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IRUCAA@TDC : 歯科医学研究における実験動物としての魚類

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Academic year: 2021

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Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College, Available from http://ir.tdc.ac.jp/

Title

歯科医学研究における実験動物としての魚類

Author(s)

山本, 仁

Journal

歯科学報, 117(5): 377-379

URL

http://hdl.handle.net/10130/4390

Right

Description

(2)

―――― カラーアトラス ――――

歯科医学研究における実験動物としての魚類

やま

もと

ひとし 東京歯科大学組織・発生学講座

(3)

カ ラ ー ア ト ラ ス の 解 説

歯科医学研究における実験動物としてイヌ,ネ コ,ウサギ,ラット,マウスなどが多く用いられて いる。実験動物の選択には,“何を研究の目的とす るか”が重要であるが,同時に“実験動物としての 適切性”も大切な因子である。歯科医療がヒトを対 象としている以上,ヒトに近い種を研究に用いたい という考えがある一方で,社会上・倫理上の観点, 飼育設備,扱いやすさなど諸々の事案を勘案して, 実験動物を選択する必要がある。 実験動物として頻用されているマウスやラットと 比較して,魚類は①受精から器官形成までが短時間 で行われる,②胚が透明であり,発生過程にある体 内の各器官を観察できる,③世代交代が早い,④狭 い飼育スペースで多くの個体を飼育できる,などの 利点をもつ。さらに魚類の中でもゼブラフィッシュ, メダカ,ミドリフグはゲノムの塩基配列が解明され ていることから,遺伝学のモデル動物とされており, すでに医学研究領域ではゼブラフィッシュやメダカ をつかった疾患モデルが作製されている1) 。これに対 して歯科医学研究では,魚類の歯がエナメル質と由 来が異なるエナメロイドによって象牙質表面が覆わ れている(エナメル質とエナメロイドの両者をもつ 魚類もある)ことから,エナメル質との比較研究, あるいは進化学的研究としてエナメロイドの構造や 形成などが検索されてきた2) 。これらの研究を実施 していた研究者の大部分がエナメル質研究に携わる 研究者だったことから,エナメル質研究の減少とと もに魚類を用いた歯科医学研究はあまり行われなく なった。ところが近年,歯科医学研究分野において も発生学を基盤とした再生研究が注目されてきたこ とから,前述の“実験動物としての利点”をもつ魚 類を使った研究が見直されつつある。そこで本稿で は,遺伝学のモデル動物のうちメダカとミドリフグ の顎や歯の構造を紹介し,魚類の歯科医学研究にお ける実験動物としての可能性について述べる。 メダカは顎に生えている歯(顎歯)の他に,咽頭部 にも歯(咽頭歯)をもつ(図1A)。咽頭歯は上部(A-u)では長円錐形をした骨に,下部(A-l)では鰓(A -g)から続くほぼ三角形の形をした骨に配列してい る(A)。上下部とも先端がすこし凹んだ鈎のような 形態をした歯が前方から後方に向かっておよそ12~ 13列に,ほぼ平行に配列している(B,C)。組織切 片で観察すると,萌出している歯(D-*)の結合組 織側には,形成途中の歯胚が観察される(E-矢印, E-矢じり)。このように①一つの個体で様々な発育 段階の歯胚が観察されること,②歯の形態がすべて 同じで(同形歯性),単純な形態であること,は歯の 発生研究に有用であると考えられる。また歯の形成 は歯胚周囲の骨のリモデリングを伴うことから,咽 頭歯部の骨が骨代謝研究にも用いられている。さら に尾びれ(F)の骨を用いた血管損傷の無い骨折修復 モデル作製や側線鱗を用いた骨代謝研究も行われて おり3,4) ,メダカは骨疾患モデルとしても有用な実験 動物と考えられている。 一方,ミドリフグは上下とも左右の板状構造が正 中で合わさった特徴的な嘴状の構造をもち,この構 造は板状歯とよばれている(図2-B)。しかし歯や 顎の構造についての研究は少なく5) ,板状歯とよば れる構造の詳細についても不明である。そこで体長 30mm と14mm の幼魚の板状歯部分について観察し た。その結果,上下顎の板状歯の内部には,体長30 mm の 幼 魚 で7つ(A-1~7),14mm の 幼 魚 で4 つ(C-1~4)の歯胚が観察された。歯胚は舌側に も存在するが(A-①~④),体長14mm の幼魚では 形成初期の歯胚が2つ存在するのみである(C-*)。 以上のことから板状歯内の歯胚は成長に伴って数が 増えることが明らかになった。歯胚から板状歯と呼 ばれる構造がどのように形成されていくのかは未だ 不明であり,今後の研究が必要であるが,メダカと 同様に1つの個体で発育段階の異なる歯胚が観察さ れることは歯の発生研究に有効であると考えられ, 今後の詳細な研究が待たれている。 文 献 1)上村紀仁:メダカのパーキンソン病モデル.細胞工学, 34:1166-1171,2015. 2)笹川一郎:歯のバイオミネラリゼーション,生物に学ぶ 硬組織形成.歯学,95:61-65,2007. 3)工藤 明:メカニカルストレスによる骨リモデリング制 御.The Bone,30:135-140,2016. 4)茶谷昌弘:遺伝子改変メダカからみえる骨代謝.骨粗鬆 症治療,16:56-62,2017. 5)山本 仁:組織学・発生学研究の展開.歯科学報,115: 547-554,2015.

(4)

歯科医学研究における実験動物としての魚類

山 本

東京歯科大学組織・発生学講座 図1 メダカの咽頭歯(A-E)と尾びれ(F)の構造 A,F:実体顕微鏡写真(アリザリンレッド染色,透明標本) B,C:走査型電子顕微鏡像(CはBの□部の拡大像) D,E:光学顕微鏡像(H-E 染色,EはDの□部の拡大像) メダカには鰓(A-g)から続く下咽頭部の骨(A-l)とそれに対応する上咽頭 部の骨(A-u)が存在する。それぞれの咽頭部の骨には咽頭歯が存在するが, 咽頭歯は先端が鈎状をしており,上咽頭部では片側で前後的に12~13列配列し ている。それぞれの萌出している歯(D-*)の結合組織側には形成過程の異な る歯胚が観察される(E-矢印はaの後継歯胚, 矢じりはbの後継歯胚を示す)。 Bars:A,B:500µm,C,D:100µm,E:25µm,F:1mm 図2 ミドリフグの板状歯の構造 A,C,D:光学顕微鏡像(H-E 染色,DはCの□部の拡大像) B:走査電子顕微鏡像 ミドリフグは上下とも左右の板状構造が左右で合わさった構造(板状歯)をも つ(B)。体長30mm のミドリフグの板状歯の矢状断切片を観察すると,唇側に 7つ(A-1~7),舌側に4つ(A-①~④)の歯胚が観察される。体長14mm の ものでは唇側に4つの歯胚(C-1~4)が観察されるが,舌側ではまだ形成途 中の歯胚が2つ(C-*)のみである。 Bars:A:20µm,B:1mm,C,D:100 µm

参照

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