• 検索結果がありません。

パプア・ニューギニアにおける経済的後進性と複合性 (経済学特集)

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "パプア・ニューギニアにおける経済的後進性と複合性 (経済学特集)"

Copied!
34
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

109

パ プ ア ・ニ ュ ー ギ ニ ア に お け る 経 済 的

        後 進 性 と複 合 性

光   彦

1  は   じ  め   に        ラ   少 な くと も現 在 の 独 立 国 に お い て は,国 家 全 体 に原 始 的 類 型 を と どめ た 国 は な く,如 何 な る国 家 に お い て も,そ の 国 内に 経 済 的,社 会 的 先 進 部 門 と後進 部       2) 門 が 存在 す る。 即 ち,二 重 性,多 重 性 あ るい は 複 合 性 が存 在 す る。先 進 部 門, 後 進 部 門 あ るい は 二重 性,複 合 性 等 は,相 対 的 な 尺 度 で は か られ る性 質 の もの で は あ るが,こ れ らの相 対 的 な 程 度 や 動 向 は,一 国 の経 済 及 び社 会 発 展 の水 準 を示 す 指 標 の一 つ と し て理 解 す る こ とが で き る。   国 家,特 に 低 開 発 国 に お け る社 会 的,経 済 的 二 重 性 或 い は 多 重 性 を 形 成 す る 要 因 と して,い わ ば 空 間 的 多様 性 と構 造 的 多 様 性 の存 在 が 考 え られ る。 前 者 に 1)一 般 に 原 始 社 会 な い し は 原 始 的 類 型 を も っ た 社 会 と は,次 の よ うな 社 会 で あ る と い   え よ う。 即 ち,技 術 の 点 か らす る と 新 石 器 時 代 と 呼 ば れ る 変 化 を 経 験 し,狩 猟 採 集 の   段 階 か ら植 物 栽 培 と 家 畜 飼 育 の 段 階 に 移 行 し て お り,そ の 社 会 は 親 族 集 団 を 基 盤 に も   つ 非 専 門 的 集 団 で 構 成 され て い る 。 そ こ で は,社 会 階 層 の 分 化 は 殆 ん ど み ら れ ず,個   人,共 同 社 会 お よ び 宇 宙 は 密 接 に 繋 っ て い る 。 人 々 は 神 々 を 持 た ず,人 間 か ら 明 瞭   に 区 別 され な い 精 霊 を 所 持 し,多 くの 通 過 儀 礼 が 生 活 の け じ め を 形 づ く っ て い る 。   J.L.  Peacock,  A. T. Kirsh,  The  Human  Direction:An  Evolutionary  Approach   to Social and  Cultural  Anthropology,  Appleton-Century-Crofts,1970.(水 野 浩 一 訳   『社 会 発 展 と近 代 化 』1975,PP.1V-v,62-63,106-111);A.  M. Kiki,  KIKI:Ten   Thousand  Years  in a Lifetime-Ax  Autobiography  from  1>ew  Guinea,1968(近 森 正   訳 『キ キ 自伝 』 昭 和53年,PP.17-70)。

2)  「二 重 性 」,「 多 重 性 」,「 複 合 性 」,「 多 様 性 」 と い う言 葉 は,正 し く は,同 一 空 間   に,二 重 性 等 の 実 態 が 存 在 す る 場 合 に 使 用 さ れ る べ き で あ ろ う。 し か し,本 稿 で は,

(2)

 110 お い て は,一 国 内 に お け る種 族 又 は部 族,言 語,慣 習 な どの 相 違 が あ る。後 者 は,更 に,社 会 構 造 的多 様 性 と経 済 構 造 的 多 様 性 に わ け る こ とが で き よ う。 社 会 構 造 的 多様 性 は,慣 習 の継 承 と外 来 文 化 の 影 響,旧 植 民 地 支 配 の 継 承 と民族 自決,血 縁 又 は地 縁 集 団 的組 織 と官 僚 組 織,通 婚 に 対 す る考 え 方 な ど,主 と し て,土 着 の伝 統 的 価 値 体 系 と外 来 の価 値 体 系 の 摩 擦 か ら生 じ る様 々な 複 合 的 要 素 か ら派 生 す る と考 え られ る。 経 済 構 造 的 観 点 か らは,現 地 人 と外 来者,貨 幣 部 門 と非 貨 幣部 門,産 業 構 造,所 得分 配 等 に関 す る様 々 な複 合 性 が 考 え られ る。   一 国 の社 会 的,経 済 的 複 合 性,後 進 性 を 論 じ る場 合,こ れ ら空 間 的及 び構 造 的 多様 性 は,互 い に 不 可 分 の 関 係 を 保 って い るた め,こ れ を分 離 して論 じ る こ と はで き な い。 しか し,小 論 に おい て は パ プ ァ ・ニ ュー ギ ニ ア(以 下,PNG) に おけ る構 造 的 多 様 性,主 と して そ の経 済 的 側面 に焦 点 を あ て る ことに よ り,       ヨラ 同 国 の後 進 性 と複 合 性 を 考 察 す る。 そ して,PNGの 内包 す る経 済 的 後 進 性 と 複 合 性 と し て何 が 指 摘 され るか 。 そ れ らは どの よ うな方 向へ 変 化 し よ うと し て い るの か 。 そ れ らはPNGに 独 自の もの か,そ れ と も程 度 の差 は あ って も,他 の 低 開 発 国 と共 通 した 性 格 を もった も ので あ ろ うか 。 更 に,PNGの 後 進 性, 複 合 性 等 は 如 何 な る課 題 を提 供 して い る のか 。 これ らを考 察 す る こ とに よ り, 主 と してPNG経 済 の構 造 的特 徴 と現 状 を論 考 しよ うとす る も ので あ る。 皿  人 口   1)人 口 構 成   PNGの 人 口は1966年 か ら76年 ま で の 間,年 平 均2.6%の 割 合 で 増 加 して い る。 この 増 加 率 は,同 期 間 に お け る,い わゆ る全 低 開 発 国 の平 均 値 に,ほ ぼ 等 し く,ア ジ ア太 平 洋地 域 に あ る他 の 低 開 発 国 の 人 口増 加 率 と 比 較 して も 決 し       4)        う て 高 い も の で は な い 。PNGの 人 口 は,デ モ グ ラ フ ィ ッ ク な 特 徴 の 他 に,二 つ 3)使 用 した資 料 の 信 頼 性 につ い ては 疑 問 な し とは しな い が,そ の 点 は 追 求 しな い。   尚,公 的 資料 が 限 られ て い るた め,経 済的 側 面 の 分 析 もか な り狭 い範 囲 とな らざ るを   得 な か った。 4)  拙 稿 「パ プ ア ・ニ ュー ギ ニ アの経 済 開 発 と人 的 資源 」 『彦 根 論 叢』 第185,-S6合 併   号(昭 和52年)p-247,第10P。 尚, PNGで は,一 夫 多妻 が 容 認 され て い たが,男 は

(3)

       パ プア ・ニ ュ ーギ ニアに お け る経 済 的 緩 進 性 と複:合性    111 の 側 面 か ら各 々 そ の 構 成 上 の 特 徴 が うか が え る 。 一 つ は,い わ ば 量 的 構 成 の 側 面 で あ り,今 一 つ は 社 会 構 造 に 関 連 す る 側 面 で あ る 。   量 的 な 人 口 構 成 の 特 徴 と し て は,表2.1に み ら れ る よ う に,第 一 に 圧 倒 的 多 数 の 原 住 民 な い し は 土 着 現 地 人(indeginous  peoPle;以 下,現 地 人)が 村 落 に 居       の 住 して い る こ とで あ る。 第 二 に,い まだ市 街 地 居 住 人 口の規 模 は 小 さい が 急 速 表2・1    人   口  構   成(推 定) (単 位:千 人,%) 1966 1967 1968 1969 1970 1971 1972 1973 1974 1975 1976 増 加 率 年 平 均 1966/71 1971/76 1966/76   現    地    人 「 市 街地1村  落i  計 外来者 103.6 121.7 143.0 168.0 197.3 231。8 257.4 285.8 317.4 334.3 375.1 2,046.7 2,077.2 2,10S.1 2,139.4 2,171.3 2,203.5 2,244,9 2,287.0 2,326.2 2,383.3 2,418.7 2,150.」 2,198.s' 2,251.1 2,307.4 2,368.6 2,435.3 2,502.3 2,572.8 2,643.6 2,717.6 2,793.8 34.7 37.8 41.3 45.3 49.7 54.6 50.0 47.3 39.2 JS.5 31.8 合 計 17.5 10.1 13.7 1.5 1.1 1.7 5 8 7 2 り 白 9 一 2,185.0 2,236.7 2,292.4 2,352.7 2,418.3 2,489.9 2,552.3 2,620.1 2,682.8 2,756.1 2,828.6   9.5 -9 .3   0.0 2.6 2.6 2.6 現   地   人 市街地 4.8 5.5 6.4 7.3 8.3 9.5 10.3 11.1 12.0 12.3 13.3 村 落 93.6 92.8 91.8 90.8 89.6 88.3 87.7 87.1 86.5 86.3 85.5 十 言 口 98.4 98.3 98.2 98.1 97.9 97.8 98.0 98.2 98.5 98.6 98.8 外来者 6 7 8 9 1 2 0 8 5 4 2 1 1 1 1 2 2 2 1 1 1 1 (出 所') (註)

Bureau  of  Statistics,  Summary  of  Statistic∫,1975/76,  Port  Moresby,1979,

p.8,Table  3.

各 年 度 人 口 は6月30日 現 在 。

  4∼5人 以 上 の 子 供 を 持 つ べ き で は な い と考 られ て い た 。 従 っ て,女 は 通 常2人 の 子   供 を 産 め ば,避 姓 や 子 宮 破 壊 に 効 力 の あ る 特 種 な 草 木 を 用 い た 。(M.Somare,  Sana,   Niugini  Press,1975,  PP.12-13;A.M.  Kiki,前 掲 訳 書PP.26-27.)こ の よ うな 慣 習   に よ り。 少 な く と も 最 近 ま で は 人 口 増 加 は 一 定 に 保 た れ て 来 た と 推 察 され る 。' 5)拙 稿,前 掲PP.242-249.

6)  1976年 に お け る 上 位:3都 市 の 人 口 は ポ ー ト・モ レ ス ビ ー,100.2千 人,ラ エ.45.3千   人,マ グ ン,19.3千 人 と推 定 され て い る。 尚,PNGに お け る 都 市 と は,都 市 的 性 格 を   も ち,人 口500人 以 上 で,か つ 人 口 密 度 が 一 平 方 マ イ ル 当 り500人 以 上 の 地 域 を さ す 。   (Bureau  of Statistics,&〃 〃ηzαリ ノげ8'4∫'∫tics,1975/76,1979,  Port  Moresby  p.8

(4)

  112 に 市 街 地 人 口 が 増 加 し て い る こ と 。 第 三 に,数 の 上 か ら は 極 め て 少 数 で は あ る が,非 原 住 民 な い し は 外 来 者(expatriates;以 下,外 来 者)の 存 在 が あ げ ら れ る 。 外 来 者 は 全 人 口に 対 し て,1966年 に は1.6%で あ っ た も の が 漸 増 し,1971年 に は2.2%と な っ た 。 そ の 後 着 実 に 減 少 し,1976年 に は34.8千 人 と 全 人 口 の1,2% と な っ た 。1971年 以 降 外 来 老 が 減 少 し て い る こ と は,主 と し て,近 い 将 来,自 治 権 獲 得(1973年12月)と 独 立(1975年9月)が ほ ぼ 確 定 的 と な っ た た め,外 来 者 の 経 済 機 会 に 対 す る 見 通 し が 暗 い も の と な っ た こ と に よ る 。 こ の 傾 向 は8 項 目 の 目 標(1973年3月)に 示 さ れ た 「現 地 化 」 政 策 に よ り,一 層 拍 車 が か け ら れ た 。   次 に 人 口構 成 に お い て 社 会 構 造 的 性 格 を よ り強 く持 っ た 側 面 の 特 徴 は,現 地 人 及 び 外 来 者 の 両 者 に み られ る 。 現 地 人 は,大 き くは,パ プ ア ・メ ラ ネ シ ア 人 種 群 に 属 す る が,そ れ は3種 類 の 種 族 に 分 か れ る と され て い る 。 現 地 人 の 移 住 経 路 及 び 時 期 は 明 確 で は な い が,ま ず ピ グ ミー が 移 住 し,そ の 後 パ プ ア 人 が 移 住 し て 殆 ん ど 全 島 に わ た っ て 居 住 し て い た 。 更 に メ ラ ネ シ ア 人 が 移 住 し て,主 に 沿 岸 地 帯 に 居 住 す る よ うに な っ た た め,パ プ ア 人 は 高 地 へ 移 動 し,そ の 結 果       わ ピ グ ミーは 更 に 奥地 に し りぞ い て い った と い う説 が 有 力 であ る。 現 地 人 移 住 以 来,長 い年 月 の 間 に異 った種 族 はか な り混 合 した と され て い るが,現 在 で も地 域 に よ り,体 格 や顔 つ き等 が 異 っ てい る。 現 地 人 は,市 街 地 を 除 き通 常70人 な い し200人 単 位 の地 縁 的 集 団 を核 と した 多 数 の 部 族 を形 成 して お り,ご く最 近 ま で は部 族 間 の通 婚 は稀 で,一 世 代 とい っ た 短 期 的 な ス パ ンに お い て は相 互 の   及 びp.11)。 従 っ で,い わ ゆ る 「都 市 」 と い う 表 現 は 適 切 と は 考 え られ な い の で,   本 稿 で は 市 街 地 と呼 ぶ 。 尚,ア ジ ア太 平 洋 諸 四 の 都 市 化 率 は 以 下 の 通 り。 ソ ロ モ ン   8.8%(1972),バ ン グ ラ デ ィシ ュ7.0%(1974),イ ン ド21.2%(1977),イ ン ドネ シ   ァ17.3%(1971),臼 木75.9%(1975),韓1司48.4%(1974),半 島 マ レ ー シ ア28.8%   (1970),パ キ ス タ ン26.8%(1968),フ ィ リ ピ ン31.8%(1970),タ イ13.2%(1970)   (UN,  Demographic  Yearbook,1977,  Table  7)。

7)沼 澤 喜 市 「ニ ュ ー ギ ニ ア の 自 然 と 民 族 と文 化 」 『世 界 の 秘 境 』 双 葉 社,昭 和44年 秋   季 号nn.61-63.

(5)

      パ プ ア ・ニ ュー ギ ニ アに お け る経 済 的 後進 性 と複 合 性    113       さラ 交 流 は極 めて 少 な か った と され て い る。 従 っ て,部 族 間 には 言 語 を始 め,異 っ た 価 値 体 系 が 存 在 して い る こ とが 指 摘 さ れ て い る。 現 在 では,こ の よ うな 孤 立 化 した 時 の流 れ に よ って 形 成 され た様 々 な い わ ば 静 的 な価 値 体 系 の中 に,外 来 の価 値 体 系 が,外 来 者 との接 触 の 程 度 に応 じて複 雑 に入 り込 んで い る こ とが 指 摘 され な け れ ぽ な らな い 。   PNGに お け る現 地 人 と外 来者 の接 触 の歴 史 は,地 域 に よ り大 き く異 な る。沿 岸 地 帯 の 主 要 都 市 又 は 市 街地 に お い て は約 一 世 紀 と最 も長 い 。 中 央 高 地 に お い て は,2∼3の 都 市 で 数10年 の 歴 史 を 持 つ が,殆 ん どの 高 地 と 低地 湿地 帯 で は,10年 な い し20年 の範 囲 に と どま っ てい る。PNGが 自治 権 を 獲 得 す る まで は,パ トロー ル ・オ フ ィサ 一等 の 行政 官 を 除 き,植 民 地 主 義 的 性 格 を も った 外 来 者 と現 地 人 との接 触 は 限 られ た範 囲 に と ど ま った 。 彼 等 は 自己 の利 益追 求 の た め に,一 般 に 極 力 現地 人 の価 値 体系 を破 壊 し ない よ うな 行 動 を と った と考 え られ る。従 って,外 来 者 と現 地 人 は相 交 わ る こ と の ない 価 値 体 系 の も とで,同 一 空 間 に 併 存 して い た。相 交 り合 うの は現 地 人 の労 働 力 とわ っ か に流 れ る貨 幣 に 限定 さ れ て い た。 即 ち,自 治 権 獲 得 前 に は,両 者 の間 に 交 流 とい う関 係 は な        う く,あ るの は単 な る接 触 で あ った 。 に も拘 わ らず,外 来 者 の 価 値 体系 は,接 触 の 殆 ん どなか っ た地 域 の現 地 人 と比 較 す れ ば,か な りの 速度 で接 触 地 域 の現 地 人 に 浸透 した。 この こ とは私 が1970年 に初 め てPNGの 各 地 を お とつ れ た と き の経 験 か らも 明 らか で あ る。 自治 権 獲 得前 後 か ら,外 来 者 との接 触 は 交 流 へ と 形 を変 えつ つ あ るが,そ の程 度 及 び 速 度 は依 然 地域 に よ り大 き く異 な る。 現 在 州 行政 庁 所 在 地 とな って い る市 街 地 な どで は,外 来者 の もた らす 巨大 な西 欧 の 物 質 文 明 の影 響 は 加 速 度 的 に 大 き くな って い る 一 方,い まだ に,学 者 や 探 検 家,あ る いは 鉱 物 探 査 関 係 者 な どの 限 られ た人 々 と断続 的 に しか 接 触 しな い 地 域 も多 く残 され て い る。 この よ うな 現 状 は,現 地 人 が 「近 代 的 な機 能 を そ な え た 社 会 」 か ら 「原 始 的 類 型 を と どめ た 社会 」 ま で の極 め て広 い範 囲に 生 存 して

8)  ``Physical  Anthropology",``Human  Genetics","Settlement  Patterns'㌔Encyclひ

〆ノαθ4∼α げPaノ)ua  Neze,  Guinea,  Melbourne  University  Press,1972.

(6)

  114 い る こ と,及 び,外 来 者 の 行動 様 式 の相 違 に よ り,現 地 人 の中 に 様 々な 外 来 の 価 値 体 系 が 入 り組 ん で い るこ とを示 唆 して い る。 従 って,現 地 人 と外来 者 の接 触,交 流 を通 じて生 ず る様 々 な文 化 的,経 済 的 摩 擦 の 程 度 に よ り,現 地 人 の 行 動 及 び 思 考様 式 に大 き な地 域 間 格 差 が 存 在 して い る こ とは 殆 ん ど疑 う余 地 が な い 。又,そ の格 差 は,植 民 地 勢 力 と の接 触 が 長 か った アジ ア ・ア フ リカ の 旧植 民地 と比較 してか な り大 きい と推 察 され る。 伝 統 的 価 値 体系 が,新 らた に組 み 込 まれ た 価 値 体 系 の 中 で,ど の よ うな地 位 を し め て い るか は,今 後 のPNGの 経 済発 展 を め ぐる諸 々 の政 策 の 中 で 重 要 な意 味 を持 つ で あ ろ う。 しか し,現 在 の と ころ,こ れ を 知 り うる手 が か りを 持 た な い 。       表2。2    人種別人 口構成(1971年 人 口調査)      (単位:人) 人 種 人 人 人 他 血   パ   ツ 地   国 の   口   ︻ 現 ヨ 中 そ 混 合 二 卜 一一 ロ 男 1,262,651   27,137   1,489     683   1,929 1,293,890 女 1,172,758   20,020   1,271     157   1,839 1,196,045 合 計 2,435,409   47,157   2,760     840   3,768 2,489,935

  (出 所)Bureau  of Statistics, OP. cit.,1974/75,1978,  p.13, Table 10.

  外 来 者 の 構 成 は,表2.2に み る よ う に,PNGに お け る 植 民 地 時 代 以 降 の 歴 史 を 反 映 し,ヨ ー ロ ッパ 系 が 中 心 と な っ て い る 。 パ プ ア 側 に は 英 国 人 系(オ ー ス トラ リ ア 人 を 含 む)が 圧 倒 的 に 多 く,ニ ュ ー ギ ニ ア 側 に は ドイ ツ 入 来 も み ら れ る 。 中 国 人 系 は ドイ ツ 人 が 労 働 者 と し て 移 入 し た も の が 殆 ん ど で あ る と さ れ て い る 。 ヨ ー ロ ッパ 系 移 住 者 は,年 代 別 に 次 の4つ の グ ル ー プ に 大 別 さ れ る 。 第 一 の グ ル ー プ は,キ リス ト教 布 教 を 目的 と し て19世 紀 中 ・後 期 か ら 徐 々 に 移       10) 住 して きた 人 々で,移 住 の歴 史 は最 も古 い。 第 二 の グ ル ー プは 第 一 次世 界大 戦 まで に 移 住 して きた 人 々で,こ れ らの人 々 の殆 ん どは 生 活 基 盤 が 確 立 され て お

10)  ``Missions",  Enc)7cJo♪ αθゐ α げPapuaハ 勉τけGz`ゴnea,  Melbourne  University  Press,

(7)

      パ ブア ・ニ ュ ーギ ニ アに お け る経 済 的 後 進 性 と複 合 性     115 り,移 住 者 の エ リ ー トの 中 核 と な っ て い る 。第 三 の グ ル ー プ は,第 一 次 世 界 大 戦 後,一 獲 千 金 を 夢 み て 移 り住 ん だ 人 々 で,そ れ ま で 全 く未 開 で あ っ た 高 地 へ の         入植 も彼 等 に よ り1930年 代 か ら始 ま った 。 これ らの人 々 の 中 に は,海 運,商 店, コー ヒー,紅 茶,コ ブ ラの プ ラン テ ー シ ョンで 成 功 して い る人 々 もか な りあ る。 第 四 の グ ル ー プは,第2次 大 戦 後 の 入植 者 で,中 には プ ラ ン テ ー シ ョン等 で成 功 し てい る人 もい るが,そ の 多 くは,イ ン ドや ア フ リカ各 地 等,旧 英 国植 民地 で 働 い てい た が,大 戦 後,こ れ らが 次 々 と独 立 す るに お よん で,か な りの経 済機 会 の存 在 が 予想 さ れ る地 域 とし て は 殆 ん ど最 後 の 英 国 系 非 独 立 国 とな ったPNG へ 流 れ て 来 た 人 々で,そ の職 業 も,肉 体 労働 者 や,自 動 車 運 転 手 等 が 多 い。 以 上 の外 に 役 人,医 師,教 師 や,外 国 資 本 や 企業 の進 出 に伴 っ てPNGに 居 住 して い る人 々が あ る。 この よ うに外 来 者 の 中に も複 合 的 な 要 素 が 濃 厚 に認 め られ る。   2)経 済 活 動 人 口   次 に経 済活 動 人 口の構 成 か らPNGの 経 済 構造 上 の 複合 性 と後 進 性 を 考 察 す る。                 表2・3  人 口 と 経 済 活 動 人 口(1971年)    (単位:人,%) 現   地    人 外  来  者 合         計 男 女 6卜 男 女 計 男 女 計 総   人   口 1,262,651 1,172,758 2,435,409 31,239 23287 54,526 1,29:5,390 1.196015 2,489,935         ¢10才以 上 人 口 820,287 7G9,306 1,539,593 24,478 16,7.56 41,231 84・1,767 786,062 1,630,829 経 済 活'動 人 口   貨 幣 経 済 部 門  調時15時 間以 上  労  働聞1∼14時 間  一 時 的休職 人 口  完 全 失 業 人 口  非 貨 幣経 済部門 626,411   {100,0 336,783 (53.8 260,872 35,980 33,117   6814 289,628 (46.2 403,975 (1(X).0 151,524 (37.5 93,424 36,954 19,663   1,478 252,451 〔62.5 1,030,386    (100.0  488,307   {47.4 354,296   72,934   52,785    8,292   512,079   (52.6) 22,426 (100.0 22,378 (99.8 21,522     52s     276      52 1(430 .2 10,431 〔100.0 10,424 ⊂99.5 8,698   513 1,139    74    57 {0,5 32,907 (too.0 32,802 〔99.7 30,220 1,041 1,4工5    126    105 〔0,3) 618,839   口00.0 359,163 (41,6 282,394 36,509 33,391   6866 289676 (55.4) 414,456 〔100.0 161,9孟8 ⊂39.1 102,122 37,466 20,808   1,552 252,508 (Go,9 1,063,295    1100,0  521,111    149.0 384,516   73,975   54,202    8,41a 512,181   (51,0) 経 済 非 活 動 人 口 193,876 365,331 559,207 2,052 6275 8,327 195,928 371,606 567,534 (出 所)Bureau  of Statistics, OP. o'オ.,1978, p.45,  Table  41.

(註)  ①   6刀30日 現 在 。

      ② パ プ ア ・ ニ ュ ー ギ ニ ア で は 生 産 年 令 を10才 以 上 と し て い る 。

11)  J.B.  Watson,``Anthrolx)logy  in  the  New  Guinea  Highlands'㌧American  An.   〃∼'roρ010g'∫ちVol.6G,  No.4,  Part  2(Aug.1964)PP,1-19.

(8)

  116   第 一 に 指摘 され る特 徴 は,外 来者 の殆 ん どは貨 幣経 済 部 門 に 属 して い るが, 現 地 人 に お い て は,そ の経 済活 動 人 口の実 に 半 数 以 上 が 非 貨 幣 経 済 部 門 に 属 し て い る とい うこ とで あ る。 表2.3に み る よ うに,1971年 の 現 地 人 々 口2,435千 人 の うち10才 以上 の生 産 年 令 人 口は1,590千 人 で,現 地 人 全 体 の65.3%で あ っ た。 生 産 年令 人 口に しめ る経 済 活 動 人 口は64,8%(1,030千 人)と か な りの 高 率 を示 して い る。 しか しそ の うち貨 幣 部 門 の経 済 活 動 人 口は,男 子 に お い て53.8 %,女 子 に お い て はわ っ か に37.5%と 低 率 で,平 均 で も47.4%と 半 数 に も満 た な い。 高 率 の非 貨 幣 部 門経 済 活 動 人 口は,国 内 人 口移 動統 計 に あ らわれ た 向都 市 移 動(そ の殆 ん どは 恐 ら く貨 幣 部 門 か らの 移動 で あ る と考 え られ るが)の 傾 向 よ り,少 な くと も低 下 の方 向 へ 動 い て い るで あ ろ うこ とは推 察 で き る。 しか し,両 部 門 の経 済 活 動 人 口 の推 移 を 示 す 時系 列 デ ー タが な いた め,貨 幣 部 門 に お け る経 済活 動 人 口増 加 の速 度 は 明 らか で は な い。 又,貨 幣 部 門及 び非 貨 幣 部 門 の経 済 活動 人 口の横 断面 比 較       表2 ・4粗 労 働 力 率   (単位::%) を 可 能 に す る資料 も入 手 出来 な い た め,PNGの 非 貨 幣経 済 部 門 の 規模 を 国 際的 に位 地 づ け る こ とは で きな い。 しか し,1971 年 に お い て,男 女 平 均 で52.6% とい う非 貨 幣部 門 の経 済 活 動 人 口の規 模 は低 開発 諸 鼠 の 中で も 特 に 大 きい部 類 に属 す る ので は な か ろ うか。   第 二 に指 摘 され る こ とは,現 地 人,外 来 者 共,労 働 力率 が 高 い こ とで あ る(表2.4)。 外 来 者 につ い て は,前 記 の移 住 経 緯 か らみ て も高 い労 働 力 率 は 当然 で あ り,富 裕 な外 来 者 の多 くが 子 国 名 PNG(1966)合 計     (1971)現 地 人       外 来 者       合 計 ホ   ン   コ  ン(1976) イ ン ド(1971) イ ン ド ネ シ ア(1971) イ     ラ     ン(1972) 日         フ仁(1976) 韓      国(1974) 半 島 マ レ ー シ ア(1970) フ ィ リ ピ ン(1975) シ ン ガ ポ ー ル(1976) タ         イ(1976) { ﹂ り 57.9 49.6 71.8 51.2 6 5 3 4 6 5 2 2 2 0 7 2 7 5 0 5 4 7 4 2 5 5 4 4 6 4 4 4 5 5 女 59.0 34.4 45.0 35.0 32.4 11.9 22.8 5.4 35.1 26.6 20.9 24.5 25.5 46.0 平 均 58.4 42.3 60.4 43.4 45.3 32.9 34.9 26.2 47.7 36。1 32.6 35.8 40.0 49.0

(出 所)UN,  YearbookげLabour  Stati∫ ∫'c5,1977,     Table  1.

    Bureau  of Statistics  op. o".,1979,  p.35,     Table  35.

(9)

      パ プア ・ニ ューギ ニアにおける経済的 後進性 と複合性   117 弟 を オ ース トラ リア等 に住 わせ て い る ことが,労 働 力 率 を 一 層 引 上 げ る結 果 と な って い る こ とは納 得 で きる。 現 地 人 の労 働 力 率 は,比 較 年 次 は 異 るが,男 女 平 均 で は シ ン ガポ ー ルや 韓 国 とい った 先 発 低 開 発 国 よ りも高 い 。PNGに お け る この 高 い労 働 力率 の理 由は,経 済 活 動 人 口の 母 体 で あ る生 産 年 令人 口の総 人 口に しめ る比 率 が 高 く,か つ,生 産 年 令 人 口に しめ る経 済 活 動 人 口の比 率 が 高 い と こ ろに 求 め られ よ う。 総 人 口に しめ る生 産年 令人 口比 率 が 高 い こ とは,第 一 に,PNGに お い て は生 産 年 令 を10才 以 上 と定 め て い る こ とに よ る。 従 って, 多 くの 低 開 発 国 同 様,PNGで は,幼 少経 済 依 存 人 口比 率 が高 いに もか か わ ら ず,総 人 口に しめ る生 産年 令 人 口比 率 は,か な り高 い。 第 二 に,PNGに お い て は,他 の 多 くの 国 と比較 して,平 均 寿 命 が 比 較 的 短 か い た め,老 令経 済 依 存          人 口の 比 率 が 比較 的 小 さ い こ とに よる。 しか し,表2.4に 示 す 国 の 中 に は,平 均 寿 命 に お い て,PNGの そ れ と大 差 のな い 国 が1∼2あ る。 又,表2.4の 多 くの 低 開 発 国 に お い て は,生 産 力参 加 の下 限 を10才 ない しは11才 と して い る。 そ の た め 上記,第 一 及 び第 二 の要 素 は,他 の 低 開 発 国 との 比 較 に お い て,必 ず       表2・5    中 学 以 上 の 学 生 数        (単位:人) 中 学(Secondary  School) 職 業 セ ン タ ー(Vocational  Centre) 工 科 専 門 学 校(Technical  College)

教 員 養 成 学 校(Teacher  Training  College)

教 育 大 学(Teacher  Training  University)

大 学(University) 合 計 10∼24才 人 口 10∼24才 に しめ る学 生 数(%) 1971 n,a. n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. 1972 24,335 3,778 2,237 1,936 1,395   868 1973 26,259 4,165 2,584 1,932 1,747 1,159 1974 28,720 3,903 2,743 2,231 2,161 1,558 1975 30,492 5,415 3,616 2,545 2,357 1,732 1976 32,050 5,244 3,787 2,811 2,624 1,922 n.a.  34,54937,57341,31646,157  48,438 682,387 n.a.   ① 5.06

n.a. n.a. n.a. 840,070   5.76

(出所) (註)

Bureau  of  Statistics,  OP.  cit.,1979,  Tables  8,128,129,130及 び133. UN,  Demographic  Yearbook,1977,  Table  7.

①   (1972年 の 学 生 数)/(1971年 の10∼24才 人 口) n.a.:不 詳 。

(10)

118 図2・1    男女 年 令 層 別 労働 力率 % 100 50                   〆 r 一 , -              ・ ノ                                         ① ① ② ② 辱噛一■へ     、     、     、       、       、       、         、 '        、 男 一'…"一 女 ㌔ ・一  一r「

   \

② ① ① い \ 、 、 ・ 、 、 、 、 ② 、 、 、 、 、 、 、 、 、 \ 、 、 、       0       15  20  25  30  45  50  55  60  65年 令       l    l       l   l       l   l   l   l   l   l         15   19   24   29   44   49   54   59   64

    (出所)UN,  Yearbook of Labour  Statistics,1976, Table 1,及 び1978,  Table 1.     (註)①:1966年 。 外 来 老を 除 く。       ②:1971年 。 外 来 者 を含 む 。 し もPNGの 高 い 労 働 力 率 を 説 明 す る 固 有 の 理 由 と は な り得 な い 。 従 っ て,他 の 諸 国 と 比 較 し てPNGの 労 働 力 率 が 高 い 理 由 は,生 産 年 令 人 口 に し め る 高 い 経 済 活 動 人 口 比 率 の 中 に 求 め られ な け れ ば な らな い 。 生 産 年 令 人 口 に し め る 高 い 経 済 活 動 人 口 の 比 率 は,経 済 非 活 動 人 口 を 主 と し て 構 成 し て い る 学 生 及 び 職 業 を 持 た な い 主 婦 の 規 模 を 観 察 す る こ と に よ っ て 説 明 さ れ る 。 中 学 生 以 上 の 学 生 数 は,1972年 以 降76年 ま で の 間,着 実 に 増 加 し て い る(表2,5)。 し か し,10 才 か ら24才 ま で の 人 口 に 対 す る 学 生 数 の 比 率 が 示 す よ うに,就 学 年 令 層 の 非 経 済 活 動 人 口比 率 は,い ま だ 極 め て 小 さ いO業 を 持 た な い 主 婦 に つ い て は,年

(11)

バ ブ ア ・ニ ュー ギ ニ アに お け る経 済 的 後進 性 と援 合 性    119 図2・2    年 令 層 別 賃 金労 働 者 比 率 % 30 20 10 0 男 一 一 一 一一女 15  20  25  30  35  40  45  50年 令 l    l     l     I    ∼    l    l    l 19    24    29    34    39    44    49 (出 所)UN,  Demographic  Yearbook,1977,  Table  7.

      Bureau  of Statistics,  op.  cit.,1978,  Table  41.   (註)  1. 2. 3 4 同一 年 次 で比 較 可 能 な 資料 が ない た め,年 令 層 別 人 口は1976年,同 賃金 労 働 者 数 は1975年 と した。 15一一一19才の賃 金 労 働 者比 率 は16-19才 の賃 金 労 働 者 数 に 対 す る15∼19才 の 人 口比 率 。 賃 金 労 働 者 に政 府 職 員 は含 まれ て い な い。 賃 金 労 働 者及 び年 令 層 別人 口には 外 来 者 を含 む 。 令 層 別 女 子 労 働 力 率 の 高 さが そ の規 模 の小 さ い こ とを 物 語 って い る(図2.1)。 女 子 労 働 力 率 は5年 間 に大 巾 に低 下 した 。 しか し,依 然 と してPNGに お け る 女 子 労 働 力 率 は 日本 や ホ ン コン に 匹 敵 す る 高 水 準 に あ る(表2.4)。 この水 準 は,女 子 労働 に対 す る宗教 的 な制 限 のあ る国 は 別 と して も,他 の 低 開 発 国 と比 較 して 異 常 に 高 い の で は な か ろ うか 。 こ の高 い 女 子 労 働 力 率 は,労 働 内容 か ら み て,職 業婦 人 が 多 く存 在 す るた め で も,女 子 労 働 力 が 逼 迫 して い るた め で も な い 。 そ れ は,女 子 の労 働 時 間(表2.3)及 び年 令 層 別賃 金 労 働 者 比 率(図2.2) か らみ て も明 らか で あ る。 又,そ の分 布 に お い て も,先 進 国 的 な 年令 分布 パ タ ー ンを示 す もの とは い い難 い。 そ れ は専 業 主 婦 及 び 職 業 婦 人 が共 に数 多 く存 在

(12)

  120 す る 日本 等 先進 国 に多 くみ られ る分 布,即 ち,も と も と女 子 労 働 力 率 は 男子 よ り低 く,し か も,結 婚,育 児 期 に あ る女 子 が,一 時経 済非 活動 人 口 とな り,育 児等 か ら解 放 され る年 令 で 再 び 経 済 活 動 に参 入す るた め に描 か れ るM字 形 とは 異 る と ころ が ら明 らか で あ る。 従 って,PNGの 年令 層別 女 子 労 働 力率 の分 布 は,単 に 専業 主 婦 とい う分 化 が い まだ そ れ程 顕 著 で は な く,農 耕 は古 来 か ら女 子 に与 え られ た 仕 事 で あ る とい う伝 統 的 労働 形態 が根 強 く存 続 して い る こ と を 示 して い る よ うに思 わ れ る。   以 上 の よ うに,PNGに お い て は各 年 令層 に お け る学 生 及 び 専 業 主 婦 が 少 な い ことが,高 い 労 働 力 率 の 原 因 とな って い る。 この こ とは,逆 に,PNGの 経 済 及 び社 会 構 造 の 後 進 性 の 一側 面 を示 唆 して い る もの と推 察 され る。 しか し, 同時 に,1966年 か ら71年 の 間 に,特 に女 子に お い て労 働 力 率 が 著 し く低 下 して い る こ とに 注 目 しな け れ ば な らな い。 この著 しい変 化 は,あ る いは 統 計 手 法 に 相 違 が あ った ので は な い か と の 推 量 の余 地 を 残 して い る。 し か し,こ の変 化 は,教 育 が 普 及 しつ つ あ るた め若 年 層 の経 済 非 活 動 人 口化 が 徐 々に 進 ん で い る こ と も さ る こ とな が ら,主 婦 の専 業 化 が か な りの 速 さで 進 ん で い る結果 で は な い か と理 解 す る こ とが で き よ う。 こ の よ うな 理 解 に も とづ け ば,女 子労 働 力 率 は,そ の 高 い水 準 に お い ては な お後 進 的 性 格 を 強 く示 して は い るが,他 方,そ の著 しい低 下 は,労 働 の概 念 が 明 確 化 しつ つ あ り,労 働形 態 が急 速 に変 貌 しつ つ あ る こ とを示 唆 して い る と受 け と る こ とが で き よ う。   第 三 に指 摘 され る特 徴 は,統 計 上,完 全失 業 率 が極 め て低 い とい うこ とで あ る(表2.3)。 そ し て,そ の実 態 の 中 にPNGの 後進 性 と複 合 性 が 内包 され て い る と い え.よう。 外 来 者 の低 失 業 率 は,既 に述 べ た如 く,彼 等 の移 住 動 機 か ら納 得 で き る。 現 地 人 の 完 全 失 業 率 は,非 貨 幣部 門 につ い ては 不 明で あ るが,貨 幣 部 門 に おい て は,男 子2.0%,女 子1.0%(1971年)と 低 率 で,ほ ぼ 完 全 雇 用 の状 態 に あ る。 完 全 失 業 率 が 低 い理 由 は,図2.2に み る よ うに 年 令 層 別 に み た 経 済 活 動 人 口に しめ る賃 金 労働 者比 率 が 低い ことに 求 め られ る。 賃 金 労 働 者 比 率 が 低 い こ とは,就 業 人 口の配 置 構 成 か らみ る限 り,近 代 部 門 な い しは,組 織 的 な 雇用 形 態 を備 え た部 門 が少 さい ことを 意 味 す る9組 織 的 な 雇 用 形 聾 を 備 え

(13)

      パ プア ・ニ ューギ ニアにおけ る経済的後進性 と複合性   121 た 部 門 は,本 来 必 要 以 上 の 労 働 者 を 許 容す る 能 力 を持 た な い 性 質 を 有 す る。 そ の た め,就 業 構 造 に しめ る賃 金 労 働 者 の 比率 が大 き けれ ば,雇 用 機 会 に 恵 まれ な い経 済 活 動 人 口は 失 業 者 とな らな け れ ば な らな い。 しか し,賃 金 労 働 者 比 率 の小 さ いPNGに お い て は,雇 用 機 会 が な くて も,労 働 力 は 伝 統 的 な 共 同 体 的 体 系 の背 後 に 隠 され,失 業 が顕 在 化 しに くい傾 向 が あ る。 従 っ て,統 計 に あ ら わ れ た 高 率 の就 業 人 口が,PNGの 経 済規 模 の 中 に吸 収 され て い な い こ とは 十 二 分 に 推 察 可 能 で あ り,限 界 生 産 性 が 殆 ん どゼ ロに等 しい 労 働 力が 大 量 に存 在 し てい る と考 え られ る。 この こ とは,貨 幣部 門 に お い て,一 時 的 休 職 人 口 と週 間 労 働 時 間 が1∼14時 間,即 ち,1日 の平 均 労働 時 間が2時 間 以 内 の人 口を 合 わ せ る と,男 子 で20%,女 子 で40%弱 に もの ぼ る こ とか らも 明 白で あ ろ う。 労 働 時 間 が 極 め て 短 い就 業 者 や 一 時 的 休職 者 とい った,い わ ば 不 完 全 就 業 者 が, 少 な くと も全 就 業 者 の4分 の1以 上 も存 在 して い る ことは,外 来 者 とは 対 照 的 で あ る。 賃 金 労 働 者 比 率 が 小 さい と と,即 ち,経 済活 動 人 口 の圧 倒 的 多 数 が 傭 員 を もた な い 自営 者 又 は 家族 従 業者 で あ る こと と,不 完 全 就 業 者 の比 率 が 高 い こ とは,前 記 の 高 い 労 働 力 率 を別 の側 面 か ら説 明す る と同 時 に,完 全 失 業 率 が 極 め て 低 い こ と とあ わ せ て,PNG経 済 活 動 人 口に み られ る複 合 性 と後 進 性 の 一 側 面 を 象 徴 的 に表 わ して い る と理 解 され る。   3)  職 業 別 就 業 構成   経 済 活 動 人 口の 構 成 上 の 特 徴 を概 観す る ことに よ って,PNGの 経 済構 造 の 持 つ 後 進 性 が か な り明 確 に な っ た。 次 に,経 済 活 動 人 口の経 済 活 動 に対 す る参 加 の 側 面 か ら,PNGの 経 済 的 後 進 性,複 合 性 を 考 察 す る。既 に み た よ うに, PNGの 経 済活 動 人 口の大 半 は 自給 自足 の 非貨 幣経 済部 門 に属 し てい る。 また ・ 貨 幣経 済 部 門 に属 す る人 口につ い て も労 働 の地 位 別 構 成 に 関 す る資料 は得 られ な い 。従 って,以 下,貨 幣 経 済 部 門 を中 心 に 現 地 人 及 び外 来者 の職 業 別 就 業 構 成 に か ぎ って これ を 観 察す る。   表2.6は 分 類不 能,一 時 的 休 職 者 及 び 失 業 者 を 含 め た1971年 に お け る現 地 人 と外 来老 の職 業 別 就 業 構 成 を示 して い る。 これ に よ る と,現 地 人及 び外 来 者 の 構 成 に は,共 に 著 しい 特 徴 が認 め られ るg現 地 人 に お い て は,農 業 関 係 の麓 業 者

(14)

122 表2・6       ① 職 業 別 就 業 構 成(1971年) (単位:%,人) 現 地 人 外 来 者 合 計 男 女 計 男 女 計 男 女 計 専門的技術的職業 4.0 3.2 3.7 20.3 24.1 21.s 5.0 4.6 4.9 管 理 的 職 業 0.8 0.0 0.6 14.9 3.7 11.4 1.7 0.3 1.3 事 務 従 事 者 1.6 0.7 1.3 11.4 37.7 19.8 2.2 3.0 2.5 販       売 2.1 1.1 1.8 3.4 8.3 5.0 2.2 1.6 2.0

騰 園(購書)

35.0 58.9 42.4 1.0 0.2 0.7 32.8 55.2 39.7 農 業農園労 働者 15.8 14.5 15.4 0.6 0.2 0.4 14.9 13.5 14.4 狩 猟 ・ 漁 業 0.4 0.3 0.4 0.7 , ・ 0.5 0.4 0.3 0.4 林       業 0.9 0.0 0.6 0.2 0.1 0.8 0.0 0.6 採 鉱 ・ 採 石 0.9 0.0 0.6 0.7 0.5 0.9 0.0 Q.6 運  輸 ・ 通 信 3.1 04 2.2 5.3 1.3 4.0 3.3 0.1 2.3 生      産 15.0 3.0 11.2 25.1 0.6 17.3 15.6 2.8 11.6 サ ー ビ ス ・防 衛 7.6 3.5 6.3 5.8 3.6 5.1 7.5 3.5 6.3 (警察 ・防衛) (2.1) (0.0) (1.5) (4.6) (0,0) (2.4) (2.2) (0.0) (1.6)   (家事従事者)

・・峨 嗣

(2.6)12.8 (2.4) 14.7 (2.5) 13.5 (0.0) 10.6 (0.3) 20.3 (0.1) 13.7 (2.4) 12.7 (2.2) 15.1 (2.4) 13.4 合     計   100.0 (336,783)   100.0 (151,523)   100.0 (488,306)   100.0 (22379)   100.0 (10424)   100.0 (32803)   100.0 (359162)   100.0 (161.947)   100.0 (521,109)

  (出所)Bureau  of Statistics, op. cit,,1978, PP.46-47,  Table 44.   (註)①   6月30日 現 在 。 の 貨 幣 部 門 経 済 活 動 人 口 に し め る 割 合 は,男 子50.8%,女 子73.7%と い う高 率 で あ る 。 一 方,:専 門 的 技 術 的 職 業 及 び 管 理 的 職 業 に 従 事 す る も の は,男 子 に お い て も5%に 満 た ず,女 子 に お い て は,わ っ か に3%台 と い う 状 態 で あ る 。 又,事 務 及 び 販 売 従 事 者 の 就 業 比 率 も極 め て 低 い 。 こ の よ う な 構 成 比 は,比 較 年 次 は 異 な る が,男 子 に お い て は,イ ン ド,イ ン ドネ シ ア,フ ィ リピ ン,タ イ 等 と さ ほ ど大 き な 相 違 は な い 。 女 子 に お い て は,販 売 ・サ ー ビ ス 及 び 生 産 ・運 輸 関 係 従 事 者 比 率 は,イ ン ド と ほ ぼ 等 し い が,ASEAN諸 国 よ り か な り低 い (表2.7)。 しか し,こ れ はPNG現 地 人 の 貨 幣 部 門 の 経 済 活 動 に 限 定 し て の 対 比 で あ る。 自給 自足 を 営 む 非 貨 幣 部 門 の 経 済 活 動 人 口 が す べ て 農 林 漁 業 に 従 事 し て い る と 仮 定 す れ ば,PNG現 地 人 の 非 農 林 漁 業 従 事 者 比 率 は 大 巾 に 低 下 す る 。 こ の よ うな 想 定 で 試 算 し たPNGの 非 貨 幣 部 門 を 含 め た 全 経 済 活 動 人 口 の 職 業 別 就 業 構 成 か ら,PINGの 経 済 に は,他 の 低 開 発 諸 国 と比 較 し て,生 産 活 動 の 著 し い 未 発 達 ・未 分 化,流 通 組 織 の 未 整 備,市 場 の 狭 隘 性 と い っ た 後 進 的 性 格 が うか が え るg

(15)

  パ プ ア ・ニ ュー ギ ニ アに お け る経 済 的 後 進 性 と複 合 性    123 表2・7  国 別 職 業 別 就 業 構 成       (単位:%) PNG現 地 人(1971)     外 来 者(1971) ホ ン コ ン(1976) イ ン ド(1971) イ ン ド ネ シ ア(1971) イ ラ ン(1972) 日 本(1976) 韓         国(ユ976) 半 島 マ レ ー シ ア(1970) フ ィ リ ピ ン(1975) シ ン ガ ポ ー ル(1976) タ      イ(1976) 男 専 門 ・ 事務 6.4 46.6 16.0 6.9 7。0 7,1 24.4 12.3 10.4 7.6 23.1 5.6

9.7 9.2 28.0 8.0 11.7 15.0 20.2 14.9 17.6 9.9 24.7 10.0 農 ・ 林 ・漁 52.1 2.5 2.7 69.8 62.4 52.1 9.5 39.7 42.1 61.1 3.0 63.5 生 産 ・ 運 輸 19.0 31.1 50.2 11。1 12.3 24.5 43.5 27。4 22.9 19.7 36。7 20.2 其 の他 12.8 10.6 3.1 4.2 6。6 1.3 2.4 5.7 7.0 1.7 12.5 0.7 女 専 門 ・ 事 務 3.9 65.5 18.1 3。5 3.1 13.3 29.9 5.8 8.6 15.3 37,7 4.9

4。6 11.9 21。6 4.5 18.4 10.2 26.4 23.6 12.8 34.0 26.0 18.7 農 ・ 林 ・漁 73。7 0.4 2.2 82.5 58.1 11.0 15.6 48.7 54.5 33.4 ユ.8 59.7 生 産 ・ 運 輸 3.1 1,9 54.8 4。9 9.2 64.0 26.2 19,9 10.3 14。8 28.6 16.3 其の他 14。7 20.3 3.3 4.6 11.2 1。5 1,9 2.0 13.8 2.5 5.9 0.4

  (出所)  UN, Yearbook of Labour  Statistics,1977, Table 2B.         Bureau of Statistics, OP. cit.,1978, Table 44.

  (註)  「共 の 他 」 の 内容 は 国 に よって 異 な る。 即 ち,イ ン ドネ シ ア,半 島 マ レー シ         ア,フ ィ リピン及 び タイ は分 類 不 能 及 び新 規 求 職 者。PNG,イ ラン,日 本         及 び シン ガ ポ ール は 分類 不 能 及 び失 業 者(PNGは 一 時 的 休 職 者 を含 む)。ホ         ソ コン は分 類 不 能,軍 隊,新 規 求職 者。 イ ン ドは分 類 不 能 。韓 国 は失 業 者 。   経 済 活 動 人 口 の 圧 倒 的 多 数 が 農 業 関 係 の 就 業 者 で あ る と い う現 地 人 の 職 業 別 就 業 構 成 とは 極 め て 対 照 的 に,外 来 者 に お い て は,専 門 的 技 術 的 職 業 及 び 管 理 的 職 業 に 従 事 す る 人 口 が30%以 上 を し め て い る 。 事 務 及 び 販 売 従 事 者 の 比 率 も 高 く,特 に 女 子 に お け る 事 務 従 事 者 の 比 率 は 極 め て 高 い 。 製 造 業 に 従 黙 す る 人 口 は,男 子 に お い て は25.1%を し め て い る が,女 子 は わ っ か に0.6%と 低 率 で あ る 。 農 林 漁 業 関 係 者 の 比 率 は 男 女 共 著 し く低 い 。 こ の よ うに,外 来 者 の 職 業 別 構 成 比 は 他 の 諸 国 と比 較 し て 極 め て 特 異 な 特 徴 を 示 し て い る 。1971年 に お け る,現 地 人 と外 来 者 の 極 端 に 対 照 的 な 職 業 別 就 業 構 成 は,PNG経 済 に お い て 外 来 者 が 主 導 的 立 場 に あ っ た こ と を 反 映 し て い る と い え よ う。 そ れ は,第 一 次 世 界 大 戦 後,PNGが 豪 州 の 一 元 的 統 治 下 に お か れ て い た と は い え,そ こ に は, 現 地 人 の 能 力 開 発 に 殆 ん ど 関 心 を も た な い 一 種 の 愚 民 化 政 策 を 含 め,植 民 地 支 配 的 形 態 が 強 力 に 存 在 し て い た こ と に 起 因 し て い る こ と は 否 定 で き な い 。

(16)

124   しか し,こ こで 注 目 して お か な けれ ぽ な らな い こ と は,現 地 人 に 対 す る植 民 地 的 支 配 存 続 の 中 に あ って も,物 量 的 な 近 代 文 明 の 影 響 の 地 域 差 及 び 個 人 差 が,現 地 人 の 間 に 一 つ の 階 層 分 化 を形 成 させ つ つ あ る ので は な いか とい うこ と で あ る。 外 部 との 接触 期 間 が短 か く,そ の程 度 も小 さ い地 域 に おい て は,殆 ん どの 現 地 人 は,村 落 共 同 体的 原 始 社 会 秩 序 の 中 で,み つ か ら 消 費 す る 食 糧 等 は,基 本 的 に はみ つ か ら生 産 しなけ れ ば な らない とい う経 済 観 に 支 配 され て い る と考 え られ る。 この よ うな大 多 数 の現 地 人 の中 で,貨 幣 部 門 の限 られ た 分 野 に は,少 数 では あ るが,経 済 機 会 と 自己 啓発 の機 会 を得,上 に み た 如 く,専 門 的 技 術 的職 業 及 び管 理 的 職 業 に従 事 す る者 が 存 在 す る。 この こ と 自体,独 立 国 と し て 当然 で あ り,近 代 社 会 の主 要 な 側 面 が,国 民 の 社 会 に お け る役 割分 担 が 専 門化,細 分化 され てい る ことで あ る こ とを 考 えれ ば,現 地 人 の 職 業 構成 が 多様 化 す る こ とは近 代 化 へ の動 意 を 示 す もの と して 評 価 され るべ きで あ ろ う。 しか し,少 数 の 中枢 的 職 業 に従 事 す る現 地 人 の 存 在 を 経 済 構造 の側 面 か らは近 代 社 会 へ の 一里 塚 と して理 解 す る と し て も,社 会 構 造 面 か らは,そ の過 程 が,階 層 分 化 の な い 非 専門 的集 団社 会 か ら,経 済 及 び 政 治 の指 導 階 層 と貧 困 な大 衆 の二 極 分 化へ の移 行 に つ な が らな い とは 断 言 で き ない 。PNGの 現 地 人 の非 農 林 漁 業 従 車 者 の 動 向 を示 す 時系 列 デ ー タ は得 られ ない が,経 済 及 び 社 会 開発 に 必 要 と され る資 質 を 備 え た 現 地 人 の 供 給 が 円 滑 に 行 わ れ な けれ ば,た とえ 「現 地 化 」 政 策 を 標 榜 して 電,権 力 は 少数 の現 地 人 に 集 中せ ざ るを 得 ず,そ の 結 果 と して 階 層 分 化 が進 み,経 済 開発 の動 態 が阻 害 され る懸 念 が あ る。 こ の こ とは, 既 に い くつ か の 低 開 発 国 の経 験 が示 して い る。 しか し,逆 に,少 数 の中 枢 的 指 導 者 層 が 大 衆 を 啓 発 し,経 済発 展 の推 進 力 と な らなけ れ ば な らない こ と も,ま た,事 実 で あ る。 皿 所  得 分  配   低 開 発 国 に お け る人 々 の所 得 水準 は必 ず し も各 人 の生 活 水 準 を 厳 密 に 反 映 し て い る とは い え な い が,所 得 が 国 民各 層 に如 何 に分 配 され て い るか は,そ の 社 会 の 後 合 的 性 格 を 解 明 す る上 で有 用 な側 面 を 提 供 して い るg

(17)

      パプア ・ニューギニアにおける経済的後進性 と複合性  125   PNG社 会 の 複 合 的 性 格,後 進 性 を 所 得 分 配 の 観 点 か ら解 明 す るた め に は, 所 得 階 層 別,産 業 別,職 業 別,地 域 別 等,所 得 分 配 の諸 側 面 を 時 系 列 推移 と横 断 面 比較 の両 面 よ り考 察す る こ とが 望 ま しい 。 しか し,PNGで は現 在 ま で の と ころ家 計調 査 は 行 わ れ て お らず,又,税 務統 計等 の よ り信 頼 度 の低 い統 計 も 得 られ な い。 現 時 点 で 入 手可 能 な 公 的 資 料 は,国 内総 生 産 と 現 地 人,外 来 者 別,産 業 別 賃 金 労 働 者 数 及 び 賃 金 総 額,及 び,一 人 当 りGDPに 限 られ てい る。 従 っ て,こ こで は,国 民 一 人 当 りのGDPの 国 際 比 較 を 行 い,次 い で,産 業別 賃 金 所 得 の分 配 状 態 を 考 察 す る。   一 人 当 りのGDPの 水準 を 国際 比 較 し よ うとす れ ば,購 買 力 平 価 の 国際 比 較 を 行 うこ とが 望 ま しい 。 しか し,現 在 の と ころPNGに 関 して そ の 資 料 は な い 。 従 って,ア ジ ア 地 域 主 要 国 の 為 替 レー トで 換 算 した 米 ドル 表 示 の 一 人 当 り名 目GDPを 表3,1に 示 した。 これ に よる と,1975年 に お い てPNGの 一 人 当 り GDPは,タ イ,フ ィ リピン を 凌 ぎ工 業 化 の 著 しい 韓 国 の水 準 を やや 下 ま わ る と ころ に あ る。 表3.1は 名 目値 で あ るた め,実 質 値 にお い て もPNGが 同様 の 水 準 に あ る とは 断 言 で きな い。 しか し,低 開 発 国,特 に経 済規 模 の小 さ い後 発 低 開発 国 に お い て は,一 般 に,購 買 力 平 価 で は か った 一 人 当 りのGDPが 為 替       表3・1  一 人 当 ヴ 名 目GDP    (単位=米 ドル) 1960 1963 1970 1974 1975 1976 P    N    G① n.a. 138 280 548 481 n.a. ホ  ン  コ  ン 348 409 778 1,631 1,677 2,128 イ    ン    ド 73 89 100 144 n.a. n.a. 'イ ン ド ネ シ ア 73 70 77 196 216 n.a。 イ   ラ    ン 204 210 388 1,454 1,607 1,999 日      木 458 704 1,887 4,130 4,404 4,937 韓         国 150 137 258 484 541 707 半 島 マ レー シ ア 278 288 393 779 780 n.a. フ  ィ  リ  ピ ソ 175 192 192 355 371 407 シ ン ガ ポ ー ル 432 506 916 2,318 2,507 2,594 タ         イ 96 112 180 325 347 379

(出 所)UN,  Statistical  Yearbook,1977.  Table  193.

(18)

126       13) レー トで はか った 一 人 当 りGDPを 上 まわ る 傾 向 に あ る と い う こ とを, PNG に つ い て仮 りに 認 め る な らば,PNGの 一 人 当 りの 実 質 所 得 水 準 は ア ジ ア地 域 に お い て,か な り高 位 に あ る とい え るの で は な か ろ うか。 この よ うに,マ ク ロ 的 に は か な り高 いPNGの 一 人 当 りのGDPの 水 準 は何 を意 味 す る ので あ ろ う か 。 考 え られ る こ とは,既 に み て きたPNGの 経 済 的 後進 性 は,い わ ば 虚 像 で あ り,実 際 の生 活 水 準 は か な り高 い と ころ に あ るか,さ もなけ れ ば,所 得 の著 しい 不 均 等 分 配 が 存 在 して い るか の い つ れか で あ る。 そ こで,極 め て限 られ た デ ー タか らで は あ るが,現 実 の所 得 分 配 の姿 を類 推 してみ た い。 表3.2は1973年6月 現 在 の産 業別 賃金 労働 者 と賃 金 総 額 か ら,一 人 当 りの 賃       表3・2    賃金労働者一人当 り年 間所 得(1973年)  (単位:人,キ ナ) 合    計 ・ 平    均 猟 業 業 石 地廻 道 設 庫 信 産 業 楽 ス ス

.

                    的 個 業     鉱   ガ   輸   保   ル 公 会         の         力     釦 テ 他 社               一.閏    の 域 漁 農 林 採 製 電 建 運 通 金 商 ホ そ 地 理   地   人 人 数 賃金総額 @一 人 当 り賃 金 11・838  &・ ・・ …664   602 33,651 3,157 3,521 9,301 1,298 11,499 5,786   480 1,179 9,851 3,401 12,309 21,803   323,500    537 8,747,600    260 1,571,700    498 5,514,700  1,566 5,703,900    613 1,666,700  1,284 10,483,100    912 5,224,900    903   496,500  1,034 1,220,000  1,035 7,351,400    746 2,539,100    747 9,197,000    747 18,162,400    833

(出 所)Bureau  of  Statistics,  OP.  o'ψ.,1978 ,p.50,

外   来   者 人 数 賃 金 総 額   当 金   人 賃 ⑤ 一 り ⑤/③ 16,768106,840,400  6,372   9.60   78     467,800 435   2,385,000 276   1,905,300 947  11,414,300 1,001   5,965,300 262   3,439,900 1,312   9,968,000 1,3531  8,043,0∞ 201   1,399,4∞ 852   4,791,000 2,512  12,459,700 554   2,609,500 3,116  19,498,㎜ 3,869 5,997 5.483 6.903 12,053 5,959 13,129 7,598 5,945 6,962 5.623 4,960 4,710 6,257 22,494,200  5,814 11.17 21.09 13.86 7.70 9.72 10。23 8.33 6.58 6.73 5.43 6.65 6,31 8.38 6.98 Table  47.

13)  1.B.  Kravis,  A.  Heston,  R.  Summers,  Real  GI)P  perご 砂 加 ノor〃tore'ゐ 侃100

  countries/or  pre∫ θ脚'加to  15th  General  Conference,  lnte〃zational  A∬o廊'加.for   Re∫earth  in  Income  and  Wealth,  Aug.19一 一一25,1977,  Univers㊨ げYork,  England,

  1万 ∫cu∬ion  Paper  No.391,  Dept.  of Econ.,  University  of Pennsylvania,  Revised  ed.,'

(19)

      パ ブア ・ニューギニアにおける経済的後進性 と複合性  127 金 所 得 を 算 出 した もの で あ る。 賃 金 の 分配 にみ られ る第 一 の特 徴 は,人 数 で み れ ば 現 地 人 の14.2%に 過 ぎな い外 来老 が,賃 金 総 額 では,現 地 人 賃 金 総額 の実 に1.4倍 を 受 け取 って い る ことで あ る。 即 ち,外 来 者 と現地 人 の 賃金 に極 端 な 格 差 が み られ る こ とで あ る。 一 人 当 りの賃 金 を み れ ぽ 外 来者 は平 均 で現 地 人 の 9.6倍 を 得 て い る。 現 地 人 の 中で は 高 い 質 的 能 力 を 有す る者 が就 業 し てい る と 考 え られ る金融 ・保 険 ・不 動 産 部 門 に おい て も,外 来者 は現 地 人 の5.4倍 の賃 金 を 得 て い る。 農 業 に お い て は 外 来 者 は 現地 人 の 実 に21.1倍 の賃 金 を 得 て い る。又,全 産業 中最 高 の賃 金 水 準 を 得 て い る現 地 人 労働 者(採 鉱 ・採 石)で も 外 来者 中最 低 の 賃金 受 給 者(ホ テル ・娯 楽)の3分 の1に す ぎ な い。 各 産 業 に お け る賃金 労働 者 の外 来 者 及 び 現 地 人 の地 位 を示 す 資料 は な いが,以 上 の 実 態 か ら,各 産 業 の主 要 な役 職 を 外 来 者 が しめ て い る と推 測 す る ことが で き る。 ま た,両 者 の 間 に は大 き な能 力 の格 差 が あ る と して も,賃 金 格 差 の大 き さが,両         者 の 労 働 生産 性 の格 差 をそ の ま ま反 映 した もの で あ る とは考 え られ な い。   労 働 賃 金 の分 配 とい う限 られ た 資 料 か ら全 体 の所 得 分 配 の 体系 を推 測 す る こ とに は若 干無 理 が あ る こ とは 否 め ない 。 しか し,PNGは,ご く最 近 まで 殆 ん どの地 域 で原 始 的 社 会 生 活 が 営 まれ で お り,国 家経 済 の規 模 は小 さ く就 業 構 造 上 農業 従 事 者 が 圧 倒 的 多 数 を しめ て い る。 この よ うな社 会 に お い て,農 業 賃 金 労 働 者 の賃 金 水 準 が 産 業 間 で 最 低 位 に あ る こ とは,賃 金 労 働 者 以 外 の現 地 人 所 得 も一 般 に極 め て低 い 水 準 に あ る と考 え て も よか ろ う。 一 方,階 層 別,地 位 別 所 得 分 配 を 示 す 資 料 は な い が,経 営 的 階層 に あ る外 来 者 の所 得 は,外 来者 の 賃 金 水 準 よ り,は るか に 大 きい こ とは 容 易 に想 像 で き る。 従 って,PNG  r-iけ る現 地 人 及 び 外 来者 の現 実 の所 得 分配 の不 均 等 度 が 賃 金 労 働 者 に み られ る両 者 の 格 差 以 上 で あ る と類推 す る こ とは さ ほ ど抵 抗 が あ る とは 考 え られ な い。 就 業 人 口の 背 後 に あ る依 存 人 口を考 え れば,PNG現 地 人 の一 人 当 りGDPは,マ ク 14)  「い う ま で もな く,私 た ち の 賃 金 は 同 じ よ うな 仕 事 を して い る 白 人 よ り も は る か に   低 か っ た 。 … パ プ ア 人 の パ トロ ー ル ・オ フ ィサ ー は,年 間,オ ー ス トラ リア ・ ドル で   1,070ド ル か ら1,710ド ル 支 給 さ れ る が,白 人 は 全 く 同 じ 仕 事 を し て 年 間,3,353∼   4,944ド ル も支 給 さ れ る 」A.M.  Kild,前 提 訳 書p.112.

(20)

  128 ロ指 標 で み た 一人 当 りGDPよ りは るか に 下 方 に 乖 離 して い る と考 え られ る。   賃 金 の 分配 に み られ る第 二 の特 徴 は,産 業 間 に も大 きな 格 差 が あ る こ とで あ る。現 地 人 に お い ては,採 鉱 ・採 石 の如 く後 述 す る よ うに 生 産 性 が 高 く,し か も 過 激 な 労 働 が要 求 され る産 業 の賃 金 が 最 も高 く,電 力 ・ガス ・水 道 や,金 融 ・ 通 信 とい った比 較 的社 会 性 や 技 術 的 ない しは 知 的 労 働 を 要 求 され る産 業 の 賃金 が これ に 続 く。 そ して,産 業 に よ る知 的 能 力 や 技 能 に対 す る要 求 が 減 少す る に 従 って,賃 金 も次 第 に低 下 し,主 と して 単 純 ・未 熟 練反 復 作 業 の 要 求 され る製   15) 造 業,農 林 漁業 関 係 の労 働 賃 金 が 最 低 位 に あ る とい うパ ター ンが み られ る。 現 地 人 の 中 で最 も高 い賃 金 を 受 け て い る採 鉱 ・採 石 関 係 労 働 者 と農 業 労働 者 の 間 に は実 に6対1の 格 差 が あ る。 一 方,外 来 者 に あ って は,現 地 人 と同様,生 産 性 が 高 く,し か も苛 酷 な 自然 条 件 下 で,過 激 な 労 働 を強 い られ る採 鉱 ・採 石 や 電 力 ・ガ ス ・水 道,建 設 従 事 者 の 賃 金 が 高 位 を しめ て い る。 しか し,そ の他 の 産 業 間 に は 顕 著 な 格 差 は み られ な い 。 これ は,現 地 人に と っ ては エ リー ト的 職 種 で も,外 来 者 に と って は,単 に 労 働 内 容 の相 違 にす ぎ な い こ と を示 して い る と理 解 され る。 移 住 の経 過 か ら も明 らか な よ うに,外 来 者 の間 に も人 的 資 質 に は 大 きな 差 が あ るが,賃 金 水 準 の 決定 に は,む しろ ほぼ 完 全 雇 用(表2.3)に おけ る硬 直 化 した 賃 金 決 定 の メ カニ ズ ムが 働 い て い る よ うに思 わ れ る。1外来 者 の産 業 別 最 高(電 力 ・ガス ・水道)及 び最 低(ホ テ ル ・娯 楽)の 平 均 賃 金 格 差 は 約2.8対1で あ り,格 差 自体 は 先進 国 に お け る 産 業 間 賃 金 格 差 と く らべ れ ば,か な り大 きい と思 わ れ る。 しか し,現 地 人 の 問 にみ られ る産 業 間 賃 金 格 差 と較 べ れ ば,そ の 分 配 体 系 は か な り異 って い る とい え よ う。   以 上 の 如 く,PNGの 労働 賃金 の 分 配 は 重 層 的 で あ る こ とが 明 らか とな っ た 。 賃 金 所 得 の 時 系 列 を 示 す 資料 は 入 手で き な いが,1973年 の現 地 人 賃 金 労 働        ラ 者 に 対 す る不 均 等 分 配 の 状態 は,原 始 共 同社 会 的 な ほぼ 平 等 の分 配 構 造 が 急 速 に くつ れ は じめ て い る こ とを示 唆 して い る。 15)  PNGに お け る 製 造 業 の 主 た る も の は 食 料,飲 料 及 び 製 材 に 関 連 す る も の で あ る 。

16)  E.Ford,  Papua  New  Guinea:711∼e  Land  and  The  People,  Jacaranda  Press,  Bris・

(21)

      パ プア ・ニ ューギニアにおけ る経済的後進性 と複 合性   129 以 上 の 観点 に 立 て ば,大 多 数 の現 地 人 の一 人 当 りGDPは 生 存 維 持 水準 に あ り,激 し く近 代 化 の波 に洗 われ て い る市 街 地 の一 部 の 現 地 人 が,生 活 水 準 向 上 の機 会 をつ か み つ つ あ る とい うこ とが で き よ う。 これ ら限 られ た 人 々 が従 来 親 族 集 団的 社 会 には 存 在 しな か った 所 得 上,或 い は,社 会 階 層 上 の 一つ の エ リー ト集 団 を形 成 しつ つ あ る とい え るの で は な か ろ うか 。 IV  産 業 構 造 と 就 業 構造 生 産 物 の産 業 別 源 泉(以 下,産 業 構造),及 び,労 働 力 の産 業 別 配 分(以 下, 就 業 構 造)は,一 国 の 経 済発 展 水 準 を示 す 一 つ の指 標 と な る こ とが 実 証 され て い る。 そ こで,以 下,産 業 構 造 及 び就 業構 造 の側 面 よ り,PNGの 後 進 性 な い しは 多 重 性 と して どの よ うな こ とが 指摘 され る か を考 察 す る。 1)産 業 構 造 表4.1は 産 業 源 泉別GDP構 成 比 の 推移 を示 して い る。 表 に よれ ば, PNGの     表4・1    産業源泉別GDP構 成比推移(経 常価格) (単位=百 万キナ,%) 19691197・197・119721197319741975 G D P① 漁 門 門 石 造 設 売 道 信 産 ス 衛 部 済 林 軽 震 推 賞

      動 ビ 防   水 通 不 一 ・         サ ス         人 ビ 小 ス 距 険 個 ︻         . サ   ガ 倉 保 会 的 ・ ⋮ 社 公

採 製 建 御 冠 運 金 地 そ 合 幽 重 日 453.3   531.0   621.7   645.4   786。21,040.21,∞9.1 43.8 16.7 27.1 -0 .9   5.2 11.7   7.5   0.8   5.4   3.3 11.4 11.8 40.1 15.8 24.3 -0 .8   5.3 12.9   8.5   0.9   5.7   3.7 10.6 13.1 7 2 5 2 6 6 4 1 4 2 8 0 4 3 1 0 5 7 7 1 6 3 9 4 nj 1 2       1              1 34.31 11.7 22.6 2.5 6.0 14.7 6.7 1.2 6.2 3.5 10.4 14.5 30.6 10.5 20.1 17.0 5.4 8.1 5.9 1.0 50 5.3 8.9 12.8 26.2 11.5   」 14.7i   .6I25 6.0 7.6 5.7 0.6 5.41 4.3 8.5 10.1 7 3 4 4 5 1 5 7 9 8 7 7 9 4 5 3 7 8 8 0 6 3 8 2 2 1 1 1                  1 100.0  100.0  100.0  100.0  100。0  100.0  100.0

(出 所)Bureau  of Statistics,  OP. c'∫.,1978,  p.61,  Table  61,及 び,1979,  p.47,  Table  49, (註)① 外 来 者 を 含 む 。

(22)

  130 GDPは1969年 か ら75年 の6年 間 に 名 目値 で2.23倍 と大 き く成 長 し た 。 PNGの GDPの 構 成 に は 次 の よ うな 特 徴 が 認 め ら れ る 。   第 一 に 指 摘 され る こ と は,PNGの 産 業 構 造 が 一 人 当 りの 所 得 水 準 と 比 較 し て,か な り後 進 的 性 格 を も っ て い る の で は な い か と い う こ と で あ る 。 表4.1を 農 林 漁 業 及 び 採 鉱 ・採 石(P部 門),製 造 ・建 設(1部 門),公 益(U部 門), 及 び,そ の 他 の サ ー ビス(S部 門)の4部 門 に 大 別 す る と,PNGのGDPの 構 成 は,1975年 に お い て は,P部 門43.1%,1部 門15.6%,  U部 門7.6%,  S 部 門33.7%で あ る 。 ブ ー ゲ ン ビ ル 島 の パ ン グ ナ 銅 山 開 発 期 に お い て 建 設 の 比 率 が 高 か っ た1970年 か ら72年 を 除 き こ の 構 成 比 に は 大 き な 変 化 は な い 。 こ れ を チ       17) エネ リ一 等 に よ る 産 業 構 造 と 経 済 発 展 の 水 準 に 関 す る 横 断 面 分 析 と比 較 す れ ば,比 較 年 次 は異 な るが,PNGの 産 業構 造 は,一 人 当 り所 得 が100ド ル 台 の 国 の産 業構 造 に 最 も近 い 形 を示 して い る(表4.2)。 チ ェネ リ一等 に よ る横 断 面 分 析 は,類 似 した所 得 水 準 を持 つ 国 の平 均 値 で あ る。 従 って,資 源 の賦 存 等 が 異 な る特 定 の 一 国 との 比 較 は あ くま で も参 考 と して の 意 味 しか 持 た な い 。 しか し,一 人 当 りの所 得 に お い て は,統 計上 か な り高 い水 準 に あ るPNGに おい て       表4・2    経済発展段階別産業構造 Primary  share Industry  share Utilities  share Services  share PNG .431 .156 .076 .337   Mean①       Mean② Under$100$100$200$300$400$500$800$1,0000ver$1,0∞ .522 .125 .053 .3∞ .452  .327  .266  .228  .202  .156   .138     ,127 .149  。215  .251  .276  .294  .331   .347     .379 ,061  .072  .079  .085  .089  .098   。102     .109 .338  。385  。403  .411  .415  。416   .413     .386 (出 所) (註)

H.Chenery  and  b4,  Syrquin,  Patterns  of  Development:1950-1970,

AWorld  Bank  Research  Publication,  Oxford  Univ.  Press,1975, 

PP.20-21,Table  3及 び 本 稿 表4・1。

①Approximately$70.  Mean  values  of countries  with  per  capita  GNP

  under$100  vary.slightly  according  to  composition  of  the  sample・ ②Approximately$1,500.  Mean  values  of countries  with  per  capita  GNP

  over$1,000  vary  slightly  according  to  composition  of  the  sample.

17)H.Chenery  and  M.  Syrquin,  Pa``ernsげDevelopme漉11950-1970,  A  World

(23)

      パプア ・ニューギニアにおける経済的後進性 と複合性   131 産 業 構 造 が100ド ル 台 の 国 の平 均 に近 い こ とは,少 な くと も,家 計 消 費 の大 部 分 が 農 業 部 門 で 生産 され る食 糧 そ の他 の基 礎 的 必 需 品で あ る こ と,及 び,既 に み た製 造 業 の 未 分化,所 得 の著 しい不 均 等 分 配 等 を 傍 証 す る もの で あ り,PNG, 経 済 の 後進 性 と多重 性 を物 語 る も の と理 解 す る こ とが で き よ う。   次 に,GDP構 成 の推 移 に 関 し て,2つ の特 徴 が 認 め られ る。 まず,産 業 源 泉 別 に は最 大 で あ る農 林 漁 業 部 門 の生 産 物 構 成 比 が,1969年 の43.8%か ら,ほ ぼ 一貫 して縮 少 の傾 向 を示 し て い る こ とで あ る。 そ して,こ の 構 成 比縮 少 が, 主 と して非 貨 幣 経 済 部 門 の生 産 の相 対 的 低 滞 に 起 因 して る とい うこと で あ る。 即 ち,1969年 か ら75年 に 至 る間,非 貨 幣経 済 部 門 の 農 林 漁 業 生 産 のGDPに しめ る割 合 は大 巾 に低 下 し,名 目値 に おい て もほ ぼ 横 ば い に 留 った 。 この こ と は,こ の 間非 貨 幣 経 済 部 門 の人 口に 大 きな 変 化 が な い とす れ ば,彼 等 の生 活 水 準 の相 対 的 悪 化 を物 語 っ てい る。 一 方,貨 幣 経 済 部 門 の 農 林 漁 業 の構 成 比 に つ い て は,多 少 の振 幅 は認 め られ るが,GDPの 拡 大 に ほ ぼ 対応 して推 移 し て い る。 この こ とは,家 計 消費 に む け られ る生 産 物 の 外 に コー ヒー,コ コア,コ ブ ラ,コ コナ ッ ト油,パ ー ム油 な ど の換 金 作 物 の 生 産 が順 調 に進 ん で い る こ とを 示 唆 して い る。 次 に,採 鉱 ・採 石 部 門 が1972年 か ら74年 に か け て,飛 躍 的 に拡 大 し,1975年 に再 び大 巾 な低 下 を 示 し てい る こ とがGDP構 成 の推 移 にみ られ ・る第 二 の特 徴 と して 指 摘 され よ う。 これ は,1969年 以 来 開発 が進 め られ て い た ブ ー ゲ ン ビル 島 の パ ン グナ 銅 山 が,1973年 か ら本 格 的 な採 鉱 段 階 に入 った が, 1975年 に は,世 界 経 済 の 低 滞 に よ る輸 出需 要 の減 退 を反 映 して生 産 が 低 下 した こ とに よる。   PNGの 産 業 構造 及 び そ の推 移 に は 以 上 の よ うな 特 徴 が み られ るが,そ の 特 徴 の中 にPNG経 済 の 持 つ脆 弱 性 と同 時 にPNG経 済 が 避 け て通 れ な い 必 然 性 が あ る よ うに 思 わ れ る。PNGを 経 済発 展 の望 ま し い軌 道 に のせ るに は,出 来 るだ け す み や か に 非 貨 幣部 門 の 人 口を貨 幣 経 済 部 門へ 移 行 させ る必 要 が あ る。 国 内 市 場 が 小 さいPNGで この 目的 を達 成 す る道 の一 つ は,非 貨 幣経 済 部 門 に あ る人 口に直 接 み か え りの あ る形 で輸 出商 品 を 育 成 す る こ とで あ ろ う。P部 門 以 外 で,こ の 口的 に 沿 い,し か も国 際市 場 で 競 争 力 を有 す る商 品 を短 期 間 に 育

(24)

  132 成 す る こ とは 当 面 望 め な い。 とす れ ば,少 な く とも,比 較 劣 位 の あ ま り大 き く な い換 金 作 物 の 生 産 を 奨 励 す る こ とが,現 地 人 の 技 術 水 準 か らも 抵 抗 は 少 な く,膨 大 な非 貨 幣 部 門 の人 口の 貨 幣 部 門 へ の移 行 を 円滑 にす るた め に は最 も大 き な効 果 を持 つ と思 わ れ る。 又,海 外 か らの 資 本 及 び技 術 導 入 に よる大 規 模 な 天 然 資 源 の 開発 及 び そ の輸 出は,上 の 目的 に 加 え て,人 的資 源 の 開発 に も大 き な効 果 を持 つ。 こ の意 味 で,PNGの 高 いP部 門 の比 率 は経 済 的 合理 性 を 持 つ とい え よ う。 従 って,当 分 の間,PNGが 高 いP部 門 の 比 率 を 維 持 す る こ と は,む し ろや む を得 ない と考 え られ る。 しか し,問 題 は,一 次 産 品 の輸 出は 国 際 市 況 に大 き く影 響 され る こ とで あ る。現 在,PNGの 輸 出 の95%以 上 は 一 次 産 品 で あ るが,GDPに 対 す る輸 出 の割 合は,1973年 か ら76年 の 間,29.2%, 46.5%,42.0%,34.4%と 高 い 水 準 を 保 ち な が ら も大 き く変 動 して い る。 この よ うにGDPに 対 す る高 い輸 出比 率 と輸 出 の 不 安 定 性 は,  PNGの 経 済 の脆 弱 性 を示 し て い る とい え よ う。 しか し,こ れ は,PNG  km独 得 の もの では な く, 国 内経 済 規 模 が 小 さ く,か つ,二 次 加 工設 備 や貯 蔵 能 力 の乏 しい 低 開発 国 に多 か れ 少 なか れ 共 通 し て い る。 経 済 基 盤 の脆 弱 なPNGに お い て,そ の輸 出 が海 外 市 場 要 因 に よ り不 可 避 的 に 変 動 す る こ とに よ り,経 済 開発 の進 捗 に支 障 を来 た す 可 能 性 があ る と こ ろに,PNG経 済 の後 進 性 と当面 す る課 題 があ る よ うに 思 わ れ る。   2)就 業 構 造   PNGの 全 就 業 人 口に 対 す る産 業 別 就 業 構 造 の 時系 列 は得 られ な い た め,以 下,就 業 構 造 を 貨 幣 部 門 の就 業 者 に 限 定 して 論 考 す る。貨 幣部 内 の就 業 者 構 成 に つ い て も,PNG統 計 局 の公 式 資 料 は1971年 に 限 られ,時 系 列 は 得 られ な い 。 従 っ て,こ こで は,統 計局 の もの よ り もや や 分 類 は 粗 いが,国 連PNG経 済 調 査        の 報 告 書 に 引 用 さ れ て い るPNG  Central  Planning  Officeの 資 料 に も とつ く。   表4.3は,外 来 者 を 含 む 産 業 別 貨 幣 部 門 就 業 者 構 成 の 推 移 を 示 し て い る 。 こ

18)Central  Planning  Officeの 資 料 で は,貨 幣 部 門 の 就 業 人 口 は 統 計 局 の1971年 の 数   字 と比 較 す れ ば,か な り過 少 に 計 上 さ れ て い る よ う に 思 わ れ る が そ の 理 由 は 不 明 で あ   る。

(25)

パ プ ア ・ニ ュー ギ ニ アに お け る経 済 的 後進 性 と複 合 性 表4・3    貨 幣 部 門 に お け る産 業別 就 業 者 構 成 比   (単 位' 就    業    者    数① 農      林      漁 採    鉱 ・ 採    石 製 造 ・電 力 ・ガ ス ・水 道 建       設 運 輸 ・通 信 ・倉 庫 商 業 ・金 融 ・不 動 産 そ の 他 民 間 サ ー ビ ス そ の 他 公 的 サ ー ビ ス 1971 3382 47.4 1.4 4,8 9.0 4.5 6.2 6.0 20.7 1972 324.4 48.6 2,1 5.2 6.3 4.2 5.8 6.1 21.8 1973 322.2 51.5 2.1 5.6 4.4 3.6 4.4 6.6 21.8 1974 331.5 51.8 2.1 5.6 4.6 3.7 4.5 6。6 2L1     133 千 人,%) 1975 340.7 52.7 2.1 5.6 4.8 3.6 4.3 6.3 20.6

  (出所)The  Wor!d  Bank, Papua  New  Guinea,〃 ∫Economic  Situation  and Pros-  and Pros-  and Pros-  pect∫for Development,1977,  p.39, Table 3.3(原 資 料lPapua  New  Guinea,       Central Planning Office, Nov.1976)   (註)① 外 来 者 を 含 む。 れ に よれ ぽ,1971年 か ら75年 ま で の 間,就 業 者 数 に は 大 き な 変 動 は み られ な い 。 就 業 者 構 成 比 に は 次 の よ う な 特 徴 が み られ る 。 構 成 比 の 推 移 に は 一 定 の 傾 向 は み られ る が,唐 突 な 変 化 は み られ な い 。 特 に,1973年 以 降 の 採 鉱 ・採 石, 製 造 及 び 建 設 の3部 門 に は,全 く と い っ て よ い 程 変 動 が な い 。 例 外 は,建 設 の 比 率 が,1971年 か ら73年 に か け て 急 減 し て い る こ と で あ る が,こ れ は パ ン グ ナ 銅 山 の 建 設 が 完 了 し た こ と に よ る 。PNGに お け る 一 巨 大 事 業 の 就 業 に 与 え る 影 響 の 大 き さ は,PNGの 経 済 規 模 の 小 さ さ,経 済 的 後 進 性 を 直 蔵 に 物 語 っ て い る 。 就 業 者 構 成 上 最 も顕 著 な 特 徴 は,農 林 漁 業 及 び サ ー ビ ス 従 事 者 が,PNG 貨 幣 部 門 の 就 業 人 口 の85%以 上 を し め て い る と い う こ と で あ る 。 そ し て,前 者 に お い て は そ の 比 率 が 漸 増 し,後 者 に お い て は 漸 減 し て い る。 サ ー ビ ス 関 係 従 事 者 の 比 率 は,そ の 他 民 間 サ ー ビ ス 及 び そ の 他 公 的 サ ー ビ ス 部 門 に お い て は 殆 ん ど変 動 は み られ な い が,運 輸 ・通 信 ・倉 庫,商 業 ・金 融 ・不 動 産 部 門 に お い て 低 下 し て い る こ と は 興 味 深 い 。 こ の こ と を 説 明 す る 資 料 を 持 ち 合 わ せ な い が,独 立 へ 向 っ て い たPNGに お け る 外 来 者 の 動 向 と無 関 係 で は な か ろ う。   こ の よ う なPNGに お け る 産 業 別 就 業 構 造 を,先 に 参 考 に し た チ ェ ネ リ 一 等 の 横 断 面 分 析 と 比 較 し た も の が 表4.4に 示 さ れ て い る 。 こ れ に よ れ4」:,PNG

参照

関連したドキュメント

経済学類は「 経済学特別講義Ⅰ」 ( 石川 県,いしかわ学生定着推進協議会との共

  中川翔太 (経済学科 4 年生) ・昼間雅貴 (経済学科 4 年生) ・鈴木友香 (経済 学科 4 年生) ・野口佳純 (経済学科 4 年生)

経済学研究科は、経済学の高等教育機関として研究者を

を変狐そ漱単純に/め一ξ鵬の値を効用変化の一義的な貨幣尺

ンズ派経済学の核心的要素である賃金・価格の硬直性に,長期賃金契約,暗黙

みなかったということにはならない︒たとえぱ︑ヴエラ・シュラークマソは︑一八五六−一八六〇年にチコピー所在

(1)経済特別区による法の継受戦略

経済学・経営学の専門的な知識を学ぶた めの基礎的な学力を備え、ダイナミック