Andre Roussin のコミックについて : 初期作品《
La Petite Hutte》をめぐって
著者
森本 達夫
雑誌名
年報・フランス研究
号
9
ページ
1-28
発行年
1975-12-25
URL
http://hdl.handle.net/10236/9081
Andr6 :Roussin の コ ミッ ク に つ い て
Andrё
Roussinの
コ
ック に つ い て
― 初期作品 《
La Petite Hutte》
をめ く
゛
って 一
I 一九一一年・ マル セイユに生 まれた AndrёRoussinは
,現
代 のパ リに於 け る演劇活動 を見 る時,い
わゆ るBoulevard劇
の方面 では見落す ことので きな い 喜劇作家の 一^人であ る。 一九五〇年 の 初頭 に,
彼 の 三 つの作品 Nづ %α !) Bθbο ssθ,そ
れ に 二α Pθιづιθ″%ノιθ でパ リの三 つの劇場が満員 にな り,二
世 を風靡 した ことが
,Ren6 Lalouに
よ って報告 されてお り,叉
,Georges versiniは, 1970年に
,
戦後, Roussinが
喜劇界 でのmaitreで
あ ることを認 めてい (5) た。 《Thёatre de digestiOn》 の愛好家の多 くが,
この作家の才能 を称賛 した のであ り, ROussinの
劇 の 与 える ものが 「 その 日か ぎ りの楽 しみ」 であ るに して も,そ
れ な りの評判 を保 って きたのであ る。 しか し,一
方 に於 て,
この作家の人気 を支 えてい る そのBOulevard劇
的性 格 の故 に,彼
の作 品の価値 を疑問視す る評家 も少な くない。多少 とも知的な観 客が,Boulevard劇
とい う言葉 を,良
い意味 で使 うことは稀 で,む
しろその場 合 には,哲
学的深 さ も,文
学的価値 もな く,一
般受 けのみ をね らった低級 な芝 居 と して断罪 されてい ると考 えてよ く,
この作家 も例 に もれず,何
の形而上学 的苦悩 もない と判断 され,彼
の劇 に登場す る人物 た ちは,そ
の俗物 ぶ りを こき 0) お ろ され て い る。 ヽ く 夫 達 本 森Andr6 Roussinの コ ミックについて この様 に
,彼
の作品については評価 の基準 に従 って,好
意的評価 と否定的見 解 との二 つに出会 うが,双
方共 に,彼
の劇がBoulevard劇
のgenreに
属す る ものであ ると見 なす ところでは一致 してお り,現
在 この用語 の曖昧性 は認 め ら れ なが ら も,一
般的 に,食
後の腹 ごな しに見 る気楽 な娯楽 と しての芝居 とい っ た通念が あ り,Roussinの
劇 も「 とにか く笑 わせ る」とい う段 階 では,全
ての層 の観客 を満足 させ る もの を もってはい るのであ る。実際,彼
が舞台にのせ るテーマは
,彼
自身Ni de la guerre,ni de folle politique,tout cela me
d6passe et n'est pas th6atrale Ma piё ce est sur le plan strictement COniugal,と Lθ s gJογづι%s況 の 中 で 一 人 の 劇 作 家 に 述 べ させ て い る よ うに, この種 の劇 に伝統的 な家庭生活や
,「
古典的 な三角 関係」 であ り,登
場人物及 び舞台 で くりひろげ られ る場 は,ア
クチ ュアルであ ることは認 めつつ も,テ
ー マ 自体 には何 ら新奇 な ものを打 ちだそ うとい う意図は見い出 され ないのは事実 で あ る。 しか しなが ら,こ
の作家が果 して,一
般的 にみな されてい るよ うに,た
だに 「 陽気 な作家」 であ るだ ろ うか と,Jean_Paul Lacroixは
彼 の 二ι Lυγθ bJα%θ αι J'加%ο%γ %0づγの中で 自問 し, Roussinの
劇 の中で起 る事柄 を列挙 して再 (3) 検 討 して い る。Un gar90n naif et tendre est exp10itё par son arrli, tromp6 par sOn
alnie,(Bοbο ssθ), Un mari accepte,sur une lle d6serte,de partager sa
compagne avec son meilleur ami,et y prend plaisir,(Lα Pθιづιθ月「%ノιθ),
etc.
(9)
そ して
,こ
の本 の著者 は,MiChel Aubrinatの
次 の言葉 を引用 してい る。Ses Piaces en apparences joyeuses et libres sont une assez triste galeric de cocus, d'assassins en puissance, de femmes frivoles et cruelles, un
Andr6 Roussin の コ ミッ ク に つ い て joli monde. 実際
,彼
の作品 を眺 めてみ る時,そ
れ らは多 くの場合,夫
婦生活や,三
角 関 係 とい った風俗的で平 凡な枠 内で終始 してはい るが,そ
の枠 の中で起 る事柄 そ れ 自体 は,
しば しば残酷 であ り,少
な くと も屈託 のない コ ミック とは縁遠 い も のであ ることを認 め ざるを得 ないよ うであ る。 しか しなが ら,既
に述べ たよ うに, 彼 の劇 を見終 った観客 は, 」e serais incapable de vous dire aujourd'hui ce qui se passe dans votre pttce! Mais je sais que j'ai bien ri。 と口をそ ろえ る。彼の作品が提供 してい る陽気 な コ ミックのその条件 を成す ところの も のに今一度検討 を加 えてみ ることは可能 であろ う。 一 つの劇が コ ミックとして成立す る条 件は
,実
際 の劇場 での俳優 の演技 や観 客 な ど も含 めた様 々な方面 に探 し求 め られ なけれ ばな らないであろ うが,
この 小論 では前述 の一見非喜劇 的 なテーマや諸事件 が,い
か に一個 の コ ミックに仕 立 て られ てい るか を,
大成功 を収 めた 彼 の初期 の作品 Lα Pθιづιθ∬%ιJθ の分 析 を通 して解 明す る。 そ うす ることに よ り我 々はAndr6 Roussinの
独 自の喜 劇性 の一端 を明 らか に したい。 Ⅱ Lα PιιづJθ 夏%ιιθの初演 は一九四七年。 彼 のは じめての成功作 であ る。 この 作 品 は,作
者 自身 を も驚かせ るほ どの成功 を収 め,一
時期作者 に次 の作 品 を書 くことをため らわせ たほ どの ものであ り,彼
の その後の作品の トー ンを決定す るほ どの影響 を残 してい るとい って よいであろ う。先ず この劇 に登場す る人物 や事件 をあ らす じと共 にた どってみ よ う。 ただ し,
この劇 の真 の本質 を成す も のは人物 がそれ ぞれの状況 に於 いて示 す r6actionに あ る。Andr6 Roussin の コミッ クにノつい て
Philippeと その妻 Suz〔
tnne,そ
れ に I)1■ilippeの親友 であ り,同
時 に Su‐zanneの
隠れ た恋 ノ、で もあ るHcnri,
この三 人の人物が航海 中に難破 して南 の孤 島に漂着 し,そ
こで生活 を始 め るの 今はPhilippeが
常 に身近 にい るのでHenriは , Suzanneと
パ リにいた時のよ うには振舞 えず,困
った彼はついにPhilippeに
彼 の妻 との仲 を打 ちあけて彼 を説 きふせ,Suzanneを
共有す ることにな る。数 日後
,彼
等 の前 に この島の王 の息子 と覚 しき一 人の黒 人が突然現れ
,Philippeと Henriを
縛 りあげ, Suzanneを
奪 って しま う。 この黒人 を島の王子 と信 じていた
Suzanneは
,翌
日この男 も同 じくこ、の島に流れついた船 の給仕 に過 ぎない ことを知 る。 自尊心 を傷 つけ られ た彼女 は
,二
人 の男 を駆 りたてて黒人 を縛 りあげ,以
後,料
理 人 と して こき使 うことにす る。Henriは
Suzanneの
真 の夫Philippeに
, Suzanneと
手 を切 ることを約束す るの ところが その時
,船
の汽笛が聞 こえてパ リに全員帰れ ることが分か ると,Henriは
Suzanneに ,ま
た以前 と同 じよ うに,パ
リで幸福 に関係が続 け られ るだろ うと 耳 うち し,全
員陽気 に舞台 を退 いて幕 とな る。tt Philippeも 以前 と同 じく, パ リでcocuで
あ り続 け るであろ う。 以上 は,南
の島 を舞台に した異様 な三角関係 とい って よいだろ う。前述 の如 く,出
来事 それ 自体 は,荒
唐無稽 で,や
や もすれ ば グ ロテス クに傾 き もす る。 面 白味 は恐 らく風変 りな艶笑談 のそれ であろ うが,Roussinは
この劇が いわゆ る vaudevilleの常套法 に発 してい ることを認 めつつ,更
に,
この作品の創作 意 図 を次 の様 に述べ てい る。En partant d'une situation de vaudeville, j'ai tent6 d'6crire une
com6die. Celle‐ ci pourrait s'intituler《 La com6die des r6actions》 , 6tant
entendu que l'honnetet6 de chaque persOnnage est absolue.
Andr6 Roussinの コ ミ ッ ク に つ い て 様 々な事柄や問題 に向かわせ
,そ
れ らにあ くまで も絶対的 な誠実 さを もって反 応 させ てゆ くとい うのであろ う。既 に見て きたよ うに, この劇 の中で行われ る 事柄 は,「
誠実 な」人物 とは相容れ ない ものの よ うであ る。 このお互 いに相矛 盾 す るよ うな二 つの要素が,い
か に劇 の中で一 つに織 りこまれ, コ ミックとし て成立 して1/9くか を見 ることが,以
下 の分析の課題 であ る。 第一幕 舞台 は,熱
帯植物 に囲まれ た南の島の一画 であ る。Henriが
隅 に座 って物思いにふけ ってい ると
,`Ri.…
.!Ri。 …。!'とい う女の声 が ひび き,Sllzanneが
入 って くるの ついで
,
この `Ri'とい う音 をめ く゛って,二
人 の議論が始 ま る。Suzanneの
発音す る`Ri'が
`Henri'と,
フランス語 で女が親 しい男 を呼ぶ際 の呼称 の一 つであ る
ch6riの
両方 に聞 きとれ ることが原 因であ る。Henri
は, 自分が呼 ばれ た もの と思 って振 りむ くのだが
,一
方, この同 じ `Ri'を 自分 の妻が
Henriを
`ch6ri'と 呼んだ もの と思 って,Philippeが
,けげん な顔 を した ことが以前 に も何度かあ ったのであ る。 ついに今, Philippeも ,自
分 の妻 と,
親友 との間の親密 な関係 に気づ く (ouvrir ies yeux)の ではないかと
,Henriが
懸念 し始 めたのであ る。この よ うに
,ROussinは
, 一`種の言葉遊 びで第一幕 を始 めてい る。`Ri'と
い う音 を舞台に与 え
,そ
れが,同
じ語尾 の二 つの言葉 `Henri'と も `ch6ri'と もとれ ることが,偶
然, Henriと
い う名前 であ る 恋人 を 心配 させ ることにな る。 その音 をめ く゛って,
両 人が真面 目な議論 を してい る間に,
観客の方 にはHenriと Suzanne,
それ にSuzanneの
夫Philippeが
三角関係にあ ること が半J明 してゆ くとい う仕組 みにな ってい る。Henriの
その様 な懸念 に対 し,Suzanneは
, 自分 の夫 がhomme a Ouvrir
les yeuxではない ことを保証す るが,自
分 の夫 がHenriに
particuliёrement
Andr6 ]Roussin の コミックにヴつい て
aveugleと いわれて黙 ってはいず
,良
き妻 として,そ
れ を夫 の論理的精神 に帰 して弁護す る。L'id6e que toi‐ son meineur arrli‐ et moi‐ sa ferrllne‐ puissions le
tromper est une id6e qu'il refuserait d'admettre au moment meme
ot on lui prouverait qu'elle est vraie. Parce qu'a son pOint de vue, il y aurait ltt une malhonnetet6 de notre part, et que sa feⅡ IIne ne serait pas sa fernlne et son arrli ne serait pas son arrli si l'un et l'autre 6taient capables de malhonnetet6。 Tu ne sortiras pas de ce raisonnement ilnpeccable.(。 ¨)On ne peut jamais le prendre en d6‐
0
faut sur le plan de la logique.
自分 と
Henriが
Philippeを
だま してい るとな ると,
自分 た ち二人 は不誠 実 な もの とい うことにな るのであ り,「
妻」,「
親友」 とい うPhilippeに
対 し て誠実 な存在 と しての 自分, Henriと
矛盾す る故 に,た
とえ それが 事実 であ ると証 明 されて も,論
理 的精神 の持主 であ るPhilippeは
,認
め る事 を拒否す るだろ うとSuzanneは
語 るのであ るのSuZanneの
話すPhilippeの
この「 論 理 的精神」 は, Bergsonが
Lθ Rγθの中で, コ ミックの対象 と して批半Jする 現実 よ りも論理 を重 ん じる哲学者 を想起 させ る ものが あ るが,更
に ここでは, 上掲 の よ うに語 るSuzanneは ,「
妻」,「
親友」 とい う観念 は,不
誠実 さとは 相 いれ ない と主張 してい るわけであ り,事
実 は と もあれ,彼
女 は考 え方 の レベ ルでは,「
堅 固な道徳観 を もった女」 にな りおおせてい るわ けであ る。Suzanneの
,こ の道徳 にの っ とった論 に勝 てないHenriは
,話
題 を変 えて, 三週間前 に難破 してか らの,この島での生活 とい う現在の境遇 を嘆 き始 め るが,Suzanneは
,現
在 の境遇 の中にHenriと
は異 った ものを見 てお り,彼
女 にい わせ ると,生
き残 ったのは三 人だけで,そ
れが 自分 た ちだ ったのであ り,今
の 境遇 こそ「 神が存在す る」証拠 だ と,彼
女 の飛躍 した見解 を述べ る。「 神 が存Andr6 Roussin の コ ミッ ク に つ い て
在す る」 とい う観念を持 ちだ されて
,そ
れを敢 えて否定で きないHenriは
, それで も負けずに,Sllzanneの
信仰 を盾に とって,論
破 しようと試み る。Henri: Je suiS de ton a宙
s,seulement, je ne peux pas m'empecher
de penser aussi que ]Dieu一 ―qui nous a si gentilnent arrach6s れla
noyade―一sait maintenant que nous soⅡ IInes ici。 (。¨) Alors, si un
bateau envoy6 par ses bons soins n'arrive pas un de ces quatre
matins pour nous recueillir,je serai en droit de faire toutes rё serves sur les sentilnents ou sur les capacit6s de E)ieu,一 一ou tout au moins
sur son esprit de suite. ()n ne sauve pas les gens d'un naufrage
pour les laisser ellsuite crever sur une ile, que veux… tu l
Suzanne: lVIon ch6ri, ne corrllnence pas a l'indispOser par des
blasphёmes.
Henri:Qui P
Suzanne : ]Dieue Tu doutes de son esprit de suite. Henri: Je lui demande d'etre logique.
Suzanne: Eh bienl il l'este Sois tranquille. I)ieu est la logique l141
merne,一―c。]mILe Philippe.
Henriは
神 に論 理 的 で あ る こ とを求 め るが,
これ も神 の 忍耐 心 を疑 う冒漬 の言葉 で あ り, Suzanneの
信 仰 か ら見 れ ば認 め る こ との で きな い考 えな の で あ る。結局
Suzanneに
とっては,現
在 の境遇 は,Nous mangeons,nous dormons
et nous sorrllnes au soleil toute la journ6e avec une temp6rature presque
id6a,le.C'est aussi une chance!
と彼女がい うよ うな魅力的 な もので,そ
の魅力は
,
ヴァカンスの宣伝文句 そのままの よ うな言葉 で表現 され る境遇 である。―一方, I―Ienri に とっては, 夜 にな って
‐
Suzanneが
Andr6 Roussin の コミックにつ い・て に一方 の小屋 に引込/Lで か らは
,一
人 き りで,
もう一方 の小屋 で大小屋 の大の よ うに寝 なけれ ばな らない とい う我慢 で きぬ ものであ るの 以上 の よ うに,「 現在 の境遇」 について,Suzanneは
是 と しての,Henriは
否 と しての意見 を出 し,相
手 を説得 しよ うと,各
々 よ り「論理的」であ ること の優劣 を競 ってい るのだが,実
は,
この二 人が「 現在の境遇」 の中に見 てい る ものは,そ
れ ぞれ別 の ことで,決
して同 じ ものではないのであ る。 そ してつい に,Henriは
Philippeに,彼
の妻 との六年越 しの仲 を打 ち明け, この島に於 て も彼女 を共有す ることを申 しで るが,そ
れ もPhilippeの
論理 的精神,道
義 感,友
情,そ
して誠実 さに訴 え る反論 の余地 のない論理 を もってであ るのHenri: Et ie lui prouve avec une logique irr6futable que depuis six
ans, lui et moi, nous te partageOns en quelque sorte, et que
depuis six ans il n'en portc pas plus mal, je dirai rrleme qu'il est
parfaitement heureux. Logiquement, il n'y a dOnc aucune raison
pour que nous ne continuions pas a etre aussi heureux en te
partageant ici, cornlne a Paris. J'ajOuterai que, pour lui, cepartage sera beaucoup moins grave puisqu'il ne sera plus insultant. Je prOuverai a Philippe que, jusqu'ici, i1 6tait un mari tromp6 et
que―toutes choses 6gales d'ailleurs, coΠ llne on dit dans les th6orё ‐
mes―一il ne sera pluso Ce qui est la v6rit6 et la logique meme.
Un mari qui sait n'est plus cocu.
Suzanne: Oh! Henri l
Henri: Je l■'excuse. Peux‐tu rrle dire qu'il aura a opposer a ce raisonnement P
(..。 )
Henri:J'estimc que Philippe,en
peut pas ne pas comprendre que
regardant les choses en face, ne
Andr6:Roussin の コ ミッ ク に つ い て
solution normale pOur des gens―cornlnent
―
je dirai meme la seule s01ution morale.(。
。
.)Henri: A la r6flexiOn, je trouve indigne
Philippe de lui cacher nOtre amour, de
ce qul est notre viee Je suiS persuadё sensible a ce sentiment―je dirai:a cette
(..。)
Henri: MOi, je suis certain qu'il nous sera
sant de notre hOnnetet6。
(。.。)
de notre amiti6 pour
lui tenir au dehors de
qu'il sera extremement
d61icatesse.
extremement reconnais‐
dire, aussi li6s que
9
nous
Henri: A Paris,ailleurs, On trOuverait 9a fOu! LIais ici nous soHIIneS
dans une situation exceptiOnnelle, c'est donc une solution ex‐
C61
ceptionnelle qu'il est nOrrrlal d'envisager.
実 は六年来 Philippeと
Henriは ,パ
リでSuzanneを
共有 していたわ けであ るが
,三
人 と もそれで十分幸福 だ ったのであ り,こ
の島でそれ を続 けて , 皆が 幸福 であ りつづ け られない とい う理 由は 皆 目ないのであ る。なぜ な ら,situatiOnは
全 く同 じだ し, どち らか といえば,「
事実 を知 ってい る夫」 は も はやcocuで
はない し,事
が堂 々 と明か るみに出 ることは,常
に好 ま しい こと なのであ る。Henriの
この論 は,彼
の都合 の よいよ うに仕組 まれた ものではあ るが,それ が,様
々な観念 を と もな った,「
論理」 の体裁 を とってい るだけに Philippe は反対す ることがで きない。 しか し彼 は,妻
のSuzanneに
対 しては,六
年 間, 自分 をだま して きた事 を責 めずにはおれないが,
この批難 もSuzanneに
封 じ られ て しま う。彼女 は,Henriに
は黙 ってい るけれ ど もPhilippeの
ためにつ くした場合 もあ るとい うのであ るの 例 えば,一
度 な らず, Henriの
誘 いを断Andr6 Roussin の コ ミックにつ い て
って
Philippeの
そばを一晩 中離れず,彼
の横 で小説 を読 んだ りした ことが あるが
,そ
れ こそSuzanneに
よれ ば,恋
人 には分か らない夫の平和 な楽 しみの 一 つ なのだ。 そ うい うことか ら見れ ば,Suzanneは
, Philippeと
Henriを
同 じよ うにだま して きたので あ り
,片
方が 自分 はだま され た と不平 を云 う理 由 は全然 ないわけだ と,彼
女 は過去 の特殊 な関係 を平等 とい う一般的観念 に訴 え て説 明す るの論理的 なPhilippeは
つ いに, │¬分の妻 を親友 と共有す ることを 承諾せ ざるを得な くな るのであ るの 今やHenriの
提 案 も,観
念 の奇妙 な応用 にあ っ て合理 的 な ものにな って し まい,「 論理上」,何
の問題 も残 っていないのであ るが,彼
等 の間に,い
くば く かの気 まず さがあ ることは事実 であ る。 突然Suzanneは
,空
に白い十字架 を 認 め,男
た ちに願 い事 を させ るが,彼
等の願 いが,
自分 た ちを救 い出す船 の到 着 だ ったの を聞 いて,泣
きだ して しま うの彼女 自身 は,Philippeと
Henriが
以前 と同 じよ うに,い
つ まで も仲が良いよ うに祈 ったのであ り,
自分が皆 の幸 福 の ことを考 えていた時 に,男
た ちは,船
の ことな どを考 えていた ことに耐 えられ ないので あ る。
Philippeと
Henriは
,Suzanneの
この優 しさに心 を動か されずにはおれず
,前
後 の事情 を忘れて,彼
女 の涙 なが らの頼 みに,そ
の前でお互 いに握手 をす ることにな って しま うの そ して
'い
よい よ最終的 な合意 を全 員で確認す るのであ る。
しか しなが ら
,Philippeが Henriと Suzanneの
そばを離れ よ うとす ると 彼等 は,
自分 た ちが また もや,予
期 しなか った事態 にあ るのに気 づ くので あ る。とい うのは
, Philippeが
妻 と親友 を残 して釣 に出 るとい うと,二
人 は,わ
ざわ ぎ
,夫
の不在 を予告 された よ うで落 ち着かず,一
方,夫
の方 も自分 のいないAndr6]Roussin の コ ミッ ク に つ い て
Philippeが
Suzanneを
一週間お きに,交
互 に所有す ることを提案 して合意 を 得,Suzanneは
,彼
を,真
に論理的で組織 力のあ る男であ り,現
在 の話題 の特 殊性 には 目をふ さぎ,事
業 で成 功 した理 由 も分か ると賛美す る。 や っと安心 し た二人 の男は,心
お きな く釣 に出か け, Suzanneは
情 の こ もったまな ざ しで`mon ch6ri'
と思わずい って しま うが,現
在 の situationを 正 しく認識 し,`mes ch6ris'と いい直 して彼等 を見送 り
,一
幕が終 わ る。 孤 島での生活 とい う境遇 に投 げ こまれた人物 た ちは,以
上 の よ うに,
この新 しい事態 に適応す るだ けでな く,更
に,踵
の水腫 に ココアの実 が効 くことを発 見 した り,蝶
の好 きなPhilippeは
, Suzanneの
下着 を 葦 の先 につ けて,昆
虫採集用 の網 に した りして,そ
れ ぞれ,そ
こで起 る事柄,事
物 に積極的 に反応 してゆ くのであ る。Suzanne: Voila l'avantage d'etre 6chou6s sur une ileo On essaie
tout1 0n va de d6couverte en d6couvertel Jamais a Paris tu
n'aurais eu l'id6e, a une terrasse de caf6, d'essayer l'effet d'un
cocktail sur une ampoule a ton talon.
(。。 。)
Philippe: Parfaitement. Ce n'est pas autrement qu'ont 6t6 trouv6
0うle th6, le caf6.。 。par accident!
081 彼等 は
, Bergson流
に云 えば,正
に 良識 を用 いて 対象 に応 じて考 えを変 え なが ら,絶
えず柔軟 に適応 し,叉 ,適
応 してゆ こ うと精神的努力 を払 ってい る のであ る。 しか しなが ら,同
時 にSuzanncは
立場 と してはPhilippeの
献身的 な妻 で あ り,叉
,Henriの
魅 力的 な恋 人であ り,性
格的 には強 い女 で もあれ ば,感
受Andr6 Roussinの コ ミ ッ クに つ い て
性 も豊か で
,信
仰心 に富 んでお り,少
々迷信家で もあ る。Henriは
Philippe の親友 であ り, Philippeの
妻Suzanneの
六年来の恋人 で もあ り,叉
,甘
や か され た子供の よ うな面 を もってい る。Philippeは
愛妻家 であ り,叉
,友
人 のHenriを
信頼 して もいて, cocuで
もあ るが, Suzanneに
その論理的精神 を高 く評価 され てい る成功 した実業家で もあ り
,
この島では青酸 カ リが手に 入 らないので,採
集 した蝶 を優 し く殺 せ ないのを残念が る男で もあ る。 それ故,彼
等 は,以
上 の様 な様 々な面 と立場 と態度 を もって,前
後 の脈 絡 も な しに事 に接 し,叉 ,対
象 は,彼
等 の一 人一 人に個有の反応 を引 き起 こす こと にな るの しか し彼等 は, この地 にあ って もあ くまで論理的態度 を失 うまい と, すべ て を論理 の狙上 において処理 しよ うと,誠
実 な努力 を払 うわ けであ る。彼 等 の この不断の努力にあ って,物
事 は彼等 の熱中す る論理 の中では, attitude10gique,Dieu,honnetetこ
とぃ った観念 に次 々 と照 らされ,一
様 な らぬ姿 で 現れ て くるのであ る。 こ うして一人 の夫が,
自分の妻 を もう一人の男 と共有す るとい う,そ
れ 自体 は不道徳 な事 の運 びではあ るが,
この劇 の中ではその出来 事 自体 の レベル と別 に もう一つの レベルーー その中で物事 が登場人物 に よって 論理 に組 み こまれ る レベルーー が あ って,そ
の論理 化の過程 の中で,現
実 はそ の意味 あいを新 しく与 え られ合理的 な ものにな って しまい,人
物 た ちは常 に誠 実 で,非
難 の余地 のない人間であ りつづ け るわ けであ る。 第二幕 それでは次に,
この劇 の第二幕 に移 り,彼
等 の と りきめの その後の成 り行 き を見てみ よ う。 この幕 も第一幕 と同 じよ うに “Ri'を め く゛っての一種の言葉遊 びか ら始 ま ってい るの しか しSuzanneに
,彼
女 の発音す る`Ri'が
`Henri' と`Chёri'の 両方 に聞 きとれ るのに苦情 をい うのは,今
度 は Philippeで,彼
Andr6:Roussin の コ ミッ ク に つ い て 声 を聞 きつ けて
,
自分が呼 ばれてい る もの と思 ったHenriが
,何
事か と駆 け つ けて くる。Philippeの
`Ri'に 関す る「 聞 き違 い」 を防 ご うとい う努力が, また一つ別 の「 聞 き違 い」 を起 して しま うのであ る。Henriは
事情 を知 って, 腹 をたてて立 ち去 る。Henriが
不気嫌 なの も無理か らぬ事で,新
しく起 って来 た事態 はHenriの
提案か ら始 ま ってな された ことではあ るが,彼
の思惑 を大 き く外れ た ところに あ るのであ る。 とい うのは, 自分 の妻Suzanneに ,Henriと
い う恋人がい る ことを知 ってか らPhilippeは
, 自分が夫 であ ることを新 たに意識 し,今
まで の夫婦生活 のマ ンネ リズムか ら抜 け出 し,若
が えったのであ る。Philippcは
上機妹 に
Henriに
ネLを述べ, Savoir que sa femme tient aussi un autre l191honllne, c'est un ressort prodigieux, par la cOncurrence。 と,「競 争 」 の 功 徳 と して
,
この 意 外 な結 果 を説 明 す る。Philippe: ..… car les fenllnes n'ailnent qu'une chose: sentir qu'on
pense a elles tout le temps.― C'est la logique meme! Et c'est
tellement logique quc ie ne peux pas arriver a comprendre coΠ l‐
ment notre civilisation sOi‐ disant 6volu6e en est encore a la for_
001
mule du mari unique.
一方
Henriは ,Suzanneと
一緒 にい る時 も,彼
女 の夫が知 ってい るとい う ことが頭 を離れず楽 しい気分 になれない。そ こで彼 は
, Philippeの
「 競争」 の理屈 を馬鹿 げた ものであ る事 を証 明 し よ うと試 み る。Henri: Je pouSSe ton raisonnment i l'absurde puisqu'il ne s'agit quc
01)
de raisonnement。
Andr6:Roussin の コ ミックにつ い て と
Philippeが
一 つの小屋 に, Suzanneが
もう一 つの小屋 に一人 で寝起 きす るよ うに提案す る。 そ してPhilippeの
拒絶 にあ うと,彼
を「 苦 んでい る親友 が助 けを求 めてい る」 のに,援
助 して くれ ない と非難す る。 この一寸険悪 な空気 は,一
人 の黒人の突然 の出現 に よって破 られ る。 この黒 人 は一言 も口を きかず,黙
ったままSuzanneに
花環 を捧 げ,
この鄭重 さに, 彼等 は この男 を島の王 の息子 と判断 し,つ
いで,Philippeと
Henriは
,彼
が そばに立 っていた杭 と自分 た ちを交互 に見 くらべ るの を見 て,王
の儀使兵 に入 れ るつ もりで,身
長 を計 ってい る もの と思い,手
助 け しよ うとその杭 に身 を よ せ るが,た
ちま ちに して その黒人 に杭 に縛 りつ け られて しま うのSuzanneは
,この黒人の不意の仕打 ちを見て も,王
子 に対 して礼 を失 した自 人男 た ちには良い教訓 だ と,彼
等 の甘 い判断 をか らか うだ けで,同
時 にその黒 人の中に一層の品位 を見 て とる。黒人 はそれか ら, Suzanneを
小屋 の前 に連 れてゆ き,一
緒 に中へ入 ろ うと身振 りで示す。今 や その男の意 図は明白だが,Suzanneは
自分 の善 良 さにか けて も,
彼の意志 に逆 うわ けにはゆか ないのな ぜ な ら,ナ
イ フを持 ってい る黒人 を実 力で倒す ことな ど不可能 だ し,そ
れ に, 危害 を加 えそ うにない彼 を殺 す ことは,「
優 しさ」 に欠 け ることにな るか らで あ る。他方,縛
られ た二 人の仲 間 をそのままに して, 自分 だけ逃 げ るわけに も ゆかず結局,二
人 の縄 を解 いて もらうためは,黒
人 の申 し出を受 けいれ るほか ない と,彼
女 は考 え るのであ るのSuzanne: Alors P que faire? Je ne vais tOut de meme pas Vous
0
laisser fice16s la jusqu'a demain! Ce serait honteux de ma part.
以上のように
,各
々の人物は,
自分たちの前に突然出現 した物 を云わない黒 人に対 し,す
く゛さま自分な りの判断を下 して反応 し,結
局 PhilippeとHenri
Andr6 Roussin の コ ミッ ク に つ い て 15 は杭 に縛 りつ け られ
, Suzanneを
奪 われ て しま うが, SuZanneに
よれ ば, IIenriとPhilippeが
縛 られ たのは,礼
儀知 らず の自人男 た ちへ の良い教訓 で あ り,叉
,
自分 が黒人 と一緒 に小屋 の中へ入 るのは,あ
くまで も,仲
間の 自人 を救 うための高潔 な行為 なのであ る。 第二幕 PhilippeとSuzanneが
テーブル代 わ りの箱 の前に腰 を下 ろ し,食
事 を して い るが,Henriだ
けは彼等か ら離れて,黒
人,即
ち自分 た ちの敵 の持 って きた 魚 な ど食べ て け しか らぬ と,い
きまいてい る。Suzanneは ,黒
人は敵 ではない し,
自分 の行為について も,そ
れ は PhilippeとHenriを
解放 す るために払 った適 当な代価 だ と主張す る。 そんな ところへ,黒
人が果物 を持 って再 び現れ, 突然 フランス語 を喋 り出 し,
自分 は船 の給仕 を していたが,難
破 して この島ヘ 流れついたのだ と告 げ る。 これ を聞 くや, SuZanneは
これ までの見方 をす っ か り変 え ると同時 に,何
もしよ うとは しない男た ちに腹 を立 て る。Suza′nne: Conllnent: Inais non P Et qu'est‐ Ce que ie diSaisP Ce qui
6tait vrai pour un jeune roi sauvage, vivant souS une loi que nous
ignOrOns, n'est plus vrai du tout pour un cuiSinier a bord d'un
paquebot!
ヽrous n'allez tout de meme pas trOuver qu'il est normald'accepter 9a de la part d'un civilis6? Oh! quel Sauvage!― 一‐
Ah!
on a raison de dire que le Cin6ma 6duque les masses! Il leur
donne des id6es propres i car iamais, justement, un v6ritable sau‐ vage n'aurait agi de la sorte! JamaiS! Il aurait eu bien trop peur
d'etre puni par son dieu! AL10rS P ヽ戸ous ne le lyncheZ pasP C'est ainsi que vous vous pr6parez a me venger de la violence dont j'ai
6t6宙
ctime P(..。)0う
And“ Roussin の コ ミッ ク に つ い て 自分 は暴行 を受 けたのであ り
,そ
の男 を追跡 して包囲 し,捉
えて リンチにす るべ きだ と,
尻込 みす る 二 人の男 をけ しか け るのであ る。そ して,
黒 人が あ の様 な暴挙 に出たの も,
映画の 影響 だ と 注釈 をつ け るが,
この シー ンでは,Suzanneも
映画の感化 を受 けてお り,
この ヒステ リックな彼女の言葉 も,
以 前 に この黒人 を島の王子 と判断 したの と同 じく,彼
女が映画か ら既 に得 ていた イ メージが,一
つの きっかけで,反
射的 に,出
て きただけの ことなのであ る。 この よ うに,彼
女 の意識 は,現
実 を きっか けに して,そ
の極端 な イメージにす く゛に移 向す るのであ る。Philippeは
,包
囲す るためには二人 だけでは足 りな い し,相
手 はナ イフを持 ってい ると,彼
女 を現実 に引 き もどそ うと努 め る し,Henriは ,そ
こまです るのは グロテス クであ るとの意見 を述べ るの しか し,一
計 を思 いついたSuzanneは
,二
人 に黒人 を油断 させ るために, 寝 たふ りを してい るよ うにいい残 して,黒
人を探 しに行 って しま う。残 された 二 人 は寝 た振 りをす るには,い
び きをかいた方が よ くはないか と議論 を始 め, その うちに,Suzanneに
連れ て こ られ た黒人 に,
もう一度,手
足 を縛 られ て し ま う。しか し,今
度 はSuzanneが
黒人か らナ イ フを取 りあげ,二
人の縄 をほ どかせ てか ら,彼
を杭 のそばにつれてゆ き,注
意 をそ らせ よ うと,空
の一点 を 指 び さす。 しか し, Philippeと
Henriは
,Suzanneが
空 に何かの印を見 る 癖 の あ るの を覚 えてい るので,
叉か と,
一緒 にな って 空 を見上 げ, Suzanne
に歯 がゆい思いを させ る。 ついに二人 は,彼
女 の意図 を理解 し,空
を眺 めてい る黒人 を杭 に縛 りつ け るのに成 功す るの ついで彼等 は,以
後 お とな しくして,料
理人 として仕 えるな らば と,黒
人 を 自由に してや るが,
この黒人 の名前 も,偶
然Philippeで
あ り,叉
もや「 聞 き 違 い」 が起 って,同
名 の Suzanlleの夫 の優越的態度 を台無 しにす るよ うな こ とにな る。Philippe: n'est‐ce
nom P
Le Nolr:
Philippe: ce n'estLe Nolr:
Philippe: (..。 ) Philippe:Le Nolr:
Philippe:Lc Nolr:
Andr6:Roussin の コ ミックについて 17 1l faudra prendre l'habitude de r6pondre: Oui, LIadame,pas P Conllnent vous appelez‐
vOusP VOusP Vous avez un
Oui,Philippe.
CommentP Je VOus demande de
pas pour que vous me r6pondiez
Pourquoi P
Vous vous f..e de moiP
r6pondre: oui, Madame,
a mLOi: Oui,Philippe.
E〕st‐ce que je vOus ai autOris6 れ Ⅱl'appeler par mon nolnP
Je ne COmprends pas. Je VOuS demande le v6tre.
②
Oui,Philippe。
Suzanneは
黒人 と二 人 き りにな って,こ れか らの注意事項 を与 えると,彼
は恭 々 しく膝 まづいて手 に接吻す るので
,思
わず叉,`Oh!princel'と
,夢
見心地 にな って反応 して しまい
,あ
わてて気 を取 り直す。一方
, Henriは
Philippeに
, 自分 た ちの友情 が続 くよ うに,Une amiti6
entre deux hOmmes ne peut pas durer si une femme se trouve l。 とい
う諺 をひ き
,そ
れが一般的に妥 当な ものであ るとして,suzanneと
手 を切 るこ とを約束 す ると, Philippeは
何故 自分がSuzanneを Henriと
共有す ること を認 めたか をHenriに
打 ちあけ る。 愛妻家 の彼 は,Suzanneが
溺死 を免れて元気 に 自分 のそばを生 きて歩 いてい るとい うだけで
,十
分幸福 だ ったのであ る。Suzanneに
対 す るPhilippeの
この深 い愛情 にHenriが
感動 してい ると,船
の汽笛が聞 こえて き
,Philippeは
助 けを求 め る信号 を出 しに行 く。 その間に,Henriは suzanneに
, Philippeは
自分 た ちの関係 は もうな くな った と思 っAndr6 Roussinの コ ミックにつ いて うに
,
全員幸福 に暮 らしてゆけ るだろ うと話す。 彼等 は もう一人の Philippe (黒人)を
従 えて,船
の汽笛の鳴 りひび く中 を,各
々 自分 な りの思惑 を もって 満足 しなが ら全員陽気 に舞台 を退場 してゆ く。 南 の島で生活 を始 めた二人 は,様
々な困難に出会 いつつ も,常
に「 誠実 な人 物」 と して 自分 た ちを守 り通 した姿 とな るわ けで あ るの ところで,彼
等 は同 じ 場 に あ りなが ら,各
々違 った形 で物 を見,反
応 して,い
わば,現
実 の中に彼等 がみて とる ものの内部 に狭 く閉 じこめ られてい るのではあ るが,同
時 に種 々の 観念 を応用 して,そ
れ らを普遍的 な道理 と して正当化 してゆ くのであ る。云 っ てみれ ば,彼
等 は全 員,
自 らの思考 の幸福 な「 と りこ」 で あ る。 そ してそれ 自 体 は突飛 で,時
には グ ロテス ク とな る事件 の成 り行 き も,彼
等 の論理 の中では 無害 で,む
しろ道理 にかな った もの とな り,そ
れ を生 きる人物 た ち も,そ
の誠 実 さに関す る限 りは非難 され ない もの とな るので あ る。Bergsonは
彼 の Lι Rづγιの中で,喜
劇的人物 と,喜
劇的集 団に特有 の論理 を 1'inversion toute Sp6ciale du sens communと 名づ け,次
の よ うに述べ161
て い る。
Elle consiste a pr6tendre modeler les choses sur une id6e qu'on a, et nOn pas idё es sur les chOSeso Elle consiste a voir devant soi ce a quoi l'On pense,。 。。 Le passage se ferait d'ailleurs insensiblement de
ce qui ne veut rien entendre れcelui qui ne voit plus que ce qu'il
veut。
Roussinの
劇 の人物 たmunの
拡大の中に あ り,等 は, 同 じ く
BergSOn
ち も, この 1'inversion toute Sp6ciale du sens com‐ その一 つの変形 と して 見 ることが可能 で あろ う。 彼
Andr6]Roussin の コ ミッ ク に つ い て 適応 し
,叉 ,再
適応 してゆ こ うとす る精神的努カー をはた らかせ,自
分 た ちに かか わ って くる事柄 に対 して,そ
の場 に応 じて反応すべ く努力 を してはい る。 だが,そ
れ らの反応 は,実
は,登
場人物 の一人一人 を特徴 づ けてい るところの 夫,妻 ,親
友,恋
人 とい った立場 や, Henri,Philippe,Ch6riな
どの名前, 呼称,そ
れに態度 や信仰,更
に多分 に映画な どに よって与 え られた既成 の イ メ ージな どによって決定 されてい る。 それ らの要素 はその間に何 の統一 も一貫性 もな しに,た
だ 雑然 と して,一
つ一 つ,い
わばBergsonの
い う「 こわば り」 と して,表
出 され てゆ くのであ る。彼等 は, 自分 たちのか たよった反応 に,広
く受 け入れ られ た 観念や 価値 を あてはめて,論
理的に 正 当な もの とし,現
実 を, 自分 の欲す る様本目に変 えて しま うのであ る。しか し
,彼
等 の現実への反応 が,1'inversion toute sp6ciale du sens com¨munで
あ り,観
客 の 目に喜劇的な もの として映 るいわゆ る「 放心」であ るとし て も,そ
の原 因 をすべ て, この種 の ジ ャンルの劇 の常套法 であ る,登
場人物 の 事実 を知 らされて いない ところか ら起 る「 取 り違 え」quiproquoに
帰す るわ けにはゆかない。 「 取 り違 え」劇 に於 て も,登
場人物 た ちは,各
々 自分 にかか わ って くる一連 の事件 の中で,そ れ らに対 して判断 を下 し,反応 してゆ くのではあ るが,そ れ ら の反応 が 喜劇 的 なのは,
彼等 が 自分 のい る situatiOnに ついて,
しば しば部 分 的 な,
もしくは誤 った知識 を 自分 の持分 として,
作者 に よって 振 り当て ら れ てい るか らであ る。た とえば, quiproquo劇
の 代表的作 品の一つ GeorgesFeydeau作
の 二α Dα%θ αθθんθz ν αχづ名 では,Petyponが
酒 に酔 って,踊
り 子 のCrevetteを
自分 の家 に連れて帰 り,翌
日,訪
問 しに きた叔 父の将軍 に, 彼女 を 自分 の妻 として,
嘘 をついて紹介す る破 目にな る。 将軍 は, Petypon
の言葉 を信 じ,二
人 を夫婦 だ と思 い こんで 自分 の姪 の結婚式へ招待 し,そ
れ以Andr6 Roussin の コ ミックにつ い て 後
,そ
の無知 を丞盤 に して,発
言 し,行
動 してゆ くことにな る。 一方,観
客の方には,そ
うい った situatiOnの 真 の意味 と,そ
の様 々な面 が 知 らされ てお り,将
軍等 の登場 人物 た ちの認識 の段階,現
実 に対 す る「 放心」 の度合 い と, Crevetteが
一介の踊 り子に過 ぎない とい う現実 との距離 を計 る ことがで きるのであ る。 そ して,パ
ーテ ィーの席上で田舎の上流婦人た ちは,Crevetteの
奇妙 な物腰,態
度 を,パ
リの上流階級 の流行 と 思 い こんで真似 を す るよ うにな り,そ
の真相 を知 らぬまま,皆
が進 むのであ る。 しか し,腺1も終幕近 くにな って,将
軍 は, Crevetteの
素姓,事
実 を知 らさ れ る と,た
ちま ち 目を さま し, その「 取 り,皇え」か ら解かれ るべ く,正
しい認 識 が附与 されてい るので あ るの やがて'全
員が, Crevetteと Petyponは
夫 婦 ではない とい う事実 の同一平面 で出会 うことにな るのであ るの それ故,そ
う い った situationに 於 ては,登
場 人物 た ちの様 々な「 放心」 に もかかわ らず, それ と平 行 して,常
に事実 と しての確か さを もった,唯
一 の現実が あ り,登
場 人物 た ち も,真
相 を知 らされ ると,「
放心」力>ら さめ るこ とが保証 されてい る のであ る。 しか し,Roussinの
劇 に於 ては,そ
うい った意味 での確かな現実 も,登
場人 物 の信頼 に足 る認識 も,
もはや見 つ け ることはで きないの そ こでは,既
に見 て きた よ うに,人
物 の内部 にあ る様 々ので きあいの観念 の塊 りが,事
実 の認識 そ の ものをゆがめ,彼
等 を現実か ら放心 させ る原 因にな ってい るのであ る。 そ こ で コ ミックの対象にな ってい るのは,事
実 の認識 の仕方 その ものであ る。 第三 幕 にな って,三
人が,黒
人が船 の給 仕 であ るとい う真相 を知 って しま った段階 に於 て も,彼
が膝 まづいて, Suzanneの
手 に恭 々 しく接吻す ると,彼
女 はそ ② の品位 に打 たれて,「
Oh!.…
。prince l.…」 と,再
度,夢
見心地 で反応 し て しま うのであ るのAndr6]Roussin の コ ミッ ク に つ い て この劇 の中では
,現
実 も,登
場 人物 の各 々が もつ,論
理化への欲求 にふ りま わ され て,い
ろい ろに,そ
の様相 を変 えるのであ り,事
実 と しての一義 性 を失 ってい るのであ るの それは,彼
等 の一人一人 に,そ
れ ぞれ,異
った面 を,二
時 的 に示 す と 同時 に,
一―方 に於 いて,
常 に,彼
等 の 思惑 をす りぬ けてゆ く,捉
えが たい もの と な ってい るのであ る。Roussinは
,
彼 の 濠1の 一 つの 中で, 1291Raisonnons.… e Car 9a change toutと
人物 の一 人 に 語 らせ て い るが,こ
の 二α Pθιグι′π%Jιι に於 て は
,
このraisonnementを
極 端 に押 し進 め,
拡 大 した ところに, この劇 の コ ミックの生 まれ る条 件 が あ る とい え よ う。 Ⅲ 批 評 家 の一 人 は,Roussinの
劇 を th6atre_miroirと呼 び,以
下 の よ うに述 べ て い る。 Le th6atre ot le spectateurtravers, ses tics, ses goOts
peut se reconnaitre, et reconnaitre ses
etll et ses d6gOats, et ses passions.
実際 二α Pθι夕ι″%ιιιは,南 の 孤 島 とい う非 日常的な場(しか し,同時 に,これ はエキ ゾチ ックな夢 として
,観
客 の中に一般的に定着 してい るの も事実 であろ う)を
舞 台に しなが らも,
そ こでの事実,
出 くわす 事柄 は,
登場人物 の中に あ る,
観客が 日常生活の中で,
共通 に経験 し,
よ く知 られていて,
時 にはあ ま りにあ りふれ ていて変 りば えの しない観念 や価値,態
度,モ
ラル,信
仰,好
み,叉
イ メージを引 き起す ためにのみあ るのであ る。 いわば,風
俗的 な 日常生 活 を浮 きば りにす るために, この非 日常的な場が とられてい るのであ り,そ
こ に,一
種 の くす く゛りの面 白味がね らわれてい るのだが,そ
れ らの手法 は叉,否
定 的に も見 られ て,彼
の際1の中に登場す る人物が,平
均的 なモ ラル,俗
っぱいAndr6 Roussin の コミッ クに つ い て 枠 か ら出ていない との評 を受 け るゆ えんで もあ る。確 かに
,セ
リフを一つ一 つ 取 り出 して,そ
の中に現れてい る もの,そ
れ 自体 を見れば,深
み も新鮮 さ も認 め られず,気
楽 な芝居 を期待 して見 に くる観客 の不意 をつ くよ うな ことは決 し てない よ うな,一
般 に受 け入れ られ た「 出 きあいの観念」 の陳列 であ ることは 間違 いない よ うであ るの しか し'既
に述べ て来 たよ うに,そ
の出 きあいの,従
ってそれ 自体 の正 当 さは十三分 に保証 され た ものが,彼
の劇 の中では 1'inver‐sion toute sp6ciale du sens communの
形 で 現れ るよ うに situationが組まれ てお り
,
それ を 語 る人物 を コ ミックな 存在 にお と しいれ て しま うところ の,何
か 滑稽 な ものに,
突如 として 化 して しま うのに 注 目すべ きであろ う。Roussinの
劇 が,同
時代の th6atre_miroirであ ると して も,そ
れ は,ゆ
がん だ像 を提供 し,喜
劇 的 な存在 に して映 しだす一種 の マ ジ ック0ミ ラーなのであ る。 その よ うな situation全 体の中では,登
場人物 た ちの誠実 さを支 えて きた観 念 は,結
局 自 ら失墜せ ぎるをえず,そ
の本来 の価値 を失 うしかないのであ るの この 二αP′ι夕θ〃グιθは,一
定 の時間の中で,
開幕か ら 終幕へ と 直線的 に 筋 が進 開 してゆ く構造 を もってい るに もかか わ らず,内
容的には,三
人の関係 が以前 パ リにいた時 と同 じ関係 にな って,元
の通 りの situationに な るところ で幕が下 り,一
種 の回帰的構造 にな ってい るのであ る。 その途 中の過程 の騒 々 しさは後 には何 も残 さず,い
わば,Shakespeare風
に云 えば,「
夢 と同 じ材料 でで きてい る」 のであ る。 しか も,終
幕 の彼等 の幸福 と満足 は, Philippeが
Suzanneと Henriの
仲 を知 らされ ない とい う条件,即ち,全
員が現実 の同一 平面 に足 を下 さない ことに依 ってお り,今
後 どうな るか わか らぬままであ る。 1321 Po Surerは,Roussinの
劇 に登場す る人物 を,次
の よ うに結論 づけてい る。Andr6 Roussinの コ ミッ クに つ い て
Enfin ct surtout, les personnages de Roussin ne sont pas n6s d'une observation attentive de la vie quotidienne: ce ne sont que d'ailna‐ bles fantoches, qui s'6vanouissent dё s qu'ils ont franchi les portants
de la scё ne.
事実
,彼
等 は,む
しろ悲劇的 な一連 の事件 を安価 な観念 と突飛 な論理 に満足して
,深
く悩 み も,考
え もせずに乗 りきって しま う,単
純 で善 良な人物 た ちで あ り,そ
の中身 は,む
しろマ リオネ ッ トの それであろ う。 しか し,こ
の単純 な 人形劇 の材料 の よ うな ものでで きた,
この 気楽 な well‐made playの
軽快 な進行 の中で積 み重 な ってゆ くのは
,以
上述べ て きた「 論理」 の中で現 われて く る,そ
れ とは逆説的 な,論
理 の愚か しさ,関
節 のはずれ た人間 と,空
お そろ し い現実 の欠落であ る。 そ して, ROussinの
後年 の作品が,Comiqueで
はな くな り,悲
劇 的 な色彩 の濃 い,深
刻 な重苦 しい ドラマであ るとの評 を うけた時,彼
は,
こ う話 してい t331 る。Pourquoi〈
le dran■e〉 6tait‐il plus perceptible dans cette piё ce quedans Nづηα, ou L'Иzο %γ /θ
%,Ou Lι
s αo/S αι J'α%ιγ%θんθ P Pour rrloipas plus triste que lcs autres,一
一
ni moinse..。 Non, j'avais 6critvolontairement une Tragi‐ Com6die.
0
そ して
,ア
メ リカの一批評家 は,常 に
,喜
劇 を悲劇 に変換 してゆ き,た事実 の一例 であ ると述べ てい る。
そ して更 に
,Roussin自
身 以下 の よ うに述 べ て い る。La vie est faite de ce m61ange constant des personnages coⅡliques
130
et des 6v6nements tragiques。
彼 の言葉 に答 え るかの よ うに
,Roussinは
Andr6:Roussin の コ ミッ クに つ い て 実際
,
この 二αP′JJた 〃ιιノノ′に於 て も,
筋立 てを展開 してゆ くmotifに
な ってい る ものは,
一 人の女 を 二人の男が 取 り巻 く (それ に 更 に,
もう一人 の 男が 加 わ る)と
い う状況,
つ ま り,そ
れ 自体 は,
動かす ことので きない 事実 であ り,
腕 力 (非論理)に
よ る 現実的な 解決法 しか,
予想 させ ない ものであ る。 しか し,そ
うい った関係 を生 きなが ら,常
に現実の もつ険悪 さを避 けて論 理的 であ ることの優 劣 を競 いなが ら解決 してゆ こ うとす る,誠
実 ではあ るが, 同時 に, コ ミックな人物 をROussinは
倉Jってい るのであ る。 しか し, この劇 の中で人物達が,彼
等 の善良 さを負 ってい る条件 を裏か ら見 ると,そ
れ はその まま,虚
妄 の論理 と価値 の上 に築かれた イ リュージ ョンの中に住んでいて,決
して リア リテ ィーに出会 うことのない一種の現代 の都会人の悲 しい戯画にな る わけであ るの この島での実際 の生活 と経験 は結局,彼
等 の論理 の材料 にな るの みであ り,そ
の「 論理」 も,そ
の後 にで る論理 の前 では,た
だ愚か しい ものに な りはて る。Roussinは ,こ
の作品で 50年 代 に,
演劇史上 空前の ロングランを記録 し, 一躍,喜 劇界の第一 人者 にな ったが,同時 に それ は,彼 に対 して,Boulevard劇
とい う,小
ジ ャンルの作家 との見方 を与 えることに もな ったの そ して,後
年 に な って,
は じめて彼 は, vaudevilleを
離 れ た ドラマに傾 いてい った と見 な さ れ てい る。 しか しなが ら,そ
の ア クチ ュア リテ ィーは認 め られなが らも,快
い vaude宙 lleの枠 を出 ることはない とされ てい る, この 二α Pθノづ″ι″%″Jι に於 て も,そ
の根底 にあ る ものは,
この小論 で見 て きた よ うに,人
間の存在 が その 中に閉 じこめ られ てい る悲劇的 な条件 その ものであ る。 これ は,そ
の後の作品 に も,姿
を変 えつつ,一
貫 して流れてゆ くものであ るが,こ
の作品では,そ
れ をRoussinは ,同
時 に,卓
越 した才能 と,高
度 の技術 を駆使 して喜劇 に仕立 であげ,笑
いの対象 と して,当
時 のパ リ人 に提供 した と見 るべ きであろ う。Andr6 :Roussin の コ ミッ ク に つ い て 25
註
(1)1949年初演 で,《Com6dies d'Amour》 の 中 に 収 め られて い る。 (《COm6dies
d'Amour》, Paris,Ed.Calrrlann‐ L6vy, 1959.Coll。 Ouvrage de Th6atre。)
(2)1950年初演 で,《Com6dies de la scёne et de la ville》 の中に収 め られてい る。
(《Corn6dies de la scё ne et de la ville》 , Paris, Ed. Callnann‐ L6vy, 1962.
CoH.Ouvrage de Th6含tre.)
(3)1947年 初演で,《Com6dies de Fantaisie》 の中に収められている。(《Com6dies
de Fantaisie》,Paris,Ed.Callrlann‐L6vy,1960。 Coll.Ouvrage de Th6atre.)
(4)Ren6 Lalou:
二θ7`λιaιγιθπ Fγ απθθαι夕%づSゴ9θθ, Paris,Ed. Presse Uni‐versitaire de France, 1970。 p。 120.
(5)Georges Versini: 二θ rん′′ノγι´/απクαグsごι夕πグSゴ フθθ,Paris,Edo Presse Uni‐
versitaire de France, 1970. p. 113.
(6) Paul Surer: 二θ rttι′ι″ιノレα%クαグS εο%′θ,%クOγαグ%,Paris.Edo Soci6t6 d'Edition et d'Enseignement Sup6rieur, 1964。 p。 335.
Un autre public, et plus encore une certaine critique, entich6s de
haute intellectualit6, criblent de leurs sarcasmes ces faibles cerveaux,
que n'habite aucune angoisse m6taphysique.
(7)1960年考η巻葛。 《Com6dies conjugales》 ,Paris,Edo CalrrlannoL6vy,1961。 Coll.
Ouvrage de Th6atreo p. 9.
叉
,エ
ッセイ集の中で も,Ronssinは
,このテーマが安易であるとの評に対 し,次のように答えている。
Nul ne se demande jamais pourquoi,dans le th6atre de Moliere, les per80nnages sont chez cux, ni a quelle heure se passent les 6v6nements
auxquels l'auteur nous fait assistere Parce que ces personnages appar‐ tiennent a une sOci6t6 oisive. Personne ne s'est jamais demand6 non plus
COΠllnent Alceste gagne la vie, ni IPhilinthe, ni les marquis.
(Cοπιιπιι%θ%ι Rαづsο%%αbノθ, Paris,Edo Grasset,1965。 p。 59。)
La soci6t6 plus 6volu6e ot Feydeau prend ses h6ros juit aussi d'une libert6 comparable a celle des seigneurs du XXe, ceux qui portent ja‐
quette l'apres¨ Inidi a cinq heures et soupent en frac chez Maxiln's.
(ibid., 60.)
Une com6die est toujours plus ou moins affaire de famille et d'amour
26 Andr6 Roussinの コ ミッ クに つ い て
(ibid。, p・ 59。)
(8) Jcan‐Paul Lacroix et》Iichel Chrestien: 二θ ttjυ/ι b′α,oε `Jθ ′'」り?ι,,zο?ィ′′πθ力′,
Paris, Ed. de la Pens6e Moderne, 1966。 p。 452。
(9) ibid., p。 452。
00 Andr6 Roussin:C θ πιθπιθπθ,″ RαづsO%ηαbιθ,p.16。
0つ Sοπογα%α‐7`あι′′/θ, sπタタJι%θπノ′乃ι′′/α′ “π %°
25
ごι Sοκογαπα, PariS, p. 1960。02
二α Pθノタθ ttrπιιι,(Corn6dies de Fantaisie,p.140.) OЭ BergSOnは, 自然 の法 員Jにと ってか わ る人為 的 な規 則 とい う もの を紹 介 し,現
実 よ り も,む
しろ,論
理 を先 行 させ る哲 学 者 を例 に あ げて批 判 して い る。Un philosophe contemporain, argumentateur a outrance, auquel on repr6sentait que ses raisonnemcnts irr6prochablement d6duits avaient
l'cxP6rience contrc eux, Πlit fin a la(liscussiOn par cette silnple parole:
《1'exp6ricnce a tort》.(二θRグ′′ι, pp。36-37.) 0り Cοzιごグθs αι Fα″αづsづθp.142. llう ibid., P。 146。 l161 ibid。, p。 152。 0つ ibid., p。 158。 03 Henri BergsOnは,「良識
Jを
次のように定義 している。Le bon sens est l'effort d'esprit qui s'adapte et se r6adapte sans cesse, changeant d'id6e quand il change d'objeto C'est une mobilit6 de l'intel‐ ligence qui se rёgle exactement sur la mobilit6 des chosese C'est la
continuit6 mouvantc de notre attention a la vie.
(二ιRづγθ,Paris,Ed.Presse Universitaire de France,1950。 p。 140。 )
09 c01m6dies de Fantaisie p.212。 00 ibid., p. 212. 0ゆ ibid。 , p. 217. 02 ibid。 , p. 231。 10 ibid。 , p. 240. 0の ibid., p. 249. 00 ibid., p 258。 120 Henri Bergson:op.cite,pp。 141-142.
の Georges Feydeauは
,い
わゆる Belle EPoqueの vaude宙lleの代表的作家で,And“ :Roussin の コ ミッ クに つ い て 27 の Cο%ιググθs αθ Fα%ιαづsづθ,P,251。
29
二'EεοJθ ごθs Dπ夕θS,Cο%ιαづθs Cο,cプ%gαJιS, Paris,Edo Callnann¨L6vy, 1961。p。 269。
Reste Callne. Raisonnons. C'est le meilleur moyen de retrouver
toute ta lucidit6 et peut‐ etre celui de ne pas souffriro Car, 9a change
tout!
⑩ Antoine Adam, Georges Lerrninier, Edouard Morot‐ sir: 二づιιιγαιπγι´/α%‐
ク
`ι
づsθ, tome second, Paris,Ed. Larousse, 1967. p。 348。
0⇒ ヽVilliam Shakespeare: rん θ rθ%夕ιsι,Acte IV,scёne l。 156.
...We are such stuff As dreams are made on;...
(Williarn shakespeare: The Corrlplete Works, edited with an intro‐
duction and glossary by peter Alexander, Collins, 1968. p。 21) 02 Paul Surer: op. cit., p。 337.
00 Cο πιθ%ιθ%θ%ι RαづsοηπαbJθ :p。 149。
び,oα%οπγ g%づ %ι ル%づノクαS(1963年2月初演
)で
は,Roussinは
「 ドラマ」に転向し
,叉
, 二αy。ノα%ιθ(同年11月初演
)は
,メ ロ ドラマであるとの評を受け た。0め ヽVallace Fowlie: И G%グ αιιο Cο%′ι%夕Oγαγノ Fγθπεん 二づιθ″αι%γθ
,New York,
Ed. LIerdian Books, 1960. p。 189.
Roussin is constantly converting the comic into the tragic, and his
theater is a example of the fact that the terrns cornic and tragic have
lost any well“defined meaning. 00 Cοπιθη′ι
`%θπJ Rαづ
sOππαb′θ p. 150.
参 考 書 目
Antoine Adam,Georges Lerminier,Edouard Morot‐ sir: 二づノノιγαノ%γι/7α%‐ fαづsι, tome second, ]Paris, ]Ede Laroussc, 1967.
Marc Bcigbeder: 二θrんιaιγθθ% Fγα夕3ειごθ夕%づSノα二づわιγαιづο%,Paris,Ed。
Bordas,1959。
Henri Bergson:二θRづγθ,θssαづs%γ Jα sづg%│ル θαιづο%αtι εο%づg%θ,Paris,Ed.
Presse Universitaire de「 rance, 1950.
28
1948.
ヽVallace Fowlie:И G%づαι′οC οπιθ,7ι夕ογα/ノ F/θπελ Lづιθ/αιιιγθ,New York,
Ed. LIerdianl BOOks, 1957。
」ean‐JacquC Gautier: r力ι′ιγθご'α%ノο7ι/α'ん%ら Paris。 ]Ed. Julliard,1972.
JCan‐Paul Lacroix et PIichel Chrestien: 二ι二づυ/ι b′α,oθ αι J'〃 ππθπγ
ηθづγ, ]Paris, iEde de la Pens6e Lttodernc, 1966.
Ren6 Lalou: 二ι T乃′αιγθι,o F/αηθιごθ夕πづS1900,Paris,Edo Presse Uni‐
versitaire de Francc, 1951.
Paul Surer: Lc Thノ α′′′θ/γαηクαづS θοルoιι′κ夕ο/αグ
'0, Paris, Edo Soci6t6 d'Edi‐
tion d'enseignement Sup6rieur, 1964。
Georges Versini: Lc Th6atrc francais depuis 1900, Paris, Ed. Presse
Universitairc de Francc, 1970.
5οπογα,ηα‐Tλιαι,′ι,s%タタJι
'%ιπιι
ttι′rJ′αJ`ι:ι ,0° 25 αι sοηθ/α ,,tα,Paris,1960。
主 要 作 品
1。 Andr6 Roussin:Cο ,ηιαづθsご'И″ιθιι′′, I)aris, Ed.Calmann‐L6vy, 1959,Con. 《Ouvrage de Th6atre.》
2. ――― : C 0夕 ηιごグθs αι Fαπιαグsづι, Paris, Ed. Calnlann¨L6vy, 1960.Coll.
《Ouvrage de Th6atre.》
3. 一――― : C‐ο夕ηιαグθs ごθ Fα ηガ〃θ, Paris, Edo Calnlann‐ L6vy, 19∞e CoH.
《Ouvrage de Th6atre.》
4. ―一一 : C OZιαづθs Cο%ノ πgα ′θS, Paris, Edo Calmann‐ L6vy, 1961.CoH. 《Ouvrage de Th6atre.》
5。 ―――― : εο夕πιαづθsご θたI Sεらκι ιノαθ Jα T/グ′ノι, Paris,Ede Cal■ lann‐L6vy, 1962。
Coll.《Ouvrage dc Th6atre.》
6。 一―一: εO“ιαグθs I)γα zαιづgπθs, Paris, Ede Calmann‐ L6vy. 1964.Coll.
《Ouvrage de Th6atre.》
7。 ― ― : 二α 工Q,η夕γzα, PIOnaco, ]Edo du Rocher, 1957。
8. ― ― : び′ι Cο πノθ%ιθη3θ,oノ fぞαづsο ,t′αb′θ。. 。sπづυづごθノθノ′/θ sχ″′ιθ 7`あι′ιγθ ご'απノοπ/グ'力πづ,Paris,Ed.Grasset,1965。 Coll。 ■loi et mes Personnages.
9.