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星のふるさと

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Academic year: 2021

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星のふるさと

教科・領域教育専攻 芸術系(美術)コース 竹 谷 知 佳 子 作品の要旨 1.はじめに 筆者は、幼い頃から山や森に行く機会が 多かった。そこに行くと、動物や植物では ない何かがいる気配がしていた。木と木の 聞から何かが覗いていたり、薮の陰からこ ちらをうかがう目を感じた。また、その気 配をそれぞれのものに宿る神秘的な妖精の ような生き物としてみていた。森や山に限 らず、昼間の森の中や、夜の森、草むらや 色とりどりの鉱物、夜空の大きな空間、降 ってきそうな星々を見ていると、自然に対 する感動と、少し不気味であるが目が離せ ない感覚を覚える。このような体験から、 星空や植物などの自然物からイメージを得 て、目に見えなかった気配を表現しようと 考えている。

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材料と技法 これまでは、パネルに油彩のみで描く手 法をとってきた。油絵の具を筆で薄くのば し、指や筆などでたたき込むようにのせる。 この行程を繰り返し、絵の具を何層も重ね ることにより、下にのっている地の色が透 け、複雑に透過した色が現れる。色に深み が増し、単純な色面にならないような効果 を用いて制作していた。また、同時に行っ ていた鉛筆や墨でのドローイングで得られ 指 導 教 員 鈴 木 久 人 た重厚感のある質感やにじみが、筆者の表 現したい自然の姿や世界観に合っていた。 修了制作では、より筆者の表現したい世界 観になるように、これまでの油彩に加えて 鉛筆と墨を用いて制作を行うことにした。 支持体には、パネルに白亜地を施し、そ の上から薄い和紙を貼ったものを使ってい る。パネルに白亜地のみや麻布に描くこと も試みた。しかし、パネルに白亜地のみの ものは画面が滑らかすぎて鉛筆ののりが悪 い。また、麻布は繊維の目が組すぎて細か な描き込みが難しく、鉛筆で表現する部分 には不向きなものだ、った。和紙は、麻布よ り毛羽立ちがなく、ほどよい繊維の凹凸が ある。パネルに和紙を貼ることによって、 平滑なパネルの画面に和紙の細かな繊維が のる。ざらざらとした細かなマチエールを 作ることで、鉛筆ののりや定着がよくなる。 また、白亜地で目止めを施しであるので、 油彩も併用することができる。 墨を用いて画面に濃淡をつけ、有色下地 にするとともに、墨特有のにじみや掠れを 作り出す。金色の顔料を用いて、部分的に 金箔地のような面を作る。その上に鉛筆や 墨で部分的に描き込んでいく。鉛筆や墨の 濃淡で地の金色が透けることで、かすかに 輝く神秘的な効果を持たせるようにしてい る。部分的に油彩を用いて色面を作る。色

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- 372 - - 371 - 味が浮いて見えないように、適宜薄く溶い た油絵の具でグレーズすることで、画面上 が一つの世界にまとまるような空気感を持 たせる。

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制作過程 1.エスキース 修了制作では、鉱物や宇宙をモチーフと した。モチーフとなるものを観察し、i想像 をふくらませる。断片的なものをスケッチ ブックに描き、改めて再構成する。鉛筆の 部分や墨の部分、油彩の部分を考えながら、 大まかな色味も決めていく。ケント紙に

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分 1縮尺のエスキースを描く。このエスキ ースを拡大して下絵とするので、ラフなも のではなく、より、完成形に近い形を描き起 こしていく。 2.本制作 鉱物や宇宙は小さなものが密集している と筆者は考えたので、たくさんのパネルを 作り、小さな画面を合わせて再構成した。 エスキースをもとに色鉛筆で下絵を描いて いく。薄く溶いた墨を、淡い濃淡を意識し て画面に塗っていく。そのまま、墨の部分 の制作へつなげる。墨による制作の第二段 階では、下地の墨よりも濃く磨ったものを 用いる。今回は鉱物を表現するために、墨 の中に金色の顔料を混ぜてきらきらとした 結晶の質感を持たせた。徐々に墨を濃くし ていき、濃淡のはっきりした部分を画面上 で作っていく。次に、色をのせる部分に水 干絵の具で彩色を施す。この部分は最終的 に油絵の具で描き起こしていくので、この 段階での彩色は、全体の色の大まかな雰囲 気をみるために行う。次に、金色の顔料を 目安で溶いたものを四角いゴム判につけ、ス タンプの要領で金箔地のような部分を作る。 均一に塗るのではなくムラになるように施 すことで、年代を経たものの感じを表現す る。ここから油絵の具による制作に移る。 修了制作では、主に鉱物を描き込む際に油 絵の具を使用した。鉱物の内から輝くよう な色味を、油絵の具を何層も重ねることに より表現する。大きな結晶を表現するため に、筆跡を残さないように彩色していく。 鉛筆による制作に移る。鉛筆では、夜空 と鉱物の細部を描き込む。画面上部の夜空 は、あらかじめ、星の部分を残し鉛筆で塗 りつぶしていく。鉛筆で塗りつぶすと、塗 りつぶした部分に抵抗感が生まれる。空の 暗閣の部分を塗りつぶすことで、筆者の感 じる夜空の圧を表現する。画面上部への描 き込みを終えると、画面全体を油絵の具を 薄く溶いたものでグレーズし、色味や彩度 を調節していく。画面全体が一つの世界に まとまるような空気感になるように仕上げ ていく。

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制作のまとめ 油絵の具での色の深みに加え、鉛筆や墨 による表現で、夜空や鉱物の濠とした雰囲 気を表現できたと考える。また、性質の異 なる素材を使用したミクストメディアでの 制作で、一つのまとまりのある作品を制作 できたと考える。この修了制作では、今ま での油彩による表現方法に加えて、新たな 可能性を見いだすものとなった。この表現 方法を深め、筆者が見る自然の世界を描い ていきたい。

参照

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