滲炭鋼 の破損機 構 について(第4報)曲
げ強 さ,衝 撃 値
と滲炭 深 さ*(第5報)曲
げ強 さ,曲 げ 衝 撃 値 と切缺半經**
松
本
久雄***
Hisao Matsumoto : On the Mechanism of the Failure of Case Hardened Steel . (4th Report) Relation of the Case Depth and Bending Properties
. (5th Report) Relation of Notch Radius and Bending Properties . (i) When we introduce the idea of sliding resistance and resistance to rupture and use the hypothese of the greatest shearing stress as in the 1st report, we can apply . Woodvine's theory for the bending properties in the (two surface) case of hardened steel
. But in this case we must take care of the case break point
, which often appears after some plastic d eformation.
(ii) Case hardened steel is not especially rich in velocity sensibility
. for its charpy value is almost equal to the energy of rupture by statical bending t
est.
(iii) The case hardened layer on the surface of the greatest bending load is most resistant for sliding. •i
Case hardened layer (iv) In the s pecimens of - bi
ght Const.) the impact value per unit
area
of the high height specimens
are superior
to th
ose of low height.
(v)
We can apply the two layer theory by Wood,ine
in the all surface
case hardened
steels.
(vi) In the notched specimen, there is a stress concentration around th
e notch part. Th
us, the case depth which brings on the rupture of separ ation type moves to the
shallow depth.
(vii) This tendency to the rupture of separation type moves to th
e bigger notch in the l
ower temperature.
(viii) With tile incrcaseof impact mc.iecity, the notch sensitivity does not increase in
the case of hardened steel.
第12號
灘 鋤 破雛 構について(第4報)(第5報)13
(ix)
In the higher
height
specimen
with
the
standard
notch , its impact 'energy
is absorbed much more than that of the lower height specimen .
Received April 25, 1949)
I.緒 言 私 は第1∼3報 に よつ て弓張 り強 さに麗 してwoodvine の硬軟 二重層 説 の成 立 す るこ とを實 験 並 び に理 論 を鼠 張 し て 確認 し た.本 報 告 は この理 論 が 曲げ荷 重の 下 で も成 立す るか 否 か を,O.W.McMulan(1)に な らつ て實 験 し その衝 撃 笹 との關 係 を明 らか に し静的 衝撃的曲げ 破 損 の機構 を 求 め よ5と す る もの であ る.Hoyt(2)に よる と,通 常の 切 欠衝撃試験は,材 料 の(i)速 度感 受性(ii)切 欠感受性 の二 機 構 を 同 時 に見 て い る と云 われ 最近 の報 告で 像切 欠(3)のあ るものとな い ものとで行 つて衝撃値の價 を比較 す る傾 向 に あ り,O.W.McMullan(1)Almen&Boegehold(4)は 切 欠 のな い衝 撃 試 験 の重 要 性 を認 めてい る.滲 炭 はYamada&Ideは 四面か ら,McMullan 等 はニ 面滲 炭 を,Almen等 は一 面滲炭 を 行 つ てい る.一 面 滲炭 では 曲げ 荷重 に對 して 滲 炭 して いな い一面 が 降伏 或い は塑 性變 形 し こ れ が 測定 に早 く表 れ滲 炭 の効果 を見 る温は充 分 で な い.勿 論Bullens(5)の説 く通り滲炭層 の な い衝 撃 試験 片での試 験 に どれ だけの 意 味が あ ら う,眞 に滲 炭 弱 しば 鋼 の衝 撃紅 は低ト す る.こ の 低下 の理 由を判 然 さす こ とは 極 め て 重要 であ る.私 は曲 げ 荷重 の最 もか ゝる二面 の滲 炭,然 ら ざる二面 の滲炭,全 藤 滲 炭 の3 種,二 爵 滲 炭 にお げ る高 さ塗 化 の効 果,切 欠半徑 の大 い さ の効 果 を探 究 し,こ れ 等 の機 構 を明 白 にせ ん とした. (b)Composition 形 状滲 炭深 さ熱處理の切 欠 な しのシャル ピ一試 験 片(6)を用. い だ 滲炭 防止 は鐘 メツキに よつ た. McMullan(1)は ワレの點 を と り, こ の點 と滲 炭深 さ と の關 係 を求 めて い る力硬 度 分 布.荷重焼曲 線 が 明示 してな い.第1∼3報 て論 じ た 柔 うに.内外 暦 の分離 抗 力,紅 り航 力7) 差 に よつて 破断 の様相 が定 ま るか ら,表 面硬 度,硬 度 分布Fig. 1 Hardness Distribution of the Two Surface Case Hardened Steel.
II. 曲げ強 さ,曲 げ 衝 撃値 と滲炭 深 さ (i) 二 面滲 最 し切 欠 のな い 場合)Table 1に 示 す 成分
Table 1 Heat Treatment and Composition. (a) Heat Treatment.
***通 産 省 機 械 試 験所 第 四 部 自 動 車 材 料 研 究 室
*昭 和23年10月 本會福島 大會 に發 表
** 昭 和24年4月 本會 東 京 大會 に發 表 (1)0.W. McMu]1al〕, Trans.Am.Soc.Metals,23
(1935),319.
(2)S.L.Hoyt, Proc.Amer.Soc.Testals Mat,38 (1938),PartII,1141.
(3)Amlstrong&Gagnelinelin,Trans.Amer.Soc. Meals,28(1940),1.
(4)J.O.Almen&A.L.Boegehold
.Proc.Amer. (5)Bullens, steel&It's Heat Treatment
II(1939),272.
Fi,g. 2 The Result of Rending Test (5mm Height).
(6) E.G. Coker&Filon A Treatise onPhoto-elasticity',(1931),416.iに よれは梁 の 長 さD, 高 さhと す れ ば 私の はD/h=2.7∼Sで 曲 げ應
14 研 究 第13巻 は 重 要 な意 義 を持 つ,Fig.1に示 す 硬度 分布 の場 合 高 さ 5,10mmで はFig .2.3に 示 す よ うに荷 重撓 曲線 お け に る ワレの點 は滲 炭 潔 さに應 じて 上昇 す るが,15mmで は滲 炭 の淺 い もの で はFig.4に 示す よ うに或 る程 度 の 二 りが あ つ て後 表れ る.表 面硬度 材 質 に よつ ては,外 層の 分離 抗 力がた り抗 力 よ り或 る場合 は 高 い こ とを示 す もの で ワレ點 を 一義 的 に取 るこ とは 感心 出来 ない. 私 の使用 した試 験 片の組 織はMcMullanの 用 いた の と 同様 な粒 状 炭 化物 が若 干 あ るが 寧 ろ緩 和 の傾 向 に あつた. 今 これ を一 様 な高炭素 鋼 層 と見做 しWoodvineの 説 を擴 張 し よ う. (a)滲 炭 暦 と内轡 とはrigi(1に 固定 して い る と し,前 報 と同 じ略 號 を用 い,α1を 巾 んを高 さ,tを 滲 炭深 さとす れ ば, (b)滲 炭 層 と内層 とは 自由 に摺 動 す る とすれば, (a)と(b)を 計 算 し實 際 の數 値が どこに 落つ くか を考 え れ ば破斷 の機 構 が わ か る.(1)式7)場 合 は 内 郭が 分離 破損 す る迄彈 性變 形 を綾 け る こ とを前 提 として い る それ で ワ レの點 が 塑性變 形 を して 表 われ るも の では債 が 逸 れ るのは 當然 で あ る.こ の時,分 離 破斷 す る荷 重 隅 は, こゝ で △ は滲 炭深 さ と内 部應 力 を 考 慮 し た曲げ モ ー メ ン ト最 大點 との 控 で あ る. (1)式 で σOS=σOt=150kg/mm2, vis=40 kg/nm2と お い て 計 算 し た結 果 がFig.6に 示 し て あ る.高 さ10mmの
Fig. 3 The Result of Bending Test. (10mm Height)
Fig. 5 Calculated
Data of Two Surface
Case Hardened.
Suffix Shows Speciemeif Height
(by (1) Forrnula).Suthx
with
Dash Shows Sreciemen
Height
[by (2)).
F
ig.4.The Restolt of Bending Test (15mm H eiplht) もの につ い て(2)式も計 算 して あ る.實 験 結 果 は(1)式 の結 果 に極 めて近 いか らこ の よ うな條件 で は(1)式 が 成 立 す る と見 て よい.5.5mm高.さ の1.5mm滲 炭 の も のの み が分 離 破斷 し勉 は完 全 な分離 破斷 では な い.こ の完 全 な分離 破斷 の場 合 は,△は僅 小故 無視 す る と(3)式 で 碗 篇60kg/mm2 を 入れ る と0.6tonと出 て 實験 値 二近 い.二 面滲炭 に
第12號滲炭 鋼 の破損 機 御 こつ い て(第4)(第5報) 15 はWoodviueの 二 電層説 の 擴 張 は可 能 と考 え られ る . 側 霞 滲炭 に よ るた り抵 抗 の 實 歌 を15mm巾,高 さ10mm , 滲炭 深 さ0.5,1.0,1.5mmの も の で調 べ だ 計 算 す れ ば, 曲 げ 荷重 の加 わつ た場 合,應 力 分布 は滲 炭 隆tより△ だけ 内 部 で最大値を とる と考 え られ る.從 つて 中心より 〓 な る位 置〓應 力が 分離 抗力 に達 すれば 少 くと も分〓破斷 に 移 る可能 性 を生ず る筈 で あ る.こ の價 をIItと 置 け ば を得 る.實 際滲 炭 深 さ と共に と り抵 抗 は増 すが ワレの點 は 絹 當 のた り變形 が 起 きなけ れ ば表 れ な い. 二面 滲炭 側 面 滲炭 を行 つ た 試験片 を衝 撃 試験 をす る と 鞠7の 如 くで あつ てFig.2,3,4か ら計 算 した静 曲け 破 Ws>Wtに な る滲炭深さ の時 に分 離 破 斷 温移 り,Ws>Wt な る時 に降 伏 す る筈 であ る. 實 験結果Fig.7,8に よれ ば,二面 滲 炭 よ り残留應 力が
Fig.6 Chacpy-test Result.
(2 8urface Case Hardened)
斷 に要 した エ ネル ギ ー に略〓 近 く,特 に滲 炭 に よつて 速 度 感 受 性が 増加 す る とは思 われ な い.滲 炭 深 さ一定 として 高 さの影 響 を見 る と高 さの 高 い もの 程(質 量効 果 に よ り表 面 硬 度が 出 てい な い點 もあ るが)軍 位 面積 諮 りのエ ネル ギ ー 級収 量 が大 きい.こ れ は 注目に價 す る.
Fig.7 Bending Test Reealt of the All Side Case Hardened. (ii) 全面 滲炭Table 2に 示 す 成分 熱處 理 の切 欠 な
Table 2 Heat Treatmentand Composition. (a)Heat treatment was done as well as
the Table 1, except rarbarizing time. o n
,which I decided by〓rule for various SDeclenlens.
(b)Composition:The charily SLCCiemen1 has the egaal co111G.<ition to the Table 1. きシャル ピー試 験 片 及 び 肉厚1及 び2mmの 中 空試 験 片 (外形 寸 法 は シヤル ビー試験片に同 じ),を用い て全面滲 炭 の 効果 を求 め た. 第II節 に準 じて 略 號 を定 め る と, 第3報 にこお い て報告 せ る如き殘留應力分布をとるとすれ ば
Fig.8Bending Test Result of the All Side Case Hardened.
大きい 爲 か,10mm高 さ で 滲 炭 深 さ1mm以 後に 分離 破 鎌 が 表 れ て い るUiに60kg/mm2, t=0.1cmま,〓=2.2ton
16
研
究
第13巻
事 が わか る.これ 鋤後 即 ちWos>Wtで は 滲炭 暦 の強 さつ ま りWPn,=Wotだ け で持 つ こ とにな るが そ の價 に果 して な るか どう か中空 試 験 片 で當つ て 見 る とTable 3の 如 くで
Table 3 Test Results of the Hollow Charpy Spec emeils (No-Notched).
れ をFig.9に 示す.比 例 限は 滲炭 した ものの 方 が 高 く とも Neuberの 深 い 外 側 切欠 の應 力集 中率 か ら察知 され る價 に 近い 傾 角 を とる.滲 炭 した もの の ワ レの點は 屯の 圖 に おい て上 方 に示 され て い るが比 例 限 の傾 向と逆 で 第2報 め結 果 と背馳 ず る.然 しこれ は 灘炭 潔 さが0.5mmで 切 欠 の ない 場 合 には た り破 損 をす る深 さ で あ ろの で,切 欠 が 鋭 くな る 縦つ で(a)項で述 べ た よう に分 離 破 損 温近 づ くた めに こ の よ うな 傾 向 を と るので は な い か と考 え られ る.
(c) 衝撃値 と切欠半徑の關係(
二面滲炭)
厚さ2mmで は充 分 これ を證明 す る.Fig.8も こ の傾 向 を示 した. Fib,9に よれ ば衝 撃 値 は單 調 に下 り二 画滲 炭 よ り一寸 下 廻 る.破断 に要 す る エ ネルギ ーは 曲 げ破断 に 要 す るエネルギ ー に略〓近い. 衝 撃 値 はa/ρ(α は切 欠 谷 底 か ら0)高 さ,ρ は切 欠 牛徑). が大 き くな る程 下るが 滲 炭 しないも の の方 が こめ効 果 は 大 きい(Fig.10),實 験 温 度 の降 下 と共 に脆 性破断 に移 るa/p, の價 は小 さい方 に近 づ くが この効 果 も滲 炭 しない もの の方 III.曲 げ強 さ曲げ 衝 撃備 と切 欠半 裡 引張 強 さにお いて は そ の滲炭 深 さが第 三 段 階 に あれ ば, 應力 集 中率 に應 じて破 損 す るこ とが わ かつ た.曲 げ強 さに お いて これ を追 究す る. (a)標準切 欠 で滲 炭深 さ(全面 滲 炭 シャル ピー試験 片) の 影響 を見 るこ と. Fib.7,8に切 欠 の ない もの と比較 して あ る.切 欠が 附 され る と分 離 に移 る滲 炭深 さは淺 目にず れ 岡時 に完全 な分 離 破断 は見 られ な くな る.こ れ は切 欠 に よる鷹 力 集 中の た め で滲 炭 層 の抵 技 が薄 くて も有效 に受 持 たれ,た り變形 を 局 部 的 に阻 止 す るか らで あ る.從 つ て 曲げ 荷重 絶 甥値 にお い ても 切 欠 の ない もの よ り高 貝で あ る.Fig. 10 Bending Test Result of Notched Specimen.
Fig.9 Impahe Value of All Side Case llardened S.
(b)一 定 の 滲炭 深 さで切 欠半徑 の 効 果 を見 る こ と(ニ面 滲 炭), (a)に よつ て切 欠が附 され る場合,滲炭 深 さの影 響 を 知 つた.二面 滲 炭 で滲 炭 深 さを0.5mmに 撰 び切 欠半徑 を0.5,1,3,6mm に變え て滲炭 せ ざ る場 合 と比較 した.こ が 大 きい.こ れ は滲炭 層 の辻 り抵 抗 は切 欠 に よる辻 む抗抵 よ り効 果の 大 きい ζ とを意 味 して い る.滲 炭 した もの とし な い もの では その 衝 撃 エ ネル ギ ーに脆 性破断面 を共 に呈 し 乍 らひ どい差 が あ るが一 部 に は これ は 静 曲げ 試 験結 果 が示 す ように 滲炭 した もの では 破断 に移 る迄 は殆 ん ど彈性變 に近 い變 形 をす るの でそ の吸収 され るエ ネ ルギー は 少いが 滲炭しない もの では こ のエ ネル ギ ーは大 き く試 験機 の支痔 部 に よつ て も塑 性變 形 され エ ネル ギ ーが更 に 吸収 され る爲 で あ ら う. (d)切 欠半徑 と滲 炭深 さ/高 さを 一定 とする時,高 さの 變化と共 に表 れ る擧 動 につ いて(二 面滲 淡 切 欠 は標 準 シ ャル ピー) 滲 炭を 行 つ た場 合,比 例の 法 則(7)がどめ 程度 . 維 持 され るか, を槍 討 す る こ とは重 要 で あ る.一 般 に一 様 な鋼 はそ の働撃 植 はE/bh2を と る と略〓 ー 定 で あ るFig.11,12に よれ ば 厚肉 の もの では 質 量効 果 が あ つ て表 霞 硬 度 が低 いの が 嚴密 なこと は云 い ない が應 力 集 中はづ っと高 い の 温吸 牧 エ ネ ル (7)由 田,材 料 試驗 法,内 田 老 鶴圃(正938),155.
第12號 藩炭 鋼の破 損機 構 につ い て(第4報)(第5報) 17 歌 一は大 き く滲炭 した もの では一 定 とは 云 い ない.今 ワ レ の點1cmの 高 さ温 換 算 し, NeaYaerに よつ て應 力 集 中率 を 考 慮 す る と,5mm高 さの もの で0.59ton.10mm高 さの もの で0.67ton,15mm高 さの もので1.19tonと な る.こ れ ほ注目に價 す る. 一 般 に働 撃 試験 の結果 の破断 に 要す るエネルギー と,曲 げ試 験の 結果の 破断 に 要す ろエ ネル ギー とけ 殆ん と類 似 で この實驗の 精 度 では 差 異が ない と考 え られ 速 度感 受性 は特 に滲 炭 に よつて敏 感 にな る とほ思 われ な い.
Fig. 13 Tmpact Test Resu1t of the Same Speciemen as Fig.7. Fig. 11 Impulse Value of Nettled Spec.
Fig.12Bending Test Resalt of theTest