• 検索結果がありません。

日中の文化的生活の比較

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "日中の文化的生活の比較"

Copied!
19
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

文教 大学 言語 と文化 特集号

日中の文化的生活の比較

淑 蘭

1.始 め に 中 国 で は近 年 、 日本 語 に対 す る関 心 が高 ま る と共 に、 日本 事 情 、 日本 文 化 に対 す る学 習 者 の 関 心 も高 ま りつ つ あ る 。 学 習 者 の関 心 の 内 容 は レベ ル に よ っ て様 々 で あ る が 、 私 の所 属 して い る北 京 連 合 大 学 外 国 語 師 範 学 院 日 本 語 学 部3年 生 延 べ300人 ぐ らい を対 象 に して 、5年 間 にわ た りア ン ケ ー ト調 査 した 結 果 、半 分以上 の学 生 は現代 日本人 のライフス タイル、余暇 ラ イ フ な ど、 具 体 的 で 主 に 目 に見 え る部 分 の 文 化 に極 め て興 味 を持 っ て い る こ とが 分 か っ た。 又 、 中 国 の 私 の 学 生 た ち か ら、 「日本 人 の よ く言 う文 化 的 生 活 とか 、 人 間 ら しい 生 活 と言 う の は 、 一 体 どん な こ とを指 して い る の か 、 日本 人 は物 質 の 面 に お い て も、 精 神 的 な 面 に お い て も、 本 当 に豊 か に な っ て き た の か 」 な ど との 質 問 を 受 け 、 文 献 、 資 料 で 得 た 知 識 を持 っ て 、 そ れ らの 質 問 に答 えて い た が 、 私 自身 、 釈 然 と しな か った 。 今 度 、 文 教 大 学 言 語 文 化 研 究 所 の お 陰 で 、 半 年 ほ ど勉 強 さ せ て い た だ き、 現 在 の 日本 で、 日本 人 の生 活 を こ の 目 で つ ぶ さ に観 察 す る こ とが で き た 。 本 稿 で は、 日本 人 の 余 暇 ラ イ フ の変 遷 を通 し て、 標 題 の 「日本 人 の文 化 的 生 活 」 を見 よ う と思 う。 これ は、 日本 及 び 日本 人 を 理 解 す る上 に、 大 切 な こ とだ と思 わ れ るか らで あ る。 2.文 化 とは 何 か 戦 後 の 日本 で は 、文 化 国 家 と言 う言 葉 が よ く用 い られ 、 憲 法 に も 厂健 康 で 文 化 的 な … 」 と言 う言 葉 が 用 い られ た の で 、 文 化 と言 う言 葉 が 何 を意 味

(2)

日中の文化 的生活 の比較 す るか に つ い て は、 日本 人 が か な りの 関 心 を持 つ よ う に な っ て きた の で あ る。 「文 化 」 を広 辞 苑 の 定 義 で 見 る と ア.世 の 中 が 進 歩 し、 文 明 に な る こ と、 開 け る こ と、 文 明 開 化 。 イ.文 徳 で 民 を 教 え導 く こ と。 ウ.人 間 が 学 習 に よ っ て 、社 会 か ら習 得 した 生 活 の 仕 方 の 総 称 、 衣 食 住 を初 め、 技術 学 問 、芸 術 、 宗 教 な ど物 心 両 面 にわ た る生 活 形 成 の様 式 と内 容 を含 む 。 又 、 「中 間領 域 で 、 文 化 を と ら え、 生 活 に根 ざ した 自主 的 、 自力 的 な 創 造 活 動 」 で あ る ※一 般 に、 文 化 と言 う と、 教 養 を身 に付 け、 知 識 を備 え、 上 品 な行 動 の で き る素 養 の基 盤 の よ うな もの を指 して い る と思 う。 具 体 的 に言 う と、 人 間 ら しい 生 活 をす るた め の 学 習 、 ス ポ ー ツ 、 芸 術 、 趣 味 、 ボ ラ ン テ ィア の 総 称 を文 化 と と ら えて もい い だ ろ う。 「文 化 的 」 を三 省 堂 国 語 辞 典 の 定 義 で 見 る と 、 ア.文 化 に 関係 あ る よ うす 。 イ.文 化 に か な う よ うす 。 一 口 に 「文 化 」 、 或 い は 「文 化 的 」 とい っ て も、 そ の 範 囲 は広 く、 漠 然 と した も のだ と思 う。 歴 史 的 に見 る と、 周 知 の よ う に、 日本 文 化 を形 成 して い る非 常 に多 くの もの は、 中 国起 源 で あ り、 中 国 と共 通 の 文 化 が 多 い の で あ る。 か つ て 、 中 国 は 「礼 儀 の邦 」 と して世 界 に知 られ て い た の だ が 、 日本 文 化 も儒 教 に影 響 され 、 今 も儒 教 を源 とす る東 洋 文 化 圏 の 一 員 で あ る と言 え るだ ろ う。 日本 は一 九 世 紀 の 徳 川 幕 府 末 期 ま で 、 中 国 を 師 と し、 中 国 か ら仏 教 、 孔 子 、 孟 子 、 荘 子 、 陽 明 学 な ど の思 想 を吸 収 し、 農 耕 、 紡 績 、 製 陶 な どの 各 方 面 の 生 産 技 術 か ら文 学 、 芸 術 、 書 道 、 絵 画 、 医薬 、 ス ポ ー ツ、 更 に唐 以 後 の律 令 制 度 、 政 治 経 済 体 制 な どを 学 んだ 。 日本 人 は、 とて も、 勤 勉 で 、

(3)

文教大学 言語 と文化 特集号 賢 くて、 他 人 の長 所 を学 ぶ こ と に長 じて い る。 文 字 とい う も の を取 って み て も、 平 仮 名 、 漢 字 、 片 仮 名 、 更 に ロ ー マ 字 を組 み合 わ せ な が ら、 さ ま ざ ま に異 な る微 妙 な感 覚 を伝 え て い るの で あ る。 この こ とで は、 日本 人 が 結 婚 式 は キ リス ト教 会 で や っ て 、 葬 式 は仏 式 で こ の、 初 詣 は神 社 で とい う宗 教 シ ン ク レテ ィズ ム は文 化 のパ タ ー ン と して 、 ど こか似 て い る の か も知 れ な い 。 日本 人 は漢 字 を利 用 して 、 自分 の文 化 を つ く り、 日本 独 特 な文 化 を 形 成 し た。 そ の意 味 で 、 日本 民 族 は非 常 に特 色 の あ る民 族 だ と言 え る。 現 代 の 日本 社 会 は、 地 球 上 に お い て 、 最 高度 の文 明生 活 を享 受 す る こ と の で き る社 会 の一 つ で あ る。 特 に そ の 科 学 技 術 に関 して は、 ヨ ー ロ ッパ や ア メ リカ の先 進 国 と比 べ て も、 少 し も み お と りし な い。 分 野 に よっ て は、 そ れ を上 回 る ほ どの 発 達 を遂 げ て い る とい っ て もい い だ ろ う。 エ レ ク トロニ ク ス や バ イオ テ ク ノ ロ ジ ー 、或 い は原 子 力 とい う よ う な最 先 端 科 学 技 術 に お い て 進 ん で い る だ けで な く、 そ の 成 果 が た ち まち に し て 、 大 衆 社 会 に浸 透 し、 活 用 さ れ る とい う意 味 で の高 度 技 術 社 会 で あ る。 例 え ぼ、 大 衆 の 日常 生 活 に対 す る コ ン ピ ュ ー タ の浸 透 ぶ りは、 お そ ら く 日 本 が 世 界 一 で は な い だ ろ うか 。 自動 車 、 鉄 道 な どの交 通 機 関 、 電 話 、 テ レ ビ、 ビ デ オ な どの情 報 機 器 の発 達 は 質 量 と も に ヨ ー ロ ッパ の どの 国 を も上 回 って い るの で は な い だ ろ う か。 だ か ら、 経 済 的 に成 長 した 「豊 か な 社 会 」 の 到 来 と政 治 的 安 定 と は、 日 本 人 の 問 に 「文 化 と、 ア イ デ ン テ ィテ ィ ー 」 へ の強 い 要 求 を生 み 出 し て き た の だ と思 う。 3.文 化 の 時 代 日本 で は、 「文 化 」 が 現 代 に お い て 、 な ぜ 要 請 さ れ て い る の か 、 とい え ば 、 これ まで の 時 代 要 請 で あ っ た 「近 代 化 」 な い し、 「工 業 化 」 が そ の 目 標 を一 応 達 成 し た か らだ とさ れ る だ ろ う。

(4)

日中の文化的生活の比較 故 大 平 総 理 は、1979年4月 の 「文 化 の 時代 研 究 グル ー プ 」 の 第 一 回会 合 の席 上 で 、 日本 は 「戦 後30余 年 、経 済 的 豊 か さ を求 め て 、脇 目 もふ らず 邁 進 し、顕 著 な成 果 を収 め て きた。 そ れ は特 に、 明 治 以 後30余 年 に お い て 、 欧 米 諸 国 を手 本 と して 進 め て きた近 代 化 工 業 化 の偉 大 な精 華 で あ る」 とす る と同 時 に 「か つ て な い 自 由 と豊 か さ は人 々 の 心 に これ まで の 工 業 文 明 や 近 代 合 理 主 義 の も とで 、 と もす れ ば見 失 わ れ が ちで あ った 人 間 性 の い くつ か の 大 切 な側 面 へ の 反 省 を促 して い る」 とい い 、 国 民 が 「家 族 や 、 地 域 や 、 職 場 にお け る 暖 か い人 間 関係 の 回復 を求 め て い る こ とは、 近 代 合 理 主 義 に基 づ く物 質 文 明 が 飽 和 点 に達 し、 近 代 化 の 時 代 か ら近 代 を超 え る時 代 に経 済 中 心 の時 代 か ら文 化 重 視 の 時 代 に 至 った 」 こ との 表 れ だ と述 べ て い た。 4.日 本 人 は 「文 化 」、 「文化 的 生 活 」 を ど う理 解 して い るの か 。 1987年7月 、 東 京 都 情 報 連 絡 室 の 文 化 に関 す る世 論 調 査 に よ る と、 「文 化 」 とい う言 葉 を聞 い て、 浮 か べ る もの を 自 由 に答 えて も らっ た とこ ろ、 第 一 位 「芸 術 、趣 味 」24%、 つ づ い て 「生 活 豊 か さ、 繁 栄 」19%、 第 三 位 が 「伝 統 、 歴 史 、 風 俗 」12%、 で あ っ た 。 これ を前 回 の 調 査 、1981年 と比 較 して 見 る と、 「生 活 の 向 上 、 豊 か さ、 繁 栄 」 が 、56年 の 調 査 の12%か ら 19%へ 、 厂文 化 人 、 文 化 の 日」 が 、4%か ら8%へ 、 そ れ ぞ れ 増 加 し、 「精 神 的 な価 値 」 が 、 前 回調 査 の 、11%か ら4%へ 減 少 して い る のが 目立 っ て い る。 具 体 的 に 、第 一 位 、 第 二 位 、 第 三 位 の 示 す 内容 は、 次 の通 りで あ る。 第 一 位:芸 術 、 趣 味 。 芸術;書 物;読 書;音 楽;絵 画;美 術;文 学;小 説;映 画;趣 味;ス ポ ー ツ。 第 二 位:生 活 の 向上 、豊 か さ、 繁 栄 。

(5)

文教大学 言語 と文化 特 集号 生 活 の 向 上:よ りよ い生 活 に向 け て の 進 歩 、 努 力 。 生 活 の 豊 か さ:豊 か な暮 ら し、 便 利 さ、 進 歩 、 発 展 、 物 質 的 な 豊 か さ。 繁 栄:国 が 豊 か に な る こ と、 経 済 的、 精 神 的 に安 定 し、 ゆ と りの あ る こ と。 第 三 位:伝 統 、 歴 史 、 風 俗 。 歴 史:世 の 中 の移 り恋 わ り、 歴 史 の流 れ 。 伝 統 、 風 俗 、 習 慣 、 し き た り、 生 活 様 式 。 以 上 か ら見 て 、 簡 単 に 「文 化 的 生 活 」 とは何 か 、 と言 う と、 生 活 の文 化 度 と言 え る の で は な い だ ろ うか 。 又 、 同 じ1987年 、7月 の 世 論 調 査 に よ る と、 自分 の 生 活 が 、 厂文 化 的 で あ る」 と答 え た 人 は15%、 「や や 文 化 的 」48 %、 合 わ せ て62%が 自分 の生 活 は 「文 化 的 」 と考 え て い る。 厂あ ま り文 化 的 で な い」 は31%、 「文 化 的 で な い」 は6%、 合 わ せ て37%の 人 は 自分 の 生 活 を 「文 化 的 で な い 」 と考 えて い る。 性 、 年 齢 別 に見 る と、 「文 化 的 で あ る」 と 思 う 人 は、 男 性 で は30代 、65%、40代 、64%、 多 く、50代 、52 %、20代 、53%で 少 な い 。 女 性 で は20代 、71%で 最 も多 く、 年 齢 が 高 くな る に 従 っ て、 「文 化 的 で あ る」 と思 う比 率 が 少 な くな っ て い る。 既 婚 、 未 婚 別 で み る と、 生 活 が 「文 化 的 で あ る」 と答 え た人 は、 未 婚 女 性 が 、75%と 最 も高 く、 逆 に最 も低 い の は、 未 婚 男 性50%で あ る。 次 は、 同調 査 で の 東 京 の 文 化 的評 価 とそ の理 由 に つ い て で あ るが 、 東 京 を文 化 的 な 都 市 だ と 「思 う」 人 は81%、 「思 わ な い 」 人 は17%で 、 5人 に4人 が 東 京 を文 化 的 な 都 市 だ と し て い る。 東 京 を文 化 的 だ と思 う理 由 で は 、 「生 活 の便 が 良 い 」27%が 最 も多 く、 次 い で 「文 化 」14%、 「交 通 の便 が 良 い」11%な ど と上 位 に続 い て い る 。

(6)

日中の文化 的生活の比較 一 方 、 文 化 都 市 だ と思 わ な い理 由 と し て は 、 「環 境 が 良 くな い 」25%が 最 も多 く、 次 い で 「情 報 量 が 多 く、複 雑 」22%、 「人 間 が 多 す ぎ る、 人 間 味 が な。」12%、 厂文 化 の 質 が 表 面 的 で あ る。」12%な どが 主 な もの で あ る。 5.文 化 創 造 の 土 壌 と しての 余 暇 個 人 的 に も、 社 会 の 視 点 か ら見 て も、余 暇 は文 化 を生 み 出 す 条 件 の一 つ と して 、 重 要 な意 味 を持 っ て い る と思 う。 労 働 に 従 属 して 、 生 産 の み に追 わ れ て い た の で は、 文 化 は 創 造 され な い。 文 化 創 造 の 土 壌 に は余 暇 は不 可 欠 の 要 素 で あ る。 さて 、 余 暇 とい う言 葉 は、 何 な の か と い う と、 「労 働 か ら解 放 され た 時 間 に行 う休 息 、 気 晴 ら し、 自 己 開 発 活 動 の総 称 」 と、(デ ェ マ ズ デ ィ エ は 中 島 巌 訳 「余 暇 文 化 に 向 か っ て 」)と 定 義 づ け た 。 大 衆 余 暇 は テ レ ビ を最 優 先 に、 映 画 、 レ コ ー ド、 マ ンガ 、 新 聞 、 出版 物 、 ギ ャ ン ブル な ど、 受 け 身 的 で 金 銭 を媒 介 と して 、 コ ピー を 買 う とい う行 動 様 式 が 大 事 で あ った 。 あ る意 味 で 、 主 体 的 参 加 で は な く、 「さ せ られ型 」 で あ り、 遊 ん で も ら う 式 の余 暇 が一 般 大 衆 の圧 倒 的 支 持 を 受 けた 。 労 働 との 関連 で 考 え る と、 日本 の場 合 、 労 働 の機 械 化 に よ っ て 、 人 々 は 仕 事 で 完 成 す る喜 び を得 られ な くな った 。 大 量 に 生 産 され た モ ノ の 消 費 に 明 け暮 れ て も、 決 して 心 の 満 足 は 得 られ な い こ とが 分 か っ て き た 。 そ れ で 、 人 々 は最 も手 っ と り早 く増 大 す る余 暇 に生 き 甲斐 を求 め た の で あ る。 1970年 代 に、 欧 米 で は こ う した 心 の 満 足 感 を求 め る場 と して の 余 暇 は と ら え られ る よ うに な って き た。 急 速 に活 発 化 す る大 衆 は、 余 暇 の 活 用 の努 力 に よ っ て 、 個 人 の 余 暇 を 自 らの デ ザ イ ンに 基 づ い て、 知 識 と技 術 を取 得 して 、 主 体 的 に文 化 を創 造 す る 時代 に突 入 した よ うに思 う。 さて 、 日本 は ど うで あ ろ う か 、1970年 代 以 後 、 高 度 経 済 成 長 の 終 焉 と と も に、 脱 マ ス カ ル チ ャー の傾 向 が 顕 著 に な っ て き た。 テ レ ビ離 れ が 静 か に進 行 して い る

(7)

文教 大学 言語 と文化 特集号 し、 コ ピー 文 化 は レ コー ド、新 聞 、 映 画 、 マ ンガ 、 週 刊 誌 、 出 版 物 を見 て も、 低 落 現 象 が 進 ん で い た。 こ う した 余 暇 活 動 の 減 退 と呼 応 し て、 健 康 、 学 習 、 フ ァ ミ リー 、 コ ミュ ニ テ ィ創 作 とい っ た 活 動 が だ ん だ ん と活 発 化 し て きた の で あ る。 民 間 の カ ル チ ャ ー セ ン タ ー 、 文 化 教 室 、 講 座 、 成 人 大 学 、 ス ポ ー ツ教 室 、 大 学 開 放 講 座 な ど、 文 化 の 時 代 は華 々 し い社 会 現 象 と して見 られ た の で あ る。 文 化 活 動 を奨 励 す るた め に、 日本 の 文 化 庁 にお い て は 、 芸 術 鑑 賞 機 会 の 提 供 、 文 化 活 動 の奨 励 な ど を行 っ て い る。 文 化 庁 で は 、各 地 域 の 子 供 及 び 青 少 年 を対 象 に優 れ た 舞 台 芸 術 の 巡 回 公 演 を行 う 「子 供 芸 術 劇 場 」、 及 び 「青 少 年 芸 術 場 」 を都 道 府 県 な どの 共 催 に よ り実 施 し て い る。 これ は余 暇 を豊 か に す る上 で 、 また 、 青 少 年 の健 全 育 成 の上 で 極 め て 重 要 な こ とだ と 思 う。 公 民 館 は市 町村 、 そ の 他 一 定 地 域 内 の 住 民 の た め に実 際 生 活 に即 した 教 育 、 学 術 及 び文 化 に 関 す る各 種 の事 業 を行 い、 住 民 の教 養 の 向 上 、 健 康 の 増 進 、 生 活 文 化 の 振 興 な ど に大 き な役 割 を果 た した と思 う。 公 民 館 の設 置 状 況 は 「昭 和62年10月1日 現 在) 総 数 市(区) 町

17,440 7,560 7,914 1,946 公 民 館 に対 す る 平 成2年 度 の 文 部 省 補 助 金 の 予 算 額 は144館 分 、45億 3,600万 円 で あ る。 そ の ほ か に 、 主 婦 に人 気 の あ る カ ル チ ャ ー セ ン タ ー、 大 規 模 な施 設 が 次 々 とオ ー プ ン した 「NHK文 化 セ ンタ ー 」、 厂東 京 文 化 セ ンタ ー 」 の よ う な 大 規 模 な セ ン タ ー が 日本 に は、 約300カ 所 あ り、 一 万 人 以 上 を収 容 で き

(8)

日中の文化 的生 活の比 較 るセ ン タ ー は 日本 全 国 に約10か 所 あ り、 約 、30万 人 の 主 婦 が カ ル チ ャ ー セ ンタ ー に通 っ て い る。 東 京 、 新 宿 に あ る 「朝 日カ ル チ ャー セ ンタ ー 」 で の 受 講 者 の数 は4万 人 に の ぼ る。 そ の 学 習 内 容 は大 別 す る と、 ア、 体 育 ・ス ポ ー ツ イ、 生 活 文 化 ウ 、 語 学 工 、 教 養 オ 、 芸 術 、 趣 味 な ど に分 け られ る。 翻 っ て 、 この 面 に 関 す る私 個 人 の 体 験 を記 して お きた い。 文 教 大 学 言 文 研 に は、 この 二 三 年 、 余 暇 の充 実 の た め に 、 開 設 した講 座 が い くつ か あ る。 そ れ に は、 学 生 の ほか に 、社 会 人 も結 構 参 加 し て い る。 昭和63年 成 立 以 来 、13回 も講 座 が 開 か れ た。 こ の度 、 平 成3年6月15日 一7月13日 まで 、 文 教 大 学 生 活 科 学 研 究 所 に よ っ て 主 催 され た 大 学 公 開 講 座 は 「食 の 現 在 を考 え る」、 つ ま り、 日本 人 の食 文 化 で あ る。 これ は専 ら社 会 人 に対 象 して 、 参 加 す る人 は80人 ぐ らい で あ る。 そ の うち、 男 性 も六 、 七 人 入 っ て い る。 皆 、 日本 の 食 文 化 に 大 き な 関 心 を 持 っ て い る。 私 の友 人 千 原 さ ん は六 十 代 で 、 指 圧 の先 生 で あ るが 、 平 日、 お 仕 事 で 忙 しい に もか か わ らず 、 余 暇 に お い て 、 週 に 二 時 間 中 国 語 を勉 強 し た り、 三 味 線 、 笛 、 民 謡 な ど を習 っ て い る。 友 人 の 鈴 木 さ ん夫 婦 も週 一 回 、 公 民 館 の 社 交 ダ ン ス に通 っ て い る 。 労 働 に 代 わ っ て 、 余 暇 を重 視 す る とい う考 え方 は、10年 前 の 日本 にお い て は、 青 年 層 を代 表 す る考 え 方 で あ っ た 。 中 高 年 は労 働 を重 視 す る考 え方 が 強 く、 余 暇 は あ くまで 労 働 の従 属 物 で しか なか っ た。 しか し、 近 年 の 日 本 で は、 中 高 年 に お い て も、 青 年 と同 じ よ う に労 働 よ り も、 余 暇 を大 切 に す る人 々 が 確 実 に増 加 し て き て い る。 こ れ は 、 日本 人 の 価 値 観 が 変 わ っ て きて い る こ と を意 味 し て い る の で あ る。 余 暇 が そ れ 自体 と して、 重 要 活 動 で あ る とい う認 識 が 高 ま っ て くる に

(9)

文教大学 言語 と文化 特集号 した が っ て 、 自分 を 高 め、 関心 分 野 を追 求 す る とい う自 己 開 発 を 中心 に考 え始 め た の で あ る。 最 近 の動 き と して は、 日本 の サ ラ リー マ ン も、 主 婦 も従 来 の 気 晴 ら し レ ジ ャ ー に満 足 せ ず 、 本 物 の 余 暇 を求 め る志 向 が 高 ま っ て きて い る。 ギ ャ ン ブル や 、 テ レ ビ に代 わ って 、 急速 に台 頭 して きて い る余 暇 活 動 に は 、 以 下 の よ うな二 つ の 分 野 が あ る。 1.体 育 、 ス ポ ー ツ 活 動 。 従 来 は 、 ス ポ ー ツ とい え ば 、 若 者 の特 権 の よ う に考 え られ て い た が 、 現 代 の 日本 で は、 ジ ョギ ング 、 体 操 教 室 、 テ ニ ス、 美 容 体 操 な ど に見 られ る よ う に 中、 高 年 層 の ス ポ ー ツ活 動 は極 め て、 活 発 化 し て い る。 ま た、 野 外 活 動 、 登 山 、 水 泳 、 キ ャ ン プ な ど、 自然 を相 手 にす る 活 動 も盛 か ん に な っ て きて い る。 2.学 習 、趣 味 活 動 近 年 、 日本 人 の学 ぶ こ とへ の欲 求 は、 大 変 な高 ま り を見 せ て い る と思 う。 文 部 省 調 査 で は、50%の 人 が 何 らか の 学 習 を して い る。 学 習 した い とい う人 は70%と 報 告 さ れ て い る。 行 政 の提 供 す る公 民 館 、 婦 人 教 育 セ ン タ ー な どで 主 催 す る学 級 、 講 座 に は 、 日本 全 国 で400万 人 が 学 ん で い る。 また 、 大 規 模 な も の だ け で も、 カ ル チ ャー セ ン タ ー は100箇 所 ぐ らい 設 立 され 、 日本 全 国 で40万 人 が 学 ん で い る。 大 学 開 放 講 座 も、201大 学 、 開 設 講 座 数1,181、 受 講 者 数 、11万 人 に達 して い る 。 と もか く、 大 変 な 数 の 日本 人 が 、 余 暇 で 、 文 化 活 動 、 趣 味 活 動 に 取 り 組 ん で い る。 これ らの 活 動 は 日本 人 の文 化 的 生 活 を豊 か に す る上 で 、 欠 かせ な い もの に な っ て い る と い え る だ ろ う。

(10)

日中の文化的生活の比較 6.中 国 人 の 文 化 的 生 活 中 国 は 、今 まで さ ま ざ ま な事 情 で 、 経 済 の面 にお い て は 、 先 進 諸 国 に先 に先 に と追 い越 さ れ て し ま っ た 。 お ま け に12億 近 い 人 口 を擁 す る世 界 一 の 人 口大 国 な の で 、 い く ら生 産 して も、 人 々 の需 要 に追 い つ か な い現 状 が あ る。 そ して 、圧 倒 的 多 数 の 中 国人 は、 毎 日労 働 に明 け暮 れ て 、 余 暇 を ど う 使 うか とい う こ と まで 関 心 が 持 て て い な い と思 わ れ る。 中 国 は農 業 国 で 、 人 口の80%は 農 業 に従 事 して い る。 農 家 は早 起 きが 尊 ば れ 、 東 に 太 陽 が 昇 り、 あた りが 明 る くな る と と もに起 きて 、 山 や 畑 に出 掛 け て い き、 夕 方 、 日没 とな る と一 日 の仕 事 をや め て家 路 につ く。 雨 が 降 れ ば 、 畑 に 出 掛 け る こ とは出 来 な い か ら、 農 作 業 は休 み とな り、 家 の 中で 様 々 な手 仕 事 を した り、体 を休 め た り、 少 々 の娯 楽 を し て 、 雨 の や む の を待 つ こ と に な る。 め ぐ る 自然 の リズ ム に 従 っ て 、 春 に は 種 を 播 き、 夏 に は肥 料 を や り、 田 の草 取 り、 秋 に な る と刈 り取 りを行 っ て 、 や が て 冬 を迎 え、 農 作 業 は 休 み とな り、 春 の準 備 と一 年 の休 養 の 季 節 が や って くる。 農 家 の生 活 は決 して 楽 で は な い が 、 余 程 の天 候 不 順 が な けれ ば、 家 族 は 食 べ て い け る。 この よ う に一 日一 年 とい う 自然 の サ イ ク ル に従 っ て 、働 き か つ 休 み 、娯 楽 に興 じた 。 70年 代 末 期 か ら、80年 代 に か けて 、 中 国 で は、 経 済 改 革 、 対 外 開放 を行 っ た た め に、 各 地 域 、 各 階 層 の人 々 の間 に余 暇 生 活 の 多様 化 が 見 られ る よ う に な っ て きた 。 と りわ け、 都 市 近 郊 、 農 村 の 変 化 は大 きい 。 余 暇 に は、 テ レ ビ を見 るだ け で はな く、 親 族 、 親 友 の家 庭 を 回 り、 若 者 は集 ま って 、 雑 誌 や 、 トラ ン プ な ど を し て遊 ぶ 。 機 会 が あ れ ぼ、 大 都 市 へ 観 光 に 出 掛 け る風 景 も見 られ る よ う に な っ た 。 中 国 の 農 村 で 、 「文 化 戸 」 とい う 言 葉 が 今 流 行 っ て い る。 つ ま り、 農 村 に お い て 、 専 門 的 に書 、 絵 画 、 図 書 、 表 装 、 花 屋 、 盆 栽 、 築 山 な ど文 化 的

(11)

文教大学 言語 と文化 特集号 サ ー ビス活 動 に従 事 して い る人 が 「文 化 戸 」 と呼 ばれ て い るの で あ る。 こ うい う 「文 化 戸 」 はだ ん だ ん増 えて き て い る。 中 国 人 の 余 暇 の特 徴 か ら見 る と、 傾 向 と して 、 自娯 自楽(個 人 的娯 楽) 意 識 が 高 ま って い る と言 え る。 上 海 を例 に し て み る と、 延 べ16万 人 が47カ 所 の ア マ チ ュア 芸 術 学 校 、 及 び7,947か 個 芸 術 訓 練 班 で 習 っ て い る。 内容 は主 に音 楽 、 踊 り、 演 劇 、 絵 画 、 書 道 、 写 真 、 美 容 教 室 、 裁 縫 、 料 理 、 外 国 語 、 拳 道 、 ヨ ガ、 フ ァ ッシ ョンモ デ ル 教 室 な どで あ る。 も う一 つ の 特 徴 は、 共 建 活 動 で あ る。 つ ま り、 町 は 町 に あ る 工 場 、 学 校 、 商 店 、 兵 士 な どが 協 力 し合 っ て 、 文 化 的 活 動 を行 う と い う こ とで あ る。 そ れ で 、 上 海 市 が132の 町 は 、42か 所 に 「大 衆 文 化 協 作 委 員 会 」 が 設 け られ た 。 これ は 、 人 々 の余 暇 生 活 を豊 か にす る上 で 、 非 常 に大 き な役 割 を果 た して い る。 そ して 、 これ ら の文 化 娯 楽 活 動 は 、 常 に思 想 性 、 娯 楽 性 を重 視 す る上 で 行 わ れ て い る。 組 織 の 仕 組 み か ら見 る と、 次 の通 りで あ る。 上 海 市 は、 市 、 区、 末 端 組 織(ま ち)と い う3つ の ラ ン ク に 分 け られ る。 つ ま り、 市 に お い て は 、 大 衆 芸 術 館 、 労 働 者 文 化 宮 、 青 年 宮 、 少 年 宮 が 一 か所 、 労 働 者 文 化 宮 、 労 働 者 会 館 が22か 所 、 そ れ ぞ れ あ るの で あ る。 町 、 村 に お い て は 、 文 化 活 動 教 室 が350か 所 、 文 化 セ ン タ ー が161か 所 あ る。 又 、 市 、 区企 業 合 弁 の ク ラ ブが695か 所 も あ る。 こ こ2、3年 来 、 中 国 で は、 カ ラ オ ケ が 大 流 行 して い る 。 カ ラ オ ケ は 1989年 後 半 か ら、 流 行 出 した の で あ るが 、1990年 に、 ア ジ ア競 技 大 会 が あ っ た の も手 伝 っ て こ とか 、 北 京 だ け で も53軒 に増 え、 週 末 と も な る と、 若 者 た ち の ス ト レ ス 解 消 、新 しい 娯 楽 の 場 とな っ て 、賑 わ っ て い る。 お 客 は、 た い て い、 会 社 、 ホ テ ル の従 業 員 が 多 く、 年 齢 的 に は 、20代 が70%、 30歳 代 が27%と い う。

(12)

日中の文化 的生活の比較 も う一 つ の大 流行 は社 交 ダ ン ス で あ る。 1985年7月 の 統 計 に よ る と、 上 海 市 に は、 ダ ン ス ホ ー ル が136か 所 も あ り、 毎 晩2万 人 収 容 で き る そ うで あ る。 その ホ ー ル は、 大 き く二 種 類 に分 け られ る。 一 つ は 、9か 所 あ る外 国 人 、 華 僑 、 香 港 人 、 マ カ オ 人 向 け の ダ ン ス ホ ー ル で あ る。 例 え ば、 錦 江 飯 店 、華 僑 飯 店 、 上 海 大 廈 、 上 海 賓 館 、香 格 里 拉 餐 庁 、 丁 香 賓 館 な どで あ る。 も う一 つ は 、 庶 民 向 けの ダ ン ス ホ ー ル で あ る。 1986年 未 の 統 計 に よ る と、 上 海 市 の92か 所 の ダ ン ス ホ ー ル で は、 毎 晩 延 べ 、1、46万 人 を収 容 した そ うで あ る。 そ の一 つ の 、 北 京 市 宣 武 区 槐樹 街 中 の老 年 活 動 セ ンタ ー を例 に して見 よ う。 20平 方 メ ー トル あ る こ じん ま りした 一 室 に 、 火 、 木 、 土 、 日、 週4回 、 夜 の7時 か ら、10時 ま で 、230人 ぐ らい 、 民 族 楽 団 の 伴 奏 に 合 わ せ て 、 ダ ン ス に熱 中 し て い る。 伴 奏 者 は ほ とん ど停 年 退 職 した60代 のお 年 寄 りで あ る。 フ ロ ア の 回 り に ゆ っ く り とお 茶 を飲 み な が ら、 休 ん で い る人 もい る が 、踊 っ て い る人 も、 伴 奏 して い る人 も皆 楽 しそ う に こ の一 時 を過 ご し て い る。人 場 料 は 、 た っ た50銭(15円 相 当)で あ る。 い ず れ にせ よ、 中 国 の 農 村 で あ れ 、都 市 で あ れ 、 文 化 的 活 動 を 中 国 全 土 で 引 き起 こ し始 め た 今 日 この 頃 と言 え るだ ろ うか 。 も ち ろ ん、 文 化 的 生 活 の レベ ル か ら言 っ て も、 文 化 的 環 境 か ら言 っ て も、 ま だ ま だ、 日本 に は及 ぼ な い所 が 多 くあ る と思 う。960万 平 方 キ ロ メ ー トル あ る広 々 と した 土 地 に 、12億 も の 国民 が 伸 び 伸 び と し た レ ジ ャ ー を楽 し む よ う に な る た め に は、 並 々 な らぬ 努 力 が 必 要 だ と思 わ れ る。 経 済 的 な面 に お い て も、 よほ ど 力 を 入 れ な い と、 文 化 ホ ー ル 、 図 書 館 、 運 動 場 な ど ス ポ ー ツ 施 設 の 新 設

(13)

文教大学 言語 と文化 特集号 は 、 とて も不 可 能 な こ と だ と思 う 。 7.結 び 中 日両 国 は 、 社 会 の仕 組 み も、 経 済 の 発 展 ぶ り も、 それ ぞ れ 違 う に もか か わ らず 、 文 化 的 生 活 の 有 り方 と して は、 仕 事 一 辺 倒 で は な く、 余 暇 も両 立 さ せ て 、 私 的 生 活 も大 事 に した ほ うが よ い とい う意 識 が 共 通 点 だ と思 わ れ る。 中 国 に お い て は、 有 給 休 暇 に な る と、 消 化 率 は100%と い え る。 日 本 の 場 合 は ど うで あ ろ うか 。 年 次 有 給 休 暇 は 労 働 者 一 人 平 均14.8日 が 認 め られ て い る の に、 取 得 日数 は平 均 、8.8日 で 、 消 化 率 は60%に 過 ぎ な い。 製 造 業 、 生 産 労 働 者 の年 間 実 労 働 時 間 か ら見 る と、 1987 日 本 ア メ リ カ イ ギ リス 西 ドイ ツ 2168 1949 1947 1642 日本 の 労 働 者 た ち は、 西 ドイ ツ よ り年 間 に500時 間 以 上 も長 く働 き、 残 業 や 休 日 出勤 な どで くた くた に な り、 ノ ル マ 達 成 の競 争 で 、 精 神 的 に追 い 詰 め られ 、 「過 労 死 」 とい う深 刻 な現 実 を直 面 して い る。 日本 は今 や 、 国 民 所 得 、 資 産 蓄 積 、 消 費 の 多 様 化 、 高 級 化 な どあ ら ゆ る 面 で 、 世 界 に冠 た る 「豊 か な社 会 」 だ と言 え る だ ろ う。 し か し、 「豊 か さ を実 感 し な い 」 日本 国 民 が 七 割 近 くに 達 して い る 。 日本 語 の 「豊 か さ」、 古 くは 「ゆ た(寛)」 と い う形 で 使 わ れ て い て 、 そ の 意 味 は 「ゆ っ た り、 の ん び り」 で あ る。 この こ とに照 らせ ば、 日本 人 が 「豊 か さ実 感 」 に 乏 し い理 由 が 理 解 で き る。 日本 人 の生 活 は時 間 ・空 間 ・経 済 な ど、 多 くの 点 で は、 「ゆ と り」 に 欠 け る生 活 を して い る の で は な い だ ろ う か と私 は思 う。

(14)

日中の文化的生活の比較 と こ ろで 、 「ゆ と り」 とは 何 か 。 ゆ と りと は 「自由 にで き る空 気 ・時 間 ・気 力 ・体 力 な どが あ る こ と」(明 解 国語 辞 典)だ と言 え る 。 とす れ ば、 「豊 か な 」 生 活 と は 「生 活 を つ く っ て い る 諸 活 動 が 「自 由」 に展 開 さ れ る生 活 な の で あ る。 海 外 純 債 権 世 界 一、 国 民 一 人 あ た りGNP世 界 第 二 な どの 「豊 か さ」 の 中 で、 日本 国 民 自 身 が 自 らの 生 活 を 「豊 か 」 だ と思 わ な い わ けが こ こに あ る の で は な い だ ろ うか 。 文 化 的 生 活 を言 い 換 え れ ば 、 精 神 的 生 活 と言 え るの で あ る。 中 国 の 人 々 の 物 質 的 生 活 はそ う豊 か で はな い が 、精 神 的 な面 にお い て は、 あ る程 度 、 日本 人 よ り充 実 して い る で は な い だ ろ うか 。 日本 は、 これ か ら、 精 神 的 生 活 の面 にお い て も、 も っ と、経 済 の 発 達 と バ ラ ン ス を取 れ た らい い で は な い だ ろ うか と思 うが 。 と どの つ ま り、 「物 の豊 か さ よ り も心 の 豊 か さ」 にす る必 要 が あ る と思 う。 付 記 とし て 、 次 は、 北 京 夕 刊 に載 せ て あ る写 真 か ら、 北 京 の 人 々 の余 暇 生 活 を見 よ う。 1991年3月3日 第4面 この 数 年 来 、 北 京 の朝 の 運 動 は 、 熟 年 層 、 老 齢 層 が 時 代 の 流 れ を先 取 り して い る。 ア ジア ス ポ ー ツ大 会 終 了 後 秧 歌*を す る の は又 、 朝 の運 動 の ブ ー ム に な っ て き て い る。 お正 月15日 午 前 、 熟 年 層500名 ぐ らい 、 月 壇 公 園 で集 ま っ て 、 健 康 秧 歌 大 演 出 を して い る。 ご覧 の 通 り、 彼 等 は又 、 時 代 の 新 潮 流 の行 き手 に な っ て い る の で は な い だ ろ うか 。 137

(15)

文教大学 言語 と文化 特集号 1991年3月3日 第5面 朝 陽 区 書 画 協 会 成 立10年 来 、 メ ンバ ー は100名 に な っ て い る。 彼 等 は末 端 組 織(ま ち)か ら来 て、 又 、 末 端 組 識(ま ち)に 奉 仕 して い る。 い っ も、 農 山村 や 、 工 場 、 鉱 山 に行 って 、 そ の場 で 絵 を書 い た り、 個 人 展 を開 い た り して い る。 写 真 は、 彼 等 が 日壇 公 園 へ 遊 び に来 た人 々 に絵 や 書 を 書 い た り して い る こ とで あ る。 1991年3月11日 第4面 西 城 区 女 子 健 美 体 操 試 合 各 企 業 、 各 町 か ら二 十 の代 表 チ ー ム が参 加 し、 西 城 区 副食 公 司 青 年 チ ー ム と二 龍 路 老 年 チ ー ム が チ ャ ン ピ ョ ンに な った 。 写 真 は 二 龍 路 老 年 チ ー ム が 健 美体 操 を や っ て い る と こ ろで す 。

(16)

日中の文化的生活の比較 1991年3月17日 第5面 羅 曼 夢 百 名 モ デ ル フ ァ ッ シ ョ ン演 唱 大 会 は 、 夕 方 、 労 働 者 体 育 館 で 行 わ れ た 。 モ デ ル さ ん で あ りな が 同 時 に歌 も踊 り もす る とい うや り方 は 、 これ は 、 中国 で始 め て な こ とで あ る 。 全 国 各 地 か ら来 た モ デ ル た ち は美 し い メ ロ デ ィー に合 わ せ て 、 様 々 な色 と り ど りの フ ァ ッシ ョ ン を皆 に 披 露 し て い る 。 左 の写 真:北 京 新 世 紀 広 告 公 司 モ デ ル チ ー ム の 演 出 は 、 皆 に深 い 感 銘 を与 えた 。 右 の写 真:ア メ リカ 籍 の華 僑 劉 蘇 珊 は 、 有 名 な美 容 師 で 、 皆 に 世 界 一 流 の ヘ ア ス タ イル を見 せ るた め に、 珊 美 容 院 の"弟 子"を 連 れ て、 モ デ ル た ち に無 料 で サ ー ビス して い る 。

(17)

文教大学 言語と文化 特集号 1991年319日 第4面 朝 、 毎 日地壇 公 園集 芳 園 前 で 、 庶 民 は 国 際 標 準 社 交 ダ ン ス に熱 中 し て い る∩ 一一一一_ 1991年3月24日 第 五 面 参 加 者 で賑 わ っ て い る朝 陽 区労 働 者 文 化 宮 。 朝 陽 門 外 町 に あ る朝 陽 区 労 働 者 文 化 宮 は 、 敷 地 面 積 は大 き くな い け れ ど、 毎 日、 賑 わ っ て い る。 人 々 を敬 服 させ る力 が あ る よ うで あ る。 左 の 写 真:美 術 絵 画 班 。 人 々 の 余 暇 生 活 を豊 か に し、 また 、 社 会 に向 け て も多 くの人 材 を養 成 して い る。 右 上 の 写 真:老 齢 活 動 室 に、 朗 らか な笑 い 声 が 満 ち溢 れ て い る。 道 端 に しゃ が ん で、 日 なた ぼ っ こだ け に 満 足 して い るお 年 寄 りた ち で は な い 。 右 下 の 写 真:小 さ い 図 書 館 に6万 冊 も本 が あ る。

(18)

日中の文化的生活の比較 本 稿 を作 成 す る に 当 た っ て 、 ご教 示 を下 さ っ た 言 文 研 の 近 藤 功 先 生 、 な らび に勅 使 河 原 先 生 、泉 敬 子 先 生 、 遠 藤 織 枝 先 生 、 ほか 多 くの 方 々 に深 く お 礼 を 申 し上 げ る次 第 で あ る。 参 考 文 献 一 覧: 1.「 ど うな る 日本 人 の余 暇 の ラ イ フ」 一 欧 米 型 余 暇 か らの 脱 却 の シ ナ リオ 瀬 沼 克 彰(1988年) 2.厂 現 代 余 暇 の構 図 」 地 域 社 会 と文 化2瀬 沼 克 彰(1983年) 3.「 日本 語 教 育 」73号 4.「 青 少 年 白 書 」 平 成2年 版 5.「 文 化 に 関 す る世 論 調 査 」(1987年7月) 一 東 京 都 情 報 連 絡 室 6.「 住 民 と 自治 」(1991年2月 号) 7.「 日本 とは何 か 」 近 代 日本 文 明 の形 成 と発 展 梅 棹 忠 夫 8.「 日本 文 明 の歴 史 的 連 続 性 」 一 伝 統 社 会 とハ イ テ ク社 会 9.「 経 済 」4 世 界 と日本 の 経 済 10.「 人 民 中 国 」(1991年2、3、4) 私 の 日本 観 11.「 中 国 年 鑑 」(1991年 版) 12.「 上 海 文 化 年 鑑 」(1987年)版 *瀬 沼 克 彰 著 「現 代 余 暇 の構 図 」 大 明 堂 一141一

(19)

文教大学 言語 と文化 特集号 * 地 域 社 会 と文 化2 一 余 暇 時代 へ の 移 行 第7ペ ー ジ 秧 歌:中 国 漢 民 族 の民 間 で 行 わ れ て きた 集 団 的 舞 踊 の一 つ で あ る 。 中 国東 北 地 区 か ら流 行 し始 め 、 お 祭 や 何 か 、 国 を挙 げ て祝 う時 に、 人 々 は色 彩 鮮 明 な服 装 を着 、 手 に色 と り ど りの帯 の よ うな 布 を持 って 、 踊 りな が ら歌 う。 又 、 秧 歌 は中 国 満 族 の 間 に も流 行 っ て い る。 中 華 民 族 風 俗 辞 典 第698ペ ー ジ 秧 歌:も と 中 国農 村 の 田植 え 歌 。 今 で は歌 と踊 り とで 構 成 さ れ た、 フ ォ ー ク ダ ン ス の よ う な民 族 芸 術 とな った 漢 字 源 第875ペ ー ジ

参照

関連したドキュメント

The Byzantine Wall Paintings of Kılıçlar Kilise: Aspects of Monumental Decoration in Cappadocia, Pennsylvania State University, Ph.D. “Byzantine Capppadocia: the

綱伽染均 謝αo阯 硲0晒oo阯鋤4柳 蜘蜘 謝卿

いない」と述べている。(『韓国文学の比較文学的研究』、

  「教育とは,発達しつつある個人のなかに  主観的な文化を展開させようとする文化活動

が漢民族です。たぶん皆さんの周りにいる中国人は漢民族です。残りの6%の中には

本県は、島しょ県であるがゆえに、その歴史と文化、そして日々の県民生活が、

関西学院大学には、スポーツ系、文化系のさまざまな課

 宮城県岩沼市で、東日本大震災直後の避難所生活の中、地元の青年に