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参考図書紹介 日本の蜜源植物

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Academic year: 2021

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参 考 図 書 紹 介

蜜源植物への養蜂家の想い

(礼)日本養蜂はちみつ協会.2005.日本の蜜源植 物.(礼)日本養蜂はちみつ協会,東泉 331pp. 本書は,形の上では一種の図鑑の体裁をとっ ているが,図鑑 としての位置づけに関 してはや や心許ない.純粋にある分野の植物図鑑 として 価値を兄いだそうとすると不満も覚える. 例えば写真図版が玉石混清で,手ぶれ したも のやフォーカスの甘い ものまで含まれている し,また花そのものの構造や特徴が不明瞭なも のが多 く,実物 との比較における便宜 といった, 本来図鑑に求め られる質は確保できていない. 個々の植物の説明も,花や植物の構造的な特徴, 植物の生育や分布,ミツバチの噂好,栽培上の 注意事項など,植物によって記載事項がまちま ちで不統一感が否めない.最低阪,樹高や草丈, 花の大きさ,形状など,観察者の求める情報に は応えて欲 しい.植物を蜜源 として扱おうとす る初学者が,本書を図鑑 として利用すると仮定 して,どの程度の利用価値があるのか,実際上 の評価は難 しいが,結局 もう一冊,一般的な植 物図鑑を横に置かねば という印象は正直なとこ ろ受けた.目指されている蜜源植物の増殖にお いての実用性も,補足情報が別途得 られるなら という条件付で評価できる程度である. もちろん本書は,限定数刊行であ り,観察者 の手引きとして広範に利用されることは想定さ れていない.「日本の蜜源植物」 とい う本を出 すこと自体が第一義の目的であったことは明確 であろう.あとがきに目を通すと,学名などあ とから付加的に加えられた様子がわかるが,義 初の企画には含められていなかったものが追加 されたということは,制作過程において,当初 の期待以上のものにな りそうだからと,転換が 図られたからということか. 本書はアイルラン ドで開催された第39回の 国際養蜂会議のコンテス トに出品されたが,残 念ながら入賞は逃 して しまった.地味な表紙が 災い したというよりは,実際にはこの書籍の真 の意図が伝わらなかったにちがいない.この本 ができた経緯が伝わっていれば,この国際養蜂 会議でこそ入賞 した書籍であった. この本は見方を変えると,あるコンセプ トを 持った一連の科学的過程の集大成 としての図録 ではな く,ある書籍を作 るとい う目的に対 し て,提供者の個々の気持ちをも含んだ情報が寄 せ集められ それをある (やや緩やかな)基準 に沿って一冊に編纂 したものという形になって いる.情報提供者の多 くは日本養蜂はちみつ協 会の会員であ り,養蜂家である.養蜂家を寄せ 集めてこの種の書籍を作ること自体が,極めて 異例なことにちがいない. この本には,養蜂家が,身の回 りの植物を蜜 源植物 として認識 しているというメッセージが 込められている.養蜂家から花への想いが集め られた書籍 として刊行されていること,そのこ と自体の価値は,できて しまった本の形からは 想像 しにくいが,その点を評価 してアピモンデ イアの賞をいただいていれば,各国の養蜂家に ち,自分の身の回りの蜜源植物を紹介するチャ ンスを与え,さらにはそれを集大成化 して,い つか写真集 「世界の蜜源植物」が誕生すること にもつながったであろう. 学者が作るものではな く,それぞれの花に, それぞれ紹介する養蜂家の想いが込められる形 で実現すれば楽 しい本になるだろう.(中村 純)

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