性 格心 理学川究 2003 第11巻 第2号 110
−
119原
著
自
己
性格
特 性
概念
の
接
近
・回 避
に
関
す
る
ア
ク
セ シ
ビ リテ
ィ
が
特性情 報
に
対 す る 自
動 的
注
意
バ
イ
ア ス
に
及 ぼ す 影
響
林
幹
也
11 名 古屋大 学 大 学 院教 育発達科 学 研 究 科本 研 究は
,
自己性 格特 性 概 念の接 近・
回避に 関連したア ク セ シ ビ リ ティ の 高さ が,
その特 性 概念を あ らわす 性 格 特 性 語に対 する自動 的 注 意バ イア スに及ぼす 影響を検討 した もの で ある,
実 験1 (N =27
)で は,
性 格 特性 語に対 す る 目標 評 仙判断 課 題 を行うことに よっ て,
それぞれの性格特性概念の ア ク セ シ ビ リテ ィ の 高さ を測 定し, さ らに性 格 特 性 語に 対 す る自動的注意 バ イア スを 情 動 ス トルー
ブテ ス トの 色 命 名反応 時 間によっ て 測定した.
その 結 果.
比 較 的ア ク セ シ ビ リ ティの高い 語と 低い語 は,
中 程度の 語に 比べ て色命 名反 応 時 間 が 長 く,
仮 説 を 支 持しなかっ た.
先 行研 究に照 ら し,
この 結 果は,
ア クセ シ ビ リ テ ィが 低い とみなさ れ た語が持つ 現 実 自己との 関 連 性に よ るもの であると 解 釈 さ れた.
そこ で実 験2
(N−
24)で は低ア クセ シ ビ リテ ィ語の現実 自己適 合度の 評定 を 行 わせ た.
以 上の2
つ の結 果によっ て,
性 格 特 性 語に対 す る 自 動的注意バ イ アスは,
性 格 特 性 概念の ア ク セ シビ リテ ィだけで はな く,
その特 性 概念の 現 実 自己 との適 合度に よっ て決 定 さ れ るこ と が考 察 さ れた.
キー
ワー
ド;自 己,
自動的 注 意バイアス,
接 近一
囘 避,
ア ク セ シ ビ リ ティ, 情 動ス トルー
プ テス ト問
題自
己 に 関連 し た情 報お よびセル フ・
ス キー
マ (Markus
,
ユ977
)に適 合 する情 報に対す る 処 理 の 特 徴は様々 な研 究で指 摘 されて い る が,
その中
で も処 理の 自動 性お よ び注 意バイ ア ス に関して扱
っ た研究 が あ る.
Bargh
(1982
)は,
独立性ス キー
マ 群 (自分を 独 立的である と 見なし,
かっ 独立性を 重要で あ る と考え る被 験 者 群 ) と非スキー
マ群
に 対 して,
両耳 に 刺激語 を 呈 示 しなが ら プロー
ブ 課 題を行わ せ る実 験 を行っ た.
こ の 結 果, 独 立 性 ス キー
マ 群の み に おい て,
注 意 側の 耳に 独 立性形容 詞 が 呈 示 され た 場合はプ ロー
ブへ の反 応 に 遅 延 は 生 じない が,
非 注 意 側の 耳に呈示 さ れ た 場合は そ 1)本研 究 を ご指 導ドさいました名 古.
屋 大学た 学 院 教 育 発 達 科 学 研 究 科速水敏 彦教 授に深 く感謝いたしま す.
ま た 名 古 屋 た 学 大学 院 教 育 発 達 科 学 研 究 科 村 上隆 教授,
お よび増田 尚 史 氏に貴 重 な ご 示 唆 を 頂いたこと を 感 謝いた し ま す.
れ が遅 延 す るこ とが 見いだ さ れ た.
この 結 果は,
自己に適 合す る情報
は 少 ない 処理 資 源で意
識的処 理 が可 能であ り, その一・
方で意 識 的に注意
し てい な く と も 白己に適 合 する情 報が呈 示 さ れ た場 合は 自動 的に多 くの 処 理 資 源が投 入 さ れ るた めであ る と解 釈さ れ た.
この よ うな 自動 的 注 意バ イア スは なぜ 生 起 す るの だ ろ うか. 自
己関 連 情 報に対 す る 処 理バ イア ス は多くの 研究で指 摘 され るが,
その 原因 は未だ明 らかでない.
現在
,
情 報処 理 バ イア ス の う ちで も自 動 的 注 意 を 情 動ス トルー
プ テス トに よっ て検 証 した 実 験 が 数 多 く存 在 する.情
動ス トルー
プテ ス ト (modified emotionalStroop
test
;Mathews
&MacLeod ,1985
)では オ リ ジ ナル の ス トル
ー
プテ ス ト (Stroop,1935
> の よ うに刺激語 と し て色 単 語が用 い られ るの で は な く,
何ら かの 感 情 価や誘 因価を持く )単語 が 使 用 さ れ る.
その 単語の 意 味が被 験 者に とっ て重要な もので あるならば
,
単語に対 す る意 味 的 処理 が自動 的に 進 行して し !い,
意 識 的 処理 である色 命名反 応が 遅延 すると仮 定されてい る.
Geller
&S
haver
(1
9.
76
) は 自己 に関 連す る可 能 性の ある 語 (嫌い な,
誇る,
失 敗な ど)と中 性 語 (測 量,
台所.
頭 文 宇 など)の 両者を刺 激 語 と し て色 命 名課題を行っ た とこ ろ,
鏡 を用意
す る などの自己意
識 (Wicklund ,
1975
)を 高め る操 作 を行 わ なく と も, 自己 に 関 連す る 可能 性の あ る語に対 する色 命 名の 方が遅延 す ること を 見い だ し ている,
臨床 心 理 学の領 域に おい て も 感 情 障 害 と特 定の情
報に対 する自動 的沖意バ イア ス との 関 連 性が指摘
さ れて い る,
例え ば不 安 障 害 を 持つ 被 験 者は健 常 者に比べ て,
情 動ス トルー
プテ ス トに おい て 脅 威 語に対 す る色 命 名が遅延する (Mogg
&Marden
,
199
.
0
;Mathews
&MacLeod ,1985
; 鵜 木
,
1999
).
ま たWilliams,
Mathews
&MacLeod
(
1996
)は情 動ス トルー
一
プ テス トを行っ た研 究の レ ビュー
の 中で,
被 験 者は個人の 感 情 障 害に 対 応 し た意味 を有す る特 定の単
語に対 す る 色 命名
が遅 延 する と 主張し て い る,
同様に減 量 中の 女性 は太っ た体 型を連 想 させ る絵に対 す る 色 命名
反応時 間が 中性的な絵に対 する そ れ に 比べ て遅延 す るこ とが見い だされ てい る (
EUilnan
,
Green
&Wan
,1998
),
これ ら に おい て注
9
すべ き点は,
ある個人の 自 己 に とっ て接近 的 もしくは 回避 的な誘因価を有
するで あ ろ う情
報
が 自動 的 な注意バ イ ア ス を 示 す とい う点で ある
.Ge
]ler
&Sh
自ver (1976
)に お い て は,
個人 に とっ て 白己関 連 的であ る とされ る 「誇 る」 「嫌
い な 」 とい っ た刺激
語は,
中性 語 よ りも 強い 接近的・
同 避 的 な 誘因価を有 し てい る と考 え られ る.
感 情 障 害を持っ た個人に とっ て はその感 情 障 害に対応 した情 報がその 佃人にとっ て 回 避 的 な 誘 因価を持っ てい る と考え ら れ る.
ま た減 量 中 の 個人 に とっ て は.
太っ たイ メー
ジを運 想さ せ る 情 報は 回避 的な強い 誘因価を有して い るで あ ろ う.
同様に 注 凵 すべ き なの は, 従 来の自
己研 究に おける実験 操作で は,
ある 特 性 を自己記述 的で あ る と みなし,
かつ その 特 性 を“
重要である”
と考 えて い る 個 人がセル フ・
ス キー
マ 群と して抽 出 さ れ る (e.
g .
,
Markus
,1977
) こ とで あ る.
Bargh
(1982
) も同 様 に,
自己 を独立的であ ると見 な し, かつ 独寸:性を“
重要で あ る”
と考 えてい る群を 独 i[
1:性ス キー
マ 群として い る,
よっ て こ の 被験者
群 に とっ ては 独 立性が強い接
近の 対 象で あるこ と が 推 測 される.
すな わ ち, セ ル フ・
ス キー
マ に適 合 する情 報あ るい は 自己 に関 連する可能 性の ある情 報 とは,
ある個人の自
己 に とっ て強い 接近 もしく は回避の 対 象となる情 報であ り,
これ ら は他の情 報に 比べ て 自動 的に注 意 を 引 きつ け や すい た め,
結 果 的に 自己関 連 情 報 あるい はセ ル フ・
スキー
マ に適 合する惰 報は 白動 的 注 意バ イア ス を有 する と 考’
え るこ と ができ る.
個人 に とっ て接 近 もし く は 回避の 対 象 となる情報 の 示す 自動 的 注 意バ イアス は , 自
d
研 究 とは異 なる 領 域で既 に 示唆 されてい る.
Wentura
,
Rothermund
&Bak
(2000
)は性 格 特・
1
’
生語 を,
その所 有 者が他者
にポジテ ィブ もし く はネガテ ィブな 影響
を 及 ぼ ナ 可能 性の ある特 性 (寛 大な,
同 情 的 な,
非 寛容な,
利己的 な な ど)と, その 所 有 者にの み ポジ テ ィブ もしくは ネガ テ tブ な影 響 を及ぼ す可能 性の ある 特 性(精 力 的な, 志 のあ る
.
弱 い,
野心の ない な ど )の2
種 に分 類 し情 動 ス トルー
ブテ ス トを 行っ た.
その 結 果,
色 命 名反 応時 間は後 者 よりも 前 者の ノ丿.
が有 意に長かっ た.
この 実 験 結 果は,
他 者に 対 してポ ジテ ィブ も し く はネガ テ ィブな 影 響 を及 ぼす 目」.
能 性の ある 性格
特 性を有 した 人物は,
その 周囲の個人 に 対 して.
その人 物に対 する強
い 接近行 動 もしくは 回避 行動を促 すた め,
人の 情 報 処 理 シ ス テ ムは 自動的にこれ らの特 性に対L
て 多 くの注 意 を 割り当てるの であると解 釈さ れ た.
す な わ ちWentura
et a1.
は色 命 名 遅延の 原 因 を 呈 示 語 にk
・
]し て 自動 的に 生 起 す る接 近/回避行 動傾 向 で あ る可 能 性 を示唆 してい るの で ある.
し か し
,
“
強い接 近 /回避
の 対 象であ り自鋤 的に 注 意を引 きつ け る情 報”
と は最 も一
般 的に は どの よ うな情
報なのか.
こ れに関 してFazio
(1986
)お112
性 格心 理 学 研究第11巻
第2号
よ び
Fazio
,
Sanbonmatsu
,
Powel1
&Kardes
(1986
) は, 態 度 を 態 度対象 とそ れに対する評 価 と の 連 合 である とし,
あ る態度
対象に対 する“
望 ましい一
望 ま し くない”“
良い一
悪い”
態度
判 断課題 を 行 う速 さに よっ て態 度アク セ シ ビ リテ ィの 高 さ を 操 作 的に定 義 し て い る.
こ の態 度アク セ シ ビ リ ティ の高
い 態 度 対 象ほ ど,
そ れ に対 す る評 価 (良い一
悪い ) との 連 合が強い と み な す.Fazio
et al.
(1986
)お よびFazio
(1986,
1995
,
2001
)は,
この 連 合の強さ が感情
ブライ ミン グ 効 果を 生 起さ せ る た めの 媒 介 要 因 と して 必要で あるこ と を主 張 し てお り, ま た評 価 との 連 合の 強い 対 象 の 旱 示 が 自動 的 に評 価を活 性化 し,
その 対 象に対 する白動 的で 選 択 的な 知覚が 生起 する との モ デル を 呈 示 し て い る.
以上 の よ うに,
強い 接 近 /回 避の 対象で あ り 自動 的に 注意
を 引 きつ け る情 報 と は評価
との強い 連 合を有 した 概 念に対 応 する情 報で あ る と考えら れ る.
そ こ で本 研 究は
,Fazio
et al.
(1986
)の操 作 的 定 義 を 用い るこ と に よっ て ア ク セ シ ビ リ テ ィの 咼 い特
性 情 報と低い 特性
情 報 を 個人 ご とに同 定し,
前者
が 後 者に比べ て よ り強い 自動的 注 意バイア ス を 示すこ とを 情 動ス トルー
プテ ス トに よっ て検 証 す るこ と に よ り,
自己関 連 情 報やセ ル フ・
ス キー
マ に適 合 する情 報が示 す自
動 的 注 意バ イ アス の原 因 が,
その 情 報 と評 価との連合
の強さ,
す な わ ちア クセ シ ビ リテ ィ の高さ に 起因 する可能 性を検 討 す るこ と を 目的 とす る.
本 研 究は対 象と な る特 性 概 念の ア クセ シ ビリテ ィ を 測定 する た めに 目標 評 価 判 断課 題 (林, 印 刷 中 )を設 定 する.
こ の 課題で は 被 験者に対し て 特 性 語 リス ト を 呈 示 し, 被 験 者 は 呈 示語に対して“
そ うあ り たい (Approach
)”
と感
じ るか“
そ うあ りた くない (Avoidance
)”
と感
じ る か“
ど ちら と も 言 え ない (FailedL
’)”
と感じ るか
,
出 来る だ け 早 く正確に対応 するキー
を押 す.
こ の プ ロ セス は,
個人 が 記憶 内にて,
呈 示 さ 2)ど ちら か の評 価的 概念へ の アクセ ス に失 敗し た と解 釈し た こ とか らFailed反 応 と し た.
れ た特 性 語 と連 合 し た ‘tそ う あ り たい (あ り たく ない)” との 接 近 評 価 的 概 念 (もし く は 回避 評 価 的 概念
)に ア クセ ス する作
業である と仮 定 する.
“
そ う ありたい”
との反応 が速 け れ ば 速い ほ ど,
そ の 特 性 概念
は接 近 評 価 的 概念
との連 合が強く,
接 近 評価
ア ク セ シ ビ リテ ィは高い とされる.
“
そ うあ り た くない”
との 反 応 が 速 けれ ば速
い ほど、
その 特 性 概念
は 回避 評 価 的 概 念 との連 合が強 く,
回避 評 価アクセ シ ビリテ ィは高
い と され る.
さ らに同一
被 験 者に 対 し, 同 じ特性 語 リス トに対 する情 動 ス トルー
プテス トを 実施
し色 命 名 反 応 時 間を 測定 することに よ り自動的 注 意バ イア ス を 検 証す る.
よっ て比較 方法 は,
情 動ス トルー
プテ ス ト に お け る色 命 名 反 応 時 間を従属変数 と し た2
(目標 評価
判 断課題にお け る評 価 :Approach
/Avoidance
)x3(特 性 語の ア クセ シ ビ リテ ィ :
High
/Mid
/Low
)の被験
者
内 要 因 計 画で あ る.2
つ の独 立変 数は いず れ も被
験 者 自身の 目標 評 価 判 断 課 題におけ る 反 応 の種 類お よび 反 応 時 間に よっ て 決定 され る.
本 実 験の仮説 は,
被 験 者に とっ てア ク セ シ ビ リテ ィ の 高い特 性情報
は低い特 性 情報
に 比べ て 色命名
反応 時 間が遅延する であ ろ うとい うもの で あ る.
実 験
1
目標 評 価 判断 課題によっ て
被
験者
ご とに各 特 性 の 接 近/同 避 評価
ア クセ シ ビ リティを高 (High
)・
中 (Mid
>・
低 (Low
)にカ テ ゴラ イ ズし,
これ らの 語 に対し て情 動ス トルー
プ課 題を行 うこ と に よっ て,
アク セ シ ビリティ と自動 的 注 意バ イアス の 関連
を検
討 す る.
手続
きの順 序 としては, 目標 評 価判
断 課 題 にお ける 処 理 が情 動ス トルー
プ試行に影 響 を与え ること を避 ける た め,
情 動ス トルー
プ 試行 を先に行い, その 後に 目標 評 価 判断 課題を行 う.
方 法被 験 者
国立 大 学の 大 学生
・
大 学院
生計 27 名 が 実 験 に参 加 した.
男性6
名,
女性21
名,
平 均 年 齢は22
.
85
歳 (SD
=4.
19
)で あっ た.
刺激
語林 (
2001
)に おい て青 木 (1971
)か ら 抽 出さ れた144
語の 性 格 特 性語 (青木 に よる大 学 生の望 ま しさ評 定 得 点によ りポ ジ テ ィブ語,
中 性 語,
ネガ テ ィ ブ語 等 数 ずつ )に加え , 練 習 試 行 用 に 同 じく青木 (1971
)か ら特 定の 性格 領 域に偏ら ない よ うに抽 出 された48
語の 性格
特 性 語で ある,
手続 き
fl
珊 rl実 験形式で あ る.
APple
社 製マ イ ク ロ コ ン ピコ.
一
タ お よ びマ イ クロ フ ォ ン,
キー
ボー
ドを用いた
.
色 命名
試行ではCI
(1一
中 央に1500
ms の 注 視 点が 衰 示 され , その後に性 格 特 性語 が 呈 示 さ れ,
被 験 者は語の 意 味 を 無 視 し出 来る だ け速 く 正 確に 語の 色をマ イ ク ロ フォ ン で答え る.
語の 呈 示 か ら被験者
がマ イク ロ フォ ン に色 名を答 え る ま での 反応時間が計 測 され1
試行 が終了 す る.
試 行 間隔 は1500
ms であ り,
その 間はCRT
中 央に注 視 点が 表 示 さ れ る.
性 格特 性 語 は赤,
青,
緑,
黄 色 の う ちの いずれかに よっ て 呈 示 さ れる.
画面の 背 景 色は黒であ る.
実験者
は色命名の エ ラー
をCRT
の 斜め後 方か ら記録 し た.
本 試 行 前に24
試行
の練
習 試 行 を 行っ た.
練習 試行におい て用 い ら れ た 語は木 試 行で用 い られ た もの と重 複 しない.刺激
語の 早示 順及び 色は被験者内で ラン ダマ イ ズされ た.
た だ し 同色が連 続 しない ように,
ま た各 色が 全 試 行の うち同 回数ずく)出 現 する よ うに ラ ンダマ イ ズ を行っ た.
色 命 名 試 行後 は筆
記に よ っ て5
分 間の挿 入 課 題 (1000
か らラン ダム な3
桁の数 値を 減 ずる計算
問 題 ) を 行い , その 後日標 評 価 判断課 題 を 行っ た.
こ の 課 題で は色 命 名に用い られ た も の と 同 じリス トが ひとつ ずつ 畢 示 さ れ,
被 験者
は それぞれの 語に対 して 利 き手 の3
木の 指の い ず れ か を 用い て‘
そ うあ り たい (Approach
)”
と感 じ る か “ そ う あ り た く ない (Avoidance
)”
と感じるか“
どちら とも言 え ない (Failed
)” と感じるか, 出 来 るだ け 早 く 正確に 対 応 する キー
を押す.
試行の 最 初に1500ms
の注 視 点が呈 示 さ れ,
その 直後 に特 性 語が 黒色で呈 示 さ れる.
刺 激語 が呈 示 さ れて か ら被 験 者が キ…
を押す まで の 判断 時間が測 定 さ れ,1
試 行が終了 す る.
試 行 問 隔は1500ms
で あ り,
その間は注 視 点が 呈 示 さ れ る.
画面の 背 景 色 は 白で あ る.
刺 激 語の 旱示順は被験者
内で ラン ダ マ イズ され た.
判断の 内 容と キー
の 対応 に関して は被 験 者 間で ラン ダマ イズ さ れ た.
練 習 試 行24
試 行 を 行っ た後,
144
試行の本 試行 を行く
・た.
練 習 試 行に おい て用 い られ た 語は本 試 行で川い られ たもの と重 複しない.
以L
, 被 験 者1
人あ た りの 実 験に 要する時 間は約25
分 間で あっ た,
結 果と考察
被 験
者 27
名 中,
鼻 炎の た め色 命 名反 応が適
切 に 行 えなか っ た被験者 1
名 を 分 析か ら除 外 し た.
色 命 名エ ラー
反応 率はLO6
% と非 常に低かっ た た め,
分 析対象
と し なか っ た,
エ ラー
反 応お よ び外 れ値と なる3
〔}〔}ms 以 ド1500
ms 以 上の 反 応 (123
%) を除 外し た上で各 被 験 者の平均反 応 時 間を代 表 値 とした.
こ の 手続 きの後に,
各 被験者の 各 刺 激 語 に対 す る目標 評 価 判 断 課題 に お け るApproach
反 応とAvoidance
反 応の それぞ れ に おい て 最 も判 断 の速
か っ た試 行1
/3
を 高 (High
)ア ク セ シ ビ リ テ ィ語と し, 最 も 判 断の 遅か っ た試 行1
/3
を 低 (Low
)ア ク セ シ ビ リ テ ィ語 と し,
残りを 中 (Mid
) アクセ シ ビ リテ ィ語 と し た.
語の望 ましさと自動 的 注 意バ イ ア ス
ま ず 青 木 (
1971
)の 望ま し さ評 定 得 点に よ る特 性 語カ テ ゴ リ間で色 命 名反 応時 間に 差が 見 ら れ る か検 討 した.
先 行研究ではネガテ ィブ 語 は ポ ジ テ ィブ語 に 比 べ て色 命名
反 応 が遅 延 し てい る (Pratto
&John
,1991
;Wentura
et al.
,
2
{〕00
;林,20
〔〕1
).
そ こで色 命 名反応 時 間を対 数 変 換した もの を従 属 変 数 とし
1
要 因 分散 分 析 を 行っ た ところ 主効 果が有 意 であっ た (F
(2,50
)− 5.
84
,
p
<,
01
>.
多重比較3:の 結 果,
ポ ジテ ィブ語 (627ms
)< 中性 語 (637
ms ) の 差は5
%水準で,
ポ ジテ ィブ語 (627ms
)く ネガ テ ィブ 語 (640ms
)の差は1
%水 準で 有 意であr.
, た.
中 性語 (637nls
)く ネガテ ィブ 語 (640
ms )の 差 が有 意では ない ため, ネガテ ィブ 語の み が特に 3)本研 究における 多 重比較はすべ てLSD 法で行わ れ た.
114
性格心 理学 研究 第 11巻 第2号 自動的 注 意 を 引 きつ け る ことを示 す わ けで は ない が,
先 行研究が示す 通り, ネガテ ィブ 語 が ポ ジ テ ィブ語 よ りも 自動 的 注 意を引 きつ けるこ と が確
認さ れ た.
アクセ シビリ ティ と 自 動 的注
意
バ イ アス 次 に本研 究の 主 目的であ るア クセシ ビ リティと色 命 名 反応 時 間との関 連につ い て検 討 し た.
目標 評 価 判1
析 課題の判 断頻度と 反 応 時 間の 平均 お よびSD
をTable1
に示 した.
エ ラー
反 応 と外れ値を除い た令6
セル の 色命
名反 応時間 お よび 刺 激 語の 望ま しさ (青 木,1971
),
文字長,
漢 字 占有 率の平 均 値 とSD
を 算 出し た (Table
2
).
色命
名反応 時 間を 対数 変 換 した値を従 属 変 数と し2
(評 価:Approach
/Avoid
−
ance )×
3
(ア クセシ ビ リテ ィ :High
/Mid
/Low
)の被
験 者 内 分 散 分 析を
行
っ た結 果,
評価お よ びア ク セ シ ビ リテ ィの 主 効 果が 有 意で あ っ た (F
(1,25
)=
6
.
55
,p
<.
05
;F
(2,50
>=
5
.
21
,p
<.
01
>.
交 互 作 用は 有 意で はなかっ た (F
(2,50
>=0.
98
, n.
s.
).
ア ク セ シ ビ リテ ィ の主効 果に 関 し て多
重比較 を 行っ たTable
1
目標 評 価 判 断 課 題に おけ る 判 断 頻度と 反応 時 間 (ms )の平 均 お よ び5
∬) 評 価Approach
Avoidance
Faned
半唄駈 歩良.嗅巨 ノv4 SD 2151
ρ
ひ60
ーρ
D421 反 応時 問 M SD 1041267 1106272 1名の被 験 者.
はFailed反 応の頻度が 0であったた め,
Failcd反 応の Lド均 反 応 時 間お よび 31) は 記載L.
て いない,
結 果,
High
>Mid
とMid
〈Low
の差がい ず れ も
1
% 水 準で有
意で あっ た,
す なわ ち高ア クセ シ ビ リ テ ィ語は自
動 的 注意
バ イア スが 大 きい との仮説 は 支 持 されず,高
・
低ア クセ シ ビ リ テ ィ語に 対 す る 白動 的 注 意が中ア ク セ シ ビリテ ィ語 に対するそれ をL
回っ た,
こ の結 果に 対す る解 釈は
2
つ 考え られる.
(1
) 本 実 験の前 提 通 り低ア ク セ シ ビ リ テ ィ語 は評 価 的 概念
との連 合が弱い の で あ るが,
にもか かわ らず その他 の 原因 によっ て情 動 ス トルー
プテ ス トにお い て 自動的 注 意バ イア ス が 見 られる特 徴が あ る.
(2
)目標 評 価 判 断 誤 題で低ア クセ シ ビリテ ィと され た語は比 較 的長 い 色 命 名 反 応 時 間を 示 した こと か ら実は評 価 的 概 念 との強い 連 合を有し てい るの で あ る が,
何ら かの 原因 に よっ て目標 評 価 判 断課題 に おい て速い反 応 を得るこ とが出 来ず, 低ア ク セ シ ビ リ ティ語と してカ テゴ ライズされ た.
まず (1
>に 関 し て検 討 する た め, 各セル に割 り振 られ た刺 激 語の望 ましさ得 点 (青木,
1971
),
文 字 長,漢
字 占有 率 それぞ れを 従 属変
数 と し て2
(評 価 :Approach
/Avoidance
)×3
(ア ク セシ ビ リティ :高 /中 /低) の 被 験者
内 分 散 分 析を行っ た (Table
2
).
その 結 果, 望ま し さ得点を 従 属 変 数と し た場 含のみ評 価の 主 効 果お よ び交互作 用が有意
で あっ た (F
(1,25
)=295、
16,
p
く.
01
;F
(2,50
);30.
44,
p
<.
01
).
すな わ ちApproach
語の場 合は, 語の 望 ましさが高い ほ ど 目標 評 価 判断 は速 く行わ れ る が,
これに対 してAvoidance
語の 場 合は,
語の望ま しさが低い ほ どTable
2
色 命 名 反 応II寺間(ms ),
刺 激 語の 望 ましさ 得 点,
文字 長,
漢 字 占有 率を従 属 変 数 とした2(評価) ×3
(ア ク セシ ビ リ テ ィ)の 分 散 分析 結果 評 価Approach
Avoidanceアク セ シ ビ リテ ィ High Mid Inw
一
亜
gllMid
L w 評価の ア クセ シビリ 交 五 作 用 上 効 果 テノの主効果 従 属.
変数 F(1,
25) F(2,
50)F
(2,50
) 色 命.
7
亅反 応 時 間 635(93) 619(74) 635(84) 望.
ましさ 3.
24(0.
34) 3.
56(O.
34)3.
98
(O.
44) 文’
≧:長 4.
08〔.
22
) 4.
13(0.
23) 4.
14(0.
23) 漢 字 占有率.
0.
54(0.
06) U.
54〔0.
05) 0.
52(C).
05) 640(82) 6.
33(0.
93) 4,
05(0.
21> 0.
46(O.
G6) 634(84)639〔88)
6
.
55雫
5.
21
* ’0
.
986,
08(O.
65)5
.
83(〔},
36)295
,
16に
i1
.
7030
.
44:
el’
4.
17(0.
19) 4.
24〔0.
2D 2.
07 2.
76 1.
160,
50
(0.
04)0
.
49(0.
5)50
.
66iヰ
1
.
521
,
84 f’
* !)く.
〔}1Vp く
.
051
舌弓瓜内はSD,
日
標
評 価 判 断が速
い.
一
般 的にネガテ ィブ 語 に対 す る色
命 名反応が遅 延 する との 傾 向が あ る た め,
Approach
反 応低ア クセ シ ビ リテ ィ語 の 望 まし さ が中ア ク セ シ ビ リテ ィ語 の それ を 下 同 る こ とに よっ て色命 名反 応が遅延 し た と解 釈す るこ とは 不 可 能で は ない.
だが こ の 原理 で はApprQach
反 応 にお け る高ア クセシ ビ リテ ィ語 は中ア ク セ シ ビリ テ ィ語 に 比べ て 望ま し さは高い が色 命 名反応 時間 が 長 い こ とを 説 明でき ない.
これ はAvoidance
反 応 に おい て も逆に 同様で ある,
よっ て本 実 験の 結 果 を説 明 可 能 な要 因は見られ なか く )た4].
そこ で (
2
)につ い て検討 す る.
低ア ク セシ ビ リ テ ィ語の 目標
評 価 判 断課題の 反 応 時聞 に関して,
Mueller
&Grove
(1991
)に よる 自己関 連 付け課 題 の 反 応 時間 が参 考に なる と考えられる.
この 実 験 で被 験 者は 記銘語 リス トに対 し て現実 自己関 連 付 け課 題と 理想 臼己閧 連 付け課 題の両方を行い,
そ れ ぞれの 反 応時 間が記 録さ れ る.
誤 題で の判 断 基 準は、
現 実自 己関 連 付.
け課 題の場 合は記 銘 語が 現 実 自己 に適 合 するか しない か,
理想 自己関 連 付.
け 課 題の 場.
合は記銘 語が あ らわす 性格で あ りたい か あ りたく ない か で あ り,
こ の 理想 白己関 連 付け 課 題 は 本研 究の 目標
評 価 判 断課 題 と類 似 してい る.
こ の 結 黒 理想 自 己関 連 付 け課 題 に おい て,
記銘 語の 社 会 的 望ま し さ が高い場合
は 主に“
そ う あ り たい ” と判 断す るこ とになる が,
その語が 現実 自 己 に適 合しない 場 合の反 応 時間 は適 合す る場合
よ り も遅い.
また記 銘 語の 社 会 的望 ま しさが低い 場 合は 主に“
そ う あ り たく ない”
と判 断 するこ とに なる が,
その 語が現 実 自己 に適
合 する場 合の 反 応 時 問は適 合し ない 場 合よ りも 遅い.
こ の よ うに“
そ う あ り たい”“
そ う あり た く ない”
判断 に おい て は,
特性 詳 が現 実の 自己 に とっ て 既達 成の もの 4)本研究において は刺 激 言自の 頻 度 (frequency) あ るい は親近 性 (familiality) を 統希iJし て い ない が
,
Pratto&John
(1991)によ る と情 動ス トルー
フ テ ス ト に 用 いた刺激 語の頻 度と色 命 名反応 時間 との相閣は統 劃 的に有 意で
はな く 極 めて 小さい (r
=,
D9)との 結 果 が得ら れ て お り、
こ の要 因が本 実 験の結 果に影 響 を 厘 ぼ し たと考え るこ と はで きない.
で あ る か未 達 成の もの で ある か が反 応 時間 と関 連 性 を持つ こ とが 示 さ れて い る,
以 上の現 実 自己の 関 連 性 を加味 す れ は,
本 実 験の 結 果に 対 して 以 下 の解 釈可能性 が あ る.
すなわ ち遅いApproach
反 応を得た 語 は現 実 自己との 適 合度が低い 未 達 成 な 特 性であ る た め に“
そ うあり たい”
との 反 応が遅 れ,
しか し な が ら未 達 成である がゆ え に強い 接 近 的 誘因価を有 して お り,
色 命名反応が遅 延 した,
虫た 遅いAvoidance
反応を得た 語は現 実 自己 との 適 合 度が高い 既 達 成 な 特 性であ る ため に“
そ うあ り た く ない”
との 反応が遅れ,
し かL
なが ら望ま し く ない 特 性が既達 成であ るがゆ えに強い回避 的 誘 因 価 を 有 して お り,色
命名 反 応が遅延 し た とい うもの であ る.
そ こ で 以 上の 解 釈か ら,
接近的 低 ア ク セ シ ビ リ ティ語は接近的 高ア ク セ シ ビリ テ ィ 語に 比べ て現 実自己適 合 度が低 く,
回避 的 低ア ク セ シ ビ リテ ィ語 は 回避 的 高ア クセ シ ビ リテ ィ語に 比べ て 規 実 自己適 合 度が高い で あ ろ うとの 新た な 仮 説 を 設 定 する,
実 験2
では 目標評価 判断課 題の 後に現 実 自己適 合 度の 評 定 を 行い,
この 仮 説を検 証 するこ とに よ っ て,−
E
述の 解 釈の 妥当性を検 副’
する.
実 験
2
目標 評 価 判 断課 題の 反 応 時 間に よっ て 高
・
巾・
低ア ク セ シ ビ リ テ ィ と さ れ る それぞ れ の語が その 被 験 者の 現 実 自己 に どの 程 度 適合
す るの か検 討 す る,
方 法被
験 者大
学
生・
大 学 院生24
名.
男 性7
名,
女 性17
名,
平均 年 齢は22
.
35
歳 (SI
)=
=
4.
18
)であっ た.
これ らの 被 験 者.
は実 験1
に参 加 し てい ない.
刺 激 語
実 験
1
と「司様.
手続き
実 験
1
と 同様の 目標 評 価 判 断 課題 を 行っ た.
使 用 機 材も 同様である.
その後に同 様の 挿入 課 題 を挟み,
同 じ リス トの語 に対 する現 実 自 己適 合 度の 評 定を筆
記で行 わせた.
質 問は 「 以 下116
性 格 心 理 学研究 第11巻 第2号 の それ ぞれの性 格 を 表 す 言葉
は,
あなたが思 う あ なた 自身の 性 格に どの程 度 当て は ま りま すか ?」 であ る.
評定 は7
件 法で,1
点 (当て は ま ら ない )〜 7
点 (当て は ま る)と し た.
評 定 項 目に関し て はII
匱序 を ラン ダマ イ ズ した リス トを6
種 類 作 成 し.
被 験 者はその うちのひ とつ に ラン ダム に割 り 当て られ た.
結 果と考
察目標 評 価 判 断 課 題の 各
条
件の頻 度,
反応 時 間,
および各条
件に おける現 実 自己適 合 度の平均得 点 を算
出 した (Table
3
).
現 実自己適 合 度の 得点 を 従 属 変 数と し2
(評 価 :Approach
/Avoidance
)x3 (ア ク セ シ ビ リテ ィ :高 /中 /低)の被 験 者 内分散 分 析を行っ た結
果,
評 価の主 効 果お よび 交互作用 が 有意
であっ た (F
(1,23
)=43.
07 ,
p
<.
OO1
;F
(2,46
)− 7.
27,
p
<.
01
).
す な わ ち 被 験 者は自
己 に とっ て接 近 的 評 価を有した特性 を回避 的 評 価を有した語に 比べ て自
己適 合的
で ある と評 定 し た.
ま た交互作 用に関 して多
重比較を行っ た結 果,接
近 的 評 価 高 ア ク セ シ ビ リテ ィ〉 回 避 的 評 価 中ア クセ シ ビ リ テ ィの 差が10
% 水準の 有 意 傾 向,接
近 的 評 価 高 ア ク セ シ ビ リテ ィ〉接近的 評 価 低ア クセ シ ビ リ テ ィの 差が5
% 水 準で有
意であっ た が,
接 近 的 評 価 中ア クセ シ ビ リテ ィ〉接
近 的 評 価 低ア クセ シ ビ リテ ィの 差は有
意で はな かっ た.
ま た 回避 的 評 価高
ア クセ シ ビ リテ ィく回避 的 評 価 中アクセ シ ビ リ テ ィ の 差お よ び回 避 的 評価
高ア ク セ シ ビ リ テ ィ く 回避 的 評 価 低ア ク セ シ ビ リテ ィ の差が と も に5
% 水 準で有 意であっ た が,
回避 的 評 価 中ア クセ シ ビ リテ ィ く回 避 的評価 低アクセ シ ビ リ テ ィの 差は有意
で はなかっ た.
被 験 者は 日標 評 価 判 断 課 題に お い て最 も 遅いApproach
反 応を行っ た語の境実自
己適含
度 を最 も速
い それに比べ て低く評 定 し,
最 も遅いAvoidance
反応 を行っ た語の 現実 自己適 合 度を最も速い そ れ に 比 べ て高く評 定 したの で あ る.
こ の結
果はMueller
&Grove
(199
ユ)と同 様,
未 達 成の 接近的 評 価 特 性に 対する接 近 的 評価
判 断 が 遅 れ,
ま た既 達 成の回 避的評 価 特 性に対す る 同 避的評価
判断 が遅れ るこ と を 示 し てい る.
考
察本 研 究の 目的は
,
セ ル フ・
ス キー
マ に適 合す る 情 報 や 自己 関連情
報が 自動 的な 注意 を 引 きつ け る こ との 原 因が,
佃人内の 特 性こ’
との接
近・
回避に 関 する ア クセ シ ビ リ テ ィ の 高さ に 起 因するこ と を 検 証 するこ とで あっ た.
そこ で従 来の 研究に お け るセ ル フ・
ス キー
マ や 自己関 連 情 報が その他の 情 報に 比べ て個人に対し て強い 接 近 もし く は 回避の 対 象 と なる情報
であ る 可能 性 を 論じ た.
また1
司時 に,
現 在の 自動 的 注 意バ イアス に関 する 研 究 結 果 か ら個 人に とっ て接近 や 回避の 対 象となり得る情 報が 自動 的に 注意 を 引きつ けや すい性質
を持っ て い る可 能 性を論じた,
その 上で 自動的態 度 活 性 化 に 関する議 論を引用 し,
セ ル フ・
ス キー
マ に適 合 する情 報 や 自己関 連 情 報は, その 他の情
報に 比 べTable
3
実 験
2
の 目標 評価 判断 課 題の 頻度,
反応 時 間 (ms ),
お よび 各条 件に おけ る 現実 白己適 合 度の 平均 値とSD
評 価 Approach Avoidance Failed
判 断 頻 度
s1)
6051
ρ
Ol14 7021ア クセ シ ビリティ
High
Mid
Low High MidL
)w 反 応 時間 M 働 〔モ65149
836209
38582り
」 1731117
935197 134136 1309347 現実 自己適 合度 M 册 6.
260.
92
5.
980,
89
5.
900、
71 3.
99 {1.
82 4290.
88 4、
38 (1.
77 5.
180.
71て評 価 的 概
念
との連 合が強い可 能 性につ い て論じ た.
以 上のこ とか ら自
己 内に接近 と回避に関す る 評 価的 概 念 を仮 定し,
目標 評 価 判 断課 題 で 比 較 的 咼 ア ク セシ ごリテ ィ と さ れ る語は比較的低ア ク セ シ ビ リテ ィ と される語に比べ て 自動 的に注 意 を 引 きつ け る ため,情
動ス トルー
プテ ス ト に お ける色 命 名 遅延 が大 き く な るで あろ うとの仮説 を設 定 し た.
実 験1
の 結 果,
高ア クセ シ ビ リ テ ィ と さ れ た 語 は 中 ア クて シ ビ’
リテ ィ とされ た 語 に 比べ て大 き い 自動的注意バ イア ス が 見 られ た もの の , 低ア ク セ シ ビリ テ ィ と され た 語 も高ア ク セ シ ビ リテ ィど され た語 と同 程 度の 自動 的 注 意バ イアス が見 られ た.
実 験
1
で に 低ア クセ シ ビ リテ ィ語の 色 命 名反応 時 間の長 さ を説明 可能な要因が 見 当 た らず,
ま た 先行 研 究の 結果 か ら低ア ク セ シ ビ リテ ィ と され た 語は 目標 評 価 判断 課題に お い て現実 自己 との 関 連 性の た め に 反応 時 間が遅く な っ たの て’
はない か と 予 想 した.
そ こ で実 験2
では 目標 評 価 判 断課 題 を 行っ た後に現 実 自己適合度
の 評 定 を 行っ た.
その 結 果,
接近的 評 価ア ク セ シ ビ リテ ィ が 低い と さ れ る語の 現実 自己適 合 度は接 近 的 評 価ア ク セ シ ビ リ テ ィ が 高い と さ れ る 語の それ に 比べ て有意
に低 く,
また 回避 的 評価ア ク セ シ ビ リテ ィ が低い と さ れる 語の 現 実 自己適合
度は同 避 的 評 価ア クセ シ ビ リ ティ が高い とされ る語の そ れに 比べ て有 意に高 か っ た.
この 結果 を実 験1
と照 合す る と , 接 近 的 評 価を有し未 達成の 特 性は 目標 評 価 判断 にお けるApproach
反応が遅れ る が,
しか し な が ら既 達 成 の 特 性 と同 程 度の 自動 的 注 意バ イ ア ス を 示 す.
ま た 回避 的 評 価を有し既 達 成の特性 は 目標 評 価 判 附1
に お けるAvoidance
反 応が遅 れる が, し か しなが ら未
達 成の特性 と「司程 度の 自動 的注意バ イアス を 示 す.
ただ し実 験2
の 現 実 自己適 合 度で は,
接近 的評価 中ア ク セ シ ビ リテ ィ〉接近的 評 価 低ア ク セ シ ビ リテ ィの 差お よ び阿 避 的 評 価 中ア ク セ シ ビ リ ティ く 回避 的 評価 低ア クセ シビ リテ ィ の 差は有 意 で はなかっ た.
よっ て 実験1
の 色 命 名反 応時間の中ア ク セ シ ビ リテ ィく低アク セシ ビリテ ィ の 差が 有
.
意であるこ と と完 全に一
一
致 して い るわけ で は な い.
こ の こと か ら現 時 点で は,
自動 的 注 意バ イア ス を 生 起さ せ る自己関 連 情 報の 特 徴は,
接近的 評 価ア ク セ シ ビ リテ ィお よ び 回避 的 評 価アクセ シ ビリテ ィ の
高
さ と,
その特 性 が既 達 成で あ るか未達 成で あ る か が交互作用 す るこ とに よっ て 決 定さ れ る 可能
性が あ る と考え る に とどめ るべ きで あ ろ う.Higgins
(1987
)な どの 自己 不一
致理論で は個 人 に とっ て理想 的 な特.
性が未 達 成で あ る,
す な わ ち自己不一
一
致 が存 在す るこ とと,
抑うっ に関 連し た 感情 との 関 連が論じ られて い る.
これ と符 合し て特 性 レベ ルでの 自 己不.
致 が 自動 的 注 意バ イ ァ ス と関 連してい る か,
あ るい は人の情報
処理 シス テ ム が環 境 内に 自動 的に 自己 不一
致を検 出 し, そ の情 報に 対 してよ り多 くの リソー
ス を投入 す る 可 能 性 も考え ら れ る.
以上のよ う に本 研 究は [
tl
己内に接近/回避に関 連 した評 価 的 概 念 を 仮 定 し,各
特 性との連合
の 強 さの観点 か ら検 討 を加え ることに よ り, 自己やセ ル フ・
ス キー
マ に関 する情報
処 理の特 徴を 論 じ る 際の トー
トロ ジー
的 説明 を回避 し よう と し たの で あ る が,
結 果 的に は接近・
回 避に関 するア ク セシ ビリテ ィの みに よっ て 自動 的 注意バ イアス を説 明 す るこ とは で き ず,
現 実 自己との 関わ りの重 要 性 が 示唆さ れ た に と ど まっ た.
よっ て今 後は現 実 自 己 との 関 わりの 下に特 性 を分類し自動 的 注 意バ イ ア ス を検 討 するこ とが 必要 で あ る と考 え られる.
ま た従 来セル フ・
ス キー
マ群
と さ れて きた“
ある 特 性が自 分に当て は ま り, か つ 重要であると考え て い る”
と 評 定 す る被 験 者に おい て,
実 際に その 特 性の ア クセ シ ビ リ テ ィ が高い か どうか検 討 する こ とが 必 要であ る.
これ らに 加えて,Wentu
ra et a1.
(2000
)は情動 ス トル…
プテ ス ト に お ける色命 名 遅 延の 煉 因 が 早 示語に対 し て 自動 的に 生起す る 接近 /回 避 行 動 傾向に ある と し て お り,
こ の 問 題 は感 情プラ イ ミン グ効 果の メ カニ ズムに 関 す る議 論に おい て も 論じられて い る (e.
g ,
,
Moors
&De
118
性 格 心 理学 研究 第11巻 第2号Houwer
,2001;
Wentura ,2000
;Wentura ,1999
)が,
これ に関し て も 検 討が 必 要で あ ろ う.
これ らに よく)て,
自己 を長 期 記 憶 内に お ける評価
的 概 念 を 中心 と し た特 性のネッ トワー
ク とし て仮 定 すると と も に,
その特性 レベ ル での ア ク セ シ ビ リテ ィ に 応 じ て環 境 情 報の 入力に対して能動的に行動傾 向 を 生起す る, 行動 に密 接 な 認知構 造 とみなすこ と が.
吋能にな る と考
えられ る.
引 用文献 ll∫木 孝 悦1971
性 格表 現 用 語の心 理
辞 典 的 研
究 :455 語の選択
,
分 類お よび 望 ま しさの 評 定心 理 学 研 究
,
42,1−13.
Bargh,
」.
A .19
.
82
Atl.
ention and automaticityin
thc pro−
cessing of self
−
relevantinf
〔〕1’
mation.
ノournatOf
Per−
sonality and
Sociat
Ps
:ソchology,43,425
−436.
Elliman,
N
,
A .
,
Grcel1
,
M.
W.
,&Wan ,
W,
K.
1998Gen −
der
differences
in
color 監laming pelformancefor
gel1−
der specific
body
shapcimages .
Eatin9
&PVe
igttt
Disorders
,
3,
17.
24.
Fazio,
R.
H .
,
1986How
do
attitudesguide
behavior
?In
R
.
M .
Sorrentino
,
&E
、
T .
Higgins
(Eds ,
).
Thehand一
わ・吻 か励 〃α伽 ・ ”
dc
・gnition
.
’
P−
oundation ofS・cial
behavier
.
New York :Guil
∫ord.
Pp,
204−243.
Fazio,
R
H .
1995 AttituCles as object−
evaluation assocl−
ations;Determinants
.
consequcnces,
and correlatesofattitude acccssibility
.
InR .
E ,
Petty,
&J
.
A .
Kros−
nick (
Eds .
),
Attitude
strength−
antecedents and conse−
queetces
,
Hillsdale
,
NJ
;Erlbaum.
Pp .
247−
282.
FaZio,
R .
H.
20010n the autonlatic:activatlon of associ−
ated evaluatiolls :
An
overview,
Cognition
andEmo 一
距oη
,
15,
115−141.
Fazio
,
R .
H ,
,
Sanbolmlatsu,
D .
M .
,
Powell.M .
C ,
,
&Kardes,
F.
R.
19860n the automatic activation of atti−
tudcs
.
∫ournatOf
Pe
rsonality a−
ndSociat
Psychelogy・
50,
229 −238、
Geller
,V .
,
& Shaver,
P.
ユ976
Cognitive
consequences
of self
.
awarencss.
ノburnal
Of
ExPerimen
talSocial
恥y−
chology
,12,99
−
108.
林 幹也2001
社会 的 認 知 研 究に お け る漢 字 仮 名混 じ りの 性格 特 性 語 を 用い た 情 動 ス トル
ー
プ 課 題の 利 用 可 能 性に 関す る横 討
名 古屋大 学 大 学院教
.
育発達科学研 究 科 紀 要 (心 理発 達 科 学 ),48,
291−
300.
林幹也
選択 的 関 連 付け 課 題に よ る 理想 白 己 と
Feared
Selveg
.
の検討心 理 学 研究 (印 刷 中 >
Higgins.
E.
T .
1987 Sclf−dlscrepallcy
:Atheory
relatiilgselfalld affect
.
Psycliological
Revietv
.
94
,319
−340.
Markus ,
H
.1977
Selrschemata
andprocessing
infornla
−
tion about the sdf
.
ノournal ofPersvnalily andso
(ゴα」禽y6力θ’α
gy,35,
63−
78.
Mathews ,
A ,
,
&MacLed,
C ,1985
Selective
processlngo「threat cues
in
anxiety states.
Behavit
ur Researchand TJzeraPy
,23,
563−
569.
Mogg ,
K .
,
&Mardell,
B.
1990Processing
of emotiollal
in
「ormationin
anxious subjects.
β沈 柚 ノourn αtOf
Clinicat
PsychotogV
,29,227
−
229.
M
りors,
A.
,
& 1)eHouwer ,
J
,
D .2001
Aut
matic appraisalof motivational valence :
Motivational
affective primingand simon effects
.
Cognition
and Emotion ,15
,
749
−
766
.
Mueller,
J
.
H.
&Grove,T ,
R.
1991Trait
act.
ualizationand selfreferellce effects
.
BuUetin
of the Psycltonom−
ic
So
‘∫8砂,29,13
−
16.
Pratto,
F.
.
&John
,
0 .
P.
1991Automatic
vigila1lce :
rle
attelltioll
−
grabbingpower
of negative social informa−
tiOll
.
丿burnai
ofPersonaii・
t
ソ andSociat
Psychology
,61,
38
一
391.
Stroop
,
J
.
R ,1935
Studies of
interfel
℃ncein
serial ver−
bal
reactions.
ノournalOfExPerimental
Psyehology
,
1&
643−662.
鵜 木 恵
.
f
’
1999高 不 安者a)脅 威情 報に対 する処殫
バ イア ス
ー .
確認 強 迫の 高低 に よ る 比較性 格 心 進
1
{己≠石丿1
:究
,
8,
43−54,
Wcntura ,
D .
1999 Activation andinhibiti
n of affectiveinformation
:Evidcnce
for negative prinlillgin
theevahlation task
.
Cognition
andEmotion,
13,65
−91.
Wentura,
D ,2000
Dissociative affective and associativepriming
e’
ffcctsin
thelexical
clecision
task:Yes versusno responses to word targets reveal evaluative
judge
−
rrlellt tendencies
,
ノoπrnalOfExPerimental
PSychology
」Learveing
,
Memory ,
andCognition
,26,456−
469.
Wcntura ,
D,
,
Rethermund,
K .
,
&Bak ,
R
2000
Auto−
matic vigilance :The attention
−
grabbing power ofapProach
−
and avoidance−
relateCl sQcialinformation
・
加 鰡 罐 埒 ・nal
・
ity andSociat
llsyehology
,78・1024−
1037
,
Wicklund,
R.
A .19750blective
self awarencss.
111
L
Berkowitz
(Ed.
),Advances
加experimen tal socialpsy−
chotogy
.
vo1.
8.
New
York
:Acadcmic
Press.
233−275.
Williams.
J.M.G.,
Mathews,A.,
&
Macl.eod,
C.
1996
The
emot,ional Strooptask andpsychopathology.
FkychotogicalBulletin,
120,
?,-24,
-
2002.5.29g.
Ii.Al,2003.2,1
{,1'-#-Mikiya
Haya:shi(Department
ofEclueat'iona] Psy¢hologr',Graduate
School
ofEducation anclHuman
Dcvel-opment, Nagoya
University).
Does
aPProach- andavoidance- related accessibilityofseijtraits
iTij7uence auto-matic attentional biasestothetrzzitevoixts?Ti-JAp.ANi・/sEJe-{N,u()i,
Pi,i{soN,v.-'y
2003,Vo].11No.2.
110-119.
A
study was conducted toexamine whether uccessibility of selftraitsin
tonns of appreach or avoidanceinfluencecl automatic attentional biasestothetraitwords.
Experiment
1,
with27
patticipants,examined the relatlonship of trait accessibility and automatic attentional biasesusing eniotionalStroop
test.Accessibility
was nieasured as rcaction timeforan evaluation task,Results
revea]ed thathigh-acccssibility
words showedstronger atte'ntienal biasesthan niedium ones,
but
low-accessibility words also showed similar attentionalbiases
as thehigh.
In
light
ofpast
studies, this result was interpretedusindicating
that wordsdcfined
as lowin
accessibilityindeed
had selfiniplications.
Experimcnt2,
with 24participants,examinedself-descriptive-ness of the ]ew-accessibility words.