障害をもつ子供の思考力・判断力を育成する授業に関する研究 : 知的な障害を主とする特殊学級の授業分析を通して
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(2) . 北海道教育大学紀要 (第1部C) 第48巻 第1号. 平成9年8月. i l i Sec lo fHokka i i i t do Un tyofEduca t Journa onIC)Vo on( vers .48 .1 ,No. Augus t ,1997. 障害をもつ子供の思考力o判断力を育成する授業に関する研究 - 知的な障害を主とする特殊学級の授業分析を通して - 五十嵐. 靖. 夫・三. 坂. 烈. 三. 浦. 哲・後. 慎・山. 田. 藤. 守. 織. 映. はじめに. 1. 北海道教育大学教育学部附属札幌小・中学校特殊学級 (ふじのめ学級) では, 平成6年度から2年間 『自 分の考えを生かしてやり抜く子供を育てる指導法を求めて』 を研究主題として実践研究に取り組んだ。 子供 自らが目標をもち, 自分の考えを生かしながら最後まで目標に向かっ てやり抜く子供を育てたいと考えて研 「 「 究 を進 め た。 -年 次 は主 と して 「子供 の ね がい」「自 己目 標」 , 二 年 次 は 思考力」 判断力」 に着目しながら, 授業内容を考え実践した。 思考力・判断力を引き出し, 育てていく具体的な場面設定としては, 「選ぶ」 学 習活動を生かした授業 づくりに主眼をおき, 実際の授業展開を考えた。 また, 「選ぶ」 学習活動を支える主 な条件として, 「子供が考えるための時間を充分にとり, 考えつくのを待つ」 「子供の理解力など実態に応じ た考えるための手がかりを示したり, 方法を教える」 「考えるための状況, 環境を設定する」 の3つについ )。 て配慮していくことが大切 であることが分かっ た (北教大附属札幌小中学校特殊学級, 1995 「選ぶ」 学習活動に焦点をあてた授業を実践する中で これらの3つの条件は 「選ぶ」 学習活動を支え , , るためだけの条件ではなく, 思考力・判断力を育成するための条件としても重要ではないかと感じた。 特に, 「子供の理解力な ど実態 に応じた考えるための手がかりを示したり 方法を教える」 ことは 子供の思考力・ , , 判断力を効果的に育成する上で, 欠かすことのできない条件であると考える。 しかし, 思考力・判断力を育 成するために,子供の実態に応じた働きかけをするという条件が必要とされるかどうかを明確にすることは, 今後の課題として残されている。 そこで, 特殊学級の授業において, この条件の必要性を明確にすることに より, 知的な障害をもつ子供の思考力・判断力を育成するための有効な手がかりを見つけたいと考えた。 本研究は, この条件の必要性を明確にするため に, 教師の働きかけと, それによる子供の思考力・判断力 へ の効 果の 関係 を 明 ら か に して いく こ と にする。 そ のため に, 教 師の働 き か けを3つ の 種類 に分 け, 子 供 の. 思考活動を3つの段階に分類し, それらの関係を考察していくことにした。 研究を進めるにあたり, 一般に いう思考や判断という言葉の意味は広いが, 授業内容の性質から, 知識を用いたり組みかえたりすることを 思考とし, 論理的に思考することによりある課題を解決するための筋道をつくることができる力を思考力, その筋道を思考過程ととらえ, 論理的に思考することにより課題に対する解答を出す力を判断力と考える。 さ ら に, 子供 の 思考力・判断力の育成状態を次の3つに分類し, ①から②の状態になることを, 思考力・判. 断力が育成されたととらえる。 ① 思考するきっ かけを与えられるが, 自分で思考過程を組み立てることができない ②. 思考するきっ かけを与えられて, 自分で思考過程を組み立てることができる. ③ 思考するきっ かけを与えられなくても, 自分で思考過程を組み立てることができる. 127.
(3) . 五十嵐靖夫・三坂 烈慎・山田 織映・三浦. 哲・後藤. 守. 虹 研究方法 1. 分析対象集団 この集団は,北海道教育大学教育学部附属札幌中学校特殊学級(以下本学級とする)に在籍する生徒21名(1 年生6名, 2年生10名, 3年生5名) と教師3名の合計2 4名で構成されている。 本研究では, 教師3名と3 年生の男子生徒 (以下, 抽出児という) 1名 を研究の対象とした。 Ta b l el で抽 出児 の プロ フィ ー ルを 表す。. 2. 分析資料 本研究では, 対象学級で作業学習として行なわれている紙工の授業の VTR を分析資料とする。 紙工とは, 紙器会社より委託を受けて, 市販されている菓子やタオルを入れる紙箱の製作を行なう授業で Tab l el 出. 生. ・昭和 5 5年生まれ, 15歳. 障. 害. ・精神発達遅滞. I. Q. ・ 60. 抽 出 児 の プロ フィ ー ル. (鈴木ビネ一式). 健 康 状 態 ・良好 生 活 習 慣 ・身 辺 処 理 に関 して は自立 して いる. 対 人 関 係 ・初対面の時は緊張した様子が見られるが, 聞かれたことに答えたり, 必要な話をす る こ と が でき る‐ 性. 格. ・慎重で, 失敗したくないという気持ちが強く, 分からないことや, はっきりしない ことは, 何度も確かめる. ・自分で決めたことを変えたがらず, 柔軟性に欠ける. ・教師の意図を気にすることが多く, それを酌み取って行動しようとする.. 作 業 能 力 ・紙工作業では, ほぼ全ての工程を一人でできる‐ ・手先の器用さは普通であり, 3時間程度は立ったままで作業を続けられる‐ ・紙箱の製作では, 失敗が分かり, 報告することができる.. 言語の理解 ・説明を聞き, 理解して行動 したり, 伝言をほぼ正しく伝えるこ とができる‐ ・小学校2年生程度の漢字を用いた文章を読んだり, 書いたりすることができる‐. 数的な理解 ・2桁程度の加法, 減法や簡単な繰り上がりのある加法ができる‐ ・ 2 ずつ ま とめ て 3 0程度を正しく数えることができる. 紙工作業の ・中学校1年生から始め, 現在まで2年7ヶ月の経験がある‐ 学習経過. ・1年生の時に, 蓋と身の組み立て, 中仕切り・波型入れ, 結束を覚えた. ・2年生の5月 に梱包を覚え, シールの貼りつけ以 外は全て習得した‐ 失敗 したくな いという気持ちから, シールの貼りつけは取り組もうとしなかった‐ 2年生の後半 は, 主として梱包を担当 し, 紙工に興味をもつようになっ た‐. ・3年生になり, 作業長の役割を与えられた‐ 作業長とし ・作業長としての責任感を強く感じている. ての自覚. ・授業が始まる前に材料の準備を忘れずに取り組んでいる‐ ・教師に頼まれたことは, 忘れずに行う‐. 128.
(4) . 障害をもつ子供の思考力・判断力を育成する授業に関する研究. ある。 製作 にあ た っ て は, 蓋 の 組 み立 て, 身の 組み立 て, 中仕切 り ・ 波型 入 れ, シー ル の貼 りつ け, 結 束,. 梱包に作業が分担されており, 作業長1名, 班長2名が決められ, 教師も一緒に作業に取り組んでいる。 作 業の過程において, 班長は, 作業長に仕事の進み具合の報告や手伝いの依頼などをする。 また, 作業長は, 報告や依頼を受けたり作業全体の流れを見て, 状況に応じて指示を出す。 3人の教師は, 生徒と一緒に作業 に取り組む中で必要に応じて働きかけをしており, そのうち1人の教師が授業の流れを作る中心的役割を 担っている (以下, 教師Aとする)。 したがっ て, 教師Aは作業長である抽出児との関わりが多く見られる。 紙工の授業には, 作業を進めていく上で生徒に思考・判断が求められる場面が多く見られる。 また, 毎回 紙箱を製作する という共通の授業内容であることから, 授業の構成要素である教材が統一でき, 教材の違い による分析への影響が少ないと考え, 紙工の授業を分析の対象とした。 i 紙 工 の授 業 で の作 業 工 程 お よ び教 師, 生徒, カメ ラ の 配置 図 を F g .1 で 表す。 ◎ は ビ デオカメ ラ を示 す。. CIは教師Aを, C2は抽出児をそれぞれ中心に追う移動カメラである。 Aは抽出児を表し, BからJはそ れぞれ場面でとりあげられた他児を表し, ◇は場面でとりあげられなかっ た他児を示す。. I. E の材料 =身の材料[ 工 程 表 1シ ルの貼りつけ 三 CI ◎. ◇. 材料 置場. ◇. C. ◇. B. ◇ 教 師A ◇. ◇. C2 F ig ‐1. 教. 会. 教. 安. 作業工程及び教師, 生徒, カメ ラの配置図. 3. 手続き 資料は, 教師Aと抽出児それぞれを中心に追う2台の移動カメ ラで記録した。 また, 抽出児と関わりの多 い 教 師A は ワ イ ヤ レス マイ ク を装 着 し, 音 声 は, 教 師A を 中心 に追う 移動 カメ ラ によ る VTR 記 録の 中 に合. わせて収録した。 収録においては, 教師Aと抽出児を中心に, できる だけ周りの様子もとらえるように配慮 した。 当初, 3回の記録収集を予定していたが, 教師の働きかけが抽出児に効果をもたらしているか どうか を分析するためには,更に数回の記録収集が必要であると判断した。したがって,記録は11月10日,11月1 3日, 11月14日, 11月20日, 12月 4 日, 12月 6 日, 12月12日の計 7 回 のも の である。. 4. 分析方法 1 ) 資料の扱い方 ( 作業工程に関す る思考・判断が抽出児に要求される場面を文章化し, 「どの工程が遅れているか」 「誰が何 129.
(5) . 五十嵐靖夫・三坂 烈慎・山田. 織映・三浦. 哲・後藤. 守. を手伝えばよいのか」 などのような, ある1つの課題をもって1場面とする。 場面ごとに, 作業に関する 「教 師の働きかけと, それに対する抽出児の行動から読みとれる思考活動」 をそれぞれ分析し, 両者の関連を考 察する。 ここでいう働きかけとは意図をもっ た行動をさし, 行動とは言語や動作の表出を表す。. 2 ( ) 分析手続き 教師の働きかけでは, 働きかけの意味から指示・説明, 質問, 提示に特に注目し, さらに質問は, 形式的 に選択肢のある質問と選択肢のない質問に分け, それぞれ分析する。 また, 抽出児の思考活動は3つの段階 に分けて分析する。 ・教師の働きかけ 指示・説明 質. 問. 「… しなさ い 「… だか ら~ な ど 指示 ・説 明を与 える 働 き か け 」 」 ,. 答えを求める働きかけ 「仕事の遅れに気づかせるために 箱を高く積み上げる」 など思考を始め ,. 提. るきっ かけだけを与える働きかけ。 このきっ かけにより, 相手が自ら思考. 示. 過程をつくることができると予想される場合。 ・質問の形式 選択肢のある質問 選択肢のない質問. 「… と~ で は どち ら が遅 れてる ? など 具体的に2つ以上の選択肢を与 」 ,. える質問 「どうする? など 具体的な選択肢を与えない質問 」 ,. 働きかけが指示・説明から提示に移り変わることによって, 抽出児は, 自分で思考過程を組み立てること がより困難になると考えられる。 したがって, 抽出児にとって, 指示・説明, 質問, 提示の順で, 提示に近 づくにつれ, より高度な働きかけになり, 同様に質問の形式では, 選択肢のない質問の方が高度な働きかけ になる と考える。 ・抽出児の思考活動 段階1 思考過程を組み立てる上で必要な状況を全く見ず, 自分で思考過程を組み立てない 思考過程を組み立てる上で必要な状況に顔を向けるが, 動作だけで, そこから判断の 段階2 根拠をとらえようとせず, 自分で思考過程を組み立てない 段階3 思考過程を組み立てる上で必要な状況を見て把握し, 自分で思考過程を組み立てる 状況とは,ある仕事が遅れているかどうか, どの仕事が遅れているかなどの判断の根拠となるものである。 他人の思考活動を, しぐさや表情などからある程度は読みとることができるが, 完全に読みとることはでき ないと思われるので, 抽出児の思考活動がどの段階に属するかという判断は, 信頼性を高めるために, VTR を見て, 指導にあたっ た教師との話し合いをもとに行なった。 1回の授業における, 上で述べた教師の働きかけの各種類の回数と, 抽出児の思考活動の各段階の回数を 調べ, 百分率を用いて表し, 記録した全ての日の VTRについてこの作業を行なう。 その結果得られたデー タをもとに, その日の授業での教師の働きかけの特徴と抽出児の思考段階, 及 び, 日を追っての教師の働き かけの種類の変化と抽出児の思考活動の段階の移り変わりを考察する。. m. 結果と考察. 1. 各場面の考察 011月10日 [場面1] 130. Dの報告に対し, 抽出児は自分で見て判断せずに, 言葉をそのまま受けとり, 判断の手がか.
(6) . 障害をもつ子供の思考力・判断力を育成する授業に関する研究. り と して いる。 こ れ に対 し, 教 師は, シー ルが 遅 れて いる か どう かを見 て判 断さ せる ため に選. 択肢を用いた質問をするが,抽出児は質問と受け取らず,自分の判断が間違っている と受け取っ てしまう。 その後, 抽出児は初めて自分で考えよう とするが, 教師の次の働きかけにより思考 が 中 断さ れて しまう。 結局 ここ での働 き か けで は, 抽 出児 はシー ル が遅 れている という 課題 を 自分 の思 考過 程 を 組 み立 てる こ と で 理解 でき て いな い。 抽 出児 が自 分で 思考過程を組み立てる ため の 時 間的 ゆ とり が必 要 と思 わ れる。. [場面2]. 抽出児が自分なりに自分で判断したのは, 場面1の効果と見られる。. [場 面 3, 4]. 場 面 2 で は一 時 的 に効 果 が見 ら れる が, こ こで は自分 で見 て判 断 して いない こ と から,. 見る こ と はま だ 定着 して い な い。 判 断 の手 が かり は, ま だ他 人の 言葉 である。. [場面5]. 場面1でのシールという言葉が頭に残っておりシールの方を見るが, 教師のCに対する働き か け が, シ ー ル が遅 れている という 判 断をも た ら した。. [場面6]. 教師は, 抽出児が自分で見て判断することに自信をもつように促している。 同時に, 抽出児 に見 る こ と を 定着 させる 効 果 があ る と思 わ れる。. [場面7]. 教師は, 抽出児に遅れている仕事を探すように働きかけるが, 抽出児はどこを見て遅れてい る か どう か を判 断す れ ばよ いの か 明確 で はな い。 その 後, 抽 出児 の判 断 を ゆ さぶる こ と に よ り, 再 び考 えさ せ よう と して いる が, 判 断する ための 根 拠は与 え て いな い。. 011月13日. 教師は, 遅れている仕事がないか見るように指示し, 抽出児は周りに顔を向ける。 何 [場面2, 6, 7] 場面1の教師の働きかけにより, 抽出児は周りを見ることはするが, 何のために何 を見るのか理解できていないので, 顔を向けるだけで 思考する には 至 らない。 した が っ て, 場 [場面1]. 面1の働きかけでは, 周りを見る という形をつくる効果はあったが, 何のために どこを見るの かまでは伝えられなかったと考えられる。. [場面3]. ここでは, 教師は抽出児に各工程の作業を比べるとどちらが遅れているかという新しい課題 を与 えて いる。 教 師の 質 問 に対 して抽 出児 は, シー ル が 遅れ てい る か どう か に関 して は, よく 見 て 自 分 の思 考 で答 え て いる の で, 10日 の 場面1 か らの成 長 が見 ら れる。 しか し, 2つ の 仕 事. を比べるという新しい課題に対しては, どこを見て比べればいいのかがわからず, 自分で思考 過程 を 組 み立 てる こ と がで きな い。 した が っ て, 他 人の 言葉 で判 断 して しまう。 教 師は, シー ル と 身 を比 べ る と いう こ と は言 っ て いる が, どこ を見 て比 べる か, 比 べる こ とで どう す る の か という こ とま で触 れてい な い。. [場面4]. 教 師 は, 材 料 を比 べる こ と で どち らの 仕 事 が遅 れて いる か がわ かる こ と を説 明 してお り, 抽. 出児が思考過程をつくる上で効果がある と思われる。 言葉の説明だけではなく, 「どちらの材 料 が多 い か」 「どち ら が 遅 れて いる か」 な どの 質 問 を し, そ れ に答 え さ せ る こ と で, 抽 出児 に. 実際に比べさせると更に効果が大きくなるのではないかと考えられる。. [場面5]. 抽出児は, 結束が遅れているか遅れていないかを決める判断基準が明確ではない。 したがっ て, 自分の判断に自信がなく, 判断基準を教師に頼ってしまう。教師は抽出児を全く意識せず, Eに対して判断の基準 を教えていて, 結果として抽出児も聞いていたが, ここでは, 結束の遅 れを判断する 基準が明確でないのは抽出児なので, 教師はEよりもむしろ抽出児に働きかける べ き で はな か っ た か と思 わ れる。. [場面8, 9]. 紙箱は10個をま とめて結束, 梱包するが, 抽出児は, 材料の残りの枚数を見て 「あと何 131.
(7) . 五十嵐靖夫・三坂 烈慎・山田 織映・三浦. 哲・後藤. 守. 枚 で10個 になる か」 と いう 数 を 合わせる 課題 につ い ての 思考過程が形成されている. 。. (関連場面:11月14日 [場面11 ] 1月20日 [場面10 ] 2月 6 日 [場面1 3 ]) , 13 ,1 ,1 〇11月14日. [場面1]. 教師は, 昨日の様子を認め, 抽出児の判断に自信をもたせようとしている 見て判断するこ 。 と を促す働 き か けと な っ ている。. [場面 2]. 11月10日, 13日 の教 師の働 き か けの効 果 が表 れて いな い。. [場面3a]. 教師は, 抽出児に, 実際に材料を比べることで仕事の遅れがわかるということを伝えよう. と している。 抽 出児 は 材 料 を比 べる こ と で どち ら が遅 れている か を自 分の 思考過程で判断 , , でき て いる。 さ ら に教 師 は, 抽 出児 に, 遅 れてい な い班 の 方 か ら手伝 い を出す という こ とを , 順 を追 っ た 質 問 で伝 えよ う と する が 抽 出児 には 理解 で き てい な い 教 師は 質 問 という 形の , 。 ,. 働きかけでは抽出児に思考過程をつくることができないと考え その後 説明することで思考 , , 過程を与えようと している。 抽出児には次々と与え られる説明をそのつど理解する ゆとりがな く, 1 つ 1つ の 説 明を 整 理 で きず 思 考過 程 が形成 さ れな い。 した が っ て 教 師は 再 び質 問の , , 形 で働 き か ける が, 教 師 自 ら 答え を与 え て しま っ て いる。 こ こ で は 「身 と 蓋 の どち ら か ら 手 , 伝 い を だせ ば良 い か」 と いう よう な選 択肢 を与える 質 問 の方 が こ こ での抽 出児 に は理 解 しや , す か っ た の では な い だ ろう か。 ま た 抽 出児 には 思考過程を組み立てるための時間的ゆとり , , が必 要 だ っ た と思 わ れる。 [場 面4]. 抽 出児 は シー ルと 身 を比 べ ず に判 断 している の で 場面 3 a の 効 果 が見 ら れな い , 。. [場面3b] て,. 教師はここで場面3aのまとめをするために,再び思考過程を説明している 抽出児も ことっ 。 自 分 で 思考過程を形成し判 断することと 各工程の作業を比べて遅れていない仕事から手 ,. 伝いを出すという思考過程が整理される点において 非常に重要かつ有効な場面と思われる , 。 [場面5, 6] 抽出児はこれまで, 場面2のよう に, 報告がきたら依頼するというように 状況を把握 , せ ず に判 断する こ と が多 か っ た。 しか しここ では 報告 を受 けた 仕事 しか見 ていな い の で 各 , ,. 工程の作業を比べることはまだできないが, 報告を受けた仕事が遅れているかどうかに関して は 自 分 で 思考過程を形成 し判断している 自分で思考過程を形成し判断できたのは 場面3 a , 。 , , 3 bの効果と考えられる. [場面7]. 。 教師は, 抽出児に各工程の作業を比べさせようと しているが 抽出児は 比べず 自分の思 , , , 考過程を用いずに教師の言葉に反射的に答えている。 そこで教師は 抽出児が根拠をもって答 , えているかを確かめるが, 抽出児は自分で思考過程を形成し 判断できない つまり抽出児は 。 , 何を根拠に各工程の作業を比べれば良いのかわかっていないと 思わ れる。 教師の 「どっ ち の作 業が遅れているかよく考えてごらん」 という働きかけにより 抽出児は自ら思考過程をつくら , な けれ ばな らな い という 意 識 を強く 持つ よう になる。. [場面8]. 抽出児は, 各工程の作業を見比べることはしていない。 [場面9, 10 ] 1 1月13日 [場面5] での教師のEへの働きかけが, 抽出児 にも効果を与え 判断の基準 , が理 解 でき た と思 わ れる 場 面 である。. [場面13 ]. 1 1月1 3日 [場面8] でわかるように, 抽出 殿こは数を合わせる計算に関する思考過程が形成 さ れて いる の で, こ こ で は, 教 師の 順 を追 っ た働 き か けは得 に必 要な か っ た と思 わ れる 。. 132.
(8) . 障害をもつ子供の思考力・判断力を育成する授業に関する研究. ○11月20日. [場面1]. 教師は, 自分で考えて判断する ことを促している。 また, 身は遅れがちな仕事であることを 印象付けている。. [場面2]. 教師は, 身と蓋の材料を見て比べることで どちらの仕事が遅れているか判断できる ことを説 明している。 教師は材料の量を比べる質問しかしていないが, 抽出児は身の材料が多いから遅 れてい る という 思考過程を自ら形成している。 同様に, 教師は具体的に どこに声をかけるかは. 指示していないが, 抽出児は進んでいる仕事から手伝いを出すという思考過程を自ら形成して いる場面が見られる。 また, 教師は抽出児の指示により他児が反応することを促している。 こ の働きかけは, 抽出児の判断に自信をもたせるためであると考えられる。 [場面1] での教師の働きかけにより, 抽出児は身が遅れがちになるということが頭に [場面3, 4] 強く残っている が, 教師の言葉だけではなく, 自分の思考過程でも判断し始めている。 抽出児 が教師の言葉の影響を受けやすいという点を考えると, [場面1] で教師は, 身という1つの 仕事が遅れがちになる ということだけではなく, 全体の中でどの仕事が遅れているかを判断す るように働きかけることで, 抽出児は, より自分自身の思考過程で判断できるのではないかと 考えられる。 また, 教師は [場面3] でも, 抽出児の判断を認めることで抽出児に自信をもた せる よう に働 き か けている。. [場面5]. 教 師 は シー ル を貼 っ て いな い箱 を積 み 上 げる こ とで, シー ル の貼 りつ けが 遅 れている という こ と を気付 かせる 働 き か けを して いる。 こ れにより 抽 出児 は, 身という 1つ の仕 事 だけで はな. く他の仕事にも目を向けなくてはいけないということに気づく。 またこの働きかけに .より, 抽 出児は箱が積んであることが仕事の遅れを表すということを理解する。. [場面6]. どち らの 作 業 が遅 れて いる か見 て比 べる という こ と が, ま だ定着 してい ない。. [場面7] [場面8]. 抽出児は作業の遅れを自分の思考過程で判断している。 抽出児は, 全体の中でどの仕事が遅れているか見比べ, 自分で判断している。. [場面9]. 抽出児は, 自分の仕事をしながら他の仕事の様子も気にする ことができている。. 012月 4 日 [場面 1, 2]. [場面1] では, 抽出児は身の材料とシールを貼る箱の高さを比べて, どちらが遅れて. い る か判 断で き て いる。 ま た, [場 面 2] で は, どこ か ら 手伝 い を 出せ ば良い の か と いう こ と を見 比 べ て判 断 している。 抽 出児 は, 1 つ の仕 事 だ けでなく 他 の仕 事 と比 較 し, 自 ら思考過程 を 形成 し判 断 して いる。 「身 が 遅 れ がち で ある」 と いう よう な 教 師 の 言葉 によ る 先 入 観 が な い ため, 純 粋 に 自 分 の思 考 だ けで判 断で きて いる。 .教 師がい な い ので, 頼 っ たり, 自 分の判 断 が 認 め ら れる か どう か気 に したりせ ず に, ゆ と り をも っ て 自 分 の 思考過程を形成している。. [場面3]. 抽出児は, 自分の仕事をしながら周りの様子にも目を向け, 遅れている仕事に自ら気付き, 指 示 を 出 している。 自 ら周 り を見る こ と が定着 して き ている。. [場面4, 6] 抽出児は, Bが報告にくる だけで何か遅れている仕事がないか探し始める。 [場面4, 5, 6, 7] 抽出児に,周りを見て自分の思考過程で判断することが定着していると 思わ れる。 [場 面 6, 7] にお い て は, 抽 出 児 は1つ の仕 事 だけを 見 て判 断 してい る が, 授 業 の後 半 で は,. 蓋や身よりも, シール, 結束が遅れるということを理解しており, ここでは特に各工程の作業 を比べる必要はないと思われる。. 133.
(9) . 五十嵐靖夫・三坂. 烈懐・山田 織映・三浦. 哲・後藤. 守. 01 2月 6 日 [場面1]. 教師は, 教師が2人しかいないことを知らせ, 抽出児に, 身の班を任せることを伝える。 [場面2, 3] [場面1] ①の教師の働きかけにより, 抽出児は, 教師の役割である点検の仕事も与え られたと勘違いし, 身の 点検 を行 な っ ている。. [場面4]. 抽出児は強い意識で取り組んでいたが, 点検は教師が行なうという言葉を受け おもしろく , なさそうな表情を見せる。. [場面5]. 抽出児が身の班の生徒 に対して 「点検は自分がする」 と言う。 身の班のことは全て自分に任 さ れて いる と いう 意 識 の強 さ が表 れて いる 場面 である。. [場面2, 3, 4, 5] これらの場面から, [場面1] における教師の働きかけにより 抽出児は 自 , , 分で見て自分で判断する意識を強く持ったと考えられる。 [場面6, 7, 12 ] 抽出児は, 各工程の作業を見比べ, 自分の思考過程で判断している。 [場面8] 抽出児は身の班のDが手を上 げてもすぐにあてず, 蓋班から手伝いに出したいという様子が 見られる。 他人の言葉を根拠に判断するのではなく, 自分の思考過程 に自信をもって判断して い る。. [場 面9]. 教 師は, シー ル を貼 っ てい ない箱 が積 んである の を見せる こ と で 抽 出児 にシー ルの 遅 れを ,. 気付かせようと働きかけている。 抽出児は箱が積んであることに自ら気付き, 自分の思考過程 で 遅 れている こ とを 判 断 している。. [場面loa, 1 1 , lob]. これらの場面は時間的に連続している。 抽出児は [場面l oa] で与えられた課. 題の解決を保留し, [場面1 1 ] で与えられた別の課題を先に解決 してから, [場面l ob] で, 先 に与えられた課題を解決している。 2つの課題が同時に与えられるが, 抽出児は思考過程を整 理 し, そ れ ぞれの判 断を行 な っ ている。. 012月12日 [場面3]. 教師は抽出児にJの梱包を手伝うという新しい仕事を依頼する。 抽出児は作業長としての仕 事が1つ増 えるが, 余裕が見られ, 作業長としての認識を持ち, 何度もJの梱包を見ている。 この働きかけは抽出児にとって,全体の仕事を見るという効果ももたらしていると考えられる。. [場面4, 6, 7] 抽出児は自分の思考過程で判断している。 教師は [場面4] では, 抽出児の判断を 認めることにより, また[場面6] では, 抽出児の指示に他児が反応することを促すことによっ て, 抽出児に自信をつ けさせようとしている。 [場面8] 教師は, 抽出児が自ら周りを見て遅れている仕事に気づくように, 思考過程をつくるきっか けだけを与える働きかけをしている。また, 教師は抽出児が判断の根拠を教師に頼らないよう, そ の場 か らい なく なる。. [場面9]. 教師の 「遅れている仕事がないか」 と尋ねる働きかけにより, 抽出児は気になっていたこと を口に出すことができる。 抽出児はすでに周りを見て状況を判断していると 思わ れる の で, こ こ で は, 「思 っ て いる こ と を 言 っ て い い ん だよ」 な どの 抽 出児 が自 分 の判 断 を行動 に 表す こ ,. とができるような働きかけが好ましいのではないかと思われる。 [場面10 ] [場面11 ]. 抽出児は, 仕事を見比べて自分の思考過程で判断している。 抽出児は教師のFに対する言葉を聞いて, 仕事を見比べずに判断している。 抽出児の判断 にとっ て他児の言葉の影響力は弱いが, 教師の言葉の影響力はかなり強いと考えられる。 教師 は抽出児 に対し, 自分の思考過程を形成することで判断するよう に, 再び働きかけている。. 134.
(10) . . 障害をもつ子供の思考力・判断力を育成する授業に関する研究. ] [場面12. 抽出児は自分の仕事をしながら周りを見て, 自ら遅れている仕事に気付いている。 それに対 し教師は, ほめることで更に自信をもたせ, 周りを見ることを定着させよう としている。. [場面14 ]. ここでは教師は, これからどの仕事が遅れるかを予想して判断する という新しい課題に対し て, それを解決するための思考過程を順を追って与えている。. ] [場面15 , 18 , 16 , 17. 抽 出児 は, 周 り を見る こ と が 身 につ い ている の で, いろ いろ な仕 事 が目 に入 り,. 自分の思考過程で判断し, 指示ができている。 [場面15 ] では④のように複数の手伝いを求め ている こ と か ら, 抽 出児 は仕 事 の 遅 れの程 度 ま で 理解 でき て いる と 考 え ら れる。 教 師は11月20. 日 [場面5], 12月 6 日 [場面9] では, 呼びかけたり, 音をたてて箱を積むなど, 抽出児に 箱が積んであることを強調していたが, ここでは強調せずに抽出児が自ら気づくこ とを待って い る。. 0 ] [場面2. 教師は,「困っ たなあ」と独り言で思考過程をつくるきっ かけだけを与える働きかけをしたが, 抽出児にはその意図が伝わらなかった。 したがって状況を説明し, 思考過程を与えている。. 2. 「思考力・判断力」 を育成する働きかけについての考察 Tabl e 2, Fig ‐2 は, 日 ごとの抽出児の思考活動の段階別割合とその推移を表しており, ここでは, その 推移の意味と, その原因として考えられることを, 各場面の考察と照らし合わせながら考察していく。 12月 4 日では, 教師は他児に新しい仕事を教えていたので,抽出児に対する働きかけは見られなかったが,. 前日までの働きかけの効果が表れていると思われるので表示した。 7回にわたる指導を通して, 段階1, 段 階2の割合はともに減少し, 段階3の割合が増加するという変化が見られた。 つまり, 抽出児は7回の指導 により, 自ら思考過程を組み立てることができるようになったといえる。 11月1 3日では, 段階2の割合が増加し, 段階3の割合が減少している。 この日, 教師は [場面1] で周り を見ることを指示したので, 抽出児は周りに顔を向けるようになっ たが, 何のために見るのかということが わかっ ていないため, 見ることにより判断の根拠をとらえることができず, 自分で思考過程を組み立てるこ Tab l e 2 抽出児の思考活動の段階別割合 ()内は回数 月l 1 1 o目. 月1 1 1 3日. 日 月1 2 12. 月2 1 1 0日. 4) 4 6 %( 3 ) %( %( 5) 2 1 段階1 50. 1 2 %( 1). 0%( 0 ). 0 %( 0 ) 6%( 1 ). %( 0 0). %( ) 0 0. %( ) 0 0. ・ 2 7 %( 3) 段階2 13% (1). 7 %( 1). 月4日 2 1. 2 月6日 1. 月1 1 1 4日. 0 ) 0%(. %( %( ) 8 %( 0 7 ) 1 00 %( 7 ) 9 4%( 1 6 ) 3) 27 3) 72 10 8 7) 1 0%( 段階3 37%(. - -. 4 0. -. 0. -. ′ 1 1月0. ′ 1 1 / 1 3. 1 1月4. ーI ー - - - - - - T I - - - - ー 1 1 1 ’ -. - - - - - + - - - - - - - ィ - - - 鑓 r-. 1 1. / 1 1 2 0 1冴4 言総勢侠集日. 2 / 1 6. .- . 1.・ 1 1 1 .・ . ・. . ・. .・. ・‘ . ‘ ・ ・. ・ ・. ・ ‘ ,.・ ..・‘ - ‘ .‘.. -. Ti T ー ー- - ー‐ ー ーI E - - ‘ l l l l ‐ 」ー‐ ↓. -. r - 1 , -- . l l l * t l l 1 1 1 1・. 0 閉 鎖 節 4 一日における各段階の割合 %. 1 1. 閃-. ー ー1 - - -- - - -- - --ー ー ‘ 1 1 1 1 ‘ 1 11 J. - - - - - - - - ---「- - - ” ” - ” - - - - - - - - “ ー ー ↑ 「 lm 「-. 1″1 2. F ig .2 抽出児の思考活動の段階別割合 135.
(11) . . 五十嵐靖夫・三坂. 烈慎・山田 織映・三浦. 哲・後藤. 守. と がで きな い。よ っ て段 階3 ま で至 らず, 段 階2 の割 合 が増 加 する にと どま っ た と考え ら れる。ま た, この 日,. 教師は2つの仕事を比べるという新しい課題を与えたが, 抽出児はそれに対する思考過程を組み立てること ができないので, 段階3の割合が減少したと考えられる。 1 1月14日では, 段階1と段階2の割合が急激に減少し, 段階3の割合が急激に増加している。1 1月1 3日の 教師の働きかけにより, 抽出児は周りを見る動作だけはするようになったが, 1 4日の働きかけにより, 1月1 抽出児は何のために周りを見るのかという見ることの意味を理解し始め, 自分の思考過程をつくることがで きるようになってきたので, このような変化が表れたと考えられる。 11月20日, 12月 4 日, 12月 6 日, 1 2月12日では, 段階1, 段階2はほとんど見られず段階3が大部分を占. めており, 自分で思考過程を組み立てることが完成しつつあるとうかがえる。 なお, 段階3の中でも1 1月20 日は, 1つの仕事の遅れを自分の思考過程で判断できるようになり, 12月 4 日には, 各工程の作業を比べ, どの仕事が遅れているか自分の思考過程で判断することができている。12月 6 日には, 自ら仕事の遅れに気 づ く こ と が 課題 とな り 12月12日 に はそ の 課題 ができつ つ ある。 ,. 日ごとの教師の働きかけの種類の割合とその推移を表しており, ここでは, その推 移の意味と, その原因として考えられることを, 各場面の考察およびTa b l e2, Fig .2 と照 ら し合 わせ な が ら考察していく。 Tabl e 3, Fig ‐3 は,. 12月 4 日は教師の抽出児に対する働きかけは見られなかったのが7回にわたる働きかけを通して見ると,. 指示・説明の割合が減少し, 提示の割合が増加するという変化が見られた。 このことから, 抽出児の思考活 動における段階が1から3に変化するにつれ, 教師は, 抽出児にとってより高度な働きかけをしていると読 みとることができる。 また, 質問の割合は11月1 0日から1 1月14日にかけて減少し, その後ほぼ一定の割合を 保 っ て いる。 11月10日, 11月13日 で, 教 師の働 き か け による 効 果 が抽 出児 に見 ら れな か っ たの で, 教 師は11月14日 と11. 月20日で指導の形を変え, 質問を減らし, 指示・説明を増やすことで, 見ることにより判断の根拠をとらえ る こ と がで きる という こ と,各 工程 の作 業 を比 べる こ と によ り何 が遅 れている か判 断する こと を伝 えている。 Tab l e 3 教師の働きかけの種類の割合 ()内は回数 月1 11 0日. 月1 11 3日. 月1 4日 1 1. 日 月6 2 1. 日 月4 1 2. 月2 1 1 0日. ) 6 16 4 %( 7) 2) 5 0%( %( 0%( 5) 64 指示・説明 5. ) 0%( 0. %( 5) 1 4%(1 ) 3 1. ) 27 %( 3) %( 7 4 0%( 4) 28. ) 0%( 0. 4 ) 2 9%(2 ) 2 5 %(. %( 1) 9. 0%( 0 ). ) 4 %( 7 5 7%(4 ) 4. 質. 問 5 0%( 2). 提. 示. 0) 1 0%( 1) 0%(. 8 %( 2). ーー ー ー ー ーー ーー ーふ ー ‐ ー ‐ ーー ー, 1 1 ふ ふ. …---▲---- ,. 」 ふ 」- “ - - - - - - ”- - - - - - ‐ -. 1 1 1. …. “ ー. け. ー. 1 1 1. . か6 0 r. 1 1ハ3. 1 1 1 4 /. 0 1 2 / 2 / 4 1 1 記録収集日. 6 1 2 /. 、 ≦. . L ー - - … - - -. 1 1月0. ー. ,. ,. --. 0 0 閃 団 2 4 教師の働きかけの種類の割合 %. 教. 」 」 - - - ▲ - - - - ------- - - - - -… - - - - ー -- - ”…- 0 r- o 房8. - -- . - - - - - ; - ’ - - - - 1 . - -- - 1 1 1 - - - ‘ J J1. 鯛. 層一 「 ーー -圃 司. ー ー ー ー ー ー ” ー ー ー ー ー - - ー}“ ー“酬ー … ” … … … 輸 …”“ ・M”“… 1節 「. 2 2 / 1 1. F ig .3 教師の働きかけの種類の割合の推移 136. 2日 2 月1 1.
(12) . . 障害をもつ子供の思考力・判断力を育成する授業に関する研究. ま た, 12月 4 日で抽出児は自分で 思考 過程 を 組み 立 てる こ と が できる よう にな っ て き たの で, 12月 6 日 と12. 月12日で教師は, 指示・説明を減らし, 抽出児に自ら仕事の遅れに気づかせるよう提示という形の働きかけ を増 や して いる と考え ら れる。. 12月12日で指示・説明の割合が再び増えるが, これは, 他児の仕事を手伝うという新しい課題の説明と, 自分の思考過程で判断することを再び説明しているためである。11月1 4日から質問の割合がほぼ一定の割合 を示しているのは, 常に質問することにより, 抽出児の思考活動を継続させるためであると考えられる。 Tabl e4 g ‐4 は, 日 ごと の 教 師の 質 問 の 形 式 の 割 合 と そ の推 移 を 表 して お り, こ こ で は, そ の 推 移 の , Fi. 意 味と, そ の原 因 と して 考 え ら れる こ と を, 各 場 面 の 考 察お よ び Tab l e2, Fig‐2, Table 3, Fig.3 と 照. らし合わせながら考察していく。 7回にわたる働きかけを通して見ると, 選択肢のある質問の割合が減少し, 選択肢のない質問の割合が増 加している。11月14日に, 抽出児が自分で思考過程を組み立てることができるようになってきたので, その 日を境に, 教師はより高度な選択肢のない質問で働きかけるようになったと 思わ れる。. W まとめと今後の課題 今回研究の対象となった抽出児は, 考察からもわかるように, 教師の働きかけによって自ら思考過程を組 み立てることができるようになり, 思考力・判断力が育成されたと考えられる。 教師は, はじめ, 質問とい う働きかけによって, 抽出児に思考し答えることで思考過程を組み立てさせようとするが, 抽出児はその質 問がどのような意図をもっているのか理解できず, また, 質問に答えるための時間的ゆとりが十分に与えら れなかったので, 結果として, 教師は指示・説明という働きかけによっ て思考過程を与えることになったと 思われる。 また, 抽出児に自分で思考過程を組み立てさせるために, 教師は主に質問という働きかけを用い ているが, 質問の形式を選択肢のある質問から選択肢のない質問へ変化させ, また, 働きかけの種類も質問 から提示へと変化させている。 教師がそれぞれの場面で抽出児の思考活動を把握 し, その時にどのような働 きかけが適しているかを考えて働きかけをしていくことが重要であることが分かった。 教師が抽出児の思考 活動に適した働きかけをしたことは, 11月1 4日から抽出児の思考活動の段階3が増加していることにつな Tab ー e 4 教師の質問形式の割合 ()内は回数 月1 11 0日. 月1 日 3 11. 月1 1 1 4日. 月2 11 0目. 目 月4 1 2. 日 1 2 月6. 月1 2 2日 1. 選択肢のある質問 1 00 %( 3) 6 0%( 3 ). 6 7%( 8) 3 3%( 1). %( 0 0 ). 選択肢のない質問. 3 3%( 4) 6 2) 7%(. ) 10 0 %(0 0 %(2 ) 63 %( 5). %( 0 0) 4 0%( 2 ) 節 0 前 闘 節 4 教師の質問の形式の割合 %. . %(0 0 ) 37 %( 3). -ー 11 圏欄繋駕1. .イー--→-. - - - - ー - - - -テー晴 一十一 ” ト. 1 i i 1 1 1 1 1 1 1 1 . L-- L. 1 1 1 1月0 1 1月3 1 1月4 u/ 2 0 1 2 / 4 記録収集日. 6 1 1 2 / 2 / 2 1. F ig .4 教師の質問形式の割合 137.
(13) . 五十嵐靖夫・三坂 烈懐・山田 織映・三浦. 哲・後藤. 守. が っ て いる と 思わ れる。 よ っ て, 教 師 が子供 の 思考活動に適した働きかけをすることは, 子供の思考力・判. 断力の育成にとっ て必要な条件の1つであると考えられる。 さらに考察を深めると, 教師は, 抽出児が自分で思考過程を組み立てて正しい判断をした時に, 同意した りほめたりし, また, 他児にその判断にもとづく行動をするよう働きかけ, 抽出児に自分の思考過程による 判断で他児が行動することを示したりしている。 これらのことは, 抽出児が自分で思考過程を組み立て判断 す る こ と に 自信 をもつ こ と, さ ら に, 自信 をも つ こ と は, 自分 で 思考過程を組み立て判断しようとする意欲 につながると思われる。また, 教師は, しだいに抽出児が思考過程を組み立てるための時間を確保している。 このことにより, 抽出児も ことって自分で思考過程を組み立てる機会が増え, また, 自分で思考過程を組み立 てるための時間的ゆとりが与えられることにもなっ たと考えられる。 このように考察を深めると, 子供の思考力・判断力 を育成するために, 教師が働きかけをする上で必要と される条件がいくつか存在するのではないかと思われた。 本研究を進めてきた中では, 「適切な課題を与え ること」 「時間を確保すること」 「意欲を喚起すること」 「子供の思考活動に適した働きかけをすること」 と いう 4つの条件が考えられ, 思考力・判断力を育成するためには, 教師はこれらの条件を子供に与えること が必要であると思われる。 「時間を確保すること」 「子供の思考活動に適した働きかけをすること」 という条件と 北海道教育大学 , 教育学部附属札幌小・中学校特殊学級の研究における, 「選ぶ」 学習活動を支える条件の 「子供が考えるた めの時間を充分にとり考えつくまで待つ」 「子供の理解力な ど実態に応じた考えるための手がかりを示した り, 方法を教える」 は同じものとして考えることができる。 つまり, 「子供が考えるための時間を充分にと り考えつくまで待つ」 「子供の理解力な ど実態 に応じた考えるための手がかりを示したり, 方法を教える」 と いう, 「選 ぶJ 学習活動を支えるための条件は, 思考力・判断力を育成するために必要とされる条件でも. あるのではないかと考えられる。 本研究を通して, 教師の働きかけの種類そのものが思考力・判断力を育成 することに効果を与えるのではなく, 働きかけをする上で必要とされる条件こそが, 思考力・判断力の育成 に効果をもたらすのではないかと考えられた。. 引用・参考文献 敏行 ( ) : 「授業評価研究入門」 1 982 , 明治図書 ) : 「考えることの教育」 1 2) 佐伯ゆたか ( 990 , 国土社. 1) 水越. 1 ) :小学校教育課程一般指導資料 「新しい学力観に立っ教育課程の創造と展開」 東洋館出版社 9 9 3 3) 文部省 ( 一( ) : だ季刊 特殊教育, No 1 9 9 4 4) 文部省初等中等教育局特殊教育課編 」 . 77 199 ) : 「授業研究21 4 5) 大越和孝他 ( , 明治図書 , 11月臨刊新学力観時代の新しい指導力」 「 と指導と評価 -」 - ( ) 中学校 思考力・判断力 その考え方 ) 北尾倫彦編 1 9 9 : 6 5 , 図書文化社. 7) 吉本均責任編集: 「現代授業研究大辞典」 , 明治図書. ):「自分の考えを生かしてやり抜く子供を育てる指導法を求めて<第 19 95 8)北海道教育大学教育学部附属札幌小・中学校,特殊学級( 2年次>, 研究紀要第25集. 五十嵐靖夫 (本学附属札幌中学校教諭) 三坂 烈慎 (札幌市立南月寒小学校教諭) 山田 織映 (札幌市立屯田中央中学校教諭). 138. 三浦. 哲 (本学助教授. 後藤. 守 (本学教授. 札幌校) 札幌校).
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