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溶射材の疲労挙動と破壊機構に関する研究

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Academic year: 2021

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Title

溶射材の疲労挙動と破壊機構に関する研究( 内容の要旨

(Summary) )

Author(s)

黄, 貞雄

Report No.(Doctoral

Degree)

博士(工学) 甲第041号

Issue Date

1996-03-25

Type

博士論文

Version

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12099/1762

※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

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名(本 籍) 学 位 の 種 類 学 位 記 番 号 学位授与年月日 専 攻 芦 学位論文題目

‡学位論文審査委員

:≡ 】 」_ 童 貞 雄(大韓民国) 博 士(工学) 甲第 41号 平成 8 年 3 月 25 日 生産開発システム工学専攻 溶射材の疲労挙動と破壊機構に関する研究 (主査)教 授 戸 梶 恵 郎 (副査)教 授 後 藤 筆 教 授 堂 田 邦 明 論文内容の要旨 表面改質の中で最も注目されている溶射処理は,金属・合金およびセラミックスなどの 種々の溶射材料が選択でき,かなり厚い皮膜が容易に形成されるなどの様々な特徴を有し ており,工業的に幅広く応用可能な手段である.溶射材を重要な構造部材に応用する場合, 大気中および腐食環境中における繰返し負荷に対する特性,すなわち疲労特性の評価が不 可欠な問題となる.そこで本研究は,機械構造用炭素鋼S45Cにセラミック,サーメットお よび金属を溶射した溶射材について,室温大気中と3%NaCl水溶液中における疲労挙動およ び破壊機構を詳細に検討した.得られた結果は以下のとおりである. 室温大気中の場合,セラミック溶射材のセラミック溶射過程における各処理,およびセ ラミック溶射皮膜iよ 静的強度にほとんど影響を及ぼさない.繰返しのきわめて初期の段 階にトップコーティング層と基材も含めたアンダーコーティング層との変形特性の相違に 基づいて,両者の界面から発生した複数のき裂がセラミック層に成長するが,基材に連続 的に成長することはなく,最終破壊は基材から新たに発生したき裂の成長によってもたら される.以上のように,早期に発生した割れのために,セラミック層は引張応力を軽減, または負担しなくなる.したがって,\大気中におけるセラミック溶射材の疲労強度は,基 本的に基材の特性にようて決まる. WC-12%Co溶射材の室温大気中における疲労強度は基材よりも向上した.しかし,密着強 度を高めるために基材表面にブラスト処理を施した試験片よりも,ブラスト処理を施さな い試験片の疲労強度がさらに高くなる.これはブラスト処理の際,残留粒子が疲労き裂の 発生点になることに起因している.ブラスト処理を省くと,疲労き裂発生点は,溶射皮膜 と基材の界面剥離であった. 腐食環境中の場合,セラミック溶射材の腐食疲労強度の低 Fはきわめて顕著である.ま た,セラミック溶射材および封孔処理材の疲労強度はほぼ同程度であり,封孔処理による 腐食疲労強度の向上はほとんど認められない・しかし・電解研磨材より高い疲労強度を示 し・この傾向は応力の低下に伴って顕著になる・腐食疲労破壊は,トップコーティング層 のき裂または層内の隙間などを浸透した塩水が,アンダーコーティング層との界面に達し, 腐食ピットが基材の表面に生じ・その腐食ピットから疲労き裂が発生,成長することによ ってもたらされる・したがって・腐食疲労強度は溶射皮膜が塩水を遮断し,基材への浸透 を防ぐことによって改善される・この効果は応力の低下に伴って有効になる.セラミック

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ー28-溶射材に封孔処理を行った場合,応力の高い短寿命領域では,トップコーティング層に割 れが多数発生するために,環境遮断効果が改善されないが,応力が低い長寿命領域(〟〉107 可)では,腐食疲労強度の向上が期待される. WC-12%Co材の腐食疲労強度は,・短寿命領域では大気中と一致するが,長寿命領域では著 しく低下する.Ni-11%P材の溶射皮膜は大気中および塩水中のいずれの疲労強度にも影響 を及ぼさないが,Al-2%Zn材の大気中および塩水中のぶ一〟曲線は基材と一致した.すなわち, 基材よりも電気化学的に貴な溶射皮膜は,環境遮断効果によって腐食疲労強度を向上させ るが,連続気孔や割れによって腐食溶媒が基材との界面に達すると,基材に顕著なアノー ド溶解が生じ,腐食疲労強度を低下させる.官C-12%Co材では前者の寄与が大きく,腐食疲 労強度は若干向上するが,Nト11%P材では腐食疲労強度の向上は認められない. 以上の結果から,耐食性溶射皮膜として,トップコーティング層にWC-12%Co,アンダー コーティング層にAl-2%Znを施した複合溶射皮膜を提案し,腐食疲労強度の向上を確認し た. 論文審査の結果の要旨 本論文では,機械構造用炭素鋼S45Cにセラミック,一サーメットおよび金属を溶射した溶 射材について,室温大気中と3%NaCl水溶液中における疲労挙動および破壊機構を検討して いる. 室温大気中の場合,セラミック溶射材の溶射過程における各処理,およぴセラミック溶 射皮膜は,静的強度にほとんど影響を及ぼさず,疲労破壊は,繰返しのきわめて初期の段 階にトップコーティング層と基材も含めたアンダーコーティング層との変形特性の相違に 基づいて,両者の界面から発生した複数のき裂がセラミック層に成長するが,基材に連続 的に成長することはなく,基材から新たに発生したき裂の成長によってもたらされること を明らかにしている.このように,早期に発生した割れのために,セラミック層は引張応 力を軽減,または負担しなくなるので,大気中におけるセラミック溶射材の疲労強度は, 基本的に基材の特性によって決まることを指摘している. WC-12%Co溶射材の室温大気中における疲労強度は基材よりも向上することを確認し,さ らに密着強度を高めるために基材表面にブラスト処理を施した試験片よりも,ブラスト処 理を施さない試験片の疲労強度が高くなることを明らかにしている.この原因として,フ ラスト処理の際,残留粒子が疲労き裂の発生点となり,その応力集中によることを指摘し ている.ブラスト処理を省くと,疲労き裂発生点は溶射皮膜と基材の界面剥経となること も明らかにしている. 腐食環境中の場合,セラミック溶射材の腐食疲労強度の低-Fはきわめて顕著であるが、 電解研磨材より高い疲労強度を示し,この傾向は応力の低 Fに伴って顕著になること,お よび封孔処理による腐食疲労強度の向上はほとんど認められないことなどを明らかにして いる.腐食疲労破壊は,トップコーティング層のき裂または層内の隙間などを浸透した塩 水が,アンダーコーティング層との界面に達し,腐食ピットが基材の表面に生じ,その腐 食ピットから疲労き裂が発生,成長することによってもたらされることに基づいて,腐食 疲労強度は溶射皮膜が塩水を遮断し,基材への浸透を防ぐことによって改善されることを 寺摘している.封孔処理は,応力の高い短寿命領域ではトップコーティング層に割れが多 数発生するために有効とはならないが,応力が低い長寿命領域(〟〉107回)では,環境を避

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-29-断するために腐食疲労強度の向上が期待できることを示している. WC-12%Co材の腐食疲労強度は低下するが,基材の腐食疲労強度よりは若干改善されるこ と,Nト11%P材の溶射皮膜は大気中および塩水中のいずれの疲労強度にも影響を及ぼさな いこと,Aト2%Zn材の大気中および塩水中の5一〟曲線は基材と一致することなどを明らかに している.これらの結果から,基材よりも電気化学的に貴な溶射皮膜は,環境速断効果に よって腐食疲労強度を向上させるが,連続気孔や割れによって腐食溶媒が基材との界面に 達すると,基材に顕著なアノード溶解が生じ,腐食疲労強度を低下させることを指摘して いる. 腐食環境中の結果に基づいて,耐食性溶射皮膜として,トップコーティング層にWC-12% Co,アンダーコーティング層にAト2%Znを施した複合溶射皮膜を提案し,腐食疲労強度の 向上を確認しており,実用的に有用な皮膜をとなることを示している. 以上のように,本研究は溶射材の疲労挙動と破壊機構に関して貴重な結果と価値ある知 見を得ており,工学的,工業的に寄与するところが大きいと判断し,本論文を博士.(工学) の学位論文に価するものと認める.

参照

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