滋 賀 大 学 教 育 学 部 紀 要 人 文 科 学 ・社 会 科 学 ・教 育 科 学 No.38 p.p.75-94,1988
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Rutter,
M.,
Schopler,
E.(1987);Jle6e一
πHHcKa∬,
K. C., HHKo恥cKa∬,0.
C.
(1987,1988)論
文 に み ら れ る 自 閉 症 に 対
す る障害 理 解 、な らび に研 究 方 法 の特 徴 と
そ の比 較
黒田 吉孝
The Methodological Character of M.Rutter&E. Schopler's Study(1987), and K. C. Jle6e凪 田cKaH&0 . C. HHICO皿 、cKaH's Study(1987,1988)for Autistic Children.
Yoshitaka KURODA は じ め に Rutter, Schoplerは 、 周 知 の よ う に 、 ヨ ー ロ ッパ ・ア メ リ カ 圏 を 中 心 と して 自 閉 症 研 究 を リ ー ド して き て お り、 わが 国 にお い て も相 当 に大 き な 影 響 を あ た え て き て い る 。 か れ ら は 、 約10 年 前 に 、 自 閉 症 の 診 断 、 理 解 、 治 療 に 関 す る 研 究 の 発 展 を レ ヴ ィ ユ ー し て い る(Rutter,1978)。 ま た 、 そ れ と ほ ぼ 同 時 に 、 自 閉 症 国 立 協 会(NS AC)か ら も 自 閉 症 の 定 義 等 が 発 表 さ れ て い る 。 しか し な が ら 、 か れ ら に よ れ ば 、 後 者 の 場 合 、 自 閉 症 の 定 義 等 は 、 科 学 的 な もの と い う よ り も 、 社 会 政 策 を 第 一 義 的 に 考 え て い た た め に 、 定 義 等 に 関 して 、 両 者 の 問 に 齟 齬 が み ら れ る よ う に な っ て きて い る 。 か れ ら の 論 文 は 、 こ の よ う な 状 況 を ふ ま え 、 か つ 、 現 在 、 自 閉 症 研 究 に お い て 新 た な 混 乱 も生 じて き て い る こ と を 認 識 し、 1978年 以 降 の 研 究 を も 加 え 、 自 閉 症 研 究 に 現 わ れ て き て い る 諸 問 題 を 解 決 す る 最 も妥 当 な 考 え か た を提 供 す る こ と を 目 的 と し て い る 。 自 閉 症 研 究 の 動 向 や 課 題 等 を 知 る 上 で か れ ら の 論 文 は 重 要 な 意 味 を も っ て い る 。 一 方 、Jle6e八 田lcKa月,K.C.,HKKo∬bcKa∬,0.C. (1987,1988)は 、 ソ ビ エ ト教 育 科 学 ア カ デ ィ 欠 陥 学 研 究 所 に 所 属 し て い る が 、 か れ ら の 論 文 は 、 自 閉 症 ・(「早 期 幼 児 自 閉 症 」)に 対 す る ソ ビ エ トに お け る こ こ10年 余 りの 研 究 を ま と め た も の で あ る 。 方 法 論 を 中 心 に し て ま とめ ら れ て い る が 、 ソ ビエ トに お け る 自 閉 症 研 究 は 、 こ れ ま で 、 わ が 国 に お い て は 余 り紹 介 さ れ て い な い 。 大 井 等(1983)が 、 以 前 、 ソ ビ エ トの 自 閉 症 研 究 を紹 介 し て い る が 、 か れ ら が 紹 介 し て い る 自 閉 症 へ の 精 神 病 理 学 的 ア プ ロ ー チ は1970年 代 半 ば の も の で あ り、 そ の 後 、10年 以 上 も の 時 が た っ て い る 。 そ れ 故 、 ∫le6eμHHCK朋, K. C., HHK-o肌cK朋,0. C.の 論 文 を 紹 介 し 、 Rutter, Scho-plerの 論 文 と比 較 し 、 検 討 す る こ と は 意 味 が あ る と 思 わ れ る 。Jle6eμHHcKa∬, K. C., HHIくo恥 一 CKaH,0. C.の 論 文 は 、 就 学 前 、 低 年 齢 学 令 自 閉 1988年9月19日 受 理 。
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黒 田 吉孝
症 児160名(4-9才)を 対 象 に し た 縦 断 的 、 横 断 的 研 究 結 果 に も とず い て い る 。 Rutter, Schopler.そ し て 、 JIe6e江HHcKa", K. C.,HHKO恥CKaπ,0. C.両 論 文 は 、 精 神 医 学 的 、 あ る い は 、精 神 病 理 的 ア プ ロ ー チ を 主 に して い る。 こ こ で は 、 自 閉 症 の 障 害 理 解 と研 究 方 法 等 に 問 題 を 限 定 し 、 両 論 文 を 紹 介 す る と と も に 、 そ の 特 徴 や 問 題 等 な ど を 明 ら か に した い 。 Rutter, Schopler{1987)論 文 に つ い て論 文 は、 「自閉 症 にお け る鑑 別 診 断 とそ の 信
頼 性 」
、
「自閉 症 の診 断基 準 」、
「
基 本 的 欠陥 ・
障 害 の性 質 」、
「診 断 の た め の心 理 テ ス トの 問
題 」、 「自閉 症 とそ の周 辺 障 害 」、 「自閉症 の 病
因論 的問 題 」 か ら な って い る。
こ こで は、 自閉 症 に お け る障 害 把 握 、 診 断 、
そ して、 研 究 方 法 に視 点 を 置 きなが ら、 彼 らの
自閉 症研 究 の特 徴 等 を理 解 す る こ と に した い 。
〔1》自閉 症 症 候 群 の 鑑 別 診 断 とそ の信 頼 性
自閉 症 は 、急 性 の 精神 病 理 学 的 状 態(例 え ば 、情 緒 的 、 行動 的 障 害)や 、 幼 児 期 後 期 の精 神 病(例 え ば 、 分 裂病)、 あ るい は、 全 般 的 精 神 発達 遅 滞 、 更 に は 、言 葉 とか 言 語 の 特 別 な 発達 障 害 とは ど の よ うな点 で 異 な るの で あ ろ うか 。彼 らは 、 こ の問 題 に対 し、 自 閉症 を以 下 の 理 由 か ら、他 の障 害 と 区別 さ れ る独 立 した 障 害 と して把 握 す べ きで あ る と考 え てい る。 自 閉 症 と分 裂 病 と の 不 連 続 性 の 可 能 性 に つ い て は 、 そ れ ぞ れ の 発 症 年 齢 が2つ に 分 極 し て い る こ と に よ っ て し め さ れ る(Rutter,1974)。 す な わ ち 、 自 閉 症 と か 精 神 分 裂 病 に 関 係 す る よ う な 重 篤 な 精 神 障 害(severe mental disorders)は 、 児 童 期 半 ば に は 殆 ど発 症 し な い 。 自 閉 症 様 障 害 (autisticlike disorders)は 乳 幼 児 期 が ピ ー ク で あ り 、 精 神 分 裂 様 症 状 は青 年 期 が ピ ー ク で あ る 。 そ の 間 に は 顕 著 な 谷 間 が あ る 。 こ の 事 実 は 、 自 閉 症 と分 裂 病 は 基 本 的 に は 同 一 の 障 害 の 変 種 で あ る と は み な せ な く して い る 。 しか し な が ら 、 自 閉 症 と分 裂 病 を 鋭 く区 別 す る も の は 、 家 系 の 問 題(分 裂 病 に み ら れ る 家 族 性 因 子 に つ い て 、 自 閉 症 の 場 合 、 殆 ど み ら れ な い)、 症 状 の 問 題 (自 閉 症 で は 、 幻 聴 、 幻 覚 は 、 殆 ど み ら れ な い)、 発 達 過 程 の 問 題(分 裂 病 で は 、 以 前 正 常 か 正 常 に 近 か っ た と い う エ ピ ソ ー ドが 、 し ば しば 、 み ら れ る が 、 自 閉 症 で は 問 題 は 継 続 して い る)、 て ん か ん 発 作 に 関 す る 問 題(分 裂 病 で は 希 れ で あ る が 、 自 閉 症 で は 約1/4に み ら れ る)で あ る 。 始 め 、Kanner(1943)は 、 自 閉 症 児 は 、 全 て 、 正 常 知 能 を も っ て い る と評 価 し て い た 。 今 で は 、 そ う で な い こ とが 明 ら か に さ れ て い る 。 自 閉 症 の3/4以 上 は 精 神 発 達 遅 滞 で あ る(Rutter,1979)。 そ れ に もか か わ ら ず 、 自 閉 症 児 は 、 自 閉 症 で は な い 精 神 発 達 年 齢 の 等 し い 、 精 神 発 達 遅 滞 児 と は 明 確 に 異 な る と 考 え ら れ て き て い る 。 例 え ば 、 両 グ ル ー プ で は 、 約1/4に 発 作 が み ら れ る が 、 発 作 年 齢 に は 顕 著 な 違 い が み ら れ る 。 通 常 、 精 神 発 達 遅 滞 児 で は 児 童 期 初 期 に お い て 、 自 閉 症 で は 青 年 期 に お い て 発 生 す る 。(Deykin&Mac Mahon,1979;Richard, et a!,1980)。 ま た 、 医 学 的 な 関 係(medical correlates)の 面 で の 違 い (例 え ば 、 ダ ウ ン症 は 、 知 恵 遅 れ の 最 も ポ ピ ュ ラ ー な 障 害 で あ る が 、 自 閉 症 と ダ ウ ン 症 は 殆 ど 関 係 が な い)、 性 差 の 違 い(精 神 発 達 遅 滞 で は わ ず か な 性 差 が み ら れ る が 、 自 閉 症 で は 、4: 1で 男 が 多 い)、 認 知 障 害 の パ タ ー ン(自 閉 症 児 で は 、 抽 象 化 、 言 語 、 意 味 の 使 用 等 の 技 能 を 必 要 とす る 課 題 を 失 敗 す る 。Hermelin&0'Co・ nner,1970;Rutter,1983)の 違 い 、 そ し て 、 社 会 情 緒 面 で の 手 掛 か りの 弁 別 能 力 の 違 い(自 閉 症 で は 、 顕 著 な 障 害 を も っ て い る が 、 知 恵 遅 れ で は そ う で な い 。Hobson,1985)も み ら れ る 。 認 知 的 問 題 と の 関 連 で は 、 自 閉 症 は 、 受 容 性 言 語 の 最 も重 篤 な 発 達 障 害 と似 て い る よ う に 思 わ れ る 。 実 際 、 両 者 に は 類 似 点 が あ る し、 い く ら か 重 な っ て も い る(Paul, et al.1983;Paul, et al.1984)。 し か し な が ら 、 顕 著 な 違 い も み ら れ る(Rutter,1979)。 自 閉 症 と 受 容 性 言 語 障 害 と は 、 次 の 点 で 異 な っ て い る 。 性 差(表 出 性 言 語 の 特 別 な 発 達 障 害 で は 男 が 多 い が 、 受 容 性 言 語 障 害 で は 性 差 は み ら れ な い 。 自 閉 症 で は 、 性 差 あ り。)、 予 後 の 悪 さ(Cantwell et al.1987)、 認 知 障 害 の パ タ ー ン(自 閉 症 で は 、 た と え 、 言 語 ハ ン デ ィ キ ャ ッ プ の レベ ル が 受 容 性 言 語 障 害Rutter, M. Schopler , E.;JIe6e凪m{cKa月, K, C.;HHKo恥cKaπ,0. C.
論 文 に み ら れ る 自 閉 症 に 対 す る 障 害 理 解 、 な ら び に 研 究 方 法 の 特 徴 と そ の 比 較 77
と 同 等 に な っ て も、 認 知 障 害 は 広 範 で か つ 、 深 刻 で あ る 。)、 そ して 、 社 会 情 緒 的 行 動 異 常 の 継 続(Cantwell et al.1987)の 点 で 異 な っ て い る 。 自 閉 症 は 、 社 会 的 接 触 に 対 す る 恐 怖 が 原 因 (Tinbergen,1983)、 親 の 拒 否 が 原 因(Bettelheim, 1967)と か で 発 症 す る と い う ふ う に も言 わ れ て き た が 、 信 頼 す べ き資 料 は 、 そ れ ら を 支 持 して い な い 。 も ち ろ ん 、 養 育 上 の 異 常 は 、 重 篤 な 社 会 行 動 問 題 を ひ きお こ す が 、 こ の 場 合 の 社 会 的 行 動 異 常 の 特 徴 は 、 自 閉 症 児 の 問 題 と は 明 ら か に 異 な る5す な わ ち 、 施 設 養 育 児 童 は 、 他 者 に ま とい つ い た り、 誰 に 対 し て も極 端 に馴 れ 馴 れ し い(Rutter,1981)。 被 虐 待 児 は 、 人 へ の ア タ ッ チ メ ン ト に お い て 不 安 定 さ を 示 す(Mrazek , 1985)。 ど ち ら の 特 徴 も 、 自 閉 症 児 で は み ら れ な い 。 自 閉 症 は 、 幼 児 期 の 他 の 情 緒 的 、 行 動 的 障 害 の 経 過 と は 大 部 異 な っ た 様 相 を しめ す 。 自 閉 症 は 、 知 恵 遅 れ と も、 脳 の 器 質 的 障 害 と も 強 く関 係 し て い る と い う 点 に お い て 、 更 に 、 予 後 の 悪 さ 、 症 状 論 的 な 面 で の 継 続 性 と い う 点 に お い て 、 群 を 抜 い て い る(Rutter,1979)。 自 閉 症 は 、 実 際 上 、 確 実 に 他 と は 異 な る 精 神 医 学 上 の 独 立 し た 症 候 群 と 結 論 づ け ら れ る 。 確 証 性 に つ い て の 資 料 は 、 幼 児 期 の 他 の い か な る 精 神 医 学 的 な 症 状 よ り も信 憑 性 が あ る 。
(2)自 閉 症 の 診 断 基 準
自 閉症 の診 断 基 準 につ い て は、 彼 らは 、従 来 か ら の定 義 や診 断(た と えば 、WHO, DSM-m) をふ ま え なが ら も、 若 干 の 修正 を試 み て い る。 自 閉 症 の 診 断 は 、 自 閉 症 概 念 同 様 、 こ れ ま で 多 く の ホ ッ トな 議 論 が な さ れ 、 修 正 が お こ な わ れ て き た 。 自 閉 症 が 幼 児 精 神 病(infantile psy-chosis)と み な さ れ て い た 時 、 研 究 の 関 心 は 、 行 動 異 常 に 向 け ら れ て い た 。 認 知 障 害 の 重 要 性 が 認 識 さ れ だ して か ら は 、 言 語 と社 会 の 発 達 障 害 に 関 心 が 移 っ て き て い る 。 ご く最 近 で は 、 他 の 発 達 障 害 と 自 閉 症 と を 区 別 す る も の は 、遅 れ よ り も、 む し ろ 、 発 達 過 程 上 の 偏 り(deviance) で あ る と 認 識 さ れ る よ う に な っ て き て い る 。 自 閉 症 児 は 、 通 常 、 行 動 異 常 、 発 達 の 遅 れ 、 そ し て 、 発 達 の 偏 り と の 混 合 状 態 を 示 す 。 前2つ の 症 状 は 、 も ち ろ ん 、 自 閉 症 児 に 共 通 し て み ら れ る が 、3つ め の 症 状 は 、 他 の 障 害 と 自 閉 症 と を 最 も は っ き り と 区 別 す る 。 精 神 分 裂 病 児 は 、 行 動 異 常 を 自 閉 症 同 様 示 す が 、 自 閉 症 同 様 の 言 語 、 社 会 的 発 達 の 偏 り は 示 さ な い 。 知 恵 遅 れ に お い て も、 言 語 と 社 会 的 行 動 障 害 が み ら れ る が 、 自 閉 症 で み ら れ る特 別 な 偏 り は 知 恵 遅 れ で は み ら れ な い 。そ う い う わ け で 、ICD-9(World Health Organization,1978), DSM-m(American Psych・ iatric Association,1980)の よ う に 、 殆 ど の 分 類 シ ス テ ム は 、 診 断 基 準 と して4つ の 内 容 を あ げ て い る 。 そ して 、 そ れ ら の 基 準 は ほ ぼ か た ま りつ つ あ る 。 診 断 基 準 の 第1の 柱 は 、 発 症 年 令 に 関 す る も の で あ る 。 普 通 、 障 害 は 生 後30ヶ 月 ま で に み ら れ る と い う こ と が 認 め ら れ つ つ あ る が 、 こ の 規 定 は 、 曖 昧 性 を 含 ん で い る た め に 、 混 乱 を 若 干 ひ き お こ して い る 。 こ こ で い う 曖 昧 性 と は 、30 ヶ月 ま で に は っ き り し た 発 達 上 の 障 害 、 あ る い は 、 歪 み(distortion)が み ら れ る と い う こ と を 意 味 して い る の か で あ る 。 自 閉 症 特 有 の 症 状 は 、 こ ど も の 年 齢 に お い て 明 らか に 変 化 す る(乳 幼 児 期 の 発 達 初 期 に 始 ま る 問 題 は 、 あ る 程 度 時 が た つ ま で 認 識 さ れ な い)の で 、 前 者 の ア プ ロ ー チ が 最 も妥 当 で あ ろ う 。 診 断 に つ い て は 、 症 状 発 現 年 齢 に 関 し て 、2つ の 重 要 な 議 論 が あ る 。 第1の 問 題 は 、 症 状 的 に は 自 閉 症 と は 区 別 で き な い が 、 し か し 、 発 達 過 程 に 関 し て は 、 自 閉 症 と は 異 な る 場 合 で あ る 。 問 題 の ひ とつ は 、30ヶ 月 ま で は 、 明 ら か に 正 常 の 発 達 過 程 を た ど っ た 子 供 の 場 合 で あ る 。 た い て い の 場 合 、 異 常 発 生 に 関 す る 発 達 初 期 の 情 報 は 、 不 充 分 で あ る 。 こ の よ う な 場 合 、30ヶ 月 か ら3才 ま で 時 期 を 繰 り 上 げ れ ば 、 自 閉 症 の 基 本 的 概 念 を 変 更 す る こ と な く 、 問 題 を 避 け る こ とが で き る 。3才 を 過 ぎ た 後 に 、自 閉 症 様 障 害 を もつ 子 供 が み ら れ る が 、 そ う い う ケ ー ス は ま れ で あ り 、 通 常 は 、 後 天 的 な 脳 の 病 気(も し く は 、 後 に な っ て 発 現 して く る遺 伝 学 的 障 害 、 例 え ば 、 大 脳 皮 質 性 代 謝 異 常) に よ る 。 さ し あ た り は 、 少 な く と も、 こ の よ う に 、 後 に な っ て 発 現 す る 障 害 を 「古 典 的 」 な 自 閉 症 と 区 別 し て お い た 方 が よ い と 思 わ れ る 。 第2の 問 題 は 、 明 らか に 正 常 な 発 達 期 間 が あ78
黒 田 吉孝
つた と思 われ る 自閉 症 は、 発達 異 常 が 始 め か ら
み ら れた 自閉 症 と は異 な る の か ど うか で あ る。
基 本 原 則 は、 そ の2つ
は、病 因 的 に は異 な って
い る よ う にみ え るが 、研 究 は 、 こ れ まで 、 な ん
らの 違 い も示 して い な い 。 実際 、 一 卵 性 双 生 子
の あ るペ ア ー は、 自閉 症 と して一 致 す るが 、発
現 年 齢 は明 らか に 食 い 違 う(Folstein&Rutter,
1977)。
この 問 題 は 、今 後 の研 究 課 題 の ひ とつ
で あ る。
診 断 基 準 の 第2の 柱 は 、社 会 的 関係 の 発 達 に
お け る偏 りの様 々 な側 面 に関 す る もの で あ る。
自閉 症 に お け る社 会性 の異 常 に関 す る正確 な描
写 は 、 何 年 もの 間 、2つ の 傾 向 に よ って妨 害 さ
れ た 。 第1は 、何 年 もの間 、 自閉 症 に 頻 繁 に伴
う精神 発達 遅滞 の 問題 を考 慮 しな い傾 向 で あ る。
社 会性 発達 の な ん らか の遅 れ 、 あ る い は 、 障害
は 、 自閉症 とは ま っ た く別 に精神 発達 障害 の結
果 と して も生 じる。 社 会 的 異常 を子 供 の精 神 年
齢 に 関 係ず け 、偏 りと の関 連 で 検討 して い くこ
とは 重 要 で あ る。 こ の点 につ い て は 、 そ の重 要
性 に つ い て 、現 在 、認 め られ る よ うに な っ て き
て い る。 こ の こ とは 、診 断 評 価 が 、注 意 深 い、
シ ス テ ィマ テ ィ ック な認 知 評 価 を含 まな け れ ば
な ら ない こ と を意 味 す る。(Rutter,1984)。
第
2は 、 最近 まで、 社 会 的 行 動 に つ い て の十 分 な
概 念 と用語 が欠 如 して い た 傾 向 で あ る。 したが
っ て 、 自閉 症 の 社 会 性 障害 は 、 「
孤 立 」 とか 、
「ひ きこ も り」 とい っ た曖 昧 な 用 語 で 表 述 され
た り、種 々 の原 因(す なわ ち 、極 度 の 不 安 、 極
度 の ひっ こ み じあ んの 子 供 が 視覚 的接 触 を さ け
る)で 生 じる、 「視 線 が あ わ な い 」 等 の非 特 殊
的 特 徴 で定 義 され て きた 。
正 常 な社 会 性 の発 達 に関 す る知 識 の 増 加 と 自
閉 症 に対 す る理 解 の 向 上 は 、 自閉症 を特 徴 づ け
る特 別 な社 会 性 障 害 を よ り正確 に とら え る こ と
を可 能 に して きて い る。 自閉症 児 の 問 題 は、 相
互 関係 を形 成 す る能 力 の 基 本 的 欠陥 が 反 映 され
て い る と考 え られ る。 自閉症 児 の社 会 的 ・情 緒
的 な手 掛 か りに関 す る不 充 分 な認 知 能 力 に関 す
る証 拠 、他 者 の 情 緒 的 刺 激 に対 す る反 応 欠 如 、
そ し て 、社 会 的 文 脈 に した が って行 動 を調 節 す
る能 力 の欠 如 に関 す る証拠 が あ る。 この よ うな
障 害 は 、次 の よ うな特 徴 に示 され る。(a)視線 を
合 わせ る こ と(eye-to・eye
gaze)、 表 情 表 現 、 態
度(body posture)、 そ して 、社 会 的 相 互 関係 を
調 節 す る 身振 り等 の使 用 の 失 敗(b)安定 を求 め る
対 象 と して 人 を殆 ど選 ばな い(c)他者 との 相 互 関
係 の あ る遊 び を殆 ど 自発 的 に求 め な い(d)他者 の
喜 びや悲 しみ に対 して 慰 み をあ た え た りす る こ
と は殆 どみ られ ない(e)真の 意 味 で の 挨拶 を殆 ど
しな い(ρ興味 、活 動 、 感 情 を相 互 に共 有 す る 友
達 が い な い。 こ れ らの 行 動 は、 子 供 の 精 神年 齢
に ふ さわ しい内 容 との ズ レ、違 い に よ って評 価
され るべ きで あ ろ う。
診 断基 準 の 第3の 内 容 は 、 コ ミュニ ケ ー シ ョ
ンの 障 害 に 関す る。 か つ て 、 こ れ ら は、 言葉 と
言 語 の 障害 に 限定 され る傾 向 が あ った が 、特 徴
・
は 、遅れよ りも偏 り(発 達の遅 れ も通常 み られ
る が)で あ り、障 害 は、 言 葉 を越 え、 コ ミ ュニ
ケ ー シ ョ ンの 多 くの 側 面 に わ た って い る 。実 際 、
厳 密 な言 語 学 的 特 質(文 法 使 用)は 、 影響 を受
け る こ とは非 常 に少 な い 。 む し ろ、 基 本 的障 害
は 、 言語 を社 会 的 コ ミュニ ケ ー シ ョンに 使用 す
る 能 力で あ る。 所 有 して い る言 語 に 比 較 して 、
社 会 的使 用 能 力 の 相 対 的 欠 如 、 コ ミュニ ケ ー シ
ョ ンの共 時 的 、 や りと り的 能力 の 乏 し さ、言 語
表現 の 自 由度 の乏 しさ、思 考過 程 の創 造 性 、想
像 的 能力 の相 対 的 欠 如 、他 者へ の 反 応 の 乏 し さ、
そ して、 抑 揚 、 強 調等 の使 用 の 障害 が み られ る。
こ の よ うな特 徴 は、(a)話し言葉 の発 達 の遅 れ 、
あ る い は、 全 体 的 な 欠 落 で あ り、 こ れ らは、 コ
ミ ュニ ケ ー シ ョン様 式 の選 択 と して の 身振 り使
用 に よ って は 代 替 で きな い(喃 語 に よ る コ ミュ
ニ ケ ー シ ョンの 欠 如 が しば しば 先 行 す る)。(b)
コ ミュ ニ ケ ー シ ョンに お け る他 者へ の反 応 の欠
落(幼 少 時 、 名 前 に 反応 しな い 等)(c)コ ミュ ニ
ケ ー シ ョンの 流 れ にお け る や り と りを継 続 した
り、 自発 的 に や りと り を行 な っ て い く能力 の 相
対 的 欠如(d)言語 の ス テ レオ タイ プ的 、繰 り返 し
的使 用(e)私の 代 わ りに あ な た を 使用 す る代 名 詞
使 用 の障 害(f)語の 独特 の使 用(9)ピ ッチ 、 ス トレ
ス 、早 さ、 リズ ム 、 イ ン トネ ー シ ョ ンの使 用 の
異 常 と して み られ る。 自閉 症児 の 言 語使 用 に お
け る創 造 性 、 自発 性 の 欠落 は 、 前言 語段 階で も
同様 にみ られ る。 した が っ て 、 種 々 の 自 発的 な
「つ も り遊 び 」 の 欠 落 は 、 自閉 症児 の特 徴 を最
も よ く表 わ して い る。
こ の よ うな 特徴 は 、 言葉 に 限 定 され る 問題 で
Rutter, M. Schopler, E.;JIe6e耶HcKaπ, K. C.;HuKo恥cKa∬,0。 C. 論 文 に み ら れ る 自 閉 症 に 対 す る 障 害 理 解 、 な ら び に 研 究 方 法 の 特 徴 と そ の 比 較 79 は な く、 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン プ ロ セ ス 全 体 に 関 す る 障 害 で あ り、 子 供 が 言 葉 を 獲 得 す る 以 前 か ら 、 そ し て 、 言 語 能 力 が 正 常 レベ ル に 達 して か ら も み ら れ る 。 正 常 な 乳 児 が コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン に お い て 行 な う 諸 活 動 、 諸 特 徴 は 自 閉 症 乳 児 に は み ら れ な い 。 ま た 、 自 閉 症 成 人 に お い て も、 言 葉 が 流 暢 に 話 せ る よ う に な っ て も、 話 者 と 聞 き手 の 交 替 の 流 れ に お け る 障 害 、 言 葉 の 堅 ぐ る し さ 、 言 葉 に よ る 情 緒 的 表 現 の 欠 落 、 そ して 、 イ メ ー ジ の 欠 落 が み ら れ る 。 診 断 基 準 の 第4の 内 容 は 、 興 味 限 局 、 常 同 行 動 、 ス テ レ オ タ イ プ 的 行 動 等 の 行 動 障 害 に 関 す る 。 日 び の 生 活 の 広 範 囲 に わ た る 強 迫 的 な こ だ わ り 、 儀 式 化 傾 向 の 意 味 は 、 不 明 瞭 で あ る 。 し か し な が ら 、 こ の 種 の 問 題 は 、 新 し い 活 動 場 面 に 多 くみ ら れ 、 慣 れ た 場 面 、 パ タ ー ン化 され た 活 動 で は み れ な い(Frith,1971)。 一 部 、 ス テ レ オ タ イ プ化 さ れ た 行 動 は 、 自 閉 症 と関 係 し た 創 造 性 の 欠 落 を反 映 して い る だ ろ うが 、 殆 ど 知 能 に 問 題 を も っ て い な い 自 閉 症 児 に お い て もみ ら れ る こ と を 考 慮 に い れ れ ば も っ と 広 範 な 点 か ら と ら え る 必 要 が あ ろ う 。 ス テ レ オ タ イ プ 的 行 動 は 、.(a)興味 が ス テ レ オ タ イ プ され 、 か つ 、 制 限 さ れ 、 こ れ らの 意 味 で パ タ ー ン化 し、 そ れ に 夢 中 に な っ て と り こ ま れ て い る こ と 、(b)変 わ っ た 物 に と りつ か れ る こ と 、(c)強 迫 化 さ れ た 儀 式 、 (d>常 同 行 動 ・運 動{(e)物 の 一 部 、 玩 具 の 一 部 に と りつ か れ る こ と 、(f環 境 の ご くわ ず か な 変 化 に 対 す る 抵 抗 、 不 安 等 で あ る 。
(3)自 閉 症 に お け る基 本 的 欠陥 ・障 害 の 性 質
自閉症 にみ ら れ る症 状 の 背 景 に は どの よ うな問 題 が存 在 して い るの で あ ろ うか。 彼 らは 、症 候 群 と して の 自閉 症 把 握 か ら始 ま り、 多軸 的 な観 点 か ら こ の問 題 を論 じて い る。 自 閉 症 は 、 ど の よ う な 障 害 を 基 本 に し て い る の で あ ろ うか 。 自 閉 症 は 、 脳 性 麻 痺 や 知 恵 遅 れ と 同 様 に 、 症 候 群 と して の 障 害 で あ る 。 重 い 知 恵 遅 れ を 伴 う 子 供 の 多 くは 、 幾 分 、 自 閉 症 的 特 徴 を示 し 、 ま た 、 自 閉 症 の 症 状 は 、 多 様 で あ り、 か つ 、 自 閉 症 は 、 医 学 的 条 件 の 多 様 性 と も関 連 し て い る 。(Wing, Gould;1979)。 も ち ろ ん 、 広範 な脳 器 質障 害 を ひ きお こす 医 学 的 条 件 は 、 自
閉症 の病 理 学 上 の 原 因 に な りう る。 しか し なが
ら、 それ(広 範 な 脳 器 質障 害)は 、 い くつ か の
理 由 で満 足 す べ き、 全体 的答 え に はな らな い よ
うに思 わ れ る。
第1に 、
通 常 、
知 恵 遅 れ を ひ きお こす 医学 的 条
件 と 自閉 症 を ひ きお こす 医 学 的 条 件 の 問 に は 顕
著 な違 い が み られ るか らで あ る(Rutter,1979)。
例 え ば、 自閉 症 は ダウ ン症 、 あ る い は 、脳 性麻
痺 を もつ 子 供 に は 殆 どみ られ な い 。逆 に、 幼 児
性 て ん か ん 、 ふ う しん を もつ 子 供 の場 合 、 しば
しば み られ る 。 自閉症 を ひ ぎお こす病 理 的 プ ロ
セ ス につ い て 、何 か特 別 な もの が あ る に ち が い
ない が 、 そ れ が何 か は不 明 で あ る 。
第2は 、 殆 どの 自閉症 児 は、脳 の な ん らか の
大 き な構 造 学 的異 常 を示 さ ない か らで あ る(も
ちろ ん 、 これ まで の技 術 に よる 資料 に も とず い
て の こ とで あ るが)。CTス
キ ャ ン等 に よ る診
断 は なん の 異常 も明 ら か に して い な い し、 代 謝
系 パ ター ンの 診 断 的弁 別 性 も報 告 され て い な い 。
神 経 病 理 学 的研 究 は殆 どない とい っ て よ い状 態
で あ るが 、生 育上 の変 化 は きわ め て わ ず か か 、
は っ き り した 異常 は認 め られ な い 。 更 に 、 自閉
症 児 は、 分 娩 時 の 問題 は若 干 、 増 大 して い る が 、
脳 損 傷 と通常 関係 す る重 篤 な合 併 症(出 生 時 の
極 端 な体 重低 下 、極 端 な未 熟 等)は 主 た る 問 題
にな って い な い 。
第3は 、 これ まで 、 自閉 症 中 、 同 定 され た 医
学 的 原 因 は、 自閉症 の 中で ご くわ ず か な比 率 に
しか す ぎ ない とい うこ とで あ る。 この こ とに対
す る例 外(医 学 的 条件 と して 可 能 性 の あ る)は 、
X染 色 対 の脆 弱性 で あ り、 自閉 症 児 中 、5-17
%が そ れ に よ っ て ひ きお こ され る と考 え る者
(Blomquist
et
al.,1984)も い るが 、 自 閉症 の ケ
ース で は この よ うな例 は殆 どみ られ な い こ と を
報 告 して い る研 究 もみ られ る。 、
次 の こ と を認 め るべ きで あ ろ う。 自閉 症 児 は
器 質 的 問 題 を もっ て い る と い う確 実 な証拠 は あ
るが 、 自閉症 児 の 殆 どは、 非 特 異 的 な器 質 性脳
症 候 群(the nonspecific
organic
brain basis)に
は含 まれ るわ けで は な い。 す な わ ち、:重篤 な 知
恵 遅 れ や 脳性 麻痺 と異 な り、 自閉 症 は、脳 構 造
の 発 生 上 の粗 大 な異 常 とは通 常 関 係 しな い 。 更
に、 全 般 的 な 脳損 傷が 自閉症 を ひ きお こす こ と
80
黒田 吉孝
は ま れ で あ る 。 自 閉 症 の 器 質 的 問 題 は 、 大 変 微 妙 で 、 発 見 す る こ と は非 常 に 困 難 な 、 しか も、 多 様 性 を もつ 障 害 で あ る に ち が い な い 。 た い て い の 自 閉 症 児 は 、 身 体 的 に は 正 常 で あ り 、 脳 構 造 上 の 明 ら か な 病 理 は 示 さ な い し、 脳 損 傷 を ひ き お こ す よ う な 危 険 な 経 験 も して い な い 。 知 的 遅 れ の な い 自 閉 症 に つ い て は こ の こ と に 特 に 言 え る 。 自 閉 症 の な ん ら か の 単 一 基 本 障 害(神 経 心 理 学 的 、 神 経 生 理 学 的 、 神 経 病 理 学 的 用 語 で 表 現 さ れ る)に つ い て は 、 確 か に 、 分 か っ て な い が 、 可 能 性 と して は 考 え ら れ る 。 そ れ 故 、 研 究 は 、 そ の 可 能 性 に 向 け 続 け ら れ て い る 。 こ の 方 向 で の 研 究 は 蓄 積 さ れ て き て い る 。 す な わ ち 、 自 閉 症 児 の 殆 ど は 、 基 本 的 な 認 知 障 害 が あ り、 言 語 、 系 列 的 、 抽 象 的 、 そ し て 、 コ ー ド化 機 能 に 障 害 を も っ て い る(Dawson,1983; Rutter,1983)。 更 に 、 自 閉 症 は 知 覚 弁 別 、 視 空 間 認 知 、 あ る い は 、 自 己 認 知(self-recognition) の 障 害 と は 特 別 に 関 係 して い な い こ と も報 告 さ れ て き て い る(Ferrari, Matthews,1983;Spiker, Ricks,1984)。 こ の よ う な 発 見 は 研 究 を 大 変 発 展 さ せ た 。1この よ う な 発 見 は 、 自 閉 症 に よ く み ら れ る(た と え 本 質 的 な もの で な く と も)基 本 的 で 重 要 な 認 知 欠 陥 を 示 して い る と い う点 だ け で は な く、 ど の よ う な 認 知 欠 陥 が 自 閉 症 と特 別 に 関 係 し て い る か とい う こ と を 今 後 明 ら か に し て い くた め に も重 要 で あ る 。 しか し な が ら 、 多 く の こ とが 明 ら か に さ れ て い な い と い う こ と も事 実 で あ る 。 特 に 、 こ の よ う な 認 知 上 の 欠 陥 が ど の よ う に して 社 会 的 機 能 の 障 害 を ひ き お こ す の か 、 更 に 、 両 者 は 関 係 あ る の か 。 最 近 、 実 験 的 ア プ ロ ー チ は 、 社 会 化 に 関 係 す る 心 理 プ ロ セ ス の う ち 、・ど れ が 障 害 を受 け る の か 、 そ の こ と を 明 ら か に し ょ う と し て い る 。 こ れ ま で 、 可 能 性 を 検 討 す る 、3つ の 主 張 が 、 しか も、 研 究 を リ ー ドす る 主 張 が だ さ れ て きて い る 。 す な わ ち 、(a)情 緒 弁 別 の た め の 手 掛 か り、(b)年 齢 と性 の 弁 別 、(c地 者 が 何 を 考 え て い る か 、 そ の 評 価 能 力 の 研 究 の 必 要 性 で あ る 。 Hobson(1983,1985)は 、 知 恵 遅 れ と も比 較 し て 、 自 閉 症 児 は 、 情 緒 的 手 掛 か りの 分 化 、 年 齢 と性 の 弁 別 に 大 変 劣 る こ と を しめ した 。Hobson (1985)は 、 情 緒 的 手 掛 か り の 分 化 の 欠 落 は 、 感 情 移 入 障 害 の 反 映 で あ る こ と を し め した 。 自閉 症児 の 、大 人 や子 供 、 男 性 と女 性 の 乏 しい分
化 能 力 に は どん な問 題 が ふ くまれ て い る の か 、
不 明 で あ る 。 そ の よ うな分 化 の 欠 落 が 自閉症 児
の 重 要 問 題 な の か 、 自閉 症 児 は年 齢 と性 に 関係
した行 動 上 の違 い を弁 別 す る こ とが で きな い の
か 、 情 緒 的 手掛 か りの分 化 の 失 敗 の もとに あ る
問題 とこ れ らは同 じ問 題 な の か 、検 討 をお こな
う必 要 が あ る。
第3の 主 張 は、Baron-Cohen, et
al(1985)の
実 験 か ら導 きだ され た もの で あ る 。 こ の実 験 で
は 、人 形 遊 びが 導 入 され て い る 。 実験 者 に よ っ
て 人形 が 部 屋 の 外 にい る 時 に物 が 部屋 に持 ち込
まれ る。 実 験 は、 人 形 が 一番 最 後 に見 た場 所 で
物 を捜 す か 、 そ れ と も、 今 あ る場 所 を捜 す か
(子 供 は今 あ る場 所 を し って い るが 、 人形 は知
らな い)、 子 供 に 尋 ね る。 自 閉 症 児 は 、 コ ン ト
ロ ー ル群 と異 な り、 今 あ る場 所 を捜す とい う報
告 を行 な う傾 向 にあ る。 実験 結 果 の解 釈 は、 自
閉症 児 は 、他 者 の 思 考 内 容 を評 価 す る こ とが で
きな い か ら と して い る。 しか し、 ここ で もまた 、
こ の 障害 は 、上 記 の 情 緒 的 、性 の 手掛 か り能 力
の 障害 と ど うか か わ るか 、 問 題 が 残 る 。
こ れ らの研 究 は、 自閉 症 児 個 々 の社 会情 緒 的
能 力 障害 を明 らか にす る点 に お い て は 、重 要 で
あ るが 、問 題 に され た 能 力 の 基 礎 に どの よ うな
神 経 心 理 学 的 障 害 が あ るか 明 らか に され て い な
い 。言 語 や抽 象 的 意 味 の 自閉 症 児 の重 大 な認 知
障 害 とい う点 か らす れ ば 、社 会 情 緒 的 障害 は、
認 知 問題 の一 部 で あ る よ うに 思 わ れ る。 しか し、
こ の場 合 、 どの よ う に、 どん な ふ うに 、 関連 し
て い る か 、 まだ不 明 で あ る。
他 の 問題 は、 自閉 症 児 の 上 記 の 障 害 は 、 自閉
症 に の み み られ るか とい う問 題 で あ る。表 現 を
変 え れ ば 、 そ れ らは、 も し、 み られ な け れ ば、
自閉症 の診 断 が お こ な え ない ほ ど基 本 的 問 題 な
の か 、 あ る い は 、 それ らの 存 在 の 有 無 は 、 自閉
症 の サ ブ カ テ ゴ リ ィ分 類 に と って 意 味 が あ る の
か 、 これ らにつ いて 明 快 な結 論 を だす こ とは 困
難 で あ る。精 神 年 齢 をそ ろ えて の 自閉 症 と知恵
遅 れ の 比 較 は重 要 で あ ろ う。 現 在 の所 、 知 的 に
高 い 自閉症 に お け るハ ンデ ィ キ ャ ップの パ ター
ン は どの 程度 問題 にす べ きか ま だ確 か で はな い。
更 に、 別 な 問題 は 、 自 閉症 の こ の よ う な障 害 の
特 殊性 に 関 して で あ る。 これ まで 、 自閉 症 と知
Rutter, M. Schopler, E.;Jlc6cπH}lcKaπ, K. C.;HHKoJlbcKa∬,0. C. 論 文 に み ら れ る 自 閉 症 に 対 す る 障 害 理 解 、 な ら び に 研 究 方 法 の 特 徴 と そ の 比 較 81 恵 遅 れ の 直 接 的 な 比 較 研 究 が お こ な わ れ て き て い る が 、 こ の よ う な 障 害 は 、 自 閉 症 と分 裂 病 、 他 の 社 会 的 障 害 を もつ 精 神 病 と の 間 に は 違 い が み ら れ る の で あ ろ う か 。 こ の 問 題 設 定 は 、 重 要 で あ る 。 な ぜ な ら 、 認 知 等 に 関 す る こg)よ う な 障 害 は 、 重 篤 な社 会 能 力 障 害 を もつ ど の よ う な タ イ プ の 障 害 に も 付 随 す る 問 題 で あ り、 ま た 、 分 裂 病 で も幾 分 こ う し た 障 害 が 報 告(Walker, et al,1984, Novic et al,1984)さ れ て い る か ら で あ る 。 今 後 、 こ の よ う な 観 点 か ら の 比 較 研 究 も 必 要 で あ ろ う 。 自 閉 症 に お け る 基 本 的 障 害 を 同 定 す る 方 法 と して は 、従 来 、心 理 学 的 な テ ク ニ ッ ク よ り も神 経 生 理 学 的 テ ク ニ ッ ク の 使 用 が 主 で あ っ た 。EE G,誘 発 電 位 、自律 反 射 や 血 管 反 応(Ornitz,1978; Jameset al,1980)等 の 研 究 が あ る 。 結 果 は 、 矛 盾 し て お り 、 結 論 を だ せ な い で き て い る 。 コ ン トロ ー ル 群 も不 適 切 で あ っ た り し た 。 しか しな が ら 、 さ ま ざ ま な 異 常 が 報 告 さ れ て き て い る 。 σameset a1,1980;Rutter,1985a.)。 自 閉 症 に 関 し て は そ の 多 く は 、脳 幹 へ の 伝 達 時 間 の 増 加
(Rosenblum et al.,1980;Skoff, et al.,1980;Fein et al、,1981)、 情 報 蓄 積 の 欠 陥(Novick, et al., 1979)、 半 球 優 位 の 発 達 上 の 障 害(James, et al., 1983)等 が あ る 。 注 意 過 程 の 研 究 と 同 時 に 、 こ れ ら の 研 究 は 、 生 産 的 な 結 果 を う む で あ ろ う 。 しか し な が ら 、 こ れ ま で は 、 自 閉 症 の 神 経 生 理 学 的 問 題 の 意 味 は 、 不 明 瞭 で あ り、 心 理 学 的 な 障 害 と 関 係 づ け よ う と す れ ば 、 神 経 生 理 学 的 問 題 は 全 くは っ き り し て い な い と い う こ と を考 慮 して お く必 要 が あ ろ う 。
(4)自
閉 症 と そ の周 辺障 害
臨床 にか かわ る者 に と って は、 自閉 症 と こ の障 害 に 関連 す る障 害 の鑑 別 に困 惑 す る こ とが 多 い。 彼 らは、 この 問 題 を 自閉 症 とそ の周 辺 障害 とい う節 を設 け て検 討 を お こ な って い る。診 断 につ い て 考 え る時 、 自閉症 の周 辺 障 害 に
関 して 、 議 論 す べ き次 の5つ の 問題 が あ る。 す
なわ ち、(1)重篤 な 知 恵 遅 れ を もつ 子 供 にみ られ
る 自閉 症 様 症 候 群 につ い て 、② 粗 大 な発 達 の遅
れ 、 す なわ ち 、 全 体 的 に特 定 の遅 れが な い正 常
な知 能 の者 の 自閉 的 障 害 につ い て、(3)正常 な発
達 過 程 の後 に発 生 す る 自閉 的障 害 につ い て 、(4)
児童 期 初 期 、 中期 に生 じる 重 い行 動 異常 で 特 徴
づ け られ る重 篤 な障 害 、(5厘 篤 な受 容 性 言 語 の
発 達 障 害 と自 閉症 とが 重 複 す る障 害 につ い て 、
で あ る 。
「
真 」 の 自閉 症 と、 行動 上 の い くつ か の 特 徴
を共 有 しなが ら も、診 断 的基 準 を満 た して い な
い他 の障 害 とを線 引 きす る 明快 な分 離 点 を直 ち
に用 意 す る こ と は困 難 で あ る。 もち ろ ん 、 現 実
的 に は 、障 害 の 弁 別 は 、 自閉症 に固 有 な い くつ
か の特 徴 を指 標 に し、 そ の こ と に も とず い て の
み可 能 に な りう る。 そ の よ うな特 徴 は、 既 に 同
定 され て 悟 るが 、 この よ うな行 動 上 の 多 くの 障
害 は、 カテ ゴ ラ イズ され た 用語 よ りも、 行 動 上
の い くつ か の次 元 で 最 も良 く概 念 化 され う る。
今 の所 、 障 害 弁 別 に と って の確 実 性 、 あ る い は、
不 確 実 性 を明 らか にす る 最 も有 効 な ア プ ロ ー チ
は 、精 神 年 齢 を コ ン トロ ー ル しなが ら、 自 閉症
とそ うで な い子 供 を最 も良 く弁 別 す るた め に 明
らか に され て きた 特徴 に依 拠 しな けれ ば な らな
い。 こ の よ う な特 徴 は、(a)社会 情 緒 的 手 掛 か り
の 認 知 異常(Hobsonの
実 験)、(b)抽 象 的 意 味 を
認 知 す る 障 害(Hermlin,0℃onnorの
研 究)、(c)
特 定 の医 学 上 の 症 候 群 との 明確 な結 びつ き(先
天 性 のふ う しん とそ の 発 生 が 強 く関 係 して い る
が 、 ダ ウ ン症 と は関 係 が 弱 い)、(d)て ん か ん発
作 との 関 係 、 す なわ ち 、 児 童期 初 期 よ り も青 年
期 に よ く発 生 す る、(e)一卵 性双 生 児 の一 致 率 、
そ して 、(f)言語 、 言 語 に 関 す る認 知 障 害 に対 す
る家 族 性 負 因等 で あ る。 この よ うな 「テ ス ト」
は 、組 織 的 に は まだ 上 述 した 自閉症 周 辺 障 害 に
試 み られて い ない 。
自 閉症 の 弁 別 は、 大 変 重 篤 な 遅 れ(MA2才
以 下 の子 供 連)を
もつ 子 供 との 関係 で は大 きな
課 題 を もって い る。Wing, Gould(1979,1981》
は 、重 度 の 知 恵 遅 れ(IQ50以
下)を
もつ 子 供
の約 半 数 は 、社 会 的 障 害 、 言 語 障害 、常 同行 動
の 自 閉的 特 徴 の3つ
を示 す こ と を報 告 して い る。
こ の3つ の 組 み 合 わ せ ば、 前 述 した よ うに 、 自
閉症 の ため の 診 断 基 準 に匹 敵 す る こ とは 明 らか
で あ る。 前 述 した 自閉 症 の 診 断 的特 徴 との違 い
は 、偏 り とい う特 定 の 問 題 よ りも、 障 害 が 強 調
され て い る所 にあ る。 この 違 い の結 果 は 、IQ
82
黒田 吉孝
20以 下 の 子 供 に お い て 最 も は っ き り して お り、 こ の よ う な 子 供 の82%は 、3つ の 特 徴 を しめ す が 、 典 型 的 な 自 閉 症 を し め す の は2%だ け で あ る 。IQ35-49で は 、40%の 子 供 が3つ の 特 徴 を しめ し、14%の 子 供 が 自 閉 症 を しめ す 。3つ の 特 徴 を も つ 子 供 は 、 自 閉 症 と 類 似 した 医 学 的 条 件 を も っ て い る(幼 児 性 て ん か ん を も つ 者 に 3つ の 特 性 が 多 く 、 ダ ウ ン 症 で は少 な い)。 第2の 自 閉 症 と正 常 知 能 を も つ 自 閉 症 様 障 害 と の 弁 別 に 関 す る 問 題 に は 、Asperger症 候 群 (Wing,1981)や 児 童 期 の 精 神 分 裂 病 的(schizoid disorders)と し て 分 類 さ れ た 障 害(Chick, et al.1979,Wolff, et al.1979,Wolff, et al.1980)が 含 ま れ る 。Asperger症 候 群 は 、 感 情 移 入 の 欠 如 、 コ ミ ュニ ケ ー シ ョ ン ス タ イ ル の 偏 り、 限 局 化 さ れ た 知 的 関 心 、 そ して 、 し ば し ば 、 物 に 対 す る 異 常 な こ だ わ りが 診 断 項 目 と して 要 求 さ れ る 。 こ れ らの 特 徴 は 、 す べ て 、 そ の 状 態 像 は 、 知 的 な 遅 れ の な い 軽 度 自 閉 症(認 識 、 感 情 表 出 の 面 に お い て も)を 表 現 して い る よ う に 思 わ れ る(Scott,1985)。 しか し な が ら 、 こ の 臨 床 像 は 、 時 折 、 自 閉 症 で 通 常 み ら れ る 言 語 の 遅 れ や 障 害 が み ら れ な く と も 、 発 生 す る よ う に 思 わ れ る 。 言 語 障 害 は 、 自 閉 症 に お い て 通 常 み ら れ る け れ ど も 、 も しか し た ら、 言 語 障 害 は 、 必 要 条 件 を 構 成 し な い か も し れ な い と い う 、 興 味 あ る 可 能 性 を ひ き お こ す(Rutter, et al.1983)。 こ の 問 題 は 、 今 後 の 研 究 が 必 要 と さ れ る 。分 裂 病 的 障 害 の 診 断 は 、 他 の 者 に よ っ て は 、Asperger症 候 群 と し て 診 断 さ れ う る ケ ー ス も 明 ら か に 含 ま れ て い る 。 こ の よ うな ケ ー ス が 自 閉 症 の サ ブ グ ル ー プ に 属 す る か 、 全 く別 な 障 害 な の か 、 分 か っ て い な い 。 体 系 的 な 研 究 が 必 要 と さ れ る 。 第3の 問 題 は 、3-4年 明 ら か に 正 常 発 達 の 後 、 重 篤 な 退 行 を 示 し た り、 行 動 崩 壊 を 示 す ケ ー ス の 問 題 で あ る。お お ま か に 言 え ば 、Heller(1 930/1969》 の 幼 児 性 痴 呆(dementia infantilis) で 説 明 さ れ て き た もの で あ り 、 現 在 で は 、 「精 神 崩 壊 障 害(disintegrative psychosis)」(Rutter, 1985a)と 呼 ば れ て い る 症 候 群 で あ る 。 し ば し ば 、 病 気 か ど う か 曖 昧 な 前 兆 期 が あ り、 そ の 間 、 あ る い は 、 そ の 後 、 落 ち 着 きが な くな っ た り 、 過 敏 に な っ た り、 不 安 に な っ た り、 多 動 に な っ て し ま う 。 数 ヶ 月 後 、 痩 せ 衰 え 、 言 葉 や 言 語 を 失 っ て し ま う。 言 語 理 解 は 悪 化 し 、 知 能 は しば し ば 減 退 す るが 、 顔 貌 は 知 的 な ま まで い る 。 社 会 的 ス キ ル 、 人 と の 関 係 障 害 、 対 象 に 対 す る 興 味 の 全 体 的 喪 失 、 そ し て 、 ス テ レ オ タ イ プ 化 さ れ 、 儀 式 化 さ れ た 行 為 の 増 長(Rutter,1985a) が み ら れ る 。 明 ら か に 、 自 閉 症 の 症 候 と実 質 的 に 重 な る と こ ろ が あ り、 ケ ー ス に よ っ て は 自 閉 症 の 非 定 型 の 形 態 を呈 し て い る よ う に 思 わ れ る 。 しか し な が ら 、 正 常 な 発 達 過 程 が 何 年 か 続 い た 後 の 、 認 知 ス キ ル の 進 行 的 喪 失 、 か つ 、 そ れ も重 篤 な 喪 失(し ば し ば 、 腸 と膀 胱 コ ン ト ロ ー ル の 喪 失 も み ら れ る)は 、 自 閉 症 で は 、 た と え 、 発 達 初 期 に 正 常 な 過 程 が み ら れ た と して も 、 こ の よ う な 状 態 は 普 通 み ら れ な い 。 「精 神 崩 壊 障 害 」 に お け る3才 ま で 正 常 で あ っ た と い う こ と に よ っ て 示 さ れ る 明 ら か に 良 好 な 潜 在 的 認 知 能 力 は 、 誤 解 を ま ね き や す い 。 殆 ど の ケ ー ス に お い て 、 発 達 は 不 良 で あ り 、 言 葉 が な か っ た り、 重 い 知 的 ハ ン デ ィ キ ャ ッ プ を も っ て い る 。 こ の よ う な ケ ー ス で は 、進 行 性 の神 経 学 的 障 害(先 天 性 、 あ る い は 、 後 天 性 の 障 害 で 、 例 え ば 、 代 謝 系 障 害 、 脳 障 害 、Corbett, et al.,1977. Mala-mud,1959) と 関 係 し て い る こ とが 頻 繁 に み ら れ る 。 女 性 の 場 合 、Rett症 候 群(表 情 喪 失 、 人 と の 接 触 能 力 喪 失 、 ス テ レ オ タ イ プ 化 さ れ た 強 い こ だ わ り の 行 動 の 出 現 、 運 動 失 調 、 目 的 的 手 操 作 の 喪 失 と 結 び つ い た 進 行 性 の 痴 呆 障 害)と の 弁 別 も必 要 に な っ て く る 。 こ の 障 害 は 、 発 達 初 期 で は 自 閉 症 と 間 違 わ れ る こ と が あ る(Hag-berg, et al., 1983)。 し か し な が ら 、 ケ ー ス に よ っ て は 、 原 因 が 不 明 で あ る こ と も事 実 で あ り 、 脳 の 病 気 、 損 傷 等 の は っ き り し た 証 拠 は 全 くみ ら れ な い 場 合 もあ る 。 こ の よ う な ケ ー ス は 、 退 行 が 大 体2: 6-3:0頃 発 生 し 、 そ の 後 、 こ の 障 害 よ り も 若 干 早 い 年 齢 の 自 閉 症 ケ ー ス と 同 様 の パ タ ー ン を しめ す が 、 お そ ら く、 こ れ ら は 特 別 な ケ ー ス で あ ろ う(Evan-Jones et al.,1978)。 時 折 、 状 態 の 悪 化 は 、 病 院 入 院 等 の で き ご と の 後 起 こ る場 合 も あ る が 、 こ の よ う な で き ご と は 、 た い て い は 就 学 前 に お こ る 。 しか し、 そ れ らが 病 因 学 的 に 本 質 的 な も の か ど う か は 疑 問 で あ る 。 発 達 の 後 に な っ て 発 生 す る 「精 神 崩 壊 障 害 」 は 、 自 閉 症 に 比 べ て も非 常 に 少 な く、 そ の 特 質 も殆 ど 知
Rutter, M. Schopler, E.;Jle6e几HHcKa兄, K. C.;HHKoπbcKa兄,0. C. 論 文 に み ら れ る 自 閉 症 に 対 す る 障 害 理 解 、 な ら び に 研 究 方 法 の 特 徴 と そ の 比 較 83 ら れ て い な い 。 し か し な が ら 、 こ の 障 害 の 存 在 の 重 要 性 と そ の 意 味 、 そ し て 、 こ れ よ り も も っ と 初 期 に 発 生 す る 自 閉 症 と ど こ ま で 重 複 し て い る の か 、 わ れ わ れ は 、 殆 ど 知 識 を も っ て い な い 。 第4の 診 断 に 関 す る 問 題 は 、 児 童 期 初 期 、 も し くは 、 中 期 に 生 じ る 障 害 と 関 係 す る 。 こ の 障 害 は 、 言 語 と 思 考 過 程 の 異 常 を 伴 う 全 体 的 な行 動 障 害 で あ る 。 こ の 状 態 像 の い くつ か の 特 徴 は 、 特 に 早 期 に 発 す る 分 裂 病(6才 頃 に 発 生 し、 青 年 期 へ 発 展 し て い く)と 関 係 し て い る こ と は 疑 え な い 事 実 で あ る(Eggers,1978;Greenet a1., 1984;Kolvin,1971;Kydd et al.,1982)。 こ の よ う な 子 供 は 、 成 人 期 に 生 じ る 分 裂 病 と 類 似 す る 多 くの 特 徴 を し め し、 病 気 の 進 行 、 家 系 上 の 問 題 も成 人 分 裂 病 と似 て い る 。 しか し な が ら 、 自 閉 症 と の 問 題 で は 、3つ の 検 討 す べ き大 き な 問 題 が あ る 。
1つ 目 は 、Cantor et al.(1982)の 見 解 で 、 分 裂 病 は 幼 児 期 に 発 生 し う る と い う 問 題 で あ る 。 こ の 場 合 、 自 閉 症 と は 次 の 点 で 異 な る 。(a)比 較 的 良 好 な 社 会 関 係 が み られ る こ と 、(b)思 考 障 害 が み られ る こ と 、(c)幻 覚 、 幻 聴 が 時 折 み ら れ る こ と 、(d)顕 著 なhypotonicityが み ら れ る こ と 、 (e)分 裂 病 の 家 族 性 負 因 が し ば しば み ら れ る こ と、 で あ る 。 明 ら か に 、 乳 児 、 幼 少 児 に 思 考 障 害 や 幻 覚 を 認 め る こ と は 無 理 な こ と で あ り、 乳 児 期 か ら 早 期 分 裂 症 が 存 在 す る こ と の 確 証 は ま だ え ら れ て い な い 。 し か し な が ら 、 発 達 途 上 で 発 現 す る 自 閉 症 で は な い 重 篤 な 障 害 が 存 在 す る こ と は 認 め ら'れる で あ ろ う。 2つ 目 は 、 児 童 期 中 期 に 生 じ る 重 い 障 害 が あ り、 そ れ は 、 現 実 認 識 の 喪 失 、 行 動 と 思 考 の 深 刻 な 歪 み を特 徴 と す る が 、 こ の 障 害 は 、 分 裂 病 と して の 特 別 な 特 徴 を も っ て い な い 。 今 の 所 、 こ の 障 害 は 、 重 篤 な 精 神 病 と して の 障 害 を 意 味 す る 証 拠 は な い 。 こ の 障 害 は 、 ヘ テ ロ な 集 団 を 構 成 して い る よ う に 思 わ れ る 。 多 くの 場 合 、 診 断 に つ い て の 曖 昧 性 は 、 自 閉 症 よ り も む しろ 、 分 裂 病 と の 関 係 に つ い て で あ る 。 しか し 、 時 に よ っ て は 、 幾 分 、 自 閉 症 に 近 い 状 態 もみ ら れ る 。 3つ 目 は 、 自 閉 症 と 診 断 さ れ 、 後 に 分 裂 病 の 症 状 を は っ き り と 示 す よ う に な っ た 幼 児 の ケ ー ス レ ポ ー トで あ る(Petty, et al.1984;Howells et al.1984)。 自 閉 症 か ら分 裂 病 へ の 変 化 と い う 考 え は 、 自 閉 症 、 分 裂 病 の 概 念 を 広 く と ら え て い る こ と の 反 映 で も あ り 、 年 長 自 閉 症 に 通 常 み ら れ る奇 異 な 思 考 に 対 す る 解 釈 の 違 い を 反 映 して い る よ う に 思 わ れ る 。 あ る い は 、 こ う し た 希 な ケ ー ス は 、 別 な カ テ ゴ リ ィ を 必 要 とす る 小 さ な サ ブ グ ル ー プ を代 表 し て い る の か も し れ な い 。 こ れ ま で の 所 、 ど ち ら を 選 ぶ べ き か 、 そ の 資 料 は 不 足 し て い る 。 第4の 問 題 は 、 重 篤 な 発 達 性 受 容 性 言 語 障 害 と 自 閉 症 に 関 す る も の で あ る 。Bartak et al. (1975》 に よ る 自 閉 症 と 失 語 症 児 と の 組 織 だ っ た 比 較 研 究 は 、 特 殊 な 発 達 性 受 容 言 語 障 害 児 は 、 言 語 、 認 知 、 そ して 、 行 動 上 の 特 徴 に お い て 自 閉 症 児 と は 非 常 に 異 な る こ と を し め して い る 。 他 方 、 こ の 研 究 は 、2つ の 障 害 の 特 徴 が 混 合 し て い る グ ル ー プ(数 は 少 な い が)が み ら れ る こ と を示 して い る 。そ の 後 のCantwell et al.(1987) に よ る 追 跡 研 究 は 、 失 語 症 児 の う ち 、 一 部 、 年 長 に な る に した が っ て 、 行 動 障 害 が 重 篤 に な り 、 社 会 的 関 係 の 障 害 を示 す よ う に な っ て く る こ と を 示 し て い る(こ の 場 合 、 自 閉 症 と 失 語 症 の 区 別 は は っ き り して い る が)。Paul et al.(1983) は 、 重 篤 な 発 達 性 言 語 障 害 を もつ 児 童28例 の 追 跡 研 究 を お こ な い 、 多 く が 自 閉 的 特 徴 を 示 す よ う に な る こ と を 示 して い る 。 しか し な が ら 、 社 会 性 の 発 達 は 、 言 語 理 解 の 欠 陥 の 重 篤 度 と 自 閉 的 特 徴 と も関 係 す る。 双 子(Folstein et al.,1977》
と 家 系(August et al.,1981)の 研 究 は 、 言 語 の 問 題 と知 的 な 遅 れ に 対 し て 、 家 族 性 の 負 因 を も つ 自 閉 症 が み ら れ る こ と を示 し て い る 。 こ の 問 題 に 関 す る 診 断 ・分 類 の 議 論 は 次 の よ う な もの で あ る 。(1)家 族 性 の 言 語 問 題 を も つ 自 閉 症 児 の ケ ー ス は 、 こ の よ う な 家 族 性 素 因 が な い 自 閉 症 児 の ケ ー ス と ど の よ う に 異 な る の か 。(2)自 閉 症 と 発 達 性 言 語 障 害 の 混 合 した 特 徴 を も つ ケ ー ス の 疾 病 分 類 学 的 状 態 を ど う 考 え る か 。(3)発 達 性 言 語 障 害 の う ち の あ る 特 殊 な タ イ プ だ け が 自 閉 症 と 関 係 す る と想 定 す る な ら ば 、 自 閉 症 と 関 係 す る タ イ プ を 区 別 す る 特 徴 と は ど の よ う な も の な の か 。
84
黒 田 吉孝
(5)自
閉症 に お け る病 因 論 につ い て
自閉 症 の 病 因研 究 は以 前 に比 べ る と研 究 が 急 速 に 進 んで きて い る 。 彼 らは 、 こ の 問題 につ い て も文 献 を整 理 し課題 を指 摘 してい る。 現 段 階 で は 、研 究 問 に 矛 盾 もみ られ 、安 易 に結 論 を だせ な い こ と も指 摘 して い る。 病 因 論 に つ い て は 、 自 閉 症 症 候 群 の ヘ テ ロ ジ ィ に 関 す る 議 論 が あ る 。 わ れ わ れ は 、 既 に 、 自 閉 症 は 、 疑 い べ く も な くヘ テ ロ ジ ィ で あ る こ と を 指 摘 し て き た 。 こ の 点 に つ い て は 、 自 閉 症 の 臨 床 症 状 は 、 さ ま ざ ま な 病 気 、 例 え ば 、 先 天 性 ふ う しん(Chess, et al.1978;Chess, et al.1971)、 結 節 性 硬 化 症(Creak,1963;Lotter,1974)、 脳 炎(Wing, et al.1979)、 hypsarrhythmiaを も つ 幼 児 性 て ん か ん(Taft, et al。1971;Riikonen, et al.1981》 、 皮 質 性lipoidosis(Creak,1963)、 そ し て 、 神 経 繊 維 腫(Gillberg. et al.1984)に よ っ て 生 じ る こ と か ら も明 ら か で あ る 。 し か し な が ら 、 こ う し た 病 気 を す べ て 列 挙 し た と して も、 自 閉 症 の 中 で は こ れ ら は ご くわ ず か で し か な い 。 殆 ど の ケ ー ス で は 、 医 学 的 原 因 を 同 定 す る こ と が で き な い で い る 。 そ れ 故 、 明 ら か に さ れ て い る 病 理 学 的 原 因 を も つ ご くわ ず か な 自 閉 症 症 状 を 示 す ケ ー ス は 、 単 一 の 病 因(ま だ 明 ら か に さ れ て い な い が)を も つ 、 な ん ら か の 他 の 単 一 疾 患 に よ る も の な の か 、 そ れ と も 、 自 閉 症 の 行 動 的 問 題 は 、 脳 組 織 の 同 じ部 分 を 障 害 して し ま う 、 多 様 な 脳 疾 患 の 結 果 と し て の 共 通 の 表 現 型 な の か 、 明 ら か で な い 。 こ の2つ の 相 対 立 す る 考 え の う ち 、 ど ち ら が 正 し い か 決 定 す る た め に は 、 自 閉 症 症 候 群 の ヘ テ ロ ジ ィ の 問 題 に 対 し、 組 織 的 な 研 究 が 必 要 と さ れ よ う 。 第1に 、 研 究 は 、 な ん ら か の 医 学 的 条 件 を 同 定 す る 所 か ら 出 発 可 能 か も し れ な い 。 例 え ば 、 ス ウ ェ ー デ ン の 幼 児 自 閉 症 に 関 す る 研 究(Blom・ quist et al,1984)は 、 対 象 に さ れ た 少 年83人 の う ち16%に お い てX染 色 体 の 脆 弱 化(女 児 で は 全 くみ ら れ な か っ た)を 発 見 した 。 他 に 、Yale 大 学 グ ル ー プ(Watson, et al.1984)で は 、 自 閉 症 児 男 子75名 中 、5%に お い て 同 様 の 結 果 を 発 見 し た 。 しか し 、Venter et al(1984)で は 、57名 を 対 象 に し た が 、 こ の よ う な 事 実 は 全 くみ ら れ な か っ た 。 ま た 、Pueschel et al(1985), Gold-fine et al(1985)の 奇 形 、 家 族 性 の 知 恵 遅 れ を 問 題 に し た研 究 で は 、 こ の よ う な 事 実 は 発 見 さ れ な か っ た 。 自 閉 症 が 知 恵 遅 れ よ り も、X染 色 体 の 脆 弱 化 が 優 位 に み ら れ る の か ど うか(Blom-quist etal.,1982,1983に よ れ ば 、4-7%で 自 閉 症 が 多 い)、 ま だ 、 は っ き り し な い 。 しか し な が ら 、X染 色 体 の 脆 弱 化 が み ら れ る 自 閉 症 と 、 そ う で な い 自 閉 症 と を比 較 す る 必 要 が あ ろ う。 す な わ ち 、 両 者 は 、 現 象 的 に 、 発 達 プ ロ セ ス に 関 し て 、 ま た 、 認 知 障 害 の 特 徴 に つ い て 、 違 い は み られ る の か 。 同 様 に 、 知 恵 遅 れ 集 団 に つ い て も 、 行 動 特 徴 と こ の 問 題 は 関 係 し て い る
の か(Levitas etal.,1983、 Largo etal.,1985に よ れ ば 、 自 閉 的 特 徴 と 関 係 が あ る こ と を 示 唆 し て い る)。 他 の 発 生 要 因 に つ い て も 、 同 様 の 問 題 が あ る 。 Folstein et al(1977)は 、 一 卵 生 と 二 卵 生 の 違 い は 、 病 因 的 に 重 要 な 発 生 因 子 で あ る こ と を 発 見 し た 。August et a!.(1981)は 、 自 閉 症 児 の 同 胞 の お よ そ15%は(ダ ウ ン症 の 同 胞 の 場 合 、 わ ず か3%に す ぎ な い が)、 言 語 障 害 、 学 習 障 害 、 あ る い は 、 知 恵 遅 れ を もっ こ と を 発 見 し た が 、 こ の 事 実 は 、 自 閉 症 状 の 重 要 な ひ と つ で あ る 言 語 ・認 知 障 害 に 対 す る 遺 伝 的 役 割 の 可 能 性 を 示 唆 して い る 。 遺 伝 的 可 能 性 に つ い て 、 い く つ か の む し ろ 異 な っ た 議 論 が 生 じて い る 。 まず 第 一 に 、 双 子 と 家 族 性 負 因 の 問 題 に つ い て は 、 X染 色 体 の 脆 弱 化 が 関 係 して い る か 否 か 、 検 討 さ れ る必 要 が あ ろ う。X染 色 体 問 題 が 家 族 性 に 関 す る 一 般 的 な 説 明 に な り え て も、 自 閉 症 の ヘ テ ロ ジ ィ を調 べ る た め に は 、 家 族 性 に 関 す る 発 生 的 研 究 を更 に 進 め て い く必 要 が あ ろ う 。 例 え ば 、 家 族 性 負 因 は 、 知 恵 遅 れ を 伴 う 自 閉 症 児 に も そ の 考 え 方 が 適 用 可 能 で あ ろ うか 。 家 族 性 負 因 は 、 自 閉 症 児 の 性 の 違 い に よ っ て 、 青 年 期 に み ら れ る 発 作 の 展 開 の 違 い に よ っ て 、 症 状 の パ タ ー ン の 違 い に よ っ て 異 な っ て く る の で は な い だ ろ う か 。 こ の よ う な ヘ テ ロ ジ ィ に 対 す る 研 究 方 略 は 、 自 閉 症 と 関 係 す る 他 の 生 物 学 的 特 徴 に も 適 用 さ れ う る 。 例 え ば 、 青 年 期 に 発 作 を 示 す 自 閉 症 児 は 、 そ う で な い ケ ー ス と 異 な る の か ど う か 。 発
Rutter, M. Schopler, E.;Jle6e凪HHcKaH, K. C.;HHKoπbcKaπ,0. C.
論 文 に み ら れ る 自 閉 症 に 対 す る 障 害 理 解 、 な ら び に 研 究 方 法 の 特 徴 と そ の 比 較 85
作 の 危 険 性 は 、 知 恵 遅 れ を 伴 う 場 合 に 実 際 高 い が(Bartak et al.1976)、 危 険 性 は 、 医 学 的 問 題 、 性 、 症 状 、 あ る い は 、 発 達 プ ロ セ ス の 違 い に よ っ て 変 化 す る の で あ ろ う か 。 そ れ ら を 明 ら か に す る た め に は 研 究 が 組 織 さ れ る 必 要 が あ る 。 第2に 、研 究 は 、あ る 行 動 特 徴 、あ る い は 、あ る 症 状 群 に つ い て 焦 点 を あ て て 始 め ら れ る 必 要 が あ ろ う 。Rimrand(1971,1984)は 、彼 のE2ス ケ ー ル は 、 自 閉 症 の 生 化 学 的 に 異 な る 症 候 群 を 明 確 に 弁 別 可 能 で あ る と何 回 も主 張 した が 、 生 化 学 者(Boullin et al.1982)に よ っ て 同 一 の 結 果 を 得 る こ と が 出 来 な か っ た 。 わ れ わ れ は 、 例 え ば 、 発 症 年 齢 、 典 型 的 一 亜 型 的 症 状 、 青 年 期 に み ら れ る 悪 化 等 の 外 的 な 特 徴 は 、 意 味 が あ る の か ど うか 、 明 ら か に す る 必 要 が あ る と考 え る 。 第3に 、 男 性 と女 性 の 自 閉 症 は 、 ど ん な 点 で 異 な っ て い る の か 、 こ れ も重 要 で あ る 。 自 閉 症 は 、3対1、 あ る い は 、4対1の 割 合 で 男 性 が 多 い こ と が 確 認 さ れ て い る 。 更 に 、 自 閉 症 女 児 は よ り重 篤 で あ り、 認 知 障 害 に つ い て 家 族 性 の 問 題 を も っ て い る傾 向 を し め して い る よ う に 思 わ れ る(Tsai et al.1981;Lord et al.1982;Wing, 1981)。 そ れ ら を 含 め 、 男 性 自 閉 症 と 女 性 自 閉 症 の 違 い が あ る の か ど うか を 明 ら か に す る た め に は 、 対 象 を拡 大 し て い く必 要 が あ ろ う。 最 後 に 、 治 療 に た い す る 反 応(効 果)は 、 自 閉 症 を 弁 別 す る た め の 要 因 と して 考 え ら れ る べ き で あ ろ う 。 治 療 に お い て は 、 行 動 主 義 的 方 法 、 教 育 的 方 法 が 最 も有 効 で あ る 。 治 療 に 対 す る 効 果 の 個 人 差 は 、 主 と して 、 知 能 障 害 、 言 語 障 害 の 程 度 に 関 係 し て い る 。 研 究 は 、 正 常 な 知 能 を もつ 自 閉 症 は 、 重 篤 な 知 能 障 害 を も つ 自 閉 症 と は 異 な っ て い る 可 能 性 を提 起 して い る 。 しか し な が ら 、 事 態 は 真 実 か ら ほ ど遠 い 。 薬 剤 効 果 の 問 題 は 、 お そ ら く、 ヘ テ ロ ジ ィ に 対 す る 診 断 研 究 に と っ て 、 期 待 の で き る 方 法 と な ろ う。 今 日 ま で 、 トラ ン キ'ライ ザ ァ は 、 興 奮 、 緊 張 、 多 動 を 低 下 さ せ る が 、 自 閉 症 そ の も の に た い す る 薬 剤 の 特 別 の 効 果 の 証 拠 は み ら れ て い な い 。 覚 醒 水 準 の 高 ま り は 、 ケ ー ス 研 究 に よ っ て 報 告 さ れ て い る(Geller et al.1982)。 こ の 研 究 の 中 で 、 フ ェ ン フ ル ラ ミ ン(セ ロ トニ ン レベ ル を 下 げ る) は 、 自 閉 症 に と っ て 有 効 で あ る こ と が 示 唆 さ れ て い る 。 覚 醒 水 準 の 高 ま りは 、 以 下 の 可 能 性 を 生 じ さ せ る 。 つ ま り 、 自 閉 症 の 改 善 は 、 特 別 な 生 化 学 の 変 化(す な わ ち 、 セ ロ トニ ン の 減 少) に よ る か も しれ な い と い う 可 能 性 で あ る 。 自 閉 症 児 の 約1/3に お い て セ ロ トニ ン レ ベ ル は 高 ま っ て い る が 、 彼 等 は また 、 重 篤 な 知 恵 遅 れ と 神 経 学 上 の 他 の 大 き な 問 題 を も っ て い る の で 、 可 能 性 は な い よ う に 思 わ れ る 。 そ れ 以 外 の 研 究 (August et al.,1984;Ritvo et al.,1983)は 、 フ ェ ン フ ル ラ ミ ン の 投 薬 は た とえ 有 効 で あ ろ う と も 、 そ れ ら の 効 果 は 、 七 回 トニ ン の 病 理 的 高 レ ベ ル の 正 常 化 に よ る も の で は な い こ と を 示 唆 し て い る 。 し か し な が ら 、 こ れ ま で は 実 り あ る結 果 は え ら れ な か っ た け れ ど も、 特 別 な 治 療 に 対 す る 反 応 ・効 果 の 違 い の 検 討 は 、 価 値 あ る研 究 方 法 と して 残 さ れ て い る 。 Jle6e八HHcKaπ, K. C., HHKoJlbcKa∬,0. C. (1986,1987)論 文 に つ い て