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入学者選抜試験における選択科目の解析 利用統計を見る

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(1)

論 文

入学者選抜試験における選択科目の解析

(昭和51年8月31日受理)

吉澤正

藤本洋子

An Analysis of Heterogeneous Groups with Different

Tests in Entrance Examination

TadashiYOSHIZAWA YoukoFUJIMOTO

Abstract  It is not unusual that there are some tests which are not selected in common by the examinees in entrance examinations. In the case of Faculty of Engineering, Yamanashi University, each examinee take four major subjects(Japanese, English, mathematics, and natural science)in common, but select one of five minor tests in a major subject called social science. Then, such minor tests should be”fairly”designed in a sense like the equal level of dithculty.  In this paper, two methods are shown to be effective through the analysis of the actual data over four years, in order to check the “fairness”, or“validity”between the minor tests, although such terms are very diMcult to be clearly defined.  One of the methods mentioned above is to fit the loglinear models for multiple contingency tables and another is to observe the patterns in the distribution of the stratified test data.

1.はじめに

 入学者選抜試験において,いくつかの受験教科に選 択科目が設けられることがある。そのようなとき,選 択科目間の試験問題の難易のバラツキが合格判定のた めの総合点に影響を及ぼす。したがって,選択科目間 にはある種の‘公平さ’が保持されていることが望ま しい。ここでいう‘公平ざの定義は難しいが,ある 科目の受験者が有利だという評判が毎年続いていると か,ある年にある科目の受験者の合格率が極めて高く なったということは好ましくないと考えられよう。  本論では,山梨大学工学部におけるこの4年間の入 試データを分析してこの種の問題に対する方法論を追 求するとともに,問題作成者に有効な情報を提供する ことを目的とする。  2節ではこの分析の主要な手法として用いる三重分 割表の解析について簡単に述べる。3節で受験者によ る選択科目の選択比率の4年にわたる推移を工学部全 体および学科別に観察した後,4節で選択科目別の合 格者数および合格率のデータから多重分割表による分 析を試みる。5節で選択のある教科を除いた残りの教 科の得点合計で合格判定を行うと仮定した場合と実際 の合格判定方式との比較を入れ換え人数という観点か ら検討を加える。最後に,6節で計量値データによる 選択科目間の差異を観察する。 2. 三重分割表の解析  一般に多重分割表(multiPle contingency table) は,排反的なカテゴリ(category)からなる項目 (item)を複数個とりあげて,対象とする標本を項目 間のカテゴリの組合わせで多重に分類した表をいう。 ここでは三項目X,Y,およびZ,対応するカテゴリの 集合を1,ノ,およびK,カテゴリの組合わせi∈1, ノ∈ノ,le∈Kに該当する標本中の個数を砺ヵとし   {錫ゐ:∀i∈1,∀ノ∈1,∀le∈K} からなる表,すなわち三重分割表をとりあげて,本論 で用いる解析方法を説明しておく。  カテゴリの集合1,ノ,およびKのそれぞれの要素 数をr,s,およびtとする。そのとき表の大きさn はr×sxtとなる。 r×s×t分割表と書かれること

一108一

(2)

もある。また,カテゴリの組合わせをセル,エ漉をセ ル(i,元,le)でのセル度数と呼ぶ。例えぽ,後述の 表一2は項目をX一年度,γ一学科,Z一選択科目にと り対応するカテゴリの集合は1=={’73,’74,’75,’76}, ノー{学科名M,E, C, A, F, S, D, K},およ びK−{選択科目A,B, C, D, E}であり,4年 間の全受験者を対象に分類した4×8×5分割表であ る。セル(’73,M, B)に対応するセル度数は24にな っている。  多重分割表の解析はここ10年間に急速な発展をと げている(例えぽ,文献1)・2)・3)・4)・5)参照)。本論では 多重分割表の解析手法としてもっともよく研究されて いる対数線形モデル6)をとりあげる。対数線形モデル とは,セル度数の期待値   m、」k ==E(x、」k)(∀i∈1,∀∫∈ノ,∀le∈K) についてさらにその対数をとり,それを   1準一1・9物、(∀i∈1,∀ノ∈ノ,∀le∈κ) とおき,実験計画での要因計画におけるモデル7}にな らって{1¢パに関する線形モデルを考えるものであ る。三重分割表の場合は,しばしぼ階層性を持つ8個 のモデルが考えられ,次の4種に大別される。以下 に,モデルの名前と記号(括弧内)ならびにその意味 を列挙する:  (1)連関モデル(12/23/13)   1晒一μ+〃、{1)+μノ2)+Uk(3)      +吋12)+uゴle(23’+u、k(13)   (1) このモデルはいずれの二項目の間にも1次の交互作用 があるが,2次の交互作用は存在しないことを意味す る。ここで(1)の右辺の各項について次の制約が置かれ る。   Σu,(1}=:Σuゴ(2」Σu々(3」O   i     j     k   Σu,,(12」Σ鋤(12)−O   i      j   Σ晦(23LΣ嬢23」O   J        k   ΣUile{13)一Σμz々(13」O   i        k これらの制約は以下のモデルで現れる項についても置 かれる。また要因計画における分散分析モデルと同様 に〃z(1)は第1項目Xの主効果,μ¢ゴ(12)は第1項目と 第2項目の交互作用項と解釈される。  (2)条件付独立モデル(12/13,12/23,13/23) たとえば12/23の場合,   1、」k−u+批ω+μゴ(2)+Ule(3) +u、」(12)+U、k(23}(2) と書かれ上式(2)が成り立てば   勿、炉〃2、ゴ.m.ゴ為/(n・m。」.)      (3) が得られ,第2項目を与えた条件の下で第1と第3項 目が独立であることを意味する。12/13,13/23のモデ ルも同様に解釈される。ここで   miゴ.=Σ〃z、ゴk, m.ゴk・=Σ〃Ziゴk      k       i   m.」.=ΣΣ〃Mi」k       i k であり,添字における+記号はその添字についての周 辺和をとることを意味する。以下でも〃2準および κijkの周辺和にその記法を用いることにする。  (3)部分独立モデル(1/23,2/13,3/12) 1/23の場合   1、プ々−u+μ、ω+μブ(2)+Uk(3)+晦(23}   (4) と書かれ,上式(4)が成り立てぽ,   milk=mi++m+ゴk/n       (5) が得られ,第1項目が第2および第3項目と独立であ り,第2と第3項目は独立でないことを意味する。 2/13,3/12も同様に解釈される。  (4)相互独立モデル(1/2/3)   liJk=u−FeCz(1)一トU」(2)十Uk(3}       (6) と書かれ,(6)が成立すれば   M、」、…〃Mi++m.ゴ.m++le/n2     (7) が得られ,三項目が相互に独立であることを意味す る。  以上の一連の対数線形モデルのパラメータを与えら れた分割表{錫Dから推定するには最尤推定法が便 利であり1)汎用プログラムを用意してある。モデルの 適合性を別個に検定するには,パラメータの推定値を 代入したmi」kの推定値を命ηkとして         A     A   z2=Σ(Xt.lk−”¢ijle)2/〃Ziゴk     ら」,k あるいは        A   G2=2Σ錫鳶109砺々/微ゴ々     ちフ,k などの検定統計量を用いることができる1)。そのとき, x2やG2はモデルが成立するという仮説のもとで漸近 的にカイニ乗分布に従いその自由度(D・F・,degrees of freedom)はモデルに含まれる数学的に独立なパラ メータの個数として計算される。また,もっとも妥当 と思われるモデルの選択は,情報基準(AIC)と呼ぽれ   AIC・=G2−2×(D. F.) で定義される量が最小になるモデルを採用することに よって行われる。 3.選択比率の推移  以下では,1973年から1976年の4年間にわたる山梨 大学工学部の入学者選抜試験のデータをとりあげる。 その選抜試験においては,各受験者は国語,社会,外 国語,数学,理科の5教科を受験し,5教科総点の満

一109一

(3)

昭和51年12月 山梨大学工学部研究報告 第27号 点が算出される。社会の教科については倫理,政治経 済,日本史,世界史ならびに地理の5科目から1科目 を選択して受験することにより,教科社会の得点とな る。ただし,地理は1976年から地理A,地理Bとな り,選択科目は6科目となったが,ここでは地理A, 地理Bをまとめて地理として扱うことにする。なお, 外国語にも選択科目があるが,実際には英語の受験者 しかいないとみてよい。以下の記述では社会の選択科 目をA,B, C, D, Eと表す。合格の判定は工学部 の9学科(M,E, C, A, F, S, D, K, L)ご とに5教科の総点によって行われており,工学部全体 として合格判定をしていないことに注意する。ただ し,1学科(L)は1975年度新設なのでここでの分析 では除外してある。  まず,もっとも基礎的な観察として,学科別でなく 工学部全体の受験者について選択科目間の選択比率を みよう。ここで,選択比率とは各年でのそれぞれの科 目の選択者数をその年度の受験者総数で除したもので ある。年度別選択科目別受験者数とそれぞれの選択科 目の選択者の比率を表斗および図一1に示す。図一1か ら1974年と1975年にかけて選択科目CとDの選択者 比率が大きく変動していることがわかる。形式的に 仮説:年度と選択の二項目は独立である,あるいは選    択の比率は年度によって変化していない。 を検定すると,Z2=54.43, G2=55.10となり自由度 表一1選択科目別受験者数 はD.F.−12であるから仮説は1%の有意水準でも棄 却される。したがって,選択別の受験者数の比率は年 度によって変化しているといえる。なお,表一1の見出 しで+とある欄は周辺和を意味しており,以下の表一2, 表一4,表一5,表一9,表一10でも同様である。  つぎに,受験者は志望する学科を指定することにな っているので年度と学科および選択の三項目をとりあ げる。前述のように1学科を除いて4×8×5分割表 (表一2)を作り,一連の対数線形モデルをあてはめ た。その分析結果を表一3に示す。表一3での上の見出 しのMODEL, Z2, G2, D. F., AICの意味は2節で 説明したとおりである。PROB.は右のZ2とD. F.の 値からカイニ乗分布での下側確率を計算し小数点以下 第2位で四捨五入したものである。表一3より(8)のモデ ル12/23/13のみが適合していることがわかる。(8)は どの二項目間にも1次の交互作用が存在し,三項目間 の高次の交互作用は存在しないことを示している。す なわち,三重分割表のある特定のセルでの値が,とび はずれて異なるということはない。したがって,学科 ごとに選択のパターンは異なっているが,本論では学 科間の比較には興味がないので工学部全体として以下 の分析を進める。

,73 ’74 ,75 ,76 十 4. 選択別合格率の推移

A

B

C

D

E

15 133 571 516 237 19 129 590 526 251 17 131 440 600 241  7 117 417 584 220  58 510 2018 2226 949

+1・472

1515 1429 1345    5761 比 膓) ↑ 50 40 30 20 10 0 o__ ’73 ×__ ’74 合一一 ’75 +__ ’76 A   B   C   D   E      逼討尺蕃斗目 図一1選択比率の推移  選択科目間のある種の‘公平さ’,あるいは選択科 目の試験問題の妥当性を論じるにはこれらの概念を明 確化し,できうるならデータからの定量的な測定ある いは推定を可能にする必要があろう。一つの方法とし て妥当性の概念を分析してしぼしぼ内容的妥当性,基 準関連妥当性,構成概念妥当性9)・1°)などが考えられて いるが,そのような直接的な立場で論じるのはここの 目的でない。第二の方法としては,全受験者が共通に 受けている教科,この場合は社会以外の4教科をいわ ゆる係留テスト11)(anchor test)と考え,そのデータ を手掛りに社会の試験データあるいは社会を含む総点 と係留テストとの多年にわたる分布パターンの推移の 安定性として‘公平さ’を捉えることがあげられる。 本節では,受験者の最大の関心は試験の得点そのもの ではなく合格か不合格か,すなわち合否にあると考 え,まず合格判定のための総点を合格・不合格にカテ ゴリ化して分析を進める。  そこで5教科総点による合格判定と選択を許す教科 を除く4教科総点による合格判定の二つの方式におけ る選択別合格率の変動を比較してみよう。5教科総 点,および4教科総点の合格判定方式を適用したとき の,それぞれの選択科目別合格者数を表一4と表一5に, 一一一@110 一一

(4)

選択科目=A 表一2学科別選択科目別受験者数          選択科目=B

M

E

C

A

F

S

D

K

’73 ,74 ’75 ’76 1 2 5 0 1 0 3 3 0 2 3 3 3 0 4 4 3 2 3 1 0 2 2 4 2 1 0 2 0 0 1 1 十

6 7 11 6 4 2 10 12

M

E

C

A

F

S

D

K

,73 ’74 ,75 ,76 24 14 31 15 9 13 15 12 20 16 17 10 8 13 24 21 17 10 31 17 5 13 20 18 7 14 22 12 13 15 15 19 十 十 68 54 101 54 35 54 74 70 15 19 17 7 58

+1・33

129 131 117 510 選択科目=C 選択科目=D

M

E

C

A

F S

D

K

,73 ,74 ’75 ’76 87 67 142 49 33 60 79 54 107 83 112 60 22 68 91 47 72 65 105 38 21 34 47 58 62 58 81 47 23 43 63 40 十 328 273 440 194 99 205 280 199

M

E

C

A

F S

D

K

590 440 ,73 ,74 ’75 ’76 60 82 113 60 30 40 87 44 十 571 85 76 74 69 24 50 102 46 92 66 108 71 49 55 82 77 69 61 94 55 45 76 114 70 十 306 285 389 255 148 221 385 237 ・・7レ・・8 516 選択科目=E 526 600

58412226

表一3 (年度)×(学科)×(選択)分割表の分析

M

E

C

A

F S

D

K

’73 ,74 ’75 ,76 35 29 53 23 10 32 33 22 59 25 45 38 15 22 27 20 42 23 55 31 16 21 20 33 30 17 41 21 18 25 35 33 十

MODEL

Z2 G2  D. F. PROB. AIC 166 94 194 113 59 100 115 108 (1)1/2/3       300。17  308.91   145 (2)1/23        232.12  239.62   117 (3)2/13        244.18  253.80   133 (4)3/12        208.11  217.77   124 (5)12/13       154.78  162.67   112 (6)12/23       143.32  148.48   96 (7)13/23       178.78  184.51   105 (8)12/23/13     91.81  94.93   84 十 237 251 241 100.0    18.91 100.0    5.62 100.0  −12.20 100.0  −30.23 99.5 −61.33 99.9  −43.52 100.0  −25.49 73.7 −73.07

22・1949

合格率の変動の様子を図一2と図一3に示す。年度と選 択,および合否の三重分割表(4×5×2)として表一4 と表一5のデータを2節で述べた手法で分析した。その 結果として各モデルの適合状況を表一6と表一7に示 す。表一6と表一7の見方は前節の表一3と同様である。 表一6によれぽ,仮定したどのモデルも適合していな い。したがって,5教科総点の合格判定力式の場合, 年度,選択,合否の三項目についてはそれらの間の高 次の交互作用まで存在し,選択科目別の合格率は年度 によって異なり,また,選択科目によっても異なる, といえよう。しかし,表一6において第1項目の年度 と第3項目の合否の間の交互作用項Uik{13)が含まれな いモデルから含まれるモデル,すなわち,モデル(1)→ (3),(4)→(5),(2)→(7),(6)→(8)でのX2の値の減少は 8.82,5.08,5.54,4.88とZ2の欄の値に比べて小さ いので,第1項目の年度と第3項目の合否との交互作 用は小さいものと観察される。表一6においていずれの モデルも適合していないので,三項目間の高次の交互 作用が存在するといえよう。このことは特定の年度と 選択と合否のカテゴリの組合わせで,いいかえれば特 定の年度と選択の組での合格率に大きく異なるものが 存在することを示唆している。モデル(6)を仮定した場 一 111一

(5)

昭和51年12月 山梨大学工学部研究報告 第27号  表一4選択科目別合格不合格者数(5教科総点) 合格者   表一5 合格者 選択科目別合格不合格者数(4教科総点)

A

B

C

D

E

,73 ,74 ,75 ’76  3 29 200 153 65  3 28 196 162 61  4 31 125 195 95  2 31 130 224 63 十

12 119 651 734 284

A

B

C

D

E

,73 ’74 ’75 ,76  3 28 180 176 63  2 25 189 178 56  4 32 130 207 77  2 31 135 219 63 十 450 45・1・8・・ 十 11 116 634 780 259 450 450 十 450 450 450 45・|・8・・ 不合格者 不合格者

A

B

C

D

E

’73 ,74 ,75 ,76 12 104 371 363 172 16 101 394 364 190 13 100 315 405 146  5 86 287 360 157 十  46 391 1367 1492 665

A

B

C

D

E

+1・・22 895}396・ ’73 ,74 ’75 ’76 12 105 391 340 174 17 104 401 348 195 13 99 310 393 164  5 86 282 365 157 十  47 394 1384 1446 690 1065 979 +1・・22 1065 979 8951396・ 50 A 30 亀,。 ↑1。 0

’73

’74

’75 ←一 ’76 A B   C   D  選択科目 E 図一2選択科目別合格率の推移(5教科総点) 表一6(年度)×(選択)×(合否)分割表の分析(5教科総点) 50 40

合30

格 嵩,。 ↑1。 0

,73

’74

’75

’76

A

B   C   D   選択科目 E 図一3 選択科目別合格率の推移(4教科総点) 表一7(年度)×(選択)×(合否)分割表の分析(4教科総点)

MODEL

X2 G2  D. F. PROB.  AIC

MODEL

X2 G2  D. F. PROB.  AIC (1)1/2/3      113.22  111.94    31 (2)1/23       88.63   88.21   27 (3)2/13      107.40  106.87    28 (4)3/12       56.00   56.84    19 (5)12/13     50.92  51.77   16 (6)12/23     33.56  33.10   15 (7)13/23      83.09   83.13   24 (8)12/23/13   28.68   28.35   12 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 99.6 100.0 99.6 49.94 34.21 50.87 18.84 19.77 3.10 35.13 4.35 (1)1/2/3 (2)1/23 (3)2/13 (4)3/12 (5)12/13 (6)12/23 (7)13/23 (8)12/23/13 111.32  112.52    31 67.51  68.14   27 105.48  107.45   28 54.84   57.43    19 50.14   52.35    16 12.93   13.05    15 62.53   63.07   24  8.94    9.01    12 100.0    50.52 100.0    14.14 100.0    51.45 100.0    19.43 100.0    20.35 39.2   −16.95 100.0    15.07 29.2   −14.99 合の,セル度数の期待値の推定値を表一8に示したが, 表一4のセル度数に比べると,’75の選択科目C,’76の 選択科目D,’74と’75の選択科目Eにおいて大きく はずれていることがわかる。  つぎに,4教科総点の場合の分析結果である表一7を みると,モデル(6)と(8)が適合しておりAICによれぽ モデル(6)が最も妥当なモデルとなっている。モデル(6) は,4教科総点から見れば選択科目ごとには年度と合

一112一

(6)

  表一8モデル12/23の期待値(5教科総点)

合格

表一9年度別学科別入れ換え人数

A

B

C

D

E

,73 ’74 ,75 ,76 年  3 31 184 170 71  3 30 190 173 75  4 31 142 198 72  1 27 135 193 66 ,73 不合格

A

B

C

D

E

’73 ,74 ’75 ,76 12 102 387 346 166 15 99 400 353 176 13 100 298 402 169  6 90 282 391 154 否が独立である,いいかえれば選択科目別の受験者の 合格率は,年度によってほとんど変わらないといえ る,と解釈される。このことは,5教科総点の分析と 対照的である。以上の結果は図一2と図一3によく表現 されている。選択科目Aは受験者が極めて少数である ので除外して考えたほうがよいであろうが,図一2と 図一3ではともに,選択科目間では合格率に差があると 思われる。しかしそれぞれの選択科目内でみると, 図一2は図一3に比べてバラツキが大きくなっている。 ,74 5. 入れ換え人数 ’75  合格判定方式を変更すれば,従前の方式で合格した 受験者の一部は変更後の方式では不合格になることが あり,また,その逆も考えられる。この入れかわった 人数を入れ換え人数と呼ぶ。両方式の総点間の相関係 数と受験倍率が与えられれぽ入れ換え人数をある程度 予測することができる12)。表一9に年度別学科別のデー タを示す。入れ換え人数は’74のA科を除いて,理論 値との差は小さく,相関係数と受験倍率からみて妥当 な数となっている。選択科目でなく,他の教科を除い た場合でも相関係数と受験倍率からみて妥当なこの程 度の入れ換えは生じるので,社会の教科全体としては 特別の問題はない。  選択科目を除いた場合の合格判定方式に対して現実 の方式からの移動人数を,年度別選択科目別データに 表一10に示す。表一10では現実の方式の合格者が新方

式では不合格になる者をOUT,その逆をINとして

ある。表一10をみれぽ’73の科目D,’74のE,’75の

EがとくにOUTとINの差が激しいことがわかる。

’76

学科薯蟄霧倍率纏

理論値

M

E

C

A

F S

D

K

207    0.98    3.45 194    0.97    3.23 344   0.98   5.73 147   0.97   2.45 83   0.97   2.77 145   0.98   2.42 217   0.98   3.62 135   0.97   2.25 5 5 9 3 4 5 4 8 6 7 7 6 3 5 6 5 十 1472 43 45

M

E

C

A

F S

D

K

271   0.97   4.52 202    0.98    3.37 251   0.98   4.18 180   0.97   3.00 72    0.98    2.40 153   0.97   2.55 248   0.98   4.13 138   0.98   2.30 8 7 6 12 3 7 4 5 8 6 6 6 2 6 6 4 十 1515 52 44

M

E

C

A

F S

D

K

226    0.96    3、77 166    0.97    2.77 302   0.97   5.03 158    0.96    2.63 91   0.96   3.03 125   0.96   2.08 171   0.97   2.85 163   0.97   3.17 6 7 7 5 5 7 6 3 8 6 8 7 4 6 6 7 十 1429 46 52

M

E

C

A

F S

D

K

170    0.97    2.83 151   0.98   2.52 238    0.98    3.97 137   0.97   2.28 99    0.98    3.30 159   0.96   2.65 228    0.98    3.80 163   0.98   2.72 8 6 7 6 1 7 6 5 6 5 6 5 3 7 6 5 十 1345 46 43 表一10年度別選択科目別移動人数

A

B

C

D

E

,73 OUT  IN 0 1 29 8 5 0 0 9 31 3 ,74

OUT IN

2 5 21 15 19 1 2 14 31 4 ’75

OUT IN

0 1 10 16 19 0 2 15 28 1 ,76

OUT IN

0 2 15 23 6 0 2 20 18 6

+143・・ 152・・ 146・・ 14646

一113一

(7)

昭和51年12月 山梨大学工学部研究報告 第27号 100 75 平 擢5° ↑  25  O    A  B  C D E       選択科目 図一4選択科目の平均点推移 250 225 平 誓2°° ↑  175  150     A B  C  D E        選択科目 図一5選択科目別4教科総点の   平均点推移 平 誓25° ↑    A  B  C  D E       選択科目 図一6 選択科目別5教科総点の   平均点推移 また,’76年は表一1の選択比率からみても大変安定し た数字になっている。 6. 計量値にみる推移  前二節での分析結果は計量値としての分析からも裏 付けることができる。  選択科目別選択科目の平均点推移を図一4,選択科目 別4教科総点の平均点推移を図一5,選択科目別5教科 総点の平均点推移を図一6に示す。ここで平均はそれ ぞれの選択科目の受験者についてであることに注意し ておこう。選択科目Aは受験者が他の選択科目に比べ て,極めて少数なのでB∼Eに注目する。図一5から4 教科総点の平均には毎年同一のパターソがあらわれて いる。これに選択科目の影響がはいったのが図一6で ある♂76年においては4教科総点と5教科総点は同一 のパターソであり,選択科目の得点が与える影響は同 程度であると考えられる。’73,’74年においては選択科 目Cに比較してDがマイナスの方向に影響している。 ’75年においては選択科目Eの得点が他の科目に比べ て大きく影響しているのがみられる。もっとも図一4か ち平均点の向上に社会の教科はあまり寄与していない ことはわかる。どの教科の平均が増加したのかは教科 ごとの集計から直ちにわかるがここでは分析の目的で ないので省略しよう。これらの図より,選択科目の総 合点の影響について選択科目間には相違があることは 明らかであろう。なお,図一5と図一6の経年変化をみ ると毎年平均点があがっているが,その原因は受験者 の実力は同程度であるが問題が年々やさしくなってい るためか,あるいは問題は同程度であるが受験者の実 力が年々向上しているためなのかは,これだけでは判 定できない。  なお,図一7,図一8,図一9には’74∼76年度の4教科 総点と5教科総点の選択科目別累積相対度数分布を選 累

 75

積 相 対 度 数 ↑   25 06 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一一 一一 一一一一一一 E ___一一一一一一一一一一一一一一一一一 一 一一一∼一一一一一一一一一一一一一●一 4教科総点

cD

一一一一一一一一一一一一一一一一 一一 一 一一一一一一一r−一一r−一一一一一rr一 5教科総点 一一一一一一一一一一一一一一 一一一 一一 一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一   図一7 図の左側が,選択科目C, く4教科総点の累積度数分布。右側が,選択科目C, D,E別の5教科総点の累積度数分布。 100 累 75 積 相 対 50 度 数 ↑ 25 100      200      300      400      500      →得点  選択科目別累積度数分布(’74)        D,E別の選択教科を除

00 100 200 300 400

      →得点   図一8 選択科目別累積度数分布(’75) 100 竃・・ 程,。 ㌣,, 00 500

DC

 100      200      300      400        →得点 図一9選択科目別累積度数分布(’76) 500 一一@114 一

(8)

択科目C,D, Eについて図示した。図中には,4教 科総点と5教科総点での合格最低点を縦の実線で示し てある。当然左が4教科,右が5教科に対応するがそ れらは工学部受験者全体の得点上位の者から450名を 合格者としてライソを引いた。その合格者判定方式は 学科ごとで判定すると現実の方式と異なるが,選択科 目ごとの合格率は,両者でほとんど変わらない。これ らの図から’75年の科目Eが他の年に比べて特に違っ た動きをしていることがわかる。 7. おわりに  ここで取り上げた選択科目の問題は,内申書評価を 合否判定に組込むような選抜方式でも生じる。そのよ うなときある種の得点調整あるいは等整化(equating) が考えられることがある11)・13)。調整の是非について は議論のあるところで,係留テストを手がかりにして も層別した集団間の格差を認めることになりかねない 点に注意を要すると考えている。  本研究は山梨大学入学者選抜方法研究委員会の課題 の一つとして行われたもので,その一部は同委員会の 中間報告14)に記載されている。最後に,この種の研究 は,選抜方法改善のために過去のデータから有用な情 報を入試関係者にフィードバックする機能を果すこと が上述の委員会の一つの重要な任務であるという考え から15)行われているものであることを述べ,多くの方 々から御批判を期待する。なお,本研究のための計算 には計算機科学科FACOM 230−45・SおよびU−200 を使用し,入試データの解析のために開発されたプロ グラムを使用している。 謝 辞  入試データ解析用のプログラム開発に協力してくれ た本学工学系大学院生志村健一君および計算機科学科 学生藤井康君に謝意を表する。

参考文献

1)Y.M. Bishop, S.E. Fienberg, P.W. Holland:   Discrete Multivariate Analysis:Theory and   Practice, The MIT Press(1975) 2)S.J. Haberman:The Analysis of Frequency   Data, The University of Chicago Press(1974) 3)吉澤正:分割表における平方根分解,第2回日本行動   計量学会総会発表論文抄録集(1974) 4)吉澤正:分割表における数量化モデルーその理論的検   討一,行動計量学第3巻1号,p.1−p.11,(1975) 5)吉澤正:交互作用概念の一般化と多重配列の特異値分   解,行動計量学第4巻1号(1976)掲載予定 6) A.P. Dempster:Fitting and Looking at Li−   near and Log Linear Fits, A Survey of   Statistical Design and Linear Models(1975) 7)奥野忠一一,芳賀敏郎:実験計画法,培風館(1969) 8)赤池弘次:情報量規準AICとは何か,数理科学,   (1976.3) 9)American Psychological Association, American   Educational Research and National Co皿cil on   Measurement in Education 1966:Standards   for Educational and Psychological Test and   Manuals, Amer. Psycho1. Assoc. 10)池田央:心理学研究法第8巻テスト皿,東京大学出版   会(1973) 11)肥田野直:心理学研究法第7巻テスト1,東京大学出   版会(1974) 12)吉澤正,藤本洋子:入試における選抜基準と合格者の   変動,山梨大学工学部研究報告,第26号,p.18−p.24   (1975) 13)平野光昭:統計的にみた大学入試の問題点と改良案   1,山梨大学教育学部研究報告,第20号,p.180−p.   192(1969) 14) 山梨大学入学者選抜方法研究委員会:1975年度報告書 15)吉澤正,藤本洋子:山梨大学入学者選抜試験データの   解析,第4回日本行動計量学会総会発表論文抄録集   (1976)

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参照

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