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自閉スペクトラム症者のSNSを介したコミュニケーションにおける困りごとに関する研究

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Academic year: 2021

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− 103 − 自閉スペクトラム症者のSNSを介したコミュニケーションにおける困りごとに関する研究 人間教育専攻 臨床心理士養成コース 久 保 朔 子 1.問題と目的 近年,ソーシヤルネットワーキングサービス (S

ialNetworking Service ;以下, SNS) の 利用率は年々増加傾向にあり, SNSは若者にと って必要なコミュニケーション方法のーっとな っている(ICT総研, 2015;内閣府, 2016)。し かし赤坂(2014)は, SNSが多くの人に利用され ている便利なツールで、ある反面,強し怯存性や トラブルへの橋渡しとなっていることを指摘し ている。 また若本位015)は, SNSの中でも多くの人に 利用されている

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コミュニケーションにつ いての研究で,発達障害のある児童生徒はサイ ノ〈ー空間に関してリアルに想像することが難し いため,その障害特性を踏まえた教育・指導や 支援が肝要であると述べている。このことから, 発達障害者における SNSのトラブ、ルや支援に ついて考える必要性があるだろう。 本研究では,発達障害の中でも“自閉スペク トラム症(AutismSpectrum Disorder;以下 ASD)"に焦点を当てる。ASD者は他者の気持 ち,その場の状況,流れを読み取ることの苦手 さなど社会的コミュニケーションの障害を中心 に,こだわりや感覚過敏性などの自閉症の特性 を様々な程度で示す発達障害である(林ら, 2015)。このような特性から,社会性への支援 についての研究は様々なものが行われている (藤野, 2013;岡島・鈴木, 2012)。しかしなが ら,これらの研究は対面コミュニケーションに 指導教員 小 倉 正 義 特化したものが多く,SNS利用時のコミュニケ ーションに特化したものはほとんどない。 本研究では,研究Iにおいて ASD者が抱え る困りごとを検言寸するためにSNS利用率が高 いとされる高校生の困りごととソーシヤルスキ ルとの関連を調査する。研究Hでは, 10代後半 から20代の者を対象に ASD者が SNSを利用 するうえで問題となりやすし、困りごとについて 質問紙で調査し,ASD者が持つ特性から考えら れる因りごとやトラブルについて検討すること を目的とする。 2. 研究 I (I)目的 ASD者が SNS利用時に感じる困りごとにつ いて検討するうえで有効な知見を得るため,高 校生の SNS利用の実態及び,ソーシャルスキ ルとの関連を量句データによって検討する。具 体的には,①「ソーシャルスキノレ合計得点の高 い者ほど, SNS上で抱える困りごとは少なし¥J, ②「ソーシャルスキル合計得点の低い者ほど, SNS上のグループで、の困りごとが多しリとし、う 2つの仮説を検証する。 (2)方法 ①調査時期 :X年 9月'"'"'10月 ②調査対象者:高校生32名(男性 6名,女性 25 名,その他・不明1名)を対象とした。 ③質問紙:フェイスシート,年齢.,~生別, SNS の利用機器(6項目),利用時間,利用アプリケー ション(5項目),やり取りをする相手,困った体

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− 104 − 験について(5項目・自由言目的,成人用ソーシャ ルスキル自己評定尺度を使用した。 (3)結果と考察 困った体験について5つの項目を挙げて困っ た体験について尋ねたが,どの項目においても 「困っていなしリ「あまり困っていなしリと回答 している者が多かった。しかし,自由記述の結 果を見ると「長時間のトークは疲れるJIきりが なくて長時間使用してしまうJIグループで間違 ったことを言ってしまいあせったjなど,項目 に挙げたものに該当するような自由記述も見ら れ,項目として挙げた内容に類似する記述もあ った。このことから自由記述の内容も含め項目 の得点の結果としてはあがっていないが,実際 には困りごとがある可能性も示唆されるだ、ろう。 3.研究E (1)目的 ASD者のSNS利用の実態,SNS利用時の困 りごとと適応」惑の関連を検討する。 (2)方法 ①調査時期 :X年 11月'"'-'12月 ②調査対象者:ASDと診断されている 10名(男 性 10名),大学生・大物完生(男性9名)を対象 とした。 ③質問紙:フェイスシート,年齢.

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生別, SNS の利用機器(6項目),利用時間,利用アプリケー ション(5項目),やり取りをする相手,困った体 験について(5項目),インターネット依存(4項 目),自分がした・された体験について(11項目), 中学生用適応感尺度(2因子 16項目)を使用した。

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結果と考察 SNS利用時の自分がした,相手からされた体 験については情報を流されたJI誤解されたj 「仲間はす

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こした」の項目において有意な差 がみられ,コミュニティ群のほうがASD群よ り,相手から「情報を流されたJI誤解された」 体験をしており,自分が 「仲間はずれにしたj 体験も多いことが明らかとなった。ASD群はコ ミュニティ群に比べ人との関わりを持つ機会が 少ないことが考えられる。そのため, SNS上に おいてもコミュニティ群の方が困りごとを抱え やすし、ことが考えられた。 山本ら包017)は, 一般的に,居着朝を迎えた 多くの子どもたちは仲間同士だけで通用するよ うな隠語を使ったり,目配せや身振りなどの非 言語的コミュニケーションを意図的に多様(近 藤・小林, 2008)したりするようになるが,こ うしたコミュニケーション様式はASDがある 場合,困難であるとしている。このことからも, 本人は気付いていない困りごとが思し、かけずト ラブノレに発展することも考えられる。ASD者自 身が困りごととして捉えていない場合に,本人 が困りごととして認識できるよう周囲がサポー トをすることがASD者の精神的健康や適応」惑 を保つためには必要になるので、はないだろうか。 4. まとめと今後の課題 SNSの利用率は年々増加傾向にあり, ASD 者にとっても SNSは欠かせなし、前主になりつ つある。これからは,どのように適切に SNS を利用していくか,困りごとを解決するために はどうすればよいのか,本人が困りごとについ て考えるだけではなく、周囲ができる支援の在 り方を考えていく必要があるだろう。 今後の課題として,より具体的な困りごとに ついて調査するために質問紙調査だけでなくイ ンタビュー等の質的な研究を実施することが求 められる。また,今後は困りごとだけでなく, ASD者がSNSを利用することで得られるメリ ットについての調査を行うことも有用であると 考えられる。

参照

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