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創造性を育むための保育者の役割

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Academic year: 2021

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Ⅰ はじめに 子どもが個性を伸ばし、創造性に開かれてい くことは、多くの教育者・保育者にとっての目 標であるとともに大きな課題といえよう。子ど もが創造力を発揮していくには、少なくとも教 育者・保育者の導き方、つまり、言葉掛けや創 造性を育む上での信念、導き手自身の創造力が 大きく影響を及ぼすことは言うまでもない。 筆者がそれについて考えるきっかけとなった のは、NHK 教育テレビのドキュメンタリー番 組である『奇跡のレッスン「アート編 違いは みんなのために」』を視聴し、その指導に感銘 を受けたことからである。 番組の中で指導者となったのは、芸術家であ り、幼児教育者でもあったブルーノ・ムナーリ (1907 ~ 1998) が晩年に開発したムナーリ・ メソッドの後継者であるシルヴァーナ・スペ ラーティ氏である。彼女は、都内の図工教室に 通う 14 人の小学生に「観察すること」、「発見 すること」、「想像すること」を重視した1週間 の指導を行った。そして、子どもたちの「考え る力」が鍛えられ、表現をより楽しみ、創造性 に開かれた態度へと変化していく姿を追った番 組である。 子どもたちを変化させた氏の様々な手法の中 で、今回は「言葉掛け」を取り上げ、子どもが 創造性を育むために必要なことについて探る。 また、それらのエッセンスを保育の中にどの ように取り入れて行ったらよいかについて考 察する。 Ⅱ 子どもへの「言葉掛け」の違いについて 1. 保育者を志す学生の「言葉掛け」 子どもが作品を仕上げた際に保育者はどのよ うな言葉掛けをするのであろうか。 以下は、将来保育者を志望する学生が初めて の模擬保育 (3 歳児対象 保育者役 4 名、子ど も 14 名 ) を実践する中、製作を指導する過程 に子どもに対し行った言葉掛けである ( 表 1)。 まず、言葉の種類は少なく、短い。製作過程は、 静かに見守ることが多い。できあがり始めたら、 ほぼ全員の子どもを見て回り、褒めるという様 子が見られた。「じょうず」「かわいく描けた」 と、評価的な言葉が多くいことがわかる。 表 1 保育者を志す学生の言葉掛け 言葉掛けの内容 製作前半 製作後半 計 じょうず 11 11 かわいく描けた 5 5 じょうずにできました 4 4 すごい 2 2 かわいいよね 2 2 よくできました 1 1 じょうずに描けた 1 1 何色が好きなの? 1 1 先生は赤が好き 1 1 先生も赤が好き 1 1 いいよ、緑でも 1 1 それは、結果に対し共感的であることから、子 どもの年齢が低ければ、励ましや、行為の結果 に対する賞賛は、それはそれで子どもにとって 喜ばしいことであることは否定できない。しか し、考える能力が身についてきている子どもに 大野 雄子

The Role of the Care Providers to Foster Creativeness Yuko OHNO

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− 42 − − 42 − とって、賞賛を受けることで、更なる発展をせ ず活動を終了させてしまうことにも繋がり、今 後創造性に開放されていくかは別の問題であ る。「何色が好きなの ?」とプロセスに働きか ける言葉も見られるが少数にとどめられている。 2. シルヴァーナ氏による「言葉掛け」の特徴 これは番組中の二つの場面の会話である。 〈場面 1〉レッスン 2 日目 S:シルヴァーナ C:子ども S: ( ギザギザの線で描かれた家を指差し ) このギザギザの家には誰が住んでいると思    う?…みんなで想像してみよう C ①:サメ ? S:( 恐怖の表情で ) サメ ! 怖そうな家だねー。 S:( 三角屋根の周囲をフロッタージュで描かれ た家を指差し ) 今度は特別な家だなー。この家、なんかおか しくない ? 何が変わっているんだろう。 C ②:汚れてる ? S:こんな汚れた家に誰が住んでいるの ? C ③:魔法使い C ④:ネズミ ? S:( ネズミの顔と声を真似しながら ) 魔法使い と、ネズミが一緒に何をするのかな ? C:シルヴァーナの演技にみんなで笑う。 ( 翌日 ) C ⑤:( 昨日は ) 楽しかった。 C ⑥:楽しかった。( 今日は ) 楽しみ。 C ②:いろんなものを見つけたい。 〈場面 2〉レッスン 5 日目 S:( 白い紙を手のひらにのせ ) この材料は何かな ? C:紙 ! S:何に使うんでしょう ? C ①:( 紙を確かめる )    折り紙とかで折ったり。 C ②:描く ( 動きも加える ) S:そうだよね。じゃあ、その使い方は、みん な 1 回忘れて。飛んでいけ。( 顔の前で手 のひらを回し、飛ばしてしまう動き )   ( 子どもに個々の紙の表面を触らせ ) これは、すべすべ ? それとも… ( 紙を宙で振りながら ) 何が聞こえるかな ? C:風の音 S:よくわかったね。 ―――この後は、子どもたちにどのような音 が出るのか、どのような形になるのかを考え させ、作品を作る。作ったものを飾り、また 自分の目で見つめ直す。――― 〈場面 1〉、〈場面 2〉を通し、シルヴァーナ 氏の言葉掛けの特徴について考える。 まず一つ目にシルヴァーナ氏の言葉掛けに は、問いかけが多いことがわかる。「観察する」、 「発見する」、「想像する」ことを一貫して促す ための質問が多いのだ。勿論それには、正解と いうものがあるわけでははない。子どもが感覚 的に、或いは直観的に感じたものをその子自身 の言葉や表現で伝えるのだ。 二つ目に共感をするところが感覚を駆使して 得られた「今ここ」での体験や、プロセスにお かれているということである。例えば、「サメ ! 怖そうだねー」、「こんな家に誰が住んでいる の ?」という言葉掛けや、子どもが伝える世界 に入り込むかのように、ネズミ〈場面 1〉の役 割りを演じ、子どものイメージを支えている。 この点でイメージを先導する主体が子ども自身 であることを守り、子どもが続く表現をしやす いようにしていると思われる。 子どもの表現を評価する「上手だね」「よく できました」というような言葉掛けは一切して いない。実際に番組の中で一人の保護者がシル ヴァーナ氏にこう尋ねている。 「作品を作ったり絵を描くのも褒めてもらい たいのを子どもから感じて、ずっと本当に上手 じゃなくても、上手だねというと、やっぱり喜 ぶから、ずっとそう言ってきたけど、それが本 人にとっていいのかどうか」 それに対し、シルヴァーナ氏は、「いいえ、 “ きれい ” とか、“ うまい ” といった褒め方を私 はしません。どういうふうにつくったのかを子 どもと一緒に振り返り、作る過程に着目して褒

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めるのがいいと思います。時間をかけて子ども と一緒に観察し、良さに気づいてあげることが 一番です。大事なのは絵が上手か下手かではな く、自分で自分の作品を観察させることです。 観察することでいろんなことが分かります。そ して新たに知ったことをつなげて考えを広げて いくのです。子どもに考える時間を与えない と、根っこのない大人になってしまいます。感 受性が育たないと他の人と協力し合うことがで きなくなる。自分の失敗を受け入れられない弱 い人間になってしまいます。子どもに何が必要 なのか大人も立ち止まって考えないといけませ んね」と応えている。 子どもが自分の力で考え行動したならば上手 にできたか、次はどうしたいかを自身で判断す るはずであり、本来は「きれい」「うまい」と いう外発的動機付けを引き起こす言葉掛けは必 要がないといえよう。 Ⅲ 「創造性」を育むための考え方や手法 ここでは、創造性について江川 (1993) の定 義を参考にする。これによると「創造性とは、 個人あるいは集団、社会にとって新しい価値あ るアイディアを生み出し、それを具体的な産出 物として仕上げる能力および人格特性のことで ある」としている。加えて、創造性の 3 つの レベルとして (2013)、第一水準 ( 広義の創造性 : 個人にとって新しい場合 )、第二水準 ( 狭義の 創造性:集団にとって新しい場合)、第三水準(最 狭義の創造性 : 人類社会において新しい場合 ) を示している。 では、子どもが創造性を育むにはどうしたら よいのか。ロジャーズ (1972) によると創造性 は、外部からの評価ではなく、幼い時から自分 自身で判断し、結果を自己評価することにより、 促進されることを述べている。 また創造的な学びの場を作るため、CANVAS を立ち上げ、活動している石戸 (2014) は、「か んじる→つくる→つたえる→ ( かんじる )」の スパイラルを基本として、その実践に向け、「学 び方を学ぶ」、「楽しく学ぶ」、「本物と触れる」、 「協働する」、「教え合い学び合う」、「創造する」、 「発表する」、「プロセスを楽しむ」、「答えはな い」、「社会とつながる」の 10 個の視点を大切 にするという。創造性を育むことは、自分の実 践を振り返り、考え、更によりよい方法を発見 するプロセスを楽しむことなのだ。 ブルーノ・ムナーリ (2006) は、とりわけファ ンタジアについて認知したデータを操作する基 本的な機能として、「ある状態を転覆させるこ とであり、反対にしたり、対立させたりして考 えること」、「内容を変えずにある事柄を反復す ること。一つではなく多にすること」、「視覚的 あるいは機能的に類似するものの色彩、重量、 素材、場所、機能、大きさ、を交換または代用 すること」「視覚芸術において、いくつかの異 なるものを関係づけながら、ある一つのものを 作る。( 例えばモンスターなど )」「関係の中の 関係 ( 例えばあるものを逆転させ、素材や色彩 を好感し、本来の場所でないところに置くな ど )」既成概念を覆し、考え方の転換を図るこ とに自由になる手法を述べている。 また、江川 (2005.2013) は、創造的思考を 育成するための創造的発問パターンを挙げてい る。問いかけの繰り返しと積み重ねで考える習 慣を身につけさせるという。幼児には、不可能 な場合もあるにせよ、先のムナーリの考えに通 じるところがあり、その導きの構えを保育者が 知ることは、意義あることである。その発問パ ターンは以下である。 <発問パターン> ①考えるのはこれだけでよいのだろうか ( 拡張 ) ②絞り込んでみよう ( 焦点化 ) ③考える視点を変えてみては ( 観点変更 )   ④逆に考えてみよう ( 逆発想 ) ⑤分けてみてはどうだろうか ( 分類・分解 ) ⑥分け直してみる ( 再分類・再編成 ) ⑦ここになにかを加えてみては ( 加減 ) ⑧なにとなにを結びつけたらよいだろうか(結合) ⑨どこを変えたらいいだろう ( 変換 ) ⑩実際にやりながら考えてみよう ( 具象化 ) ⑪気楽に考えてみよう ( 連想 ) ⑫繰り返し粘り強くやってみよう ( 反復検討 ) ⑬これと同じだとしたらどうなるだろうか(類推) ⑭このことからどんなことがわかるかな ( 仮 説演繹的発想 )

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− 44 − − 44 − ⑮もし~でなかったら、どうなるかな ( 背理法 ) ⑯対立したり、意見が分かれたりしたら ( 弁証法 ) (『子どもの創造的思考を育てる 16 の発問パターン』より) 江川 (2005) のいう創造的思考を育てる発問 は、自己中心的に思考する幼児期にとっては、 発問としては難しいもの、投げかける工夫が必 要なものがあろう。しかし、後に萌芽していく ものを育むために様々な面での指標となるもの であるといえよう。 Ⅳ 創造的な思考を幼児に伝える絵本 創造的な考えかたを幼児に育むには、「言葉 掛け」とりわけ発問について意識することであ る。しかし、先にも述べたように発問としては 幼児にとって難しい場合がある。そこで幼児の 一番身近な絵本を学びの素材として考えてみ る。一冊一冊の絵本には、作者それぞれの創造 的な視点が盛り込まれているからである。どの ようにしたら、見る子どもが驚き、楽しみ、興 味を抱くのかという作り手の想いが込められた 絵本は、子どもの発想や創造性の基礎となろう。 先に述べたムナーリの言う「認知したデータ を操作する基本的な機能」と江川の創造的発問 のパターンから結びつく絵本を取り上げてみる。 まずは「ある状態を転覆させること」につい てである。これは、江川のパターンでは、「④ 逆に考えてみよう ( 逆発想 )」と重なる。絵本 での表現で近いものは、『さかさまさかさま』、 『11 ぴきのねこふくろのなか』『すてきなさん にんぐみ』などが挙げられる。 つぎに「内容を変えずにある事柄を反復する こと。」は、発問パターンでは、「⑫繰り返し粘 り強くやってみよう ( 反復検討 )」に通じると ころがある。絵本の内容は、反復はよく見られ る場合が多い。ここでは、『はらぺこあおむし』、 『どうぞのいす』など何度も同じパターンを繰 り返す絵本が挙げられよう。 「視覚的あるいは機能的に類似するものの色 彩、重量、素材、場所、機能、大きさ、を交換 または代用すること」では、『あおくんときい ろちゃん』を「視覚芸術において、いくつかの 異なるものを関係づけながら、ある一つのもの をつくる。( 例えばモンスターなど )」では、『ね こざかな』などが合致するのではないだろうか。 ( 江川の言うパターン ⑧なにとなにを結びつけ たらよいだろうか ( 結合 ) である ) 「関係の中の関係 ( 例えばあるものを逆転さ せ、素材や色彩を好感し、本来の場所でないとこ ろに置くなど )」では、『かぶさんとんだ』『30000 このスイカ』などが挙げられるだろうか。 江川の発問パターンを基にした場合でも絵本 の表現と併せ身に付けられるものはある。例え ば、③観点変更では、『りんごかもしれない』や、 『ねずみくんのチョッキ』などがそれにあたる のではないだろうか。 『ねずみくんのチョッキ』のあらすじは、ね ずみくんがおかあさんに編んでもらった赤い チョッキを着ていると動物たちがやってきて 「ちょっと着せてよ」とつぎつぎにチョッキが 別のしかも大きな動物にわたっていってしま い、終いには、ぞうがチョッキを着ているのを 見て驚くねずみくんと、細く長く伸びきってし まったチョッキを悲しそうに着てうなだれるね ずみくんの後ろ姿が描かれます。しかし、最後 のページには、ぞうの鼻で伸びたチョッキをブ ランコにして、楽しそうに遊んでいるねずみく んの絵が登場し話を終えます。チョッキからブ ランコへと観点を変更させれば、悲しく落胆し た気持ちが楽しく落ち着いた気持ちに変化する ことを幼児は体験します。 その他、⑦加減では、きのこのシチューを作っ ているねずみくんが鍋を大きくする度に具材が増 えてしまう『もっともっとおおきなおなべ』や、 クレヨンのくろくんがお友だちの電車のために レールや、船のために波を描き足していく『くろ くんとふしぎなともだち』、向こうからイカがやっ てきて、「イカだ !」と言うと「スイカ」だと言い張 る、「ス」を落として、スイカからイカになってしまっ たという話が展開する『ほんとうはスイカ』という ナンセンス絵本などにより、子どもは、イメージ の中で自由自在に加減を行うことを学ぶのだ。 絵本の中で起こる目を見張るような展開、あ りえないほどナンセンスな絵本の中に、自由に 発想を転換させる要素が含まれており、子ども たちのイメージも膨らむのである。

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− 45 − Ⅴ まとめ 1. 保育で意識したい「言葉掛け」 保育者を志す学生の言葉掛けと、シルヴァー ナ氏の言葉掛けを比較すると、両者とも共感的 であったが、共感するポイントは異なっている。 前者は、頑張って上手に作った結果や、作り終 わった気持ちに注目しているのに対して、後者 は作るプロセスの中で共感から発する言葉によ り、子どものイメージを更に膨らましたり、支 えたりするものであった。 ここで言えるのは、前者は、頑張った気持ち を評価されるのに対し、後者は、プロセスその ものを楽しむことになる。また、子どもがイメー ジの中から考えて発言したことが周囲に肯定さ れることで、評価の基準が他者ではなく、自分 自身であることに重点が置かれ、、自信につな がるのである。 また、観察や発見、想像を促す発問が多い点 について、ムナーリ・メソッドが「観察」「発見」 「想像」を中心として、子どもたちに考えさせ ることの大切さに重点が置かれていることがう かがえる。 保育者を志す学生が多く用いていた「結果への 共感」の言葉掛けは、更にプロセスに意識を向け ることで、「プロセスへの共感」の言葉掛けが現れ、 磨かれるであろう。対象となる幼児の年齢等を考 慮に入れると、自ら考える姿勢が多く見られてく る5歳児などには、「観察、発見、想像ができる発問」 を心掛けることで、丁寧に観察することの大切さ、 発見することの楽しさ、想像することの自由さ、 それを受け入れ一緒に楽しめる仲間の大切さを育 むことができるであろう。    高 意識 低 図 1 保育者の言葉掛けの段階と意識 2. 創造性を育むのに必要なこと 子どもにとって大切なことは、考えることの プロセスを楽しみ、自ら判断していく態度を養 うことである。保育者や親を喜ばせる子を育て るのではなく、子ども自身が考え、振り返り、 評価をしていけるよう、保育者がその構えを意 識し、言葉掛けの内容を吟味することが大切で ある。 そして、その実践には、指導のねらいや内容 が大きく問われることになる。例えば、一斉に 皆が同じものを作る内容では、「考える」場面 が少ない。保育者が、子どもに考えさせること を予測し、想定しておく必要性があるのだ。 ミハエル・チクセントミハイ (1996) は、フ ロー体験が生み出される主要な条件として、四 つ挙げている。①自分の能力に対して対象が適 度に難しい。②対象への自己統制感がある。③ 直接的なフィードバックがある。④集中を乱す 外乱がシャットアウトされていることである。 子どもが何かに没頭して創造的に打ち込むこ とができるということには、保育者がその条件 を満たす環境作りに手間を掛ける必要がある。 保育者も人的環境として、子どもの安全基地 となると共に、適切なフィードバックのために 言葉掛けの内容や絵本との関わりについても吟 味すべきである。 引用文献 1) 江川玟成 1993 創造性教育の心理学的基 礎 ( その 1) 木佐概念の明確化 教育学年報 ( 東京学芸大学 ),No.12,3-15 2) 江川玟成 2005 子どもの創造的思考力を 育てる 16 の発問パターン 参考文献、資料 1) 石戸奈々子 2014 子どもの想像力スイッ チ フィルムアート社 2) 江川玟成 2013 クリエイティビティの心 理学 創造的思考の原理・方略と 17 のレッ スン 金子書房 3) カール・ロジャーズ 友田富士夫編 ロ ジャーズ全集 22 創造への教育 上 岩崎 学術出版社 を評価されるのに対し、後者は、プロセスその ものを楽しむことになる。また、子どもがイメ ージの中から考えて発言したことが周囲に肯定 されることで、評価の基準が他者ではなく、自 分自身であることに重点が置かれ、、自信につな がるのである。 また、観察や発見、想像を促す発問が多い点 について、ムナーリ・メソッドが「観察」「発見」 「想像」を中心として、子どもたちに考えさせ ることの大切さに重点が置かれていることがう かがえる。 保育者を志す学生が多く用いていた「結果へ の共感」の言葉掛けは、更にプロセスに意識を 向けることで、「プロセスへの共感」の言葉掛け が現れ、磨かれるであろう。対象となる幼児の 年齢等を考慮に入れると、自ら考える姿勢が多 く見られてくる5 歳児などには、「観察、発見、 想像ができる発問」を心掛けることで、丁寧に 観察することの大切さ、発見することの楽しさ、 想像することの自由さ、それを受け入れ一緒に 楽しめる仲間の大切さを育むことができるであ ろう。 高 意識 低 図1 保育者の言葉掛けの段階と意識 2.創造性を育むのに必要なこと 子どもにとって大切なことは、考えることの プロセスを楽しみ、自ら判断していく態度を養 うことである。保育者や親を喜ばせる子を育て るのではなく、子ども自身が考え、振り返り、 評価をしていけるよう、保育者がその構えを意 識し、言葉掛けの内容を吟味することが大切で ある。 そして、その実践には、指導のねらいや内容が ない。保育者が、子どもに考えさせることを予 測し、想定しておく必要性があるのだ。 ミハエル・チクセントミハイ(1996)は、フロ ー体験が生み出される主要な条件として、四つ 挙げている。①自分の能力に対して対象が適度 に難しい。②対象への自己統制感がある。③直 接的なフィードバックがある。④集中を乱す外 乱がシャットアウトされていることである。 子どもが何かに没頭して創造的に打ち込むこ とができるということには、保育者がその条件 を満たす環境作りに手間を掛ける必要がある。 保育者も人的環境として、子どもの安全基地と なると共に、適切なフィードバックのために言 葉掛けの内容や絵本との関わりについても吟味 すべきである。 引用文献 1) 江川玟成 1993 創造性教育の心理学的 基礎(その 1)木佐概念の明確化 教育 学年報(東京学芸大学),No.12,3-15 2) 江川玟成 2005 子どもの創造的思考力 を育てる 16 の発問パターン 参考文献、資料 1) 石戸奈々子 2014 子どもの想像力スイッ チ フィルムアート社 2) 江川玟成 2013 クリエイティビティ の心理学 創造的思考の原理・方略と 17 のレッスン 金子書房 3) カ ー ル ・ ロ ジ ャ ー ズ 友 田 富 士 夫 編 ロジャーズ全集 22 創造への教育 上 岩崎学術出版社 4) 佐藤大輔 2014 創造性を育てるマネ ジメント 同文館出版 5) ブルーノ・ムナーリ(菅野有美訳)2006 ファンタジア みすず書房 6) M.チクセントミハイ(今村浩明訳)1996 フロー体験 喜びの現象学 世界思想社 7)NHK 教育テレビ 『奇跡のレッスン「ア ート編 違いはみんなのために」』 https://www.nhk.or.jp/docudocu/progra m/3776/2225398/index.ht 観察,発見, 想像ができ る発問

プロセスへ

の共感

結果への共感

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− 46 − − 46 − 4) 佐藤大輔 2014 創造性を育てるマネジメ ント 同文館出版 5) ブルーノ・ムナーリ ( 菅野有美訳 )2006  ファンタジア みすず書房 6) M. チクセントミハイ ( 今村浩明訳 )1996 フ ロー体験 喜びの現象学 世界思想社 7) NHK 教育テレビ 『奇跡のレッスン「アー ト編 違いはみんなのために」』 h t t p s : / / w w w . n h k . o r . j p / d o c u d o c u / program/3776/2225398/index.ht 参考にした絵本 ( 掲載順 ) 1) さかさまさかさま 2005 マリオ・ラモ作・ 絵 平凡社  2)11 ぴきのねこふくろのなか 1982 馬場のぼ る作 こぐま社 3) すてきなさんにんぐみ 1969 トミー・アン ゲラー作・絵 偕成社 4) はらぺこあおむし 1976 エリック・カール 偕成社 5) どうぞのいす 1981 香山美子作 柿本幸造絵 ひさかたチャイルド 6) あおくんときいろちゃん 1968 レオ・レオ ニ 至光社 7) ねこざかな 1982 わたなべゆういち フレー ベル館 8) かぶさんとんだ 1985 五味太郎作・絵 福音 館書店 9)30000 このすいか 2015 あきびんご くもん 出版 10) りんごかもしれない 2013 ヨシタケシンス ケ作 ブロンズ新社 11) ねずみくんのチョッキ 1974 なかえむよし を作 上野紀子絵 ポプラ社 12) もっともっとおおきなおなべ 2008 寮美千 子作 どいかや フレーベル館 13) ほんとうはスイカ 2015 昼田弥子著  高 畠那生絵 ブロンズ新社

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