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[講演要旨] 足摺岬における宝永・安政・昭和南海地震の地殻変動

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Academic year: 2021

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(1)歴史地震 第26号(2011) 88頁. 足摺岬における宝永・安政・昭和南海地震の地殻変動 [講演要旨 ] 宍倉正展・行谷佑一 (産業技術総合研究所 活断層・地震研究センター) 南海トラフ沿いでくり返し生じるプレート間地震. から間近に伝聞したことが記された,同時代の史. は,歴史記録に基づいて 684 年白鳳地震以降. 料であり,信 頼性の高い史料であると考えられ. の履歴が明らかになっている.また地震考古学. る. 一方,昭和の地震では,水路局(1948)により,. の成果(寒川,2001 など)も加え,大まかに東海, 東南海,南海の 3 つのセグメントの地震が単独ま. 足摺岬半島の全域で隆起したと報告されている.. たは連動して生じていることが解明されつつある. 特 に安 政 地 震 で沈 降 したとされる土 佐 清 水 で それぞれのセグメントは,おおよそ同じ領域がくり. 0.6 m 隆起し,唐船島という史跡に生物遺骸の隆. 返し破壊していると考えられている.しかし実際. 起痕跡が残されている. 以上のことから,本地域では 3 つの地震でそ. には同じセグメントでも毎回まったく同じ破壊領 域を持つとは限らず,それは地変の分布パター. れぞれ地変が異なっていたことがわかる.. ンの違いなどに表れる.そこで筆者らは,南海地 震のセグメントの西端付近に位置する足摺岬に. 隆起生物遺骸の証拠 本地域の隆起生物遺骸や離水地形に関して. おいて,史料および隆起生物遺骸の調査を行い, 1707 年宝永地震,1854 年安政南海地震,1946. は,すでに前杢(1988)や太田・小田切(1994)に. 年昭和南海地震の 3 つの地震における地殻変. よる報告があるが,年代の精度などに問題を残し. 動を検討した.. ていた.筆者らの調査の結果,土佐清水付近に お い て , 現 成 の ヤ ッ コ カ ン ザ シ ( Pomatoleios kraussii)群集より 0.8~0.9 m の高度に隆起遺骸. 史資料からの検討 河角(1958)などによれば,宝永地震で足摺岬. を発見し,AD 1720-1950 の 14C 年代を得た.同. 周辺は沈降したことが示されている.一方,高知. 地点での検潮データや史料などの記録と照合す. 県土佐清水市に残る『嘉永七寅年地震津浪記』. れば,昭和の地震で隆起した群集と判断される.. (池道之助著)には,安政地震に伴う足摺岬周. このほか半島南端から付け根にかけて沿岸 5. 辺の地変が記され,これによれば,足摺岬半島. 地点で,同様に隆起ヤッコカンザシ群集の高度. の付け根の少し南をヒンジとして,南部が隆起,. と年代を測定したところ,現成から 0.2~0.7 m の. 北部が沈降ということが明確にわかる.特に,南. 高度で 3 つの試料から AD 1720~1950 の. 端に近い伊佐浦では 1.5 m 程度隆起したと推定. 年代を得た.これらは昭和または安政の隆起の. され,半島が比較的急な勾配で北へ傾動したこ. 証拠の可能性が高い.また,すぐ上位の 1.0~. とが示される(都司, 1988).. 1.2 m の高度では 4 地点で宝永より古い AD 910. 14. C. 土佐清水市史上巻(1980)によれば,上記の. ~1280 の年代を示した.すなわち今回の調査地. 書物は文久三年(1863 年;安政地震の 9 年後). 点では,いずれも宝永地震の隆起の痕跡は見つ. に記されたと考えられる.著者の池道之助は,文. かっておらず,当時足摺岬周辺は隆起していな. 政四年(1821 年)に地元中浜で生まれた秀才で, かった可能性を示す.また安政地震による最大 地震当時は 30 代前半であったという.これらから. 1.5m もの隆起もほとんど累積しておらず,昭和の. 判断して,同書物は池道之助が足摺で地震時. 地震までの間に沈降していた可能性が高い.. に実際に体験したことや,あるいは体験した人々. - 88 -.

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