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慢性腎臓病患者に対する洗米によるリンおよびカリウム低減の食事療法に関する研究

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慢性腎臓病患者に対する洗米による

リンおよびカリウム低減の食事療法に関する研究

2015 年

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目 次

第 1 章 研究の背景と目的 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1

1.日本における慢性腎臓病および慢性透析の現況・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・2 2.腎臓の構造と働き・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・3 3.腎機能低下による尿毒症状態・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5 4.透析療法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5 5.高齢透析患者の現状と問題点・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7 6.慢性腎臓病における食事療法の重要性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8 7.慢性腎臓病患者に対する管理栄養士の役割・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12 8.治療用特殊食品・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13 9.慢性腎臓病患者に対する洗米による無機成分の洗出の重要性・・・・・・・・14 10.研究の目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15

第 2 章 慢性腎臓病の食事療法における一考察

―洗米によるリン・カリウムの低減効果― ・・・・・・・・・・・・・・・・17

1.背景・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18 2.目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19 3.方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20 4.結果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22 5.考察・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24 6.まとめ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・29 7.図表・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・31

第 3 章 慢性腎臓病患者に対する洗米時のリンおよびカリウム低減に

よる食事療法 ―洗米の水量および回数条件の検討― ・・・38

1.背景・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・39 2.目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・39 3.方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・40

(3)

4.結果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・42 5.考察・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・44 6.まとめ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・49 7.図表・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・50

第 4 章 血液透析患者に対するリンおよびカリウム低減のための

5 回洗米食事療法の有効性と実用性 ・・・・・・・・・・・・・・・・・54

1.背景・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・55 2.目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・56 3.方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・56 4.結果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・59 5.考察・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・61 6.まとめ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・65 7.図表・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・66

第 5 章 総括 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・71

参考文献 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・76

英文抄録 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・87

謝辞 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・91

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1

第 1 章

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2

1.日 本 における慢 性 腎 臓 病 および慢 性 透 析 の現 況

慢 性 腎 臓 病 (Chronic Kidney Disease,CKD)は、全 世 界 で5,000万 人 以 上 が

罹 患 している1 ) 。透 析 や移 植 を必 要 としている末 期 腎 不 全 (End-stage kidney disease,ESKD)患 者 は、世 界 的 に増 加 しており2 )、医 療 経 済 上 も大 きな問 題 となっている。日 本 におけるCKD患 者 は、1,330万 人 で成 人 人 口 の約 13%にあ たり、成 人 国 民 の約 8人 に1人 がCKD患 者 であり3 )、糖 尿 病 や高 血 圧 など生 活 習 慣 病 が背 景 因 子 となっており、国 民 病 と言 えるほど頻 度 の高 い疾 病 である。 「世 界 腎 臓 デー」が3月 の第 2木 曜 日 に制 定 され、日 本 もこの日 に合 わせて厚 生 労 働 省 やCKD対 策 協 議 会 を中 心 に啓 蒙 イベントが行 われている。 CKDの定 義2 )は、尿 異 常 、画 像 診 断 、血 液 、病 理 で腎 障 害 の存 在 が明 らか で あ り 、 特 に た ん ぱ く 尿 が 存 在 す る こ と 、 も し く は 糸 球 体 濾 過 量 ( Glomerular Filtration Rate : GFR)が、60mL/分 /1.73 m2未 満 であること、または両 方 が慢 性 的 に3か月 以 上 持 続 するものをすべて抱 合 している 場 合 を言 う。GFRはフィ ルターの役 目 をしている糸 球 体 が1分 間 にどれくらいの血 液 を濾 過 し、尿 を つ くることができるかを評 価 する、腎 臓 の機 能 を表 すものである。 CKDの重 症 度 は、原 因 (Cause:C)、腎 機 能 (GFR:G)、たんぱく尿 (アルブミ ン尿 :A)によるCGA分 類 で評 価 する2 )。以 前 、重 症 度 の評 価 はGFRだけで分 類 されていたが、ステージG3に多 く占 める「加 齢 に伴 うGFR低 下 (たんぱく尿 を 伴 わない)」を病 的 とすべきか議 論 され、 GFRとアルブミン尿 とが独 立 したリスク 因 子 であることが確 認 された2 )。重 症 度 分 類 は、GFRの区 分 (G1~G5)とたん ぱ く 尿 区 分 ( A1 ~ A3 ) を 併 記 し 、 さ ら に ス テ ー ジ G3 は 、 GFR45 ~ 59mL/ 分 /1.73m2のG3aとGFR30~ 44mL/ 分 /1.73m2G3b に 区 分 されている 。腎 機 能 区 分 はGFRの値 によって決 められ、ステージG1からG5に分 類 され、ステージが上 がるほど死 亡 、ESKD、心 血 管 死 亡 発 症 のリスクが高 くなる2 )。健 康 な人 のGFR は80~100mL/分 /1.73m2で、GFRの値 は正 常 の腎 機 能 と比 較 し た場 合 の百

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3 分 率 として考 えることができる。つまり 、CKDでは腎 機 能 が正 常 の 60%未 満 に まで低 下 していることを意 味 している。GFRが15mL/分 /1.73m2未 満 のESKDの 状 態 は 、病 期 分 類 で示 すとG5 にあた り、透 析 患 者 は透 析 を 意 味 する dialysis の頭 文 字 のDを付 け、G5Dで表 す。 2013年 末 、日 本 における透 析 患 者 数 は314,180人 であり4 )、この患 者 数 は台 湾 に次 いで世 界 第 2位 である。国 民 の約 400~500人 に1人 が透 析 治 療 を受 け ており、透 析 患 者 数 はこの30年 間 で20倍 に増 加 し、今 後 もさらに増 加 すること が予 想 される。 透 析 導 入 患 者 の原 疾 患 の割 合 は、糖 尿 病 性 腎 症 が43.8%で第 1位 であり、 第 2位 は慢 性 糸 球 体 腎 炎 で18.8%、第 3位 は腎 硬 化 症 で13.0%である4 )。透 析 患 者 の増 加 に伴 い、透 析 に関 わる年 間 医 療 費 は1兆 円 を大 きく超 えており、 総 医 療 費 の約 4%を占 めている5 , 6 )。腎 臓 が正 常 に働 いていていない場 合 は、 血 清 クレアチニンは高 値 となるが、このクレアチニン値 が1㎎/dL上 昇 すると医 療 費 は27%増 加 し、尿 たんぱく(定 性 )や尿 糖 (定 性 )が1段 上 昇 すると6~9% 増 加 するとの報 告 もある7 )。透 析 患 者 1人 当 たり年 間 の医 療 費 は約 500万 円 と なり、世 界 に誇 る国 民 皆 保 険 制 度 を維 持 するためにも患 者 自 身 はもちろんの こと、医 療 関 係 者 も連 携 を取 り合 い、透 析 に至 らぬよう努 力 する必 要 がある。 2.腎 臓 の構 造 と働 き 腎 臓 はそら豆 形 の後 腹 膜 臓 器 で、11~12×4㎝程 で、1 個 約 150g程 度 の 大 きさのものが背 中 側 に 2 個 ある 8 )。構 造 的 には皮 質 と髄 質 に分 かれ、皮 質 には糸 球 体 があり、それぞれ尿 細 管 につながってネフロンを構 成 している。1 個 の腎 臓 にはおよそ 100 万 個 のネフロンがあり、尿 細 管 から集 合 管 、腎 盂 へと 尿 が集 められ、尿 は腎 臓 から出 て、尿 管 を通 り、膀 胱 に貯 められる 8 )。このよう に腎 臓 は尿 を生 成 し、老 廃 物 を体 外 に出 す働 きを持 つ臓 器 である。

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4 1)尿 の生 成 9 ) 腎 臓 には毎 分 約 1,000mL の血 液 が腎 動 脈 から輸 入 細 動 脈 へと流 入 し、糸 球 体 に入 り、糸 球 体 基 底 膜 を通 過 し、濾 過 される。濾 過 された血 液 は、その 後 、輸 出 細 動 脈 を 経 て、糸 球 体 から出 る。この輸 入 細 動 脈 と輸 出 細 動 脈 が つくる圧 が「糸 球 体 内 圧 」で、濾 過 の原 動 力 となる。血 圧 が低 下 すると尿 量 も 低 下 するのはこのためである。 糸 球 体 で、血 液 から濾 過 された成 分 を「原 尿 」といい、1 日 に 180 リットルに 達 する。原 尿 は 糸 球 体 に続 く尿 細 管 で必 要 な成 分 が再 吸 収 され、 不 要 なも のは尿 細 管 の中 に排 泄 され、最 終 的 に水 分 として 99%再 吸 収 され、1%すな わち 1,000~1,500mL/日 が尿 となって体 外 に排 出 される。腎 機 能 が正 常 であ れば、水 分 はその摂 取 量 に応 じて 10 リットルまで、食 塩 は 50gまで1日 に排 泄 することができる 1 0 )。このように腎 臓 の機 能 のおかげで、体 内 の水 分 、ナトリウ ム、カリウムなどの電 解 質 は一 定 に保 たれている。 通 常 、血 中 のアルブミンは糸 球 体 基 底 膜 を通 過 するが、尿 細 管 で再 吸 収 され、最 終 尿 では検 出 されない量 になる。また、正 常 では分 子 量 の大 きい蛋 白 や赤 血 球 は糸 球 体 基 底 膜 を 通 過 しないが、糸 球 体 に病 変 が起 きると、た んぱくや赤 血 球 なども尿 中 に認 められるようになる。 2)血 圧 の調 節 血 圧 は主 に塩 分 に依 存 することが多 く、腎 臓 からレニンが分 泌 され、体 内 で アンジオテンシンⅡが生 成 されることで、血 管 が収 縮 し、塩 分 の排 泄 も抑 制 さ れ血 圧 を上 昇 させる働 きがある。このように腎 臓 は血 圧 の維 持 にも重 要 な臓 器 であると言 える。 3)その他 の働 き 腎 臓 は尿 の生 成 や血 圧 の調 整 だけでなく、エリスロポエチンという造 血 ホル モンを生 産 して、赤 血 球 の生 産 を促 す。腎 機 能 が低 下 し、その生 産 量 が低 下

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5 すると腎 性 貧 血 が認 められる。 また、骨 ミネラル代 謝 に関 連 しているビタミン D を活 性 化 し、体 内 のカルシウ ムを調 節 している。ビタミン D は腸 管 からのカルシウムの吸 収 を促 進 し、血 中 のカルシウムを上 昇 させるため、不 足 すると低 カルシウム血 症 が認 められる。 3.腎 機 能 低 下 による尿 毒 症 状 態 1 1 ) 腎 臓 の機 能 が何 らかの原 因 で傷 害 され、尿 に排 泄 されるべき老 廃 物 が血 液 中 に貯 留 して全 身 に影 響 が及 んだ状 態 を「尿 毒 症 」を呼 ぶ。 腎 臓 が障 害 される原 因 は、糸 球 体 腎 炎 であり、長 期 間 尿 たんぱくや血 尿 が 出 現 し、腎 機 能 の低 下 をきたす場 合 や間 質 や尿 細 管 が障 害 され、糸 球 体 の ような毛 細 血 管 ではなく、比 較 的 太 い血 管 が障 害 の動 脈 硬 化 などによる腎 硬 化 症 で、腎 機 能 低 下 が起 こる場 合 など様 々である。 尿 毒 症 の主 な症 状 は、だるさ、吐 き気 、食 欲 不 振 、頭 痛 などのほか、呼 吸 困 難 感 、出 血 症 状 などの多 彩 な症 状 が出 現 する。一 般 的 に腎 機 能 が半 分 に 低 下 すると、検 査 所 見 で高 窒 素 血 症 を認 め、高 カリウム血 症 が出 現 する。症 状 は個 人 によって異 なるが、自 覚 症 状 としては夜 間 尿 を認 めることが多 い。 尿 毒 症 状 の中 で特 に緊 急 性 の高 いものは肺 水 腫 、心 不 全 である。同 時 に 電 解 質 異 常 でも、高 カリウム血 症 への対 応 は重 要 である。 4.透 析 療 法 1 2 ) 腎 臓 の機 能 が約 10 分 の 1 まで落 ち、腎 不 全 が進 行 し、自 覚 症 状 が出 現 す ると、腎 代 替 療 法 として、透 析 療 法 が必 要 となる。腎 代 替 療 法 は腎 臓 の治 療 ではなく、腎 臓 の代 替 をすることで、 ESKD であっても 、長 期 生 存 も 可 能 とな る。 腎 代 替 療 法 を開 始 する時 期 は 、ク レアチニンや尿 素 窒 素 など採 血 結 果 に

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6 加 え 、食 欲 の低 下 などの 消 化 器 症 状 、むくみや息 切 れなどの溢 水 症 状 、不 眠 、イライラなどの神 経 症 状 のほか、栄 養 状 態 も含 め、総 合 的 にこれらの尿 毒 症 の状 態 と全 身 状 態 を判 断 し、決 定 する。 日 本 における血 液 透 析 導 入 の基 準 (厚 生 労 働 省 )は 、症 状 ・所 見 と腎 機 能 ・日 常 生 活 レベルとの組 み合 わせ で導 入 時 期 を考 える。腎 機 能 が正 常 の 15%以 上 であっても、尿 毒 症 の症 状 や高 カリウム血 症 、心 不 全 などがあり、適 切 な治 療 によって改 善 しない場 合 は 、 透 析 が必 要 であると判 断 する。

腎 代 替 療 法 には透 析 療 法 (dialysis)と腎 移 植 (renal transplantation )があ り、透 析 療 法 は血 液 透 析 と腹 膜 透 析 の 2 種 類 の方 法 がある。我 が国 では血 液 透 析 が 95%を占 めている。それぞれの治 療 法 には特 徴 があり、ライフスタイ ルに合 わせて治 療 法 の選 択 をすることが出 来 る。 血 液 透 析 は、週 3 回 、1回 の透 析 時 間 は 4~5 時 間 が標 準 である。血 液 と透 析 液 の間 にある半 透 膜 (水 分 とごく小 さな 物 質 のみを通 過 する膜 )を介 して、 水 や物 質 の移 動 を行 い、毒 素 を除 去 し不 足 物 を補 充 する。 その原 理 1 3 ) 限 外 濾 過 と拡 散 と呼 ばれている。限 外 濾 過 は、透 析 器 (ダイアライザー)の出 口 を狭 くするように圧 力 をかけて、血 液 中 の余 分 な体 液 (主 に塩 分 ・水 分 )を 除 去 するというものである。拡 散 とは、ティーパックをお湯 につけた時 に濃 さが 均 一 となるという原 理 である。血 液 中 の老 廃 物 や電 解 質 のカリウム・リンなどが 除 去 され、反 対 に、カルシウムや重 炭 酸 イオンなどは補 充 される。 腹 膜 透 析 1 4 )は体 の中 の腹 膜 を透 析 膜 として用 いる透 析 療 法 である。半 透 膜 の性 質 を有 する腹 膜 には毛 細 血 管 が多 く存 在 し、腹 腔 に透 析 液 を注 入 す ると、腹 膜 を 介 して透 析 液 と血 液 とが接 触 する。そ こで拡 散 と濾 過 が起 こり、 血 液 中 の老 廃 物 や電 解 質 が透 析 液 の方 に集 まる。また、透 析 液 と血 液 の浸 透 圧 勾 配 により体 内 の余 分 な水 分 も除 去 される。心 血 管 系 の負 担 が少 ないこ とや残 腎 機 能 の維 持 が期 待 できるなどの医 学 的 なメリットもあり、血 液 透 析 と

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7 比 較 し、食 事 制 限 が緩 やかなことや通 院 回 数 が少 ないことなど、患 者 の QOL が保 たれやすい。 5.高 齢 透 析 患 者 の現 状 と問 題 点 日 本 は、高 齢 化 が進 み、2007 年 より超 高 齢 化 社 会 と言 われている。わが国 における医 療 費 の増 加 は高 齢 医 療 における最 大 の問 題 点 でもある。2012 年 では 65 歳 以 上 の高 齢 者 は総 人 口 の 22%であるが、今 後 2060 年 には 8674 万 人 となり、高 齢 者 はそのうちの 40%になると推 計 され1 5 )、世 界 で最 も急 速 に 高 齢 化 が進 行 している医 療 先 進 国 であり 1 6 )、今 後 、日 本 における高 齢 者 の 増 加 、それに伴 う医 療 費 の増 加 は避 けられない状 況 である。 2013 年 度 末 に実 施 された日 本 透 析 医 学 会 の統 計 調 査 4 )によれば、透 析 導 入 患 者 の平 均 年 齢 は 68.68 歳 、全 透 析 患 者 の平 均 年 齢 は 67.20 歳 であり、 年 々、透 析 患 者 の平 均 年 齢 は直 線 的 に高 齢 化 しており、今 後 も透 析 患 者 の 高 齢 化 が続 くことが推 定 される。また、5 年 ごとに全 国 腎 臓 病 協 議 会 と日 本 透 析 医 学 会 との共 同 で実 施 している透 析 患 者 の実 態 調 査 1 7 )では、一 人 暮 らし の患 者 は、1996 年 に 7.0%であったが、2011 年 には 10.7%と増 加 傾 向 にあり、 10 人 に 1 人 が独 居 であり、一 人 暮 らしの割 合 は徐 々に増 加 する傾 向 であっ た。 一 方 、日 本 の透 析 医 療 は、透 析 患 者 の予 後 も世 界 一 のレベルに押 し上 げ たが 、高 齢 者 特 有 の 病 態 に 加 え 、身 体 的 、精 神 的 、心 理 的 、家 庭 ・社 会 的 問 題 を有 し、透 析 導 入 、さらに透 析 を継 続 する上 で様 々な問 題 が存 在 してい る。血 液 透 析 は、週 に 3 回 の透 析 施 設 への通 院 治 療 が必 要 になる。身 体 能 力 の低 下 、骨 関 節 障 害 、循 環 器 合 併 症 、認 知 症 を有 する高 齢 者 にとっては 通 院 困 難 、通 院 介 助 の問 題 等 が生 じてくる1 8 , 1 9 )。核 家 族 化 により、独 居 老 人 や老 老 介 護 家 庭 が増 加 している 2 0 )。公 共 機 関 を利 用 し、一 人 で通 院 できる

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8 患 者 はごく一 部 である。タクシーを利 用 するなど経 済 的 負 担 も多 いと思 われる。 また、一 人 暮 らしの患 者 では食 事 に対 する関 心 が弱 く、かつ食 事 療 法 の実 践 はほとんど不 可 能 に近 い 2 0 ) 。リンやカリウムの制 限 など必 要 な栄 養 指 導 を実 施 するが、習 慣 化 するには時 間 がかかることが予 想 される。栄 養 面 では高 齢 者 はたんぱく質 やビタミンの潜 在 的 な栄 養 不 良 があり 2 1 )、医 療 スタッフは透 析 療 法 を継 続 させる上 で多 角 的 な観 点 から対 応 を考 えなければならない のが現 状 である。 6.慢 性 腎 臓 病 における食 事 療 法 の重 要 性 CKD の発 症 は、高 血 圧 症 、糖 尿 病 、脂 質 異 常 症 、高 尿 酸 血 症 、肥 満 およ びメタボリックシンドロームなど多 くの食 生 活 関 連 因 子 が関 与 しており、CKD の 進 行 防 止 には食 事 療 法 が非 常 に重 要 となってくる。CKD の食 事 療 法 につい て以 下 の項 目 のコントロールが必 要 とされている。 1)たんぱく質 三 大 栄 養 素 のうち、炭 水 化 物 と脂 質 は、炭 素 と水 素 から構 成 されており、最 終 的 には水 と二 酸 化 炭 素 に代 謝 され、肺 、腎 臓 、皮 膚 から排 泄 される。一 方 、 たんぱく質 に含 有 される窒 素 は、最 終 的 に窒 素 代 謝 物 として、腎 臓 から排 泄 させる。 たんぱく質 制 限 は、窒 素 代 謝 物 の産 生 を抑 え 、尿 毒 症 症 状 を軽 減 する効 果 に加 え、酸 の負 荷 も減 少 するために代 謝 性 アシドーシスを改 善 する作 用 や、リ ンの摂 取 量 を減 らして高 リン血 症 を抑 制 する作 用 も持 つ2 2 )。さらに、たんぱく質 制 限 は、尿 たんぱくを減 少 させる効 果 もあるとする報 告 もある2 3 , 2 4 )。たんぱく質 制 限 をすることで、腎 機 能 を悪 化 させる要 因 である窒 素 代 謝 物 、代 謝 性 アシド ーシス、高 リン血 症 、尿 たんぱくが改 善 され、代 謝 面 からも有 効 であると考 えら れている2 5 )

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9 たんぱく質 制 限 を行 う場 合 には、安 全 性 にも留 意 しなければならない。健 康 な成 人 における良 質 たんぱく質 のたんぱく質 維 持 必 要 量 は、 0.65g/kg実 体 重 /日 とされている2 6 ) 。厳 格 なたんぱく質 制 限 食 (たんぱく質 摂 取 量 0.48g/㎏実 体 重 /日 )では末 期 腎 不 全 の リスクは低 下 せず、反 対 に死 亡 のリスクが高 まっ たことが報 告 されている2 7 )。良 質 なたんぱく質 を摂 取 させ、エネルギー不 足 に ならないようにするなど細 心 の注 意 を払 った上 で、この量 を下 回 ることのないよ うにすべきである。エネルギー摂 取 量 とたんぱく質 必 要 量 の間 には密 接 な関 係 があり、0.6g/㎏実 体 重 /日 以 下 のたんぱく質 制 限 を行 う場 合 は、35~40Kcal /㎏実 体 重 /日 以 上 のエネルギーを摂 取 しなければ負 の窒 素 バランス(異 化 亢 進 )となることが示 されている2 7 )。軽 度 の腎 障 害 では、たんぱく質 制 限 は 0.8~ 1.0g/㎏標 準 体 重 /日 から指 導 を開 始 し、標 準 的 治 療 としてのたんぱく質 制 限 は、0.6~0.8g/㎏標 準 体 重 /日 で指 導 することを推 奨 している2 7 )。透 析 導 入 後 は標 準 体 重 (㎏)当 たり0.9~1.2g/日 の摂 取 量 を目 安 にする2 8 )。たんぱく質 を 必 要 以 上 に制 限 した場 合 、栄 養 障 害 をきたす可 能 性 もあり、 CKDの食 事 療 法 ではたんぱく質 摂 取 量 の管 理 が重 要 となる。 たんぱく質 の栄 養 価 としての価 値 は、食 品 に含 まれる必 須 アミノ酸 の比 率 で 優 劣 が決 まる。化 学 的 に構 成 するアミノ酸 の比 率 より算 出 したアミノ酸 スコアな どを用 いて評 価 する。慢 性 腎 臓 病 では蛋 白 異 化 が亢 進 しやすく、たんぱく質 制 限 も必 要 になるため、できるだけ生 物 価 が高 く、アミノ酸 スコアの高 い良 質 なたんぱく質 を摂 取 することが重 要 である 2 9 ) 2)食 塩 CKD の栄 養 管 理 において食 塩 管 理 は最 も基 本 となる。食 塩 制 限 の意 義 と 必 要 性 を管 理 栄 養 士 は十 分 理 解 する必 要 がある。 ナトリウムの過 剰 摂 取 は、 細 胞 外 液 量 の増 加 をきたし、透 析 間 の体 重 増 加 、高 血 圧 、浮 腫 、うっ血 性 心 不 全 、肺 水 腫 の原 因 となる。日 本 腎 臓 学 会 編 「慢 性 腎 臓 病 に対 する食 事 療

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10 法 の基 準 2014 年 版 」では透 析 患 者 の 1 日 の食 塩 摂 取 量 は 6g未 満 としてい る2 8 )。食 塩 の摂 取 量 については食 塩 制 限 により血 圧 を低 下 させることができ、 降 圧 剤 の効 果 を高 め、腎 機 能 低 下 を遅 延 させる効 果 がある 3 0 , 3 1 ) 。 3)リンおよびカルシウム リンとカルシウムのコントロールは透 析 患 者 の骨 量 維 持 にとどまらず、患 者 の 生 命 予 後 を左 右 する透 析 治 療 の重 要 な問 題 となっている。リンをコントロー ル する栄 養 管 理 の重 要 性 が再 確 認 されている。 一 般 に、たんぱく質 1gあたりのリンは約 15 ㎎であるが、厳 密 には 3 つの供 給 源 により生 物 学 的 利 用 率 が異 なり、植 物 性 食 品 は 20~40%、動 物 性 食 品 は 40~60%、食 品 加 工 に用 いられる無 機 リンは 90%以 上 となっている2 8 )。リンは 約 80%がカルシウムと結 合 して、骨 や歯 に、残 りが筋 肉 や結 合 組 織 に存 在 し ている 3 2 )。生 体 のカルシウム・リン代 謝 は主 に腸 管 、腎 臓 、骨 の 3 器 官 により 構 成 されている。このカルシウムおよびリン代 謝 を調 節 している主 なホルモンが 副 甲 状 腺 ホルモン(PTH)、活 性 型 ビタミンD(VD)である。PTH は骨 吸 収 を促 進 し、活 性 型 VD は腸 管 からのカルシウム吸 収 を促 進 する。CKD 患 者 の多 く の場 合 、リンの排 泄 機 能 が低 下 するため、血 清 リン値 の上 昇 と血 清 カルシウム 値 の低 下 がみられ、患 者 は VD の活 性 化 障 害 などにより PTH の分 泌 過 剰 をも たらす二 次 副 甲 状 腺 機 能 亢 進 症 の状 態 にある。K/DOQI のガイドライン 3 3 ) CKD 第 5 病 期 ではリン目 標 値 は 3.5~5.5 ㎎/dL に、一 方 、日 本 透 析 医 学 会 の「透 析 患 者 における二 次 性 副 甲 状 腺 機 能 亢 進 症 治 療 ガイド 3 4 )」では、リン 目 標 値 は 3.5~6.0 ㎎/dL に定 めている。この中 で血 清 リン濃 度 の管 理 が最 優 先 されることが初 めて示 され、リン管 理 の重 要 性 が広 く示 めされた。 近 年 、透 析 患 者 の 高 リン血 症 が生 命 予 後 を悪 化 させることが大 規 模 な観 察 研 究 で明 らかにされ 3 5 )、その後 の観 察 研 究 でも高 リン血 症 は透 析 患 者 の 予 後 を規 定 する重 要 な因 子 であると国 内 外 の報 告 で明 らかにされた 3 6 , 3 7 , 3 8 )

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11 透 析 患 者 の死 因 の第 1 位 は心 血 管 障 害 であり、高 リン血 症 から招 く血 管 の石 灰 化 による心 筋 梗 塞 なども多 い。リンが直 接 、血 管 の石 灰 化 に関 与 する機 序 も解 明 され、透 析 患 者 の予 後 も悪 化 させる因 子 として認 識 される ようになった。 リンをコントロールする方 法 は食 事 中 のリン制 限 、リン吸 着 剤 の内 服 、活 性 型 VD の内 服 、低 カルシウム透 析 液 の適 正 な使 用 、透 析 時 間 を増 やすなどがあ る 3 9 ) 日 本 人 の健 常 成 人 のリン摂 取 量 は 1 日 約 1,000 ㎎であり、腎 機 能 正 常 者 ではこのうち 350 ㎎(約 35%)が糞 便 中 へ、残 りの 650 ㎎(65%)が尿 中 へ排 泄 される 3 6 )。透 析 によるリンの除 去 量 は透 析 条 件 によって異 なるが、 無 尿 の 透 析 患 者 の場 合 、リン摂 取 量 を 1 日 約 800 ㎎に制 限 しても、本 来 であれば尿 中 へ排 泄 される 520 ㎎が体 内 に毎 日 蓄 積 される。1 回 の透 析 で除 去 できるリ ンは 900~1000 ㎎程 度 である。標 準 的 な透 析 は週 3 回 施 行 するため、(900 ~1000 ㎎)×3 回 となり、1 日 換 算 するとリンの除 去 量 は 385~430 ㎎/日 とな る。これに排 便 排 泄 (400 ㎎/日 )を合 わせて、1 日 のリン除 去 および排 泄 量 の 合 計 は 785~830 ㎎/日 となる。以 上 のことから血 液 透 析 患 者 の食 事 からのリ ン摂 取 目 安 量 は 700~800 ㎎/日 に抑 える必 要 がある。それ以 上 にリンの摂 取 量 が多 くなった時 、高 リン血 症 となる。 リンに関 し ては 食 事 中 のたんぱく質 とリン含 有 量 との間 には極 めて高 い正 の相 関 4 0 )が存 在 するため、たんぱく質 制 限 が必 要 な透 析 導 入 前 の患 者 にお いては、たんぱく制 限 食 の実 施 が行 われている場 合 は、同 時 にリン摂 取 量 も 抑 えられていことになる。 4)カリウム 成 人 におけるカリウム摂 取 については、「日 本 人 の食 事 摂 取 基 準 (2015 年 版 )」において、国 民 健 康 ・栄 養 調 査 の成 人 の摂 取 量 の中 央 値 とした目 安 量 は、男 性 では 2,500 ㎎/日 、女 性 では 2,000 ㎎/日 である4 1 )。CKD においても

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12 高 カリウム血 症 のリスクの少 ないステージ G1~G2 ではカリウム制 限 は必 要 なく、 高 カリウム血 症 の合 併 頻 度 やリスクは CKD のステージ G3b以 降 で必 要 となる。 eGFR40mL/分 /1.73m2 以 下 で著 明 に高 カリウム血 症 の頻 度 が上 昇 すること 4 2 )、低 カリウム血 症 が死 亡 のリスクと関 連 していること4 3 、 4 4 )を考 慮 し、CKDステ ージ G3a までは制 限 せず、G3b では 2,000 ㎎/日 以 下 、G4~G5 では 1,500 ㎎/日 以 下 を制 限 の目 標 量 として推 奨 している 2 8 ) カリ ウムの 出 納 は 主 に 腎 臓 が 調 節 し 、腎 臓 の機 能 が低 下 するとカリ ウムの 尿 中 への排 泄 が低 下 し、高 カリウム血 症 をきたしやすくなる。カリウムは便 から も排 泄 されるが、透 析 患 者 の場 合 は腎 機 能 が高 度 に障 害 されているため、十 分 な透 析 と食 事 に含 まれるカリウムの制 限 が必 要 になる。高 カリウム血 症 は倦 怠 感 、しびれなどの神 経 筋 症 状 や悪 心 、嘔 吐 、便 秘 などの消 化 器 症 状 、さら に 危 険 性 の 高 い 不 整 脈 を 誘 発 す る 可 能 性 が あ る 4 5 )。 血 清 カ リ ウ ム 値 が 6.0mEq/L を超 えた場 合 、臨 床 症 状 の有 無 、血 液 検 査 、心 電 図 検 査 を行 い、 透 析 療 法 や内 服 薬 で対 処 する必 要 がある。また、日 常 的 には 、カリウムが多 く 含 まれている生 野 菜 や果 物 の摂 取 を控 え、野 菜 や芋 類 などの 水 さらし、茹 で こぼしを行 い、カリウム低 減 に努 める。また、たんぱく質 を 必 要 以 上 に摂 取 する ことでもカリウム値 が上 昇 するため注 意 が必 要 である。 7.慢 性 腎 臓 病 患 者 に対 する管 理 栄 養 士 の役 割 上 記 に示 した 4 項 目 のコントロールについて、CKD 患 者 に対 して食 事 指 導 をした際 に、患 者 より「制 限 が多 く、いったい何 を摂 取 すればいいのか混 乱 す る」という声 がよく聞 か れる。透 析 導 入 を遅 らせるために食 事 療 法 は重 要 にな るが、CKD の病 期 が進 むほど制 限 は厳 しくなる。超 高 齢 化 社 会 を迎 える中 、 より簡 便 な、理 解 しやすい食 事 療 法 が求 められる 。また、透 析 医 療 費 の中 の 投 薬 料 の増 加 が問 題 視 されている。透 析 医 療 費 の約 8%が内 服 薬 剤 費 であ

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13 る 4 6 )。リン吸 着 剤 、カリウムキレート剤 の処 方 を抑 えるためには 、患 者 一 人 一 人 が経 口 からのリンおよびカリウムを抑 え、食 事 療 法 に取 り組 む必 要 がある。 とくに、CKD 患 者 の摂 取 頻 度 の高 い食 品 から、リンおよびカリウム低 減 するこ とができれば、確 実 に 経 口 からのリ ンおよびカリウム量 を減 ら すことができると 考 える。 CKD 患 者 の高 齢 化 が進 み、加 齢 による記 銘 力 、記 憶 力 の低 下 、視 力 障 害 、 聴 力 障 害 、睡 眠 障 害 といった生 理 的 変 化 を生 じ、人 格 ・感 情 の変 化 も生 じや すく、自 己 中 心 的 になり、病 態 によっては認 知 症 などの精 神 神 経 障 害 を呈 す ることもある 4 7 )。医 療 スタッフや家 族 は食 事 療 法 や服 薬 の重 要 性 を根 気 よ く 繰 り 返 し 、 継 続 し た 指 導 、 説 明 が 必 要 と な っ て く る 。 管 理 栄 養 士 は 高 齢 の CKD 患 者 に対 応 したより簡 便 な継 続 可 能 な食 事 療 法 を模 索 し、患 者 個 々の 環 境 にあった食 事 療 法 を提 案 していく必 要 がある。 8.治 療 用 特 殊 食 品 腎 機 能 が著 し く低 下 した 場 合 は、 標 準 的 治 療 とし てのたん ぱく質 制 限 は、 0.6~0.8g/㎏標 準 体 重 /日 で指 導 することを推 奨 している 2 7 , 2 8 )。エネルギー や良 質 なたんぱく質 の摂 取 不 足 が生 じ 、栄 養 障 害 をきたすことがある。栄 養 障 害 を防 ぐために、治 療 用 特 殊 食 品 の利 用 を栄 養 指 導 の際 に勧 めている 4 8 ) 特 にご飯 、パン、麺 類 などの主 食 は主 に糖 質 (でんぷん質 )からなり、エネルギ ー源 として大 事 なものであるが、それらはたんぱく質 も含 有 している。たんぱく 質 含 有 量 とリン含 有 量 は正 の相 関 があることから 4 0 )、たんぱく質 制 限 およびリ ン制 限 においては主 食 も重 要 な問 題 となる。CKD 患 者 を対 象 とした脱 蛋 白 米 の腎 不 全 進 行 抑 制 効 果 4 9 )、低 グルテリン米 の血 清 リンコントロールの有 用 性 と実 用 性 5 0 )、高 リン血 症 に対 する低 リン米 の効 果 5 1 )など、主 食 を腎 臓 病 用 の 治 療 用 特 殊 食 品 に変 更 した場 合 の血 清 リン値 低 下 作 用 については多 くの報

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14 告 がある。また、無 洗 米 による血 清 リン値 低 下 の報 告 もあり 5 2 )、治 療 食 米 と比 較 し、安 価 であることから、継 続 使 用 も可 能 であると思 われる。渡 邊 ら5 3 )は、対 象 の透 析 患 者 のうちの 80%で、無 洗 米 の使 用 により血 清 リン値 が 10%低 下 し たことを報 告 している。 このような治 療 用 特 殊 食 品 の利 用 を 管 理 栄 養 士 は、栄 養 指 導 の際 に勧 め るが、地 方 の農 村 地 域 において、米 は自 作 米 を摂 取 し、または縁 故 米 を安 価 で入 手 することが可 能 な為 、高 価 な治 療 食 米 や無 洗 米 の購 入 には至 らない ことが多 い。また、高 齢 者 にとっては経 済 的 負 担 が大 きく、継 続 使 用 は困 難 で あると思 われる。 9.慢 性 腎 臓 病 患 者 に対 する洗 米 による無 機 成 分 の洗 出 の重 要 性 米 は、日 本 人 の常 食 として広 く摂 取 されている。米 の主 成 分 はでんぷんであ り、米 飯 民 族 にとっては重 要 なエネルギー源 である。 その米 にはリン、カリウム 含 有 量 が高 いことが報 告 されている 5 4 )。また、リンは、米 の無 機 成 分 で最 も含 量 が多 いとされる 5 5 )。さらに、米 は、搗 精 の程 度 によって無 機 成 分 含 量 が変 化 することが知 られている 5 6 )。米 の成 分 値 は、日 本 食 品 標 準 成 分 表 5 7 )に記 載 されているが、洗 米 後 に炊 飯 し て摂 取 するた め、実 際 の無 機 成 分 の 摂 取 量 は洗 米 における無 機 成 分 の洗 出 に伴 う変 化 を明 らかにする必 要 がある。 堤 ら 5 8 )は、水 洗 いによる無 機 成 分 およびたんぱく質 の含 有 量 の変 化 を報 告 しており、洗 米 による成 分 残 存 率 は 、Mg<Fe<P<K<Ca<Mn<Zn<Cu の順 であり、たんぱく質 の残 存 率 は 95%と高 値 で、洗 米 によってたんぱく質 は 洗 出 しにくいことを明 らかにした。この報 告 5 8 )から、CKD 患 者 において摂 取 制 限 が必 要 なリンやカリウムは、洗 米 によって洗 出 しやすい成 分 であることが明 ら かとなった。梁 取 ら 5 9 )は、米 の搗 精 によるリンとカリウム含 有 量 の低 下 率 を示 し た成 分 含 有 率 低 下 曲 線 の比 較 において、この 2 つの成 分 分 布 はよく類 似 し

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15 ていることを報 告 しており、米 の表 層 部 、胚 および糊 粉 層 部 に多 く含 まれてい ることを推 察 している。久 保 らは、米 に含 有 されるリンは表 層 部 よりやや入 った 糊 粉 層 部 に最 高 濃 度 が存 在 していることを明 らかにし 6 0 ) 、米 粒 内 に含 有 され るリンとカリウムの成 分 分 布 は一 致 していることを報 告 している 6 0 ) 日 本 人 が毎 日 食 する米 は、摂 取 頻 度 および摂 取 量 が多 い食 品 である。米 にはリンおよびカリウム含 有 量 が多 く、CKD 患 者 にとって制 限 が必 要 なリンや カリウムは、米 粒 の表 層 部 よりやや入 った糊 粉 層 部 、つまり毎 日 食 する米 に付 着 している糠 に多 く含 有 されていることが推 察 される。この糠 の除 去 を毎 日 確 実 に行 うことで米 からのリンおよびカリウムを低 減 し、CKD 患 者 にとって有 効 な 食 事 療 法 であると考 える。 10. 研 究 目 的 本 研 究 の目 的 は,下 記 にかかげる3つからなる。 第 1の目 的 は、腎 臓 病 用 の高 価 な治 療 用 特 殊 食 品 を利 用 せずに自 作 米 、 縁 古 米 および市 販 で購 入 する米 を洗 米 し、 米 飯 として利 用 しているCKD患 者 に対 して、米 に含 まれるリンおよびカリウムを低 減 することが可 能 かどうかについ て、洗 米 時 間 と洗 米 回 数 の検 討 を行 い、リンおよびカリウム低 減 のための洗 米 条 件 を明 らかにした。 また、外 来 通 院 中 の透 析 患 者 95名 を対 象 とし、従 来 から家 庭 で実 施 されて いる洗 米 方 法 等 に 関 するアン ケート( 米 の 入 手 先 、米 の 摂 取 頻 度 、搗 精 度 、 洗 米 回 数 、洗 米 時 間 )を行 い、透 析 患 者 の洗 米 に関 する実 態 調 査 を行 い、明 らかとなった条 件 と比 較 検 討 を行 った。 洗 米 は、各 家 庭 の環 境 により米 の量 や水 の量 は様 々である。そこで第 2の目 的 は、米 200gに対 して洗 米 する水 量 を変 え、米 から洗 出 されるリンおよびカリウ ム量 に洗 米 する水 量 が影 響 するかどうかを測 定 し、リンおよびカリウムを洗 出 さ

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16 せる効 率 の良 い洗 米 に用 いる水 量 の条 件 を求 めた。 第 3の目 的 は、腎 臓 の機 能 が10%以 下 に低 下 したESKD患 者 を対 象 として、 経 口 から摂 取 するリンおよびカリウムを低 減 させることができる米 の 2倍 量 以 上 の水 量 で洗 米 を行 い、20秒 間 手 でかき混 ぜ、水 を取 り換 える作 業 を5回 繰 り返 すことを指 導 し、この5回 洗 米 食 事 療 法 が、血 清 リン値 および血 清 カリウム値 に 影 響 を及 ぼし、低 下 効 果 があるかどうかを検 証 した。また、この5回 洗 米 食 事 療 法 の指 導 で、米 中 のリンおよびカリウムへの意 識 、5回 洗 米 が継 続 可 能 な食 事 療 法 であるかを問 うアンケートを実 施 した。 このような研 究 から、CKD患 者 に対 して米 飯 時 の洗 米 条 件 の検 討 から、リン およびカリウムの低 減 による継 続 可 能 で、効 果 的 な食 事 療 法 を構 築 することを 目 指 した。

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第 2 章

慢性腎臓病の食事療法における一考察

―洗米によるリン・カリウムの低減効果―

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18 1.背 景 近 年 、日 本 および諸 外 国 では生 活 習 慣 病 の増 加 に伴 い、CKD 患 者 が急 増 している 2 , 6 1 ) 。CKD は高 血 圧 、脂 質 代 謝 異 常 、糖 代 謝 異 常 、骨 代 謝 異 常 など様 々な全 身 疾 患 と関 連 しながら進 行 し、最 終 的 に透 析 導 入 となる可 能 性 が高 い疾 患 である6 2 )。透 析 導 入 を遅 らせるために、厳 しい食 事 制 限 を行 うが、 進 行 の末 に透 析 導 入 となる患 者 は年 々増 加 の一 途 をたどっている。 今 や国 民 400人 に1人 が透 析 療 法 を受 けており、その比 率 は年 々増 加 して いる。また、わが国 の約 30万 人 の透 析 患 者 のうち5年 以 上 の長 期 透 析 患 者 は 約 半 数 を超 えている。 CKD では、有 害 な老 廃 物 が体 内 に蓄 積 し、ついには尿 毒 症 で死 に至 るこ とも ある。腎 臓 の 排 泄 機 能 が 低 下 した 状 態 で、有 害 な老 廃 物 を 危 険 な限 度 以 上 に蓄 積 しないためには、その元 になるたんぱく質 、リン、カリウム等 の摂 取 を制 限 する必 要 があり、これが長 期 間 良 好 な状 態 で、透 析 療 法 を継 続 するた めの食 事 療 法 の基 本 となっている 6 3 ) これまでの研 究 では、リンの摂 取 制 限 に関 しては、焼 く、煮 るなどの調 理 法 による低 減 効 果 に関 する詳 細 な報 告 はなく、たんぱく質 やリン含 有 量 の多 い 食 品 を避 けるなど、主 に摂 取 量 で調 整 する方 法 がとられている。しかし、たん ぱく質 摂 取 量 の減 少 は、エネルギー低 下 につながり、栄 養 障 害 の危 険 性 があ る 6 4 )。カリウムの摂 取 制 限 については、「腎 疾 患 患 者 の生 活 指 導 ・食 事 指 導 に関 するガイドライン」6 5 )で、自 尿 のない透 析 患 者 のカリウム摂 取 量 は 1 日 1,500 ㎎以 下 に制 限 すべきであると記 されている。食 品 中 のカリウムは、茹 でこ ぼしや水 さらしを行 うことで低 減 できると言 われているが、CKD 患 者 の家 族 は 患 者 1人 分 を別 に調 理 するなど、調 理 従 事 者 の負 担 は大 きい。また、食 事 の 自 己 管 理 について透 析 歴 別 にみた調 査 では、長 期 透 析 患 者 にとって透 析 療 法 が患 者 の生 活 サイクルの一 部 になり、慣 れからの怠 慢 やルーズさも目 立 ち、

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19 自 己 流 で食 事 療 法 を行 い、透 析 歴 が長 期 になるほど制 限 に対 しての意 識 が 薄 らいでいるとの報 告 もある 6 6 )。そこで、日 常 の食 生 活 の中 で長 期 的 に無 理 なく簡 便 に継 続 できるリン、カリウムの低 減 方 法 があれば、食 事 療 法 の一 助 に なると考 えられる。 食 事 は 、 年 齢 や 土 地 柄 に よ る 環 境 、 家 族 構 成 など が影 響 し て いる 。 CKD 患 者 の治 療 食 として、従 来 から低 たんぱく米 や低 リン米 などの治 療 用 特 殊 食 品 が勧 められている 4 8 , 4 9 , 5 1 )。しかし、自 作 米 を持 つ米 農 家 や縁 故 米 を購 入 する者 が多 い農 村 地 域 においては、高 価 な治 療 用 特 殊 食 品 6 7 )の購 入 には 至 らないケースが多 くみられる。また、日 本 人 の主 食 として摂 取 頻 度 および摂 取 量 が多 い米 には、リン、カリウム含 有 量 が高 い 5 4 )。実 際 の栄 養 指 導 には、リ ンやカリウム含 有 量 の多 い玄 米 や糠 漬 けの漬 物 の摂 取 を控 えるように指 導 を 行 うが、リン、カリウムを含 有 する糠 が付 着 している米 の洗 米 方 法 についての 指 導 を行 うことはない。米 のミネラル成 分 の中 でリン、カリウム含 有 量 が高 いと いう事 実 も知 られていなく、洗 米 によるリン、カリウムの除 去 率 についても報 告 されていない。 2.目 的 このような点 から洗 米 によって、リン、カリウムの低 減 が可 能 か、 以 下 の項 目 において検 討 を行 った。 1)必 要 な洗 米 回 数 および洗 米 時 間 を明 らかにする。 2)米 自 体 に含 まれるたんぱく質 含 有 量 は低 いが、腎 臓 疾 患 についてはたん ぱく質 制 限 も重 要 な項 目 に位 置 付 けられていることから、 洗 米 によるたんぱく 質 の洗 出 効 果 を明 らかにする。

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20 3.方 法 (1) アンケート調 査 1)対 象 者 アンケート調 査 対 象 者 は 2011 年 4 月 末 に医 療 法 人 社 団 Hクリニック及 び 公 立 U病 院 に通 院 透 析 を行 っている患 者 532 名 (Hクリニック 491 名 、公 立 U 病 院 41 名 )のうち調 査 に協 力 が得 られた 95 名 であった。 表 1 に調 査 対 象 者 のプロフィールを示 した。 2)アンケート内 容 アンケート調 査 は、無 記 名 聞 き取 り式 で実 施 した。その内 容 は主 食 としての 米 の使 用 実 態 を把 握 するために、 透 析 患 者 に対 して、米 の入 手 先 、米 の摂 取 頻 度 、米 の搗 精 度 、米 研 ぎ回 数 、米 研 ぎ時 間 に関 する項 目 である。また、 表 2 に調 査 内 容 を示 した。 (2) 試 験 方 法 1)試 料 および調 整 試 料 米 は、平 成 21 年 度 新 潟 県 産 コシヒカリ(全 農 パールライス東 日 本 株 式 会 社 販 売 )を用 いた。この玄 米 を精 米 機 FA-5 型 ( 東 洋 精 米 機 製 作 所 和 歌 山 県 和 歌 山 市 ) で、精 白 割 合 91%に精 米 した米 を用 いた。洗 米 に用 いる 水 は純 水 を使 用 した。 洗 米 は、撹 拌 機 器 としてレディースミキサーNK-200( 大 正 電 気 滋 賀 県 草 津 市 ) 櫛 形 羽 、低 速 回 転 (375 回 転 /min)を用 いて機 械 的 な洗 米 を行 った。 しかし、一 般 的 に洗 米 は手 研 ぎで行 われるため、予 備 実 験 として、機 械 的 な 洗 米 と手 研 ぎ洗 米 でリン、カリウムおよびたんぱく質 の洗 出 率 に違 いがあるか を確 認 した。10 回 までの累 計 洗 出 率 に撹 拌 機 器 群 と手 研 ぎ群 で差 は見 られ なかったため、本 研 究 では撹 拌 機 器 を使 用 した洗 米 方 法 で実 施 した。

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21 洗 米 は、精 白 米 200gに純 水 400mL を加 え、1回 あたり 20 秒 間 攪 拌 し、100 メッシュのナイロン布 で、ろ過 した。次 いで、撹 拌 機 器 内 に米 を戻 し、新 たに純 水 400mL を加 え、同 様 の操 作 を連 続 10 回 行 った。ろ液 は均 等 になるように ガラス棒 でよく攪 拌 し、研 ぎ回 数 ごとの研 ぎ汁 に洗 い出 されたリン、カリウムお よびたんぱく質 量 の測 定 を行 った。洗 出 率 は、1 から 10 回 までに洗 い出 され た各 回 数 の量 を合 計 したものと、10 回 洗 米 した後 の米 に残 存 する量 を合 わせ たものを分 母 とし、各 回 数 の量 を分 子 として、100 を乗 じたものとした。各 洗 米 の測 定 は、3 回 実 施 した。なお、本 論 文 で用 いた洗 出 率 は、洗 米 によって洗 い出 たものの割 合 を示 す。洗 米 1 回 あたりの撹 拌 時 間 の設 定 は、患 者 95 名 におこなった洗 米 時 間 のアンケート結 果 が平 均 23.7±19.2 秒 間 であったこと や、早 川 、伊 賀 ら6 8 )の 1 回 30 秒 間 手 もみし、4 回 繰 り返 した際 の白 米 の溶 出 成 分 の報 告 、金 丸 、丸 山 ら 6 9 )の 15 秒 間 に 15 回 研 ぐことを 3 回 繰 り返 した際 の洗 米 による溶 出 成 分 と食 味 の報 告 を参 考 にした。 2)分 析 方 法 リン量 の測 定 は、灰 化 後 バナドモリブデン酸 吸 光 光 度 法 で行 った。 分 光 光 度 計 は UV ミニ 1240 型 ( 島 津 製 作 所 京 都 府 京 都 市 ) 測 定 波 長 470nm を用 いた。 カリウム量 の測 定 は硫 酸 ・硝 酸 湿 式 灰 化 後 (試 薬 はそれぞれ関 東 化 学 薬 品 (株 )製 、原 子 吸 光 分 析 用 を用 いた)、原 子 吸 光 光 度 測 定 法 (原 子 吸 光 光 度 計 AA2400:島 津 製 作 所 京 都 府 京 都 市 , ホロカソードランプ:浜 松 フォト ニクス 静 岡 県 浜 松 市 ) によって測 定 を行 った。フィルターは K768mμを使 用 した。 たんぱく質 はケルダール窒 素 測 定 法 7 0 )を用 い、窒 素 たんぱく質 換 算 係 数 5.957 0 )を乗 じてたんぱく質 量 とした。

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(3)統 計 解 析

デ ー タ は 、 平 均 値 ± 標 準 偏 差 で 示 し た 。 統 計 解 析 は Excel 統 計 (Microsoft office Excel 2007)を用 いた。洗 米 回 数 間 の比 較 は、対 応 のある t 検 定 を用 いた。危 険 率 は 5%とした。 (4)倫 理 的 配 慮 アンケート調 査 は 、透 析 室 の 責 任 者 および透 析 室 専 属 栄 養 士 に対 して、 研 究 者 が直 接 研 究 趣 旨 の説 明 を書 面 と口 頭 で行 い、協 力 を得 た。対 象 者 に は、研 究 の目 的 ・プライバシーの保 護 ・個 人 情 報 の保 護 ・研 究 協 力 への自 由 意 志 ・参 加 協 力 の拒 否 権 ・利 益 不 利 益 について説 明 し 、研 究 で得 られた情 報 は調 査 の目 的 以 外 には使 用 しないことを口 頭 で説 明 し、同 意 を得 た。 4. 結 果 (1)アンケート調 査 アンケート調 査 の結 果 は図 1 に示 した。平 均 世 帯 人 員 においては 2.3 人 と なっており、半 数 に近 い 43.2%が 2 人 家 族 、次 いで独 居 が 28.4%であった。 平 成 24 年 の国 民 生 活 基 礎 調 査 の結 果 と比 較 すると平 均 世 帯 人 員 2.6 人 で、 独 居 は 25.2%で、ほぼ全 国 平 均 並 であった 7 1 )。我 が国 では高 齢 者 の増 加 に ともない、高 齢 者 の 一 人 暮 らし の世 帯 数 も 増 加 し ている。米 の 入 手 先 は、自 作 米 が 13.7%、縁 故 米 が 33.7%であった。米 の摂 取 頻 度 は毎 食 が 53.7%、1 日 2 食 が 38.9%で、1 日 2 食 以 上 米 を摂 取 している者 は 92.6%であった。搗 精 度 に関 しては、標 準 米 (搗 精 度 90%)が 74.7%であった。洗 米 回 数 としては、 3~4 回 と答 えた者 が多 く、全 体 の 39.0%を占 めた。洗 米 に関 する意 見 として は「水 を取 り換 える程 度 で、丁 寧 な洗 米 は行 っていない。」、「米 糠 には栄 養 があり、あまり研 がないようにしている」等 が多 くあった。また、「研 ぎ水 が透 明 に

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23 な る ま で 研 ぐ 」 と 回 答 し た も の は 研 ぎ 回 数 と し て 10 回 以 上 で あ り 、 全 体 の 12.6%であった。「白 濁 が気 になり、なくなるまで研 ぎ続 ける」との意 見 であった。 1 回 目 の水 を取 り換 えるまで洗 米 時 間 の平 均 23.7±19.2 秒 であった。10 秒 以 下 の回 答 が最 も多 く、全 体 の 42.1%を占 めた。また、1 分 程 度 時 間 をかけ て洗 米 を実 施 している者 は 15.8%であり、大 きなばらつきがみられた。 (2)洗 米 回 数 ごとのリン、カリウム、たんぱく質 の洗 出 1)撹 拌 機 器 群 と手 研 ぎ群 によるリン、カリウム、たんぱく質 の洗 出 率 の比 較 撹 拌 機 器 群 と手 研 ぎ群 によるリン、カリウムおよびたんぱく質 の洗 出 率 は、 図 2 に示 すとおりであった。10 回 までの累 計 洗 出 率 に撹 拌 機 器 群 と手 研 ぎ群 で差 はみられなかった(表 3)。そのため、本 研 究 の洗 米 方 法 としては、研 ぎ時 間 や力 加 減 による誤 差 が生 じないように攪 拌 機 器 を使 用 した。 (3)洗 米 回 数 ごとのリン、カリウム、たんぱく質 の洗 出 率 図 3 は、洗 米 回 数 ごとのリン、カリウムおよびたんぱく質 の洗 出 率 とその累 計 洗 出 率 を示 した。 リンの洗 出 率 は、1 回 目 で 32.88±3.76%、2 回 目 10.20±1.08%、3 回 目 3.45±0.36%、4 回 目 2.22±0.21%、5 回 目 1.44±0.34%となり、5 回 目 まで に 50.2±3.02%が洗 出 された。5 回 目 までの回 数 間 すべてに有 意 差 が認 めら れた(p<0.05)。 カリウムの洗 出 率 は、1 回 目 で 24.70±3.41%、2 回 目 9.82±1.36%、3 回 目 4.87±0.79%、4 回 目 3.57±0.33%、5 回 目 3.02±0.34%となり、5 回 目 ま でに 46.0±3.89%が洗 出 された。4 回 目 までの回 数 間 すべてに有 意 差 が認 められた(p<0.05)。 たんぱく質 の洗 出 率 は、1 回 目 で 2.99±0.14%、2 回 目 1.13±0.24%、3

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24 回 目 0.53±0.02%、4 回 目 0.40±0.02%、5 回 目 0.35±0.06%となり、5 回 目 までに 5.40±0.42%しか洗 出 されなかったが、4 回 目 までの回 数 間 すべて に有 意 差 が認 められた(p<0.05)。たんぱく質 はリン、カリウムに比 べ、洗 米 に よる大 きな減 少 がないことが明 らかとなった。 (4)5 回 および 10 回 洗 米 後 による米 のリン、カリウム、たんぱく質 の残 存 量 表 4 は、5 回 および 10 回 洗 米 による 100g中 のリン、カリウムおよびたんぱく 質 の残 存 率 を示 した。 リンの米 内 の残 存 率 は、5 回 からさらに 10 回 洗 米 することにより-3.4%となり、 洗 米 回 数 を重 ねても大 きなリンの低 減 にはならなかった。カリウムは 5 回 からさ らに 10 回 洗 米 すると-9.8%となった。たんぱく質 は 5 回 からさらに 10 回 洗 米 することにより-1.2%で、洗 米 回 数 を重 ねてもわずかな減 少 であり、 5 回 洗 米 の残 存 率 は 94.6±0.4%と高 値 であった。 5. 考 察 (1)血 液 透 析 患 者 における米 の使 用 および洗 米 方 法 の実 態 本 研 究 において、95 名 の外 来 通 院 中 の血 液 透 析 患 者 に対 して、使 用 して いる米 の入 手 先 および洗 米 方 法 等 について調 査 を行 った。米 の入 手 先 は、 自 作 米 が 13.7%および縁 故 米 が 33.7%であり、全 体 の 47.4%を占 めており、 これは調 査 対 象 者 の居 住 地 が農 村 地 域 であるためと思 われる。米 の入 手 先 の約 半 数 は自 作 米 または近 所 、知 人 および親 戚 からの購 入 であり、米 が安 価 に入 手 できることから高 価 な治 療 食 米 を使 用 する患 者 は少 ないことが推 測 さ れる。 米 の摂 取 頻 度 は、毎 食 が 53.7%、1 日 2 食 が 38.9%で、1 日 2 食 以 上 米 を摂 取 している者 は 92.6%であった。透 析 患 者 は、塩 分 および水 分 の摂 取 量 による体 重 増 加 を懸 念 し、パン食 や麺 類 の摂 取 を控 える傾 向 にあることが推

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25 測 された。また、石 関 ら 7 2 )は、農 村 地 域 における食 品 摂 取 頻 度 を調 査 し、食 品 群 別 上 位 摂 取 食 品 の 1 位 は精 白 米 であり、主 食 の種 類 では朝 昼 夕 のいず れも米 飯 の摂 取 頻 度 が最 も多 く、都 市 部 と比 較 し、農 村 部 の食 生 活 は米 飯 中 心 の食 生 活 であると報 告 している。また、搗 精 度 に関 しては 7 割 が標 準 米 を使 用 していたが、上 白 米 、7 分 搗 き米 などを使 用 するものもおり、農 村 地 域 では自 家 用 精 米 機 やコイン精 米 機 の普 及 率 が高 く、搗 精 の調 整 が容 易 であ ることが推 察 される。さらに、本 調 査 においては、健 康 志 向 により胚 芽 の残 る 7 分 搗 き米 を積 極 的 に摂 取 するものも 4.2%いた。今 後 、玄 米 や分 搗 き米 を使 用 している CKD 患 者 に対 する食 事 管 理 の指 導 には、日 常 摂 取 している米 の 中 にリンおよびカリウム含 有 量 が多 いこと、特 に糠 層 に多 く含 まれること7 3 )を加 え、搗 精 方 法 や洗 米 方 法 を指 導 していく必 要 があると思 われた。 (2)リン、カリウムおよびたんぱく質 低 減 のための有 効 な洗 米 方 法 試 料 とした米 のリン、カリウムおよびたんぱく質 の含 有 量 は、食 品 成 分 表 5 7 ) 値 (リン:94 ㎎/100g、カリウム:88 ㎎/100g、たんぱく質 :6.1g/100g)と比 較 す るとほぼ同 等 であった。洗 米 とは、米 粒 表 面 に付 着 している糠 やごみを取 り除 くことを目 的 にしたものであり、洗 米 が不 十 分 な場 合 は光 沢 、香 り、味 が損 な われ、腐 敗 しやすくなるとされている 5 4 ) 洗 米 前 の米 と 5 回 洗 米 後 、10 回 洗 米 後 のリン、カリウム、たんぱく質 を比 較 したとき、リンは 5 回 洗 米 と 10 回 洗 米 では-3.4%減 であり、大 きな差 がないこ とから、米 表 面 に付 着 する糠 に含 まれるリンは 5 回 までの洗 米 によって除 去 さ れると考 えられた。カリウムは 5 回 洗 米 からさらに 10 回 洗 米 することで-9.8% 減 であり、米 に付 着 している糠 だけでなく、米 粒 中 の水 溶 性 成 分 であるカリウ ムが回 数 を重 ねるごとに洗 出 はするが、大 きな変 動 はみられなかった。たんぱ く質 は 5 回 洗 米 からさらに 10 回 洗 米 することで-1.2%減 であったが、5 回 の

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26 洗 米 後 のたんぱく質 残 存 量 は 94.6±0.4%であり、洗 出 しにくいことが認 めら れた。 リンは米 粒 の最 外 層 よりやや内 に入 った糊 粉 層 部 に多 く存 在 し、そこから 中 側 は急 激 に減 少 し、その濃 度 分 布 はリンとカリウムではほぼ一 致 している 5 5 ) 精 白 米 の表 面 に付 着 している糠 にはリン、カリウム濃 度 が高 いことが考 えられ、 それらを除 去 する目 的 としての洗 米 回 数 は、5 回 洗 米 と 10 回 洗 米 では大 きな 差 がなかったことから、5 回 洗 米 で十 分 であると考 えられた。 図 3 に示 す結 果 では、洗 米 回 数 を重 ねた分 だけ、減 少 傾 向 にはあるが 5 回 以 降 の洗 米 では洗 出 量 は少 なく、大 きな低 減 にはつながらないと考 えられ る。本 アンケートの調 査 では、白 濁 がなくなるまで、10 回 以 上 の洗 米 を行 う者 も 12.6%おり、洗 米 回 数 が増 えることで、同 時 に米 粒 表 面 が損 傷 し、米 の主 成 分 であるでんぷん質 まで低 減 されることが考 えられる 7 4 )。洗 米 回 数 の増 加 はエネルギー補 給 の必 要 な透 析 患 者 にとっては逆 効 果 ともなる。リンやカリウ ム以 外 の栄 養 素 や風 味 、旨 味 成 分 の損 失 があることから一 定 回 数 以 上 の洗 米 をする必 要 はないと考 えられた。 洗 米 によるリンの洗 出 は 5 回 目 までに 50.2±3.02%であり、5 回 目 と 6 回 目 に有 意 差 がなかった。カリウムは 4 回 目 までに 43.0±3.57%であり、4 回 目 と 5 回 目 に有 意 差 がなかった。たんぱく質 は洗 米 による洗 出 効 果 はわずかであり、 4 回 目 までに 5.1±0.36%で、4 回 目 と 5 回 目 に有 意 差 がなかった。本 研 究 か ら提 案 できる洗 米 方 法 は、研 ぎ汁 に含 まれるリン、カリウムおよびたんぱく質 の 含 有 量 が前 の研 ぎ回 数 の含 有 量 と有 意 差 が認 められた最 後 の洗 米 回 数 で ある 5 回 を効 率 的 な研 ぎ回 数 とした。 また、アンケート調 査 では洗 米 時 間 が 10 秒 以 下 の回 答 が最 も多 かったこと から手 早 く済 ませる傾 向 が見 受 けられたが、1 分 程 度 時 間 をかけて洗 米 を実 施 している者 も 15.8%おり、洗 米 は各 人 各 様 の方 法 で行 われているのが実 情

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27 である。表 4 の残 存 率 の結 果 から、水 に洗 出 しやすい性 質 のカリウムでは米 を 手 のひらでかき回 すことは、米 の表 面 に効 率 よく水 が当 たり、カリウムが洗 出 し やすい状 況 になることが考 えられ、水 を取 り換 えるだけではなく、かき混 ぜる手 段 が必 要 と思 われた。内 藤 ら 7 5 )は、野 菜 中 のミネラル溶 出 率 を調 べた実 験 で、 調 理 操 作 の第 一 工 程 で、比 較 的 機 械 的 に扱 いがちな洗 浄 操 作 において、カ リウムが短 時 間 に 10%前 後 溶 出 しており、低 カリウム食 調 整 を必 要 としている 腎 不 全 調 理 作 業 では軽 視 できない調 理 作 業 の一 つであると報 告 している。こ のことからリンおよびカリウム低 減 のための洗 米 は、水 を 取 り換 える程 度 ではな く、水 を入 れた状 態 で、20 秒 間 撹 拌 し、水 を捨 てることを 5 回 繰 り返 すことが 有 効 な方 法 であることが明 らかとなった。今 後 は CKD 患 者 に対 して、このよう な洗 米 方 法 の指 導 を十 分 にしていくことが必 要 であると考 えられた。 (3)透 析 患 者 に対 する食 事 療 法 への提 案 患 者 の同 居 家 族 人 数 の調 査 では、独 居 や二 人 暮 ら しが 多 く、また 、透 析 導 入 年 齢 が高 齢 化 している 1 8 )ことから、高 齢 者 の独 居 や高 齢 者 夫 婦 の二 人 暮 らしである 2 0 )ことが推 察 され、したがって調 理 担 当 者 も高 齢 であることが推 察 される 7 6 )。一 方 、一 人 暮 らしの患 者 では食 事 に対 する関 心 が弱 く、かつ食 事 療 法 の実 践 はほ とんど不 可 能 に近 いと思 われる。このよう な患 者 に対 して 行 う栄 養 指 導 は、日 常 生 活 の中 から、できることを導 いてあげることが大 切 で あると考 えら れる。リ ン、カリウムを制 限 した 治 療 食 品 も 多 様 化 されているが、 経 済 面 に不 安 を抱 く患 者 も多 く、治 療 食 の継 続 利 用 は困 難 であると思 われる。 患 者 の家 族 、特 に 調 理 従 事 者 の負 担 を軽 減 したリン、カリウム低 減 方 法 とし ての食 事 療 法 に加 え 、経 済 性 も考 慮 した 食 事 療 法 を提 案 していく必 要 性 が あることが窺 えた。 リン、カリウム摂 取 量 の調 整 という制 限 方 法 は、厳 しい食 事 療 法 として患 者

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28 に精 神 的 な負 担 をかけている。また、患 者 一 人 分 だけ調 理 された低 リン米 や 低 リン、低 カリウムの治 療 用 特 殊 食 品 を用 いた食 生 活 では患 者 に孤 独 感 を与 える。特 に家 族 と同 じ釜 の飯 を食 べられずに、別 に用 意 された米 飯 を摂 取 す ることは、より一 層 孤 独 感 を与 えることになると思 われる。 以 上 のことを考 慮 し、主 食 である米 の洗 米 を丁 寧 に行 い、リン、カリウムを限 界 まで除 去 し、家 族 と同 じ米 を摂 取 することで、患 者 にとっての食 事 療 法 にお ける精 神 的 な苦 痛 を取 り払 うことが可 能 であると考 えられる。また、米 を生 産 し ている農 家 の多 い農 村 地 域 では特 に高 齢 化 が進 み、低 たんぱく米 や低 リ ン 米 の通 信 販 売 の購 入 には抵 抗 がある者 も多 いと思 われる。リンおよびカリウム を抑 えた低 たんぱくご飯 は 1 パック 180gあたり約 200 円 、炊 飯 用 治 療 米 では 5kg10,000 円 であり、高 価 なため経 済 的 負 担 が多 く、継 続 摂 取 は困 難 な家 庭 が多 いことも事 実 である。また、米 の研 ぎ汁 に栄 養 分 が多 いとの考 えを強 く 持 っている者 もおり、健 常 者 にとっては有 効 な成 分 であっても、血 液 透 析 患 者 にとっては制 限 が必 要 な成 分 であり、それらを除 去 する必 要 があることを理 解 させることも食 事 療 法 の有 効 な手 段 と考 えられた。 また、菅 野 ら 5 2 )は、リン含 有 量 が多 い米 糠 を完 全 に除 去 した無 洗 米 を日 常 食 として使 用 することによって、血 清 リン濃 度 を良 好 に調 節 できた症 例 を報 告 している。自 家 用 精 米 機 やコイン精 米 機 の普 及 率 が高 い地 域 においては 、搗 精 度 の調 整 が容 易 であることから、歩 留 まりを下 げ、上 白 米 や無 洗 米 に近 い 状 態 に 搗 精 し 、米 の リン、カリウム量 を 抑 え ることが可 能 であると考 えら れる。 一 般 に日 本 において飯 米 として市 販 されている白 米 は、歩 留 り率 が 90~92% に搗 精 されているが 7 7 )、これを水 中 で研 ぐと 1.0~1.5%の糠 やでんぷんが水 中 に流 出 し、最 終 的 な歩 留 り率 は 89.5~90%になる 7 8 )と考 えられ、歩 留 まり 88~90 %の上 白 米 では、洗 米 後 は無 洗 米 と同 等 の搗 精 度 になり、血 清 リン 値 の低 下 につながることが予 想 される。

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29 また、多 くの透 析 患 者 が高 リン血 症 のためにリン吸 着 剤 を、高 カリウム血 症 のためにカリウムキレート剤 を服 用 している。それらの副 作 用 として便 秘 症 の患 者 も多 く、カリウム制 限 の摂 取 制 限 による食 物 繊 維 の摂 取 不 足 や水 分 制 限 、 運 動 量 の低 下 など透 析 患 者 の下 剤 の服 用 率 は高 い7 9 )。ここ数 年 の投 薬 料 は 急 激 な増 加 傾 向 にあり、透 析 医 療 費 の約 8%が内 服 薬 にあたり、薬 剤 費 は国 民 医 療 費 の増 加 ペースを上 回 り増 加 していることが示 されている 8 0 )。今 後 も 透 析 にかかる薬 剤 費 の増 加 傾 向 は続 くと思 われるが、患 者 一 人 一 人 が内 服 薬 を減 らす意 識 を持 ち、食 事 療 法 の重 要 性 を認 識 した生 活 を送 ることが必 要 であると考 えられる。米 は日 本 人 の主 食 であり、毎 日 摂 取 する頻 度 の高 い食 品 でもある。毎 日 行 う洗 米 の際 に患 者 一 人 一 人 がリン、カリウム低 減 を意 識 す ることで、1 食 ごとのリン、カリウムの経 口 摂 取 量 を減 少 させ、高 リン血 症 や高 カ リウム血 症 の対 策 として効 果 は大 きいと思 われる。本 研 究 が透 析 関 連 薬 剤 の 増 加 抑 制 につながることを期 待 する。 今 後 はさらに透 析 患 者 の高 齢 化 が進 み、身 体 の機 能 低 下 、理 解 力 の低 下 など日 常 生 活 における自 己 管 理 が困 難 となるケースが多 くなることが予 想 され、 食 事 療 法 の簡 便 化 が求 められる。カリウム低 減 目 的 の茹 でこぼしや水 さらしは すでに食 事 療 法 として確 立 されているが、これに加 え、リン、カリウムの低 減 に は適 切 な洗 米 方 法 も有 効 な手 段 と考 えられた。 6. まとめ 本 研 究 の結 果 から、CKD 患 者 に対 する食 事 療 法 の一 つとして、米 の洗 米 時 に「米 に含 まれるリン、カリウムを除 去 する」という目 的 をもって、水 を加 えて 20 秒 間 かき混 ぜ、水 を取 り換 えるという動 作 を 5 回 行 うことを提 案 する。 食 事 管 理 に対 して怠 慢 になる傾 向 のある長 期 透 析 患 者 では、毎 日 行 う洗 米 を介 して、日 常 的 な食 事 管 理 の意 識 の醸 成 がなされ、継 続 的 な自 己 管 理

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31 7.図 表 表 1 調 査 対 象 透 析 患 者 の背 景 調 査 対 象 者 数 :95名

平均年齢(歳)

66.25±10.76

男/女(人)

43/52

平均透析歴(年)

9.19±10.42

糖尿病 有/無(人)

45/50

平均同居家族人数(人)

2.25

図 4  異 な る 洗 米 水 量 間 に お け る リ ン 、 カ リ ウ ム 、 た ん ぱ く 質 の   洗 米 回 数 に よ る 残 存 率 の 変 化   ( n = 3)

参照

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