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IRUCAA@TDC : 東京歯科大学120周年によせて : これから東京歯科大学が目指すもの

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Academic year: 2021

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Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College, Available from http://ir.tdc.ac.jp/

Title

東京歯科大学120周年によせて : これから東京歯科大学

が目指すもの

Author(s)

野間, 弘康

Journal

歯科学報, 109(2): 117-118

URL

http://hdl.handle.net/10130/1865

Right

(2)

118年(1994)前,第一高等学校教授に就任するた め熊本を去るに当たって Lafcadio Hearn は,「極東 の将来」という講演を行っている。その中で彼は “産業革命をいち早く終えた西欧諸国は先を争って アジア,アフリカ,中南米諸国を植民地にしたが, その中で唯一日本だけがいち早く近代化を成し遂げ 独立を保つことが出来たのは,先を読み,命がけで 明治 evolution を成し遂げた優れたリーダー達に負 うところが大きい。しかし今後日本が西欧諸国との 競争の中で強者として生き残っていくためには,先 見性と贅沢に溺れないという日本の伝統的文化を遵 守し続ける必要がある”と述べ,見事に日本の現状 を予見している。そして彼は“政治家が法案を提出 したり政治的決断をする際には,自分の死後100年 後の国の姿を予見しなければならない”と述べてい る。 ところで,日本の歯科の黎明期である明治時代に おいては,歯科はまさに医療界の“new frontier” であった。高山先生も,その後を継いだ血脇先生も この new frontier の pioneer として活躍され,それ が日本の歯科教育の原動力になった。高山歯科医学 院設立当時にこれらの pioneer 達の描いた夢は,100 年以上経った今日では,学問および診療技術の上で はほぼ達成されたといえる。しかしながら近年の高 齢社会における口腔疾患の構造変化に対する対応の 遅れや歯科医師の需給バランスの崩壊など,1950年 代以降の日本歯科医師会のリーダー達の政治的失敗 によって,歯科医業としては困難な事態に直面して いる(ちなみにドイツにおいても,アメリカにおい ても,お隣の韓国においても歯科医療は最も尊敬さ れ,繁栄している職種の一つである)。 さて,これから日本の歯科の目指す方向は何であ ろうか? 今日では生命科学の急速な発展によって 医学と生物学の垣根が無くなり,さらに工学系や社 会系も含めた「知の統合」が始まろうとしている。 歯科医療も含めて“医療”は時代と共にそのメイン テーマは変遷して来た。一般医療においてはコレ ラ,赤痢,結核症などの伝染病(感染症)の治療から 悪性腫瘍や生活習慣病を基盤とする心・脳血管障害 の治療へと変化し,歯科においては dental caries の治療と歯牙欠損の補綴に加えて歯周病や口腔癌や 口腔機能に傷害を及ぼすあらゆる疾患の診断と治療 ならびに予防が重要なテーマとなってきた。 このような時にあって,日本の歯科医学教育の pioneer 以て任じる東京歯科大学のこれから目指す べきものは何であろうか? 口腔は上部消化器系に 属し,食物を摂取し,細かく咀嚼し,唾液と混ぜ合 わせることによって下部消化管の負担を軽減すると いう,生命維持にとって極めて重要な機能を果たし ている。したがって口腔機能の維持,管理そして再 建は歯科の第一の課題であることはいうまでもな い。咬合の再建に関しては,dental implant の発達 によって著しい改善が見られるようになったが,高 齢者や生活習慣病のために免疫力の低下した人に, 安全に implant 治療を行うための準備はまだ整って いるとは言い難い。また口腔内の慢性感染症(歯周 病など)をコントロールし口腔を清潔に保つことは 嚥下性肺炎(直接の死亡原因として最も多い)を予防 するうえで極めて重要である。また近年口腔機能の Quality of life への関与について PET,MEG(脳磁 計)や functional MRI などを用いて“咀嚼刺激は食 感や味覚と相まって中枢神経系を刺激し,賦活する” との報告や,“心筋梗塞の発現に歯周病関連菌が関 与している”との報告(奥田教授他)も見られる。

東京歯科大学創立120周年記念記事

「継承と発展」―名誉教授に聞く―

東京歯科大学120周年によせて

―これから東京歯科大学が目指すもの―

野 間 弘 康

117 ― 15 ―

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情報社会においては国民に“必要かつ価値があ る”と認められた職種が栄え,価値が低いと見なさ れた職種は衰退するにちがいない。残念ながら現状 では摂食,咀嚼,嚥下,構音などの口腔機能の維 持,管理,再建の重要性を,確かなエビデンスを以 て国民に理解してもらうにはほど遠い。今後はこの 方面に目を向けて,国民に“口腔機能の維持管理は 健康で充実した生活を送る上で極めて重要であり, 歯科医師はすばらしい研究,診療をしている”と認 識してもらい,国民を味方につけられるような工夫 と努力が必要であろう。 ところで明治37年,科学報上において“歯科”と いう名称を堅持する奥村と,口腔は全身の一部であ るから“口腔科”という名称の方が良いと主張する 佐藤との論争があった。当時は時代の要請から“歯 科”派が優勢を占めて歯科となったが,これからは 「口腔機能の維持,管理ならびに再建」を担当する 職種としては“口腔科”の方が国民にとってはより 理解しやすいと考える。 〈筆者略歴〉 1962年3月 東京歯科大学卒業 1981年9月 〃 教授就任 2004年5月 〃 退職 歯科学報 Vol.109,No.2(2009) 118 ― 16 ―

参照

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