市場志向JVへの期待とオペレーション問題 : いかに海外JVのメリットを得るか
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(2) 市場志向 JV への期待とオペレーション 問題 (谷地. 国際経営の研究や 実務家から代表的に 挙げられ てきたものにマーケティンバ 活動をめぐるメリ ットがあ った,当該国で製品の販売を 行うとし て,その企業には現地での販売にかんする 知識 が とぼしく,流通チャネルもない・ 一方,現地. 1. 市場志向. 骨子であ った.. しかし この研究ではこの ょう な基本的な見 方に疑問を投げかける.はたして ,Ⅳ方式は 当該企業のそうした 期待に応、えてくれるのだろ うか. ?. このような疑問を 投げかけた大きな 理由は, 従来の見方では W 方式で得られるという 販売 にからんだメリットの 内容やその実現のための. オペレージョンにかんして 踏み込んだ検討がな されていないためであ る,以下では,. Ⅱ. みることにしよう.そうすると ,. これまでの見. 解が成り立つためには 多くの条件があ ることが. わかる,それは制約と言い換えることもできる. そして,出資比率を基準としたこれまでの 分類 は,期待されたメリットにかんして関連がない. w の期待効用. 一 1. マーケティンバ・メリットが 問題とな. るシチュエーション つぎの点を確認しておきたい.. それは企業が. 海外に現地法人を 設立するときの 目的であ る. 目的は製品口の 販売先から大きく. 2. つあ る.. 1. つ. は,現地のマーケットにむけて製品を販売する ことであ る. もう 1 つは,設立した 法人が所在 する国以外のマーケットにむけて 販売すること であ る.. これら 2 つの目的は,いずれも 現地法人で製 品口を生産することを 前提としている.言い 換え ると,生産直接投資がなされる 場合であ って, そこで生産した 製品の出荷先という 視点から 2 つの目的がひきだされる.そこで. 1. つめの目的. でなされる直接投資を MDI (market-oriented direct investment ; 現地市場志向の 直接投 、資 ), 2 つめの直接投資を EDI (eXport-0riented direct investment ; 輸出志向の直接投資 ) と呼ぶことにしよう. 以下ではⅣのマーケティンバ 面でのメリッ. これまで. の見解を見直しその 点をあ らためて検討して. (89)@89. 一文献展望と 解釈 一. 企業はすでに 当該国で製品を 販売してきたから. 知識をもっており ,チャネルも 形成している・ そこで,現地の企業と JV 方式で法人をつくり , 相手企業の知識やチャネルを 獲得・利用しよう とする. WO 方式では,それをゼロからすべて 自分たちの努力で 行わねばならないが ,Ⅳ方 式では迅速かつ 容易に知識を 獲得でき,販路を 広げていくことができる. これが従来の 見解の. 弘安 ). トを 主な検討対象とする.. これに. 2. つのタイプ. をかけあ わすと,本研究で 対象とするのは MDT であ る.製品を現地で販売することを 目 的とするからこそ ,それにかかわるメリットを もとめて現地企業と W を設立しょうとするか ら ・,だ こ. 一方,生産活動をともなれず ,販売活動だけ. ことがわかる. これらの検討から ,先行研究に 見直しを要請し , JV 方式でのオペレージョン. を行. 問題とそれにたいするアプローチを 明らかにし て実務にたいしても 注意と関心を 喚起すること が本研究の目的であ る.本稿では主に理論的な. 同じ直接投資であ っても基本形態は 輸出であ. 検討を行い, 別稿 では日本企業の 中国 JV 法人 を対象とした 実証作業を行い ,妥当,性のチェッ クと 実状把握を行う.. う. ような現地法人を 設立するというのは ,. .輸出には大きくわけて 間接輸出と直接輸出 があ る.前者は商社など,外部の業者をつうじ て製品を販売することであ る.後者では現地に 自社所有の組織をづくし ,それをつうじて製品 を 販売する.輸出の場合, MDI や EDI のよう る. まずはこれまでの 研究を振り返り ,そこで主 張されてきた JV のメリットを 整理することか. な区別は意味がな い .むしろ,輸出では 直接輸 出として現地に 販売子会社を 設立する場合にお. ら議論をスタートさせよう.. いて JV 方式をとるかどうかの 問題がでてくる.
(3) 90 (90. 横浜経営研究. Ⅰ. 第㏍巻. 獲得することができるという 期待があ る.その. ことになる.. 図表. 2. は以上を総括したものであ る. W 方. 式 でのマーケティンバ・メリットは. 現地生産を. 行う MDI と直接輸出という 2 つの状況におい て 問題となる,以下,この状況での W のこと を 市場志向. W. 第 1 号 (1999). と呼ぶことにしよ. 期待の内容が W のメリットとなる. メリットとしてはさまざまなものが. 挙げられ. ている・そこから 市場志向 W に関連するもの に注目しょう 1). 市場志向Ⅳで 期待されるメリットとして 一. 番多く挙げられるのは ,現地でのマーケティン Ⅱ. 一. 2. 市場志向. W. で期待されるメリット. グ活動を展開するに 必要な知識であ る. そこに. そこで,市場志向 W で期待されるメリット. は,現地の需要や流通システムといった 大枠 か. とはどのようなものと 考えられているか , これ. らはじまり,需要者の 嗜好や競合他社の 動向, 取引慣行,取扱業者といった,投資企業が販売. までの研究を 振り返って整理しよう.図表 3 に 見るように, W では少なくとも 3 つの法人組 織 がかかわってくることになる.以下では,あ. を 企図する製品に. 密着した知識があ る. 自社の. オペレーションを 細かく分ければ ,それだけ多. る企業が特定の 国で販売を統括する 法人をつく. 様な必要知識がでてくるが , WO 方式ではその. るとして,その企業のことを 投資企業と呼び ,. 知識の獲得をすべて 投資企業の努力で 行わねば ならない・Ⅳ方式ではそうした 知識が相手仝 業から流れてくる.相手企業はすでに現地でマ. 投資企業とともにⅣへの 出資をする 他 企業を 相手企業と呼ぶ.相手企業は現地国籍の企業と 考える.そして,両者の出資によって設立され た会社組織のことを 現地法人と呼んで 統一しよ Ⅳ方式をとりあ げた研究に共通しているの は ,そのメリットが相手企業からもたらされる. という見方であ る.つまり,投資企業が 現地で 事業活動を展開することを. 考えたとき,それに. 必要となるものを 相手企業が提供してくれると いう期待があ るからこそⅣ方式を 採用するの であ る. さらに突っ込んでいえば ,投資企業自 身が独自に現地法人をつくって 活動を展開する のと比較して ,Ⅳ方式を採用したほうが,よ り容易・迅速,効果的・ 効率的に必要なものを. 図表 2. 海外事業の基本形態と. ーケティンバ 活動を行ってきたことから 知識を. 蓄積している.それを利用することで 結果的に 効率的・効果的に 販売活動を展開することが 可 能となるというものであ る. これを知識メリッ トと 呼ぶことにしよう ,. つぎに,同じように現地企業であ る相手企業 が 流通チャネルを 形成していることから ,. 方式をとることにより ,投資企業はそのチャネ. 図表 3. rrV の基本認識. W. コ 販売し 米綿掛け部分が 問題の対象.. W.
(4) ㎡ 場 志向 JV への期待とオペレーション 問題 ( 谷地. ルを 利用して製品口を 販売できることがメリット. る.. として期待される. これをアクセス・メリット と呼ぶことにしよう.相手企業が外部の卸売業. 研究の流れからいえば ,. 者や小売業者を 利用して製品口を 販売している 場 今 では,これら 業者の帳 合いにⅣで生産する 新製品を追加することがあ る. また,販売会社 といった専属のチャネルが 形成されている 場合. でも,新規に販売対象製品として 追加してもら う. もし,それをWO 方式で行うとすると , 流通業者の探索から 交渉,契約締結といったチ ャネル構築タスクを 一から投資企業自身の 努力 で行っていかねばならない.専属チャネルの構 築でも同様であ り,営業マンの採用から教育・ 訓練,事業所開設といった作業を - つ一つ自社 で行っていく 必要があ る.実物製品の物流にか. んしても同じことがいえるだろう・ W 方式の 採用により, こうしたタスクが 緩和され,迅速 にチャネルの 拡張ができると 期待される. これ が チャネルへのアクセス・メリットであ. る.. 知識メリットとアクセス・メリットが 重複す. (91) 91. 引、安 ). これはすでに 述べた.そして ,. これまでの. これらメリットは 海外. への参入形態という 枠組みで論じられたもので あ る.言い換えれば,海外市場参入形態の選択 という状況に 直面している 企業が問題とする 話 であ る.現地で生産するにせ. よ 輸出するにせ よ ,. 投資企業にとってまさに 販売活動をこれから 始 めようとする 状況にあ って, WCr 方式か JV 方 式の選択が,その活動の展開を 規定するという 考えに立つものといえる. このような考えに 立つと,つぎに投資企業に とっての参入形態の 選択というのは 知識やチャ ネルといった 販売活動の展開に 必要なものをい. かにして調達するか ,そのスタイルの選択とい う話になってくる.つまり , WO 方式を採用す るということは ,これらを投資企業自身が独力 で獲得・形成していくことを 意味し, W 方式 では相手企業の 知識やチャネルを 共同出資によ る 法人設立という 枠組みのなかで 蓄積・利用し ていくことになるのであ る.. る内容のメリットも 考えることできる. アクセ ス・メリットでは ,あくまでも相手企業のチヤ. Ⅱ. 一. 3. メリ ノド にかんする問題意識. 以上で述べたように ,企業が投資によって海. ネルで製品を 流通させる,言い換えると相手企 業に製品口の 販売を委任することを 想定している が,現地法人自身がチャネルを 新たに構築する. 外現地法人をつくるさい ,Ⅳ方式はマーケテ ィング面でのメリットをもたらすとされてき. ことも考えられる. もともとその 作業の負担を. た.一方で,企業が WO 方式をとるか W 方式. 軽減させるのがメリットであ. をとるかを決定する 場合には,. るが, この場合で. も 相手企業から. 現地の流通業者や 顧客にかんす る情報の提供をうけることができれば ,それに もとづいてよりスムーズに 開拓をはかれること が期待される.つまり ,チャネル構築の形態に よっては,知識メリットがアクセス・メリット につながるというパスを 考えることができるの であ る.. 大きくわけて 市場志向 W には知識メリット とアクセス・メリットがあ る.そこで,これら. メリットにかんする 見解に解釈をくわえてみよ. よ. り多くの要因. を考慮するだろう. さきに指摘したように ,. Ⅳ方式は自社以外の 企業も出資しており ,経 営権 は基本的に出資上 率に応じて按分されるこ ヒ. とになる,このことは ,. W 方式では投資企業. の戦略や方針の 決定, とくに時間の 流れのなか でそれらの変更を 考えたときに ,相手企業から の反対をうけてスムーズに 実施できない 可能性 をはらむことを 意味する. WO 方式ではそのよ うな懸念はない.つまり , WO 方式にあ って JV 方式にはないメリットもあ るということだ・ そこで,これらの要因を自社になぞらえて 比較. 、つ まず,これらのメリットはWO 方式との対. 考量することによっていずれを. 比によってひきだされたものであ. める. これまでの研究も ,いかなる状況でどち. ることがわか. 採用するかを 決.
(5) 92@ (92). 横浜経常研究. 第㏍ 巻. 第. 1. 号 (1999). らを採用するのか ,関連するファクターと 影響 の内容を戦略的な 特性や外部環境 特 ,性から抽出. することが制度的な 条件となっている. そのな かにあ って,実際に進出した日本企業からは 現. して検証しょうとしてきたのであ. 地でのマーケティンバ 活動をめぐる 知識 や チャ. しかしながら ,. る.. ここでわれわれが 提起するの. はⅣ方式がもっとされるメリット 自体の妥当 性であ る.すなわち,Ⅳ方式のメリットとし て挙げられているものは ,はたしてW 方式に 固有のもので ,同等のメリットがWO 方式で は得られないのか , JV 方式をとれば 必ずそう. ネル・アクセス 面での貢献を 相手企業に期待で きない,あるいは予期に 反して得ることができ なかったという 声が聞こえてくる.場合によっ ては,マーケティンバ活動を相手企業に 委任し たことがいまになって 販売展開の制約になって いるというケースすら 見ることができる (谷地. 根本にまでさかのぼる 疑問であ る. いまさらこうした 通説的な見解に 疑問を投げ かける理由は 2 つあ る・ 1 つに,実際に JV 方式. [1999]). このように,実態面ではこれまでに整理した メリットをⅣ方式で 享受できていないという 反証が見られるのであ る. これをどのように 考. によって特定 回 に進出した企業のなかから. えれば よ いのだろうか. した メリットを得ることができるのか. ,. という. , 当. 初 もくるんだそうしたメリットを 得ることがで きなかったとするケース や ,. もともと期待して. うえに示した 反証的な事実はⅣ方式のメリ ットについて. いないとするケースを 少なからず見ることがで. 1. きるからだ.. ?. 2. 種類の疑問を 投げかけている.. つめは, W 方式を採用してもメリットを. 得. られない場合があ るということだ. これは,. たとえば,吉原 [1980]の研究によれば ,日 本企業がアジアに 進出してきたさい ,. かれらは. JV 方式の採用がメリットを 得るための必要条 件ではあ っても十分条件ではないということで. JV 方式におけるマーケティンバ 面でのメリッ トを現地企業に 期待することはなく , WO 方式. あ. を選好してきたことを 指摘している ,. 確にならないと ,ある企業が WO 方式とⅣ方 式のいずれを 採用するのかという 実践的状況に. また,. も. ともと知識やチャネルが 蓄積・形成されていな いことは問題ではなく ,むしろ日本企業は一定 のマーケティンバ 政策や方針をもっており ,そ れが相手企業と 合致しないことを 問題とすると いう・たとえⅣ方式をとって 相手企業に販売 を委託する場合も ,当時のアジア諸国では外国 企業による販売活動が 政府によって 制限されて. おり,それに対応するための 次善策であ ったと いうのだ. もし, WO 方式が可能であ るなら, それによって 現地法人を設立して ,現地で人材 を登用することでマーケティンバ. 活動を遂行し. ていくという 考えが示されている. 当 研究はすでにかなりの 時間が経過している. る・それゆえ ,この十分条件を 明らかにする. という作業が 必要になるのであ って,それが明. 応、えることができないことになる.. まずはこの. 点にかんする 検討がなされていない 点が先行研 究の通説的な 見解に疑問を 提示するわれわれの 根拠となる. 2 つめに,そうした 十分条件としての 問題を 越えて, wo 方式とⅣ方式の 選択という問題 においてマーケティンバ 面でのメリットをⅣ 方式に固有なものと 見なすこと自体, はたして 妥当なのかという 疑問であ る.それは,これま でにアジア諸国に 進出してきた 日本企業が WO 方式を選好し ,現地の人材の登用をつうじてマ ーケティンバ 活動の展開をはかってきたとい. が ,見解の内容自体は 風化していない.現在, 中国やインドといった ,いわゆる新興市場の 台. ,吉原の研究のなかに見ることができる. こ れは W 方式固有と見なされてきたメリットが. 頭が見られるが ,現地マーケットでの製品販売 を企図する場合は 現地企業との W 方式を採用. 実はそうではなく , WO. う. 方式でも得ることがで. きるという見解であ る.言い換えると,. これは.
(6) 市場志向 .V への期待と オ ベレーション 問題 ( 谷地. (93@ 93. 弘安 ). JV 方式のメリットと 見られてきたものが ,実. 蓄積・形成している.つまり , JV 方式をとる. は参入形態の 選択とは関連していないという. ばならないことを 示唆するものであ る.そこに. W 資源を相手 企業から獲得しょうとする.あ るいは,相手企 業の W 資源を利用しょうとするのであ る・ WO 方式というのは W 資源を投資企業が 独自. 焦点をあ わせた検討が 先行研究ではなされてい. に 蓄積・形成しようとする 参入形態と見みせ. ない. これが疑問を 提示する. る. ということは ,. 批. 判であ り,現地での販売に必要なものをいかに して調達するか ,そのオペレーションを考えね. 2. つのの根拠とな. る・. 以上の. 2. つの疑問を再度あ わせ考えると , 結. 局. これまでの見解に 欠けていた重要なポイント. が. 1. つに集約されることがわかる.それはⅣ. 方式で期待されるメリットを 実際に享受するた めの投資企業によるオペレーションの 内容, こ れであ る.先行研究はこれを明らかにしておら ず,特定企業の実践的な選択状況に 応えていな いのであ る.以下での研究の目的は ,それに一. ことによって ,投資企業はこの. これまでの研究に 沿ってい. えば, WO 方式かⅣ方式かの 選択とは,Ⅳ資 源の調達スタイルの 選択という問題に 言い換え ることができるのであ る. この点,われわれの. 問題意識は, JV 資源の調達スタイルが 参入形 態の選択とは 一意に関連していないのではない かというものであ る.そのために,. 調達という行動をもっと 踏み込んで検討するこ とが必要になってくるのであ. る.. では, JV 資源調達行動はどのようにとらえ. 歩 近 づけるフレームづくりを 行い, オペレー、 ン. ることができるだろうか. ョン の内容とそれをめぐる 問題を説明すること. しよう.. ?. この点をつぎに 検討. そのためには 図表 3 をもっと分解しなければ. であ る.. m. 市場志向. W 資源の. w. ならない. これは, とくに知識メリットで 重要. をめぐる分析フレーム. 投資企業が市場志向の W を組も うと 考える として,そのメリットをどのようにひきだす か ? そのためのオペレーションはどのような ものか ? この問題を考えるためのフレームを. となる.投資企業よりも相手企業が現地での 販 売にかんする 知識をもっているとして , JV 方 式 のなかでその 知識を投資企業が 獲得するには 多様なパスを 想定することができるからだ.そ れは知識の移転にかかわる 主体を考慮すること. 示すことにしょう.. ではっきりする. これまでの研究は 図表 3 に見. まず,図表3 を再見しよう・ 図表. 3. ではⅣ. るような企業レベルという 大枠でⅣ方式を 捉. その. え ,知識メリットを考えてきた・. うち,われわれがよって立つのは投資企業の 視. メリットが現実のものとなるには. 点であ る. この投資企業がそもそも 特定 国 での. 意図的な活動が 必要となる. そして, それを遂. 製品販売を構想したのであ る. この投資企業が 実際に販売を 行 う とき,その活動のための知識 が必要となる. また,最終需要者にいたるまで. 行するのは当然, ヒトであ る.そのヒト を定式. にかかわる 3 つの主体が識別されている.. 化しなければならない.. しかし知識 ,移転という. これについては 図表 4. に示したようなタイプを 考えることができる.. の流通チャネルを 形成しなければならない.. 1 っは 相手企業の人材であ る. 典型的に, こ. JV 方式のメリットからすれば ,投資企業はこ. の人材は相手企業の 当該 W 担当として知識の. れらに欠如している.. 移転 元 となる. 2 つめは投資企業の 人材であ る.. 以下では,投資企業の 目的遂行に必要であ り, 同時にそれが 欠如している 知識や流通チャネル のことを W 資源と呼ぶことにしよう・ JV 資源 はすでに現地で 販売活動をしている 相手企業が. この人材は投資企業の 本国本社に所在し 本社 のⅣ担当人材として 知識の受領者となる ,こ こまではいわば 従来の研究でも 暗黙に想定され てきたことであ る. しかし図表 4 が特有なの.
(7) 94@ (94). 横浜経営研究 図表 4. は ,現地法人に複数のタイプの. 第 1 号 (1999). 第㏍巻. JV における知識移転・. 人材が識別され. 利用と関連主体. の 移転行為にかかわる 主体から複数の 移転フロ. ていることだ・. ーがあ ることがわかる. それは図表 4 で投資企. これは現地法人に 相手企業や投資企業から 派 遣されてきた 人材がいることを 示している.投 資企業では, この 26 な 人材は派遣マネジャー と 呼ばれるものであ る.典型的には,派遣マネ. 業の人材と現地法人の 派遣マネジャ 一に向かう 実線矢印とその 組み合わせで 表されている.以 下ではこれを 移転モードと 呼ぶことにしょう. こうした主体を 考えることで 市場志向 W のメ リットの内容をさらにひきだすことができる. 知識メリットというのは ,投資企業にとって のものであ る.それは相手企業から知識が流れ てくることで 投資企業自身による 現地での販売 にかんする戦略・ 方金十の策定や 活動のマネジメ. ジャー. は 出向というかたちで 現地法人に常駐. し 現地事業活動のマネジメントを 行 う ととも に,知識の受領・ 発信 2 つの役割を同時に 遂行 することになる ,発信者となる場合,その相手 は本社の担当人材となる・. 同じように,相手企. 業から派遣されてきた 人材も,相手企業の本社. ントといったアクションに 資することにほかな. から知識を受領したり ,それを投資企業に発信 この図では現地法人 する役割を担 う .最後に, が 現地従業員から 構成されていることを 示して. らない.つまり ,あくまでも投資企業自身,さ らに現地法人に 人材を派遣していることを 考慮 すると投資企業に 属する人材にとってのメリッ. いる. これはあ たりまえのことであ ろう. しか. トであ る.. ここではこれら 現地従業員も 投資企業にた. し. いする知識の 発信者としての 役割をもっことを 重視している.なぜなら,前線の営業マンとい った一般従業員も 相手企業から 移管されること があ. り,これら現地従業員自身の調達スタイル. しかし,人材べー スでは別のメリットも 想定. できる・それは ,Ⅳ方式によって知識の保有 主体であ る相手企業の 人材を現地法人に 迎え入 れることで,その知識が現地での 販売活動に活 投資企業 かされることであ る.つまり,知識が. が参入形態の 選択に関連してくるからであ る.. に入ってくることではなく ,それを保有する人. これはのちに 説明する.. 材が当該 W のために活動してくれることが W 事業の展開に 資することになり ,結果としてそ. さて,知識メリットに焦点をあ わせると,. そ.
(8) 市場 点向 IV . への期待と オ ベレーション 問題. (谷地. (95) 95. 弘安 ). れが投資企業にとってのメリットになるという ことであ る.Ⅳ方式はそうした状態をつくる. し 現地法人に輸出する.現地法人から 出荷さ れた製品は相手企業に 引き取られ,あ とは相手. ための制度的な 枠組みなのであ る.知識の獲得. 企業がそのチャネルで 販売することになる. 第. というよりも ,相手企業の 人材が現地法人の 従 業員となることで ,その活用面に焦点をあ わせ. 2. た メリットであ る.そこで,以下ではこの ょう. 容 をもつことになる.. なメリットを 知識利用メリットと 呼び, これま. 扱業者や最終需要者の 紹介をうけるというもの. でのメリットを 知識獲得メリットと 呼んで区別. であ る. こうした情報が 投資企業に入ることで. することにしょう.図表 4 では,知識獲得メリ. チャネル構築をふくのた 顧客開拓ぺ ー スが早ま. に関連して移転フローが 矢印として描かれ ているが,同時に現地法人に相手企業から 移管 されてきた人材がいて ,かれらが現地法人のた. ることが期待される.それを提供するのは 人材 遣された現地法人の 人材であ る. ここに知識獲. めに販売活動を 行うことも示されている.. 得メリットとアクセス・メリットの. ット. これ. が知識利用メリットを 構成する. このようなメリットを 知識にかんして 区別す ることは, もう 1 つ め アクセス・メリットの 内. 容を考えるうえでも 有用となる.つまり ,アク セス・メリットにも 複数の意味があ り,そのな. に,現地法人の手で製品販売を 行 う 場合であ る. この場合,相手企業に よ る貢献は複数の 内. 見ることができる.. 2. っ ながりを. つめに,相手企業の 人材. が当該 W のためにチャネル 構築をふくのた 顧 客開拓やチャネルのマネジメントを 行ってくれ るということであ る. これは知識利用メリット とつながっている. つまり,図表6 に示すように ,知識の獲得・ 利用という局面に 注目することにより , これま. これまでの研究では ,. アクセス・メリットが. 相手企業が形成しているチャネルの 言葉で表現されてきた.. しかし. 利用という もっと突っ込. んで見ると,その内容は多様であ る.それは図 5. つに,相手企業から 取. べ ー スで見て相手企業の 担当人材やそこから 派. かに知識利用メリットと 重複するものがあ るこ とがわかる・. 1. に示した製品の 販売形態という 視点から導か. でに挙げられてきた 知識メリットとアクセス・. メリットは重複部分をもつことになるのであ る. ・. ここから市場志向 W に期待されるメリット は以下のようにまとめられるだろう. ,. れる・. 第. に,相手企業に製品販売を委任すること であ る. MDI の場合は現地法人で 製品が生産 1. され,直接輸出の場合は投資企業が 製品を生産. 図表 6 知識の獲得・ 利用によるメリットのタイプ 矢口百. 図表 5. 七 反 元 +Ⅲ 独. @. アクセス・メリット. tIV における製品販売の 基本形態. 矢口言. t@. 哉 メリット. 吾比. J隻平 早 メリット. 知識利用メリット (相手人材 ). 現地法人による 販売展開.
(9) 96 (96). 横浜経営研究. 第㏍ 巻. 口 相手企業から 現地マーケットでの 販売に関 連する知識を 獲得でき,戦略・ 方針の策定 が可能となる. (知識獲得メリット ) 口 相手企業の販売チャネルを 利用して,現地. 第 1 号 (1999) あ ろう・つまり ,. W 方式の採用をメリットと. いう点から検討すると ,まずはその相手となる 現地企業のリストができることになる.そこで,. マーケットへの 迅速な浸透が 可能となる.. 複数の可能な 相手企業があ るなかでは,それら 企業には知識の 保有にかんしてレベルがあ ると. (相手企業への. 考えるべきだろう.つまり ,. 販売委任 ) 口 知識をもつ相手企業の 人材が現地法人に 移 管され,かれらによって 販売チャネル 構築 をふくのた顧客開拓やチャネル・マネジメ ント. が実施される.. ( 知識利用メリット ). 視点を降ろしたり ,知識を獲得や利用に分解し メリットの内容はこれまでの. 業と相手企業というダイアドの 関係で比較し て,相手企業の相対的な知識の 優位性を強調し てきたが,実際にⅣを組む作業を進める 場合 では,候補企業が複数あ り,そこから実際の相 手企業を選択するというプロセスがともなう.. このように,企業レベルから人材レベルへと てみることで ,. これまでは投資企. 研. そこに,有用な知識をもっているかどうかを 補企業に見ておく 作業がふくまれる.. 候. しかし これは容易なことではない.かりに. 究の表現よりも 多彩であ ることがわかる. これ. そのためにヒアリンバや 協議といった 場を候補. によって投資企業がメリットを 実際に享受する ためのオペレーション や ,それができるかどう. 企業との間に 設けても,相手企業が投資企業の. かという問題をくわしく 考えることができるの であ る.以下ではこれら識別されたメリットそ. なぜなら,相手企業の知識のレベルを 探ると り. れぞれについて ,そのためのオペレーションと. からだ. これは技術ライセシンバの 契約でも見. いう視点から 検討をくわえることにしょう.. られる・技術の 提供を企図する 企業としては ,. M.. ニーズに応えてくれるかどうかが 疑問であ る. うことが,知識の移転につながる 可能性があ る. 実際に契約締結にもっていきたい. しかしそ のためには相手企業に 提供する技術にかんして 情報をあ たえねばならない.それなくしては相. メリット達成をめぐる オペレーションと 問題. 以下では, ぅ えに挙げたメリットにかんして. ,. 手企業も評価のしょうがなり.. しかしそれを. われわれが投げかけた 疑問を検討することにし. すれば供与企業から 提供する技術の 内容が相手. ょ、 っ .. 企業にわたってしまう 可能,性があ る.これ性情 報 という財の特, t生によって,その取引の成立が 難しいことを 意味している. これと同じような ことが,逆に相手企業の立場で 起こるのであ. M 一 l. 知識利用メリットをめぐる. 問題. 相手企業から 現地での販売活動をめぐる 知識 を得て,それが投資企業の戦略や 方針の策定, マネジメントに 貢献するというのが ,このメリ. る・. 企業が投資企業にとって 有用な知識を 保有して. また,相手企業から見た交渉力 め 問題にもな る. もし,投資企業が知識に欠いていることを 相手企業が認識するなら ,たとえ投資企業が探. いるのか, またそれを保有するとして 実際に投. 索段階にあ るとしても,相手企業はのちに W. 資企業に伝えてくれるかどうか ,. を設立した場合を 考慮に入れることになる.. ット の内容であ る.当然のことであ るが,相手. なる・. これが問題と. しかし このような条件が 保証されるか. どうかについてはさらに 条件が必要であ る.. 第 1 に,現地企業と W を組むとして ,それ が可能となる 相手は複数あ るというのが 通常で. Ⅳ設立の具体的な 交渉に入ったとき ,相手企 業からすると 投資企業が求める 知識の保有が. Ⅳ事業による 利益分配や費用分担といった. 成. 果にかかわってくる 項目での有利性のより 所と.
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(11) 98 98. 横浜経営研究. 第 1 号 (1999). 第㏍巻. プ されることに 注目するのであ る. 品の軽視に結びっく 可能性があ る. この ょう な. 問題は,たとえ相手企業が当該製品販売のため W. 一. 2. 相手企業への 販売委任における 問題. 図表 5 で識別したなかで ,アクセス・メリッ トとして相手企業への 販売委任というかたちで 製品の市場流通ぺ. ー. 品 の 事担 要員として割くかという 決定に相手企 口. 案 が直面するからだ.取扱対象製品にかかわら. スを高めることがあ る.. こうした相手企業への 販売委任のケースで は,相手企業がはたして現地法人の製品口を 販売 するに十分な 努力を注いでくれるかどうかと. に専任要員をわりあ てる場合でも 発生する.結 局,既存の営業マンからだれをどれだけ合弁製. ず,やはり営業マンは相手企業に帰属する 有限 の資源なのであ る.. ぃ. 相手企業に販売を 委託する場合の 問題は ,. こ. 問題があ る・なぜなら ,製造企業が相手であ るとき, その相手にとっては 販売促進努力の 優. うした相手の 販売努力以覚にもあ る.それは生 産活動と販売活動とのリンケージをめぐる 問題. 先度をど う するかという 問題があ るからだ.そ れは典型的には 営業活動の局面に 現れる.相手 企業の営業マンは ,既存製品にくわえて合弁会. であ る. この場合は販売活動と 生産活動が異な る企業で行われることになるが ,これが問題を. 社の製品を新規にとりあ つかうことになる. こ. となる. また,投資企業としても実際に販売 努 力 が適切なものであ るのかどうかをモニターす. 活動を行 う ためにはインプットとして 販売にか んする情報が 必要であ る. ところが,それが相 手企業から還流されない 可能,性があ る. 1 っは 投資企業らが 要求する情報の 質におけ る ギャップであ る.たとえば,投資企業や現地. 予想される.販売を. 法人が過剰生産を 抑制するためには 精度の高い. う. のような状況で 各担当要員が ,既存製品とわけ へだてなく販売に 努力してくるかどうかが 問題. ることに困難がともなうと. 相手にまかせるという 場合,その活動にかんす る管理統制権 を投資企業が 失うことを意味する. うみだす元になる.現地法人や投資企業が生産. うな場合に深刻なものとなるといわれてきた.. 情報を逐次的に 投入することで 調整をはかるこ とが必要であ る.販売を委任する場合はそのよ うな情報を供給するのが 相手企業であ って ,か れらの能力に 依存することになる. もし相手企 業がそれに応えられなければ 目的を達成でき ず,場合によっては投資企業や現地法人の 投資 努力が無駄になることすら 考えられるのであ. しかしわれわれが 重視するのは , この問題が. る. こともあ るということだ. これまでの研究では ,. このような問題は 相手. 企業が生産している 製品と,現地法人や投資企 業で生産される 製品とが代替的な 関係にあ るよ. .つまり,相手企業に 販売面でのメリットを. 製品間の代替・ 競合皮に関連せずに 生ずると思. 期待するとしても ,そのメリットの内容を細か. われる点であ る・というのは ,これは営業マン という販売にかかわる 資源の配分問題だからで. くすれば,それが活かされないとか 不十分であ. る・相手企業にとって ,既存の営業マンは有 限の人的資源であ って,すでにこれまでの自社 あ. 製品の販売のためにかれらの 行動が計画され ,. 実施されてきている.そこに,合弁製品の新規 取扱・販売というさらなるタスクを. 追加すると. いう場合,ひきうける個々の担当営業マンとし ても, タスクの追加が 加算的に負担となる.そ こで,かれにとって有限の時間,努力を既存水 準に維持するのが 困難であ ることから,合弁製. る局面もでてくる 可能性があ る. 2 つ めに,たとえ相手企業が情報を 保有して いるとしても 戦略的な対応としてそれを 投資企. 業らに還流しない 場合があ る.たとえばつぎの ようなものだ.販売を担当する相手企業からす れば,重要となるのは販売機会に確実に 応じる ことであ る.機会損失を回避するには 在庫を備 えておくことが 必要となる.そこで,相手企業 としては販売情報の 詳細な開示をひかえて 現地 法人にた いし 超過気味な生産要請をだすという.
(12) 市場志向 JV へ ㈹期待と オ ベレーション 問題 (谷地. インセンティブがでてくる. しかも,一方で超 過気味に生産させた 製品を在庫として 置くとい うのではコストに 響くことから ,相手企業は製 品口を現地法人の 手元に置くように 言ってくるか もしれない.この26 な 事態は投資企業や 現地 法人が生産活動での 合理化やそのための 生板リ ンケージ強化を 強く意識するほどやっかいにな. る.つまり,相手企業に 販売を委託するとして も,結局それは生産とリンクしているので , 投. 資 企業としても 販売のモニタリンバが 必要にな る.だが,そのためには 相手企業への 事前の働 きかけ・仕組みの 構築が必要となるのであ る.. (99) 99. 弘安 ). 投資企業との 間に販売をめぐる 戦略や方針面で の違いがあ った場合,相手企業で能力を発揮し てきた人材が 転出先であ る現地法人の 戦略・方 針に合致して 業績をあ げるとはかぎらない.つ まり, もし投資企業として 販売にかんする 戦略 や 方針を明確にもっているならば ,それが相手 企業と合致するかどうかを 調査し必要あ らば そうなる よう に教育や指導といった 人材にたい する働きかけをしておかねばならないのであ. る 結局,これらの問題では知識の 保有主体と考 えられてきた 人材が キ 一になっていることがわ かるだろう.たんに , JV 方式によってメリッ. V 一 3. 知識利用メリットをめぐる 問題. われわれが新たにとりだしたこのメリットに. トを享受できるというのではなく ,そのために はこうした人材をめぐっての 投資企業によるオ. は,実際にそれを享受するにさ い してさらなる. ペレーションが 重要になってくるということ. 問題・条件があ る.. だ. ここで,知識メリットやアクセス・メリッ. 知識を保有する 主体は ヒト であ り,それが Ⅳ方式という 枠組みによって 現地法人に属し. トが人材を軸に 説明されることをふまえて , 人. 材 をあ らためてⅣ資源と 呼ぶことにしよう・. その販売活動の 展開に知識を 利用する・問題は ,. このⅣ資源をいかに 獲得するか,いかに 投資. そうして相手企業から 派遣・移管されてくる 人 材の知識レベルであ る. これは人材の 能力と言 い換えることができるだろう.その能力に疑問. 企業にとって 有用な資源としてあ つらえるかが 重要であ り,Ⅳ方式をとること 自体が必ずし もそれに っ ながるのではないのであ る.. がでてくる.それは,相手企業がマネジャーや. V.. 営業マンといった 人材を現地法人に 拠出すると. して,そこに有能な人材をふりむけてくれるか どうか,むしろそれを期待するのは 難しいこと だ .有能な人材は相手企業の販売活動にとって も欠かすことができないはずだ. はたして,そ の ょ うなエースをⅣに 振り向けるだろうか ? 最悪の場合は ,余剰人員の捌け口として ,能力 が低い人材を 移管してくるという 懸念すらあ る .もし投資企業が 事前に十分な 審査能力を もっていなければ ,その懸念が現実になる可能 性が大きくなる. もともと知識メリットをもと めて. W. 方式を検討するという 状況からすれば ,. 投資企業にとってそうした 可能,性は決して 低く ないと見なければならないだろう.. また,たとえ能力的に問題のない を. ぅ. むすび. 本稿では,市場志向Ⅳのメリットとして 先 行研究であ げられてきた 項目により深く 立ち入 ってきた.そうすると,実際にそれを投資企業 が達成するうえでは 多くの問題・ 条件があ るこ とが明らかになった. 相手企業からの 販売にかんする 知識の流人が 投資企業による 販売戦略や方針の 策定に貢献し. たり,それにもとづいて取扱業者の探索から. 契. 約締結までのオペレーション 展開がスムーズに なる. しかしこの知識獲得メリットには 問題 や前提があ る,. 1. っは Ⅳの相手を候補から 選. 走 するなかで,そうした知識を保有する 有能な 企業の識別が 難しいことであ る. 2 つ めに,現. 人材の提供. 地にそのような 有能な企業が 存在することが 前. けたとしても ,かりに提供側の相手企業と. 提であ る. これは開発途上国への 進出にさ いし.
(13) 100 (100). 横浜経営研究. 第㏍ 巻. 第 1 号 (1999). て とくに意識される 問題だ.以上 2 つは,現地. の 能力という前提部分で 疑問があ る. アクセ. 法人を設立する 前段階で強く 意識される問題で. ス・メリットに 同じく,ここでも相手企業が資 源配分決定に 直面することが 問題のソースとな. あ. る・ 3. つめに,知識の移転は ヒトとヒト のコ. ミュニケーションをつうじてなされる.. したが. る・有限な資源のなかで. ,有能な人材を移管し. って,それを担当する窓口の 人材にはコミュニ ケーション能力が 必要となる. これは海外事業 であ るがゆえの基本条件となる. これは実際に. てくるかどうかが 疑問となる. また,相手企業 にとって有能な 人材であ っても,それが現地法 人に貢献するかどうか.そこでは投資企業の戦. 設立されたあ とで強く認識される 問題であ る.. 略や方針とのフィットネスが 問われねばなら. すでに自社販売組織やチャネルを 形成してい る 相手企業に販売を. 委任することが 投資企業に とっての現地マーケットでの 販売展開スピード. ず, もし合致しなければかれらを 対象とした 教 育 ・指導という 働きかけを行わねばならない. こうしたⅣでの 管理問題があ るからこそ,. を高める. こうしたアクセス・メリットには 2 つの問題がつきまとう. 1 つに相手企業が 現地 法人や投資企業で 生産した製品の 販売に十分な 努力を注いでくるかどうかに 疑問があ ること だ.実際に販売を行 う のは相手企業の 営業マン であ るが,かれらは有限の資源であ り,所与の. これまで市場志向Ⅳに 期待されるメリットと 考えられてきたものが , WO 方式と W 方式の 間に格差をもたらすものではないという 実務か らの見解をもたらしてきたのであ る.本稿で明 らかなように ,Ⅳのメリットを実際に享受す るにはさらに 条件があ る.それらは参入形態の. 時間と. 選択にかかわる 要因として,新たにリストに. る. カ. のなかでは合弁製品の 追加が負担とな. . また,合弁製品の専 担 要員をつけるとして. も,同じように有限の営業マンからだれをどれ だけ振り向けるかが 問題となる.営業マン自身 が合弁製品の 販売促進に十分な 努力を払わな い,有能な営業マンを合弁製品に割り 当てない という事態が 懸念される. これらはいずれも 相 手企業にとっての 資源配分決定にともなう 問題 だ.. 2. つめに販売を 委任するといっても 現地法. わ え ぬぼ ならないものだといえる・. く. これまでの. 研究では,参入形態の選択,あるいは出資比率 の決定が, W 資源の調達スタイルに 対応する という前提で 議論を組み立ててきた. しかし. Ⅳ資源調達にかかわるオペレーションをくわ しく見ると,そうした対応は必ずしも 成り立た ないのであ る.われわれ研究者,そして海外投 資を考える企業はこの 点を認識しておかねばな. 人や投資企業としては 生産のために 販売情報が. らない・. 必要となる.生産と販売が情報を 軸に相互リン. こうした問題は 実際に発生しているのであ ろ うか ? つぎに問うべきは 本稿での議論の 妥当. ク. しているのであ る.そのために投資企業や現. 地法人としては 販売情報が手元に 入ってくるよ うな仕組みづくりや 働きかけを行わねばならな い・これら 2 つの問題は,投資企業が相手企業 に 販売を委任するなかで ,いかにしてそれをモ ニタリンバするかをポイントとするものであ る・. 知識をもった 相手企業の人材が 現地法人で活. 動する,つまり知識が利用されることが. 結果と. して投資企業の 現地での販売展開に 貢献すると いうのが 3 つめのメリットであ る. この知識利 用メリットには ,相手企業が移管してくる 人材. 性であ る.また,実際に 市場志向Ⅳを 展開し ている投資企業はこれらの 問題にたいしてどう 対応、しているのであ ろうか ? これは参入形態の 選択ロジックをもっとはっきりさせるために 必 要な疑問であ る. しかしたんにこれらの 問題 の所在を説明しただけでは ,それは参入形態の 選択をめぐる 従来の研究に 考慮ファクターを 追 抗 したり,過去における 日本企業の WO 志向 をよりくわしく 説明するだけの 貢献にとどまる ものであ る, この疑問に応えることが. 重要なのは,現地で.
(14) 市場志向 JV への期待と. オ ベレーション. 問題 (谷地. が、安 ). (101). の 製品販売を双提とする 場合,これまでのよう. として財団法人村田学術振興財団. な WO. 援を. 方式とⅣ方式の 選択を許さない 状況が. ぅ. る. ,"主. W 方式の採用が 政府当局. によって義務づけられていることが. ・中国やインドがそうであ. 多いのであ. る.つまり,これ. らの国で製品を 販売するうえでは ,. W 方式を. 前提に,いかにメリットをひきだすかという 実. り資金的支. けている.団団に厚く感謝申し 上げる.. 存在するからだ.それが 新興市場であ る.新興 市場への参入では ,. よ. 101. Ⅰ. l"). 海外 惇業 においてマーケティンバ 面でのメリ ノ トを JV 方式にもとめる 研究は枚挙に 暇がない. 古典的なものから 上ヒ較的 最近に至るまで ,代表 的なものを挙げておこう・ Stopford=We Ⅱ s,J「.. [1972],Root[1982],Youngetal.[19891.. 務 りな問題が発生する. これはまさに 2 つめの 自. 参考文献. 疑問にほかならない・ さらに, もしこれまでの 進出にさいして 実務家が指摘するように ,そも そも相手企業からの 貢献を期待することができ ないならば,義務づけられている W のなかで, 本稿でとりあ げた問題をいかに 抑えるべきかが 問われねばな い .. このような状況をふまえて. 2 つの疑問に実証. 的に応えることが 今後の課題であ る.つぎに中. 国市場での日本企業の JV を対象に,これらの. 課題を検討することにしょ つ、 米本稿の研究は「国際経営におけるマーケティ ング知識の移転・ 共有にかんする 実証的研究」. Root, F.R. [1982] Foreign Marke[ Ent Ⅳ Strategies, (,f, 村元. AMACOM. -. 能 訳. 『海覚市場. 戦 m各 』,. HBJ 出版局, 1984 年 ). Stopford, J.M., L.T. wells,J [1972] Managing the Mu Ⅲ national Enterprise, Basic Books 。 ll@m 奇 i吉 「・. 訳 『多国籍企業の 所有政策と組織』, ダイヤモン ド社, 1978 % . Young, S., J. Ham Ⅲ,C. Wheeler, J.R. DaVies [1989] Interna[jonal. Market. Ent り, and. DeVelopment,. Prectice Hall.. 谷地腔安 [1999] 『中国市場参入一新興市場における 生飯並行展開』,千倉書房.. 吉原英樹 [1980] 「多国籍企業の 経営資源と経営支 配 : 所有政策の分析枠組み」,国民経済雑誌 (神 「 ," 大 ,卸 ,. ( やち. 第 142. ひろやす. 巻第 3 号.. 横浜国立大学経営学部助教授」.
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