• 検索結果がありません。

我ら自身の知恵で進もう (異文化言い分EVEN)

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "我ら自身の知恵で進もう (異文化言い分EVEN)"

Copied!
2
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

我ら自身の知恵で進もう (異文化言い分EVEN)

著者

スクム チャローンカジョンチャイ

権利

Copyrights 日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア

経済研究所 / Institute of Developing

Economies, Japan External Trade Organization

(IDE-JETRO) http://www.ide.go.jp

雑誌名

アジ研ワールド・トレンド

190

ページ

57-57

発行年

2011-07

出版者

日本貿易振興機構アジア経済研究所

URL

http://hdl.handle.net/2344/00004210

(2)

57

アジ研ワールド・トレンドNo.190 (2011. 7)   二〇一一年三月一一 日の震災で日本が津波 に襲われ、福島第一原 発で爆発事故が発生し てからというもの、日 本各地の経済活動が放 射能漏れの恐怖に翻弄 された。人々は、将来 の 状 況 悪 化 を 予 想 し、 従来の消費パターンを 突然変えることになっ た。もの不足を恐れみな買いだめにはしり、消費 需要が急激に高まった。私は、このような行動は 一時的なものだと考えたが、近所の駅前商店街を 歩いていつも買える食料やミネラルウォーターの 類がまったくないとわかってからは、この買い占 めゲームに参戦することになってしまった。昔大 学のゲーム理論の講義で習った経済的行動なるも のが頭に思い浮かんだ。   経 済 原 理 は 、 通 常 の 生 産 ス ケ ジ ュ ー ル に よ れ ば 商 品 へ の 需 要 が 増 え れ ば そ の 価 格 は 上 昇 す る と 説 く 。 原 発 事 故 以 来 多 く の 商 品 が そ れ に 従 っ た 。 し か し 、 商 品 が 店 の 棚 か ら 消 え て し ま う 状 況 下 で も 価 格 が う な ぎ 昇 り に 高 く な る と い う こ と は な か っ た 。 事 実 、 パ ン や コ メ な ど は 前 と 変 わ ら ぬ 値 段 で 売 っ て い る お 店 が あ っ た 。 商 品 に よ っ て は 一 人 当 た り の 販 売 数 を 制 限 し て い た 。 店側 と し て は 、 顧 客 の 商 品 に 対 す る 信 頼感 を 持 た せ た か っ た に ち が い な い 。 私 自 身 、 日 本 の 流 通 シ ス テ ム に つ い て 精 通 し て い る と は 言 い 難 い が 、 店 の オ ー ナ ー の 措 置 は 社 会 的 な 貢 献 で あ る と 判 断 し た 。 途 上 国 で は 宗 教 団 体 が 食 糧 の 救 援 を 行 う こ と が 多 い 。 ま た 政 府 が 価 格 を 抑 え る た め 市 場 に 介 入 し て 商 品 を 放 出 す る こ と も あ る 。 ア メ リ カ で は 市 場 メ カ ニ ズ ム が 一 時 的 に 商 品 価 格 を 高 騰 さ せ 、 そ の 後 市 場 の 機 能 が 新 し い 価 格 水 準 を 決 め る こ と に な る 。 途 上 国 で も 先 進 国 で も 商 品 価 格 の 動 き 方 に は そ れ ぞ れ の 文 化 的 な 価 値 観 が 顕 著 に 反 映 さ れ る 。   経済原理の根底には人や組織は合理的に判断す るという仮定がある。市場において企業は専門的 な知識を供え、何をどれだけ生産すれば最大の利 益 を 得 ら れ る か 知 っ て い る。 ま た 消 費 者 は 賢 く、 どの商品がいくらの時どれだけ買えば満足度を最 大にできるかを知っている。企業と消費者は市場 という仮想の空間で売り買いを行う。ここでは商 品や富がどのようにして届けられるかについては 言及されない。単純に売る、買うという行為がか れらを満足させる。商品やお金の流れを 管理、 監 督する政府や組織も想定されていない。   自由な市場という考え方を信じている経済学者 や実務家に言わせれば﹁市場が一番よく知ってい るのだから市場を機能させ商品の価格と生産量を 決定させるべきだ﹂ということになる。その類の 論説はよくメディアで見かける。政府の市場介入 は需要供給における商品の正しい価値を歪めてし まうので介入は行うべきではない。いわゆる﹁見 えざる手﹂が隠れた力として市場メカニズムの背 後で働いている。生産された商品の供給量と需要 される商品の量とが等しくなるよう市場が最良の 手段としておのずと調整機能を果たすのだ。   実 際 、 自 由 な 市 場 が う ま く 機 能 す る か 否 か は 、 市 場 の 構造 や 競 争 の 度合 な ど 多 く の 要 因 に 依存 す る 。 し か し 、 そ れ ら は 自 由 な 市 場 経 済 シ ス テ ム を 支 持 す る 議 論 の な か で は 往 々 に し て 看 過 さ れ て し ま う 。   現 実 に は、 商 品 が 市 場 で 販 売 さ れ る た め に は、 そ の 商 品 が 消 費 者 に 渡 る た め の 販 路 が 必 要 に な る。また消費者はその市場へアクセスできるかど うかなど様々な制約に縛られている。消費者の決 定 は 市 場 の 構 造 に 影 響 さ れ る。 市 場 で は お 店 の オーナーは資本家として登場し、自分の元手を市 場インフラの建設の一部に使う、そうすることに より、彼は市場機能の一端を担うのである。彼が 所有する販売網が大きければ大きいほど彼の事業 は独占的になり商品の価格決定への支配力が高ま る。資本家は市場で供給需要をあやつる﹁見えざ る手﹂のよきパートナーとなる。政府の介入や規 制は彼にとっては好ましい選択ではない。   もし、我々がより社会的な側面を重要視して経 済目標や政策を立てるなら、政府の介入は有意義 なものになろう。農産品市場での政府の介入は所 得の分配の改善につながるだろうし消費財市場で は消費者保護の強化になる。利益だけを追求し経 済成長へ導く付加価値を生まない 外国為替市場で の 短期の資金の動きに政府の介入や規制は歯止め をかけることができる。しかしながら多くの途上 国諸国においてはこれらの手段を実際に使用する ことは悪魔に与みすることになりがちである。す なわち、一般の人々の犠牲において政治家や資本 家 の 富 を 肥 や す 道 を 開 く こ と に な り か ね な い の だ。これらのツールの有効性は現実の社会経済の 様々な状況において活きてくるのだが、社会、経 済の実態にうまく調和し、解け合うような実効的 な政策を立案するのは大きな挑戦として残された ままである。   私は、異なる文化を持つ国々が自分たちの知恵 を経済政策にうまく活かしていくことが可能であ ると信じている。民主主義や資本主義の体系と同 様、政策にも多様な形があり、自分自身の文化的 価 値 に 適 合 し た も の を 編 み 出 し て い く。 多 く の 国々が、市場経済体制を目指すだろうがその場合 にも、自分たち自身の知恵によって進むべき道を 見つけることが大事だろう。他の国々の経済的成 功のモデルを借りてきても自分たちの成功が保証 されるとは限らない。 スクム・チャロンカジョンチャイ アメリカコーネル大学博士課程リージョナル・サイエンスプログラム在籍。 アジアの地域経済を専攻。現在アジア経済研究所でインターンとして勤務中。

我ら自身の知恵

で進もう

スクム・チャローンカジョンチャイ

参照

関連したドキュメント

権利 Copyrights 日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア 経済研究所 / Institute of Developing.

権利 Copyrights 日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア 経済研究所 / Institute of Developing.

権利 Copyrights 日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア 経済研究所 / Institute of Developing.

権利 Copyrights 日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア 経済研究所 / Institute of Developing.

1 Library, Institute of Developing Economies, Japan External Trade Organization (3-2-2 Wakaba Mihama-ku Chiba-shi, Chiba 261-8545). 情報管理 56(1), 043-048,

発表者,題名,発表・発行掲載誌名,発表・発行年月 ○Shinji Tokunaga, Toshiyuki Araki: “Wallerian degeneration slow mouse neurons are protected against cell death

雑誌名年月日巻・号記事名執筆者内容 風俗画報189012.10女力士無記名興行

題名、 発表・発行掲載誌名、 発表・発行年月、 連名者(申請者含む) Hiroyuki Kubo, Yasushi Ishibashi, Akinobu Maejima, Shigeo Morishima, "Synthesizing Facial