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新キノロン薬と非ステロイド系抗炎症薬により誘発される痙攣に関する薬学的研究

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Academic year: 2021

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Title

新キノロン薬と非ステロイド系抗炎症薬により誘発される

痙攣に関する薬学的研究( 内容の要旨(Summary) )

Author(s)

田中, 和彦

Report No.(Doctoral

Degree)

博士(医学)乙 第873号

Issue Date

1993-11-17

Type

博士論文

Version

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12099/15390

※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

(2)

氏名(本籍) 学位の種類 学位授与番号 学位授与日付 学位授与の要件 学位論文題目 審 査 委 貞 田

彦(佐賀県)

士(医学)

乙第

873

平成

5

年11月17

学位規則第4条第2項該当

新手ノロン薬と非ステロイド系坑炎症薬により誘発される痙攣lこ関する薬理

学的研究

(主査)教授 (副査)教授 士デけKP 量道

介幸

見田 鶴河 論 文

容 の

新キノロン薬(NQ)の中枢興奮作用が,非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)併用により増感され,まれに痙 攣を引き起こすことが問題となっている○この薬物相互作用の発現機序は,γ-アミノ酪酸(GABA)受容体へ のGABA結合をNQが阻害し,NSAIDがこの阻害を著しく増強することによると説明されてきた。しかし,我々 は種々の中枢作用薬を用いた痙攣抑制試験から,この併用による痙攣誘発はGABA機構のみで説明することは困 難であり・N-メチルーD-アスパラギン酸型グルタメート受容体やアデノシン受容体反応も関与しており,極めて

複雑な機序を持っ反応であることを示唆してきた。現在わが国で臨床に用いられているNQは8種類ある。他方

NSAIDは50種以上が発売認可されている。しかし,両種薬物併用による痙攣誘発が,臨床的に報告されている組 合せは数種に過ぎない。そこで本研究では,NQとしてノルフロキサシン(NFLX),オフロキサシン(OFLX),

チノキサシン(ENX),シプロフロキサシン(CPFX),ロメフロキサシン(LFLX)を使用し,NSAIDとの併

用による痙攣を・両種薬物の広範囲な組合せで試験すると共に,痙攣を誘発する薬物の構造活性相関を考察する ことを目的として,NQ単独投与による痙攣誘発作用,NSAID併用に伴うNQ間における中枢作用の差異を,個々 のNQ自体の中枢作用と・NSAID併用による増感作用との観点から比較した0痙攣を誘発するプロピオン酸系 NSAIDには・抗炎症活性にとって重要な共通化学構造としてトロパ酸部分があり,本構造は光学活性を持っ。 そこで・代表的なNSAIDとしてケトプロフェンを選び,NQ併用時の光学異性体間における痙攣誘発作用につい ても比較したoさらに,ENXについて,各種NSAID存在下におけるGABA受容体結合阻害を試験し,痙攣誘発 とGABA結合阻害の関係を解析すると共に,NQとNSAIDが併用された場合の痙攣誘発に関して,NSAID側から 考案した。 研究方法 1)マウスの痙攣誘発 a)NQ単独投与:マウスにNQ単独を腹腔内投与して,薬物投与後3時間にわたり中枢作用および痙攣(間代性 ■および強直性痙筆)症状を,Irwinの多次元観察法に従って観察し,さらに投与24時間後の致死数も求めたb b)NQとNSAID併用投与:マウスにNQとNSAIDを腹腔内あるいは経口併用投与して,薬物投与後3時間にわ たり中枢作用および痙攣(間代性および強直性痙攣)症状を,Irwinの多次元観察法に従って観察し,さらに投 与24時間後の致死数も求めた。 2)ENXのGABA^受容体結合阻害作用に対する各種NSAIDの影響‥0・04%TritonX-100で処理したラットの脳 粗シナプトソーム分画を用いて,10LLMのENXを添加し,各種濃度のNSAID存在下,3H-ムシモール結合を測定 した。 研究結果 1)マウスへNQ(NFLX・OFLX・ENX・CPFX・LFLX)を大王腹腔内投与すると,いずれもNQでも間代性痙 攣を起こした後,死亡した。したがって,NQの基本的な急性毒性症状は,中枢興動こよる痙撃であると考えら 81

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れた。この中枢興奮作用は,臨床的に痙攣誘発が知られているフェンプフェンの活性代謝物であるビフェニル酢 酸(BPAA)を併用することによって増感され,間代性,強直性痙撃を誘発し,死亡した。しかし,増感を受け る程度は,NQ単独投与時の中枢興奮作用の強度とは全く相関していなかた。また,BPAA併用誘発痙攣は,NQ 間で量的差のみならず質的差も認められた。 2)NQとケトプロフェンあるいはナプロキセン併用は,BPAA併用時同様に痙攣を誘発した0ケト'7Pロフェン に比しGABA結合阻害作用が弱いナプロキセン併用時に,むしろ痙攣誘発作用が強い傾向にあり,痙撃誘発と GABA受容体結合阻害とには帝離が認められた。 3)OFLXは比較的中枢作用が強いにもかかわらず,各種のNSAIDによる増感作用をはとんど受けなかった。一 方,ENXとCPFXは,プロピオン酸系を中心とする酸性のNSAID併用により痙攣を起こした0しかし,ロキソプ ロフェン,メフェナム酸,オキサプロジン,ピロキシカム,メビリゾールの併用では,興奮や痙攣を認めなかっ た。 4)ENXとケトプロフェンの薬物相互作用には,NSAIDの光学異性が関与しており,R(-)体で強く,S(+) 体では極めて弱かった。 5)NSAID併用による痙攣誘発作用が最も顕著であったENXのGABA受容体結合阻害作用は,NSAID共存によっ て増強された。しかし,この阻害作用と痙攣誘発作用の間には,相関性は認められなかった。 以上の成績により,NQはそれ自身が中枢興奮作用を持つことが明らかになった。中枢興奮に基づく痙攣誘発 は,NQ単独のみならず,NSAID併用においてもNQ間で発現態度に差がみられたが,今回試験したNQはすべて, 痙攣に関しては臨床上注意する必要があると考えられた。NQとNSAIDの薬物相互作用にはNSAIDの化学構造 における立体選択性があり,抗炎症作用の強いS(+)体の作用は弱く,新規NSAID開発においても興味が持 たれた。NQとNSAID併用により誘発される痙攣において,GABAの関与は否定できないが,GABA受容体結合 阻害作用と痙攣誘発作用には有意な相関性は認められず,痙攣誘発の機序は極めて複雑であると思われた。

論文審査の結果の要旨

申請者田中和彦は,各種NQとNSAIDとの併用により誘発される痙攣を薬理学的に検討し,その痙撃はNQが 本来持つ性質で,NSAIDによって顕在化され,個々の薬物によって異なるものの,両者いずれの組み合わせでも 惹起される可能性のあることを警告した。なお痙攣誘発はt GABA受容体結合阻害作用とは必ずしも相関せず, またNSAIDの立体構造とも関連のあることを明らかにした。本研究は両薬物の相互作用の発現機構に新知見を 加えたもので,薬理学の発展ならびにNQやNSAIDの今後の開発に少なからず寄与するものと認める。 [主論文公表誌] 新キノロン薬と非ステロイド系抗炎症薬により誘発される痙攣に関する薬理学的研究 平成5年9月発行 岐阜大医紀 41(5):850∼865 82

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