平成29年度 修 士 論 文
フォトンカウンティング CT と GEANT4 シミュレーションを用いた
体内電子密度分布の高精度推定法
指導教員 櫻井 浩 教授
群馬大学大学院理工学府 理工学専攻
電子情報・数理教育プログラム
林 瑞子
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目次
第
1 章 序論
1-1 背景 3 1-2 目的 4第
2 章 原理
2-1 ブラックピークと粒子飛程距離 5 2-2 X 線 CT 6 2-3 Photon-counting CT 8 2-4 電子密度、実効原子番号測定原理 9 2-5 シミュレーション 11 2-5-1 モンテカルロシミュレーション 2-5-2 Geant4 2-6 再構成アルゴリズム 12 2-6-1 ML-EM 法 2-6-2 ML-EM 法の計算手順 2-6-3 OS-EM 法 2-6-4 OS-EM 法の計算手順第
3 章 NIST データによるシミュレーション
3-1NIST データによるシミュレーション 14 3-1-1 目的 3-1-2 Zou らの提案手法 3-1-3 我々の提案する手法 3-2 シミュレーション結果・考察 16第
4 章 GEANT4 によるシミュレーション
4-1 Geant4 によるシミュレーション 23 4-1-1 目的 4-1-2 条件 4-2 シミュレーション結果・考察 242
第
5 章 オフセット補正をかけたシミュレーション
5-1 オフセット補正のシミュレーション 32 5-1-1 オフセット補正1を用いたシミュレーション 5-1-2 オフセット補正2を用いたシミュレーション 5-2 シミュレーション結果・考察 35 5-2-1 オフセット補正1を用いたシミュレーション結果・考察 5-2-2 オフセット補正2を用いたシミュレーション結果・考察第6章 電子密度及び実効原子番号とストッピングパワーの関連性
6-1 𝑆𝑃𝑅𝑤を用いた電子密度と実効原子の誤差検証 51 6-1-1 目的 6-1-2 条件 6-2 𝑆𝑃𝑅𝑤の検証結果・考察 53第7章 結論
54第8章 総括
55参考文献
56謝辞
58学会発表
593
第
1 章序論
1-1 背景
1) 群馬大学重粒子線医学研究センターでは、がん治療に際して重粒子線治療を 行える。重粒子線治療は、放射線療法の中のひとつで加速した炭素イオンをが ん病巣に照射できる先端の治療方法である。特徴として、重粒子線は体内の粒 子の飛程によってエネルギーのピーク(ブラックピーク)を配置することがで き、その前後の体内では比較的低線量で通り抜け、周りの正常細胞にはダメー ジが少ない。また、そのブラックピークを狙った腫瘍に合わせることが出来 る。この特徴を有効に利用するためには、治療計画において患者の体内の重粒 子の飛程を精度良く評価することが重要になる。飛程は電子密度に依存してい ることが分かっているので電子密度の分布を正確に見積もることが必要不可欠 のデータとして取り扱われる。しかし従来のX 線 CT ではビームハードニング 効果が発生してしまい、原子番号やCT 装置に依存して CT 値の不確実性や画 像にビームハードニングアーチファクトが生じてしまうという問題点が発生す る。 現在の重粒子線治療の治療計画はX 線 CT のみで行われている。X 線 CT 撮 影から、CT 値が測定され治療範囲や照射量を決定し治療を始める。CT 値と電 子密度で直線関係を仮定して近似的に電子密度は求められているが、CT 値は 電子密度と原子番号どちらにも依存するため、変換は近似による誤差が生じ る。 そこで従来のCT は強度のみを得るが、Photon-counting CT は強度とエネ ルギーを得られるため、今回はPhoton-counting CT を採用した。詳しい Photon-counting CT の概要は 2-2 で説明する。 現在、取越らの研究によって疑似生体物質を用いた実験では約1%の誤差で電 子密度を測定できるという結果が出ている。しかしこの手法は電子密度、実効原 子番号を取得する際に、理論計算や逐次処理を行っており、処理が複雑になって いるという問題点が挙げられる。4
1-2 目的
医理工連携を背景に透過x 線エネルギーごとのフォトン数を検出器で測定す るPhoton-Counting CT を利用した高精度電子密度推定法を提案する。ここ で、取越らの手法で用いられている線減弱係数から電子密度及び実効原子番号 を求める式を提案手法である近似式に変換しそれによって得られる結果と NIST に記載されている電子密度、実効原子番号との誤差、また GEANT4 シ ミュレーションとオフセットの補正を用いたシミュレーションでその精度を検 討することを目的とする。内容として 1. 取越らの測定原理より導出した我々の提案する測定式を検討するために NIST のデータベースを用いて電子密度と実効原子番号をシミュレーショ ンする。 2. GEANT4 を使用して条件に沿った電子密度と実効原子番号をシミュレー ションする。 3. 1 及び 2 で算出したデータとオフセット補正した吸収係数で求めた電子密 度と実効原子番号の誤差を比較する。 上記の3 つを当面の研究目的とし、最終目標は Photon-Counting CT を使用 して、1%以下の精度で電子密度を得ることとした。5
第
2 章原理
2-1 ブラッグピークと粒子飛程距離
2) 粒子線治療の方法は、照射した粒子の運動エネルギーが電磁相互作用などに よって損失し、その移行エネルギーによって腫瘍にダメージを与える、という 方法である。移行エネルギーは粒子が停止する直前(飛程距離末端付近)にピー クがたつことが分かっておりこれをブラッグピーク(Bragg peak)と呼ぶ。 Fig.1 に示すように、ブラッグピークと腫瘍の位置を合わせることによって腫 瘍付近の健康な部分への線量を少なくすることが出来る。 粒子の飛程距離を求める式としてベーテ・ブロッホ(Bethe-Bloch)の式があ り、次のように表す事ができる。 −𝒅𝑬 𝒅𝒙 = 𝟒𝝅𝒛𝟐𝒆𝟒 𝒎𝒆𝒄𝟐𝜷𝟐𝝆𝒆[𝒍𝒏 𝟐𝒎𝒆𝒄𝟐𝜷𝟐 𝑰(𝟏 − 𝜷𝟐)− 𝜷𝟐] (1) ここで各項は、 { − 𝑑𝐸 𝑑𝑥⁄ : エネルギー損(stopping power) 𝑚𝑒: 電子の質量 𝑒: 電子の電荷 𝛽: 入射粒子の速度の高速比率 𝐼: 平均励起ポテンシャル } である。 Fig.1 ブラッグピークと飛程距離6
2-2 X 線 CT
3) CT の再構成画像において、2 次元画像は小さな正方形のピクセルから構成 されている。このピクセルには白黒の濃淡値が与えられCT 画像を表現する。 この画像における濃度値のことをCT 値という。CT 値は次の式のように表さ れる。 𝐂𝐓値 = 𝟏𝟎𝟎𝟎 ×𝝁 − 𝝁𝒘 𝝁𝒘 (2) 𝜇は被写体の減弱係数、𝜇𝑤は水の減弱係数を示す。 線減弱係数𝜇は以下に示すように光電効果の項と弾性・非弾性散乱の項で表 される。 𝝁 = 𝝆𝑵𝑨 𝑨 ( 𝝈𝒂 𝒆𝒍+ 𝝈𝑺𝑪 𝒄𝒐𝒉 𝒂 + 𝝈𝒂 𝑺𝑪𝒊𝒏𝒄𝒐𝒉) (3) 式(3)中の𝜌は物質の密度、𝐴は原子数、𝑁𝐴はアボガドロ数を表す。具体的表 式としてHawks と Jackson の提案した近似式を用いた。光電効果の項は K-殻 を主要項として、L-殻吸収を補正項として取り入れ次のように表した。 𝝈𝒆𝒍 = 𝟒√𝟐𝒁𝟓𝜶𝟒(𝒎𝒄𝟐 𝒌 ) 𝟑.𝟓 𝝓𝟎∑ 𝒇𝒏𝒍𝒍′ 𝒏𝒍𝒍′ (4) 𝑍は物質の原子番号、𝑘は X 線のエネルギー、𝑓𝑛𝑙𝑙′が補正項を表す。 散乱項は弾性散乱と非弾性散乱をあわせて次のように表した。 𝝈𝑺𝑪 = 𝒁𝚽𝑲𝑵(𝒌) + (𝟏 − 𝒁𝒃−𝟏) (𝒁 𝒁′) 𝟐 𝚽𝒄𝒐𝒉(𝒁′, 𝒌′) (5) 式(5)中の𝑍′は基準とする元素の原子番号であり、酸素を基準としていて、 Φ𝑐𝑜ℎはその元素の弾性散乱の断面積である。第1 項は Klein-Nishina の式であ る。𝑘′は基準元素のために修正されたエネルギーで𝑘′ = (𝑍′ 𝑍) 1 3 𝑘として表せる。7 パラメータ𝑏は、取越らにより 0.5 と提案されている。ここで𝜌𝑁𝐴 𝐴 𝑍は電子密度 𝜌𝑒の他ならないので、式を簡略化し次の様に表すことができる。 𝝁 = 𝝆𝒆[𝒁𝟒𝑭(𝒌, 𝒁) + 𝑮(𝒌, 𝒁)] (6) この式(6)で𝜌𝑒𝑍4𝐹(𝑘, 𝑍)は光電効果の項を、𝜌𝑒𝐺(𝑘, 𝑍)は散乱項を示す。線減弱 係数は電子密度と原子番号の2つが未知数であることが分かる。
8
2-3
Photon-counting CT
4) Photon-counting CT は透過 x 線のエネルギーごとのフォトン数を検出器で測 定する手法である。仕組みをFig2 に示す。 Fig.2 Photon-counting CT の仕組み Photon-counting CT を用いる利点は2つある。まず、検出器は光子1つ1つ をカウントするため低線量側での感度は非常に高く、線量に対する定量性も高 い。よって低線量でも正確な計測ができるため低被爆化が可能である。次に、一 度の撮像で各ピクセルが透過 X 線のフルスペクトルを得るため、撮像後に自由 にエネルギー帯域を選択しての演算が可能である。 従来のCT システムとの大きな違いは、従来のシステムでは強度のみが得られ たのに対し、Photon-counting CT では強度とエネルギーどちらも得うる。エネ ルギーがあることにより、自由なエネルギー帯域から値を選んで算出できる。 光源 定盤 Photon-counting ライン検出器 サンプル CT 撮影用 制御PC9
2-4 電子密度、実効原子番号測定原理
2 色 X 線 CT で用いられる、電子密度及び実効原子番号の測定原理を以下に 示す。 2 色 X 線 CT では、CT 撮影で得られる値が通常の CT 値ではなく線減弱係数と なる。線減弱係数を𝜇とすると、 𝝁=𝝆𝑵𝑨 𝑨( 𝝈𝒂 𝒆𝒍+ 𝝈𝑺𝑪 𝒄𝒐𝒉 𝒂 + 𝝈𝒂 𝑺𝑪𝒊𝒏𝒄𝒐𝒉) (7) として表すことができる。ここで各項は、 { 𝜇: 線減弱係数 𝜌: 物質の密度 𝐴: 原子数 𝑁𝐴: アボガドロ定数} である。また、(7)の右辺()内の第 1 項は光電吸収断面積、第 2,3 項は弾性散 乱、非弾性散乱の項で、 光電吸収断面積: 𝝈𝒂 𝒆𝒍 = 𝟒√𝟐𝒁𝟓𝜶𝟒(𝒎𝒄𝟐 𝒌 )𝟑.𝟓𝝓𝟎∑𝒏𝒍𝒍′𝒇𝒏𝒍𝒍′ (8) 散乱断面積: 𝝈𝒂 𝑺𝑪=𝒁𝜱𝑲𝑵(𝒌) + (𝟏 − 𝒁𝒃−𝟏) (𝒁𝒁′) 𝟐 𝜱𝒄𝒐𝒉(𝒁′, 𝑲′) (9) として表せる。 ここで電子密度𝝆𝒆について考えると 𝝆𝒆=𝝆𝑵𝑨 𝑨 𝒁 (10) である。 光電吸収断面積、散乱断面積の項からZ を外に出して新しい関数 𝐹(𝑘, 𝑍), 𝐺(𝑘, 𝑍)を 𝑭(𝑘, 𝑍)=𝟒√𝟐𝜶𝟒(𝒎𝒄𝟐 𝒌 )𝟑.𝟓𝝓𝟎∑𝒏𝒍𝒍′𝒇𝒏𝒍𝒍′ (11) 𝑮(𝑘, 𝑍)=𝜱𝑲𝑵(𝒌) + (𝟏 − 𝒁𝒃−𝟏)(𝒁 𝒁′𝟐) 𝜱𝒄𝒐𝒉(𝒁′, 𝑲′) (12) とすると(10)(11)(12)から(7)は 𝝁=𝝆𝒆[𝒁𝟒𝑭(𝒌, 𝒁) + 𝑮(𝒌, 𝒁)] (13) として表せる。 この式において、エネルギー𝒌をふたつのエネルギー𝒌𝟏, 𝒌𝟐として連立方程式を 解くことによって、10 𝒁𝟒=𝝁(𝒌𝟐)𝑮(𝒌𝟏,𝒁)−𝝁(𝒌𝟏)𝑮(𝒌𝟐,𝒁) 𝝁(𝒌𝟏)𝑭(𝒌𝟐,𝒁)−𝝁(𝒌𝟐)𝑭(𝒌𝟏,𝒁) (14) 𝝆𝒆= 𝝁(𝒌𝟏)𝑭(𝒌𝟐,𝒁)−𝝁(𝒌𝟐)𝑭(𝒌𝟏,𝒁) 𝑭(𝒌𝟐,𝒁)𝑮(𝒌𝟏,𝒁)−𝑭(𝒌𝟏,𝒁)𝑮(𝒌𝟐,𝒁) (15) として表すことができる。 このようにして実効原子番号と電子密度を求める事ができる。
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2-5 シミュレーション
5) 6) 7) 2-5-1 モンテカルロシミュレーション 乱数を用いて行う計算を一般的にモンテカルロ法という。確率分布に基づい た乱数を振ることで、その事象がつぎにどのような相互作用が起こるか,各相 互作用の断面積の相対値を利用しシミュレーションする。 2-5-2 Geant4Geant4 (GEometry ANd Tracking 4)は、粒子と物質の相互作用のモンテカ ルロ法によるシミュレーションのためのツールキットであり、C++言語で記述 される。このツールが使用される分野は高エネルギーや原子力や加速器物理学 だけではなく、近年は宇宙科学の研究や医学への利用も増えてきている。 粒子と物質の相互作用断面積などの、シミュレーションを行う上で必要なほ ぼすべての物理情報やループ処理の機能などを持っていて、ユーザーがジオメ トリや入射粒子のプロパティ、使用する物理プロセス、出力結果の取り出し方 法などを指定するとGeant4 が指定された情報に基づいたシミュレーションを 行い、出力結果として取り出すことが出来る。 Geant4 を用いたシミュレーションを行うためには、最低でも下記の 3 つの クラスが必要である。 DetectorConstruction (ジオメトリ) PhysicsList (粒子の種類 物理プロセス) PrimaryGenerationAction (発生させるイベントの初期状態)
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2-6 再構成アルゴリズム
8)2-6-1 ML-EM 法
最尤推定による期待値最大化(Maximum Likelihood - Expectation
Maximization)再構成法は測定されたデータがポアソン分布に従っているとの 仮定で統計学的手法によって、確率的に最も可能性の高い断層像を推定する方 法。 計算式は以下のような逐次式で表される。 𝝀𝒋𝒌+𝟏 = 𝝀𝒋𝒌 ∑𝒏𝒊=𝟏𝑪𝒊𝒋 ∑ 𝒚𝒊𝑪𝒊𝒋 ∑𝒎𝒋′=𝟏𝑪𝒊𝒋′𝝀𝒋𝒌′ 𝒏 𝒊=𝟏 (16) 𝑘は繰り返し回数を表す。𝑗は再構成画像の座標を表し、すべての画素数 𝑚ま で通し番号で表す。例えばマトリクスサイズが64×64 なら、𝑗=1~4096 であ る。一方、𝑖 は検出器上の画素番号で、角度方向のデータも含めて𝑛個の一連 のデータと考える。投影方向数𝑛𝑣が 72 なら𝑖=1~4608(=64×72)となる。𝜆𝑗はあ る画素𝑗の RI 濃度(あるいは、これに比例する量)、𝑦𝑖は検出器𝑖での投影デー タ、𝐶𝑖𝑗は画素𝑗から出たフォトンが検出器𝑖に到達する割合である。 2-6-2 ML-EM 法の計算手順 式(14)は、投影(フォワードプロジェクション)、逆投影(バックプロジェクショ ン)、総確率での規格化、再構成値の更新などの計算要素に分解できる。実際の 計算方法を以下に示す。 1 検出確率𝐶𝑖𝑗を計算する (最初に 1 回だけ計算すればよい)。 2 初期画像(𝜆𝑘>0)を仮定する。 3 𝜆𝑗𝑘をすべての角度に対してフォワードプロジェクションし、計算による投影 データ𝑝𝑖を求める。 4 測定投影データ𝑦𝑖と,ステップ 3 で計算された𝑝𝑖との比を計算する。 5 ステップ 4 で計算された値(𝑦𝑖/𝑝𝑖)をバックプロジェクションする。 6 逆投影画像を確率の総和∑𝑛𝑖=1𝐶𝑖𝑗で規格化する。 7 以上のステップで求められた値を𝜆𝑗𝑘にかけて更新画像𝜆 𝑗𝑘+1を作成する。 8 更新画像を初期画像としてステップ 3 に戻る。
13 以上の計算ループを繰り返すことによって𝜆𝑗はRI 分布画像に近づいていく。計 算ループの打ち切りに関しては明確なルールは存在しないので、経験的に行っ ているのが現状である。また初期値としては「正の値であること」という制限は あるが、一様分布を仮定しておけば特に問題はない。 2-6-3 OS-EM 法
Ordered Subset - Expectation Maximization のことで、ML-EM 法を基に統
計学的にRI 濃度を推測する方法。ML-EM 法はすべての角度方向の投影データ を用いて行うが、OS-EM 法は得られた投影データをある角度毎の Subset と呼 ばれるグループに分割し、このSubset ごとに繰り返し計算を行なうことで計算 の収束が速い。 2-6-4 OS-EM 法の計算手順
OS-EM 法は投影データをいくつかの組(subset)に分割しておき、この subset に属するデータだけで、投影、逆投影などを繰り返す方法である。計算手順を以 下に示す。 1 検出確率𝐶𝑖𝑗を計算する (最初に 1 回だけ計算すればよい)。 2 初期画像(𝜆𝑘>0)を仮定する。 3 𝜆𝑗𝑘をあるsubset に属する角度に対してのみフォワードプロジェクションし、 計算による投影データ𝑝𝑖を求める。 4 同じ subset に属する測定データ𝑦𝑖と,ステップ3 で計算された𝑝𝑖との比を計 算する。 5 ステップ 4 で計算された値(𝑦𝑖/𝑝𝑖)をある subset に属する角度に対してのみバ ックプロジェクションする。 6 逆投影画像を確率の総和∑𝑛′𝑖∈𝑠𝑢𝑏𝑠𝑒𝑡𝐶𝑖𝑗で規格化する。ただし,𝑛′は一つの subsetに含まれる投影データの数で𝑛′ = 𝑛/𝑠𝑢𝑏𝑠𝑒𝑡数 で表される。 7 以上のステップで求められた値を𝜆𝑗𝑘にかけて更新画像𝜆 𝑗𝑘+1を作成する。 8 更新画像を初期画像としてステップ 3 に戻り、次の subset に移る。一方、す べてのsubset の計算が終わったら、最初の subset に戻してステップ 3 に戻る。
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第
3 章 NIST データによるシミュレーション
3-1
NIST データによるシミュレーション 3-1-1 目的 取越らの測定原理より導出した我々の提案する測定式を検討するために NIST のデータベースを使用して電子密度と実効原子番号を算出する。 3-1-2 Zou らの提案9) 角度θで試料に単色 x 線が通過するとき、投影位置 r の投影データを式(8)と 定義する。 𝑷(𝒓, 𝜽) = − 𝒍𝒏 𝑰(𝑬) 𝑰𝒐(𝑬)= ∫ 𝝁(𝑬, 𝒙)𝒅𝒙 (17) 式(8)より、CT 復元技術を用いて測定された投影データから直線減弱係数の分布 を得る、ということが分かる。 しかしながら、実際適応できる高い強度の単色 x 線を得るのは困難なため、多 色スペクトルS(E)の x 線を DXCT として適応すべきである。 この場合、測定する投影データは式(9)と表す。 𝑷(𝒓, 𝜽) = − 𝒍𝒏 𝑰(𝒓) 𝑰𝒐(𝒓)= −𝒍𝒏 { ∫𝑬𝒎𝒂𝒙𝑺(𝑬)𝒆𝒙𝒑 [− ∫ 𝝁(𝑬, 𝒙)𝒅𝑬𝒓 𝟎 ∫𝑬𝒎𝒂𝒙𝑺(𝑬)𝒅𝑬 𝟎 } (18) 式(9)は線積分の形をとっていないため、CT 復元技術は投影データから直線減弱 係数を直接的に得ることはできない。 しかしながら、もし検出器が、エネルギーが狭いエネルギーバンドに入る放射線 の一部だけ記録しうるならば、測定する投影データは有効エネルギーE の単色 x 線を用いた「理想的な」状態のもとで得たのとほぼ等しい。 この研究では、有効エネルギーの各エネルギーバンドの中点を選択し、投影デー タを式(10)として近似する。15 𝑷(𝒓, 𝜽) = −𝒍𝒏{∫ 𝑺(𝑬) 𝒆𝒙𝒑 [− ∫ 𝝁(𝑬, 𝒙)𝒅𝒙𝒓 ] 𝒅𝑬 𝑬+∆𝑬 𝑬 ∫𝑬𝑬+∆𝑬𝑺(𝑬)𝒅𝑬 } ≈ ∫ 𝝁 (𝑬 +∆𝑬 𝟐 , 𝒙) 𝒅𝒙 𝒓 (19) この近似式はエネルギーバンドの範囲を超えた直線減弱係数のエネルギー依存 を無視したりエネルギー積分方程式から直接的に𝑒𝑥𝑝 [− ∫ 𝜇(𝐸, 𝑥)𝑑𝑥]の項を抽出 したり数学的に推定できる。方程式(10)の2番目の線も線積分の項であるた め、単色CT 復元技術は直線減弱係数を得うる。 取越らの式を用いることにより、上記の導出に至る。 3-1-3 我々の提案する手法 NIST の table を用いて、2-4 で示した3つの手順で電子密度と原子番号を得 る。その計算結果と理論値(𝜌𝑒 = 𝜌𝑁𝐴𝑎Z , 𝑍𝑒𝑓𝑓 = (∑ 𝜔𝑖𝑍𝑚)1/𝑚(m=3.3),ω_i: 化合 物全体の電子に対するZ_i の電子の割合で、Σw_i = 1 となる)と比較する。 1,選択したx 線エネルギーは 50, 60, 70, 80, 90keV の 5 つである。 2,用いる Z は Z=6,12,13 の 3 つである。式(13)を用いて、Y 軸の𝜇 𝜌𝑒は 𝜇 𝜌𝑒 = 𝜇 𝜌 × 𝐴 𝑁𝑎𝑍 と 導 出 し 、 こ こ で μ / ρ は 吸 収 係 数 、 NIST の Table1 を Interpolation した値を使用する。 3,手順2,で導出した F,G と式(13)を用いて、Carbon(C), Aluminium(Al),
Magnesium(Mg), Titanium(Ti), PMMA,Water の 6 つの電子密度と原子番号を
求める。
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3-2 シミュレーションの結果・考察
(103-1-2 における手順2の 50keV, 60keV, 70keV, 80keV, 90keV から得た F,G
をそれぞれFig3, Fig4, Fig5, Fig6, Fig7 の Fitting したグラフより得る。 ここ
でF はグラフの傾き、G はグラフの切片である。 Fig3 50keV の F,G Fig4 60keV の F,G y = 2.395E-29x + 5.949E-25 R² = 9.984E-01 0 2E-25 4E-25 6E-25 8E-25 1E-24 1.2E-24 1.4E-24 0 5000 10000 15000 20000 25000 30000 μ /ρ _e Z^4
50keV(Z=6,12,13)
y = 1.395E-29x + 5.662E-25 R² = 9.983E-01 0 2E-25 4E-25 6E-25 8E-25 1E-24 1.2E-24 0 5000 10000 15000 20000 25000 30000 μ/ρ _e Z^460keV(Z=6,12,13)
17 Fig5 70keV の F,G Fig6 80keV の F,G y = 9.152E-30x + 5.462E-25 R² = 9.986E-01 0 1E-25 2E-25 3E-25 4E-25 5E-25 6E-25 7E-25 8E-25 9E-25 0 5000 10000 15000 20000 25000 30000 μ /ρ _e Z^4
70keV(Z=6,12,13)
y = 5.963E-30x + 5.285E-25 R² = 9.985E-01 0 1E-25 2E-25 3E-25 4E-25 5E-25 6E-25 7E-25 8E-25 0 5000 10000 15000 20000 25000 30000 μ /ρ _e Z^480keV(Z=6,12,13)
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Fig7 90keV の F,G
3-1-2 における手順3の Carbon(C), Aluminium(Al), Magnesium(Mg),
Titanium(Ti), PMMA,Water の 6 つの電子密度と原子番号を Fig8, Fig9,
Fig10, Fig11, Fig12, Fig13 より求める。ここで、ρe はグラフの切片、Zeff は グラフの傾き(ρeZ^4)とグラフの切片より算出する。 Fig8 C のρeとZeff y = 4.240E-30x + 5.128E-25 R² = 9.960E-01 0 1E-25 2E-25 3E-25 4E-25 5E-25 6E-25 7E-25 0 5000 10000 15000 20000 25000 30000 μ /ρ _e Z^4
90keV(Z=6,12,13
)
y = 5.780E+26x + 5.112E+23 R² = 9.993E-01 5.10000E+23 5.15000E+23 5.20000E+23 5.25000E+23 5.30000E+23 5.35000E+23 0 0.0000050.000010.0000150.000020.0000250.000030.0000350.000040.000045 μ( N IS T )/G F/GC μ(NIST)/G
19 Fig9 Al のρeとZeff Fig10 Al のρeとZeff y = 1.103E+28x + 5.181E+23 R² = 1.000E+00 0.00000E+00 2.00000E+23 4.00000E+23 6.00000E+23 8.00000E+23 1.00000E+24 1.20000E+24 0 0.0000050.000010.0000150.000020.0000250.000030.0000350.000040.000045 μ( N IS T )/G F/G
Mg μ(NIST)/G
y = 2.205E+28x + 7.822E+23 R² = 1.000E+00 0.00000E+00 2.00000E+23 4.00000E+23 6.00000E+23 8.00000E+23 1.00000E+24 1.20000E+24 1.40000E+24 1.60000E+24 1.80000E+24 0 0.0000050.000010.0000150.000020.0000250.000030.0000350.000040.000045 μ( N IS T )/G F/GAl μ(NIST)/G
20 Fig11 Si のρeとZeff Fig12 PMMA のρeとZeff y = 2.538E+28x + 6.969E+23 R² = 1.000E+00 0.00000E+00 2.00000E+23 4.00000E+23 6.00000E+23 8.00000E+23 1.00000E+24 1.20000E+24 1.40000E+24 1.60000E+24 1.80000E+24 2.00000E+24 0 0.0000050.000010.0000150.000020.0000250.000030.0000350.000040.000045 μ( N IS T )/G F/G
Si μ(NIST)/G
y = 6.898E+26x + 3.864E+23 R² = 9.998E-01 3.90000E+23 3.95000E+23 4.00000E+23 4.05000E+23 4.10000E+23 4.15000E+23 0 0.0000050.000010.0000150.000020.0000250.000030.0000350.000040.000045 μ( N IS T )/G F/GPMMA μ(NIST)/G
21 Fig13 Water のρeとZeff 以上より算出した電子密度と原子番号と理論値を比較した表がFig14,15 にな る。 C Mg Al
𝜌𝑒[𝑐𝑚−3](理論値) 5.11399E+23 5.17344E+23 7.83104E+23
𝜌𝑒[𝑐𝑚−3] 5.11177E+23 5.18097E+23 7.82208E+23
相対誤差[%] 0.04349 0.1456 0.1144 𝑍𝑒𝑓𝑓(理論値) 6.000 12.00 13.00 𝑍𝑒𝑓𝑓 5.7988 12.078 12.957 相対誤差[%] 3.353 0.6541 0.3315 Fig14 C, Mg, Al のρeとZeffの相対誤差表 Si PMMA Water
𝜌𝑒[𝑐𝑚−3](理論値) 6.9943E+23 3.8626E+23 3.343E+23
𝜌𝑒[𝑐𝑚−3] 6.96905E+23 3.86362E+23 3.3521E+23
相対誤差[%] 0.3611 0.02724 0.2814
𝑍𝑒𝑓𝑓(理論値) 14.00 6.529 7.478
𝑍𝑒𝑓𝑓 13.81 6.500 7.6596
相対誤差[%] 1.331 0.4398 2.435
Fig15
Si, PMMA,WATER のρeとZeffの相対誤差表
y = 1.154E+27x + 3.352E+23 R² = 9.999E-01 3.40000E+23 3.45000E+23 3.50000E+23 3.55000E+23 3.60000E+23 3.65000E+23 3.70000E+23 3.75000E+23 3.80000E+23 3.85000E+23 0 0.0000050.000010.0000150.000020.0000250.000030.0000350.000040.000045 μ( N IS T )/G F/G
Water μ(NIST)/G
22
Fig14, Fig15 より、単体、化合物でも電子密度、実効原子番号共に 0.1%以下 という高精度で求められた。
今の段階では原子番号の小さい個体(Z=6~13)に関してはこの手法により高い 精度で電子密度を求めることが可能である。
23 Figure 16 シミュレーション ジオメトリ
第
4 章 GEANT4 によるシミュレーション
4-1
GEANT4 によるシミュレーション
4-1-1 目的 X 線 CT 値に GEANT4 を用いたシミュレーション結果を使用して電子密度 と実効原子番号を算出する。 4-1-2 条件 直径10 mm 高さ 10 mm の円柱の試料に点光源からスライスするようなファ ンビームを照射。 透過X 線は、試料から 10 mm 離れた検出器のスクリーン上に投影される(透 過CT)。 5.0 × 109個の光子がシミュレーション用に生成され、再構成用に180 投影作 成。入射エネルギーは50,60,70,80,90keV でそれぞれ算出されている。試料は 炭素、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、PMMA、水を測定し、各電子密 度と透過CT 値を比較する。24 Figure 17 Fan beam Figure 18 Fan beam 厚さの薄いファンビームにした理由は、測定での時間を短縮するためであ る。 Table 2 サイズ(XYZ) [mm] マテリアル 検出器1.2 (112.0, 117.2, 10.0) CsI 試料 直径10 mm 高さ 10 mm の円柱 炭素、マグネシウム、アルミニ ウム、ケイ素、PMMA、水 実際シミュレーション中では、検出器自体は配置せず、検出器があるべき場 所でスコアリングのみを行った。 スコアリング条件 サイズ(XYZ): (15.0, 15.0, 1.0) [mm] メッシュサイズ(XYZ): (0.5, 0.5, 1.0) [mm] 各メッシュ内に入ってくるフォトンの数をカウントのみを行った。
光源位置
25
4-2
シミュレーション結果・考察3-1-2 における手順2を参照し、4-1-2 で求めたシミュレーション結果
(50keV, 60keV, 70keV, 80keV, 90keV)より F,G を求めるため、それぞれ Fig19, Fig20, Fig21, Fig22, Fig23 の Fitting したグラフより得る。 ここで F はグラ フの傾き、G はグラフの切片である。 Fig20 50keV の F,G Fig21 60keV の F,G y = 1.901E-29x + 4.632E-25 R² = 9.996E-01 0 2E-25 4E-25 6E-25 8E-25 1E-24 1.2E-24 0 5000 10000 15000 20000 25000 30000 μ /ρ _e Z^4
50keV(Z=6,12,13)
y = 1.074E-29x + 4.418E-25 R² = 9.999E-01 0 1E-25 2E-25 3E-25 4E-25 5E-25 6E-25 7E-25 8E-25 0 5000 10000 15000 20000 25000 30000 μ/ ρ_ e Z^460keV(Z=6,12,13)
26 Fig22 70keV の F,G Fig23 80keV の F,G y = 6.604E-30x + 4.250E-25 R² = 1.000E+00 0 1E-25 2E-25 3E-25 4E-25 5E-25 6E-25 7E-25 0 5000 10000 15000 20000 25000 30000 μ /ρ _e Z^4
70keV(Z=6,12,13)
y = 4.359E-30x + 4.116E-25 R² = 9.994E-01 0 1E-25 2E-25 3E-25 4E-25 5E-25 6E-25 0 5000 10000 15000 20000 25000 30000 μ /ρ _e Z^480keV(Z=6,12,13)
27
Fig24 90keV の F,G
3-1-2 における手順3の Carbon(C), Aluminium(Al), Magnesium(Mg),
Titanium(Ti), PMMA,Water の 6 つの電子密度と原子番号を Fig25, Fig26,
Fig27, Fig28, Fig29, Fig30 より求める。ここで、ρe はグラフの切片、Zeff は グラフの傾き(ρeZ^4)とグラフの切片より算出する。 Fig25 C のρeとZeff y = 2.987E-30x + 3.989E-25 R² = 9.965E-01 0 1E-25 2E-25 3E-25 4E-25 5E-25 6E-25 0 5000 10000 15000 20000 25000 30000 μ /ρ _e Z^4
90keV(Z=6,12,13
)
y = 7.501E+26x + 6.669E+23 R² = 9.999E-01 6.70000E+23 6.75000E+23 6.80000E+23 6.85000E+23 6.90000E+23 6.95000E+23 7.00000E+23 0 0.0000050.000010.0000150.000020.0000250.000030.0000350.000040.000045 μ( N IS T)/ G F/GC μ(NIST)/G
28 Fig26 Al のρeとZeff Fig27 Al のρeとZeff y = 1.103E+28x + 5.181E+23 R² = 1.000E+00 0.00000E+00 2.00000E+23 4.00000E+23 6.00000E+23 8.00000E+23 1.00000E+24 1.20000E+24 0 0.0000050.000010.0000150.000020.0000250.000030.0000350.000040.000045 μ( N IS T )/G F/G
Mg μ(NIST)/G
y = 2.204E+28x + 7.891E+23 R² = 1.000E+00 0.00000E+00 2.00000E+23 4.00000E+23 6.00000E+23 8.00000E+23 1.00000E+24 1.20000E+24 1.40000E+24 1.60000E+24 1.80000E+24 0 0.0000050.000010.0000150.000020.0000250.000030.0000350.000040.000045 μ( N IST )/ G F/GAl μ(NIST)/G
29 Fig28 Si のρeとZeff Fig29 PMMA のρeとZeff y = 2.549E+28x + 7.036E+23 R² = 1.000E+00 0.00000E+00 2.00000E+23 4.00000E+23 6.00000E+23 8.00000E+23 1.00000E+24 1.20000E+24 1.40000E+24 1.60000E+24 1.80000E+24 2.00000E+24 0 0.0000050.000010.0000150.000020.0000250.000030.0000350.000040.000045 μ( N IST )/ G F/G
Si μ(NIST)/G
y = 7.563E+26x + 3.756E+23 R² = 9.999E-01 3.75000E+23 3.80000E+23 3.85000E+23 3.90000E+23 3.95000E+23 4.00000E+23 4.05000E+23 4.10000E+23 0 0.0000050.000010.0000150.000020.0000250.000030.0000350.000040.000045 μ( N IST )/ G F/GPMMA μ(NIST)/G
30 Fig30 Water のρeとZeff 以上より算出した電子密度と原子番号と理論値を比較した表がFig31,32 にな る。 C Mg Al
𝜌𝑒[𝑐𝑚−3](理論値) 6.64819E+23 5.17344E+23 7.83104E+23
𝜌𝑒[𝑐𝑚−3] 6.66886E+23 5.11871E+23 7.89136E+23
相対誤差[%] 0.3109 1.058 0.7703 𝑍𝑒𝑓𝑓(理論値) 6.000 12.00 13.00 𝑍𝑒𝑓𝑓 5.791 12.115 12.927 相対誤差[%] 3.481 0.9582 0.5597 Fig31 C, Mg, Al のρeとZeffの相対誤差表 Si PMMA Water
𝜌𝑒[𝑐𝑚−3](理論値) 6.9943E+23 3.8626E+23 3.343E+23
𝜌𝑒[𝑐𝑚−3] 7.03619E+23 3.75605E+23 3.20618E+23
相対誤差[%] 0.5989 2.758 4.084
𝑍𝑒𝑓𝑓(理論値) 14.00 6.529 7.478
𝑍𝑒𝑓𝑓 13.796 6.6988 7.8346
相対誤差[%] 1.456 2.600 4.776
Fig32
Si, PMMA, WATER のρeとZeffの相対誤差表
y = 1.208E+27x + 3.206E+23 R² = 1.000E+00 3.25000E+23 3.30000E+23 3.35000E+23 3.40000E+23 3.45000E+23 3.50000E+23 3.55000E+23 3.60000E+23 3.65000E+23 3.70000E+23 0 0.0000050.000010.0000150.000020.0000250.000030.0000350.000040.000045 μ( N IST )/ G F/G
WATER μ(NIST)/G
31
Fig31, Fig32 より、単体では電子密度を約 1%以下で求められた。一方、化合
物電子密度は2 ~ 5%と誤差は大きくなった。
また、実効原子番号は1%以下のものと 5%以下のもの、差は大きく出た。
ここで、Fig14, Fig15 及び Fig31, Fig32 を比較すると、単体に関しては電子密 度、実効原子番号共に誤差の違いはあまり見られず、GEANT4 のシミュレー ションは正しいことが分かった。
一方、化合物では誤差の幅が大きくなり、この原因は今後検討していく必要が あるだろう。
32
第
5 章オフセット補正をかけたシミュレーション
5-1
オフセット補正のシミュレーション
5-1-1 オフセット補正1を用いたシミュレーション 4-2 で算出した電子密度と実効原子番号のより高精度なシミュレーションを オフセット補正により検討する。 ここで、3-2 及び 4-2 の計算時に用いた吸収係数を x 軸に理論値の吸収係数 (Fig33)、y 軸にシミュレーションの吸収係数(Fig34)としグラフ化(Fig35)すると、 GEANT4 シミュレーションによる吸収係数及び吸収係数の理論値は直線近似と なる。 C Mg Al Si PMMA Water 0.41327 0.57246 0.993232 1.02287 0.24633 0.2270 0.38675 0.44718 0.750322 0.74793 0.22848 0.2060 0.369965 0.383494 0.629426 0.612234 0.217312 0.1936 0.35581 0.3393 0.545198 0.51959 0.20825 0.1840 0.343757 0.312953 0.494047 0.465733 0.201079 0.1768 ※テーブル中の各セルの値: μ[cm] Fig33 理論値( NIST )の吸収係数 C Mg Al Si PMMA Water 0.323198 0.446692 0.784555 0.810197 0.188338 0.171486 0.30263 0.344576 0.585218 0.585142 0.174068 0.154581 0.288358 0.290418 0.480872 0.467761 0.164687 0.144294 0.277736 0.258866 0.420781 0.399944 0.157928 0.137192 0.268323 0.236984 0.380782 0.356991 0.152016 0.131518 ※テーブル中の各セルの値: μ[cm] Fig34 シミュレーション( GEANT4 )の吸収係数33 Fig35 シミュレーション及び理論値の吸収係数比較 Fig35 より
𝝁
𝒔𝒊𝒎𝒖𝒍𝒂𝒕𝒊𝒐𝒏= 𝟎. 𝟕𝟗𝟑𝝁
𝒕𝒉𝒆𝒐𝒓𝒚− 𝟎. 𝟎𝟎𝟖𝟓
(19) 式(19)が得られ、ここから補正1では、𝝁
′ 𝒔𝒊𝒎𝒖𝒍𝒂𝒕𝒊𝒐𝒏= 𝝁
𝒔𝒊𝒎𝒖𝒍𝒂𝒕𝒊𝒐𝒏+
𝟎. 𝟎𝟎𝟖𝟓
(20) 式(20)の吸収係数を用いて、電子密度と実効原子番号を求めた。0
0.5
1
0
0.5
1
theoretical
attenuation coefficient (cm
-1
)
si
m
ul
a
te
d
a
tt
e
nua
ti
on c
oe
ffi
c
ie
nt
(c
m
-1
)
y=Σan x
n
a0=-8.51812145e-03
a1=7.92916850e-01
4.20248575e-03
|r|=9.99568461e-01
34 5-1-2 オフセット補正2を用いたシミュレーション 5-1-1 と同様に、直線近似となった GEANT4 シミュレーションによる吸収係 数及び吸収係数の理論値のグラフ(Fig35)より
𝝁
𝒔𝒊𝒎𝒖𝒍𝒂𝒕𝒊𝒐𝒏= 𝟎. 𝟕𝟗𝟑𝝁
𝒕𝒉𝒆𝒐𝒓𝒚− 𝟎. 𝟎𝟎𝟖𝟓
(21) 式(21)が得られ、ここから補正2では、𝝁
′′ 𝒔𝒊𝒎𝒖𝒍𝒂𝒕𝒊𝒐𝒏=
𝝁
𝒔𝒊𝒎𝒖𝒍𝒂𝒕𝒊𝒐𝒏+
𝟎. 𝟎𝟎𝟖𝟓
𝟎. 𝟕𝟗𝟑
(22) 式(22)の吸収係数を用いて、電子密度と実効原子番号を求めた。35
5-2 シミュレーション結果・考察
5-2-1 オフセット補正1を用いたシミュレーション結果・考察3-1-2 における手順2を参照し、5-1-1 で求めた吸収係数(50keV, 60keV, 70keV, 80keV, 90keV)より F,G を求めるため、それぞれ Fig36, Fig37, Fig38, Fig39, Fig40 の Fitting したグラフより得る。 ここで F はグラフの傾き、G はグラフの切片である。 Fig36 50keV の F,G y = 1.899E-29x + 4.770E-25 R² = 9.991E-01 0.00E+00 2.00E-25 4.00E-25 6.00E-25 8.00E-25 1.00E-24 1.20E-24 0 5000 10000 15000 20000 25000 30000 μ /ρ _e Z^4
50keV(Z=6,12,13)
36 Fig37 60keV の F,G Fig38 70keV の F,G y = 1.072E-29x + 4.555E-25 R² = 9.992E-01 0.00E+00 1.00E-25 2.00E-25 3.00E-25 4.00E-25 5.00E-25 6.00E-25 7.00E-25 8.00E-25 0 5000 10000 15000 20000 25000 30000 μ/ρ _e Z^4
60keV(Z=6,12,13)
y = 6.583E-30x + 4.387E-25 R² = 9.994E-01 0.00E+00 1.00E-25 2.00E-25 3.00E-25 4.00E-25 5.00E-25 6.00E-25 7.00E-25 0 5000 10000 15000 20000 25000 30000 μ /ρ _e Z^470keV(Z=6,12,13)
37 Fig39 80keV の F,G Fig40 90keV の F,G y = 4.338E-30x + 4.254E-25 R² = 9.995E-01 0.00E+00 1.00E-25 2.00E-25 3.00E-25 4.00E-25 5.00E-25 6.00E-25 0 5000 10000 15000 20000 25000 30000 μ /ρ _e Z^4
80keV(Z=6,12,13)
y = 2.966E-30x + 4.126E-25 4.10E-25 4.20E-25 4.30E-25 4.40E-25 4.50E-25 4.60E-25 4.70E-25 4.80E-25 4.90E-25 5.00E-25 5.10E-25 0 5000 10000 15000 20000 25000 30000 μ /ρ _e Z^490keV(Z=6,12,13
)
38
3-1-2 における手順3の Carbon(C), Aluminium(Al), Magnesium(Mg),
Titanium(Ti), PMMA,Water の 6 つの電子密度と原子番号を Fig41, Fig42,
Fig43, Fig44, Fig45, Fig46 より求める。ここで、ρe はグラフの切片、Zeff は グラフの傾き(ρeZ^4)とグラフの切片より算出する。 Fig41 C のρeとZeff y = 7.537E+26x + 6.653E+23 R² = 9.999E-01 6.65000E+23 6.70000E+23 6.75000E+23 6.80000E+23 6.85000E+23 6.90000E+23 6.95000E+23 7.00000E+23 0 0.0000050.000010.0000150.000020.0000250.000030.0000350.000040.000045 μ( N IS T)/ G F/G
C μ(NIST)/G
39 Fig42 Mg のρeとZeff Fig43 Al のρeとZeff y = 1.101E+28x + 5.161E+23 R² = 1.000E+00 0.00000E+00 2.00000E+23 4.00000E+23 6.00000E+23 8.00000E+23 1.00000E+24 1.20000E+24 0 0.0000050.000010.0000150.000020.0000250.000030.0000350.000040.000045 μ( N IS T )/ G F/G
Mg μ(NIST)/G
y = 2.205E+28x + 7.846E+23 R² = 1.000E+00 0.00000E+00 2.00000E+23 4.00000E+23 6.00000E+23 8.00000E+23 1.00000E+24 1.20000E+24 1.40000E+24 1.60000E+24 1.80000E+24 0 0.0000050.000010.0000150.000020.0000250.000030.0000350.000040.000045 μ( N IS T)/ G F/GAl μ(NIST)/G
40 Fig43 Si のρeとZeff Fig44 PMMA のρeとZeff y = 2.549E+28x + 7.021E+23 R² = 1.000E+00 0.00000E+00 2.00000E+23 4.00000E+23 6.00000E+23 8.00000E+23 1.00000E+24 1.20000E+24 1.40000E+24 1.60000E+24 1.80000E+24 2.00000E+24 0 0.0000050.000010.0000150.000020.0000250.000030.0000350.000040.000045 μ( N IS T)/ G F/G
Si μ(NIST)/G
y = 7.231E+26x + 3.839E+23 R² = 1.000E+00 3.85000E+23 3.90000E+23 3.95000E+23 4.00000E+23 4.05000E+23 4.10000E+23 0 0.0000050.000010.0000150.000020.0000250.000030.0000350.000040.000045 μ( N IS T)/ G F/GPMMA μ(NIST)/G
41 Fig45 WATER のρeとZeff 以上より算出した電子密度と原子番号と理論値を比較した表がFig46,47 にな る。 C Mg Al
𝜌𝑒[𝑐𝑚−3](理論値) 6.64819E+23 5.17344E+23 7.83104E+23
𝜌𝑒[𝑐𝑚−3] 6.65347E+23 5.16077E+23 7.84598E+23
相対誤差[%] 0.07949 0.2450 0.1908 𝑍𝑒𝑓𝑓(理論値) 6.000 12.00 13.00 𝑍𝑒𝑓𝑓 5.803 12.085 12.95 相対誤差[%] 3.280 0.7088 0.4012 Fig46 C, Mg, Al のρeとZeffの相対誤差表 Si PMMA Water
𝜌𝑒[𝑐𝑚−3](理論値) 6.9943E+23 3.8626E+23 3.343E+23
𝜌𝑒[𝑐𝑚−3] 7.02137E+23 3.83855E+23 3.30739E+23
相対誤差[%] 0.3869 0.6218 1.056
𝑍𝑒𝑓𝑓(理論値) 14.00 6.529 7.478
𝑍𝑒𝑓𝑓 13.804 6.588 7.708
相対誤差[%] 1.402 0.9037 3.086
Fig47
Si, PMMA, WATER のρeとZeffの相対誤差表
y = 1.168E+27x + 3.307E+23 R² = 9.999E-01 3.35000E+23 3.40000E+23 3.45000E+23 3.50000E+23 3.55000E+23 3.60000E+23 3.65000E+23 3.70000E+23 3.75000E+23 0 0.0000050.000010.0000150.000020.0000250.000030.0000350.000040.000045 μ( N IS T)/ G F/G
Water μ(NIST)/G
42
Fig46, Fig47 より、単体では Fig31,32 と比べ電子密度を約 1%以下、より高精
度で求められた。一方、化合物の電子密度はどちらも約1%以下と大幅な精度
向上が見られた。
また、実効原子番号も3%以下と Fig31,32 に比べ大幅な向上が見られた。
補正により、電子密度・実効原子番号共に高精度な算出が可能であることを示 した。一方、別の補正方法ではどうなるか以下で検証する。
43
5-2-2 オフセット補正2を用いたシミュレーション結果・考察
3-1-2 における手順2を参照し、5-1-2 で求めた吸収係数(50keV, 60keV, 70keV, 80keV, 90keV)より F,G を求めるため、それぞれ Fig48, Fig49, Fig50, Fig51, Fig52 の Fitting したグラフより得る。 ここで F はグラフの傾き、G はグラフの切片である。 Fig48 50keV の F,G y = 2.394E-29x + 6.015E-25 0.00E+00 2.00E-25 4.00E-25 6.00E-25 8.00E-25 1.00E-24 1.20E-24 1.40E-24 0 5000 10000 15000 20000 25000 30000 μ /ρ _e Z^4
50keV(Z=6,12,13)
44 Fig49 60keV の F,G Fig50 70keV の F,G y = 1.351E-29x + 5.744E-25 R² = 9.992E-01 0.00E+00 2.00E-25 4.00E-25 6.00E-25 8.00E-25 1.00E-24 1.20E-24 0 5000 10000 15000 20000 25000 30000 μ/ρ _e Z^4
60keV(Z=6,12,13)
y = 8.301E-30x + 5.533E-25 R² = 9.994E-01 0.00E+00 1.00E-25 2.00E-25 3.00E-25 4.00E-25 5.00E-25 6.00E-25 7.00E-25 8.00E-25 9.00E-25 0 5000 10000 15000 20000 25000 30000 μ /ρ _e Z^470keV(Z=6,12,13)
45 Fig51 80keV の F,G Fig52 90keV の F,G y = 5.470E-30x + 5.364E-25 R² = 9.995E-01 0.00E+00 1.00E-25 2.00E-25 3.00E-25 4.00E-25 5.00E-25 6.00E-25 7.00E-25 8.00E-25 0 5000 10000 15000 20000 25000 30000 μ /ρ _e Z^4
80keV(Z=6,12,13)
y = 3.740E-30x + 5.204E-25 5.00E-25 5.20E-25 5.40E-25 5.60E-25 5.80E-25 6.00E-25 6.20E-25 6.40E-25 0 5000 10000 15000 20000 25000 30000 μ /ρ _e Z^490keV(Z=6,12,13
)
46
3-1-2 における手順3の Carbon(C), Aluminium(Al), Magnesium(Mg),
Titanium(Ti), PMMA,Water の 6 つの電子密度と原子番号を Fig53, Fig54,
Fig55, Fig56, Fig57, Fig58 より求める。ここで、ρe はグラフの切片、Zeff は グラフの傾き(ρeZ^4)とグラフの切片より算出する。 Fig53 C のρeとZeff y = 7.523E+26x + 6.650E+23 R² = 9.992E-01 6.65000E+23 6.70000E+23 6.75000E+23 6.80000E+23 6.85000E+23 6.90000E+23 6.95000E+23 7.00000E+23 0 0.0000050.000010.0000150.000020.0000250.000030.0000350.000040.000045 μ( N IS T)/ G F/G
C μ(NIST)/G
47 Fig54 Mg のρeとZeff Fig55 Al のρeとZeff y = 1.102E+28x + 5.157E+23 R² = 1.000E+00 0.00000E+00 2.00000E+23 4.00000E+23 6.00000E+23 8.00000E+23 1.00000E+24 1.20000E+24 0 0.0000050.000010.0000150.000020.0000250.000030.0000350.000040.000045 μ( N IS T)/ G F/G
Mg μ(NIST)/G
y = 2.209E+28x + 7.840E+23 R² = 1.000E+00 0.00000E+00 2.00000E+23 4.00000E+23 6.00000E+23 8.00000E+23 1.00000E+24 1.20000E+24 1.40000E+24 1.60000E+24 1.80000E+24 0 0.0000050.000010.0000150.000020.0000250.000030.0000350.000040.000045 μ( N IS T)/ G F/GAl μ(NIST)/G
48 Fig56 Si のρeとZeff Fig57 PMMA のρeとZeff y = 2.553E+28x + 7.016E+23 R² = 1.000E+00 0.00000E+00 2.00000E+23 4.00000E+23 6.00000E+23 8.00000E+23 1.00000E+24 1.20000E+24 1.40000E+24 1.60000E+24 1.80000E+24 2.00000E+24 0 0.0000050.000010.0000150.000020.0000250.000030.0000350.000040.000045 μ( N IS T)/ G F/G
Si μ(NIST)/G
y = 7.227E+26x + 3.836E+23 R² = 9.999E-01 3.85000E+23 3.90000E+23 3.95000E+23 4.00000E+23 4.05000E+23 4.10000E+23 0 0.0000050.000010.0000150.000020.0000250.000030.0000350.000040.000045 μ( N IS T)/ G F/GPMMA μ(NIST)/G
49 Fig58 WATER のρeとZeff 以上より算出した電子密度と原子番号と理論値を比較した表がFig59,60 にな る。 C Mg Al
𝜌𝑒[𝑐𝑚−3](理論値) 6.64819E+23 5.17344E+23 7.83104E+23
𝜌𝑒[𝑐𝑚−3] 6.64964E+23 5.15722E+23 7.84028E+23
相対誤差[%] 0.02181 0.3136 0.1180 𝑍𝑒𝑓𝑓(理論値) 6.000 12.00 13.00 𝑍𝑒𝑓𝑓 5.817 12.092 12.96 相対誤差[%] 3.045 0.7637 0.3447 Fig59 C, Mg, Al のρeとZeffの相対誤差表 Si PMMA Water
𝜌𝑒[𝑐𝑚−3](理論値) 6.9943E+23 3.8626E+23 3.343E+23
𝜌𝑒[𝑐𝑚−3] 7.01595E+23 3.83632E+23 3.30544E+23
相対誤差[%] 0.3094 0.6795 1.115
𝑍𝑒𝑓𝑓(理論値) 14.00 6.529 7.478
𝑍𝑒𝑓𝑓 13.81 6.588 7.710
相対誤差[%] 1.344 0.9051 3.114
Fig60
Si, PMMA, WATER のρeとZeffの相対誤差表
y = 1.168E+27x + 3.305E+23 R² = 9.997E-01 3.35000E+23 3.40000E+23 3.45000E+23 3.50000E+23 3.55000E+23 3.60000E+23 3.65000E+23 3.70000E+23 3.75000E+23 0 0.0000050.000010.0000150.000020.0000250.000030.0000350.000040.000045 μ( N IS T)/ G F/G
WATER μ(NIST)/G
50
Fig59, Fig60 より、単体では Fig31,32 と比べ電子密度を約 1%以下、より高精
度で求められた。一方、化合物の電子密度はどちらも約1%以下と大幅な精度 向上が見られた。 また、実効原子番号も3%以下と Fig31,32 に比べ大幅な向上が見られた。 補正により、電子密度・実効原子番号共に高精度な算出が可能である。 補正1と補正2を比較すると、物質により良し悪しが異なる。しかし、今回必 要となる電子密度に限ってみると、元の誤差が大きかった化合物に関してより 改善がみられた補正1の方がよいだろう。
51
第6章 電子密度及び実効原子番号とストッピングパ
ワーの関連性
6-1 𝑆𝑃𝑅
𝑤を用いた電子密度と実効原子の誤差検証
6-1-1 目的 第3,4,5 章で導出した電子密度と実効原子番号の誤差は、実際飛程距離にど うに影響しているか検証することが目的である。 6-1-2 条件(11 Swift イオンのストッピングパワーはベーテの方程式から求められる。1996 年にシュナイダーは水に関連した媒体の𝑆𝑃𝑅
𝑤を高次なしの下記の比によって 近似した。 𝑆𝑃𝑅𝑊≈ 𝜌𝑒 𝜌𝑒,𝑤 ∙ 𝑙𝑛 (2𝑚𝑒𝑐2𝛽2 𝐼(1 − 𝛽2) − 𝛽2 ln (𝐼2𝑚𝑒𝑐2𝛽2 𝑤(1 − 𝛽2) − 𝛽 2 (23) SPR のエネルギー依存はとても小さいと考えられており、多くの放射線量分 析システムで無視されてきた。この研究において、照射エネルギーは実験の状態 と合致する200MeV~と推量した。水の値 I の Iw は 75eV と推量した。 特定のイオンエネルギーにおける媒体のSPR を予測する為に、媒体の𝜌𝑒⁄𝜌𝑒,𝑤 とI を知らなければならない。DECT データと共に媒体の𝜌𝑒⁄𝜌𝑒,𝑤は直接得るこ とができる。媒体の値Iは2010 年の Yang の文書によると Zeff画像を通して媒 介変数化しなければならない。 ln(I) = a ∙Z
eff + b (24) パラメータ a と b は測定したZの画像データから得る値Iの為に前もって定 義しなければならない。それ故に、人間の基礎的な71 の組織を表にした元素構成を計算するために1986 年の Woodard と White と 1987 年の White から Zeff
値Iを参照した。2000 年のシュナイダーによると、同じ組織はよく使われる。 Zeff に対して、電子密度重量を得るために重量分率は、それぞれの成分が持つ特
52 有のZ/A 比によって計算される。個々の構造の値 I は 1993 年に ICRU によっ て示され、ブラックの加法性は値I を計算する為に化合物に利用される。甲状軟 骨はよくある構造の組織に比べて高いZ であるため、除外された。 参照したZ と I によって計算された 71 のデータは、線形媒介変数化され a と b が求まった。 まとめると、SPRw は DECT の𝜌𝑒とZeff によって後述のようになる。 𝑆𝑃𝑅𝑤 = 𝜌𝑒 𝜌𝑒,𝑤∙ 12.77 − (𝑎 ∙ 𝑍𝑒𝑓𝑓+ 𝑏) 8.45 (25) この方程式を通して、DECT によってほとんど正確な SPR 画像が可能にな った。𝜌𝑒は主にイオンのSPR に寄与して表され、直線媒介変数化した I は対数 項の影響でSPR における 2 次効果のみで現れる。 ここで式(19)におけるパラメータ a,b は以下のようになる。 𝑎 = 0.125 , 𝑏 = 3.378 𝑍𝑒𝑓𝑓 ≤ 8.5 𝑎 = 0.098 , 𝑏 = 3.376 𝑍𝑒𝑓𝑓 > 8.5 (26) また、式(26)を変形し (∆𝑆𝑃𝑅𝑤 𝑆𝑃𝑅𝑤 ) 2 = (∆𝜌𝑒 𝜌𝑒 ) 2+ 𝑎2∙ 𝑍𝑒𝑓𝑓 2 (12.77 − (𝑎 ∙ 𝑍𝑒𝑓𝑓+ 𝑏))2∙ ( ∆𝑍𝑒𝑓𝑓 𝑍𝑒𝑓𝑓 ) 2 (27) となる。式(27)をグラフ化すると Fig61 電子密度及び実効原子番号の誤差と飛程の誤差の関連性 となる。これを各物質について作図する。
53
6-2 𝑆𝑃𝑅
𝑤の検証結果・考察
6-1 の手法で求めたグラフが Fig62 である。 Fig62 電子密度及び実効原子番号の誤差と飛程の誤差の関連性 (C,Mg,Al,Si,PMMA,WATER) Fig62 における●が第 3 章の NIST シミュレーションの結果、〇が第 4 章の GEANT4 シミュレーションの結果、▲が第 5 章の補正結果となっている。 Fig62 によると、当導出手法を用いた NIST シミュレーション結果はすべて 1%以下を達成した。また、実際 GEANT4 シミュレーションした結果は単体に おいては1%以下となった。一方、GEANT4 の化合物シミュレーション結果は いまいちであったが、補正を加えることにより大幅な改善が見られた。今回、 飛程の誤差においても1%以下という結果が得られた。 ● NIST 〇 simulation ▲ correction54
第7章結論
取越らの測定原理より導出した我々の提案する測定式を検討するために NIST のデータベースを使用して電子密度を算出したところ Fig14, 15 にみて とれるようにほとんどの単体、化合物電子密度の誤差は1%以下であった。よ ってこの計算手法は高精度な電子密度測定に適している。 取越らの測定原理より導出した、静岡大学のZou らの提案する測定原理と最 小二乗法を利用した我々の提案する測定原理を用いた電子密度測定精度を比較 したところ、Zou らの提案する計算手法では従来の誤差(2%)に比べ約 8%前後 と大幅なずれがあり、我々の提案する計算手法では約1%以下で求められてお り、かなりの改善がみてとれる。 同じ実験結果であっても、我々の提案する計算手法でより高精度に電子密度 が求められることが分かった。 また、GEANT4 シミュレーションを利用した電子密度誤差を検討したとこ ろ、Fig31, Fig32 からみてとれるように、実際の算出でもほぼ電子密度は 1% 以下という高精度で求められた。 ただし、PMMA,水は従来の誤差(2%)に比べ、大幅なずれがみられた。これ に対し、オフセット補正をしたところ電子密度の誤差約1%以下と大幅な改善 が見られた。このオフセットの発生原因については今後検討していく必要があ る。 以上のシミュレーション結果が飛程にどのような影響をもたらすかの検証に おいても導出したすべての物質に関して1%以下という高精度な結果となっ た。55
第
8 章総括
取越らの提案する光電効果の項と弾性・非弾性散乱の項で線減弱係数𝜇を表 す式から3色以上のエネルギーを最小二乗する手法で算出(電子密度及び原子番 号)することを提案し、その検討を行ったところ、Zou らの提案する2色の x 線 を近似する手法より高精度で電子密度を算出できた。 NIST のデータベース及び GEANT4 シミュレーションから得たデータでも 同様に従来の誤差(2%)よりも高い精度で電子密度が得られた。 また、化合物において大幅な誤差が算出されたため、オフセット補正をした ところ化合物においても1%以下という電子密度の誤差結果となった。 以上の誤差結果と飛程誤差の関係性を検討したところ、誤差約1%以下とい う高精度な結果が得られた。 今後は、更なる飛程誤差縮小に向けて、検討していきたい。56
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58
謝辞
本研究の検討を進める上で大変多くのご指導とご鞭撻を賜り、本論文におい て終始適切なご指導を頂きました、群馬大学理工学府櫻井浩教授に心より感謝 の意を表し、厚くお礼申し上げます。 本研究のシミュレーション、データ解析を進める上で大変多くのご指導とご 鞭撻を賜りました、群馬大学重粒子線長医学研究センター尾明恵研究員に心よ り感謝の意を表し、厚くお礼申し上げます。 本研究において、多くのご指導とご鞭撻を賜りました、群馬大学理工学府鈴 木宏輔助教授に心より感謝の意を表し、厚くお礼申し上げます。 本研究において、多くのご指導とご鞭撻を賜りました、群馬大学理工学府伊 藤正久教授、古澤伸一准教授に心より感謝の意を表し、厚くお礼申し上げま す。 本研究について、多くの有益な助言を頂きました群馬大学星和志講師に深く 感謝いたします。 最後に、日頃より多くのご協力と激励を頂きました群馬大学工学部櫻井浩研 究室、伊藤正久研究室、古澤伸一研究室の皆様に心からお礼申し上げます。 平成30 年 2 月 22 日 群馬大学 理工学府 電子情報・数理教育プログラム専攻 櫻井研究室 修士2 年 林 瑞子59
学会発表
1)口頭発表 林瑞子, 長尾明恵、取越正己、金井達明、櫻井浩 スペクトラル CT を用いた体内電子密度分布の高精度推定法(Electron density distribution in human body by using a spectral CT instrument) 応用物理学会 2017,9
2)ポスター 長尾 明恵、砂口 尚輝、張 坤、林 瑞子、山越 芳樹、鈴木 宏
輔、櫻井 浩、金井 達明、取越 正己、川嶋 基敬、松村 彰彦、Sung Hyun
Lee 重粒子線治療における体内飛程の高精度推定 GUMI 2015
3)ポスター Akie Nagao, Yuki Kobayashi, Tamako Hayashi, Naoki Sunaguchi, Kosuke Suzuki, Kazushi Hoshi, Sung Hyun Lee, Tatsuaki Kanai, Masami Torikoshi and Hiroshi Sakurai GEANT4 Simulation of Electron Density Measurement by Using Multi-energy X-rays GUMI 2017