す る。 それ が一 種 の lung)」. 「精 神 神 経 症 的 規 範 設 定(schizoideNormeinstel-. と い わ れ る 所 以 で あ る と、 オ ー ス ト リ ア 人 の 矛 盾 し た ア イ デ ン テ ィ テ ィ を 彼 は 指 弾 し て. い る33。 ORFの. ア ナ ウ ン サ ー の 発 音 で よ く指 摘 さ れ る こ と で あ る が 、 オ ー ス ト リ ア 人 は 本 来 話 さ れ て. い る よ う に 話 し て は い け な い 、 そ し て 話 す べ き よ う に話 す こ と が で き な い の で あ る 。 し か し、 オ ー ス ト リ ア ア イ デ ン テ ィ テ ィ意 識 の 増 加 と オ ー ス ト リ ア 標 準 語 の 特 徴 に 対 す る感 受 性 が 増 大 す る こ と は 、 互 い に 相 互 強 化 の 関 係 に あ る。 ま た オ ー ス ト リ ア ア イ デ ン テ ィ テ ィ と オ ー ス ト リ ア ドイ ツ 語 の 相 互 関 係 は 、 食 料 品 表 示 法 に お け る ラ ベ ル 表 示 の 問 題 と し て 、 即 ち ドイ ツ 連 邦 の 標 準 形 を 優 先 す るEU内. の 傾 向 に 対 す る リ ア ク シ ョ ン(EU加. 盟 議 定 書 第10条 項)34と. して現 実 化 され た。. こ の よ う な 出 来 事 も言 語 的 自 己 意 識 プ ロ セ ス 構 築 の た め の 一 手 段 と考 え る こ と が 出 来 る。 そ し て こ の 言 語 自意 識 の 度 合 い が 、 ナ シ ョ ナ ル ア イ デ ン テ ィ テ ィ の 強 さ に 対 す る セ ン シ ブ ル な バ ロ メ ー タ ー に な り、 こ の 言 語 的 な 自 己 意 識 は も は や ナ シ ョ ナ ル 的 な 自 己 意 識 確 立 に は 不 可 欠 な 要 素 で あ る と言 え よ う。. 3.4.談. 話 分 析 に 見 ら れ る オ ー ス ト リア ア イ デ ン テ ィ テ ィ. 冒 頭 に 引 用 した オ ー ス ト リア 連 邦 大 統 領ThomasKlestilの. 演説 は、 ナ シ ョナル アイ デ ンテ ィ. テ ィ論 争 構 造 に 関 す る研 究 プ ロ ジ ェ ク トの コ ー パ ス か ら得 ら れ た 資 料 で あ る。1990年. 代 の公 の演. 説 で は ナ シ ョ ナ ル ア イ デ ン テ ィ テ ィ構 成 に 関 す る言 葉 を 引 き 合 い に 出 す こ と は 困 難 で あ っ た が 、 当 時 の 連 邦 大 統 領 の こ の 演 説 は オ ー ス ト リ ア の 政 治 家 に と っ て は 勇 気 の あ る か な り踏 み 込 ん だ 演 説 と見 な さ れ て い る。 一 般 的 に政 治 的 な追 悼 演 説 な どで は 国民 的 な合 意 の た め に. 、 主 に 国家 ナ シ ョナ リズ ム 的 な方 向. に 力 点 が 置 か れ る場 合 が 多 い 。 し か し そ の 例 外 が ケ ル ン テ ン の ウ ー ル リ ヒ ス ベ ル ク で の1995年 時 国 防 大 臣 で あ っ たWernerFasslabendの ン が 示 唆 さ れ て い る。 そ のFasslabendの. 当. 演 説 で あ る 。 こ こ で は 暗 に 大 ドイ ツ 文 化 ネ イ シ ョ 演 説 内容 を 以 下 に引 用 す る。.  FurdiemeistenMenschenderheutigenGenerationisteseigentlichunfal3bar, da13imRahmeneinesVolkes,dasim18.and19.Jahrhundertgrol3artige,feinsinnige MenschenvonWeltgeltungwieGoetheandSchiller,Lessing,HolderlinoderRilke, MenschenwieBachandBeethoven,Mozart,HaydnandWagner,Kant,Schopenhauer,. 一65一.

(14) 近 畿 大 学 語 学 教 育 部 紀 要8巻2号(2008・12). HegelandNietzschehervorgebrachthat,da13einsolchesVolkimzweitenDritteldes20. JahrhundertsdurcheindiktatorischesSystemseineMachtausgespielthat,wasdazu fuhrte,da13nichtnurdieShoah,derHolocaust,moglichwar,sondern,dal3daruber hinausganzEuropamiteinemKrieguberzogenwurde:vomEismeerbisindieWusten NordafrikasandvomAtlantikbiszumKaukasus."(VerteidigungsministerWerner Fasslabendam1.10.1995anlal31ichder . Friedens-undEuropafeier"amUlrichsberg)s5. 「今 日 の 世 代 の 多 くの 人 々 に と っ て そ も そ も把 握 し が た い こ と で あ ろ う が 、 一一 民 族 内 で18、19 世 紀 に 偉 大 で 感 受 性 の 鋭 い 世 界 的 に 評 価 さ れ る 人 物 が 輩 出 さ れ た 。 た と え ばGoethe,Schiller, Lessing,H61derlin,Rilkeか. つ ま たBach,Beethoven,Mozart,Haydn,Wagner,Kant,. Schopenhauer,Hegel,Nietzscheの. よ う な 人 物 で あ る 。 ま た こ の 民 族 は20世 紀 の 三 分 の 二 の 間 、. 独 裁 的 な 組 織 で そ の 力 を 発 揮 し、 シ ョ ア ー,ホ 一 つ の 戦 争 で 戦 場 に す る こ と も可 能 で あ っ た カ ズ(コ. ー カ サ ス)ま. 、 氷 海 か ら北 ア フ リ カ の 砂 漠 ま で 、 大 西 洋 か ら カ フ. で 。」. こ の 演 説 で は 、Volkと Volk」. ロ コ ー ス トだ け で な く、 さ ら に ヨ ー ロ ッパ 全 体 を. い う概 念 が. 「自 分 た ち の 偉 大 なVolk」. と賞 賛 され 、 そ の. に は 、 ドイ ツ ナ シ ョ ナ ル フ ォ ル ク 概 念 を 引 き 起 こ すGoethe,Schiller,Bach等. ス ト リ ア ナ シ ョ ナ ル フ ォ ル ク を 象 徴 す るMozart,Haydn等. 「一 つ の と、 オ ー. が 同 時 に 取 り上 げ ら れ 、 明 ら か に. 大 ドイ ツ 文 化 ネ イ シ ョ ン が 示 唆 さ れ て い る。 ま た 注 意 せ ね ば な ら ぬ の は 、 戦 争 地 域 の 地 理 学 上 の 定 義 が 明 ら か に ナ チ ス の 言 葉 遣 い を 想 起 さ せ て い る点 で あ ろ う。 この よ うな政 治 的 な公 式 の演 説 とは違 って、 グ ル ー プ討 論 や イ ンタ ビ ュー で は、 文 化 的言 語 的 な 要 素 が オ ー ス ト リ ア ア イ デ ン テ ィ テ ィ構 成 の 一 要 素 と し て 表 現 さ れ る場 合 が 多 い 。 多 く の 討 論 参 加 者 や イ ン タ ビ ュ ー に よ っ て 促 さ れ る こ と な く、 自発 的 に 無 意 識 に 、 ア イ デ ン テ ィ テ ィ を 構 成 す る本 質 的 な も の と な る の が 、 言 語 で あ る。 オ ー ス ト リ ア の 共 通 言 語 ドイ ツ 語 は 、 新 旧 の 少 数 派 言 語 に 対 す る オ ー ス ト リ ア 内 の 境 界 を 定 め る重 要 な 要 素 で あ り、 か つ ま た オ ー ス ト リ ア ドイ ツ 語 と し て ドイ ツ 連 邦 の ドイ ツ 語 に 対 す る境 界 を 定 め る重 要 な 要 素 で も あ る。 こ の 点 に つ い て 、 ケ ル ン テ ン で の 討 論 会 で 、 あ る参 加 者 が 次 の よ う に 端 的 に 表 現 し て い る。.  EsgibtsolangverschiedeneIdentitatn,solangeesverschiedeneErlebnisraumegibt. 一66一.

(15) オ ー ス ト リ ア ドイ ツ 語 と ア イ デ ン テ ィ テ ィ. undverschiedeneSprachn,dasistfUrmichdaswichtigstebeiIdentitat".36(Gruppendiskussion). 「様 々 な 体 験 空 間 と 様 々 な 言 語 が 存 在 す る 限 り、 非 常 に 様 々 な ア イ デ ン テ ィ テ ィ が 存 在 す る 、 そ れ は 私 に と っ て ア イ デ ン テ ィ テ ィ に お い て 最 も重 要 な こ と で あ る。」(グ ル ー プ 討 論). さ らに そ の討 論 会 で、 参 加 者 の一 人 が、 言 語 を オ ー ス トリア の重 要 な ア イ デ ンテ ィテ ィを構 成 す る要 素 と位 置 づ け 、 次 の よ う に 述 べ た 。.  Ichglaub/alsoisehdieIdentitatdesOsterreicherseigentlichanseinerSprocheBehr. stork-alsoda13unsereSpracheBichBehrstorkvon/zumBeispielvonderSpracheder. Schweizeroderder-Deutschnunterscheidet-desgluabischon".37(Gruppendiskussion). 「私 が 思 う に は 、 オ ー ス ト リ ア 人 の ア イ デ ン テ ィ テ ィ は そ も そ も そ の 言 語 に 強 く表 れ て い る 、 だ か ら我 々 の 言 語 は ス イ ス 人 の 言 語 や ドイ ツ 人 の 言 語 と 区 別 さ れ る、 私 は 確 か に そ う思 う。」(グ ル ー プ 討 論). し か し さ ら に 詳 し く観 察 す る と 、 討 論 会 に 参 加 し た 者 達 は 、 彼 ら に と って 非 常 に 重 要 な 言 語 を 、 オ ー ス ト リ ア の 標 準 ドイ ツ 語(ein6sterreichischesHochdeutsch)で. は な くて 、 む し ろ 方 言 的. な 日常 語 的 な 言 語 形 式 と理 解 し て い る。 そ し て 独 自 の オ ー ス ト リ ア 標 準 と ナ シ ョ ナ ル ヴ ァ リ エ ー シ ョ ン に つ い て の 意 識 存 在 は 非 常 に 低 い こ と が わ か る。 様 々 な 言 語 ヴ ァ リ エ ー シ ョ ン は お 互 い に 混 沌 と し た 状 態 に 陥 っ て い る。 た と え ば あ る討 論 参 加 者 は 次 の よ う に 述 べ て い る。.  Iwurddazuasognda13auch:dieSprache-einTeilderIdentitatist-und:iglaub:. dadesschonrichtigistdad:/dadde-/der6sterreichischeDialektdomua13isognholt. bleibt."(Gruppendiskussion)38. 「さ ら に 付 け 加 え た い こ と は 、 言 語 は ア イ デ ン テ ィ テ ィ の 一 部 で あ る と言 う こ と で あ る 。 そ れ は 正 し い と思 う。 オ ー ス ト リ ア 方 言 を 維 持 す る必 要 が あ る。」(グ ル ー プ 討 論). 一67一.

(16) 近 畿 大 学 語 学 教 育 部 紀 要8巻2号(2008・12) オ ー ス ト リ ア の 言 語 ヴ ァ リ エ ー シ ョ ン が 特 別 な 役 割 を 果 た し て い る と思 え る領 域 は 、 挨 拶 形 式 の 領 域 で あ る 。 現 在 で も 。Servus!",。KUssdieHand!",。HabedieEhre!"の. よ うな挨 拶 言. 葉 が 好 ん で 日常 生 活 で 頻 繁 に 使 わ れ て い る 。 そ して ドイ ツ 連 邦 の ドイ ツ 語. 。Tschus!"と. い う挨. 拶 言 葉 が、 テ レ ビを通 じて オ ー ス トリア全 域 に、 と りわ け子 供 達 の 間 に益 々広 ま って い る こ とを 嘆 く人 々 が 多 い こ と も事 実 で あ る。 ナ シ ョ ナ ル 的 な 言 語 特 徴 の も う一 つ の 重 要 な 領 域 は 、 料 理 用 語 の 分 野 で あ る。 グ ル ー プ 討 論 や イ ン タ ビ ュ ー で 明 確 に な っ た こ と は 、 オ ー ス ト リ ア で 料 理 メ ニ ュ ー に ドイ ツ 連 邦 の ドイ ツ 語 表 現 が 使 わ れ る と 、 精 神 的 に も 差 し障 り と な る 。 フ ォ ア ア ル ル ベ ル ク の あ る 人 は 、 「言 語 帝 国 主 義 」 と 関 連 づ け て 次 の よ う に 発 言 し て い る。.  DieSprache-/ahaLanddasvomeandereokkupiertworeischthebbishermuel3e. dessnSpracheuberneha.Und-mirwarschonnitwohl-wennidieganzenorddutsche. Usdriickjetzverwendemuo13-gangiletschthinineLokal-(Pfi/)anPfifferling-. Rahmsaucehaidenkt . Menschnskind!Pfifferling"-ihansnitenrolchecktwasesischt. dehanigfroget-da13esSchwammleSindoder?wasBolldenndesuberhauptalsodassehi. Uberhauptneti:.aberuberhauptnitta.DaBi-/dadiufmi:nerSpeisekartedu:tschi. BegriffehamueB.sehiUberhauptnUti:."39(Gruppendiskussion). 「今 ま で 占 領 さ れ て い た 国 が 、 占領 して い た 国 の 言 葉 を 引 き 継 が な け れ ば な ら な い と は 、 全 く 北 ドイ ツ の 表 現 を 使 用 し な け れ ば な ら な い な ん て 、 私 の 気 分 は よ く な い 。 最 近 、 居 酒 屋 に 入 っ た と き 、Pfifferling-Rahmsauce(ア Pfifferlingで. す っ て!』. ン ズ タ ケ ・ ク リ ー ム ソ ー ス)に. 気 が つ い た 。 「な ん と. 私 は そ れ が 何 な の か チ ェ ック して い な か った 。 そ れ で そ れ が 茸 で あ る. の か を た ず ね た 。 い っ た い そ れ は な ん で す か 。 わ た しは 全 く見 た こ とが な い と。 我 々 の 料 理 メ ニ ュ ー に ドイ ツ の 概 念 を 入 れ る と は 、 全 く理 解 で き な い 。」(グ ル ー プ 討 論). EU加. 盟 採 決 前 の キ ャ ンペ ー ンで、 オ ー ス トリア連 邦 経 済 議 会 は、 次 の よ うな広 告 宣 伝 文 書 を. 掲 げ て い た。.  Allesbleibt,wieesi13t"(Uberschrift). 一68一.

(17) オ ー ス ト リ ア ドイ ツ 語 と ア イ デ ン テ ィ テ ィ. Wasunsliebandteuergewordenist,nimmtunsauchalsEU-Mitgliedkeinerweg: denWurstelstandnicht,denHeurigen,dieKipferlanddieSemmelnnicht.Marmelade wirdnichtKonfitureheil3en,TopfengolatschenichtSahnetortchenandBurenwurstnicht Bockwurst.DieosterreichischeIdentitatbleibtunserhalten,auchinderEU.40. 「全 て は 現 在 食 して い る 状 態 の ま ま で あ る 」(表 題) 「我 々 が 好 き で 大 切 な も の を 、 誰 もEUメ. ン バ ー と し て 、 我 々 か ら奪 い 取 る こ と は で き な い:. ソ ー セ ー ジ ス タ ン ドも 、 ホ イ リ ゲ も 、 ク ロ ワ ッ サ ン と ゼ ン メ ル も 。MarmeladeはKonfitUre と 呼 ば れ な い 、TopfengolatscheはSahnet6rtchenと Brockwurstと. は 呼 ば れ な い 、 そ し てBurenwurstは. 呼 ば れ な い 。 オ ー ス ト リア の ア イ デ ン テ ィ テ ィ はEUの. この よ うなEU加. 盟 やEUと. 中 で も維 持 さ れ る 。」. の 「マ マ レー ド戦 争 」 で の キ ャ ンペ ー ンに現 れ る表 現 か ら も、. オ ー ス トリア の料 理 関係 に 関 す る用 語 問題 は 明 らか に ア イ デ ンテ ィテ ィを め ぐ る政 治 的手 段 と し て利 用 され や す い こ とが理 解 で き る。 この よ うな討 論 会 や イ ンタ ビ ュー で は、 ドイ ツ連 邦 の ドイ ツ語 との違 い は と りわ け語 彙 、 音 声 領 域 、 語 用 論 的 な領 域 で確 認 で き るが、 そ の差 異 は しか し主 に 日常 的、 方 言 的領 域 に見 られ る。 ドイ ツ語 を話 す オ ー ス トリア人 の言 語 に対 す る見 解 に は二 面 性 が あ る。 そ の一 つ は、 オ ー ス トリ ア人 に と って言 語 が重 要 で あ る とい う認 識 が強 調 され る場 合 で、 特 に一 定 の シ ンボ ル 的 な言 語 使 用 領 域 に お い て顕 著 で あ る。 例 え ば、 既 に言 及 した料 理 メ ニ ュー や挨 拶 言 葉 等 に お い て で あ る。 他 方 ま た、 複 ナ シ ョナ ル言 語 で あ る ドイ ツ語 の一 ヴ ァ リエ ー シ ョ ン と して の オ ー ス トリア標 準 語 に対 す る意 識 は薄 く、 ドイ ツ連 邦 の ドイ ツ語 とオ ー ス トリア ドイ ツ語 間 の差 異 は、 北 ドイ ツ語 と 南 ドイ ツ のバ イ エ ル ン語 間 の差 異 と同 じ領 域 に あ る と考 え て い る人 々 が多 い と言 え よ う。. 4.お 第1・2章. わ りに. で は 、 「国 家 ネ イ シ ョ ン」 と 「言 語 ・文 化 ネ イ シ ョ ン」 の 差 異 と 特 性 に つ い て 、 ま. た オ ー ス ト リ ア で の ア ン ケ ー ト調 査 の 結 果 で は83%が. 国家 ネ イ シ ョ ンを支 持 して い るが、 両 ネ イ. シ ョ ン の 複 雑 な 関 係 が オ ー ス ト リ ア ナ シ ョナ ル ア イ デ ンテ ィ テ ィ形 成 に 大 き な 影 響 を 与 え て お り、 言 語 は ナ シ ョナ ル ア イ デ ンテ ィテ ィを議 論 す る際 に不 可 欠 な要 素 で あ る こ とを述 べ た。 ま た歴 史 的 に ドイ ツ と オ ー ス ト リ ア ・ハ ン ガ リ ー 帝 国 に お け る ネ イ シ ョ ン と言 語 の 関 わ り を 概 観 し、 オ ー. 一69一.

(18) 近 畿 大 学 語 学 教 育 部 紀 要8巻2号(2008・12) ス ト リ ア 第 二 共 和 国 に お い て 、 言 語 ・文 化 ネ イ シ ョ ン よ り も、 国 家 ネ イ シ ョ ン を 前 面 に 出 さ ざ る を得 な い そ の背 景 を指 摘 した。 第3章. で は 、 「オ ー ス ト リ ア ドイ ツ 語 は オ ー ス ト リ ア ア イ デ ン テ ィ テ ィ構 成 に と っ て 、 ど の 程. 度 役 割 を 果 た し て い る か 」 を 問 題 提 起 し、 複 中 心 言 語 で あ る ドイ ツ 語 の 一 ヴ ァ リ エ ー シ ョ ン で あ る オ ー ス ト リ ア ドイ ツ 語 の 特 性 と オ ー ス ト リ ア 人 に と っ て の 言 語 自意 識 に つ い て 論 じ た 。 さ ら に 講演 会 、 討 論 会 、 イ ンタ ビ ュー等 の談 話 分 析 資料 を利 用 して、 オ ー ス トリア人 に と って オ ー ス ト リ ア ア イ デ ン テ ィ テ ィ を 構 成 す る要 素 と し て 、 言 語 が 、 特 に オ ー ス ト リ ア ドイ ツ 語 が 重 要 で あ る こ と、 し か し 同 時 に ま た 標 準 オ ー ス ト リ ア ドイ ツ 語 に 対 す る意 識 が 低 い こ と を 確 認 し た 。 現 在 の オ ー ス ト リ ア 第 二 共 和 国 に お い て は 、 た び た び 「大 ドイ ツ 的 」 と い う表 現 が 使 わ れ る。 こ れ は も ち ろ ん ドイ ツ と オ ー ス ト リ ア を 含 め た ドイ ツ 語 地 域 全 般 を 指 し て い る。 し か し ネ イ シ ョ ン と い う表 現 が 入 る と、 憲 法 上 の 理 由 か ら 「大 ドイ ツ 的 ネ イ シ ョ ン」 と い う 表 現 は タ ブ ー と な る 。 ネ イ シ ョ ン と し て の ドイ ツ と オ ー ス ト リ ア は 歴 史 家 に と っ て も政 治 家 に と っ て も混 同 が 許 さ れ な い 。 こ の 事 実 が 現 在 の オ ー ス ト リ ア ー 般 市 民 に も定 着 し、 社 会 的 な ア ン ケ ー ト調 査 に も 国 家 ネ イ シ ョ ン重 視 の 形 で 現 れ て い る。 し か し 日常 無 意 識 に 使 用 し て い る言 語 に 関 し て は 、 オ ー ス ト リ ア ドイ ツ 語 を 意 識 し て 使 用 す る一 般 市 民 は 少 な い 。 ドイ ツ 各 地 に 方 言 が あ る の と 同 様 に 、 オ ー ス ト リ ア ドイ ツ 語 も一 つ の 方 言 と見 な し、 オ ー ス ト リ ア 標 準 語 を 意 識 す る市 民 は 少 な い 。 特 に ドイ ツ 南 部 の バ イ エ ル ン方 言 は 言 語 学 的 に オ ー ス ト リ ア の 三 分 の 二 の 地 域 に 及 ん で い る41。 言 語 学 的 に は1930年. 代 に い わ ゆ る ウ ィ ー ン 学 派(WienerSchule)に. 6sterreichischeMundart"と. よ っ て 唱 え ら れ た,,bairisch-. い う 表 現 も存 在 す る が 、 こ れ は オ ー ス ト リア エ リー トの 大 多 数 に. ドイ ツ 言 語 ・文 化 ネ イ シ ョ ン に 所 属 す る の は 当 然 で あ る と思 わ せ る根 拠 の 一 つ と な っ て い る。.  DerQsterreicherunterscheidetBichvomDeutschendurchdiegemeinsameSprache" 「オ ー ス ト リ ア 人 が. ド イ ツ 人 と 区 別 さ れ る の は そ の 共 通 の 言 語 に よ っ て で あ る 。」42. こ の 表 現 に は 、 現 在 の オ ー ス ト リ ア ドイ ツ 語 と ドイ ツ 連 邦 の ドイ ツ 語 を 巡 る 中 核 的 な 問 題 が 潜 ん で い る よ う に 思 わ れ る。 大 多 数 の オ ー ス ト リ ア 市 民 は も は や ドイ ツ 人 と は 感 じ て い な い 、 オ ー ス ト リ ア 人 は 非 ドイ ツ 的 国 民 意 識 を 持 っ て い る。 し か し彼 ら の 言 語 意 識 に は 、 す で に 言 及 し た よ う に ア ン ビ バ レ ン トな 側 面 が あ る 。W.PollakとR.Muhrの. 言 う い わ ゆ る 「言 語 的 精 神 神 経. 症 」 で あ る。 即 ち 、 オ ー ス ト リ ア 人 は 一 方 で オ ー ス ト リ ア ドイ ツ 語 の 特 徴 を 意 識 的 に 認 識 し よ う. 一70一.

(19) オ ー ス ト リ ア ドイ ツ 語 と ア イ デ ン テ ィ テ ィ. と望 む が、 他 方 で す で に体 系 づ け られ た 「北 」 の標 準 ドイ ツ語(Duden)に. 自 ら好 ん で コ ン トロー. ル され よ う と して い る。 この オ ー ス トリア人 特 有 の ア ン ビバ レ ン トな特 性 が、EU加 て生 じた 出来 事(議 定 書 第10条 項)に. 盟 をめ ぐっ. もま た談 話 分 析 結 果 に も現 れ て い る。. ネ イ シ ョ ンを構 築 す るに は、 言 語 は重 要 な役 割 を果 た して い る。 しか しあ る一 定 の ネ イ シ ョ ン が完 成 す る と、 言 語 は一 般 市 民 に と って無 意 識 な存 在 とな るの が常 で あ る。 しか しオ ー ス トリア 第 二 共 和 国 で は、 言 語 が ア イ デ ンテ ィテ ィ構 成 要 因 と して今 な お強 く意 識 され ね ば な らな い状 況 が続 い て い る。 そ れ は、 ドイ ツ連 邦 共 和 国 の ドイ ツ語 に対 す るオ ー ス トリア ドイ ツ語 の意 識 問題 だ け で な く、 国家 語 ドイ ツ語 と して の 問題 、 ま た少 数 言 語 話 者 ・複 言 語 話 者 達 に と って の オ ー ス トリア ア イ デ ンテ ィテ ィの意 義 とそ の可 能 性 とい う問題 も含 ま れ るか らで あ ろ う。 後 者 に つ い て は稿 を改 め て さ らに論 ず る必 要 が あ ろ う。. 注 11. deCillia(2006a),5.72.. り自. vgl.Fessel-GfK(2004),5.14.. 90. vgl.deCillia(1998),5.53.. 4. Coulmas(1985),5.47. 只﹂. ibid.,5.12.. 6. vgl.ibid.,5.30-31. 7. utraquistischeSchuleと 業 語. は 、 外. と し て の 母 語(少. 用 す る 教 育 体 制 を. 数 派 言 語)が. 国 語(ド. イ ツ 語)に. 必 要 で な. よ る 知 識 習 得 能 力 が 十 分. く な る ま で 、 母 語. と る 学 校 の こ と で あ る 。vgl.deCillia(1998),S.126.. 8. vgl.Stevenson(1991),5.38.. 9. vgl.Barbour(1991),5.39.. 10. vgl.Coulmas(1985),5.44.. 11. vgl.deCillia,(1998),S.59f.. 12. vgl.Fessel-GfK(2004),5.10.. 13. vgl.Hobelt(1994),5.341.. 14. vgl.Bruckmuller(1994),5.17.. 15. vgl.Fessel-GfK(2004),5.14.. 16. vgl.Reiterer(1988),13.. 17. Dittmar/S-Refiner(2001),5.521.. 18. Barabour/Stevenson(1988),5.11.. 19. v.Polenz(1988),5.216.. 20. vgl.Ammon(1995),S.42ff.. 一71. と 外 国 語. な も の と な. を 同 時 に 授 業 語. り 、 授. と し て 使.

(20) 近 畿 大 学 語 学 教 育 部 紀 要8巻2号(2008・12) 21. vgl.Ibid.,S.42ff.. 22. vgl.Clyne(1993),5.3.. 23. vgl.坂. 24. 野(2001),S.99-111.. vgl.Reiffenstein(1982),Dressler/Wodak(1983),Moosmuller(1990,1991),Wiesinger (1988,2006),Muhr(1989).. 25. vgl.deCillia,R.(2006b),S.54f.. 26. Moosmuller/Dressler(1990),5.81-82.. 27. vgl.Moosmuller(1991),5.22.. 28. Scheuringer(1992),5.171.. 29. ibid.,5.151.. 30. vgl.Kahl(1966),5.31.. 31. vgl.Muhr(1989),S.21ff.. 32. Pollak(1992),5.5.. 33. vgl.Ibid.,S.14ff.. 34. vgl.坂. 35. 野(2005),S.26ff.,u.坂. 野(2007),S.79ff.. deCillia(2006a),5.74.vgl.auchWodak/deCillia/Reisigl/Liebhart/Hofstatter/Kargl (1998),175ff.. 36. deCillia(2006a).,5.75.. 37. ibid.,5.75.. 38. ibid.,5.76.. 39. ibid.,5.77.. 40. ibid.,5.78.. 41. vgl.坂. 42. vgl.Sedlaczek,R.(2004),S.7ff.こ. 野(2002),S.2ff.. 根 拠 が 明 確 で は な い 。Sedlaczekは. の 表 現 は よ. くKarlKrausか. ら の 引 用. と 言 わ れ. 、GeorgeBernhardShawの"EnglandandAmericaare. twocountriesdividedbyacommonlanguage."か. ら の 借 用 翻 訳 と 見 な し て い る 。. 参考文献 Ammon,U.u.a.(Hrsg.)(2004):VarientenworterbuchdesDeutschen.Berlin/NewYork. Ammon,U.(1995):DiedeutscheSpracheinDeutschland,OsterreichandderSchweiz. Berlin/NewYork. Barbour,St.(1991):LanguageandNationalismintheGerman-speakingCountries.In: Meara,P./Ryan,A.(1991):39-48. Barbour,St./Stevenson,P.(1998):VariationimDeutschen.SoziolinguistischePerspektiven. Berlin/NewYork. Bruckmuller,E.(1994):psterreichbewuf3tseinimWandel.IdentitatandSelbstverstandnisin den90erJahren.Wien.. 72. る が 、 そ の.

(21) オ ー ス. ト リ ア. deCillia,R.(1998):BurenwurschtbleibtBurenwurscht.Klagenfurt/Celovec. deCillia,R./Wodak,R.(2006a):Istpsterreichein . deutsches"Land?Innsbruck.. deCillia,R.(2006b):VarietatenreichesDeutsch.DeutschalsplurizentrischeSpracheand DaF-Unterricht.In:Krumm,H.J./Portmann-TselikasP.R.(Hrsg.)(2006):BegegnungsspracheDeutsch-Motivation,Herausforderung,Perspektiven.Innsbruck,Wien,Bozen: 51-65. Clyne,M.(1993):DieosterreichischeNationalvarietatdesDeutschenimwandelndeninternationalenKontext.In:Muhr(1993)(Hrsg.):InternationaleArbeitenzumosterreichischen DeutschandseinennachbarsprachlichenBezugen.Wien:1-6. Coulmas,F.(1985):SpracheandStaat.Berlin/NewYork. Dittmar,N./Schmidt-Regener,1.(2001):SozialeVariantenandNormen,In:Helbigu.a. (2001):DeutschalsFremdsprache.Berlin/NewYork:520-534. Dressler,W.U./Wodak,R.(1983):SoziolinguistischeUberlegungenzum≫Osterreichischen Worterbuch≪.In:Dardano,M.u.a.(Hrsg.):Parallela.Aktendes2.osterreichischitalienischenLinguistentreffens.Roma.Tubingen:247-263. Ebner,J.(1980):WiesagtmaninOsterreich?Worterbuchderosterreichischen Besonderheiten.2.Aufl.Mannheim/Wien/Zurich. Fessel-GfK(2004)InstitutfurMarktforschung:StudieLIFESTYLESPEZIAL,2004-psterreichischeIdentitat.Wien. Hobelt,L.(1994):Osterreich=deutschbundesrepublikanisch.In:Botz/Sprengnagel(1994) (Hrsg.):KontroversenumpsterreichsZeitgeschichte.Wien.:338-345. Kahl,K.(1966):Dasha131icheDeutschdespsterreichers.WortinderZeit5:27-31. Meara,P./Ryan,A.(1991)(eds.):LanguageandNation.Cardiff. Moosmuller,S./Dressler.W.U.(1990):HochlautungandsoziophonologischeVarietatin Osterreich.In:JahrbuchfurinternationalsGermanistik.JgXX,HI,Bern. Moosmuller,S.(1990):EinschatzungvonSprachvarietatenin6sterreich.In:IJSL.83:1990. Moosmuller,S.(1991):HochspracheandDialektinQsterreich.Wien,Koln,Weimar. Muhr,R.(1989):DeutschandOsterreich(isch):GespalteneSprache-GespaltenesBewul3tseinGespalteneIdentitat.In:ide2:74-98. Polenz,P.von(1988): . Binnendeutsch"oderplurizentrischeSprachkultur.InZeitschriftfur. GermanistischeLinguistik16/1988,198-218. Pollak,W.(1992):WashaltendieOsterreicherlnnenvonihremDeutsch?Wien:ISSS. Reiffenstein,1.(1982):HochsprachlicheNormandregionaleVariantenderHochsprache. DeutschinOsterreich.In:Moser,H.(1982)(Hrsg.):ZurSituationdesDeutschenin Sudtirol.Innsbruck. Reiterer,A.F.(Hrsg.)(1988):NationandNationalbewul3tseininQsterreich.Wien. Scheuringer,H.(1992):DeutschesVolkanddeutscheSprache.In:psterreichinGeschichte andLiteratur,Jg.36/H.3,Mai-Juni1992,162-173. Sedlaczek,R.(2004):DasosterreichischeDeutsch.Wien.. 73. ドイ ツ 語. と ア イ デ ン テ ィ テ ィ.

(22) 近 畿 大 学 語 学 教 育 部 紀 要8巻2号(2008・12) Stevenson,P.(1991):DeutschlandeinigVaterland?In:Meara,P./Ryan,A.(1991)(eds.): 27-38. Wiesinger,P.(Hrsg.)(1988):DasosterreichischeDeutsch(=SchriftenzurdeutschenSprache inpsterreich12).Wien. Wiesinger,P.(2006):DasosterreichischeDeutschinGegenwartandGeschichte.Wien. Wodak,R./deCillia,R./Reisigl,M./Liebhart,K./Hofstatter,K./Karel,M.(1998):Zur diskursivenKonstruktionnationalerIdentitat.Frankfurt/Main. 坂 野. 久(2001):オ. ー ス ト リ ア の 正 書 法 辞 典 一 特 に6sterreichischesW6rterbuchに. 畿 大 学 語 学 教 育 部 紀 要 第1巻 坂 野. 久(2002):「. 第1号. つ いて一 、 近. 、99-111頁.. オ ー ス ト リ ア ド イ ツ 語 」 を め ぐ っ て 、 近 畿 大 学 語 学 教 育 部 紀 要 第2巻. 第1号. 、. オ ー ス ト リ ア ド イ ツ 語 」 と 言 語 政 策 、 近 畿 大 学 語 学 教 育 部 紀 要 第5巻. 第2号. 、. 1-10頁. 坂 野. 久(2005):「 23-33頁.. 坂 野. 久(2007):オ. ー ス ト リ ア 第 二 共 和 国 の 言 語 政 策 、 近 畿 大 学 語 学 教 育 部 紀 要 第7巻. 頁.. 一74一. 第2号. 、65-85.

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参照

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