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有限要素法による円筒コイルばねの特性解析 : 剪断変形と回転慣性を考慮した解析 利用統計を見る

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(1)

有限要素法による円筒コイルばねの特性解析

―剪断変形と回転慣性を考慮した解析―

沢登健 秋山雪治

(昭和58年8月31日受理)

A Finite Element Approach to Stress and Vibration

Analyses of Helical Coil Spring

-Analysis Including Effects of Shearing Deformations

and Rotary

Inertia-TakeshiSAWANOBORI YukiharuAKIYAMA

      Abstract  The effects of shearing deformations and rotary inertia on static stress and natural frequencies of the helical coil spring are examined closely. Analytical results show that the effect of shearing deformations on static stress decreases with an increase in the ・p・i・gi・d・x. F・・p・a・tica1・p・i・g・wh・・e th・・p・i・g i・d・x>4, th・・t・ess c・rrecti・n due to shear is within 4 per cent.  It is also concluded that the effects of shearing deformations and rotary inertia on natural frequencies is small. The total correction for shearing deformations and rotary inertia is within 1.7per cent for practical springs. 1. 緒 言  圧縮円筒コイルばねは,防振機器をはじめ,各種機 器の基本的構成要素として広く使用されており,その 合理的設計のために,応力特性や変形特性などに関し て多くの研究がなされてきた1)’“ 4)。しかし,従来の研 究では,ピッチ角と端末効果を無視しているので,そ れらの研究から得られた結果は,最近のように高応力 化と軽量化のためにピッチ角を大きくとったコイルば ねの応力特性や変形特性の評価に適しているとは言い 難い。そのため,ピッチ角と端末効果を考慮したコイ ルぽねの特性解析の必要性が指摘され,従来の解析法 の見直しや再評価がなされている5)剤。著者らも有限 *機械工学科,Department of Mechanical Engineer−  1ng 要素法を用いてコイルばねの静的ならびに動的解析を 行ない,ピッチ角のコイルばねの振動特性および応力 特性に及ぼす影響を明らかにした9)・1°)。ところで,そ れらの解析ではぽねの勇断変形と回転慣性は,ばね諸 特性に2次的な影響しか及ぼさないものとして,これ らの効果を省略しているが,ばね指数の小さいコイル ばねでは,そのような解析では不十分であることが予 想される。  本報告は,勇断変形と回転慣性がばねの応力特性お よび振動特性に及ぼす影響を既報1°)と同様に有限要素 法を用いて解析したものである。解析の結果,勇断変 形と回転慣性のばね応力特性および振動特性に及ぼす 影響とばね指数の関係が明らかになったので以下に報 告する。

(2)

‘ ■ 2. 記 号  本報告に用いる記号は以下のようである(図一1参 照)。

 X,y, Z:素線軸上任意点における接線主法

       線,従法線方向の座標  U,V,ω:素線軸変位のX, y, Z成分  β,δ,ψ:素線断面の角変位のX,y,2成分  X,Y, Z:断面力のX, y, Z成分  T,H, M:断面モーメントのX, y, Z成分      θ:ばね中心軸まわりの角座標      S:素線軸に沿う曲線座標      φ:ばねの全巻角      φ:ばね要素の全巻角      r:平均コイル半径      d:素線の直径      A:素線断面積=πd2/4      1:素線直径まわりの断面二次モーメント      α:ピッチ角      n:有効巻数      E:縦弾性係数      G:横弾性係数      ρ:密度      ρ。:素線軸の曲率半径=r/COS2α      η:曲がりはりの断面係数      ξ:素線断面の図心と中立軸との間の距離      c:ばね指数=2Pt/d      h:端末の変位     .P、:公称圧縮力=Glh/(πnr3)     τ。:公称勇断応力=P。rd/(41)    σm。。:最大主応力    τm。x:最大勇断応力      ω:固有円振動数      レ:無次元固有振動数        一(ωr2/C・・α)㎡ρA/EI      2:勇断係数      rg:回転慣性効果の影響係数

3.解

析  3.1 基礎方程式  コイルばね要素(図一1)内任意位置の変位を表す表 示式として,既報1°}では静的平衡状態にあるコイルば ねの勇断変形を省略した静的平衡方程式の解析解を用 いた。本報告では勇断変形を考慮した解析を行なうた め,勇断変形を考慮した静的平衡方程式の解析解を要 (a) 図一1 ばね要素と座標系 (b) 素変位として用いる。  勇断変形を考慮した静的平衡状態にあるコイルばね の釣り合い方程式は

鳳「1]  ②

である。断面力および断面モーメントと変位および角 変位の間には

聴寳]

の関係が成り立つ。ここにDは (3) (4)

r・

(5) である。式(4)の第2,第3式の右辺の第1項は,ぽね 素線断面の勇断変形の効果を表す項で,既報1°)では省 略されている項である。  式(1)から(4)を順次解けば,解は12個の定数パラメー タ(al, a2,……, a12)を用いて   U=Aa      (6)   X=Ba      (7) と書くことができる。ここに,U, X, aは

(3)

  u…   v l   l I     u= 1,   1β‘   δ     1、ψ]    、α12」 であり,A, Bは付録に示すとおりである。  i’ x|

 ‘yI

 ‘zI

X=  1,   T|

 LMノ

 [a1

 |a2

 |i

a=| : 1… (8)  ばね要素の節点①(θ=0)と節点②(θ=φ)におけ るU,X, A, Bにそれぞれ添字1と2をつけて表す ことにすれば,式(6),(7)から   U1=Aia , U2=A2 a      (9)   X1=BIa , X2=B2a       (10) である。要素節点変位ベクトルU,を Ue= u,

u2

(11) と定義すると,式(9)から要素節点変位ベクトルU,と パラメータベクトルaを関係づける式   U,=Pa を得る。ここにPは P− F:] なる12×12の正方マトリックスである。 (12) (13)  ばね要素の節点①と②における外力ベクトルはそれ ぞれ一X1, X2となるので,要素節点力ベクトルFeを

∋一::]     (14

と表わす。  3.2要素マトリックス  ばね要素の質量マトリックスと剛性マトリックスを 既報10)と同様に要素の運動エネルギとポテンシャルエ ネルギを用いて求める。ばね要素の運動エネルギK・E は,対角要素Ml.(i=1∼6)がm、=M2=〃M3=ρAr/ c・sα,M4=2ρlr/c・sα, m、=m,={ρlr/c・sαレ,で ある対角マトリックスM,を用いて

  K・E一丁∫1醜肋   (・s

と表わせる。ここに記号・とtは,それぞれ時間微分 と転置を表わす記号である。またrgは回転慣性の効 果を表わす係数であり,rg=0とおくと回転慣性の効 果を無視した従来の解析になり,rg=1とおくと回転 慣性の効果を考慮に入れた解析となる。また,ばね要 素のポテンシャルエネルギP・Eは,対角要素k‘(i= 1∼6)カミki==r/(EA cosα), le2 =le3=λr/(GA cosα), k,=r/(2GI・cos・cr), le 5=k6 ・= r/(EI cos a)である対 角マトリックスK,を用いて P・E一

噤轤hX・K・X4θ   (・⑤

と表わせる。ここにRは勇断係数であり,2=0とおく と勇断変形の効果を無視した従来の解析となり,λ= 1.1311)とおくと勇断変形の効果を考慮に入れた解析 となる。  式(6),(7),(12)を式(IS,(16)に代入し整理すると

S:S:1蕊霊}  (・7)

となる。ここに,Me, K,はそれぞればね要素の質量 マトリックスと剛性マトリックスで

::彗農ぱ}

である。記号P−tは   P−‘=(P−1)t=(Pり一1 (18) の意味である。ばね要素の節点①と②における外力の なす仕事は   E・W=U,tFe       (19) と表わせる。  3.3 支配方程式  式(17)と(19)をラグランジュの運動方程式に代入する と,系に減衰がないときのばね要素の運動方程式とし て   MeUe十K,Ue=F。       ⑳ を得る。これを各ばね要素間の力の釣り合いと変位の 連続性を考慮して整理すると,コイルばね全体の運動 方程式として   MU十KU=F      ⑳ を得る。ここでM,K, U, Fはそれぞれ,コイルば ね全体の質量マトリックス,剛性マトリックス,節点 変位ベクトル,および節点力ベクトルである。  3.4 固有振動解析  固有振動の支配方程式は式⑳において,F=0とお いた式   MU十KU=①       (22) である。固有振動では,U=〆ωεU。(∫=∼/−1)である ので式⑳から   KUo=ω2 MUo      ㈱ が得られる。式23)に固有値解析を行なって,固:有円振 動数ωと固有ベクトルU。を得る。  3.5 断面力と断面モーメントの導出  コイルばねの一端を固定し他端をコイル中心軸方向 に一定量圧縮した場合にいついて解析する。静的な解 析においては,支配方程式OO),閻の中でUe, Uの項

(4)

を省略すればよいので,それぞれ   KeUe=Fe      24   KU=F      ⑳ となる。式05)において適当な並べかえを行なうことに よって [Kα a,KαbKbαKbb][:1]一[ll]   ・⑤ とする。ここで,U、とU,はそれぞれの未知および既 知の節点変位ベクトルであり,F、とFbはそれぞれ既 知および未知の節点力ベクトルである。式㈱をU。, Fbについて解くと   U、=Kαα一1(F、−KabUb)         ¢7)   Fb=(Kbb−Kb、Kaα一1 Kαb)U,     十KbαKaα一1 Fα      ②8) となる。U。, U,を式24に用いれば,各ばね要素の断 面力と断面モーメントを求めることができる。  3.6応力計算  コイルばねの応力計算においては,図一2のばね素線 断面でyz面の応力成分のみを考え,その他の応力成 分はゼロと仮定する。コイルばねで応力上問題となる のは,ばね素線断面の内径側aと外径側bである。こ の点での応力は,上記の仮定から素線軸方向(X軸) の垂直応力σと勇断応力のZ方向成分τの二つであ る。aとbでのσとτは断面力X, Zと断面モーメン

トT,Mを用いて

・一±

U鷲豊+i・23f

・− ?{芸(i・Ft−iipi,1?g id) ⑳ (30} と表わすことができる。ここでaでの応力計算におい ては上側の符号を,bでの応力計算においては下側の Y:Principal normal Z:BinormaI 図一2素 線 断 面 嘗 募 ぢ ・‖ < 符号を用いる。また応力解析上重要な最大主応力σm。. と最大勇断応力τm。。はσとτを用いて ・一丁+V(!2)2+T2 ・…一 刀i!2)2+∼ と表わされる。 4. 結果と検討  4.1 静的応力解析  4.1. 1 応力修正係数  本報の解析方法では,法線方向の勇断力Yと従法線 方向の勇断力Zを考慮して,コイルばね解析のための 有限要素式を導いているので,コイルばねの応力特性 に及ぼす勇断変形の効果を調べることができる。勇断 変形の効果を表わすのは勇断係数λである。勇断係数 λの値は,本解析ではCowperによる算定式11}から 得られるR=1.13を用いることにする。なお勇断変形 を無視した解析を行う場合はλ=0とおけばよい。  図一3はコイルばね設計上問題となる最大勇断応力 τm。、のばね指数依存性を,勇断変形を考慮した2= 1.13の場合と考慮しないλ=0の場合について示した ものである。この場合,要素マトリックスを導くのに 必要な要素内変位として,コイルばねの静的方程式の 解析解を用いているので,要素数は静的応力の計算精 度に影響しない。しかし,最大勇断応力は素線軸に沿う 応力分布状況を調べることによって得られるので1°), 最大勇断応力の評価にあたっては,できる限り要素数 を多くとる必要がある。図一3では,整数巻のn・=6.0 の場合要素数を48に,半整数巻n・・6.5の場合要素数 を52にとって計算している。これから整数巻,半整数 2.2: 2・Oi   1.81 る ぎ1.61 ξ ↓ 辻 1・4 1.2 1.0  0.8,

  246810121416

      c (==2r/d) 図一3勇断変形の応力修正係数に及ぼす影響(α=4.8°) ①CaL(η=6.5《λ=1.13) ACaL(πニ6.5,λ=0) BCal.(η=6.0,λ=1.13) CCaL(η一6.0,λ=0) 盾dxp.(π=6.5) 怩dxp.(η=6.0) ①② ③④ 4

(5)

巻のぼねともばね指数が大きくなるに従い勇断変形の 効果が小さくなっていくことがわかる。勇断変形を考 慮した場合と勇断変形を考慮しない場合の計算上の相 違を,整数巻,半整数巻について調べると,ばね指数 c=2ではそれぞれ14.6%と14.1%で比較的大きいが, ばね指数c=・4ではそれぞれ3.14%と3.55%またばね 指数c=6ではそれぞれ1.58%と1.55%となり,その 相違はばね指数の増大に伴い小さくなる。一般に用い られるコイルばねでは普通ばね指数cは,c=4∼1512} にとられることを考えると,勇断変形を考慮しないこ とによる相違はたかだか4%程度であり,実用上は勇 断変形を無視した解析でも十分である。しかし,設計 スペースの関係でばね指数を小さくとる必要があると きは,応力に勇断変形を考慮した補正を行うのが望ま しい。図一3の実験は,ピッチ角を考慮した場合応力値 が,整数巻と半整数巻で異なることを確かめるために 行なった実験結果であるが,ばね指数が大きいので勇 断変形の影響は明確には認められない。  4.1.2 最大主応力  コイルばねの疲れ破損を検討する際に最も重要であ る最大主応力について,勇断変形の影響を検討する。  図一4は最大主応力のピッチ角依存性を,コイルばね の内径側と外径側に対して,勇断変形を考慮した場合 と無視した場合について要素数を52にとって計算した ものである。図一4では縦軸に最大主応力σm。.を公称 勇断応力τ。で除した値が,横軸にピッチ角がとって ある。  コイルばねのばね中心軸に沿う平行圧縮において は,最大主応力はピッチ角が増すと内径側で減少し, 外径側で増加する。このことは,ピッチ角の大きいコ イルばねの外周部を起点とする早期折損を説明する重 1.7 1.6 1.5 1.4 ミ1・3 き1・2   1.1 1.0 0.9 0.8 0.7        a(Deg.)  図一4最大主応力のピッチ角依存性に及ぼす     勇断変形の影響 γ=13.Omm 1n.  out. Exp. o    ● ∂=4.Omm CaL 一・ 一 η=6.5 (λ=1.13) Cal. 一一 一 一  一●一一 (λ=0) 、 、、、  、 ’ 、 、 , ’     ’ 、 、 、 ラ1’ f ’ 、 ,’ 、s , ’ 』 、 s 、』 要な結果である。  図一4では,勇断変形を考慮したλ=1.13の場合の 最大主応力に対して,勇断変形を無視したλ=Oの場 合の最大主応力は,すべてのピッチ角について1.3% 程度大きい。この計算例のばねのばね指数はc=6.5 であり,最大主応力値の1.3%の相違は先に得られた 図一3の同一のばね指数に対するτm。.の相違に対応し ている。実験結果は二つの解析結果に誤差の範囲で対 応しており,この場合勇断変形の効果は顕著に認めら れない。  4.2 前断効果と回転慣性効果の固有振動数に及    ぼす影響  図一5は縦軸に無次元固有振動数v,横軸にばね指数 Cをとり,勇断変形と回転慣性の効果が固有振動数に 及ぼす影響を示したものである。図一5では伸縮1次, 2次,3次の固有振動数をそれぞれ,T−1, T−2, T−3として三つの場合について調べてある。これら の計算においては,要素数が増すに従って,固有振動 数は低次の振動数から順に一定値に収束する。伸縮3 次までの固有振動数であれば,要素数12で実用的に十 分な精度の結果が得られるが,図一5では要素数24にと って計算を行なっており結果の精度は有効桁5桁であ る。T−1, T−2, T−3のいずれにおいても,勇断変 形と回転慣性効果の両方を考慮した2・=1.13,rg=1 の場合に対するそれらを無視したλ=0,rg=0の場合 A 0.200 0:196 0.192 0.188 0.142 0.138 0.134 0.130 0.072 0.070 0.068 0.066 一 一 _ 一 一     一 一  一一 一 一 一 一一 一 一一一一 一 一 一一 Q.._@ λ= 鼈鼈鼈黶@λ= λ=1.13,γ8=r ノ=1.13,fg=0 @0 ,rg=1 @0,γ9=0 T−3 舌 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 π=6.0 ソ=4.8° T−2 一一 一一一 T−1

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       c←2r/の 図一5勇断変形と回転慣性の固有振動数に及ぼす影響

(6)

      表一1 固有振動数の計算例 、、 @(r= 1,3. 0 mm, d=4. 0 mm, nニ6.5,α=4。8°) 次  数 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 計算値(Hz) (2・=1.13rσ=1) 320 359 403 410 626 667 711 746 887 976 計算値(Hz)

隠)

322 360 405 412 630 670 716 749 892 980 実験値(Hz) 322 361 402 414 635 669 722 754 898 987 のレの相違は,ばね指数がc=2,4,6のそれぞれに 対して,およそ6.5%,1.7%,O. 73%である。これか ら勇断変形と回転慣性の効果は,ばね指数が小さい場 合はその影響が認められるが,ばね指数がc=4以上 ではその相違は2%以下であり実用上,勇断変形と回 転慣性を無視した解析でも問題はない。さらに,回転 慣性効果が固有振動数に及ぼす影響を調べると,図一5 から勇断変形効果が固有振動数に及ぼす影響に比べて 小さいことがわかる。また,回転慣性のみを考慮した λ==O,rg=1の場合の固有振動数はc=2の場合,従 来の解析結果であるλ=O,rg ・= Oの場合に比べて, T−1で0.070%,T−2でO. 22%, T−3で0.33%で あり,高次の振動数になるに従い回転慣性の効果は大 きくなっている。  表一1は,ばね指数がc=6.5のばねに対して,勇断 変形と回転慣性効果の両方を考慮したλ=1.13,r,=1 の場合と両方を無視したλ=O,〆g=0の場合のそれぞ れについて,10次までの固有振動数の比較を実験値と 合わせて示したものである。c=6.5のばね指数が比 較的大きいばねでは,相違は約0.5%程度であり,勇 断変形と回転慣性の効果はほとんど認められないこと がわかる。 5. 結 言  本報告では,勇断変形と回転慣性の効果がコイルば ねの静的ならびに動的特性に及ぼす影響を調べ次の結 果を得た。  (1)静的解析においては,勇断変形の効果はばね指 tw cが小さいほど大きく, c=2では,その影響は10 数%に達するが,c= 4では約4%に下がり,ばね指 数が大きくなるに従って勇断変形の効果は小さくな る。  (2)固有振動数に及ぼす勇断変形と回転慣性の効果 は,ばね指数Cが小さいほどその影響は大きくなる が,最小のばね指数c=2で,二つの効果を考慮した 場合でもその影響は約6%と小さい。回転慣性の効果 が固有振動数に及ぼす影響は,高次の振動数になるに 従い大きくなるが,勇断変形の効果に比べて非常に小 さい。  (3)勇断変形と回転慣性のばね特性に及ぼす影響 は,ばね指数がc=4∼15の実用のばねでは,ほとん ど問題にならず,勇断変形と回転慣性の効果を省略し た解析で十分である。  本研究の遂行にあたって,日本発条㈱の板倉部長, 斉藤,西山の両主査には,ばね製作をはじめ種々i援助 をいただいた。また図面の作成については大滝勝保技 官の助力を得た。記して謝意を表します。 文 献 1)Wah1, A. M.:Stresses in Heavy Closely Coiled   Helical Springs, Trans. ASME, APM−51−17   (1929), 185 2) Ancker, C. J. and Goodier, J. N.:Pitch and   Curvature Corrections for Helical Springs, J.   AppL Mech.25−4(1958),471 3)Wah1, A. M。:Mechanical Spring(1963), Mc−   Graw−Hil1,229 4) ぽね技術研究会編:ばね 改訂2版(昭45),丸善,9 5)清水・他2名:コイばルねの静的ならびに動的挙動   (端末の影響),日本機械学会論文集,27−179(昭36−   7),1119 6)清水・他2名:コイルばねの静的ならびに動的挙動   (強制振動),日本機械学会論文集,27−179(昭36−7),   1138 7)下関・他3名:マトリックス解法による圧縮コイルば   ねの解析,日本機械学会論文集,45−396(昭45−8),901 8)下関・早坂:円筒コイルばねの応力解析,日本機械学   会論文集,48−435(昭57−11),1774 9) 沢登・福島:有限要素法によるコイルばね動特性の解   析(自由振動),日本機械学会論文集,49・−439(昭58−   3),422 10)沢登・他3名:有限要素法による円筒コイルばねの応   力解析,日本機械学会講演論文集,No.820−16(昭57−   10),271 11) Cowper, G. R.:The shear coef丘cient in Timo−   shenko’s beam theory, J. App1. Mech.,33−2   (1966−6), 335 12)JISB2704−1978 付 録  本文中式(6)と(7)におけるマトリックスA,Bの要素 を,付表一1,付表一2に示す。 6

(7)

付表一1マトリックスAとBの要素 初 β δ ψ

x

Y

Z

T

H

M

1

a1 、Eチi。。・[…θ+…{(5ゴー・)・…θ+・(1一ゴ)・・…θ一丁・…θ}]+,きE{− 2・cθ+(9・sα2+9+cα2)・θ・sθ} ,E>≒。、[・θ+…θ+…{(5ゴー・)・θ+(i−・)(…θ+・…θ)一丁・…θ}〕+ 2孟。。(…α2+・+・α2)(・θ+…θ)  r3・sα 2E1・cα3 .θ・.cθ+4e・.。θ     3 [3(i−1)・・θ+(3ゴー・)・…θ一ゴ・…θ+…{(・一・・)・…θ+・(‘−1)    }]+篭{・9・・θ一(・・…+・+…)・…θ} 詰{(・f−3i+・)(cθ+…θ)+i・…cθ} ,誌{(・一‘)・…θ一ゴ・・2・・θ} ,Eチ≒。,〔…θ+…{(・・一・)(・θ+…θ)−i・・…θ}〕 cα・sθ cθ

T

a3 {’:1α(4i−・)+篭(・・…+…)} ・θ 藷,(4i−・)+元芸(9−1) {芸(・i−f・,…一…)+右(・’.・a2 +sα2)}・θ ア2・Sα2    (ノー1)・θ

E1

 夕2    (1−2i) EI・cα i2・cα・sα      (f−1)・θ

 EI

T

一sα・sθ グ・sα・θ・cθ グ・tα・(cθ一θ・sθ) 一ヱニ(sθ+sα・・θ・cθ)  cα 0 cα r◆cα 0 一r’sα 付表一2        】マトリックスAとBの要素(つづき)

w

β δ ψ a4 r2・tα    {(1−i)・θ・sθ+i・θ2・cθ} 2E1 ,誌,{(1−・)・・θ+(i・1)・…θ一i・・…θ}    2、言。。・{(i・cα2+i+sα2)・…θ+ゴ・・α2・θ2・ cθ} 右(i・…θ一ア・・θ)  プ・i    (sθ十θ◆cθ) E1・cα r・τα   (cθ一i・θ・sθ)

E1

a6 昔(・ゾ・…+・・…−1)・・ E>i,。(・ア・…+・・…−1) r2・tα    (2i−f・sα2−cα2−2)・θ

E1

グ芸(f・s・・+c・・)・・ 醤(1一ア) Cα=COSα Sα=Slnα tα ・= Sα/cα cO=・COSθ Sθ=sinθ   Ef==fO   λE 9 :−狽堰│t’・ ゴー (ア・cα2+sα2+1) 音(ア・…+…)’・・ a2, a5要素は,それぞれal, a4要素において, cθをsθ, sθを一cθと置き換えたものとなる。また,(X.γ, Z)の (a4, as,……, a12)要素,(T, H, M)の(a7, as,……, a12)要素,(β,δ, g)の(alO, all, a12)要素はすべてゼ ロである。さらに,(T,H, M)の(a4, a5, a6)要素は,それぞれ(X, Y, Z)の(a1, a2,α3)要素に等しく,(μ, v,w,β,δ,ψ)の(a7, as,……, at2)要素は,それぞれ(T, H, M, X, Y, Z)の(al, a2,……, a6)要素に等 しい。

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