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2011年度 卒業論文
ブラックホール旅行
~時間の遅れ~
明星大学理工学部物理学科
天文学研究室
08s1-029
橋田 亮平
2012年 2月15日
2
目次
要旨
目的
1章:序論
1.1 始めに
2章:特殊相対性理論
2.1 ニュートン力学による時間の概念
2.2 ガリレイ変換とガリレイの相対性原理
2.3 光速度不変の原理
2.4
ローレンツ変換
2.5 三平方の定理による時間の遅れの導出
2.6
時間の遅れ
2.7 ウラシマ効果
2.8 双子のパラドックス
3章:一般相対性理論
3.1 一般相対性理論からブラックホールの概要
3.2 シュヴァルツシルト半径の導出
3.3 ブラックホール近傍における時間の遅れ
4章 : 本題
5章 : 結果・考察
まとめ
参考文献
3
要旨
ここでは主に特殊相対性理論から導かれる時間の遅れについて論術する。 具体的に時間が遅れるというのは、例えばある速度で運動している人の時間は その速度より遅い速度、または静止している人の時間よりも時間の進みが遅れ るという。即ち、運動する物体は時間が遅れるのである。 そこで私は卒業論文の題目として「ブラックホール旅行~時間の遅れ~」を取 り上げた。地球から光速度に近い宇宙船で宇宙旅行をし、地球へ帰還する。 宇宙船内にいる人の時間と地球に残っている人の時間がどのくらいの時間の 遅れが生じるのかを検証することにした。 そして、宇宙旅行の時間の遅れを記述するうえで有名な「双子のパラドックス」 を時空図を利用し解決する。 また、一般相対性理論が予言するブラックホールがある。 ブラックホール近傍では強い重力場の影響で空間に歪みが生じ、その空間内 にいる宇宙船内の時間は地球にいる人の時間よりも遅れるという。 地球時間での10年間に対し、ブラックホール近傍を周り続ける宇宙船内の時間 の遅れはどのくらいになるのか、合わせて検証する。4
目的
まずは目標天体を2つ設定する。 1. ブラックホール天体ではないのだが仮にケンタウルス座に あるα星プロキシマ・ケンタウリ(4.2光年) 2. 白鳥座にある白鳥座x-1(6000光年)目的は2つ。 1. 地球から光速度に近い速さで移動する宇宙船で目標天体まで到達し、地球 へ帰還した時の地球時間と宇宙船内の時間がそれぞれ(2つの目標天体) どのくらいの遅れがあるのか。 2. 宇宙船が目標天体まで到達し、ブラックホール近傍を周る。その時に地球 時間10年に対して、ブラックホール近傍を周る宇宙船内の時間はどのくら い遅れるのか。 なお目標天体まで到達し、地球へ帰還した時の時間の遅れとブラックホール 近傍での時間の遅れは足し合わさず、それぞれの時間の遅れを測定することに する。 白鳥座x-1 図1 プロキシマ・ケンタウリ 図2 白鳥座 x-1
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1 序論
1.1 始めに
普段、私達の周りを自然の如く流れている時間。一昔前までは時間の進み方は 誰にとっても一様で不変なものであると考えられてきた。 またそれは言うまでもなく、私達は日常生活の中で実際そう感じている。 しかし1905年、世界でも最も有名な理論物理学者アルベルト・アインシュタイ ンは特殊相対性理論を発表し、絶対的な時間だと思われてきた時間の概念がく つがえされることになる。さらにその11年後には一般相対性理論を発表し、 現代物理学の新世界を切り開いた。 「特殊」というのは重力を含めない慣性系のみの状況下で成り立つ理論で あり、「一般」というのはあらゆる状況下の座標系(宇宙空間での重力を含め た)を記述できる幅広い意味をもっている。いわば、私達は一般相対性理論に 基づいて日々過ごしているといっても過言ではないだろう。 主に相対性理論とは時間と空間の物理学であり、時間・長さ・速さなどが計測 する人の立場によって変わってしまうことを明らかにした理論である。6
2 特殊相対性理論
2.1 ニュートン力学による時間の概念
1687年、ニュートンの「プリンキピア」において時間を次のように規定して いる。 絶対時間:時間は誰に対しても一様に流れ、観測者の位置や 運動状態にもよらない絶対的なものである。 いわば、私達が日頃生活していて一刻一刻と時間が過ぎてしまう考えである。2.2 ガリレイ変換とガリレイの相対性原理
ニュートン力学は2つの法則からなる。 慣性の法則:外力が加わらない限り、物体は静止しているか等速運動を する。 静止しているとか等速運動というのは、一体何に対して静止しているのか、あ るいは等速運動しているのかを記述しなければ意味がない。つまり、物体の位 置を示す座標としてどのような座標系をとったのかを示す必要がある。 この慣性の法則が成立している座標系を慣性系と定義すると、慣性系に対して 等速運動している座標系はすべて慣性の法則が成り立つのである。 運動の法則:物体の加速度は外力に比例する。 慣性系において物体が力の作用を受けると運動に変化が生ずる。そのことを述 べたのが運動の法則である。運動の法則を式に表すと次のような運動方程式に なる。m
𝑑 𝑥𝑑 𝑡= 𝑓
(1.1)
この座標系をx系とよぶ。この法則を同格である別の慣性系、x΄系で表しても 同じ方程式で記述される。 2 27
𝑚
𝑑 𝑥𝑑 𝑡= 𝑓
(1.2)
この2つの慣性系の式はガリレイ変換により下図のようになる。図3のガリレイ変換は、S系からx軸方向に速度vで運動している系S΄系で時間t とt΄が同格なのは座標系において時間の流れが不変的なものであると示してい る。物体の運動の法則はどのような座標系で記述しても同じでなければならな いとする考えをガリレイの相対性原理とよぶ。
o
O´ x x΄ y y΄ z z΄ v tt΄
= t
x΄
= x-vt
y΄
= y
z΄
= z
2 ´ S 系 S΄系(1.3)
2 図3 ガリレイ変換8
2.3 光速度不変の原理
光速度不変の原理というのは、どのような観測者から見ても光の 速度は一定値c(=299792458m/s)である。 光速度不変の原理が出てきたところでガリレイ変換にもう一度着目してみる。 ガリレイ変換では力学の法則でしか扱えないものであり、光を考えるとなると 矛盾してしまうのである。なぜなら、時間はすべての慣性系において共通であ る。光速度不変の原理を認めるということは時間の絶対性を放棄することにな り、
時間の進み方は慣性系により異なってくるのである。2.4 ローレンツ変換
それでは慣性座標の間を結ぶ正しい座標変換はどのようなものでなければなら ないのだろうか。次の3つの条件を基本原理としてガリレイ変換を拡張する。 (1) ガリレイの相対性原理 (2) 光速度不変の原理 (3) v/c‹‹1の極限でガリレイ変換に一致する ガリレイ変換では、x΄= x-vtであった。そこで光速度不変の原理が成り立つよ うに係数γを与える。x΄=γ(x-vt)
(1.4)
この逆変換の式はx =γ(x΄+ vt΄)
(1.5)
となる。 光速度は一定なので、時刻t = t΄= 0でx軸の正の方向に光を放出すると
x΄= c΄t΄
(1.6)
x = ct
(1.6)、(1.7)を(1.4)へ代入。
c΄t΄=γ(ct-vt) =γ(c-v)t
(1.8)
(1.7)
9 (1.6)、(1.7)を(1.5)へ代入。
ct =γ(c΄t΄+ vt΄) =γ(c΄+ v)t΄
(1.9)
(1.8)、(1.9)の式をかけ合わせると
cc΄tt΄= γ(c-v)(c΄+ v)tt΄
(2.0)
両辺のtt´を消去してcc΄= γ(c-v)(c΄+ v)
(2.1)
γ
=
΄ ( )( ΄ )(2.2)
光速度不変の原理からc΄= cなのでγ
=
( )( )=
( )(2.3)
(2.3)をローレンツ係数とよぶ。 そして(2.3)を(1.4)へ代入すると
x´=
( )(2.4)
時間についての座標変換はt´=
/ ( )(2.5)
となり(2.4)、(2.5)をローレンツ変換という。 ローレンツ変換は、ガリレイ変換の拡張であるがもっとも大きな違いはガリレ イ変換での時間の座標のとりかたとは無関係に流れる絶対的なものであったの に対し、ローレンツ変換での時間は空間座標と一体となって変換されることで ある。 2 2 2 2 2 2 210
2.5 三平方の定理による時間の遅れの導出
相対論では運動状態の違う観測者の時間や空間を比較するので、どちらから見 ても一定なものを使って議論しなければならない。それは光の速度である。 そこで光を使った時計を考える。 列車内の天井に鏡があり、光源から放たれた光が往復するのを列車内の 観測者A が見たとする。 鏡 図4 列車内の観測者 A から見た光の動き 光源 L t秒 光源から鏡までの長さをL とし、光源から放たれた光が鏡に届くまでの 時間をt 秒とすると往復するのに 2t 秒かかる。ここで、観測者 A の時間 を考えると2t = → t =
(2.6)
11 今度は、列車が等速運動速度v で走っている時の光の動きを地上の観測者 B が 見た場合は
図5 地上の観測者 B から見た光の動き 地上の観測者B から見ると、光は斜めに進んでいて天井で斜め下に反射され床 に戻ってくるように見える。 ここで地上の観測者B の時間を三平方の定理を利用し導く。 cT は、光速度 c×地上の観測者 B から見た時間 T vT は、列車の速度 v×地上の観測者 B から見た時間 T L は、光源から鏡までの長さ L 鏡
L
vT
cT
鏡 鏡 光源 光源 光源 vで等速運動 鏡 鏡 鏡 光源 光源 光源 図6 三平方の定理12 (2.6)、(2.7)より時間の遅れを求めると
𝑇
t
=
𝐿
𝑐
×
(c − 𝑣)
𝐿
= 1 − (
𝑣
𝑐
)
t = T × 1 − ( )
(2.8)
となる。 つまり動いているものの時間は、静止しているものの時間× 1 − ( ) だけ 遅れるのである。2.6 時間の遅れ
(
2.8)から、静止している人の刻み幅をΔt、光速を c、運動体の速度を v にする と運動体の時間の刻み幅Δt´はΔ
t´= 1 − ( )Δt
(2.9)
となる。 直角三角形の三平方の定理から( cT ) = L + ( vT )
( c-v ) T = L
T =
T
=
√
2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2
(2.7)
213 例えば、光速度の90%の速度で飛ぶ宇宙船があったとする。 静止している人が1 年経過している間に、宇宙船内の時間は(2.9)よりΔt´= 0.436Δt となる。宇宙船内の時間は静止系の 0.436 倍である。つまり、宇宙船 内の時間はまだ0.436 年≒164 日しか経過していないことになる。
v/c
1 − ( )
0.1
0.995
0.2
0.979
0.3
0.954
0.4
0.916
0.5
0.866
0.6
0.8
0.7
0.714
0.8
0.6
0.9
0.436
0.99
0.141
0.999999
0.0014
図 7 時間の遅れの比率
2.7 ウラシマ効果
光に近い速度で運動している物体は、周りよりゆっくり時間が進むという特殊 相対性理論から派生したものである。 「ウラシマ」というのは日本のお伽噺である「浦島太郎」において、 主人公の浦島太郎が竜宮城に行って過ごした数日間に、地上では何百年という 時間が過ぎていたという話にそっくりであるためウラシマ効果と名付けられた。2.8 双子のパラドックス
特殊相対性理論による時間の遅れにまつわるパラドックスとして、相対論で最 も有名な双子のパラドックスを取り上げる。双子のパラドックスのストーリー は次のようになる。 214 双子の兄弟がいて弟は地球に残り、兄は光速に近い速度で飛ぶことができる宇 宙船に乗り、遠くの星まで旅行したのち地球へ戻ってくる。このとき、弟から 見れば兄の方が運動しているため、特殊相対性理論が示すように兄の時間が遅 れるはずである。即ち、宇宙船が地球に戻ってきたとき、兄の方が弟よりも歳 を取らないのである。(ウラシマ効果) 一方、運動が相対的であると考えるならば、弟の時間が遅れるはずである。即 ち、兄の乗った宇宙船が地球に戻ってきたときは、弟の方が兄よりも若くなっ ている。では一体どちらが歳を取るのだろうか?この矛盾が双子のパラドック スである。このパラドックスは、双子の兄弟の運動が対称ではないことから解 決される。弟は地球に残っている(慣性系)のに対し、宇宙船に乗った兄は、 ある遠い星まで到達し地球へ戻る時のU ターンにより減速・加速されるため、 一時的に加速度系にいることになり、ずっと慣性系にいる弟とは条件が異なる のである。双子のパラドックスの解法として下図の時空図を用いることにする。 例として、兄は光速の90%の宇宙船で 10 光年彼方にある星へ旅行し地球へ帰っ てくると、往復で20 光年なので弟の時計では 22.2 年かかる。これに対して 兄の時計では(2.9)より 9.7 年しかかからない。 兄弟の年齢差は12.5 歳、弟の方が歳を取ることになる。 空間(地上) 時間(地上) 10 光年 22.2 年 宇宙船基準で4.85 年 宇宙船基準で4.85 年 兄がU ターンすることにより慣性系が変わる 図8 時空図での双子のパラドックスの解法 2.1 年 20.1 年 地 球 基 準 で 一 気 に 時 間 が 経 過
15 宇宙船に乗った兄が星に着いた時にU ターンすることによって加速度運動を する。ここで時間の遅れが発生するのである。加速度運動をした兄の時間は一 瞬な出来事に対し、弟の時間は一気に18 年時間が経過したことになる。 その結果、弟の方が兄に比べて12.5 歳、歳を取ったことになる。 そこで先ほどは光速度の90%の速さに対して記述したのだが 光速度に対する相対速度v を変えるとどうなるのかを下図に示す。
光速度に対して遅い速度では、たいして年齢差は生じないのだが光速度に近づ くにつれ、兄弟の年齢差が大きくなることがわかる。0.99c では弟は兄よりも 17.4 歳、歳を取っている。 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 0.99 時間(年)
v/c
図9 相対速度 v を変えたときの兄弟の年齢差16
3 一般相対性理論
3.1 一般相対性理論からブラックホールの概要
特殊相対性理論から11 年後に再びアインシュタインが発表した理論である。 特殊相対性理論では慣性系のみの座標変換でしか扱えないのだが一般相対性理 論では宇宙空間、場の理論といった主に重力を含んだ座標系を記述でき幅広い 意味をもっている。そして一般相対性理論が予言するブラックホールがある。 ブラックホールというのは太陽質量の20~30 倍の恒星が超新星爆発を起こし、 自己重力に支えきれず重力崩壊してしまった天体である。そのためブラックホ ール周辺では強い重力場が作られ、ある半径より光でさえも飲み込んでしまう 領域がある。このある半径をシュヴァルツシルト半径または重力半径とよぶ。3.2 シュヴァルツシルト半径の導出
ニュートン力学からシュヴァルツシルト半径を導く。1
2
mv
2 質量m、速度 v の物体の運動エネルギーmφ =-
重力ポテンシャルφ、質量m でのポテンシャルエネルギー エネルギー保存の法則1
2
mv −
mGM
r
= 0
v=
2(3.0)
(3.1)
(3.2)
17
v =
r =
2(3.3)
脱出速度が光速度c になるときの半径 r を求めれば重力半径の式が得られる。r =
2r
g=
2 シュヴァルツシルト半径は質量M に比例するので、ある天体の質量を 与えてやればシュヴァルツシルト半径を求めることができる。例えば 太陽質量(=2.0×10 kg)だと rg がおよそ3 になる。ようするに太陽の 半径が3km までに縮まるとブラックホールになってしまう。地球質量では およそ1 円玉の大きさになるとブラックホールになる。目的としたプロキ シマ・ケンタウリ(=2.4×10 kg)では 356m、白鳥座 x-1 では太陽質量の 約10 倍とされているので 30km ほどとなる。 30 29(3.4)
18
3.3 ブラックホール近傍における時間の遅れ
一般相対性理論ではブラックホール周辺の強い重力場により時空が歪められ、 その付近にいる人の時間の経過は地球時間に比べて遅れるという。 宇宙船でブラックホール近傍を周るのだがここで1つ条件がある。 最終安定円軌道があり、円運動する場合はシュヴァルツシルト半径の3倍以上の 距離を保たなければ強い重力の影響でブラックホールに吸い込まれてしまうの である。
r
gを
シュヴァルツシルト半径、Rをブラックホール中心からの距離、Δtを 地球時間とすると宇宙船内の時間Δt΄は(2.9)を用いてΔt΄=
1 −
rg RΔt
(3.5)
となる。R(r
gの倍数)
図10 ブラックホールを10年間周ったときの宇宙船内の時間の遅れ 地球時間10年に対し、最終安定円軌道シュヴァルツシルト半径の3倍の距離を周 り続けると宇宙船内の時間の遅れは8.16年になる。ブラックホール中心に近づ くほど時間の遅れは急激に生じている。逆にブラックホールから遠ざかるほど 時間の遅れはほとんどなく無視してもよいことになる。
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 時間(年)
19
4 本題
目的で示したように地球から光速度に近い宇宙船で2つの目標天体まで 宇宙旅行をする。 1つ目は、仮にブラックホール天体として4.2光年離れているプロシキマ・ ケンタウリ。 2つ目は、ブラックホール最有力候補として6000光年離れている白鳥座 x-1。 特殊相対性理論からウラシマ効果により、宇宙旅行した宇宙船内(兄)の時間 と地球時間(弟)では時間に差が生じるので、その兄弟の年齢差はどれぐらい になるのだろうか。また、先ほどのブラックホール近傍での宇宙船内の時間と 地球時間の遅れは全体の宇宙旅行の時間の遅れに含まないことにする。20
白鳥座x-1ではかなり遠方になる。たとえ兄が乗った宇宙船0.99cでも854年経 過しているので生きてはいないだろう。しかし限りなく光速度に近い0.999999c だとわずか8.4年で兄は帰還できるのである。 0 1 2 3 4 5 6 7 8 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 0.99 0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 0.99 図11 プロキシマ・ケンタウリを旅行した時の兄弟の年齢差 時間(年)
v/c
図12 白鳥座x-1を旅行した時の兄弟の年齢差 時間(年)v/c
21
5 結果・考察
2つのグラフを見比べると、光速度よりはるかに遅い速度では兄弟の年齢差 はほとんど変わらない。しかし光速に近づくにつれ、兄弟の年齢差が大きく なることがわかった。 光の90%の速度の宇宙船で4.2光年離れているプロキシマ・ケンタウリを旅行し たら地球にいる弟の年齢は兄よりも5.25年歳を取っていて、白鳥座x-1では 3760年歳を取っている。3760年では兄も弟も生きてはいないがもし兄が生きて いるとするなら3760年後の地球を見ることになる。 また、地球時間での10年間に対しブラックホール近傍を周り続ける宇宙船内の 時間は、8.16年の遅れが生じる。6 まとめ
一昔前までは時間の進み方は誰にとっても一様で不変なものと考えられてきた がアインシュタインの特殊相対性理論によって一人一人の時間の進み方は異な っているのである。それはこの世で最も速い光に対して変動する。 我々は光の速度に対して圧倒的に遅いスピードで日々過ごしている。そのため 地球上にいる時間の遅れというのはほとんど無視できるのだが全く無視できる わけではない。ほんのごくわずかであるのだが今この瞬間でも、時間の遅れが 発生しているのである。 動いている時計は時間の進みが遅くなる。それが相対性理論である。22