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特集に当って

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Academic year: 2021

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特集に当って

柳井浩

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J の意味であった. 度量衡の単位の確立とその精度の向上に対して は何世紀にもわたる努力がつみかさねられている のは,周知のとおりである. 一方,建築家たちは,現代の生活にマッチした 新しい基準による建築物の寸法,いや,もっと広 く日常生活に用いる工業製品の寸法の体系を提唱 している. これらは, r モジュ}ル j や「ユニット」とい ゃないひろし慶応義塾大学管理工学科 〒 223 横浜市港北区日吉 3 ー 14ー 1

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う言葉の語源の直系の子孫といえよう. われわれはしかし,これらの言葉をその語源に 忠実なままに,限定した意味で使おうとは思わな い.現在多くの場面で使われているように,もう 少し広い意味で使いたい.現代技術思想を特徴づ テルミヌス・テヒュタス ける 1 つの術 語となりうると思うからであ る.

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現代の社会の各所に見られる規模の拡大は,シ ステム化によって可能ならしめられている.そし て,どんなに複雑で,錯綜をきわめようと,なん とか機能するかぎり,システムはシステムである. しかし,あまり複雑なシステムをそのまま捉え, そのまま考えようとしても,人間の頭脳はそれに 耐えられない. r分かる」ことが, r分けられるこ と J の意味ならば,システム全体をいくつかのサ ブ・システムや構成要素に分解し,この構成要素 を分解してまたいくつかの構成要素にわける. ・・こういう,構成要素と構造がとらえられて,は じめてシステムが「分かる」のである. したがって,こうし、う構成要素が,いろいろな 意味で標準化されていることは,システムの理解, 構築,管理に対してきわめて重要な基礎をきずく ことになる.現在,多くのシステムにおいて,構 成要素の標準化ということが意識され,実行され ている. まず,建築においてこれを見れば,美的秩序に 対する要求にこたえて,各部分の寸法を定めよう オベレーションズ・リ+ーチ © 日本オペレーションズ・リサーチ学会. 無断複写・複製・転載を禁ず.

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とするのもさることながら,昨今では,家具や洗 面所のユニ y ト化がさかんに行なわれている.家 具のユニットを適宜積み上げれば,ぴったりと寸 法のあった好みの「システム」家具が組み立てら れる.付属品がすっかり揃った洗面所がいろいろ 取り揃えられているから,設計者は設計図の中に 適当なものをはめ込めばよい.従来,その場に合 わせて作る伝統の強かった建築の分野に,規模の 経済や品質管理等の近代産業等の利点を導入する 方法をこの「モジュール化」や「ユニット化」と いう所に見ることができる. システム全体によくマッチするように, r モジ ュール」や「ユニヅト J が設計されていれば,ス ペースや人手の無駄を省くことができる.互換性 もある.物流システムでは,モジュール化のこの ようなメリットが最大限に利用されているものと いえよう.このことは,ビールのプラスチック製 ケースにその例を見ることができる.女性でも持 ち上げられるよう 10本とし、う適当な大きさのケー スが,上下にはまりあって何段にも積み上げられ るようになっている.専用の運鍛車には,むろん ぴったりと納まる. そのシステムがし、わゆるソフトウエアであるな らば,モジュール化によって,システム全体がす っきりとするのみならず,多人数で分担しながら くみあげてゆくこともできる.さらに, r モジュ ール」を入れ替えることによって,別の機能をは たす,新しいシステムを手早く実現することも可 能になる. もう少し範囲を拡げれば,手順とかアルゴリズ ム,定理や法則あるいは概念も操作や思考・情報 の「モジュール J と考えることができる.だから 物事が「モジュール」や「ユニット J にまとめら れていれば,人聞はこれを基礎にして,もっと大 きなシステムを構想する自由が獲得できる.これ こそ, r モジュール化J や「ユニット化J の最大 の効用といえよう. システムというものの見方の陰にかくれて地味 1986 年 10 月号 ではあるが, r モジュール J や「ユニット J の考 え方は,このようにきわめて重要な意味をもって いる. それならば, r モジュール」や「ユニット」を し、かなる形で設計すべきか? システムの設計と いうグローパルな最適化から決まってしまうはず だと考える向きもあろうが,そのような見方だけ では「進化j という重大な過程を見落とすことに なる.自然発生的な「モジュール」や「ユニット」 が次の進化の基礎となったことは,文化の歴史上 枚挙のいとまがないほどである.このような面も ふまえて,とりあえずの「モジュール化J や「ユ ニット化」にも OR 側の努力が続けられなくては ならない. 「モジュール」や「ユニット J の確立に OR が はたすべき役割は数多いはずである.とはいえ, これを全面的に概観することは時期尚早のようで ある.言葉の使われ方も統ーをかき,この視点自 身の市民権が十分に確立されているとはいし、がた いからである.われわれは,まず事実を収集し, この問題のもついくつかの局面を眺めてみること を,とりあえずの目標とした. このように考えて,伝統的な建築分野における 「モジュール」の考えかたを鈴木博之氏と荒木睦 彦氏に,物流分野における「モジュール化 J と 「ユニット化」の問題点を長谷川良雄氏と高森秀 夫氏に,また,ソフトウエアにおける「モジュー ル J について大筆豊氏に書いていただし、た.さら に,具体的な検討の対象として拙稿も添えさせて いただいた. システム化の相棒としての「モジュール化 J と 「ユニット化J という視点について OR 側からの 議論が盛んになることをのぞみたい. (5)

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