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IRUCAA@TDC : S.mutansのフッ化物とり込みとフッ化物適応性に関する研究

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Academic year: 2021

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(1)Title Author(s) Journal URL. S.mutansのフッ化物とり込みとフッ化物適応性に関する 研究 田代, 悦章 歯科学報, 92(1): 165-182 http://hdl.handle.net/10130/2056. Right. Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College, Available from http://ir.tdc.ac.jp/.

(2) il.1監. 原    著. S. mutansのフッ化物とり込みと フッ化物適応性に関する研究* 田 代 悦 章 東京歯科大学大学院歯学研究科 衛生学講座 (指導:高圧洲義矩教授). (1991年9月30日受理). Studies on Fluoride Uptake and Fluoride Adaptation of Streptococcus mutans Ingbritt Etsuaki Tashiro Department of Hygiene and Community Dentistry Tokyo Dental College (Director : Prof. Yoshinori Takaesu). .*    官. フッ化物の離散予防メカニズムとして,宿主園子すな. 菌体ならびにcell wall, cytoplasmなどの細胞成分へ のフッ化物とり込みについて報害している。. わち歯寛の耐酸性および歯聾強化の働きと,病原因子す. 雨蝕原性菌の生育と糖覚代謝におよぼすフッ化物の影. なわち口腔細菌-のフッ化物の作用についての研究がな されてきた。歯薯におけるフッ化物とり込みは, enam-. 響については Bibby and van Kesteren7)をはじめと して数多くの研究8)-12)がなされ,代謝活性におよぼす. elのOH基とFとの置換,あるいはCa2+, PO43-, F. フッ化物の直接作用として, enolase(phosphopyruvate. による再結晶化の過程で起こることが明らかにされてい. hydratase)の阻害が確認されている。また,このeno-. る1) ̄3)。しかしながら,口腔編菌のフッ化物とり込みに. laseの活性阻害によって中間代謝産物であるphospho-. 関して,菌体へのフッ化物蓄積あるいはフッ化物濃縮の. enol pyruvate(PEP)生成が減少し,乳酸以外のギ酸,. メカニズムについては充分な解明がなされていない。. 酢酸の産生が低下し,総体的な酸産生量が減少するとさ. 商蝕原性菌のフッ化物とり込みに関して, Yotis and. れているoそして,細胞膜を通過するグルコースの細胞. Brennan蝣はactinomycesならびにstreptococciと. 内輸送に関与しているPEP生成の減少は, PEP-PTS. 18Fとの結合を調べ,菌種・属によるフッ化物結合の違. 活性の低下をきたし,菌体のエネルギー源となるglu-. いを示しているoまた, Kashket and Rodriguez5',Y. coseのとり込みを制御するとともに,細胞内における. otisら6)はそれぞれS. sanguisとS. mutansにおける. グリコーゲンを主とした多糖体の蓄積作用を制華ロするこ とが知られている。. *本論文の要旨は,第241回東京歯科大学学会線会(平成 2年10月10B,千葉),第39[H日本口腔衛生学会総会(辛 成2年11月11日,徳島), The38th Annual Meeting of Japanese Association for Dental Research(平成2 年11月29日,仙台)において発表した。. 一方,菌体をフッ化物添加培地で継代培養をした場 合.菌体のフッ化物に対する抵抗性の蓬待が捜摘13)14)さ れており,また,紫外線照射あるいは化学物寛の作用で 生じた突然変異菌株は,フッ化物を添加していない培地 165一.

(3) Mi. 田代: S. mutansのフッ化物とり込みとフッ化物適応性. で継代培養した後もフッ化物に対する抵抗性を持績する. -郎教授)より分与されたと卜由来の分離株であり,血. ことが確認されている15)16)。これらの菌体は,ある程度. 清型では口腔内より最も高強度に分離されるC型株に分. のフッ化物濃度まで対照群同様の生育と解粧活性を示す. 戴される。. ことが知られている。こうしたフッ化物に対する菌体の. 2.挽幹培養S. mutansによるフッ化物分析法の. 性質は,一般に適応現象(fluoride adaptation)と呼ば. 検好. れている14)15)17)18)しかしながら,これまで研究されて. 漢拝培養S. mutans Ingbritt株を供試して菌体中. きた適応現象は,主に供試菌の成育と破産生性に代表さ. フッ化物の分析法を検討した。その実験の概要を示した. れる解糖活性の観点からの検討であり,口腔内における. ものが図1である。培地は,達麓培養で用いたSemi-. フッ化物の連麓的作用をモデルとした達産培養による報. defined medium.すなわちGlucose 2.70g, Yeast. 告あるいは菌体のフッ化物濃縮および蓄積などの菌体内. extract 2. 00g, NH4HCO3 2. 00g, L7glutamate Na. におけるフッ化物局在を解糖活性と関達させて追究した. NaC1 0.Olg, MnSO4-4H2O 0.Olg, FeSO,. 報吾は見あたらない。. 7H20 0. 01g, MgS(V7H20 0.20g, Lcysteine-HCI. 本研究主豪は,菌体のフッ化物とり込みあるいは濃縮. O.log, NaF 0-0.22g(0-100ppm F"), pH7.0の. 機構とフッ化物に対する適応性を追究することにある。 フッ化物濃度の異なる培地でStreptococcus mutans. 1 Mリン酸カリウム緩衝溶液(potassium phosphate buffer,以下PPB)100mlを蒸留水に溶解し,全量を. Ingbritt株を蜜幹培養し,菌体中フッ化物を分析する. 1000mlとしたものである。植菌する菌株はスキムミル. ことでフッ化物濃縮機構を検討するとともに,フッ化物. ク射吾保存の同一世代のS. mutans Ingbritt株とし. 添加培地でS. mutansを連綻培養し,菌体の解糖活性. た。培養はマグネチック・スターラーで連続的に援拝し. の測定と菌体ならびに細胞成分におけるフッ化物分析を 行い,持株的なフッ化物の作用環境における薗体のフッ. た培地にて37℃でIate-logarithmic growth phaseま で行った。培養菌は,遠沈(10,000×g, 20min)して回. 化物とり込みとフッ化物適応性を解明することとした。. 収し,これをnon-washed cellsとした。. 同時に,フッ化物に対する菌体のcell wallならびに. 1)菌体のフッ化物分析法の検討. cytoplasmic membraneの反応を, S. mutansの超微. 培地フッ化物薦度IOOppmで援拝培養したnon-. 形態から推察することとした。とくに, lOOppmフッ化. washed cellsの凍結乾燥試料を過塩素酸を用いた直接. 物漠度における・S. mutans Ingbritt株の応答から,菌 体のフッ化物とり込みまたは蔑縮機構と解粧活性の推移. 分解法,水蒸気蒸留法,微量拡散法にて分解した後,フッ 化物イオン電極法(Combination Fluoride Electrode,. を検討し.フッ化物適応性に関連したいくつかの知見を 得たのでここに報吾する。. Model 96-09-00, Concentration meter, Model SA 270, Orion Research)にて試料中のフッ化物濃度を測 定した。. 実験材料および方法. (1)過塩素酸を用いた直接分解法(Direct decom-. 1.供試菌株. position with perchloric acid). 本研究ではStreptococcus mutans Ingbritt株を実. McCann19'の方法に準じ,有栓プラスチック容器に. 験に供試した。本菌株は本学放生物学教室(主任 高添. 入れた試料20-40mgにフッ化物を除去した1. OM過塩. S.mutans Ingbritt株を37-C, pH7.0の NaF(0, 1, 10, 100ppmF")添加培地にて挽拝培養. late-logarithmic growth phaseで培地を遠沈して集菌. 菌体中フッ化物 分析法の検討. 菌体の洗浄回数 の検討. 菌体の破壊時間の 検討と破壊した 薗体の超微形態観察. 図1度拝培養5. mutans菌体による実験の概要 -166. 培 地 フ ツ 化 物 濃 度 と 菌 体 フ ツ 化 物 濃 度 の 検 討.

(4) 歯科学報 Vol. 92, No. 1 (1992). 167. 化物濃度の測定. 素酸溶液1mlを加えて密封し, 4-Cにて24hr振塗後, 1.OMクエン酸ナトリウム溶液4mlを添加して漢拝,. フッ化物濃度0, 1,10,lOOppmの培地で度拝培養し. 遠心(4,000×g, 5min)した後,上溝2mlを採取し,. たS. mutansの培養液をそれぞれ遠沈(10,000× g,20. フッ化物イオン電極にて直接フッ化物濃度を測定した。. min)し, non-washed cellsを回収した。さらに,こ. (2)水蒸気蒸留法(Steam-distillation method). のnon-washed cellsをpH7.0の0. 1M PPBで5回洗. Mavrodineanu and Gwirtsman の方法に蓋づき,. 浄し,洗浄菌体をwashedcellsとして回収したo それ. 磁性ルツボに入れた50-100mgの試料にフッ化物を除 去した水酸化カルシウム慮蘭液1 mlを灰化時のフッ化. ぞれの菌体は,すぐに凍結乾燥し,微室拡散法による分. 物固定剤として添加し, 37-Cにて一晩放置した後,電気. した。. 解の後,フッ化物イオン電極法にてフッ化物濃度を測定. 炉内で徐々に温度を上げ, 550-Cで灰化した。この灰化. 4)菌体の破壊方法と破壊菌の確認. 試料にフッ化物を除去した60%過塩素酸溶夜50mlを加. 細胞壁の分離を目的とする細菌の破壊法22)23)として,. えて, 140± 2℃で水蒸気蒸留を行い,留出液200mlを. 自己融解,加熱処理による破裂(heat-treatment. 採取した。この溶液1mlに対して, TISAB(Total. rupture),浸透溶解(osmotic lysis),機械的(物理的). Ionic Strength Adjusted Buffer) H l mlを加え,. 破壊法があるが,本実験ではMerkenshlagerら24'に. フッ化物イオン電極法を用いてフッ化物濃度を測定し. よって考案されたmechanical cell homogenizer(No.. た。なお,留出液室については予備実験で,全室約200. 1342, B. Braun)を使用して物理的に菌体を破壊し. mlの留出液を50mlずつ4分画採取してフッ化物の留出. た。実験は, Bleiweisら25)の細胞壁分離法を参考にし. 率を確認して決定した。. て行なった。. (3)微量拡散法(Microdiffusion method). 洗浄渚の菌体に,素留水30mlと30gのガラスビーズ. Hinoideら21)のテフロン製微量拡散装置を採用し,フッ. (直径0. 17-0. 18mm, No.2884, B. Braun)を加え,50. 化物の定量を行った。内室にはフッ化物補集液として0. 1. ml客室の菌破壊用ガラス製フラスコ(Duran Flask,. N水酸化ナトリウム溶液I ml,外室には試料5-10mgを. B. Braun)に入れ,液化炭酸ガスで冷却しながら4,000. 静置し.フッ化物を除去したHexamethyldisiloxane飽 和5 M過塩素酸溶液4 mlを加えて密閉し, 60。C, 60min. cycle/minにてmechanical cell homogenizerを稼働 して菌体を破壊した。処理時間は, 1分毎に菌液の-部. 拡散し,室温で放冷後,内室にTISABE lmlを加え,. をグラム染色し,ほとんど全ての菌が陰性化した6分間. フッ化物イオン電極法にてフッ化物濃度を測定した。. とした。菌体の破壊程度は,破壊処理前の菌体と破壊処 理後の菌体の趨放形態を比較して検討した。すなわち破. 2) S. mutansの洗浄方法と菌体,洗浄液のフッ化 物濃度の測定. 壊処理前および処聾後の菌夜を,遠心慮過チューブ. 菌体表面に付着している培地成分やフッ化物成分その. (UFC4 TGC25, MILIPORE)にて遠沈(3,500× g, 30. 他の微小残査を充分洗浄除去することを目的として.菌. min)し,フィルター部のpellet状のS. mutans菌体 を, 2%パラホルムアルデヒドおよび2.5%ブルタール. 体および洗浄後の洗浄液中のフッ化物濃度から菌体の洗 浄回数を検討した。なお,洗浄液は培地成分を考慮し. アルデヒドを含む変法Karnovskyの固定液で室温にて 1hr固定した。 0.1MPPBで洗浄後, 1%四酸化オス. て, pH7.0の0.1MPPBを用いた。 培養液100mlから回収したpellet状のnon-washed. ミウムにて1hr後固定し, 2%酢酸ウラン溶液でブロッ. cellsに, pH7. 0の0. IM PPBIOmiを加えて駒込ピペッ. ク染色を施した。その後,適法に従い上昇エタノール系. トで懸薗した後,さらに同PPB90mlを加えVortex-. 列で脱水し,酸化プロピレンにて透徹し, Epon812に. mixerで1分間援拝後,遠沈(10,000× g, lOmin)して. 包埋した。 60-Cにて加温重合後,ウルトラミクロトーム. 菌体を回収した。これを洗浄回数1回の菌体として凍結. (Ultrotome IE, LKB)にて超薄切片を作成し,酢酸ウ. 乾燥後,前述の微室拡散法でフッ化物濃度を測定した。. ラン・クエン酸鉛二重染色を施し,透過型電子顕放鏡. また,この時の洗浄後の洗浄液のフッ化物濃度をフッ化. (100-CX,日本電子)にて加速電圧60kvで観察,撮影. 物イオン電極法で直接測定した。この操作を繰り返すこ. した。. とで,洗浄回数0回から5回まで洗浄菌体ならびに洗浄. 3.連続培養S. mutansの解♯活性,菌体中フッ化 物分析ならびに麗散形態勧案. 後の洗浄液についてフッ化物漉虎を測定した。 3)フッ化物濃度の異なる培地で培養した菌体のフッ. S. mutansのフッ化物適応性を検討するために,本研 167.

(5) 168. 田代: S. mutansのフッ化物とり込みとフッ化物適応性. 究では連績培養装置(chemostat)を用いて以下の実験. て行った.回収した菌体をpH7.0のIOmM PPBで3回. を行った。. 洗浄後,同PPBでホモジナイズL resting cell suspensionとして実験に供試するまで4 ℃の状態で保存し. 使用したchemostat26)は, 390mlの機能容量をもつ 培養槽(ModelM-50,東京理化器械), pHコントロー ラー(Model FC- 1,東京理化器械),ガラス夜合電極. た。試料の塗菌数を揃えるため,そのturbidityは分光 光度計(NPS-200,島津)にて5倍希釈溶液で660nm,. (pH- S,東京理化器械)およびヒーターで構成され,. 0.9-1.0の範囲とした。なお,サンプリング開始より実. chemostat内の培地のpH,濫度,漢拝速度を一定に維. 験に供試するまでの時間は2hr以内とした。. 持した。培養槽には,内圧を高めるためフィルター濠過. 解糖活性の測定はBirkhed29)の方法に準じて, Auto-. 滅菌後の窒素ガスを導入したO培地は,シリコンチュー. matic Titration System(Auto Burrete : Model TSB. ブを使用してペリスクルテック・ポンプで一定速度で供 給した。. 痩)にて行なった。反応系は, 0.05%塩化マグネシウム. 培養条件は37-C, pH7.0, dilution rate-0.1hr-1. 水溶液0.5ml, 10mM PPB 0.5ml, resting cell. -10A, Auto Titrator : Model TSCIO-A,東亜電. (Mean Generation Time : 6. 9hr),挽幹速度300-. suspension 1.Oml, 1.0%グルコース溶液1.0mlの計. 350rpm とし,スキムミルク凍結保存のS.mutans. 3.Omlとした pHstatは, 37℃, pH7.0に設定した一. Ingbritt株を直接培地に接種した.本研究で用いた連. 定速度で度幹中のvessel内で開始した endogenous. 績培養装置による培養条件は, Makiら26)山本27). acid productionの影響を回避するためにグルコース溶. 河西28)の報吾を参考にし,予備実験を行って検討したo. 波添加前10分間の反応を観察後, 0. 01N水酸化カリウム. 連績培養の培地は,度拝培養で用いたSemi-defined. 溶夜でpHを調整し, 1.0%グルコース溶液1mlを反. mediumとし,培地のフッ化物濃度をIOOppmとしたo. 応系に滴下し5分間acid producibilityの測定を行 なった。 J以上の方法で得られたアルカリ消費量の曲線か. 培養は, NaF無添加培地を5日間供給後フッ化物添加 実験では, NaF添加培地に交換, chemostat内の最終 フッ化物漠度をIOOppmに設定し,さらに12日間培養を. らグルコース溶液添加直後の初速度(ml/min)を算出し 解粧活性とした0. 継績した.培養条件を管理するため,液.a,蔑幹速度,. 2) S. mutans菌体のフッ化物の定量分析. 窒素ガスの流量, pH, dilution rate, turbidityを毎日. 試料のサンプリングは図3で示した手順で行った。連. 点検,調整するとともに細菌培地のpurityを2日おき に,培養夜のフッ化物濃度を5日ごとに確認した。連秩. 続培養槽より over-flow した培養液100mlを遠沈. 培養S. mutansを用いた実験の概要は図2に示したo. た。さらに同様の操作を2回繰り返し, washed cells,. (10,000× g,20min) Lnon-washed cellsを回収し. 1)解糖活性(Glycolytic activity)の測定 ・S. mutans菌体の回収は, 30mlの培養液をアイスボッ. crude cell walls, supernatant fluidを調整するための non-washed cellsを回収した0 2つのnon-washed. クス(4 ℃)内に収めたサンプル瓶に集めた達涜培養槽よ. cellsのpelletを0. 1M PPB(pH7. 0)100mlにて充分洗 浄後,混合し, 100mlずつ2等分してから遠沈する操. りover-flowした培養液を遠沈(10,000× g,20min)し. 図2 通院培養S. mutans菌体による実験の概要 168-.

(6) 歯科学報 Vol. 92, No. 1 (1992). 169. 100m1. 10,000× g, 20min non-washed cells. 0.1M PPB(pH7.0) 100mlにて洗浄. washed cells. 蒸留水30mlとガラスビーズ30gを加え mechanical cell homogenizerにて菌体を破壊 (4,000 cycle/min 6 min) 10,000× g, 30min crude cell walls. C) :特に条件を示していない場合は, 10,000×g lOminの遠心操作を表す 図3 S mutans菌体のcrude cellwallsの分画法 3)超放形態観察のための連続培養S. mutans菌体. 作を5回繰り返し, 2組のwashed cellsを回収した。. 試料の作成. 一方のwashed cellsにガラスビーズ30gと蒸留水30ml を加えmechanical cell homogenizerにて菌体を破壊. S. mutans菌体は,窒素ガスを過剰に流入させ内圧を. したoその懸濁液を静置し,ガラスビーズの沈下を待. 高めた状態の培養槽から滅菌済み往射針と庄射筒を用い. ち,その上澄み液をパスツールピペットで採取した。再. て採取し,遠沈(10,000× g,lOmin)により回収した。. び蒸留水を加え,駒込ペピットで充分漢且洗浄し,上意. 採取した菌体はpH7. 0の0. 1Mカコジル酸緩衝溶液で3. み夜を採取する操作を3回繰り返した。採取した上澄み. 回洗浄後,菌体外層を観察するために, 500ppmルテニ. 液を遠沈(10,000× g,30min)後,沈査をcrude cell. ウムレッドを含む1.3%グルタールアルデヒド・カコジ. wallsとし,豪終上清をsupernatant fluidとして回収 した30)。それぞれの試料は直ちに凍結(-80-C)保存し,. ル酸緩衝溶液にて,室温で1hr振塗固定した.遠沈. 凍結乾燥後,測定用試料とした。. コジル酸緩衝溶液にて充分洗浄後, 500ppmルテニウム. フッ化物の定量は,フッ化物分析法の検討結果を考慮. (10,000×  5 min)回収した菌体をpH7.0の0.1Mカ レッドを含む1%四酸化オスミウム溶波にて懸薗し,. して, Hinoideら21)のテフロン製放量拡散装置を採用. 3hr重恩にて後固定を行い,遠沈(10,000× g, 5min). して行った。定量は前述の方法に準ずるが,測定した試. 後, 10%エタノールで充分洗浄の後,通法に従い上昇エ. 料の凍結乾燥重量は予備実験の結果から20-100mgと. タノール系列にて脱水,酸化プロピレンにて透徹,Epon. した。. 812に包埋した。 60℃で加温重合後,ウルトラミクロ. 凍結乾燥試料中タンパク葉あたりのフッ化物漉度を比. トーム(Ultrotome I, LKB)にて超薄切片を作成し,. 較するため,菌体試料の基本単位であるタンパク宴を定. カーボン蒸着ホルムバール支持膜に載せ,透過型電子顔. 量したo凍結乾燥試料5-10mgに1N水酸化ナトリウ. 放鏡(100- CX,日本電子)にて加速電圧60kvで観察,. ム溶液1mlを加え, lhr振亜後,蒸留水で10倍に希釈. 撮影した。. し,遠心した上活について, Bradford法 >(Bio-Rad. 撮影した電子顔微鏡写其の中から無作為に抽出し,印. protein assay system, Bio-Rad Laboratories)にて. 画紙上で20,000倍に引き伸してからS. mutans菌体の. 定量した。なお,標準溶液はIgGを0.INの水酸化ナト. 長軸と短軸を測定し,面積と周長は,デジタイザー. リウム溶液で希釈して使用した。. (MITA-BLET- H, Graphtec)とパーソナルコン -169一.

(7) 170. 田代: 5. mutansのフッ化物とり込みとフッ化物適応性. ピューター(PC9801, NEC)による画像処理で計測し, 短軸に対する長軸の比率,菌体面積に対する周長の比率 を算出した。 4.続計解析 以上の結果の分析には, JRI統計分析システムの統 計分析用ソフト(日本産業能率協会,東京)とパーソナル コンピューター(PC9801, NEC)を用いた。なお,統計 学的な有意差検定はStudent t-testで行った。. 化物分析に必要な試料の重量は5 -10mgと直接分解法 の20-30mg,水蒸気蒸留法の50-100mgと比べそれぞ れ1/2-1/6, 1/5-1/20と少なかった。また,測定 値のばらつきを変動係数(平均値に対する標準誤差の割 合)でみると,微室拡散法が1.3%に対して直接分解法 3.3%,水蒸気蒸留法5.5%であった。これらの結果か ら,本実験では微量拡散法を菌体試料のフッ化物分析法 として採用した。 2) S. mutansの洗浄回数と菌体,洗浄波のフッ化物 濃度. 轄     果. 1.挽幹培養S. mutansのフッ化物分析 1)菌体のフッ化物分析法の検討. 洗浄回数0回から5回までの洗浄菌体ならびに洗浄後. 培地中フッ化物濃度IOOppmで培養したS. mutans の同一試料を過塩素酸による直接分解法,微量拡散法, 水素気蒸留法で分解し,フッ化物を定量した結果を表1 に示した。水蒸気蒸留法は総フッ化物量を知る上で必要 な操作であるが,その測定値は1183. lppmであった。 これに対して,直接分解法,微室拡散法による測定値は, それぞれ1280. 5ppm, 1232. 3ppmと水蒸気養留法によ る測定値と比べてIOOppmほど高い値を示したが,各測 定値の間には統計学的に有意な差は認められなかった。 本実験に供試した試料の場合,微量拡散法によるフッ. の洗浄液のフッ化物濃度を測定した結果を表2に示し た。菌体のフッ化物は,洗浄回数1回から3回昌までは 洗浄するごとに60ppm程度の顕著な減少を示したが, 4回目と5回目ではわずかに約7ppmの減少であった。 また・ 5回目の上清中のフッ化物濃度も0.025ppmと検 出限界(1(T6Mすなわち0.02ppm)に近かったoそこ で,本実験では5回洗浄した菌体を洗浄菌体(washed cells)と塊達し,フッ化物定量に用いた。 3)フッ化物濃度の異なる培地で培養した菌体のフッ 化物濃度 培地フッ化物濃度0, 1,10,lOOppmで漢幹培養した. 表1過塩素酸による直接分解法,水蒸気蒸留法,数量拡散法によるフッ化物添加度拝培養S. mutans 菌体のフッ化物濃度測定値 フ ツ化 物 分 析 法. フ ツ 化 物 濃 度 (p p m ). 過 塩 素 酸 に よ る 直接 分 解 法 の. 12 8 0 . 5 ±4 2 . 8 0. 水蒸気蒸留法 の. 1 1 8 3 . 1 ±6 5 . 0 0. 教 室 拡 散 法 C). 1 2 3 2 . 3 ±1 6 . 4 5 ∴. 測定値:Mean±S.E., n-5 a) 0.5M過塩素酸溶液 4℃, 24hr b)灰化後, 60%過塩素酸溶液140±2℃ c) HMDS飽和5M過塩素酸溶液 60℃, 60min. 表2 洗浄回数とS. mutans菌体および菌体洗浄後の洗浄液のフッ化物濃度 洗浄回数. 菌 体 フ ツ 化 物 濃 度. (p p m ). 洗 浄 夜 の フ ツ化 物 濃 度. 0. 1 23 2 . 3 ± 1 6 . 4 5 ♯. 1. 1 7 1. 3 ± 3 . 3 9. 3. 39. 2. 1 12 . 7 ±. 1. 6 5. 0.251. 3. 67.7 ± 1.87. 0.065. 4. 59.6 ± 0.74. 0 . 02 7. 5. 52.4 ± 2.32. 0. 02 5. 100.3. ♯Mean±S. Eっn-3 一170-. (p p m ).

(8) Ml. 歯科学報 Vol. 92, No. 1 (1992). 表3 フッ化物漉度0, 1 , 10, lOOppmの培地で漢幹培養したS. mutansのnon-washed cells, washed cellsの凍結 乾燥試料中フッ化物漉度 培 養 夜 の フ ツ化 物 濃 度 ( p p m. ). n o n - w a s h e d c e lls (p p m ). 0. w a s h e d c e lls (p p m. ). 4. 8 ± 3 . 3 9 ♯. 4.5 ± 0.36♯. 1. 26.9 ± 0.71. 6 . 6 ± 0. 7 4. 10. 10 3 . 5 ± 2 . l l. 1 7 . 1 ± 4. 9 7. 10 0. 12 3 2 . 3 ± 16 . 4 5. 5 2 . 4 ± 2. 3 2. *MeanアS.E., n-4 ・S. mutansの培養夜から回収したnon-washed cells,. 99-103%の範囲でほとんど解糖活性が変化しなかった. washed cellsの凍結乾燥試料中フッ化物濃度を表3に. のに対して,フッ化物添加群では,添加直後急激に低下. 示した。フッ化物無添加培養のS. mutansのフッ化物. し, 1日目で32%, 3日目41%となるが, 5日目で53%. 濃度4. 8ppmを減じたwashed cellsのフッ化物漠度と. と,フッ化物添加前の約半分の活性レベルで推移し, 7. 培地フッ化物漢度をそれぞれ比較すると,培地フッ化物. 日目には86%まで回復し.さらに10日目以降は103-105. 濃度1ppmで1.8倍, lOppmで1.2倍, lOOppmで0・5. %とフッ化物添加前の解糖活性レベルに戻った。. 倍となり,培地フッ化物濃度IOppmまでは培地に添加. 2) non-washed cells, washed cells, crude cell. した濃度以上にフッ化物が蓄積したが, lOOppmでは添. walls, supernatant fluidの回収量とフッ化物濃. 加フッ化物濃度を下回っていた0. 度の推移 表4は,連続培養S. mutansの培養夜100mlから回. 4) S. mutans菌体の破壊像と超微形態観察. 収した各試料の凍結乾燥豪量を示したものである。サン. 破壊処理をした菌体と末破壊の菌体の超微形態を比較 検討したo末破壊(破壊処理前)のS. mutans菌体は,. プリングの時期にかかわらず,100mlの培養液から回収. 周囲と明瞭な境界を持つ高電子密度の像として多数観察. されるnon-washed cells, washed cells, crude cell. された(図4 a)c強拡大では,高電子密度の細胞の内壁. walls, supernatant fluidの凍結乾燥重量はそれぞれ. (cell wall, CW)がみられ,細胞堂内には電子密度の低. 0. 0687-0. 0956g, 0. 0555-0. 0764g, 0. 0111-0. 0249. い核(nucleus, N)あるいは電子密度の高い細胞堂内癌. g, 0.0455-0.0617gの範囲で一定であった。また,. 粒が認められた(図4 b)c これに対し,破壊処理後の. crude cell wallsとsupernatant fluidの凍結乾燥重. S. mutans菌体は,低電子密度の像として観察され,. 量比は1対2.1-4.1であり,その凍結乾燥重量の合計. 高電子密度の未破壊菌体はほとんどみられなかった(図 4 C)。写真から破壊菌体の割合を計算すると約96%. は, washed cellsの凍結乾燥垂室とほぼ一致してい た。 表5は,連続培養S. mutansの培養夜100mlから回. (n-611)であったo強拡大では,細胞壁(CW)の一部. 収した各試料中のフッ化物漉度を測定した結果である。. がこわれ,細胞葉部分と菌体の外部が同じ電子密度とし. さらにフッ化物添加後の菌体のフッ化物とり込みの. て観察された(図4 d)。 2.達績培養S. mutansのフッ化物適応性. 変化を調べるために, washed cells, crude cell walls,. 1) S. mutansの解糖活性(Glycolytic activity)の. supernatant fluidについて測定値をプロットしたもの が図6である。フッ化物添加を開始すると, non-. 推移 S. mutans Ingbritt株を連続培養した12日間の生育. washed cellsのフッ化物濃度は培養日数にかかわらず. 状況はフッ化物添加の有無にかかわらずほぼ一定であっ. 1196. 3-1542. 2ppmの範囲で推移し,新著な変化はみ. た。なお,実験群のchemostat内の最終フッ化物漉度. られなかったが, washedcellsでは2日目から6日目. はフッ化物添加後約24hrでIOOppmに達し,その後の12. まで38. 1-33.4ppm, 8日目で62.2ppmとやや上昇し,. E]間のフッ化物イオン漉度は安定していた。. 10日目44.Oppm, 12日目24.Oppmと減少傾向を示し. 図5はフッ化物添加前後の解糖活性の推移を表したも. た。また, supernatantfluidについては2日目から12. ので,縦軸の解糖活性の相対初速度は,フッ化物添加前. E]目まで10. 4-19. 7ppmと比較的低濃度で推移した。. E]のS. mutatisの酸産生曲線から算出したglucose添. これに対してcrude cell wallsのフッ化物漠度は,. 加直後の酸産生初速度を100%として求めた。対照群は. フッ化物添加開始2日目で134. 5ppmとwashed cells,. -ME.

(9) 図4 機械的破壊処空前および処理後のS. mutans菌体の電子覇微鏡像 図4 aは未破壊(破壊処理前)のS. mutans菌体の弱拡大像で,末破壊の菌体が周囲と明瞭な境界を 持つ電子密度の高い像として多数観察される。(bar : 1 ^m, ×5,000) 図4 bは未破壊(破壊処理前)の菌体の強拡大像で,高電子密度の細胞壁(cell wall : CW)の内壁が観 察され,菌体内部には,比較的電子密度の低い核(nucleus : N)や高電子密度の細胞賛内原粒 が観察される。(bar : 0. 25 fjm, ×20,000) 図4 Cは破壊処理後のS. mutans菌体の弱拡大像で,電子密度の低い破壊された菌体が多数観察さ れ,電子密度の高い末破壊の菌体は,わずかに見られるに過ぎない。(Bar : 1 〃m, ×5,000) 図4 dは破壊処理後のS. mutans菌体の強拡大像で,綿胸壁(CW)内側は編胞壁外と同じ電子密度 として観察され・いくつかの菌体では細胞壁の一部がこわれている(bar: 0.25 nm, ×20,000). supernatant fluidに比べ顕著な遭度上昇を示し,その. た図7でも同様で, crude cell wallsのフッ化物量は. 後8日E]まで101. 6-119. 5ppmと比較的高濃度で推移. washed cellsのフッ化物量と比較して2日目から8日. したが,10日目53.3ppmと下がり始め, 12日目39.3. 目まで2-3fig F/mgProteinと高くwashed cells. ppmとwashed cellsと同等の濃度レベルまで低下し. のフッ化物室の1.4-2. 7悟であったが, 10日目以降は0. 5 ・1.0 fig F/mg Proteinとなりwashed cellsとはぼ 同、レベルとなった。. たO この傾向は,各試料のタンパク賛濃度を測定し(義 6),タンパク宴重量当たりのフッ化物室をプロットし. -172-.

(10) 歯科学報 Vol. 92, No. 1 (1992). 173. あたりのフッ化物濃度 凍結乾燥試料中のタンパク賛. (〃g F/mg Protein) o ! washed cells □ : crude cell walls A : supernatant fluid 2    1    0. 0    0. 10 12 14 日) 0. 10 12 14 日). フッ化物添加開始後の日数. フッ化物添加開始後の冒数 図5 フッ化物添加連続培養S. mutansの解糖活 性の推移 a)解糖活性の相対初速度は,lOOppmフッ化 物添加培養開始前日のS. mutans菌体の酸 産生曲線から算出したglucose添加直後の 酸産生初速度を100%として,それぞれ初速 度の相対値を求めた。. 図7 連続培養S. mutansのwashed cells, crude cell walls, supernatant fluidの凍結乾燥試 料中のタンパク賛あたりのフッ化物濃度の経冒 変化. さらに,連続培養S. mutansの培養液から回収した 各凍結乾燥試料中のフッ化物量を表4と表5の測定値か ら算出したものが表7である。これによればnonwashed cellsのフッ化物の約3 %がwashed cellsに とどまり,そのwashed cellsのフッ化物はcrude cell wallsに,フッ化物添加2-4日目まで84%, 6-8日 目67-78%, 10日目以降37-39%存在していた。 5)フッ化物添加連続培養S. mutans菌体の電子顕 微鏡像と形態計測値 フッ化物添加前の連続培養S. mutans菌体の超微形 態を図 a, bに,添加後5日目, 10日目については図 c, d,図 e, fに示した。図 a, bはフッ化物. 10 12 14 日). フッ化物添加開始後の日数. 無添加(フッ化物添加開始前)のS. mutans菌体の電子. 図6 連績培養S. mutansのwashed cells, crude cell walls, supernatant fluidの凍結乾燥試料 中のフッ化物濃度の縫目変化. 顕放鏡像で,電子密度の高い外層と内層とその間にある 低電子密度の中間層からなる細胞壁(cell wall : CW) とその内層に接した細胞膜(cytoplasmic membrane cM)が観察された。図 c, dはフッ化物添加開始後. 表4 連続培養S. mutans培養液100mlから採取したnon-washed cells, washed cellsおよびcrude cell walls, supernatant fluidの運離吾乾燥重量 各. フ ツ化 物 添 加 開 始 後 の 冒数. 試. 料. の. 凍. 結. 乾. 燥. 重. 室. (g ). n o n -w a s h e d c e lls. w a s h e d c e lls. c r u d e c e ll w a lls. s u p e r n a ta n t flu id. 0. 0.0699. 0.0555. 0.0 111. 0.0455. 2. 0 . 0 7 11. 0.0617. 0 . 0 14 4. 0.0481. 4. 0.0807. 0.0711. 0. 0 2 2 8. 0.0516. 6. 0.0687. 0.0572. 0. 0 12 5. 0.0475. 8. 0. 0 7 74. 0.0608. 0. 0 2 4 9. 0.0511. 10. 0. 0 7 79. 0.0696. 0. 0 2 2 1. 0.0612. 12. 0 . 0 9 56. 0.0764. 0.0170. 0.0617. 173.

(11) 田代: S. mutansのフッ化物とり込みとフッ化物適応性. ure. 表5 連続培養S. mutansのnon-washed cells, washed cells, crude cell wallsおよびsupernatant fluidの凍結 乾燥試料中フッ化物濃度 各 凍 結 乾 燥 試 料 中 の フ ツ 化 物 濃 度. フ ツ化 物 添 加 開 始 後 の 日数 0. n o n -w a s h e d ce lls. w a s h e d c e lls. 4.1 ± 0.64 ♯. 4.2 ± 0.44 ♯. (p p m ). c r u d e c e ll w a lls 4.5 ± 1.58 ♯. s u p e r n a ta n t flu id 4 . 0 ± 4. 4 3 ♯. 2. 1513.7 ±43.56. 38. 1±. 1. 8 8. 134.5 ± 7.90. 19 . 7 ± 1. 2 4. 4. 1507.2 ±39.22. 31.2 ± 1.50. 110.6 ±13.31. 14 . 1 ± 2 . 8 0. 6. 1462.0 ±13.68. 33.4 ± 0.17. 119.5 ± 6.13. 15 . 3 ± 7 . 8 5. 8. 1 5 4 2 .2 ± 1 6. 8 0. 62.2 ± 1.04. 101.6 ± 3.68. 12.4 ±0.33. 10. 13 2 0. 2 ± 1 0. l l. 44.0 ± 1.09. 53.3 ± 6.22. 14.4 ±2.8 1. 12. 1 1 96 . 3 ± 50 . 0 9. 24.0 ± 0.83. 39.3 ±10.20. 10.4 ±3.38. ♯Mean±S.Eっ n-3. 表6 通産培養S. mutansのnon-washed cells, washed cells, crude cell wallsおよびsupernatant fluidの凍結 乾燥試料中タンパク宴濃度 各 凍 結 乾 燥 試 料 中 の タ ンパ ク 賛 濃 度. フ ツ化 物 添 加 開 始 後 の 日数. n o n - w a s h e d c e lls. w a s h e d c e lls. (m g ′g ). c r u d e c e ll w a lls. s u p e r n a ta n t flu id. 0. 37.6 ±4.95♯. 27.2 ±3.74♯. 2. 34.0 ±2.61. 33.6 ±3.95. 43.4 ±7.74. 105.0 ± 7.16. 4. 22. 2 ±1.71. 24.8 ±2.46. 57.0 ±1.37. 104.5 ±27.54. 6. 3 5. 9 ± 1. 6 6. 33.3 ±3.31. 42.1 ±5.58. 121.8 ± 7.48. 8. 3 4 . 0 ± 3. 6 5. 3 2. 9 ± 1 . 1 5. 3 7 . 6 ± 5. 5 8. 114.9 ± 7.72. 10. 4 2 . 2 ±6 . 3 5. 4 9. 7 ± 3 . 9 8. 5 4. 2 ± 1. 7 9. 108.1 ±16.09. 12. 36.6 ±2.3 1. 3 6. 1 ±4 . 96. 8 5. 5 ± 3. 2 3. 103.6 ±22.97. 1 2 ±^ 33♯. 8 1 . 0 ± 12 . 8 9 ♯. ♯Mean±S.Eっ n-3. 表7 達麓培養S. mutansの培養夜100mlから採取したnon-washed cells, washed cells, crude cell wallsおよび supernatant fluidの凍結乾燥試料中フッ化物量 各 凍 結 乾 燥 試 料 中 の フ ツ化 物 濃 度. フ ツ化 物 添 加 開 始 後 の 日数. n o n - w a s h e d c e lls. w a s h e d c e lls. (p p m ). c r u d e c e ll w a lls. s u p e r n a ta n t flu id. 2. 1 0 7. 6 2. 2.35. 1.94. 0.95. 4. 1 2 1. 6 3. 2.21. 2.52. 0.72. 6. 1 00 . 4 4. 工 91. 1.49. 0.79. 8. 1 19 . 3 7. 3. 7 8. 2. 53. 0.63. 10. 10 2 . 8 4. 3. 06. 1. 18. 0.88. 12. 1 14 . 3 7. 1 00 1. 00. 0. 6 7. 0. 6 4. 5日目のS. mutans菌体の電子菌数鏡像で三層構造を. フッ化物添加前後のS. mutans菌体の形態計測値を. もつ細胞壁(CW)と比較的低電子密度の綿胞膜(C M)が. 表8に示した.フッ化物添加前と添加後5日目, 10日目. 観察された。図 e, fはフッ化物添加開始後10日目の. における菌体の大きさの平均値は長軸で0.75-. S. mutans菌体の電子顕放鏡像で細胞壁(CW)と細胞. 0.83〃m,短軸で0.58-0. 〃mであり,短軸に対する. 漢(CM)が観察されたo図8 fの菌体では,フッ化物添 加前の菌体と比べ編胸壁の一部が肥厚していたo. 長軸の割合1. 2-1. 3,周長に対する面積の割合4. 6-4. 8 とフッ化物添加の前後で計測値に顔著な変化がみられな. -174-.

(12) 歯科学報 Vol. 92, No. 1 (1992). 図8 フッ化物添加前および添加後の連続培養S. mutans菌体の電子顕微鏡像 図8 a, bはフッ化物無添加(フッ化物添加開始前)のS. mutans菌体の電子顕微鏡像で,電子密度の高い外 層と内層およびその間にある電子密度の低い中間層からなる細胞壁(cell wall : CW)がみられ,細胞壁内層に接 する比較的電子密度の低い細胞漢(cytoplasmic membrane : CM)が観察される。(bar : 0. 25 fjm, ×40, 000) 図8 c, dはフッ化物添加開始後5日目のS. mutans菌体の電子政教鏡像で,三層構造をなす細胞壁(CW)と 比較的低電子密度の細胞膜(CM)が観察される。(bar : 0.25 〃m,図8cX26,000,図8 d x36,000) 図8 e, fはフッ化物添加開始後10日目のS. mutans菌体の電子顕微鏡像で,編胞壁(CW),細胞膜(CM)が 観察される。図8 fの菌体では,フッ化物添加前の菌体と比較して細胞壁の一部が肥厚している。 (bar:0.25/an,図8ex40,000,図8fx46,000) かった。                        生物に作用させた場合,一時的な低下を示した解糖活性 が回復し,通常の生育状態となる寛象,すなわちフッ化物 考    察           に対する適応現象(fluoride adaptation)13 が認め フッ化物が細菌の発育を抑制し,解糖活性を阻害する   られる.本研究では,覇地原性菌Streptococcus mutans ことは1940年代からの多くの研究によって広く知られて  Ingbritt株について,フッ化物の菌体内へのとり込み いる7ト11)。しかしながら,フッ化物を長期聞達秩的に襖   と解糖活性の観点からフッ化物適応性に関する追究を試 -175-.

(13) 田代: S. mutansのフッ化物とり込みとフッ化物適応性. 176. 表8 フッ化物添加前後の達綻培養S.mutansの菌体計測値 試 料 採 取 時期. 計測菌数. 長. 軸. 短m ). 短. 軸. 面. (M m ). 積. Q /mO. 周. 長. (u m ). 長軸/ 短軸. 面積 / 周長. フ ツ化 物 添 加 開. 始. 前. 日. 142. 0 . 8 3 ± 0 . 2 6 ♯ 0 . 6 8 ± 0 . 1 5 ♯ 0. 5 7 ± 0. 2 5 ♯. 2. 2 5 ± 0. 5 7 ♯. 1.2. 4. 8. 117. 0.8 1±0.2 1. 0.65 ±0.13. 0 . 5 8 ± 0. 32. 2.31 ±0.52. 1. 3. 4.8. 139. 0.75 ±0.23. 0.58 ±0.14. 0.52 ±0.27. 2.18 ±0.57. 1. 3. 4.6. フ ツ化 物 添 加 開始後 5 日目 フ ツ化 物 添 加 開始 後 10 日 目. 'Mean±S. D. みた。. 果,測定値のばらつきが少なく,被検試料である菌体が. 1.菌体のフッ化物とLJ込み. 放量(5-100mg)であることから,本研究における菌. 口腔編菌とフッ化物との関係について,初期には. 体のフッ化物とり込み実験では,微室拡散法を適用して. Hardwick and Leach 32が,歯垢中のフッ化物分析結. 蔑拝培養および達麓培養にて培地にフッ化物を添加した. 果を報吾し,その後歯垢あるいは菌体のフッ化物の分解. 環境におけるS. mutansの反応を調べた。. 演(灰化,分解液,水蒸気蒸留)などが検討されてきた.一. 漢幹培養では, S. mutans菌体中のフッ化物漠度と. 般に,菌体あるいは歯垢の総フッ化物(total fluoride). 培地中添加フッ化物濃度の関係を検討したo洗浄前の菌. とは,試料をhot acidすなわち加熱強酸溶液で分解して. 体(non-washed cell)のフッ化物濃度は,培地中フッ化. 得られるフッ化物とされている33)また, Jenkinsand. 物濃度の10倍以上を示していたo ここで測定されたフッ. Edgar3 は歯垢や菌体中のフッ化物を分解法により(1). 化物は,菌体にとり込まれたフッ化物以外に,単に菌体. free fluoride ion, (2) ionizable fluoride, (3) strong-. に付着しただけのフッ化物や菌体間に存在する培養液と. ly bound fluorideとに分類している。さらに, Edgar. 沈澱した培地成分中のフッ化物を含んでおり,これは. ら35'は細胞外の液相に存在するフッ化物をfree. Jenkins and Edgar 34>のいうionizable fluorideなら. fluoride ion,室温で酸性溶液(pH 5. 0-5. 5)または希. びにfree fluoride ionにあたると考えられる。菌体か. 釈酸溶波(例えば0. 5M過塩素酸溶液)によって分離され. らのフッ化物流出はpHで大きく変わること17)42)から,. るフッ化物をionizable fluoride,加熱強酸溶液(例え. 本研究では培地組成を考慮した上で, S. mutans菌体. ば60℃, 18M硫酸暮夜)で分離するフッ化物をstrongly bound fluorideと定義しているo そこで,本研究で. の洗浄夜としてpH7.0の0.1Mリン酸カリウム緩衝溶液. は, S. mutans菌体のフッ化物とり込み動態と菌体中. で洗浄条件を決定した。洗浄後の菌体(washed cell). フッ化物の局在分布を究明するために最初にフッ化物分 析法を検討した。フッ化物分析のための分解法として. フッ化物濃度と培地中フッ化物濃度を比べると,培地中. を採用し,洗浄後の菌体のフッ化物濃度を確認すること. フッ化物濃度1, lOppmではwashed cellで高かった. は, 0.5M過塩素酸による直接分解法19)(cold acid. (それぞれ1.8倍, 1.2倍)が, lOOppmでは, 0.5倍と培. method),水蒸気蒸留法20)微量拡散法21)を採用し. 地中フッ化物濃度よりも低下していた。歯垢編菌を用い. た。直接分解法は,主として歯垢中フッ化物の分析36)に. たEdgarら35)の報吾では,培地中フッ化物漢度0-10. 用いられているが,これはionizable fluorideを分離. ppmで菌体のフッ化物濃度が培地フッ化物濃度よりも. すると考えられる.水義気蒸留法は,従来から最も広く. 高い値を示したが, 50ppm以上ではその傾向がみられ なかったとしている0 本実験に供試したS. mu.ta.ns. 用いられている方法で,水,食品およびその他生物試料 中などのtotal fluorideの分析に応用されている37)38)。. Ingbritt株の場合,培地中フッ化物漉度10-100ppm でフッ化物とり込みに変化が生じると考えられた。フッ. 数量拡散法は,広く有機物試料中のフッ化物分析に採用 されている方法39)-41)である。これらの方法でS. mutans菌体の同一凍結乾燥試料を分解し,フッ化物イ. 化物を結合する能力は菌株によって其なっており, S. mutansと歯垢菌体とを単純に比較できないが,こうし. オン電極法によるそれぞれの定量値を比較した。その結. た寛象は,フッ化物自体による代謝阻害のための代謝エ 176.

(14) 歯科学報 Vol.. I, No. 1 (1992). (MR. ネルギーに依存した菌体のフッ化物漉縮機能(concen-. Bowen4 は,電気的陰性である菌体表層にまずCa2Hが. trating ability)が低下したか,あるいはフッ化物の濃 縮が飽和の状態に達したためと説明されている34)。. 結合し, calciumのcountenonを介してフッ化物イオ. 連績培養実験では,フッ化物を継続してS. mutansに. Kashket and Rodriguez5は, cell wallに存在する. 作用させたときの菌体, crude cell walls, supernatant. フッ化物と特異的に結合するタンパク薯がフッ化物を吸. fluid(粗細胞壁以外の細胞成分)のフッ化物とり込みを. 着するのではないかと推察しているO さらに, Dawes. 検討した。培地フッ化物漢度は,蔑幹培養S. mutans. and Jenkins4"は,歯垢中の金属イオン(例えばCa2+,. におけるフッ化物とり込みが10-100ppmの間で変化す. Mg2+)がフッ化物と結合する可能性を示唆している。. ると考えられたこと,また予備実験の結果から200ppm. Carvalhoら48)は S. faeciumの自己融解誘導に関す. では菌体の発育を認めなかったこと,さらに連続培養. る実験から, Mg2+が細胞膜の維持に寄与していると報. S. mutans Ingbritt株を用いた山本27'の報吾で, pH 7.0, 37-C, dilution rate-0.lhi- の条件で, 0-100. 告しており,さらにフッ化物とマグネシウムの関連性を. ppmの範囲で生育が一定で,生菌数もほぼ同レベルで. 代謝などの敏生物の機能維持のための捕助酵素50)として. あったことを考慮してIOOppmに設定した。. 働くMg2十とともに取り込まれる可能性が考えられる。. ン(ならびにHPO4-)が結合するとしている。また,. 検討したLuomaら49)の報吾によれば,フッ化物が粧. フッ化物添加期間によってcrude cell wallsのフッ. 本実験の度幹培養においては, pHを中性域(pH 6. 5. 化物濃度は変化し,作用親問が比較的短い場合, crude. ・7.0)で一定にコントロールしたことからpH勾配の変. cell wallsのフッ化物濃度は菌体ならびにsupernatant. 化による影響は考えにくく,菌体とくにcrude cell. fluidと比べ相対的に高くなるが,培養期間が10日以上. wallsにおけるフッ化物との特異的な結合物宴の存在が. の菌体では, crude cellwallsにおけるこうした特異的. 示唆された。 Z S. mutansのフッ化物適応性. なフッ化物とり込みを認めなかった。しかしながら,. フッ化物はEmbden-Meyerhof経路をはじめとする. supernatant fluidにおけるフッ化物濃度は,フッ化物 添加の期間による変動が少なく,特巽的なとり込み現象. 解糖系の代謝経路の研究に用いられており,フッ化物が2-. も認められなかった。こうしたフッ化物とり込みに関し. phosphoglycerate (2-PGA)をphosphoenolpyruvate. て, S. mutansを用いたYotisら6)の報吾では,フッ化. (PEP)に変換するための酵素であるenolase(phospho-. 物(18F)とcellular membraneとの結合を確認してい. pyruvate hydratase)を阻害する作用があることはよく 知られている12)51)。. るが S. sanguisを用いたKashket and Rodriguez5 の報吾によれば, cytoplasmに存在するフッ化物の方が cell wallやribosomeのフッ化物と比較してフッ化物. フッ化物が離蝕原性菌の解疲活性に及ぼす影響を,. 濃度が高かったとしている。これらの報吾は,いずれも静. Bibby and van Kesteren'はstreptococciとIactobacilliを使って検討し,酸産生がフッ化物濃度1 -250. 置培養によるもので,フッ化物を菌体に対して達麓的に 長く作用させた本実験とは条件が異なるが,フッ化物添. ppmの範囲で抑制され,それ以上のフッ化物濃度では 酸産生が停止したとしている Okuda and Frostell52'. 加10日目前後でのcrude cell wallsにおけるフッ化物. は,フッ化物存在下のS. mutansの酸産生能をpH変. とり込みあるいは連綿の推移は,フッ化物に対するcell wallやcytoplasmic membraneにおけるperme-. 化との開運で検討し,低pHにおけるフッ化物の解糖活 性の抑制作用を報吾している。. ability4 の変化に依存する局在濃縮機構の存在を示 唆するものと考えられた。. Streptococc自こついてはHamilton and Ellwood , Marshら54), van der Hoeven and Franken 55)など. フッ化物とり込みのメカニズムについて, Hamilton. 数多くの報吾がある。 Hamilton and Ellwood 53)は,. and Bowden は,菌体周囲の環境のpHが薗体内の. S. mutans Ingbritt株の解糖活性が5 mM(95ppm)か. pHよりも低いとフッ化物がHFとして菌体内に入り, 菌体内でイオン化していくことでフッ化物がとり込まれ. ルの酸の産生を認めたとしている。また, lactobacilli. るとしている。 Vicarettiら45)は,こうしたpH勾配に. の酸産生に及ぼすフッ化物の影響についてはGreen. よるフッ化物とり込み寛象は明らかであるが.歯垢中細. and Dodd13), Hamiltonら56)などが報吾しているo こ. 菌がフッ化物を歯垢中で漉縮する現象をpH変化で説明. のようにフッ化物は,覇蝕原性菌の解糖活性の低下をも. することは疑問が残ると考察している Rollaand. たらすが,フッ化物を段階的に作用させながら継代培養. ら低下し始め,さらに15mM(285ppm)以上でも低レベ. 9tid一.

(15) 178. 田代: S. mutansのフッ化物とり込みとフッ化物適応性. した菌株,あるいは紫外線などで誘導した突然変其株. 応用と形態観察に関する報吾は少ない。. は,低濃度フッ化物添加培地での生育や低濃度フッ化物. Meurman60)61)は, S. mutansに10,OOOppmのフッ 化物を1hr作用させた後の超微形態はほとんど変化し. の存在下での糖聾代謝を阻害しないとしている14)15)57)。 一般に,これらの性質はそれぞれgrowth adaptation とmetabolic adaptationとに分戴され,さらにフッ化. なかったとしている。これに対して, Scheieら62)は. 物を添加していない培地で培養することでそのフッ化物. S. sobrinusを2. 5mM NaF(47. 5ppm)添加培地で8 hr培養後,観察したところ対照群と比べ連鎖が長くな. に対する抵抗性が消失する場合をphenotypeとして. り,菌体と菌体とのcontact areaが広く平坦になった. genotypeと区別されている15)18)。本実験において,. としている。これらの実験は,静置培養菌体にフッ化物. lOOppmフッ化物添加培地で10日以上達麓培養したS.. を作用させているが,本研究ではchemostatで絶えず. mutansは,フッ化物添加前のレベルまで解壮活性を回. S. mutans菌体にフッ化物を作用させ, S. mutansの. 復した.すなわち,このS. mutans Ingbritt株では,. フッ化物適応にともなう遺微形態の変化をとくに綿胸壁. metabolic adaptationを婆待したといえるo フッ化物. と編胞膜に着目して観察を行い,フッ化物を添加した速. に対する菌体の適応性を糖代謝から追究した報告とし. 乾培養S. mutans菌体の一部で,細胞壁の肥厚した電. て Kanapka and Hamilton )は, 2.4mM NaF(46. 子項数鏡像を認めたo この細胞壁の肥厚に関して,一般. ppm)添加培地で培養したS. salivariusにおいて, pH. に培養時間の短い,増殖期にある細菌の細胞壁は比較的. 7.2での glucose-6-phosphate, ATP, 2-phosph0-. 薄いが,古い培養のものあるいは要求アミノ硬の欠乏ま. glycerate, PEPなどの代謝産物が対照群とほとんど変. たは代謝括抗物により蛋白合成が制限された編菌では厚. わらなかったとしているo また, Wiggert and. くなるとされている63)-65)。このことから,細胞壁の. Werkman 59)は, NaF-grown Propionibacterium. 肥厚がフッ化物の作用であるとは考えにくく,連鎖や. pentosaceumとnormal cellを比較し NaF-grown. contact areaつこついてのScheieら62)の所見も確認され. cellでは中間代謝経路においてフッ化物に対し感受性が 低かったとしている。 Yotisら6)はfluoride resistance. なかったことから, S. mutansのフッ化物適応にとも なう形態変化は明確でないと考えられた。. はcytoplasmic membraneあるいは綿胞内癌粒にあ るフッ化物のreceptorの変化によるかも知れないとし. 総     論. ている。さらに,Volk43)とWilliams44)は,それぞれフッ. 本研究のEj的は,敵地原性菌Streptococcus mutans のフッ化物適応性を,解糖活性とフッ化物とり込みから. 化物添加培地で培養したPropionibacterium pentosaceum とS. facaelisのfluoride-resistance cellに おける細胞膜のpermeabilityの低下を確認しており,. 検索することにある。そこで本研究では,フッ化物添 加培地で丑拝培養および達麓培養したS.mutans. permeability barrierの変化からフッ化物への適応性. Ingbritt株についてacid productivityの測定と菌体の. を説明している。本実験における培地フッ化物漉度100. フッ化物分析を行うとともに,菌体および細胞壁と編胸. ppmで約10日間連績培養したS. mutans Ingbritt株 の解糖活性の回復と,菌体とくにcrude cell wallsに. 膜の超放形態を観察して以下の知見を待た。. おけるフッ化物とり込みあるいは濃縮の低下は,菌体の. ウム緩衝溶液(pH 7.0)で充分洗浄した菌体では,洗浄. permeability barrierの変化を示唆するものであり,. 前の菌体で測定されたフッ化物の88-95%の遊離が確認. 1.フッ化物添加漢拝培養S. mutansをリン酸カリ. これがフッ化物に対する適応性に楯与していると推察. されたo さらに,洗浄後の菌体のフッ化物濃度を培地中. された。しかしながら,このような適応性に関して,. フッ化物濃度と比較すると1ppmで1.8倍, lOppm. permeabilityの他に, glucose transport systemある. で1.2倍, lOOppmでは0.5倍となった。このことは,培. いはglycolytic pathwayの変化などを考慮した分析が 必要と思われるが,今回みられた適応現象が,どのメカ. 地中フッ化物濃度10-100ppmの問で,菌体のフッ化物. ニズムに依存性が高いかは充分な検討ができなかった。. とり込みまたは濃縮の作用が低下することを示唆してい る。. 3. S. mutansのフッ化物適応と形態変化. 2. S. mutans Ingbritt株を培地中フッ化物濃度100. GreenandDodd13'は,フッ化物に対してresistance. ppm,pH 7. 0, 37C,dilution rate-0. lhr"1の条件にて. を宜待したIactobacilliのcolonyや細胞形態に変化が. 連続培養すると,解糖活性としてのacid producibility は,フッ化物添加開始1日後でフッ化物添加前の32%の. みられたと報吾しているが, streptococciのフッ化物. -178-.

(16) 歯科学報 Vol.. I, No. 1 (1992). tions of fluoride ion with powdered enamel and dentin, J. Dent. Res., 34 : 59-67.. レベルまで低下するが, 5日後で53%, 7日目で86%と なり,さらに10日目以降では103-105%とフッ化物添加 前のレベルまで回復した。このことから, S. mutans Ingbritt株は,培地中フッ化物漉度IOOppmで連琉培 養すると,約10日間を要してフッ化物に対する適応性を. 4) Yotis, W. W. and Brennan, P. C.(1983):Binding of fluoride by oral bacteria., Caries Res., 17・444-454.. 5) Kashket, S. and Rodriguez, V. M.(1976):Fluoride accumulation by a strain of human oral. 婆得すると推察される0. streptococcus sanguis, Archs oral Biol., 21 : 459. 3.フッ化物添加連続培養S. mutans Ingbritt株を 培地中フッ化物漉度IOOppmで連続培養すると,フッ化 物添加開始後2日目から6日目までcrude cell wallsに おけるフッ化物濃度が新著に高くなり, supernatant fluidと比較して7-8倍,さらに洗浄した菌体のフッ 化物漠度の3-4倍を示したが, 8日目でこの漠度差は 減少し, 10日目以降はsupernatant fluidならびに washed cellsのフッ化物濃度レベルと近似した値と. -464.. 6) Yotis, W. W., Zeb, M., McNulty, J.,Kirchner, F., Reilly, C. and Glendenin, LQ983):Binding of 18F by cell membranes and cell walls of Strept0coccus mutans, Infect. Immun., 41 : 375-382. 7) Bibby, B. G. and van Kesteren, M.(1940):The effect of fluorine on mouth bacteria, J. Dent. Resっ19 : 391-402. 8) Borei, H.Q945) : Inhibition of cellular oxidation by fluoride, Ark. Kemi Minerol. Geolっ 20A : 1-215.. なった.このcrude cellwallsにおけるフッ化物連綿 現象は,細胞壁あるいは細胞膜におけるフッ化物の permeabilityに関与する局在漉縮機構の存在を示唆し ている0 4.フッ化物添加連続培養S. mutans Ingbritt株の 起微形態を,とくに菌体の細胞壁や細胞膜の構造に着目 してフッ化物添加前後で比較観察したが,フッ化物に対. 9) Jenkins, G. N., Ferguson, D. B. and Edgar, W. M.(1967) : Fluoride and the metabolism of salivary bacteria, Helv. Odont. Acta., ll : 2-10. 10) Hamilton, I. R.Q977) : Effects of fluoride on enzymatic regulation of bacterial carbohydrate metabolism, Caries Res, ll : 262-291. ll) Marsh, P. D and Bradshaw, D. J.Q990) : The. する適応の段階で菌体の細胞壁が肥厚する傾向がみられ. Effect of fluoride on the stability of oral bacterial communities in vitro, J. Dent. Res., 69 : 668. た。しかしながら,本実験ではこの現象を確証する知見 は待られなかった。 以上のことから,フッ化物がIOOppm程度の濃度で連 続的に作用している環境下におけるStreptococcus mutansの解糖活性の動態と,菌体とくに粗細胞壁の フッ化物とり込みあるいは連綿の推移は,本商のフッ化 物に対する適応性の特性を示唆していると考えられた。 稿を終わるにあたり,終始ご奪篤なる獅指導, a]校閲を賜り ました東京歯科大学衛生学講座主任高江洲義矩教授に深く感謝 いたします。また,実験を進めるに当たり施設および機器使用 にご酉己慮賜りました東京歯科大学数生物学講座主任高添一郎教 授ならびに奥Ef]克爾教授さらに形態学的検索を櫛指導いただき ました病理学講座主任下野正基教授ならびに橋本貞充講師に心 から感謝いたしますo さらに.櫛助言と蜘協力いただいた衛生 学講座養木吾信助教授ならびに教室貢各位に感謝いたしますo. m鑑. ・671.. 12) Carlsson, J.Q986) : Textbook of canology, 1st ed., 74-106, Munksgaard, Copenhagen. 13) Green, G. E. and Dodd M. C.(1957):Resistance of oral lactobacilli to sodium fluoride, J. Amer. dent. Assっ54 : 654-657. 14) Williams,R.A. D.(1964) : The effectof sodium fluoride upon Streptococcus faecalis of the dental plaque, Advan. Fluorine Res. Dental Caries Prevent., 3 : 267-280. 15) Hamilton, I. R.Q969) : Growth characteristics. of adapted and ultraviolet-induced mutants of Streptococcus salivalius resistant to sodium fluoride, Canad. J. Microbiol., 15 : 287-295. 16) Rosen, S., Frea, J. I. andHsu, S. M.Q978) : Effect of fluoride-resistant microorganisms on dental caries, J. Dent. Res., 57 : 180.. 17) Hamilton, I. and Bowden, G.Q988) : Fluoride. 文     献 1) Leach, S. A.(1959) : Reactions of fluoride with powdered enamel and dentine., Brit. Dent. J., 106 : 133-142. 2) Brudevold, F. (1962) : Chemistry and prevention of dental caries, 32-38, Thomas Publisher,. in dentistry, 1st ed., 77-103, Munksgaard, Copenhagen. 18) van Loveren, C.(1990) : The antimicrobial action of fluoride and its role in caries inhibition, J. Dent. Res., 69 : 676-681. 19) McCann, H. G.(1968) : Determination of fluoride in mineralized tissues using the fluoride. Illinois.. ion electrode, Archs oral Biol., 13 : 475-477.. 3) McCann,H.G. and Bullock, F. A.(1955):Reac179-.

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(19) 田代: S. mutansのフッ化物とり込みとフッ化物適応性. 182. acid digestion in a microdiffusion chamber. In order to evaluate adaptation to fluoride, glycolytic activity of S. mutans was measured by the titlation method using resting cell suspensions grown in a chemostat for 12 days. Ultrastructures of S.mutans were observed by transmission electron microscope, especially on the cell wall and the cell membrane with ruthenium red staining. Fluoride concentrations of the cells were determined to assess fluoride uptake and total fluoride. Total fluoride levels of the cells in the medium 1,10 and lOOppm F- were 26.9, 103.5 and 1232.3 ppm without washing, and the corresponding values were 6.6, 17.1 and 52.4ppm after 5 times cell washing with PPB. Consequently, fluoride in the cells without washing was released 75-96 % after 5 times cell washings. Then, the ratios of fluoride concentration of washed cellsto mediumwith 1,10and lOOppm F- in abatchwere 1.8, 1.2 and 0.5. These results indicate that the mode of action of fluoride uptake or concentration of the cell is deteriorated in the medium with 10 to 100 ppm FThe proportions of acid production activity to control were 32, 53, 86 and 103-106 % after 1, 5, 7 and 10-12 days of continuous culture with 100 ppm F". Recovery of glycolytic activity showed that the metabolic adaptation of S. mutans Ingbritt was acquired in the medium with lOOppm F after 10 days culture in a chemostat. Fluoride concentrations of crude cell walls ranging from 110.6 to 134.5 ppm F- were from 7 to 8 times higher than those of supernatant fluid in cultures of between 2 and 6 days. After 10 days incubation, however, fluoride levels in crude cell walls fell steeply to 39.3 ppm. Ultrastructural changes of 0. mutans Ingbritt in a chemostat between before and after fluoride addition showed no apparent findings except for the increase of thickness of cell walls. These findings indicated that fluoride adaptation in glycolytic activity of S. mutans Ingbritt might be reflected in the mechanism of fluoride uptake and concentration in localized parts of cell walls with regard to cell membrane permeability.. 182.

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